JPH11225023A - ウィルキンソン型分配器を使用したミキサ回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波信号と局部発振信号間のアイソレーシ
ョンを改善できるウィルキンソン型分配器を使用したミ
キサ回路を提供すること。 【解決手段】 第１のＢＰＦ１１通過後の濾過後高周波
信号ＲＦと第２のＢＰＦ１３通過後の濾過後局部発振信
号ＬＯをウィルキンソン型分配器１２とインピーダンス
整合回路１４を通過させて周波数変換器１５に入力さ
せ、かつウィルキンソン型分配器１２の入力端Ａから濾
過後高周波信号ＲＦ側と、入力端Ｂから濾過後局部発振
信号ＬＯ側と、出力端Ｄから周波数数変換器１５側のそ
れぞれを見た各インピーダンスと、入力端Ａ，入力端
Ｂ，出力端Ｄ側からウィルキンソン型分配器１２を見た
各インピーダンスとが整合し、かつ濾過後高周波信号Ｒ
Ｆと濾過後局部発振信号ＬＯ間のアイソレーションが最
大になるようにウィルキンソン型分配器１２の構成要素
の定数を選定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、周波数変換器の
入力部にウィルキンソン型分配器を使用することにより
高周波信号と局部発振信号のアイソレーションを改善
し、かつバンドパスフィルタの回路設計の容易化を期す
ようにしたウィルキンソン型分配器を使用したミキサ回
路に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、通信装置の受信側における高周波
回路部に使用される周波数変換回路においては、発振と
混合を同時に行う自励式と、発振と混合とを別々に行う
他励式とがある。このうち、前者の自励式は使用部品点
数が少ない利点を有する反面、最適条件で動作させるの
が難しく、ＦＭ受信方式を採用した通信装置における受
信側では、他励式を用いるのが通常である。このような
他励式を用いる受信側における周波数変換回路では、そ
の入力側における高周波信号と、局部発振信号とのアイ
ソレーションを行うために、高周波数信号と、局部発振
信号と、周波数変換器の入力側の各回路にそれぞれイン
ピーダンス整合回路を設けるようにしている。

【０００３】図３は、このような従来の通信装置の受信
側に使用される周波数変換回路の構成を示すブロック図
である。この図３において、高周波信号ＲＦは第１のバ
ンドパスフィルタ（以下、バンドパスフィルタをＢＰＦ
と略記する）１に入力される。第１のＢＰＦ１は、高周
波信号ＲＦに含まれる雑音などの不要な周波数成分を除
去して、所定の周波数帯域成分を抽出してインピーダン
ス整合回路２に濾過後高周波信号として出力するように
なっている。また、高周波信号ＲＦよりも周波数の低い
もしくは高い、一定周波数の局部発振信号ＬＯは第２の
ＢＰＦ３に入力され、そこで所定の周波数帯域成分が抽
出されて、濾過後局部発振信号としてインピーダンス整
合回路４に入力されるようになっている。

【０００４】両インピーダンス整合回路２と４の出力信
号は共通にして周波数変換器６の入力側のインピーダン
ス整合回路５に入力されるようになっている。インピー
ダンス整合回路５の出力信号、すなわち、濾過後高周波
信号と濾過後局部発振信号は周波数変換器６に入力さ
れ、この周波数変換器６から中間周波数信号ＩＦが出力
されるようになっている。

【０００５】このような構成をなす従来の周波数変変換
回路においては、高周波信号ＲＦ，局部発振信号ＬＯの
それぞれのインピーダンス整合は、インピーダンス整合
回路２，４により整合し、さらに高周波信号ＲＦと局部
発振信号ＬＯの両信号に対するインピーダンスの整合は
インピーダンス整合回路５により取るようにしている。
このようにして、インピーダンス整合された高周波信号
ＲＦと局部発振信号ＬＯは周波数変換器６で混合され
て、高周波信号ＲＦよりも周波数の低い中間周波数信号
ＩＦに変換される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成をなす従来の周波数変換回路では、高周波信号
ＲＦ側と、局部発振信号ＬＯとにそれぞれインピーダン
ス整合回路２，４を設けているので、高周波信号ＲＦ側
と局部発振信号ＬＯとアイソレーションが悪く、周波数
変換器６の入力部でのアイソレーションが期待できな
い。このアイソレーションが悪いと、局部発振信号ＬＯ
が高周波信号ＲＦ側に漏洩したり、逆に高周波信号ＲＦ
が高周波信号ＲＦ側に漏洩したりして、ひいては、周波
数変換器６の変換効率を悪化させることになる。

【０００７】したがって、第１のＢＰＦ１は局部発振信
号ＬＯに対して減衰量の規格を厳しく設計しなけれなら
ず、同様にして、第２のＢＰＦ３に対しては高周波信号
ＲＦに対する減衰量の規格を厳しく設計する必要があ
る。また、回路構成素子の増加あるいは特性の厳格な部
品を選択しなければならず、コストの低減化を阻害する
ことになる。

【０００８】この発明は、上記従来の課題を解決するた
めになされたもので、簡単な回路構成で高周波信号と局
部発振信号とのアイソレーションを低コストで容易に改
善することができるウィルキンソン型分配器を使用した
ミキサ回路を提供することを目的とする。

【０００９】上記目的を達成するために、この発明のウ
ィルキンソン型分配器を使用したミキサ回路は、高周波
信号を所定の周波数帯域にフィルタリングして濾過後高
周波信号を出力する第１のバンドパスフィルタと、局部
発振信号を所定の周波数帯域にフィルタリングして濾過
後局部発振信号を出力する第２のバンドパスフィルタ
と、前記濾過後高周波信号と前記濾過後局部発振信号と
を入力し、アイソレーションして合成するウィルキンソ
ン型分配器と、前記ウィルキンソン型分配器から出力信
号される前記濾過後高周波信号と前記濾過後局部発振信
号とのインピーダンス整合を行うインピーダンス整合回
路と、前記インピーダンス整合回路でインピーダンス整
合された前記濾過後高周波信号と前記濾過後局部発振信
号とを混合して中間周波信号を出力信号する周波数変換
器とを備えてなるものである。したがって、本発明にお
いては、簡単な回路構成で高周波信号と局部発振信号と
のアイソレーションを低コストで容易に改善し得る。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明のウィルキンソン
型分配器を使用したミキサ回路の実施の形態について、
図面に基づき説明する。図１はこの発明による第１実施
の形態の構成を示すブロック図である。図１において、
高周波信号ＲＦは第１のＢＰＦ１１に入力されるように
なっており、この第１のＢＰＦ１１により高周波信号Ｒ
Ｆに含まれる雑音などの不要周波数成分が除去されて所
定の周波数帯域の成分を抽出するようになっている。こ
の第１ＢＰＦ１１から出力される高周波信号を以降、説
明の都合上、濾過後高周波信号ＲＦと称することにす
る。この濾過後高周波信号ＲＦはウィルキンソン型分配
器１２の入力端Ａに入力されるようになっている。

【００１１】また、前記高周波信号ＲＦよりも周波数の
低い局部発振信号ＬＯは第２のＢＰＦ１３に入力される
ようになっている。この局部発振信号ＬＯが第２のＢＰ
Ｆ１３に入力されることにより、前記高周波信号の場合
と同様にして、局部発振信号ＬＯに含まれる雑音などの
不要成分を除去して、必要な周波数帯域のみを抽出する
ようになっており、この第２のＢＰＦ１３の出力信号
も、以下濾過後局部発振信号ＬＯと称することにする。
この濾過後局部発振信号ＬＯも前記ウィルキンソン型分
配器１２の入力端Ｂに入力されるようになっている。

【００１２】ウィルキンソン型分配器１２は、抵抗１２
ａ，キャパシタンス要素１２ｂ〜１２ｄ，インダクタン
ス要素１２ｅ，１２ｆにより構成されている。抵抗１２
ａは、入力端ＡとＢとの間に接続されている。キャパシ
タンス要素１２ｂは入力端Ａとアース間に接続されてい
る。同様に、キャパシタンス要素１２ｃは入力端Ｂとア
ース間に接続されている。インダクタンス要素１２ｅは
入力端Ａと接続点Ｃとの間に接続されている。同様にし
て、インダクタンス要素１２ｆは入力端Ｂと接続点Ｃと
の間に接続されている。この接続点Ｃとアースとの間に
は、キャパシタンス要素１２ｄが接続されている。かく
して、ウィルキンソン型分配器１２が構成されている。

【００１３】このウィルキンソン型分配器１２の接続点
Ｃは、出力端Ｄに接続されている。出力端Ｄは、インピ
ーダンス整合回路１４の入力端に接続されている。この
インピーダンス整合回路１４は、ウィルキンソン型分配
器１２から出力される濾過後高周波信号ＲＦ，濾過後局
部発振信号ＬＯに対するインピーダンス整合を行う回路
である。このインピーダンス整合回路１４から出力され
る濾過後高周波信号ＲＦ，濾過後局部発振信号ＬＯが周
波数変換器１５に入力されて周波数変換され、中間周波
信号ＩＦが出力されるようになっている。

【００１４】次に、以上のように構成された第１の実施
の形態の動作について説明する。高周波信号は第１のＢ
ＰＦ１１に入力されることにより、この第１のＢＰＦ１
１により高周波信号に含まれる雑音などの不要周波数成
分が除去されて、所定の必要な周波数帯域の成分が抽出
され、濾過後高周波信号ＲＦが出力されて、ウィルキン
ソン型分配器１２の入力端Ａ入力される。同様にして、
高周波信号より周波数の低い局部発振信号は第２のＢＰ
Ｆ１３に入力され、この第２のＢＰＦ１３において、雑
音などの不要周波数成分が除去されて、必要な周波数帯
域の成分のみが抽出されて、濾過後局部発振信号ＬＯが
ウィルキンソン型分配器１２の入力端Ｂに入力される。

【００１５】ウィルキンソン型分配器１２の入力端Ａに
入力された濾過後高周波信号ＲＦとウィルキンソン型分
配器１２の入力端Ｂに入力された濾過後局部発振信号Ｌ
Ｏとの電力がアンバランスであると、そのアンバランス
分の電力が抵抗１２ａで吸収される。また、濾過後高周
波信号ＲＦと濾過後局部発振信号ＬＯとの電力がバラン
スしている場合には、抵抗１２ａによる電力の吸収が行
われれない。つまり、抵抗１２ａは電力吸収用の機能を
呈する。ウィルキンソン型分配器１２の入力端Ａに入力
された濾過後高周波信号ＲＦが出力端Ｄに伝送される際
に、この濾過後高周波信号ＲＦに抵抗１２ａを通して入
力端Ａから出力端Ｄの経路に伝送すべきでない濾過後局
部発振信号ＬＯが含まれる周波数成分があるとすれば、
この伝送すべきでない周波数成分はキャパシタンス要素
１２ｂと１２ｄとによりアースに流れ、かつ、インダク
タンス要素１２ｅで阻止される。

【００１６】したがって、キャパシタンス要素１２ｂと
１２ｄは周波数特性改善用の機能を呈していることにな
り、ウィルキンソン型分配器１２の入力端Ａに入力され
た濾過後高周波信号ＲＦの不要周波数成分はこのキャパ
シタンス要素１２ｂ、１２ｄとインダクタンス要素１２
ｅで減衰されて、濾過後高周波信号ＲＦの必要周波数帯
域成分のみが出力端Ｄに伝送されることになる。同様に
して、ウィルキンソン型分配器１２の入力端Ｂに入力さ
れる濾過後局部発振信号ＬＯが出力端Ｄに伝送される際
に、濾過後局部発振信号ＬＯに入力端Ｂから出力端Ｄに
伝送すべきでない濾過後高周波信号ＲＦがわずかに含ま
れていると、この伝送すべきでない濾過後高周波信号Ｒ
Ｆ成分はキャパシタンス要素１２ｃと１２ｄによりアー
スに流れるとともに、インダクタンス要素１２ｆにより
阻止される。したがって、濾過後局部発振信号ＬＯの成
分のみがインダクタンス要素１２ｆを通り、出力端Ｄに
伝送されることになる。

【００１７】ウィルキンソン型分配器１２の出力端Ｄに
伝送された濾過後高周波信号ＲＦ，濾過後局部発振信号
ＬＯはインピーダンス整合回路１４に入力される。この
インピーダンス整合回路１４は、出力端Ｄにおける濾過
後高周波信号ＲＦ，濾過後局部発振信号ＬＯに対するイ
ンピーダンスの整合をとって、周波数変換器１５に送出
する。これにより、周波数変換器１５は濾過後高周波信
号ＲＦと濾過後局部発振信号ＬＯとの周波数変換を行っ
て、中間周波信号ＩＦを出力する。

【００１８】周波数変換器１５の入力側にウィルキンソ
ン型分配器１２に接続することにより、濾過後高周波信
号ＲＦに対して、ウィルキンソン型分配器１２の入力端
Ａから濾過後高周波信号ＲＦを見たインピーダンスと、
この入力端Ａからウィルキンソン型分配器１２側を見た
インピーダンスと、ウィルキンソン型分配器１２の入力
端Ｂから濾過後局部発振信号ＬＯ側を見たインピーダン
スと、この入力端Ｂからウィルキンソン型分配器１２側
を見たインピーダンスと、濾過後高周波信号ＲＦと濾過
後局部発振信号ＬＯにおいてウィルキンソン型分配器１
２の出力端Ｄから周波数変換器１５側を見たインピーダ
ンスがそれぞれ整合するように、かつ図２に示すよう
に、濾過後高周波信号ＲＦと濾過後局部発振信号ＬＯ間
のアイソレーションが最大になるように、ウィルキンソ
ン型分配器１２の各構成要素、すなわち、抵抗１２ａ，
キャパシタンス要素１２ｂ〜１２ｄ，インダクタンス要
素１２ｅ，１２ｆの定数を最適化する。

【００１９】このようにすることにより、図２の横軸に
周波数をとり、縦軸に減衰量（ｄＢ）をとって示すよう
に、濾過後高周波信号ＲＦと濾過後局部発振信号ＬＯ間
のアイソレーションが最大となるようになる。この図２
における破線の特性は濾過後高周波信号ＲＦの特性を示
しており、また実線の特性は濾過後局部発振信号ＬＯを
示している。この図２からも明らかなように、ウィルキ
ンソン型分配器１２を周波数変換器１５の入力側に設け
ることにより、濾過後高周波信号ＲＦと濾過後局部発振
信号ＬＯ間のアイソレーションが改善されていることが
わかる。

【００２０】したがって、高周波信号側の第１のＢＰＦ
１１による濾過後局部発振信号ＬＯの減衰量、局部発振
信号側の第２のＢＰＦ１３による濾過後高周波信号ＲＦ
の減衰量の規格を緩和することが可能となる。これによ
り、ウィルキンソン型分配器１２を挿入することによる
約３ｄＢの挿入損失があるが、効率よく濾過後高周波信
号ＲＦと濾過後局部発振信号ＬＯとを周波数変換器１５
に挿入することが可能となる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば、周波
数変換器の入力側にウィルキンソン型分配器を挿入する
ようにしたので、効率よく濾過後高周波信号ＲＦと濾過
後局部発振信号ＬＯ間のアイソレーションを改善するこ
とができる。これに伴い、高周波信号側の第１のＢＰＦ
と局部発振信号側の第２のＢＰＦの減衰量の規格が緩和
することが可能となり、第１、第２のＢＰＦの構成を簡
単にすることができ、ひいては、コストダウンが可能と
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のウィルキンソン型分配器を使用した
ミキサ回路の第１実施の形態の構成を示すブロック図で
ある。

【図２】この発明のウィルキンソン型分配器を使用した
ミキサ回路の第１実施の形態により得られる濾過後高周
波信号ＲＦと濾過後局部発振信号ＬＯ間のアイソレーシ
ョン特性を示す特性図である。

【図３】従来の周波数変換回路の構成を示すブロック図
である。

【符号の説明】

１１……第１のＢＰＦ、１２……ウィルキンソン型分配
器、１２ａ……抵抗、１２ｂ〜１２ｄ……キャパシタン
ス要素、１２ｅ，１２ｆ……インダクタンス要素、１３
……第２のＢＰＦ、１４……インピーダンス整合回路、
１５……周波数変換器、Ａ，Ｂ……入力端、Ｃ……接続
点、Ｄ……出力端。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高周波信号を所定の周波数帯域にフィル
   タリングして濾過後高周波信号を出力する第１のバンド
   パスフィルタと、 局部発振信号を所定の周波数帯域にフィルタリングして
   濾過後局部発振信号を出力する第２のバンドパスフィル
   タと、 前記濾過後高周波信号と前記濾過後局部発振信号とを入
   力し、アイソレーションして合成するウィルキンソン型
   分配器と、 前記ウィルキンソン型分配器から出力信号される前記濾
   過後高周波信号と前記前記濾過後局部発振信号とのイン
   ピーダンス整合を行うインピーダンス整合回路と、 前記インピーダンス整合回路でインピーダンス整合され
   た前記濾過後高周波信号と前記濾過後局部発振信号とを
   混合して中間周波信号を出力信号する周波数変換器と、 を備えることを特徴とするウィルキンソン型分配器を使
   用したミキサ回路。
2. 【請求項２】 前記ウィルキンソン型分配器は、前記ウ
   ィルキンソン型分配器の回路構成素子の定数を最適化す
   ることにより前記ウィルキンソン型分配器の入力側にお
   ける前記濾過後高周波信号と前記濾過後局部発振信号に
   対するインピーダンス整合と前記ウィルキンソン型分配
   器の出力信号側における前記周波数変換器側とのインピ
   ーダンス整合を行うことを特徴とする請求項１記載のウ
   ィルキンソン型分配器を使用したミキサ回路。