JPH11222958A - ハイブリッド耐火被覆構造体及びその耐火被覆工法 - Google Patents

ハイブリッド耐火被覆構造体及びその耐火被覆工法

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JPH11222958A
JPH11222958A JP33320398A JP33320398A JPH11222958A JP H11222958 A JPH11222958 A JP H11222958A JP 33320398 A JP33320398 A JP 33320398A JP 33320398 A JP33320398 A JP 33320398A JP H11222958 A JPH11222958 A JP H11222958A
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徳寿 時本
Takemi Yada
武美 矢田
Takashi Moriwaki
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Kuniyuki Okuyama
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原田  進
Kozo Tabata
公三 田畑
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NIPPON PLASTER KK
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Nippon Kasei Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な耐火性能及び信頼性を有するととも
に、耐火用の被覆(以下耐火層と称す)の厚さを従来よ
り薄くすることができ、しかもその工法を簡易化できる
ハイブリッド耐火被覆構造体及びその耐火被覆工法を提
供すること。 【構成】 実施例のハイブリッド耐火被覆構造体を形成
する場合には、H形鋼の鋼材1の表面に、非発泡性耐火
被覆材の例えば軽量モルタルを所定の厚さ塗布して非発
泡性耐火被覆材層3を形成する。その後、硬化した軽量
モルタルの表面に、例えばアクリル樹脂系の発泡性耐火
塗料を所定の厚さ塗布して発泡性耐火塗料層5を形成す
る。尚、この鋼材1の角部9に対応する非発泡性耐火被
覆材層3の出隅部11には、曲線状の或は直線状の面取
りが施され、その出隅部11の表面にほぼ均一の厚さで
発泡性耐火塗料層5が形成されている。また、非発泡性
耐火被覆材層3と発泡性耐火塗料層5の中間に仲介的に
中塗り塗料層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐火性能を著しく向上
できるハイブリッド耐火被覆構造体及びその耐火被覆工
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄骨構造物などの耐火構造と
しては、鉄骨などの表面を、例えば軽量モルタルなどの
非発泡性耐火被覆材で覆ったものが知られている。ま
た、それとは別に、鉄骨などの表面を、火災の際に発泡
して断熱層を形成する発泡性耐火塗料で覆ったものが知
られている。
【0003】そして、この様な鉄骨構造物などの建築物
の耐火性能を一定に水準に保つために、建築基準法によ
って一定の基準が定められている。つまり、建築基準法
では、建築物の火災時の倒壊を防ぐため、規模や階数や
用途や地域性により、建築物の柱、梁、壁、床、屋根の
各構造体に対して、必要な耐火性能が決められている。
【0004】具体的には、従来の耐火構造の指定とし
て、下記〜の規定がある。 一般指定;鉄筋コンクリート構造、鉄骨鉄筋コンクリ
ート構造、鉄網モルタル被覆鉄骨構造、鉄網パーライト
モルタル被覆鉄骨構造など建設省告示第1675号の第
一〜第五に記載している耐火構造。
【0005】通則指定;吹き付けロックウール被覆鉄
骨構造、繊維混入けい酸カルシウム被覆鉄骨構造、石綿
・ロックウール板被覆鉄骨構造、空洞プレストコンクリ
ートパネル床板構造、コンクリート・デッキプレート合
成スラブ構造、吹き付けロックウール被覆亜鉛鉄板屋根
構造などの通則指定の耐火構造。
【0006】個別指定;湿式吹き付けロックウール被
覆鉄骨構造、ひる石プラスター被覆鉄骨耐火構造、水酸
化アルミニウム・セメント系吹き付け材被覆鉄骨耐火構
造、コンクリート充填鋼管耐火構造、石綿セメント押出
成形板被覆鉄骨耐火構造、ALC板被覆鉄骨耐火構造、
湿式せっこう系吹き付け材被覆鉄骨耐火構造、石綿セメ
ント押出成形板間仕切壁耐火構造、両面無機繊維強化石
膏ボード重ね張り軽量鉄骨下地間仕切壁耐火構造、立体
金網入り両面セメントモルタル吹き付け発泡ポリエチレ
ン板充填外壁耐火構造、パーライト入り鉄網モルタル板
外壁耐火構造、両面溶接金網入りセメントモルタル発泡
ポリスチレン板充填外壁耐火構造、ALC床板耐火構
造、湿式吹き付けひる石被覆デッキプレートコンクリー
ト床耐火構造、湿式吹き付けロックウール被覆コンクリ
ートデッキプレート床耐火構造、亜鉛鉄板パーライト吹
き付け折板屋根耐火構造、セルローズファイバー吹き付
け亜鉛鉄板折板屋根耐火構造、湿式せっこう系吹き付け
材金属折板屋根耐火構造など。
【0007】建築基準法38条指定;ロックウール薄
厚被覆FR鋼耐火構造、水酸化アルミニウム・セメント
系吹き付け材被覆FR鋼耐火構造、発泡耐火塗料被覆鉄
骨耐火構造など。更に、これらの耐火構造が実際の火災
の際にどの程度の耐火性能を発揮するかを規定するため
に、建設省告示第2999号に耐火試験などについて決
められている。
【0008】この中で試験方法は、所定の規格の試験体
に対して、所定の加熱時間や加熱温度などの加熱条件に
て加熱を行なうものである。そして、この試験におい
て、試験体の耐火構造に亀裂や脱落などの問題が生じな
かった(或は許容範囲内である)ものが、その試験時間
毎に区分されて、1時間耐火,2時間耐火,3時間耐火
などと表現される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た耐火構造では、それぞれ一長一短があり、一層の改善
が望まれていた。例えば、構造用鉄骨を非発泡性の耐火
被覆材である乾式ロックウールで被覆する場合には、建
設省告示第2999号に規定の耐火試験による1時間,
2時間,3時間耐火性能を得るのに、各々30mm厚,
45mm厚,60mm厚の乾式ロックウール被覆を必要
とし、十分な耐火性能を得るためには、その被覆をかな
り厚くしなければならないという問題があった。
【0010】このことは、乾式ロックウールに限らず、
例えば軽量モルタルなどの非発泡性の耐火被覆材を使用
する場合に、一般に言えることであった。つまり、この
種の耐火被覆材は耐火性能が優れかつ安定しているが、
所定の耐火性能を得るためには、耐火被覆材をかなり厚
く塗らなければならなかった。そのため、耐火被覆材を
塗布する作業に手間がかかったり、厚く塗布するために
建物の利用空間が狭くなったり、厚く塗るためにかえっ
て自身の重量で剥がれ易くなるという問題があった。特
に、耐火被覆材を従来の塗布用機器にて塗布する際に
は、1回で塗布できる厚さに限界があるので、要求され
る耐火性能が大きな場合には、何度も塗布作業を繰り替
えす必要があるという問題があった。
【0011】一方、発泡性耐火塗料を使用する場合に
は、それほど厚く塗る必要がないので、塗布機器はやや
小型でも施工できる利点はあるが、塗料的粘度・粘性の
ためタレやすく1回の塗布厚に限界があり吹き重ねの必
要性や、上記非発泡性の耐火被覆材に比べて、耐火性能
の安定性や確実性に不安がある。つまり、実際の火災の
際に確実に発泡して、所定の厚さの安定した断熱層を形
成できるか否かに多少の不安がある。また、発泡性耐火
塗料による被覆層は、通常環境下ではそれ自体の表面強
度はあるが、火災環境下で一旦発泡すると強度が大きく
低下するので、火災時に(発泡した)断熱層に何等かの
部材が接触した場合あるいは風圧などにより、容易に断
熱層が剥離して脱落しまうという不安もある。
【0012】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、十分な耐火性能及び信頼性を有すると
ともに、耐火用の被覆(以下耐火層と称す)の厚さを従
来より薄くすることができ、しかもその工法を簡易化で
きるハイブリッド耐火被覆構造体及びその耐火被覆工法
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
になされた請求項1の発明は、一部又は全体に鉄を使用
した基本構造体と、該基本構造体の表面側に設けられた
非発泡性耐火被覆材層と、該非発泡性耐火被覆材層の表
面側に設けられた発泡性耐火塗料層と、を備えたことを
特徴とするハイブリッド耐火被覆構造体を要旨とする。
【0014】請求項2の発明は、上記基本構造体が、鉄
骨の柱又は梁であることを特徴とする上記請求項1記載
のハイブリッド耐火被覆構造体を要旨とする。請求項3
の発明は、上記基本構造体が、一部に鉄を含む壁又は床
であることを特徴とする上記請求項1記載のハイブリッ
ド耐火被覆構造体を要旨とする。
【0015】請求項4の発明は、上記非発泡性耐火被覆
材が、複合軽量骨材混入モルタルであり、その成分中に
有機質発泡体粉末又は粒を含むことを特徴とする上記請
求項1ないし3のいずれか記載のハイブリッド耐火被覆
構造体を要旨とする。
【0016】請求項5の発明は、上記非発泡性耐火被覆
材層と発泡性耐火塗料層との厚さが、建設省告示第29
99号に規定する耐火試験方法による耐火構造の性能区
分に応じて、上記表1の厚さであることを特徴とする上
記請求項1ないし4のいずれか記載のハイブリッド耐火
被覆構造体を要旨とする。
【0017】請求項6の発明は、上記基本構造体が、非
発泡性耐火被覆材層と発泡性耐火塗料層との中間に仲介
的に中塗り塗料層を有することを特徴とする上記請求項
1ないし5のいずれか記載のハイブリッド耐火被覆構造
体を要旨とする。
【0018】請求項7の発明は、上記基本構造体の角部
を覆う非発泡性耐火被覆材層の出隅部に対して、曲線状
又は直線状に面取りを施し、該面取りを施した出隅部の
表面に、上記中塗り塗料層を介し又は介さずして、発泡
性耐火塗料層をほぼ均一の厚さに形成したことを特徴と
する上記請求項1ないし6のいずれか記載のハイブリッ
ド耐火被覆構造体を要旨とする。
【0019】請求項8の発明は、一部又は全体に鉄を使
用した基本構造体の表面側を、非発泡性耐火被覆材で覆
った後に、上記中塗り塗料層を介し又は介さずして、該
非発泡性耐火被覆材の表面側を発泡性耐火塗料で覆った
ことを特徴とするハイブリッド耐火被覆工法を要旨とす
る。
【0020】次に、上述した本発明の各構成について、
詳しく説明する。 (1)上記基本構造体としては、H形鋼、みぞ形鋼、I
形鋼、等辺山形鋼、不当辺山形鋼、角形鋼管、丸形鋼管
などの通常使用される鉄骨、鋼管が挙げられるが、それ
以外にも、軽量鉄骨と他の材料、例えば金網、メタルラ
ス、石膏ラスボード、ラスカット合板などの下地材や石
膏ボード、けい酸カルシウム板、繊維混入セメントけい
酸カルシウム板、硬質木片セメント板、パルプ混入石綿
セメント板、スラグ石膏セメント板、ガラス繊維混入ス
ラグ石膏板、石綿セメント押出成形板、繊維混入セメン
トパーライト板などの窯業サイディング板やPC板、A
LC板による下地材との組み合せなどが挙げられる。
【0021】(2)この基本構造体に使用する鉄材とし
ては、通常は構造用鋼材を使用できるが、FR鋼を使用
すると更に好適である。このFR鋼とは、従来の構造用
鋼材に比べ耐熱特性を高めたもので、600℃での降伏
強度が、常温での降伏強度の2/3以上である鋼材であ
り、これによって、耐火被覆を軽減できる。
【0022】(3)耐火被覆材や耐火塗料などの耐火と
いう用語は、本出願の場合、通常に使用される耐火構造
体の耐火という意味や、準耐火構造における準耐火の意
味である。 (4)非発泡性耐火被覆材としては、例えば下記〜
のもの及びそれらの組み合せを採用できるが、同様な機
能を発揮するものであれば、これに限定されるものでは
ない。 セメントモルタル パーライトモルタル、ひる石モルタル 乾式吹き付けロックウール、半乾式吹き付けロックウ
ール 湿式吹き付けロックウール、ひる石プラスター吹き付
け材、水酸化アルミニウム系吹き付け材、湿式現場起泡
剤混入モルタル、湿式現場発泡型モルタル セルローズファイバー系吹き付け材 けい酸カルシウム板、石綿スレート板、石膏ボード、
窯業系サイディング板、金属系サイディング板、セメン
ト系押出成形板、ALC板、PC板。
【0023】(5)発泡性耐火塗料とは、火災時の様に
高い熱を受けた場合に、発泡して熱絶縁効果を有する断
熱層を形成するものである。 (6)この発泡性耐火塗料は、例えば下記の結合剤や発
泡剤や炭化層形成剤などを含むものを採用できるが、同
様な機能を発揮するものであれば、これに限定されるも
のではない。
【0024】a)結合剤 (1)アルキド樹脂 純アルキド樹脂;超短油、短油、中油、長油、超長油
などのアルキド樹脂 変性アルキド樹脂;ロジン変性、フェノール変性、エ
ポキシ変性、スチレン化、アクリル化、ウレタン変性、
シリコン変性、アミノ樹脂変性などのアルキド樹脂 オイルフリーアルキド樹脂;オイルフリー、高分子量
オイルフリー、超短油、不乾性油変性短油、乾性油変性
中油、乾性油変性長油、乾性油変性超長油、ロジン変
性、フェノール変性、エポキシ変性、スチレン化、アク
リル化、ウレタン変性、シリコン変性、アミノ樹脂変性
などのアルキド樹脂 〜の架橋剤;アミノ樹脂、ニトロセルロース、金属
塩ドライヤー、ウレタンなどのアルキド樹脂硬化剤 (2)アミノ樹脂 メラミン樹脂;ブチル化メラミン樹脂、メチル化メラ
ミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂 尿素樹脂;ブチル化尿素メラミン樹脂 〜の架橋剤;酸または加熱 (3)ビニル系樹脂 塩化ビニル樹脂;塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂と
の共重合体、塩化ビニリデン系樹脂 酢酸ビニル樹脂;酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂と
の共重合体 ポリビニルアルコール ポリビニルブチラール (4)アクリル樹脂 熱可塑性アクリル樹脂 熱硬化性アクリル樹脂 変性アクリル樹脂 の架橋剤;アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシア
ネート、メラミン、ポリカルボン酸化合物、金属ドライ
ヤー (5)エポキシ樹脂 グリシジルエーテル型;ビスフェノールA型、ビスフ
ェノールF型、フェノールノボラック型、エポキシ樹脂
+ノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA型、2、6
キシレノール型、オルソクレゾールノボラック型、ビス
フェノールAノボラック型、三官能型 グリシジルエステル型;ダイマー酸、多価カルボン酸
エステル型 グリシジルアミン型;芳香族アミン型 環状脂肪族型 自己乳化型親水性エポキシ樹脂 一液変性エポキシ樹脂 〜のエポキシ樹脂硬化剤;ポリメルカプタン、脂肪
族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、三級ア
ミン、ジェチルアミノプロピルアミン、イミダゾール、
三級アミン塩、脂環式アミン、金属ドライヤー (6)ポリウレタン樹脂 一液型ポリウレタン樹脂;油変性ポリウレタン樹脂、
ラッカー型ポリウレタン樹脂 二液型ポリウレタン樹脂;ポリオール硬化型ポリウレ
タン樹脂(ポリオールの種類;アクリルポリオール、ポ
リエステルポリオール、イソシアネートプレポリマー) の硬化剤;各種イソシアネート、ポリイソシアネート (7)不飽和ポリエステル樹脂と金属ドライヤー架橋剤 (8)フェノール樹脂 レゾール型、ノボラック型 の硬化剤;酸、アルカリ (9)NAD樹脂(アクリル系非水エマルション) アルキド樹脂を分散安定剤としたアクリル樹脂分散体 アルキル化メラミン樹脂を分散安定剤としたアクリル
樹脂分散体 (10)合成樹脂エマルション 酢酸ビニル系;酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビ
ニル共重合樹脂エマルション、エチレン酢ビ共重合樹脂
エマルション、酢ビアクリル共重合樹脂エマルション ベオバ系;酢ビベオバ共重合樹脂エマルション、ベオ
バアクリル共重合樹脂エマルション;ここでベオバとは
シェルケミカル社の商品名でバーサチック酸ビニルを意
味する。 アクリル系;各種アクリル酸エステル共重合樹脂エマ
ルション、自己架橋型アクリル樹脂エマルション スチレンアクリル系;スチレンアクリル酸エステル共
重合樹脂エマルション エポキシ樹脂エマルション ウレタン樹脂エマルション シリコーン樹脂エマルション、変性シリコーン樹脂エ
マルション (11)水溶性樹脂; 水溶性アルキド樹脂 水溶性アクリル変性アルキド樹脂 水溶性オイルフリーアルキド樹脂 水溶性アクリル樹脂 水溶性エポキシエステル樹脂 水溶性メラミン樹脂 (12)塩素化ポリオレフィン樹脂 塩素化ポリエチレン 塩素化ポリプロピレン (13)シリコーン樹脂 ストレートシリコーン樹脂 変性シリコーン樹脂;アルキド変性、エポキシ変性、
ポリエステル変性、アクリル変性、ウレタン変性のシリ
コーン樹脂 (14)その他結合剤;キシレン樹脂、ケトン樹脂、再乳化
形樹脂、特開平2−49074号に特定するエチレン系
共重合体結合剤、特開平4−175152号に特定する
結合剤、特開平5−86310号に特定する一液変性エ
ポキシ樹脂、珪酸アルカリ金属塩(各種水ガラス)、コ
ロイダルシリカ、水硬性セメント、焼石膏など(1)〜(1
4)の単独および/または2種以上の複合使用。
【0025】b)発泡剤 (1)塩素化パラフィン (2)含窒素化合物系発泡剤;メラミン、ジシアンジアミ
ド、アゾジカルボイミド、尿素、メラミン初期縮合物、
尿素縮合物、イソシアヌール酸縮合物、メラミン樹脂粉
末、ジシアンジアミドリン酸縮合物、ジシアンジアミド
樹脂、ホルムアルデヒド誘導体、ソルビット、マンニッ
ト、グリセリン、トリメチロールプロパン、パラホルム
アルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、メチロール化
尿素、メチロール化ジシアンジアミド、メチロール化チ
オ尿素、 (3)リン酸メラミン、リン酸グアニジン、グアニル尿
素、炭酸グアニジン、珪酸グアニジン、タイロース、ジ
オキサン (4)有機発泡剤;アゾ系発泡剤、ニトロソ系発泡剤、ア
ゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、
N.N′−ジニトロソペンタメチレン、ベンゾスルホヒ
ドラジド (5)熱膨張性マイクロカプセル;ミクロパールF−3
0、ミクロパールF−50、ミクロパールF−80(松
本油脂社製) (6)膨張黒鉛;黒鉛酸性硫酸塩、Na黒鉛、K黒鉛、ハ
ロゲン化黒鉛、塩化アルミニウム黒鉛、塩化第二鉄黒鉛 (7)水ガラス系;粒状水ガラス、アルカリ金属珪酸塩、
アルカリ金属メタ珪酸塩、和水水ガラス、含水珪酸アル
カリ粉末 (8)泡性無機粉末;真珠岩粉末、黒耀石粉末、シラス粉
末、ヒル石粉末、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニ
ウム、ゼオライト、珪藻土、人造熱発泡性無機物 (9)炭酸水素塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム c)炭化層形成剤 (1)多価アルコール;ペンタエリトリトール、テトラエ
タノールメタン、ジペンタエリトリトール、トリペンタ
エリトリトール、エチレングリコール、トリメチロール
プロパン、マンニット (2)多糖類;でんぷん、セルロース、蔗糖 (3)カゼイン、パラフォルムアルデヒド d)脱水触媒兼発泡剤 (1)リンまたはリン化合物;五酸化リン、亜リン酸、正
リン酸、ポリリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸三ナ
トリウム、トリクレジルホスフェート、メラミンホスフ
ェート、オキシ塩化リン、五塩化リン (2)耐水化リン化合物;マイクロカプセル化ポリリン酸
アンモニウム、マイクロカプセル化メラミンホスフェー
ト (3)リン酸塩化合物;ポリリン酸アミド、ポリリン酸ア
ンモニウム、ポリリン酸カリウム、リン酸メラミン e)特種添加剤 (1)発泡性安定剤;チタン、ジルコニウム、クロム、ホ
ウ素などの炭化物、窒化物、炭・窒化物 (2)発泡性安定剤;偏平状タルク、偏平状マイカ (3)発泡性安定剤;シリコン樹脂超微粉末 f)繊維 (1)人工無機質繊維ロックウール、ガラス繊維、シリカ
アルミナ繊維、セラミックス繊維 (2)人工有機質繊維;炭素繊維、アラミド繊維 g)無機質充填剤 (1)体質顔料;水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、
硫酸バリウム、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、
マイカ、粘土、シラス、寒水石、硅砂、硅石紛、二価以
上の金属酸化物、二価以上の水酸化物 (2)着色顔料;酸化チタン、ベンガラ、オーカ (3)軽量骨材;パーライト、焼成ひる石、シラスバルー
ン、ガラスバルーン、セラミックバルーンなど h)その他 (1)塗料用添加剤;溶剤、可塑剤、造膜助剤、増粘剤
(CMC,HEC,PVAなど)、活性剤(アニオン、
ノニオン、カチオン、両性型)、分散剤、消泡剤 (2)難燃剤;ハロゲン化合物、有機ハロゲン化合物、ア
ンチモン化合物、有機リン系化合物、スルファミン酸ア
ンモニウム、リン酸グアニル尿素 (7)上記請求項4の複合軽量骨材混入モルタルとして
は、例えば下記の組成である。
【0026】水硬性セメントと、天然又は人工の軽量骨
材とからなり、しかも、この天然又は人工の軽量骨材
が、シラスバルーン、パーライト、焼成ひる石、ガラス
バルーンのいずれか1種以上と、有機質発泡体粉末(又
は粒)の0.05〜5.0重量%とからなるものである。
この有機質発泡体の例としては、発泡スチロール,発泡
ウレタン,発泡ポリエチレン,発泡ポリプロピレンなど
が例示できる。更に、このモルタルには、水酸化アルミ
ニウムないし炭酸カルシウムないし再乳化形粉末樹脂と
を含み、モルタルの組成物の硬化体の絶乾比重が0.1
〜1.8である。
【0027】(8)上記請求項5の1時間耐火構造及び
2時間耐火構造の建設省告示第2999号の規定として
は、柱,梁,壁,床に関するものがあり、3時間耐火構
造としては、柱,梁に関するものがある。また、上記表
1の各層の厚さのうち、下記表2の範囲のものが、必要
とされる耐火性能を有するとともに、作業性及びトータ
ルコストなどの点で有利であるので一層好適である。
【0028】
【表2】
【0029】(9)上記請求項6の仲介的な中塗り塗料
層は、主に非発泡性耐火被覆材層に対し発泡性耐火塗料
を施工する際の吸い込みムラ防止のため、上塗りとなる
発泡性耐火塗料の結合剤がアルカリに弱いアルキッド系
樹脂などを使用した場合における非発泡性耐火被覆材層
からのアルカリの移行を防止するため、あるいは非発泡
性耐火被覆材層に対する発泡性耐火塗料の接着性改善の
ために使用する。この中塗り塗料層は、上記発泡性耐火
塗料の詳細な説明に記述している結合剤のうち、超短
油,短油,中油,長油アルキッド樹脂に例示されるアル
カリに弱いものを除いたものの単独または2種以上の複
合したものを結合剤として、結合剤のみによるものまた
は充填剤,骨材,軽量骨材,体質顔料,着色顔料,有機
質繊維,無機質繊維,増粘剤,分散剤,湿潤剤,溶剤,
水などを加えたもののいずれでも使用できる。また、こ
の中塗り塗料の使用量は、50g〜3kg/m2程度の
範囲で適宜選択して使用できる。尚、この中塗り塗料層
の厚さは、上記表1,表2においては、非発泡性耐火被
覆材層の厚さに含めて考えるものとする。
【0030】(10)また、上述した請求項1〜8の発
明において、下地となる鉄骨の柱,梁などと、非発泡性
耐火被覆材層の間に防錆塗料やアルカリ封止的塗料や仲
介的接着性改良塗料などを必要に応じて、下地処理とし
て従来使用している範囲で使用できる。尚、この場合の
下塗り塗料層の厚さは、上記表1,表2においては、非
発泡性耐火被覆材層の厚さに含めて考えるものとする。
【0031】
【作用】本発明は、鉄系の耐火被覆構造において、優れ
た耐火性能及びその信頼性を確保するとともに、如何に
耐火層の厚さを薄く、しかもその工法を簡易化したらよ
いかという研究の結果得られたものである。
【0032】つまり、例えば軽量モルタルなどの非発泡
性の耐火被覆材を用いた場合には、十分な耐火性能及び
信頼性を備えているが厚く塗らなければならず、一方、
発泡性耐火塗料を用いた場合には、薄く塗ればよいがそ
の信頼性などに問題があり、一長一短があったが、本発
明では、それらの欠点を克服して、十分な耐火性能及び
信頼性を有するとともに、被覆膜の膜厚を従来より薄く
することができ、しかもその工法を著しく簡易化したも
のである。
【0033】即ち、請求項1の発明では、基本構造体の
表面側に非発泡性耐火被覆材層を備えるとともに、非発
泡性耐火被覆材層の表面側に発泡性耐火塗料層を備えて
いるので、耐火性能を十分に確保した上で、両層からな
る耐火層の厚さを薄くすることができる。これは、後述
する実験例でも明かな様に、単に非発泡性耐火被覆材層
と発泡性耐火塗料層とを組み合わせた(1+1)以上の
相乗的効果を発揮し、両層を合わせた耐火層は、その厚
さに比べて予想以上の耐火性能を有する。
【0034】請求項2の発明では、基本構造体が、鉄骨
からなる柱又は梁であるので、耐火層が薄くできるにも
かかわらず、鉄骨に対する耐火性能が向上する。請求項
3の発明では、基本構造体が、一部に鉄を有する壁又は
床であるので、耐火層が薄くできるにもかかわらず、壁
又は床に対する耐火性能が向上する。
【0035】つまり、吹き付け工法、コテ塗り工法など
による壁の耐火構造については、従来、ランナーやスタ
ッドなどの軽量鉄骨+ラス網(又は耐火ボード)+非発
泡性耐火被覆材の組合せであった。更に、吹き付け工
法、コテ塗り工法などによる床の耐火構造については、
コンクリート+デッキプレートの組合せなどに非発泡性
耐火被覆材を吹き付けて仕上げていたが、本発明によれ
ば、これらの壁又は床に関しても、非発泡性耐火被覆材
層及び発泡性耐火塗料層という構成を採用することによ
り、その耐火性能が向上することになる。
【0036】また、この壁や床の耐火試験の判定につい
ては、上記建設省告示第2999号の規定によれば、鋼
構造の建築物の場合、壁や床の耐火構造体では最高温度
500℃以下で平均温度400℃以下で有害な剥離や割
れ変形を生じないこととなっているが、本発明では、容
易にその基準をクリアする。
【0037】例えば湿式ロックウール吹き付けによる壁
2時間耐火の例として、個別指定の「耐火 W2100
トムウエットATM−120」の場合は、湿式ロック
ウール吹き付け25mmの被覆厚を必要とするが、本発
明によれば、軽量モルタル10〜15mm+発泡性耐火
塗料4.0〜1.0mmでよく、また例えば湿式ロックウ
ール吹き付けによる床2時間耐火の例として、個別指定
の「耐火 F2083トムウエツトS F−120」の
場合は、湿式ロックウール吹き付け15mmの被覆厚を
必要とするが、本発明によれば、軽量モルタル5〜10
mm+発泡性耐火塗料3.0〜1.0mmでよい。尚、非
発泡性耐火被覆材を薄くする場合は発泡性耐火塗料は厚
めに塗布し、逆に非発泡性耐火被覆材を厚くする場合は
発泡性耐火塗料は薄めに塗布し、それによって合計した
膜厚を非発泡性耐火被覆材単独に比べ薄くすることがで
きる。
【0038】請求項4の発明によれば、非発泡性耐火被
覆材が複合軽量骨材混入モルタルであり、その成分中に
有機質発泡体粉末又は粒を含む組成であるので、施工時
においてその水・セメント比を小さくでき、一度に40
mm厚程度まで厚く吹き付けできるというメリットの
他、軽量モルタルの強度の立ち上がりが早いという特性
も加わり、本発明の様に、第二層として発泡性耐火塗料
を組み合わせた構造体やその工法には最も好適なもので
ある。
【0039】請求項5の発明によれば、非発泡性耐火被
覆材層と発泡性耐火塗料層との厚さが、建設省告示第2
999号に規定する耐火試験方法による耐火構造の性能
区分に応じて、上述した表1の厚さであるので、耐火層
が薄いにもかかわらず、優れた1,2,3時間耐火性能
を発揮できることになる。
【0040】請求項6の発明によれば、仲介的な中塗り
塗料層を設けることにより、主に非発泡性耐火被覆材層
に対し発泡性耐火塗料を施工する際の吸い込みムラ防止
や、上塗りとなる発泡性耐火塗料の結合剤がアルカリに
弱いアルキッド系樹脂などを使用した場合のアルカリの
移行防止や、非発泡性耐火被覆材層に対する発泡性耐火
塗料の接着性を改善することができる。
【0041】請求項7の発明によれば、非発泡性耐火被
覆材層の出隅部に対して、曲線状又は直線状に面取りを
施し、この面取りを施した出隅部の表面に対しても、中
塗り塗料層を介し又は介さずして、発泡性耐火塗料層を
ほぼ均一の厚さに形成するので、火災などにより発泡し
た場合には、発泡した断熱層が均一に非発泡性耐火被覆
材層の出隅部を覆い、耐火性能にむらがなく、火災時の
耐火性能の確実性が向上する。つまり、出隅部を例えば
直角に仕上げた場合には、火災時などには、出隅部の発
泡性耐火塗料の発泡源が不足して薄くなったり、割れた
り、肌分かれしやすいが、本発明では発泡源が不足しな
いため、そのような異常を防止できる。
【0042】請求項8の発明によれば、基本構造体の表
面側を非発泡性耐火被覆材で覆った後に、中塗り塗料層
を介し又は介さずして、非発泡性耐火被覆材の表面側を
発泡性耐火塗料で覆うので、両層からなる耐火層を極め
て容易に形成できることになる。例えば塗布機器による
1回の塗布によって薄く非発泡性耐火被覆材を塗布した
後に乾燥させ、その後薄く発泡性耐火塗料を塗るだけ
で、十分な耐火性能を有する耐火層を形成することが可
能であり、しかも発泡性耐火塗料は化粧層下地層あるい
はそれ自体化粧層としての役割も兼備している。
【0043】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の好適な実施例について説
明する。図1は実施例の耐火被覆構造体を示す斜視図で
あり、図2その断面図である。
【0044】図1及び図2に示す様に、本実施例の耐火
被覆構造体を形成する場合には、まず、(通常の鉄骨構
造に使用される)H形鋼の鋼材(鉄骨)1の表面に、非
発泡性耐火被覆材の例えば軽量モルタルを、例えば上述
した表1の様に、1時間耐火の場合は10mm,2時間
耐火の場合は20mm,3時間耐火の場合は25mm塗
布し、非発泡性耐火被覆材層3を形成する。そして、気
乾状態に乾燥させた後に、硬化した軽量モルタルの表面
に、例えばアクリル樹脂系の発泡性耐火塗料を、1時間
耐火の場合は1.5〜2.5mm,2時間耐火の場合は
2.0〜4.0mm,3時間耐火の場合は3.0〜5.0m
m塗布し、発泡性耐火塗料層5を形成する。これによっ
て、鋼材の表面に非発泡性耐火被覆材層と発泡性耐火塗
料層とを複合した耐火層7を形成する。
【0045】この耐火層7は、非発泡性耐火被覆材単体
で形成した場合より薄膜にもかかわらず、非発泡性耐火
被覆材の表面に発泡性耐火塗料を塗布した構成となって
いるので、火災時には、最表面の発泡性耐火塗料層5が
発泡して十分な厚さの断熱層を形成して耐火性能を発揮
できる。しかも、鋼材1の表面には、高熱によっても容
易に変質しない非発泡性耐火被覆材層3が、緻密に且つ
強固に形成されているので、この非発泡性耐火被覆材層
3も十分な耐火性能を発揮し、両層3,5の機能があい
まって、如何なる場合でも、確実に且つ十分に耐火の効
果を得ることができるという顕著な特長がある。
【0046】更に、本実施例の耐火層7は、従来の非発
泡性耐火被覆材単体のものより薄膜であるので、空間の
有効利用ができるという効果がある。その上、発泡性耐
火塗料の表面はそれ自体化粧性がある。またその他に化
粧下塗層的に面精度が良く一般にペンキなどの塗料を塗
り易いので、例えば耐火層7の表面が目立つ場所で露出
する様な場合には、発泡性耐火塗料層5の表面をカラフ
ルにあるいは周囲になじむ様に着色することによって、
容易に美観を向上させることもできる。
【0047】また、発泡性耐火塗料は、一旦発泡すると
脆くなってしまい、火災時に、(発泡した)断熱層に他
の部材が接触した場合には、断熱層が脱落する可能性が
あるが、本実施例では、鋼材1の表面には、非発泡性耐
火被覆材層3が緻密に且つ強固に形成されているので、
鋼材1が直接に火に晒されることを防止でき、その点で
も耐火性能の安定性や確実性を向上させることができる
という利点がある。
【0048】また、特に、図2(b)に拡大して示す様
に、H形鋼の鋼材1の角部9に対応する非発泡性耐火被
覆材層3の出隅部11に、(半径2mm以上の)曲線状
のあるいは(長さ2mm以上の)直線状の面取りを施
し、更に、その出隅部11の表面にほぼ均一の厚さで発
泡性耐火塗料層5を形成する場合には、火災時などに、
出隅部11の発泡性耐火塗料層5の発泡源が不足して薄
くなったり、割れたり、肌分かれすることがなく、耐火
性能が一層向上するという効果がある。
【0049】また、例えば、図3に示す様に、角形鋼の
鋼材21の角部23に対応する非発泡性耐火被覆材層2
5の出隅部27に、上記と同様な面取りを施すことによ
って、同様に、火災時などには、出隅部27の表面を覆
う発泡性耐火塗料層29が、発泡後に割れたり肌分かれ
することがなく、耐火性能が向上するという効果が得ら
れる。
【0050】次に、本発明の効果を確認した実験例につ
いて説明する。尚、従来の発泡性耐火塗料などの発明に
記載されている耐火性能の評価においては、試験方法が
発明者によりまちまちで、試験方法によってはかなり薄
い膜厚であっても耐火性がある様に記述されているが、
実際は、建設省告示第2999号に規定する耐火試験に
準拠して試験したものの評価でなければ実用的でない。
この点、本発明者らは、実用に適合できる様に同方法で
厳格に試験し評価した。このため、本発明の比較例に示
す発泡性耐火塗料の被覆厚は、従来知られている発泡性
耐火塗料の被覆厚と比べて実用的なものとなっている。
【0051】<実験例1>下記表3〜7に、本実施例
(実施例1〜25)及び比較例(比較例1〜10)にお
ける、第一層(非発泡性耐火被覆材層)及び第二層(発
泡性耐火塗料層)の組成,第一層及び第二層の厚さ(被
覆厚[mm])を示すとともに、耐火性能などの実験を
行なって得た耐火層の性能を示した。尚、表中の配合を
示す数値は重量部を意味する。また、試験体の作成の際
に、軽量モルタルの使用に当たっては、水と混練した後
に塗り付けた。
【0052】更に、試験項目及び性能の評価は、下記の
様にした。 <試験項目と判定基準について> (1)耐火被覆施工性 1時間耐火性能の必要厚さに被覆する際の、耐火被覆施
工作業に要する作業の難易で判定した。
【0053】 ○;必要被覆をする際、ズレや垂れにより被覆作業を制
限されず、施工性が良い。 △;必要被覆をする際、ズレや垂れにより被覆作業を多
少制限され、施工性がやや悪い。
【0054】 ×;必要被覆をする際、ズレや垂れにより被覆作業を制
限され、施工性が悪い。 (2)仕上がり感 本発明の「軽量モルタル+発泡性耐火塗料」の場合は軽
量モルタルをコテ塗りした後発泡性耐火塗料を吹き付け
て仕上げ、「発泡性耐火塗料」単独の場合は発泡性耐火
塗料を吹き付けて仕上げ、それ以外の比較例の場合はコ
テ塗りまたは吹き付け後コテ押えして仕上げた後の仕上
がりの状態を目視で判断した。
【0055】 ○;表面が平滑でかつ緻密で色調の均一性があり意匠的
に優れる。 △;表面が平滑ではあるが、白華などにより色ムラを生
じ意匠的にやや劣る。 ×;表面がポーラスで見苦しく、吹き付けの密度差や白
華などにより色ムラも生じ意匠的に劣る。 (3)通常環境での耐久性 鉄骨柱(H300×300×10×15mm、長さ18
00mm)に被覆した後、室内で暴露を実施して判断し
た。
【0056】 ○;半年の暴露で剥離や変色などの異状がない。 △;半年の暴露で表面的にチョーキングや白華などの変
化を生じる。 ×;半年の暴露で表面的にチョーキングや白華などの変
化を生じ、さらに部分的な剥離を生じる。 (4)通常環境での付着性 実施例、比較例に示す所定の被覆をしたものを、通常環
境の室内で1カ月間養生した後、標準状態における付着
性を、縦100×横100mmのアタッチメントを使用
して、山本扛重機社製の建研式接着力試験器(LPT−
1500)により3ヶ所測定して、平均値を下記の基準
で判定した。
【0057】 ○;100g/cm2以上 △;50〜99g/cm2 ×;49g/cm2以下 (5)加熱後の被覆層保持性 鉄骨柱(H300×300×10×15mm、長さ18
00mm)に被覆した試験体を、建設省告示第2999
号に規定の耐火試験の加熱試験方法に準じて1時間耐火
試験を実施した後の耐火被覆材層の保持性で判断した。
【0058】 ○;試験で耐火上有害とみなされる剥離や割れなどの異
状がなく良好である。 △;試験で部分的、表面的な剥離を生じ、耐火上有害に
なる可能性がある。 ×;試験で耐火上有害とみなされる剥離や割れを生じ
る。 (6)耐火性能 柱構造用H型鋼(H300×300×10×15mm、
長さ1800mm)に被覆した試験体を、建設省告示第
2999号に規定する建築構造部分の耐火試験方法の加
熱曲線に準じて1時間の加熱試験をして鋼材の21箇所
のピーク温度の平均値で判定した。
【0059】 ○;鋼材の21箇所の平均温度が350℃以下 △;鋼材の21箇所の平均温度が351℃〜450℃ ×;鋼材の21箇所の平均温度が451℃以上
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】<実験例2>また、以下に、上記実施例1
〜25及び比較例1〜10以外に行った実施例26〜3
2の構成、及び上記(1)〜(6)の試験項目の実験結
果について記載した。
【0066】この実験例2は、軽量モルタル+発泡性耐
火塗料の組み合わせで、それらの厚みを変化させた場合
である。尚、その評価については、下記表8に記した。 (実施例26)構成;実施例1において、第一層として
の軽量モルタルを15mmと第二層の発泡性耐火塗料の
厚さを1.2mmとの組み合せの場合。 (実施例27)構成;実施例6において、第一層として
の軽量モルタルを15mmと第二層の発泡性耐火塗料の
厚さを1.2mmとの組み合せの場合。 (実施例28)構成;実施例11において、第一層とし
ての軽量モルタルを15mmと第二層の発泡性耐火塗料
の厚さを0.8mmとの組み合せの場合。 (実施例29)構成;実施例16において、第一層とし
ての軽量モルタルを15mmと第二層の発泡性耐火塗料
の厚さを1.2mmとの組み合せの場合。 (実施例30)構成;実施例2において、第一層として
の軽量モルタルを5mmと第二層の発泡性耐火塗料の厚
さを2.5mmとの組み合せの場合。 (実施例31)構成;実施例7において、第一層として
の軽量モルタルを5mmと第二層の発泡性耐火塗料の厚
さを3.0mmとの組み合せの場合。 (実施例32)構成;実施例12において、第一層とし
ての軽量モルタルを5mmと第二層の発泡性耐火塗料の
厚さを2.5mmとの組み合せの場合。
【0067】
【表8】
【0068】<実験例3>また、以下に、実施例33〜
36,比較例11〜14の構成及びその実験結果につい
て記載した。この実験例3は、軽量モルタル+発泡性耐
火塗料の組み合わせで、出隅部を曲線状又は直線状に面
取りなどした場合である。尚、ここで比較例11〜14
とは、出隅部を曲線状又は直線状に面取りなどした場合
に対する比較例であり、組成及び層の厚さなどに関して
は上述した実施例の範囲である。
【0069】また、その評価については、下記表9に記
したが、この実験では、上記(1)〜(6)の試験項目
に加えて、下記(7)の試験項目を加えた。 (7)加熱後の出隅部の状態 (実施例33〜36,比較例11〜14についての評
価)上記試験項目(5)の加熱後の被覆層保持性の試験
において、特に出隅部について観察し、下記の基準で評
価した。
【0070】 ○;出隅部も平坦部と同様にほぼ均一な発泡であり、肌
分かれや剥離の異常がない。 △;出隅部に多少の肌分かれを生じる。 ×;出隅部に肌分かれや剥離の異常を生じる。 (実施例33)構成;実施例1において、第一層として
の軽量モルタルを10mmとし、出隅部を2mmの曲線
状にした後、第二層の発泡性耐火塗料の厚さを2.0m
mで仕上げた場合。 (実施例34)構成;実施例6において、第一層として
の軽量モルタルを10mmとし、出隅部を2mmの曲線
状にした後、第二層の発泡性耐火塗料の厚さを2.0m
mで仕上げた場合。 (実施例35)構成;実施例6において、第一層として
の軽量モルタルを10mmとし、出隅部を2mmの直線
状に面取りをした後、第二層の発泡性耐火塗料の厚さを
2.0mmで仕上げた場合。 (実施例36)構成;実施例11において、第一層とし
ての軽量モルタルを10mmとし、出隅部を2mmの直
線状に面取りをした後、第二層の発泡性耐火塗料の厚さ
を1.5mmで仕上げた場合。 (比較例11)構成;実施例1において、第一層として
の軽量モルタルを10mmとし、出隅部を直角にした
後、第二層の発泡性耐火塗料の厚さを2.0mmで仕上
げた場合の出隅部についての評価を加えたもの。 (比較例12)構成;実施例11において、第一層とし
ての軽量モルタルを10mmとし、出隅部を直角にした
後、第二層の発泡性耐火塗料の厚さを1.5mmで仕上
げた場合の出隅部についての評価を加えたもの。 (比較例13)構成;比較例2において、発泡性耐火塗
料の厚さを5.0mmで仕上げた場合の出隅部について
の評価を加えたもの。 (比較例14)構成;比較例6において、発泡性耐火塗
料の厚さを5.0mmで仕上げた場合の出隅部について
の評価を加えたもの。
【0071】
【表9】
【0072】<実験例4>また、以下に、実施例37〜
38,比較例15〜16の構成及びその実験結果につい
て記載した。尚、その評価については、下記表10に記
載した。この実験例4は、軽量モルタル+発泡性耐火塗
料の組み合わせで、実験例1に示す試験項目(1)〜
(6)項のうち、(1)〜(4)項は実験例1に準じて
同様に行ない、(5)項,(6)項の耐火試験によるも
のは同法に基づき2時間の加熱試験をして、(5)項に
ついては試験した後の被覆層の保持性を評価し、(6)
項については鋼材温度のピーク値の平均温度を評価した
ものである。尚、評価基準は実験例1と同じである。 (実施例37)構成;実施例1において、第一層として
の軽量モルタルを20mmとし、第二層の発泡性耐火塗
料の厚さを3.0mmで仕上げた場合。 (実施例38)構成;実施例11において、第一層とし
ての軽量モルタルを20mmとし、第二層の発泡性耐火
塗料の厚さを2.5mmで仕上げた場合。 (比較例15)構成;比較例2において、発泡性耐火塗
料の厚さを7.0mmで仕上げた場合。 (比較例16)構成;比較例6において、発泡性耐火塗
料の厚さを7.0mmで仕上げた場合。
【0073】
【表10】
【0074】<実験例5>また、以下に、実施例39〜
40,比較例17〜18の構成及びその実験結果につい
て記載した。尚、その評価については、下記表11に記
載した。この実験例5は、軽量モルタル+発泡性耐火塗
料の組み合わせで、実験例1に示す試験項目(1)〜
(6)項のうち、(1)〜(4)項は実験例1に準じて
同様に行ない、(5)項,(6)項の耐火試験によるも
のは同法に基づき3時間の加熱試験をして、(5)項に
ついては試験した後の被覆層の保持性を評価し、(6)
項については鋼材温度のピーク値の平均温度を評価した
ものである。尚、評価基準は実験例1と同じである。 (実施例39)構成;実施例1において、第一層として
の軽量モルタルを25mmとし、第二層の発泡性耐火塗
料の厚さを4.5mmで仕上げた場合。 (実施例40)構成;実施例11において、第一層とし
ての軽量モルタルを20mmとし、第二層の発泡性耐火
塗料の厚さを4.5mmで仕上げた場合。 (比較例17)構成;比較例2において、発泡性耐火塗
料の厚さを10.0mmで仕上げた場合。 (比較例18)構成;比較例6において、発泡性耐火塗
料の厚さを10.0mmで仕上げた場合。
【0075】
【表11】
【0076】<実験例6>また、以下に、実施例41〜
42,比較例19〜20の構成及びその実験結果につい
て記載した。尚、その評価については、下記表12に記
載した。この実験例6は、請求項6の発明について説明
したもので、試験項目と方法と評価については、実験例
1の(1)〜(6)の試験項目に加えて、下記(8)の
試験項目を加えた。
【0077】(8)通常環境での仲介的接着性 所定の要領により鉄板に被覆したものを、通常環境の室
内で1カ月間養生した後、図4に示す様に、測定部分に
切り込みを入れて、標準状態における仲介的接着性を縦
70×横70mmのアタッチメントを使用して、山本扛
重機社製の建研式接着力試験器(LPT−1500)に
より3ヶ所測定して、平均値を示した。 (実施例41)実施例1において軽量モルタルを9.5
mm塗装した後に、気乾状態にし、下記の組成の中塗り
塗料1を0.5mm仲介的に塗装し、その乾燥後、更に
実施例1の発泡性耐火塗料を2.0mm塗装し養生した
ものを、前述した実験例と同様の試験をしてその性能を
評価した。
【0078】 中塗り塗料1 (重量%) 結合剤A ;三井東圧化学社製 アルマテックスZ115 30.0 水 ; 17.3 溶剤 ;ブチルカルビトールアセテート 2.0 二酸化チタン ;石原産業社製 タイペークR−820 10.0 炭酸カルシウム;備北粉化工業社製 ソフロン100 40.0 分散剤 ;サンノプコ社製 ノプコサントK 0.2 湿潤剤 ;サンノプコ社製 ノプコウエット50 0.2 消泡剤 ;サンノプコ社製 ノプコ8034L 0.1 増粘剤 ;信越化学工業社製 メトローズSM1500 0.2 (実施例42)実施例17において軽量モルタルを9.
0mm塗装した後に、気乾状態にし、下記の組成の中塗
り塗料2を1.0mm仲介的に塗装し、その乾燥後、更
に実施例17の発泡性耐火塗料を2.0mm塗装し養生
したものを、前述した実験例と同様の試験をしてその性
能を評価した。
【0079】 中塗り塗料2 (重量%) 結合剤A ;三井東圧化学社製 アルマテックスZ115 20.0 結合剤B ;日本セメント社製 アサノホワイトセメント 40.0 シラスバルーン;三機工業社製 サンキライトB03 10.0 炭素繊維 ;三菱化成社製 ダイアリード繊維長3mm品 1.0 水 ; 28.3 分散剤 ;サンノプコ社製 ノプコサントK 0.2 湿潤剤 ;サンノプコ社製 ノプコウエット50 0.2 消泡剤 ;サンノプコ社製 ノプコ8034L 0.1 増粘剤 ;信越化学工業社製 メトローズSM1500 0.2 (比較例19)実施例1の組み合せについて、試験項目
の(8)のみを追加して、非発泡性耐火被覆材層と発泡
性耐火塗料層の境界面の評価をした。 (比較例20)実施例17の組み合せについて、試験項
目の(8)のみを追加して、非発泡性耐火被覆材層と発
泡性耐火塗料層の境界面の評価をした。
【0080】
【表12】
【0081】ここで、上記実験に使用した材料について
詳しく述べる。 <使用原料> ポルトランドセメント ;日本セメント社製 普通ポルトランドセメント 再乳化形樹脂 ;ヘキスト合成社製 モビニールDM−200 パーライト ;三井金属鉱業社製 三井パーライトC 焼成ひる石 ;日宝蛭石社製 ヒルコン2号 ドロマイトプラスター ;JIS A 6903 上塗用適合品 炭酸カルシウム ;備北粉化工業社製 ソフロン1000 メチルセルロース ;信越化学工業社製 メトローズSM1500 耐アルカリ性ガラス繊維;日東紡績社製 CSV13PB800 発泡スチロール粒 ;平均粒径1.2mm、かさ比重0.067 シラスバルーン ;三機工業社製 サンキライトB03 水酸化アルミニウム ;昭和電工社製 ハイジライトH−10 ベントナイト ;クニミネ工業社製 クニゲルVS 炭素繊維 ;三菱化成社製 ダイアリードK661 繊維長10mm 硅砂 ;硅砂6号 樹脂結合剤1 ;アクリル樹脂エマルションによる結合成分;ヘキス ト合成社製モビニール747による樹脂固形成分 樹脂結合剤2 ;ポリオール混合物とイソシアネートによる結合成分 ;伊東製油社製のヒマシ油を72重量部と旭電化社 製のアデカレジン6060を19重量部と3,3’ −ジクロロ4,4’−ジアミノフェニルメタンを8 重量部と4,4’−メチレンジアニリンを1重量部 の混合物に三井東圧化学社製のイソシアネートCR 200を使用して、ポリオール混合物とイソシアネ ートの使用比率はポリオール混合物の水酸基とアミ ノ基の合計モル数に対するイソシアネート基の合計 モル数の比が1になるように選んだ樹脂固形成分 樹脂結合剤3 ;エポキシ樹脂とその硬化剤による結合成分;カネボ ウエヌエスシー社製エポルションEA1を100重 量部に同社製エポルションEB1を80重量部の割 合で使用した結合剤による樹脂固形成分 樹脂結合剤4 ;塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂エマルションによ る結合成分;ヘキスト合成社製モビール190Eに よる樹脂固形成分 樹脂結合剤5 ;塩ゴム樹脂による結合成分;旭電化社製アデカ塩化 ゴム樹脂CR−5を60重量部に可塑剤として塩素 パラ70を40重量部の割合で使用した結合剤によ る樹脂固形成分 メラミン樹脂粉末 ;三井東圧化学社製 メルマイト粉末 膨張黒鉛 ;中越黒鉛工業社製 膨張黒鉛SMF リン化合物 ;ヘキストジャパン社製 EXOLIT462(マイ クロカプセル化ポリリン酸アンモニウム) 偏平マイカ微粉末 ;クラレ社製 スゾライトマイカ200S 粒状水ガラス ;Na2O:SiO2=1:3.9(モル比)の組成の 粒状水ガラス(粒径0.8mm)をステアリン酸カ ルシウムで耐水化処理したもの ガラス繊維 ;日東紡績社製 ガラス繊維長さ3mm品 炭化ケイ素微粉末 ;東海カーボン社製 炭化ケイ素微粉末 チタン白 ;石原産業社製 タイペークR−820 シラス粉末 ;イヂチ化成社製 シラス粉末200メッシュ品 真珠岩粉末 ;三井金属工業社製 真珠岩粉砕200メッシュ品 上述した実験例から明かな様に、本実施例のものは、被
覆施工性,仕上がり感,通常環境での耐久性,通常環境
での付着性,加熱後の被覆層保持性及び耐火性能の全て
に優れた性能を有しており好適である。特に、出隅部に
曲線状又は直線状に面取りを施したものは、加熱後の出
隅部の状態が優れおり、一層好適である。それに対して
比較例のものは、全ての点で優れたものはなく、必ずし
も好ましくない。尚、上記比較例11〜12は、出隅部
に曲線状又は直線状に面取りを施したものに対する比較
例であるので、全般的な耐火性能は優れている。また、
中塗り塗料層を有するものは、接着性に優れていること
は明らかである。
【0082】以上本発明の一実施例を説明したが、本発
明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲
内の種々なる態様を採用することができる。
【0083】
【発明の効果】上記詳述した様に、請求項1の発明によ
れば、基本構造体の表面側に非発泡性耐火被覆材層を備
えるとともに、非発泡性耐火被覆材層の表面側に発泡性
耐火塗料層を備えているので、耐火性能を十分に確保し
た上で、両層からなる耐火層の厚さを薄くすることがで
きる。これは、単に非発泡性耐火被覆材層と発泡性耐火
塗料層とを組み合わせた以上の相乗的効果を発揮する。
また、表面化粧性を兼備でき経済的にも有利である。
【0084】請求項2の発明では、柱又は梁の鉄骨の構
造体の表面に、非発泡性耐火被覆材層及び発泡性耐火塗
料層を設けるので、両層からなる耐火層を薄くできるに
もかかわらず、鉄骨に対する耐火性能が向上する。請求
項3の発明では、壁又は床の一部に鉄を含む基本構造体
の表面に、非発泡性耐火被覆材層及び発泡性耐火塗料層
を設けるので、両層からなる耐火層を薄くできるにもか
かわらず、壁又は床に対する耐火性能が向上する。
【0085】請求項4の発明によれば、非発泡性耐火被
覆材が複合軽量骨材混入モルタルであり、その成分中に
有機質発泡体粉末又は粒を含む組成であるので、施工時
においてその水・セメント比を小さくでき、一度に40
mm厚程度まで厚く吹き付けできるというメリットの
他、軽量モルタルの強度の立ち上がりが早いという特性
も加わり、本発明の様に、第二層として発泡性耐火塗料
を組み合わせた構造体やその工法には最も好適なもので
ある。
【0086】請求項5の発明によれば、非発泡性耐火被
覆材層と発泡性耐火塗料層との厚さが、建設省告示第2
999号に規定する耐火試験方法による耐火構造の性能
区分に応じて、上述した表1の厚さであるので、耐火層
が薄いにもかかわらず、優れた1,2,3時間耐火性能
を発揮できる。
【0087】請求項6の発明によれば、主に非発泡性耐
火被覆材層に対し発泡性耐火塗料を施工する際の吸い込
みムラ防止や、上塗りとなる発泡性耐火塗料の結合剤が
アルカリに弱いアルキッド系樹脂などを使用した場合の
アルカリの移行防止や、非発泡性耐火被覆材層に対する
発泡性耐火塗料の接着性を改善する効果がある。
【0088】請求項7の発明によれば、非発泡性耐火被
覆材層の出隅部に対して、曲線状又は直線状に面取りを
施し、中塗り塗料層を介し又は介さずして、この出隅部
の表面に発泡性耐火塗料層をほぼ均一の厚さに形成する
ので、火災時などには、出隅部の発泡性耐火塗料の発泡
源が不足して薄くなったり、割れたり、肌分かれしする
ことがなく、確実に耐火性能を発揮できる。
【0089】請求項8の発明では、基本構造体の表面側
を非発泡性耐火被覆材で覆った後に、中塗り塗料層を介
し又は介さずして、この非発泡性耐火被覆材の表面側を
発泡性耐火塗料で覆うので、両層からなる耐火層を極め
て簡単な作業で容易に形成できることになる。また、新
たな化粧塗装を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の耐火被覆構造体を示す斜視
図である。
【図2】 H形鋼の耐火被覆構造体を示し、(a)はそ
の断面図、(b)はその一部を拡大して示す断面図であ
る。
【図3】 角形鋼の耐火被覆構造体を示す断面図であ
る。
【図4】 接着性の測定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1,21…鋼材 3,25…非発泡性
耐火被覆材層 5,29…発泡性耐火塗料層 7…耐火層 9,23…角部 11,27…出隅部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000251277 スズカファイン株式会社 三重県四日市市塩浜町1番地 (71)出願人 592067395 日本化成株式会社 東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 (71)出願人 394003667 日本プラスター株式会社 栃木県安蘇郡葛生町宮下町七番八号 (71)出願人 390025612 富士川建材工業株式会社 神奈川県横浜市金沢区鳥浜町13番地 (71)出願人 000174932 三井金属塗料化学株式会社 東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号 (72)発明者 高尾 善博 千葉県佐倉市大作二丁目4番2号 株式会 社小野田開発研究所内 (72)発明者 井上 照郷 東京都大田区北糀谷一丁目9番13号 恒和 化学工業株式会社技術研究所内 (72)発明者 時本 徳寿 岐阜県各務原市松本町二丁目457番地 菊 水化学工業株式会社技術開発部内 (72)発明者 矢田 武美 三重県四日市市塩浜町一番地 スズカファ イン株式会社技術本部内 (72)発明者 森脇 貴志 埼玉県比企郡滑川町大字都25番11号 日本 化成株式会社中央研究所内 (72)発明者 奥山 國之 栃木県阿蘇郡葛生町宮下町七番八号 日本 プラスター株式会社内 (72)発明者 原田 進 神奈川県横浜市金沢区鳥浜町13番地 富士 川建材工業株式会社技術部内 (72)発明者 田畑 公三 千葉県舟橋市西浦三丁目7番1号 三井金 属塗料化学株式会社技術本部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部又は全体に鉄を使用した基本構造体
    と、該基本構造体の表面側に設けられた非発泡性耐火被
    覆材層と、該非発泡性耐火被覆材層の表面側に設けられ
    た発泡性耐火塗料層と、を備えたことを特徴とするハイ
    ブリッド耐火被覆構造体。
  2. 【請求項2】 上記基本構造体が、鉄骨の柱又は梁であ
    ることを特徴とする上記請求項1記載のハイブリッド耐
    火被覆構造体。
  3. 【請求項3】 上記基本構造体が、一部に鉄を含む壁又
    は床であることを特徴とする上記請求項1記載のハイブ
    リッド耐火被覆構造体。
  4. 【請求項4】 上記非発泡性耐火被覆材が、複合軽量骨
    材混入モルタルであり、その成分中に有機質発泡体粉末
    又は粒を含むことを特徴とする上記請求項1ないし3の
    いずれか記載のハイブリッド耐火被覆構造体。
  5. 【請求項5】 上記非発泡性耐火被覆材層と発泡性耐火
    塗料層との厚さが、建設省告示第2999号に規定する
    耐火試験方法による耐火構造の性能区分に応じて、下記
    表1の厚さであることを特徴とする上記請求項1ないし
    4のいずれか記載のハイブリッド耐火被覆構造体。 【表1】
  6. 【請求項6】 上記基本構造体が、非発泡性耐火被覆材
    層と発泡性耐火塗料層との中間に仲介的に中塗り塗料層
    を有することを特徴とする上記請求項1ないし5のいず
    れか記載のハイブリッド耐火被覆構造体。
  7. 【請求項7】 上記基本構造体の角部を覆う非発泡性耐
    火被覆材層の出隅部に対して、曲線状又は直線状に面取
    りを施し、該面取りを施した出隅部の表面に、上記中塗
    り塗料層を介し又は介さずして、発泡性耐火塗料層をほ
    ぼ均一の厚さに形成したことを特徴とする上記請求項1
    ないし6のいずれか記載のハイブリッド耐火被覆構造
    体。
  8. 【請求項8】 一部又は全体に鉄を使用した基本構造体
    の表面側を、非発泡性耐火被覆材で覆った後に、上記中
    塗り塗料層を介し又は介さずして、該非発泡性耐火被覆
    材の表面側を発泡性耐火塗料で覆ったことを特徴とする
    ハイブリッド耐火被覆工法。
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