JPH1121844A

JPH1121844A - 養浜用防波堤

Info

Publication number: JPH1121844A
Application number: JP9174249A
Authority: JP
Inventors: Setsuo Iwata; 節雄岩田; Tosaburo Sato; 東三郎佐藤
Original assignee: Hitachi Zosen Corp
Current assignee: Hitachi Zosen Corp
Priority date: 1997-06-30
Filing date: 1997-06-30
Publication date: 1999-01-26

Abstract

(57)【要約】【課題】養浜すべき海岸へ容易に設置することができ
ると共に砂浜が造成された海岸から容易に撤去すること
ができ、また、周囲の景観を損なうことなく安全に海岸
を養浜することができる養浜用防波堤を提供することを
目的とする。【解決手段】本発明の養浜用防波堤１は、台板２と、
この台板２上に設けて該台板２の表面側を覆い、内部に
所要の容積を有する中空部を形成するシェル３とを備
え、このシェル３の表面には中空部に土砂を充填するた
めの開孔３ｂを設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、容易に設置及び撤
去が可能で、しかも景観を損なうことがなく、安全に使
用することができる養浜用防波堤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年では河川上流にダムが多く建設され
てきたので、これに伴って河川下流すなわち海岸への土
砂供給量が減少している。一方、海岸では波食作用を受
けて土砂が浸食されている。従って、これらの原因によ
って海岸の砂浜がやせる現象が生じている。そこで、従
来から、図８に示すように、海岸側から海側へと積み上
げたテトラポットＴの集合体でなる防波堤５０を築いて
上記現象の進行を抑制している。この防波堤５０は、テ
トラポットＴにより、波が打ち消されて波食の進行が抑
制され、結果として河川上流から供給された土砂が蓄え
られて養浜海岸が造成されることとなる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、テトラ
ポットを積み上げて築いた上記防波堤では、その防波堤
そのものの外観が見苦しいといった問題がある。また、
従来の防波堤は、テトラポットを積み上げる作業に手間
がかかり、また、防波堤上での足場が非常に悪く危険で
あるばかりか、養浜後にテトラポットを撤去したりする
作業に手間がかかるといった問題があった。

【０００４】本発明は、上記の問題を解決するものであ
り、養浜すべき海岸へ容易に設置することができると共
に砂浜が造成された海岸から容易に撤去することがで
き、また、周囲の景観を損なうことなく安全に海岸を養
浜することができる養浜用防波堤を提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、台板と、この台板の表面側を覆って内
部に所要の容積を有する中空部を形成するシェルとを備
え、このシェルの表面に開孔を設けたのである。そし
て、所定位置まで曳航し、中空部に土砂を充填すれば、
防波堤を容易に設置することができ、砂浜が造成された
後には土砂を吸い出すことで容易に撤去できる。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の養浜用防波堤は、海岸で
の消波と、波食を防止するための養浜用防波堤であっ
て、台板と、この台板上に設けて該台板の表面側を覆
い、内部に所要の容積を有する中空部を形成するシェル
とを備え、このシェルの表面には前記中空部に土砂を挿
入するための開孔を設けたものである。

【０００７】上記構成によれば、養浜用防波堤は、目的
とする位置まで曳航した後、中空部に土砂を充填して海
底に沈降させるだけであるので、設置作業が簡便とな
り、また、撤去時には中空部に充填した土砂を吸い出す
だけで、再び養浜用防波堤が浮上し、曳航可能となるの
で養浜用防波堤を海岸から容易に撤去することができ
る。また、養浜用防波堤は、台板の底面にアンカ爪を設
けることで、養浜用防波堤を確実に固定できる。

【０００８】また、本発明の養浜用防波堤は、必要に応
じて、シェルの表面に矩形状の凹又は凸を形成したり、
また、シェルの表面に円形の凹又は凸を形成したり、ま
た、シェルを台板状に所定間隔を存して複数個並設した
りすることにより、上記作用に加えて波エネルギーを効
果的に減衰させることができ、また、海岸に応じた養浜
用防波堤を作成でき、景観を損なうことがない。

【０００９】

【実施例】以下に本発明の実施例について図１〜図７を
参照して説明する。図１、図２は、本発明の請求項１の
構成に請求項２及び３の構成を付加した養浜用防波堤を
示す。図３は、図１及び図２に示した養浜用防波堤を使
用する状態を示す。図４〜図７は養浜用防波堤の他の構
造を示す。

【００１０】本発明の養浜用防波堤１は、海岸での消波
と、波食を防止するため、海底に設置されるものであ
り、以下の構成となっている。２は、台板であり、例え
ばコンクリート製でなる。この台板２上には、後述のシ
ェル３を保持する鋼製のフレーム２ａが所定間隔を存し
て設けられている。また、台板２の下面には、図示する
ように所定の間隔を存してアンカ爪２ｂが設けられてお
り、このアンカ爪２ｂが設置時に海底に埋没して養浜用
防波堤１を固定している。

【００１１】そして、台板２上には、フレーム２ａに前
述のシェル３が例えば３個に分割されて取り付けられ
る。このシェル３は、例えばコンクリート製でなり、浮
力によって全体が沈まないだけの容積を有することが必
須であり、好ましくは、設置時、シェルの上部が海面よ
り表れた状態に形成して好適である。シェル３は、本実
施例では、例えば半円弧状で一方端へはその円弧の径が
小さくなり、最先端部では、その中空を閉じるような形
状となっている。また、シェル３の半円弧状の両裾部に
は、台板２と該シェル３とをボルトＢで結合するための
挿通孔３ｂが形成されている。

【００１２】さらに、シェル３の上部には、該シェル３
の内面に連通する開孔３ａが設けられており、この開孔
３ａは、養浜用防波堤１を運搬したり、沈降させる際に
状況に応じ、図示しない蓋を取り外したり取り付けたり
することによって開閉できるようになっている。また、
台板２とシェル３、及び分割したシェル３同士とが結合
して接触する部分には、ゴムパッキン３ｃが設けられ、
このゴムパッキン３ｃによって中空部内を水密構造とし
ている。

【００１３】上記構造の養浜用防波堤１は、図２のよう
に組み立てた状態で、図３（ａ）に示すように海面に浮
かべ、この状態で目的とする位置まで曳航される。そし
て、曳航された養浜用防波堤１は、目的とする位置付近
で開孔３ｂを開け、ここから土砂を中空部へと充填する
と、図３（ｂ）に示すように、沈降してアンカ爪２ｂが
海底に埋没し、かつシェル３の上部が海面上に表れた状
態で強固に固定される。その後、図示しない蓋を閉めて
開孔３ａを閉じ、養浜用防波堤１の設置作業が完了す
る。

【００１４】なお、養浜用防波堤１の撤去は、上記開孔
３ａより充填した土砂を吸い出して海上に浮上させ、海
岸から移動させる。

【００１５】上記のように設置された養浜用防波堤１
は、組み立てて容易に目的とする位置へと運ぶことがで
き、また、海底への設置においては、開孔３ａより土砂
を充填するといった簡易な作業によって行われるので、
従来のようにテトラポットを積み上げるといった作業に
比べて作業時間を大幅に短縮することができ、その移動
を簡便に行うことができ、また、シェル３の上部が平坦
となっているので、テトラポットを積み上げた防波堤と
比べて、足場がよく、養浜用防波堤１の上を歩いても安
全である。

【００１６】ところで、上記した養浜用防波堤１を構成
するシェル３の表面形状については特に限定しないが、
滑らかであると波のエネルギーを減勢させる効果が小さ
いので、例えば、図４〜図６に示すようにシェル３の表
面形状を変形すれば、波のエネルギーを効果的に打ち消
すことができる。すなわち、図４に示す養浜用防波堤１
０は、シェル３の表面に矩形状の凹部（又は凸部）を交
差して形成しており、また、図５に示す養浜用防波堤２
０は、シェル３の表面に円形の凹部（又は凸部）を多数
形成したものを示す。

【００１７】また、図６に示す養浜用防波堤３０は、半
球状のシェル３３を台板２上に所定の間隔を存して例え
ば３個設けたものである。この養浜用防波堤３０は、半
球状のシェル３３間の空間を波が横切るときにエネルギ
ーを減勢する。また、図６に示す養浜用防波堤３０は、
図７に示すように、この半円球状のシェル３３の内部か
ら開孔３ａを貫通するように椰子の木などを配置すれ
ば、海岸の景観を損なうことがない。また、海水浴場や
その他レジャー施設に応じた景観に対応させることがで
きる。

【００１８】このように、本発明の養浜用防波堤１，１
０，２０，３０は、台板２と、シェル３，（３３）とを
工場等で製造し、現地で組み立てた後、設置場所まで曳
航し、設置するといった構成としているので、防波堤そ
のものの組み立てが非常に容易で、しかも海岸での設置
に要する工期を大幅に短縮でき、また、全体としてのコ
ストダウンを図ることができる。

【００１９】また、本発明の養浜用防波堤１，１０，２
０，３０の設置については、台板２と、シェル３，（３
３）とでなす中空で得られる浮力によって海上を曳航し
て目的とする場所へ容易に運搬することができ、その設
置場所において、台板２とシェル３とでなす中空内部に
土砂を充填して沈降させて設置することができるので、
簡便であり、また、不必要となった場合には、再度中空
部内の土砂を吸い出して浮力を得て曳航して撤去するこ
とができるので、迅速に撤去することができると共に、
再利用が可能である。

【００２０】さらに、シェル３，（３３）の形状を容易
に変形させることができるので、海岸の景観に柔軟に対
応させることができ、また、消波機能を十分に得ること
ができる。

【００２１】なお、上記した養浜用防波堤１は、例えば
請求項１にのみ対応する態様であれば、養浜用防波堤１
のアンカ爪２ｂを省略した構成となる。アンカ爪２ｂを
省略した場合においても自重によって固定されるので、
問題なく使用することができる。

【００２２】さらに、請求項３乃至請求項５について
は、シェル３の形状についてを規定しているが、その形
状は、消波作用があり、また、台板２と中空が形成可能
な形状であれば、上記実施例形状に限らない。このよう
に、本発明の養浜用防波堤は、請求項１〜５までの構成
を選択的に採用しても、上記実施例と同等の作用、効果
を得ることができる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、本発明の養浜用防波堤
は、台板の表面側を覆い、内部に所要の容積を有する中
空部を形成するシェルを備え、このシェルの表面に中空
部に土砂を充填するための開孔を設けたので、所望の位
置に防波堤を築く際には、曳航して目的位置にて中空部
に土砂を充填して沈降させるだけで容易に作業を完了さ
せることができる。また、撤去も容易であり、さらに、
シェル外形形状を景観に応じて変形することで、海岸の
景観に対応させ易く、また、波エネルギーを減勢させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の養浜用防波堤の概略構成を示す分解斜
視図である。

【図２】本発明の養浜用防波堤を示し、（ａ）は完成状
態の斜視図、（ｂ）は、（ａ）のＡ−Ａ断面図である。

【図３】本発明の養浜用防波堤の設置作業状況であり、
（ａ）は、本発明の養浜用防波堤を曳航する状態を示す
図である。（ｂ）は、海底に沈降させた状態を示す図で
ある。

【図４】本発明の養浜用防波堤におけるシェルの外形形
状の変形例を示す図である。

【図５】本発明の養浜用防波堤におけるシェルの外形形
状の変形例を示す図である。

【図６】本発明の養浜用防波堤におけるシェルの外形形
状の変形例を示す図である。

【図７】本発明の養浜用防波堤におけるシェルの外形形
状の変形例を示す図である。

【図８】従来の防波堤を示す図である。

【符号の説明】

１養浜用防波堤２台板２ａアンカ爪３シェル３ａ開孔１０養浜用防波堤２０養浜用防波堤３０養浜用防波堤３３シェル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】海岸での消波と、波食を防止するための
養浜用防波堤であって、台板と、この台板上に設けて該
台板の表面側を覆い、内部に所要の容積を有する中空部
を形成するシェルとを備え、このシェルの表面には前記
中空部に土砂を充填するための開孔を設けたことを特徴
とする養浜用防波堤。
【請求項２】台板底面にアンカ爪を設けたことを特徴
とする請求項１に記載の養浜用防波堤。
【請求項３】シェルの表面に矩形状の凹又は凸を形成
したことを特徴とする請求項１乃至２に記載の養浜用防
波堤。
【請求項４】シェルの表面に円形の凹又は凸を形成し
たことを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の
養浜用防波堤。
【請求項５】シェルを、台板上に所定間隔を存して複
数個並設することを特徴とする請求項１乃至４のいずれ
かに記載の養浜用防波堤。