JPH1122191A - 棒状又は線状の支持部材を用いた係止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 棒状又は線状の支持部材を用いた係止の緊締
と係止位置の調節を簡単に行う。 【解決手段】 この発明は棒状又は線状の支持部材２
に、該支持部材２上で被係止部材を位置決め係止する緊
締部材７を軸方向移動自在に外挿した構造に関するもの
である。そして上記緊締部材７は被係止部材１ａを受け
止めて位置決めする受部材１１と、受部材１１と相対的
に軸方向移動して嵌合し合うことにより支持部材２の外
周に押接固定される爪部材１２と、前記受部材１１と同
芯的に螺合し合うことにより上記爪部材１２と受部材１
１を同一軸芯まわりで押接させる押圧部材１３とで構成
される。上記受部材１１と爪部材１２は互いに他方と押
接嵌合することによって、受部材１１側への爪部材１２
の押し込み作動により爪部材１２の内周が縮径するよう
に爪部材１２と受部材１１との嵌合面の少なくとも一方
をテーパー面に形成している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えばコンクリ
ート型枠のセパレータ等のように２つの板状部材を所定
間隔に保って緊締する場合のほか、軽量鉄骨部材や天井
板等を上方の固定部に吊持せしめるために使用する場合
又はワイヤロープ，線材等の端部又は途中で他の部材等
を受け止めて定位置に係止するための棒状又は線状の支
持部材を用いた係止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来例
えばコンクリート型枠のセパレータ等において一方の枠
板を他方に対して位置決めする際に、セパレターボルト
の外周に、外周がテーパー面をなす割ナットを螺合し、
該割ナットをテーパーを形成したスリーブ内に押し込む
ことによって割ナットをセパレータボルト上に押圧固定
して板の相対的な位置決めを行う方法が知られている
（実開平２−１１９５１５号，実開平６−７１７６０号
等）。またワイヤロープの端部や途中に物を係止して位
置決めする係止部では、ワイヤロープに鉛等で玉状部を
ろう付状に付着形成し、又はリング状の金具をかしめ固
定する等の方法、さらにワイヤに結び目による玉状部を
形成する等の方法が知られている。

【０００３】しかし上記のような緊締式の係止構造では
セパレータ自体に必ずねじ切りをしたボルトを用いる必
要であるほか、割ナットにもねじ切りが必要であり、さ
らに割ナットを軸方向に移動調節するにはセパレータボ
ルト上をねじのリードに応じてその都度回転操作しなけ
ればならない等の不都合があった。さらにワイヤ上にか
しめや結びによる玉状部を形成したものは、係止部の位
置が固定的で調節ができないほか、これを除去した場合
ワイヤに変形部や破損部が残るという欠点がある。この
発明は上記問題点を解消し、割ナット等の軸方向移動に
際しその移動のための独自のねじ操作を必要とせず、し
かもセパレータボルトのように棒状部材にねじ切りを施
す必要のない緊締装置を提供せんとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明装置は、第１に棒状又は線状の支持部材２に、
該支持部材２上で被係止部材を位置決め係止する緊締部
材７を軸方向移動自在に外挿した構造において、上記緊
締部材７が被係止部材１ａを受け止めて位置決めする受
部材１１と、受部材１１と相対的に軸方向移動して嵌合
し合うことにより支持部材２の外周に押接固定される爪
部材１２と、前記受部材１１と同芯的に螺合し合うこと
により上記爪部材１２と受部材１１を同一軸芯まわりで
押接させる押圧部材１３とで構成されることを特徴とし
ている。

【０００５】第２に受部材１１と爪部材１２が互いに他
方と押接嵌合することによって、受部材１１側への爪部
材１２の押し込み作動により爪部材１２の内周が縮径す
るように爪部材１２と受部材１１との嵌合面の少なくと
も一方をテーパー面に形成してなることを特徴としてい
る。

【０００６】第３に爪部材１２の外側端側を押圧部材１
３の外側端側に挿入して取り付けたことを特徴としてい
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１（Ａ）は本発明装置のコンク
リート型枠への応用例を示す断面図で、所定間隔を介し
て整型される２枚の型枠用パネル（被係止部材）１ａ，
１ｂには、セパレータボルトに相当する棒状又は線状の
高張力鋼材（例えばＨＲＣ３８〜４０）等からなる支持
部材２が孔３を介して挿通される。

【０００８】同図の例ではパネル１ａ，１ｂ内面側には
ワッシャー４が、また該ワッシャー４，４間にはパイプ
からなるスペーサ６が支持部材２に挿通されて設けら
れ、このワッシャー４，４とスペーサ６とによってパネ
ル１ａ，１ｂの内側の間隔が規制される。このワッシャ
ー４はスペーサ６と一体的にフランジ部として固着構成
されていても良い。さらに上記パネル１ａ，１ｂの外側
における支持部材２の突出端にはそれぞれパネル１ａ，
１ｂの外側から位置決めするように、支持部材２上に軸
方向スライド移動調節自在に着脱固定される緊締部材
７，７が各外挿されている。

【０００９】上記緊締部材７は支持部材２の両突出端に
取り付けられているが、いずれか一方のみに設けること
も可能で、他方の端部（固定端）側は図１（Ｂ）に示す
ようにヘッド８を形成して孔３の外側面に係止固定する
構造にすることができ、この場合緊締部材７を取り付け
る側のみが可動係止端となる。

【００１０】緊締部材７は図１（Ａ），図２に示すよう
にパネル側に位置するナット部１０付のスリーブ９から
なる受部材１１と、内端が該受部材１１のスリーブ９内
に挿入され円錐状に周面からテーパー面をなす爪部材１
２と、該爪部材１２の外端を収容してスリーブ内に押し
込むナット状の押圧部材１３と、爪部材１２の外端外周
に弾力的に係脱されるスナップリング１４とで構成され
る。

【００１１】以下上記緊締部材７の構成につき詳述する
と、爪部材１２は軸受メタル状に２つ割りに分割構成さ
れ、内部に支持部材２をスライド自在に挿通する構造と
なっており、その外周面と受部材１１のスリーブ９の内
面は互いに適合し合う内側方向きに小径（外側方向きに
大径）となっているテーパー面を形成し、スリーブ９内
に押し込み移動することによりテーパー面によって内径
が縮小されて爪部材１２が支持部材２に押圧固定され
る。また爪部材１２はスリーブ９の内面と摺接するので
耐摩耗性のある硬質のクローム・モリブデン鋼等が望ま
しい。

【００１２】爪部材１２の両端には比較的細径のボス状
の案内部１２ａ，１２ｂが形成され、先端（内側端）側
は受部材１１内のストレートの内周部に、また基端（外
側端）側は押圧部材１３の外側端側に形成された小径孔
１３ａ内に挿脱自在に嵌合される。そして上記外側端側
案内部１２ａの突出端にはスナップリング（Ｃリング）
１４を係脱係止するリング溝１２ｃが形成され、分割さ
れた爪部材１２が押圧部材１３側に係脱可能に取り付け
られる状態となっている。

【００１３】また押圧部材１３の内側端側は皿状の中空
部１３ｂを形成し、その内周とスリーブ９の外周には互
いに螺合し合うねじ部１３ｃ，９ａが形成され、爪部材
１２を取り付けた状態で押圧部材１３を受部材１１側に
ねじ込むことにより、爪部材１２がスリーブ９内に押し
込まれ、爪部材１２の支持部材２への締め付け固定が行
われる。この固定は緊締部材７を支持部材２上の任意の
位置に停止させて行うことができるので、被係止部材で
あるパネル１ａ，１ｂも任意の間隔で外側方向への移動
を規制するように位置決めできる。

【００１４】上記実施例ではコンクリート型枠の型枠パ
ネルの緊締又は位置決めについて述べたが、この他に天
井板の吊り下げや強い締付固定が必要でない固定物に対
する軽量鉄骨の組み付け、その他ワイヤロープ等を挿通
して構造材その他の部材を係止して位置決めする場合、
あるいはワイヤの一端を係止位置調節自在に係止する場
合等にも使用できる。また被係止部材を常に定位置で支
持する場合は、支持部材の寸法を一定に揃えておき、緊
締部材の外側端面と支持部材の端面とを同平面上に揃え
て固定することにより、緊締部材７の固定位置の調節が
不要となる。

【００１５】

【発明の効果】以上のように構成される本発明の装置に
よれば、緊締部材が支持部材上の任意の位置にスライド
させて停止できる構造なので、従来のセパレータボルト
や割ナットのようにねじ切りが必要なく、また緊締の位
置決めの操作もねじ操作の回転も不要である等製造面で
も操作面でも優れている。そしてワイヤロープ等に付設
した係止部（装置）の位置を調節移動させた場合や取り
外した場合でも、ワイヤ部材に変形部や損傷部を残さな
いという利点を有している。また支持部材に単純な棒材
又は細径の線材，ワイヤロープ等が使用できるので、コ
ンクリート型枠等では脱型後の支持部材の抜き取りも簡
単であるほか、ボルトやナットによる締着と異なり、支
持部材はもとより緊締部材そのものが繰り返し使用でき
る利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本発明の一実施形態を示すコンクリー
ト型枠の整型状態を示す拡大断面図、（Ｂ）はその一部
変形例を示すものである。

【図２】本発明装置の要部を示す分解断面斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ パネル（被係止部材） ２ 支持部材 ７ 緊締部材 １１ 受部材 １２ 爪部材 １３ 押圧部材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 棒状又は線状の支持部材（２）に、該支
   持部材（２）上で被係止部材を位置決め係止する緊締部
   材（７）を軸方向移動自在に外挿した構造において、上
   記緊締部材（７）が被係止部材（１ａ）を受け止めて位
   置決めする受部材（１１）と、受部材（１１）と相対的
   に軸方向移動して嵌合し合うことにより支持部材（２）
   の外周に押接固定される爪部材（１２）と、前記受部材
   （１１）と同芯的に螺合し合うことにより上記爪部材
   （１２）と受部材（１１）を同一軸芯まわりで押接させ
   る押圧部材（１３）とで構成される棒状又は線状の支持
   部材を用いた係止装置。
2. 【請求項２】 受部材（１１）と爪部材（１２）が互い
   に他方と押接嵌合することによって、受部材（１１）側
   への爪部材（１２）の押し込み作動により爪部材（１
   ２）の内周が縮径するように爪部材（１２）と受部材
   （１１）との嵌合面の少なくとも一方をテーパー面に形
   成してなる請求項１の棒状又は線状の支持部材を用いた
   係止装置。
3. 【請求項３】 爪部材（１２）の外側端側を押圧部材
   （１３）の外側端側に挿入して取り付けた請求項１又は
   ２の棒状又は線状の支持部材を用いた係止装置。