JP3299806B2 - 排水処理方法 - Google Patents

排水処理方法

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JP3299806B2
JP3299806B2 JP07565493A JP7565493A JP3299806B2 JP 3299806 B2 JP3299806 B2 JP 3299806B2 JP 07565493 A JP07565493 A JP 07565493A JP 7565493 A JP7565493 A JP 7565493A JP 3299806 B2 JP3299806 B2 JP 3299806B2
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tank
porous glass
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microorganisms
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    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高濃度毒性排水を、安
全かつ高度に微生物処理できる排水処理方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種の産業施設や半導体工場,液
晶工場等から排出される高濃度毒性排水は、業者に引き
取ってもらって処分してもらう場合と、自社で排水処理
する場合とがある。
【0003】自社処理の場合、一般に工場内で、長時間
かけて、排水に化学処理や生物処理や物理処理を施し、
排水を法的規制値以下の水質まで処理して放流してい
た。
【0004】ところで、一例を挙げると、最近は、新た
な半導体工場や液晶工場の建設計画予定地を、土地価格
の安価な広大な場所や地域にする傾向がある。そして、
そのような地域は、一般に都市部から遠く離れた自然環
境の良い地域が多い。
【0005】特に、自然環境が良い地域では、工場排水
を放流する河川は、清流とも言える非常に水質の良い河
川である場合もある。この水質の良い河川は、その河川
水に溶解している塩類も極微量である場合が多い。上記
水質の良い河川は、汚水生物学体系上では、貧腐水性も
しくはベータ中腐水性の水域であることを意味する。ベ
ータ中腐水性の水域とは、アユやホタルが生息するやや
汚濁した水域である。そして、そのような水域の河川に
生息する微生物としては、貧栄養菌がある。この貧栄養
菌は、河川の石の“むるっと"した苔状の場所によく生
息している。
【0006】このような自然環境が良い地域において、
地域環境を重視しつつ、前記工場の排水処理を計画する
場合、単に法的規制値や地元官庁の条例値を遵守するだ
けでは、その地域の環境に悪影響を与えてしまう可能性
がある。したがって、放流排水の水質に対する規制値以
上に、放流排水の水質を向上させて、放流排水が環境に
与える負荷を低減する必要がある。
【0007】さらに、新たな排水処理計画に対して、地
元住民が容易には承認しないケースが多くなりつつあ
る。このような地球環境時代に至った現在、地域の生態
系まで考慮して、地域の環境を変化させず、地域環境に
影響を与えない安全で高度な排水処理方法が求められて
いるのが現状である。
【0008】ところで、既存の半導体工場や液晶工場か
ら排出される高濃度毒性排水、例えば現像液含有排水
は、生物毒性を示すテトラメチルアンモニウムハイドロ
オキサイド(以下、TMAHと略す。)を2000〜10
000ppm含有している。そして、上記工場内で排水処
理する場合、その排水の水質に応じて、中和,反応,凝
集等の化学処理法や、生物膜,接触酸化,活性汚泥,特殊
微生物処理などの生物処理法や、沈澱,濾過,吸着,浮上
などの物理処理法等(以下、これらの処理方法を総称し
て前工程処理法と略す。)の従来技術を幾つか組み合わ
せて、高濃度毒性排水を排水処理して放流するようにし
ている(特開平1−95000及び特開昭64−433
06)。
【0009】上記従来例は、単にTMAHの無毒化が目
的であり、活性汚泥等の富栄養性の微生物を使用して排
水処理するものの、処理水中の塩濃度や微量有機物など
に対する配慮はない。したがって、上記従来例では、上
記前工程処理法によって処理された前処理水は、地域環
境水、すなわち放流地域の河川の水質に対して順化して
いなから、放流地域の水質を変化させて放流地域の生態
系に影響を与える可能性がある。
【0010】即ち、従来の排水処理方法によって処理し
た排水では、前記自然環境のよい地域の河川に生息する
小魚類や、蛍の餌となるカワニナなどの生物生態系に対
して充分に安全であるとは言えない。それら地域の小魚
類やカワニナ等の生物は、環境の変化に対する抵抗力が
一般に小さいから、排水中のTMAHの無毒化処理だけ
では、その処理水中に生息できないのである。
【0011】即ち、上記地域の上記生物が上記処理水中
に生息できない具体的な理由は、まず、上記処理水中
に、溶解塩類が高濃度に存在していること、さらに、そ
の結果として、浸透圧が高くなっていること、および、
地域環境の河川の水に処理水が順化していないことがあ
る。上記地域の小魚類やカワニナは、これらのことに対
して耐えることができないのである。
【0012】一例を挙げると、半導体工場や液晶工場で
多量に使用している生物毒性のある高濃度現像液含有排
水を無希釈で従来の排水処理技術である物理,化学,生物
処理技術だけで処理した場合は、やや清流に生息するカ
ワムツ,オイカワなどの小魚類やカワニナは満足に生息
できないか、死滅するだけであるという実験結果があ
る。上記小魚類やカワニナが生息できない理由は、前記
したように、現像液含有排水中の生息毒性のあるTMA
Hはほとんど無毒化されるものの、処理後において処理
水中に溶解している現像液の分解物が多くなり、その結
果塩類濃度が高くなって処理水中の浸透圧があがるこ
と、及び処理水が地域環境の河川の水に順化していない
ことにある。すなわち、高濃度現像液含有排水の処理水
とはTMAHが処理されているだけあって、上記河川の
水とは水質的に異質の水であり、それら小魚類やカワニ
ナなどの環境汚染に弱い生物に対しては、上記処理水は
生物学的に悪影響を与えるのである。
【0013】より詳しくは、硝酸性の塩類等の分解物
は、一般の微生物処理である富栄養性の微生物による処
理や、高度処理と言われる活性炭吸着処理等では、処理
不可能であり、この硝酸性の塩類等の分解物を含む処理
水中では、例えば比較的やや清流に生息する小さなカワ
ムツ,オイカワ,ムギツク等の小魚類やカワニナ等は、短
時間で死滅してしまう結果になるのである。
【0014】ところで、処理水中の塩類の処理方法とし
ては、逆浸透膜による排水処理が考えられるが、この場
合、逆浸透膜設備のイニシャルコストおよびランニング
コストが格段に高く、経済的な排水処理システムの開発
が求められている状況に対して、明らかに現実的でない
処理方法である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述したことから明ら
かなように、従来の排水処理方法では、次のような問題
点がある。
【0016】即ち、環境の良い地域における公共水域に
放流する処理水が、前述した法的規制値や条例値を満足
している場合でも、小魚類やカワニナ等の生物に対し
て、概していうならば地域環境に対して、必ずしも影響
を与えないとは言えず、地域環境に対して悪影響を与え
る場合があるという問題点がある。
【0017】つまり、放流先において多量の河川水等に
よって希釈される場合を除き、最近の半導体工場や液晶
工場の計画地のように、環境が破壊されていない地域の
河川水が少ない放流先では、前述したような規制値を満
たし法的には問題がないが生物生態系に影響する処理水
を放流すると、環境破壊に弱い生物の生態系を壊す危険
性が充分にあるという問題がある。
【0018】例えば、前記したように高濃度毒性排水
を、従来方法のみで処理し、処理水が法的規制値を満足
しても小魚類やカワニナは確実にその処理水の中では生
息できない。
【0019】具体的には、処理水中の毒性物質からの分
解物や塩類が処理されていないので、小魚類やカワニナ
に対する浸透圧が変わり結果的に生息できない。また、
処理水が地域環境の水に充分順化していないので生息で
きない。ここで、この順化という言葉が持つ意味には、
地域環境に生息する生物に由来する貧栄養性の微生物に
よって処理されているという意味と、目的の水質に馴れ
るという意味とを含んでいる。この処理水中で、上記地
域生物が生息できないという現象は、海水魚をバクテリ
アが充分発生していない水槽に投入すると、貧栄養性の
微生物が繁殖していないことが原因で、投入した海水魚
がよく死滅する現象とよく似ている。この場合、上記水
槽に直ちに海水魚を投入しないで、上記水槽に貧栄養性
の微生物が繁殖した後に海水魚を投入した場合には海水
魚の死滅を回避できる。
【0020】本発明は、以上の従来の排水処理法の問題
点を解決することを目的とするものである。すなわち、
本発明の目的は、自然界の浄化システム及び原理を合理
的に利用して処理し、放流地域に棲息する生物生態系に
とって無害な処理水を確実に得ることができる排水処理
方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は前述した目的を
達成する為に、発明は、原排水に所定の前処理を施し
て作製した前処理水を、処理水の放流先に生息する生物
の排泄物から発生する貧栄養性の微生物を固定化した多
孔質ガラスが充填され、かつ、槽内温度を所定の温度に
保つための熱交換器を備えた地域環境処理水槽に導入し
て処理することを特徴としている。
【0022】また、発明は、上記多孔質ガラスに、処
理水の放流先に生息するカワニナが排泄する排泄物から
発生する微生物を固定化していることを特徴としてい
る。
【0023】また、発明は、放流先の河川に自生して
いる水草を上記地域環境処理水槽に充填していることを
特徴としている。
【0024】また、発明は、上記水草として、葉の成
長速度が早くかつ根の張り具合が早くなるように品種改
良された種の水草を用い、かつ、バイオテクノロジーに
よって大量培養された水草を用いることを特徴としてい
る。
【0025】また、発明は、上記地域環境処理水槽
に、上記前処理水を撹拌すると共に上記前処理水に空気
を供給する空気供給撹拌手段を設け、上記空気供給撹拌
手段の動作能力を強弱に制御することを特徴としてい
る。
【0026】
【作用】発明は、原排水に所定の前処理を施して作製
した前処理水を、処理水の放流先に生息する生物の排泄
物から発生する貧栄養性の微生物を固定化した多孔質ガ
ラスが充填され、かつ、槽内温度を所定の温度に保つた
めの熱交換器を備えた地域環境処理水槽に導入して処理
する。
【0027】この発明において、上記多孔質ガラスに固
定化された地域環境から得られた貧栄養性の微生物は、
上記前処理水中の最終的な有機物処理を実行する。そし
て、上記貧栄養性の微生物(地域環境微生物)は、工場排
水処理水である上記前処理水を、地域の生物に適する水
質を有する地域環境水に順化させる。ここで言う順化と
は、上記前処理水を、時間を掛けて次第に周りの環境で
ある放流先の水の水質に変化させることを意味する。
【0028】上記地域環境微生物とは、従来の一般の排
水処理における生物処理での富栄養性の活性汚泥とは異
なり、あくまでも放流先に棲息する生物としての小魚類
やカワニナの排泄物から発生して、自然の浄化作用を行
う微生物や、地域の河川に生息する貧栄養性微生物の集
合体である。
【0029】上記貧栄養性微生物集合体は、従来におけ
る活性汚泥が絶対好気性であるのに対し、自然の条件に
近い弱い好気性の微生物と弱い嫌気性の微生物との集合
体である。
【0030】この貧栄養性微生物の集合体は、通常の条
件ではなかなか繁殖しないが、適温と適当な固定化材料
すなわち多孔質ガラスがあれば繁殖する。繁殖条件に制
限があるため繁殖には長期の時間を要する。具体的に
は、条件によっても異なるが、普通は1ケ月以上の時間
を必要とする。そして、繁殖した貧栄養性微生物(地域
環境微生物)は、上記前処理水を地域の河川の水質に合
わせるべく、上記前処理水の残存有機物を微生物分解す
ると共に、小魚類やカワニナが生息できる水質への順化
を行う。この順化の作用の中には、微生物の中でも比較
的小さい細菌が、大型の原生動物の生息繁殖に役立つた
めの処理なども含まれている。すなわち、この順化は、
固定化材料を多孔質ガラスに選定し、適度な水温を維持
し、貧栄養性微生物によって、自然の自浄作用を巧みに
効果的に短時間で行うことによってなされる。
【0031】その他、上記順化に含まれる内容として
は、前処理水中の硝酸性の塩類が過剰に多く含まれてい
る場合には、この硝酸性の塩類に、多孔質ガラス内部の
弱い嫌気性部分に繁殖する嫌気性の微生物が作用して、
上記硝酸塩を除去(脱窒)することも含んでいる。
【0032】なお、微生物の固定化担体としては、多孔
質ガラスの他、各種の多孔質セラミックスや、活性炭
や、一般の炭や、塩化ビニリデンや、炭酸カルシウム等
があるが、これらの中で、多孔質ガラスは、単位容積当
たりの表面積がもっとも広く、表面が弱い好気性であ
り、かつ、多孔の孔の深さが最も長い。つまり、上記多
孔質ガラスは、気孔率が高く、液体をよく吸収し、また
水溶液中に浮遊する微生物を積極的に呼び込む作用があ
り、そしてまた重量当たりの表面積が広くて、深部に至
るまで、均質な多孔体である。したがって、本発明で
は、貧栄養性の微生物の固定化担体として、最終的に多
孔質ガラスを選定した。多孔質ガラスは、その気孔率と
気孔径からして孔の奥部が深い構造であるから、その深
部において弱い嫌気性を維持でき、嫌気性微生物による
硝酸性窒素の脱窒素作用が期待できる。また、上記多孔
質ガラスに、処理水の放流先に生息するカワニナが排泄
する排泄物から発生する微生物を固定化するから、たと
えば、現像液含有排水等の原排水に所定の前処理を施し
て作製した前処理水を、蛍の餌となるカワニナが生息で
きる水質まで排水処理することができる。
【0033】また、放流先の河川に自生している水草を
上記地域環境処理水槽に充填したから、上記水草の葉お
よび根は主として硝酸性の塩類および処理水中に残存す
る微量化学物質の吸収処理を行う。上記水草の葉や根
は、自然の自浄作用の機能をもっている。一般の植物で
ある水草が、水耕栽培時と同様の作用で、硝酸性の塩類
や溶解している物質を吸収する。
【0034】上記水草が、年間を通じて効果的に、かつ
より短時間で溶解物質を吸収できるように、熱交換器で
水温を一定にする。また、溶存酸素を維持し、水草収容
籠を設備して根が充分自由自在に成長できるようにする
ことが望ましい。
【0035】最近、ホテイアオイなどの浮上型の水草を
利用した排水処理法が開発されているが、それら浮上型
の水草や一般の植物は冬場に枯れることが多いから、上
記水草を水中型にすれば、年間を通じて枯れることが少
なく、安定に溶解物質を吸着する。
【0036】また、上記地域環境処理水槽には熱交換器
が設備されているので、年間を通じて水温を20〜27
度Cに一定に保つことができる。そうすると、水中型の
水草の成長及び微生物の活動が自然界よりも活発にな
り、その結果として、前処理水に対する貧栄養性の微生
物の有機物処理と順化が効率的になり、かつ、上記水草
が、前処理水中の硝酸性の塩類及び前処理水中に残存す
る微量化学物質を効率的に吸収処理するようになる。
【0037】なお、上記熱交換器の熱源として、半導体
工場や液晶工場から年間を通じて得られる水温21〜2
6度Cの多量の工程排水の廃熱を利用することができ
る。
【0038】また、発明によれば、上記水草として、
葉の成長速度が早くかつ根の張り具合が早くなるように
品種改良された種の水草を用い、かつ、バイオテクノロ
ジーによって大量培養された水草を用いることができ
る。
【0039】また、発明は、上記地域環境処理水槽
に、上記前処理水を撹拌すると共に上記前処理水に空気
を供給する空気供給撹拌手段を設け、上記空気供給撹拌
手段の動作能力を強弱に制御するから、上記地域環境処
理水槽内に、嫌気条件と好気条件とを強制的に交互に出
現させることができる。したがって、上記多孔質ガラス
に固定化した貧栄養性微生物の内、多孔質ガラスの深部
に生息する嫌気性の脱窒素菌と、多孔質ガラスの表面部
に生息する好気性の硝化菌との両方を効果的に働かせ
て、前処理水を高速かつ高効率に硝化脱窒素処理するこ
とができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を、図示の実施例に基づいて詳
細に説明する。
【0041】図1に、本発明の排水処理方法の実施例で
用いる排水処理装置の模式図である。この排水処理装置
は、水草水槽14と、多孔質ガラス水槽17と、地域環
境処理水槽1とを備えている。
【0042】上記水草水槽14および多孔質ガラス水槽
17には、高濃度毒性排水ではなく一般の工程排水を排
水処理した処理水が導入される。つまり、上記水草水槽
14および多孔質ガラス水槽17には、半導体工場や液
晶工場における一般の工程排水を、中和,二段の凝集沈
殿,接触酸化,急速濾過等の方法で処理した処理水が導入
される。なお、上記水草水槽14および多孔質ガラス水
槽17に導入する一般工程排水処理水は、水温が比較的
一定であるものが望ましい。半導体工場ではクリンルー
ム内が平均して25度C程度に、年間を通じて維持され
ているので、クリンルームからの工程排水処理水を、水
草水槽14および多孔質ガラス水槽17に導入すること
が望ましい。
【0043】水草水槽14は、網目籠2Aを備え、この
網目籠2A内に、水草4が充填された複数の水草収容籠
12が配置されている。この水草水槽14内には、地域
環境に生息する小魚類15およびカワニナ16を入れて
いる。また、水槽14には、熱交換器18および散気管
5が配置されている。この熱交換器18で、水槽14内
の水温を所定の温度に保つことができるようになってい
る。また、上記散気管5は、ブロワー24から供給され
る空気を吐出して、水槽内の溶存酸素量を調整すると共
に、水槽内を撹拌できるようになっている。また、上記
水草水槽14には、オーバーフロー管22が設けられ、
このオーバーフロー管22から、多孔質ガラス水槽17
に、水草水槽14内の処理水が供給されるようになって
いる。
【0044】水草水槽14に充填する水草4としては、
地域の河川より採取可能な、たとえば、水中型の水草で
あるクロモ、センニンモ、エビモ、セキショウモ、ネジ
レモなどがあげられる。また、水草としては例えば、浮
上型のホテイアオイ、食料にもなるクレソン、セリ、水
生野菜として有名なパックブンなどもあるが、目的が排
水の処理であるため、年間を通じて成長する水中型の、
常に水中に没している上記クロモ、エビモなどの水草が
最適である。
【0045】また、上記水草4は、組織培養や細胞融合
などのバイオテクノロジーによって良い品種を大量に確
保した。
【0046】一方、多孔質ガラス水槽17は、収容籠2
Bを備え、この収容籠2Bに、複数の多孔質ガラス3を
収容している。この多孔質ガラス3は、円筒形状であ
り、正面から見た形状を図3(A)に示し、側面から見た
形状を図3(B)に示す。この多孔質ガラス3には、地域
環境に由来する貧栄養性の微生物を固定化できる。多孔
質ガラス水槽17には、水草水槽14と同様に、地域環
境に生息する小魚類15及びカワニナ16を入れてお
り、熱交換器18及び散気管5が配置されている。又、
とりわけ多孔質ガラス3に貧栄養性の微生物を急いで、
かつ、多量に固定化する場合は、同種の生物を展示して
いる水族館の重力式濾過槽の中に多孔質ガラス3を投入
して固定化してもよい。(その方が前記半導体工場や液
晶工場の立ち上げ時にはより具体的である。)上記多孔
質ガラス水槽17の底部の内側を傾斜面17aにして、
多孔質ガラス3から剥離した微生物を深部の排水口17
bから導き出し易いようにしている。この排水口17b
には、上記水草水槽14および地域環境処理水槽1に至
る配管が設けられ、この配管に、ポンプ11が設けられ
ている。このポンプ11の駆動によって、多孔質ガラス
水槽17から水草水槽14に処理水を循環させることが
できる。このポンプ11は、水草水槽14と多孔質ガラ
ス水槽17とを合計した水容量を1時間で循環できるだ
けの能力があればよい。また、上記配管に設けたバルブ
9によって、上記多孔質ガラス水槽17から地域環境処
理水槽1へ導入される処理水量を調整できるようになっ
ている。
【0047】上記地域環境処理水槽1には、槽内上部に
配置した網目籠2Aに、水草4が充填された複数の水草
収容籠12が適当な距離を隔てて収納されている。ま
た、地域環境処理水槽1の槽内下部に配置した収容籠2
Bに、地域環境に由来する貧栄養性の微生物を固定化し
た複数の多孔質ガラス3が収納されている。
【0048】また、上記地域環境処理水槽1には、槽内
に空気を供給するための多数の空気吹き出し孔を有する
散気管5が配置されている。この散気管5には、槽外の
ブロワー6に接続され、ブロワー6から空気が供給され
るようになっている。この散気管5が吐出する空気によ
って、槽内の適度な溶存酸素量を維持すると共に、槽内
の処理水を撹拌するようにしている。ブロワー6は、吐
出空気量を制御できる様に、回転数制御可能な機種を選
定する。その理由としては、後で詳しく述べるが、地域
環境処理水槽1内の溶存酸素濃度を時間的に制御して全
窒素に対する脱窒を、より有効的に作用させるためであ
る。ただし、ブロワー24には、そのような回転数制御
機能を設ける必要はない。
【0049】また、処理水槽1には、熱交換器18を設
け、処理水槽1内の水温を年間を通じて一定に保つよう
にしている。熱交換器18には、水温を年間を通じて一
定に保つため、工場からの廃温水を通す。
【0050】この実施例の排水処理方法は、上記構成の
排水処理装置を用い、まず、水草水槽14に水中型の水
草4を水草収容籠12に収納して、河川に近い水質と、
平均20度Cの水温と、ばっ気による水流と、日光程度
の光とを、それぞれの水草4に適合して適度に維持す
る。すると、図2に示すように、葉8と根13及び水草
4全体が成長してくる。水草水槽14においては、上記
カワニナ16は、餌としての野菜や、水草や、魚類から
の排泄物を積極的に摂取する。そして、このカワニナ1
6からの排泄物を、微生物が分解して、その結果発生す
る溶解した栄養塩類を、水草4が積極的に吸収し成長す
る。また、上記水草4は、工程排水処理水に含まれる窒
素も吸収して成長する。
【0051】特に、水中型の水草4であるクロモなどは
成長が充分であると、図2に示すように、葉8の茎7の
一部すなわち水草4の上部からも白い根13が出て来
て、排水処理に役立つ状態になる。
【0052】水草水槽14からのオーバーフロー水はオ
ーバーフロー管22を経て、多孔質ガラス水槽17に流
入する。多孔質ガラス水槽17における多孔質ガラス3
は、孔径の分布が極めてシャープであり、しかも、液中
に浮遊する微生物を積極的に取り込む作用があるから、
水草水槽14から導入された処理水に含まれる微生物を
効果的に捕捉することができる。
【0053】また、上記多孔質ガラス3は、多孔質ガラ
ス水槽17内で飼育するカワニナ16の排泄物に由来す
る微生物を捕捉する。上記多孔質ガラス3は、微生物を
捕捉する前には、ほぼ白色であるのに対し、微生物を捕
捉した後は、はっきりとした茶褐色になる。なお、多孔
質ガラス水槽17に、多孔質ガラス3以外の充填材を投
入しても、多孔質ガラス3ほどには茶褐色にならない。
このことは、多孔質ガラス3は、他の材質からなる充填
材に比べて、貧栄養性の微生物をより積極的に固定化す
ることができることを証明している。
【0054】実験結果からすれば、カワニナ16は半導
体工場における一般の工程排水の処理水の水質で、充分
に生息できる。さらに、上記カワニナ16は、上記処理
水の水温が平均20度Cであれば、活発に餌を摂取して
多くの排泄物をだす傾向がある。なお、上記一般の工程
排水処理水の水質は、PH6〜8であり、CODは5pp
m以下であり、SS(サスペンディッドソリッド)は2ppm
以下、比重1.0008以下である。
【0055】また、カワニナ16は、多孔質ガラス3の
表面によく静止したり、またリング状の多孔質ガラス3
のリング中に入り込む習性がある。そのことは、より一
層、カワニナ16の排泄物に由来する貧栄養性の微生物
を多孔質ガラス3に固定化することに役立つ。
【0056】また、多孔質ガラス3は、地域の自然環境
に生息している弱い好気性の微生物と弱い嫌気性の微生
物の両方が生息し繁殖できるような構造になっているこ
とが必要である。すなわち、特に、多孔質ガラス3の小
孔の深部を、嫌気状態が確保される様な深さにして、こ
の深部で、弱い嫌気性の微生物が充分に生息し繁殖でき
るようにすることが必要である。この実施例では、図3
に示すような、厚み3mm、直径25mm、長さ25mmの円
筒形状で、気孔率70%の焼結多孔質ガラスを多孔質ガ
ラス3とした。
【0057】なお、多孔質ガラスには、いくつかの種類
があるが、とくに貧栄養性微生物の固定化を目的とする
場合は、気孔率や気孔径が重要で、孔の大きさは、nm
レベルのものが良く、ガラス体の表面だけでなく、あた
かもスポンジのように、深部に至るまで、均質な多孔体
であることが必要である。例えば多孔質ガラス1グラム
当たり1m2以上の表面積を有する材料を選定するとよ
い。
【0058】また、多孔質ガラス3の形状としては、円
筒形状の他に、粒状、ハニカム状、丸棒、角棒など幾つ
かの形状が考えられる。しかし、対象排水との接触効率
から判断して、上記多孔質ガラス3は円筒形状が最適で
ある。
【0059】このように、上記多孔質ガラス3に、弱い
好気性の微生物と弱い嫌気性の微生物の両方が生息し繁
殖できるから、この両微生物により、多孔質ガラス水槽
17内の処理水に対して一層効果的に自然の浄化作用
(自浄作用)が働く結果となる。また、水草水槽14と多
孔質ガラス水槽17を、別個に設けたから、根の張った
水草4と多孔質ガラス3とを必要の応じて別個に取り出
すことができる。
【0060】また、仮に地域環境処理水槽1において多
孔質ガラス3に固定化した貧栄養性の微生物が、何らか
の理由により死滅した場合、再度、貧栄養性の微生物を
多孔質ガラス3に固定化する工程を、多孔質ガラス水槽
17にて実施する必要がある。このため、多孔質ガラス
3を入れ替え易くするために、多孔質ガラス水槽17と
水草水槽14が別べつの水槽として計画されている。
【0061】水草水槽14内において充分に葉と根のは
った水中型の水草4および多孔質ガラス水槽17におい
て茶褐色となった多孔質ガラス3は、地域環境処理水槽
1に移動させる体勢が整っており、上記水草4および多
孔質ガラス3を地域環境処理水槽1に移動させる。
【0062】地域環境処理水槽1には、上記多孔質ガラ
ス水槽17からの処理水が、バルブ9を介して導入され
る一方、半導体工場や液晶工場における高濃度毒性物質
を含む原排水を前工程10で処理した高濃度毒性処理水
が導入される。
【0063】図4において、41、42、43は、前工
程10において、半導体工場や液晶工場における高濃度
毒性物質を含む原排水処理の一例を示している。この例
では、原排水は、順次、化学処理工程41、富栄養性の
微生物による生物処理工程42、物理処理工程43を経
て、法的規制値を満たす前処理水を得る。上記化学処理
工程41には、苛性ソーダや消石灰などによる中和,反
応,凝集等がある。また、富栄養性の生物処理工程42
には、活性汚泥法,接触酸化法,回転円盤法,生物膜法,特
殊微生物処理等がある。そして、物理処理工程43とし
ては、沈澱,濾過,吸着,浮上等の処理法がある。
【0064】いずれにしろ、高濃度毒性排水を、上記前
工程10が含んでいる従来の処理法によって処理しただ
けでは、法的規制値を満たすことはできるものの、小魚
類15やカワニナ16に対しては、依然として有害であ
る。すなわち、この前処理水の中では、小魚類15やカ
ワニナ16は生息できず、実験によっても両方とも死滅
してしまった。
【0065】この実施例では、かかる前処理水を、葉8
が成長し、かつ根13が張った状態の水中型の水草4
と、地域環境から得られた貧栄養性の微生物が固定化さ
れた多孔質ガラス3とが充填してある地域環境処理水槽
1に導入する。このようにして、地域環境処理水槽1に
導入された前処理水は、微量の化学物質や硝酸性の塩類
を含有しているが、地域環境処理水槽1内において、成
長した水中型の水草4の根13と葉8の作用により、上
記微量の化学物質と塩類が総合的に吸収処理される。さ
らに、地域環境の河川より得られる生物である小魚類1
5やカワニナ16の排泄物から得られ、多孔質ガラス3
に固定化された貧栄養性の微生物により、上記前処理水
は、その残存有機物が処理され、かつ、地域環境の河川
に対して順化される。
【0066】地域環境処理水槽1内では、上記前処理水
は、上述したように、水草4の葉8と根13による吸収
処理作用を受け、さらに、多孔質ガラス3に固定化され
た弱い好気性の微生物と弱い嫌気性の微生物によって、
自然界における河川が持つ自浄作用に近い処理を受け
て、徐々に生物が生息できる処理水に変化していく。地
域環境処理水槽1における微生物処理は、微生物を利用
する点については、従来の排水処理技術における活性汚
泥法や、接触酸化法や、生物膜法などにおける処理と共
通性を有する。しかしながら、かかる従来の方法は、地
域環境に生息する生物の排泄物に由来する微生物とは直
接的にも、有機的にも関連していない。つまり、上記従
来の排水処理方法は、単に排水中のBOD成分、COD
成分などの有機物を生物学的に処理するために、目的と
する富栄養性の微生物を繁殖させているだけである。す
なわち、従来の排水処理方法は、自然界の原理を部分的
に利用するだけであるのに対して、本発明の実施例は、
自然の地域河川から得られる水草4と、地域河川から得
られる生物(小魚類15,カワニナ16)の排泄物に由来
する貧栄養性の微生物を固定した多孔質ガラス3とを介
して、排水処理するものである。したがって、この実施
例は、従来の方法とは基本的に異なり、より自然に近い
状態で排水処理するものである。つまり、この実施例
は、地域の環境により近い自然の自浄作用をより効率的
に利用し、もって地域環境の河川に生息する生物にとっ
て適した処理水を得ることができる。
【0067】そして、この実施例は、水中型の水草4と
多孔質ガラス3とを備える地域環境処理水槽1内に、撹
拌及び空気供給手段としての散気管5と、熱交換器18
とを設けて、処理水中の溶存酸素を確保し、かつ、処理
水中の溶存酸素量を制御し、かつ、処理水の水温を年間
を通じて適温に維持している。このことにより、水草4
の成長と、小魚類15やカワニナ16の活動と繁殖と、
貧栄養性の微生物の活動と繁殖とに良好な環境を積極的
に形成している。したがって、この実施例は、自然界よ
りも格段に効率的に、所要時間を短縮して、地域環境の
生物に適合する処理水への変換を実行できる経済的な排
水処理方法である。
【0068】なお、前工程10から地域環境処理水槽1
への導入水量および、多孔質ガラス水槽17から地域環
境処理水槽1への処理水の導入水量および、地域環境処
理水槽1での排水処理時間は、前工程10から導入され
る前処理水が含む塩濃度や、塩基質や、残存有機物の濃
度などによって異なり、また、地域環境の河川の水質
や、それら河川に生息している生物の条件及び内容によ
っても異なる。したがって、上記導入水量や排水処理時
間は、あらかじめ処理実験などを実施した結果に基づい
て決定すればよい。
【0069】次に、上記実施例に基づく実験例を説明す
る。まず、容量40リットルの水草水槽14に一般工程
排水処理水を導入すると共に、約20〜30センチの水
中型の水草4であるクロモを網目籠2Aに収容して約3
0リットル充填した。そして、カワニナ16と小魚類1
5を水槽14に投入して、上記水草4を水温20〜23
度Cで約3ケ月以上栽培し、充分、葉8と根13を成長
させた。すると、図2に示すように、葉8の茎7の部分
からも新しい白い根13が伸びる状態になり、かつ葉8
の長さも投入当時と比較して、約3倍以上になった。
【0070】同様に、容量40リットルの多孔質ガラス
水槽17に、図3に示すような、直径25ミリ長さ25
ミリの多数の円筒形状の多孔質ガラス3を、約30リッ
トルだけ充填した。そして、上記多孔質ガラス水槽17
に、上記一般工程排水処理水と、カワニナ16と、小魚
類15とを投入して水温20〜23度Cに維持する。そ
して、多孔質ガラス3に、カワニナ16や小魚類15の
排泄物に由来する貧栄養性の微生物を充分に固定化さ
せ、上記多孔質ガラス3を白色から褐色に変化させた。
【0071】そしてさらに、容量60リットルの地域環
境処理水槽1に、上記水草水槽14内で葉8と根13と
が充分に成長した30リットルの水草4を、約半量の1
5リットルだけ充填し、かつ、上記地域環境処理水槽1
に、上記微生物が充分に固定化された約15リットルの
多孔質ガラス3を充填した。そして、上記地域環境処理
水槽1を、散気管5によって約10日以上曝気した。そ
して、上記地域環境処理水槽1に、前工程10からの前
処理水と、多孔質ガラス水槽17からの処理水とを少量
づつ、時間をかけて導入した。
【0072】前工程10からの前処理水は、塩濃度が濃
く、比重も河川水と比較して高くて、1.007以上で
ある。このため、上記地域環境処理水槽1内の処理水の
比重を測定しながら、この処理水槽1内で生物が生息で
きるように、前工程10から導入する処理水の水量と、
多孔質ガラス水槽17から導入する処理水の水量との割
合を設定した。具体的には、上記処理水槽1内の処理水
の比重が、1.001以下となるように、上記処理水槽
1へ導入する処理水の混入割合を決定した。そして、地
域環境処理水槽1に投入する生物も、最初は環境汚染に
強い生物であるザリガニから始め、次に、処理状態が比
較的進んだ後に、水質と比重を確認しながら、コイやフ
ナも追加して、その処理水の安全性を確認していった。
当然のことながら、この実験では、比較対象として水中
型の水草や多孔質ガラスを充填していない同容量の比較
対象水槽も準備して同様の実験を行った。
【0073】そして、約1ケ月経過後、地域環境処理水
槽1と、充填物のない同条件の比較用水槽とに、それぞ
れ小魚類とカワニナを投入したところ、地域環境処理水
槽1に投入した小魚類とカワニナは生存していたが、比
較対象水槽の小魚類とカワニナは全滅した。
【0074】それぞれの水槽での水質を、3日間にわた
って測定したデータをまとめると、下記の通りであっ
た。
【0075】 《地域環境処理水槽1内の処理水の水質》 PH 7.4〜8.2 COD 2.5ppm以下 SS 1.5ppm以下 TMAH 0.2ppm以下 全窒素 25ppm以下 硝酸性窒素 23ppm以下 《比較対象水槽内の処理水の水質》 PH 7.4〜8.2 COD 3.1ppm以下 SS 2.2ppm以下 TMAH 0.2ppm以下 全窒素 36ppm以下 硝酸性窒素 34ppm以下 上記地域環境処理水槽1の水質と上記比較対象水槽の水
質とを比較して、特に顕著な差は、全窒素の濃度と硝酸
性窒素の濃度である。すなわち、比較対象水槽内の処理
水に比べて、地域環境処理水槽1内の処理水は、全窒素
濃度および硝酸性窒素濃度が低い。これは、地域環境処
理水槽1には、脱窒機能をもつ多孔質ガラス3が充填し
てあるから、当然の事である。
【0076】そして、地域環境処理水槽1において、脱
窒をより効果的に行うためには、溶存酸素濃度が重要で
ある。すなわち、厳密に溶存酸素濃度を管理して多孔質
ガラス3の内部に嫌気部分の割合を多くすること必要に
なる。上記実験例では、溶存酸素を1〜2ppmの範囲に
制御することにより、前記した水質を得たのである。つ
まり、図1に示すように、溶存酸素計23の検出部で測
定した溶存酸素量を変換部(図示せず)を介して、電気的
にブロワー6の回転数を制御して、上記溶存酸素を1〜
2ppmの範囲に制御した。
【0077】また、一方、ブロワー6をオンオフ制御し
て、上記地域環境処理水槽1内に、強制的に嫌気と好気
の条件を作り出した場合には、全窒素における脱窒をよ
り効果的に実行できることはいうまでもない。
【0078】上記比較において、全窒素以外の測定項目
では、大きな差はないが、この比較範囲の、一般的に低
い水質では、これらの分析項目においての差が極端に出
てこないのが現実である。しかし、上記地域環境処理水
槽1内では、小魚類15やカワニナ16が生息するのに
対して、上記比較対象槽内では、小魚類やカワニナが生
息しない。このことは、大きな差である。すなわち、地
域環境処理水槽1は、比較対象槽に比べて、処理水質の
水質の測定項目には大きな差はないが、比較対象槽と異
なり、処理水の水質を地域河川の水質に微生物学的に馴
れさせる(順化)ことができる点で多大な効果がある。
【0079】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、発明
の排水処理方法は、原排水に所定の前処理を施して作製
した前処理水を、処理水の放流先に生息する生物の排泄
物から発生する貧栄養性の微生物を固定化した多孔質ガ
ラスが充填され、かつ、槽内温度を所定の温度に保つた
めの熱交換器を備えた地域環境処理水槽に導入して処理
する。
【0080】この発明において、地域環境から得られ、
上記多孔質ガラスに固定化された貧栄養性の微生物は、
上記前処理水中の最終的な有機物処理を実行する。つま
り、上記貧栄養性の微生物(地域環境微生物)は、工場排
水処理水である上記前処理水を、地域の生物の存在に適
する水質を有する地域環境水に順化させることができ
る。
【0081】また、発明は、上記多孔質ガラスに、処
理水の放流先に生息するカワニナが排泄する排泄物から
発生する微生物を固定化するから、例えば、現像液含有
排水等の原排水に所定の前処理を施して作製した前処理
水を、蛍の餌となるカワニナが生息できる水質まで排水
処理することができる。
【0082】また、発明は、放流先の河川に自生して
いる水草を上記地域環境処理水槽に充填したから、上記
水草の葉および根は主として硝酸性の塩類および処理水
中に残存する微量化学物質の吸収処理を行う。上記地域
環境処理水槽には熱交換器が設備されているので、年間
を通じて水温を20〜27度Cに一定に保つことができ
る。そうすると、水中型の水草の成長及び微生物の活動
が自然界よりも活発になり、その結果として、前処理水
に対する貧栄養性の微生物の有機物処理と順化が効率的
になり、かつ、上記水草が、前処理水中の硝酸性の塩類
及び前処理水中に残存する微量化学物質を効率的に吸収
処理することができる。また、上記水草として、葉の成
長速度が早くかつ根の張り具合が早い目的に品種改良さ
れた種の水草を用い、かつ、バイオテクノロジーによっ
て大量培養された水草を用いるから、上記水草による排
水処理を効率的かつ経済的にすることができる。
【0083】また、発明は、上記地域環境処理水槽
に、上記前処理水を撹拌すると共に上記前処理水に空気
を供給する空気供給撹拌手段を設け、上記空気供給撹拌
手段の動作能力を強弱に制御するから、上記地域環境処
理水槽内に、嫌気条件と好気条件とを強制的に交互に出
現させることができる。したがって、上記多孔質ガラス
に固定化した貧栄養性微生物の内、多孔質ガラスの深部
に生息する嫌気性の脱窒素菌と、多孔質ガラスの表面部
に生息する好気性の硝化菌との両方を効果的に働かせ
て、前処理水を高速かつ高効率に硝化脱窒素処理するこ
とができる。
【0084】このように、発明の排水処理方法は、従
来における単に活性汚泥等の富栄養性の微生物を利用し
た処理方法とは、基本的に異なり、より自然に近い状態
での貧栄養性の微生物を巧みに活用して処理する。した
がって、本発明によれば、より放流河川の地域環境にあ
った、かつ安全性を考慮した自然のサイクルによる処理
水を得ることが可能である。本発明は、地域環境に与え
る影響が少なく、かつ地域環境との調和のとれた生態系
を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の排水処理方法の実施例を実行する地
域環境処理水槽を含む排水処理装置を模式的に示す図で
ある。
【図2】 上記実施例で用いた網目籠に収容された水草
の詳細状態図である。
【図3】 上記実施例で用いた多孔質ガラスの正面図と
側面図を含む図である。
【図4】 上記実施例の前工程を説明する系統図であ
る。
【符号の説明】
1…地域環境処理水槽、2A…網目籠、2B…収容籠、
3…多孔質ガラス、4…水草、5…散気管、6…ブロワ
ー、7…茎、8…葉、9…バルブ、10…前工程、11
…循環ポンプ、12…水草収容籠、13…根、14…水
草水槽、15…小魚類、16…カワニナ、17…多孔質
ガラス水槽、18…熱交換器、22…オーバーフロー
管、23…溶存酸素計、24…ブロワー、41…化学処
理工程、42…生物処理工程、43…物理処理工程。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−247896(JP,A) 特開 昭56−144796(JP,A) 特開 昭63−44998(JP,A) 特開 昭60−256380(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/32 ZAB C02F 3/06 ZAB

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原排水に所定の前処理を施して作製した
    前処理水を、処理水の放流先に生息するカワニナに水草
    を食べさせることによって排出する排泄物に起因する
    栄養性の微生物を固定化した多孔質ガラスが充填され、
    かつ、槽内温度を所定の温度に保つための熱交換器と、
    上記処理水を攪拌すると共に上記処理水に空気を供給す
    る空気供給攪拌手段と、を備えた地域環境処理水槽に導
    入して処理し、 上記空気供給攪拌手段の動作能力を強弱に制御すること
    により溶存酸素量を制御する ことを特徴とする排水処理
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の排水処理方法におい
    て、放流先の河川に自生している水草を上記地域環境処
    理水槽に充填していることを特徴とする排水処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の排水処理方法におい
    て、 上記水草を、葉の成長速度が早くかつ根の張り具合が早
    くなるように品種改良された種の水草を用い、かつ、バ
    イオテクノロジーによって大量培養された水草を用いる
    ことを特徴とする排水処理方法。
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