JPH11218159A - ローラクラッチ - Google Patents

ローラクラッチ

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JPH11218159A
JPH11218159A JP10020706A JP2070698A JPH11218159A JP H11218159 A JPH11218159 A JP H11218159A JP 10020706 A JP10020706 A JP 10020706A JP 2070698 A JP2070698 A JP 2070698A JP H11218159 A JPH11218159 A JP H11218159A
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JP
Japan
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peripheral surface
outer ring
equivalent member
depth
rollers
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JP10020706A
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Inventor
Takashi Sato
尚 佐藤
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外輪2の内周面と軸6の外周面との間の円筒
状隙間12のうちの幅が狭い部分にローラ3、3が食い
込む事を防止し、一方向クラッチとしての機能を確保す
る。 【解決手段】 外輪2の内周面にカム面7を形成する為
の凹部8、8の深さH8を、ローラ3、3の外径D3
0.1倍以上にする。ローラ3、3が円筒状隙間12の
うちの幅が狭い部分に食い込みにくくなって、一方向ク
ラッチとしての機能を確保できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るローラクラッ
チは、互いに同心に組み合わされた2個の部材のうち、
一方の部材が両方向回転運動をした場合に、このうちの
一方向の回転運動のみを他方の部材に伝達する場合等に
利用する。特に本発明は、例えば全自動洗濯機、釣具の
リール、芝刈り機、自動車用補機等、クラッチが高速で
オーバランしている状態(非接続状態)から瞬間的に噛
み合い状態(接続状態)となる様な機構部、或は低速で
もオーバラン状態と噛み合い状態とが短時間で多数回繰
り返される様な機構部に組み込むローラクラッチの耐久
性向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリや複写機の紙送り機構等、
各種機械装置の部分に、特定方向の回転運動のみを伝達
するローラクラッチを組み込んでいる。図1〜3は、従
来から知られているローラクラッチ1の1例を示してい
る。このローラクラッチ1は、外輪相当部材である外輪
2と、複数本のローラ3、3と、これら各ローラ3、3
と同数のばね4、4と、保持器5と、内輪相当部材であ
る軸6とから成る。上記外輪2は、冷間圧延鋼板又は帯
綱やみがき特殊鋼板又は帯綱により円筒状に形成したも
ので、使用時には、紙送りローラの中心部に設けた軸受
ハウジング等、内周面を円筒面とした図示しない保持部
材の内側に内嵌固定する。この様な外輪2の内周面は、
円周方向に亙る凹凸であるカム面7としている。即ち、
上記外輪2の内周面の複数個所に、ランプ部と呼ばれる
凹部8、8を、それぞれこの外輪2の軸方向に亙って、
円周方向に亙り互いに等間隔で形成している。又、上記
外輪2の軸方向両端部には鍔部9、9を、この外輪2を
構成する金属板を直径方向内方に向け折り曲げる事によ
り形成している。上記複数本のローラ3、3と、これら
各ローラ3、3と同数のばね4、4と、保持器5と、軸
6とは、上述の様な外輪2の直径方向内側に設けてい
る。
【0003】このうちの保持器5は、合成樹脂を射出成
形する事により、籠型で円筒状に形成している。又、こ
の保持器5は上記外輪2の内側に、この外輪2に対する
相対回転を不能に装着している。この為に上記保持器5
の外周面複数個所に突部を形成し、これら各突部と上記
各凹部8、8とを係合させている。上記複数本のローラ
3、3は、この様な保持器5に形成したポケット10、
10の内側に、転動並びに円周方向に亙る若干の変位自
在に保持している。又、上記各ばね4、4は、上述の様
な保持器5を構成する柱部11、11と上記各ローラ
3、3との間に設け、上記各ローラ3、3を、円周方向
に関して同じ方向に、弾性的に押圧している。尚、図2
〜3では、上記各ばね4、4を模式的に示す為、コイル
ばねの如く描いているが、実際の場合にこれら各ばね
4、4は、後述する図4に示す如く、帯状のばね板をU
字形若しくはム字形に折り返して成るステンレスの板ば
ね、或は上記保持器5と一体に形成した合成樹脂ばねで
ある。
【0004】ローラクラッチの使用時には、上記外輪2
を上記保持部材に内嵌固定すると共に、上記複数本のロ
ーラ3、3の内側に前記軸6を挿通する。この状態でこ
れら軸6の外周面と外輪2の内周面との間には、円筒状
隙間12が形成される。この円筒状隙間12の寸法で、
外輪2の直径方向(図1〜3の上下方向)に関する幅寸
法は、上記各凹部8、8に対応する部分では上記各ロー
ラ3、3の外径よりも大きく、これら各凹部8、8から
外れた部分ではこれら各ローラ3、3の外径よりも小さ
い。
【0005】上述の様に構成するローラクラッチ1は、
上記外輪2を内嵌固定した保持部材と上記軸6との所定
方向の相対回転のみを伝達する。例えば、図2で外輪2
が固定で軸6のみが回転すると仮定すれば、この軸6が
同図の時計方向に回転する場合には、上記各ローラ3、
3がこの軸6の外周面から受ける力に基づき、上記各ば
ね4、4の弾力に抗して、上記各凹部8、8の開口部に
向けて変位する傾向になる。そして、上記各ローラ3、
3が、上記円筒状隙間12内で移動可能な状態となっ
て、上記外輪2と軸6との間で回転力の伝達が行なわれ
なくなる、所謂オーバラン状態となる。反対に、この軸
6が図2の反時計方向に回転する場合には、上記各ロー
ラ3、3が、上記軸6の外周面から受ける力と上記各ば
ね4、4の弾力とに基づき、上記各凹部8、8の閉口部
の一部にくさび状に食い込み、上記外輪2と軸6とを一
体的に結合して、これら外輪2と軸6との間で回転力の
伝達を自在とする、所謂ロック状態となる。
【0006】上述したローラクラッチ1は、外輪2の内
周面にカム面7を形成し、軸6の外周面を円筒面として
いるが、カム面を形成する周面を逆にする場合もある。
即ち、図4に示す様に、内輪相当部材である内輪13の
外周面に凹部8a、8aを形成して、この内輪13の外
周面をカム面7aとすると共に、外輪2aの内周面を単
なる円筒面とする。この様な構造のローラクラッチ1a
の使用時には、上記外輪2aを保持部材に内嵌固定する
と共に、上記内輪13を軸に外嵌固定する。
【0007】図1〜3に示したローラクラッチ1、或は
図4に示したローラクラッチ1a、何れの構造の場合で
も、従来は、ランプ高さと呼ばれる、凹部8、8aの深
さH8 は、上記各ローラ3、3の外径D3 の0.08倍
以上0.1倍未満(0.08D3 ≦H8 <0.1D3
であった。又、外輪2、2aの内周面並びに軸6又は内
輪13の外周面を、浸炭処理又は浸炭窒化処理により硬
化させている。即ち、鋼板に深絞り加工を施す事によ
り、又は引き抜き材から成る外輪2、2aの内周面並び
に軸6又は内輪13の外周面を、浸炭処理又は浸炭窒化
処理により硬化させて、前記各ローラ3、3の転動面か
ら加わる荷重により、これら各周面が損傷を受ける事を
防止している。但し、従来のローラクラッチを構成する
外輪2、2aの内周面並びに軸6又は内輪13の外周面
に浸炭処理又は浸炭窒化処理により形成した硬化層の深
さは、極く浅いものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば、紙送り機構に
組み込むローラクラッチの場合には、要求されるトルク
容量が小さく、クラッチがオーバランしている状態と噛
み合っている状態とが繰り返されるサイクルも150cp
m (1分間に150回)程度と小さいので、凹部8、8
aの深さH8 は、上記各ローラ3、3の外径D3 の0.
1倍未満であっても特に問題を生じる事はなかった。
【0009】これに対して、全自動洗濯機、釣具のリー
ル、芝刈り機、自動車用補機等、ローラクラッチが高速
でオーバランしている状態から瞬間的に噛み合い状態と
なる様な機構部、或は低速でもオーバラン状態と噛み合
い状態とが短時間で多数回繰り返される様な機構部に組
み込むローラクラッチの場合には、ローラクラッチがオ
ーバラン状態から噛み合い状態になる際に、上記各ロー
ラ3、3の全部又は一部が、上記凹部8、8aを越え
て、円筒状隙間12のうちの幅が狭くなっている部分に
食い込む可能性がある。この様に上記各ローラ3、3
が、円筒状隙間12のうちの幅が狭くなっている部分に
食い込むと、ローラクラッチ1、1aを構成する外輪
2、2aと軸6又は内輪13とが両方向の回転伝達を行
なう状態に結合されて、一方向クラッチとしての機能が
損なわれる。本発明は、この様な事情に鑑みて、上記各
ローラ3、3が円筒状隙間12のうちの幅が狭くなって
いる部分に食い込みにくくする事により、上記外輪2、
2aと軸6又は内輪13とが両方向の回転伝達を行なう
状態に結合される事を防止すべく発明したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のローラクラッチ
は、前述した従来のローラクラッチと同様、例えば図1
〜3或は図4に示す様に、外輪相当部材である外輪2
と、この外輪2の内側にこの外輪2と同心に配置された
内輪相当部材とを有する。尚、この内輪相当部材は、図
4に示す様に内輪13そのものである場合以外に、図1
〜3に示す様に軸6である場合も含む。又、上記外輪2
の内周面と軸6又は内輪13の外周面とのうちの一方の
周面に形成された、円周方向に亙る凹凸であるカム面
7、7aと、上記外輪2の内周面と軸6又は内輪13の
外周面とのうちの他方の周面に形成された円筒面とを有
する。又、この円筒面と上記カム面7、7aとの間の円
筒状隙間12内に設けた複数本のローラ3、3と、この
カム面7、7aを形成した部材、即ち、図1〜3の構造
では外輪2、図4に示した構造では内輪13に対する回
転を不能として上記円筒状隙間12内に支持され、上記
複数本のローラ3、3を保持する保持器5を備える。更
に、この保持器5と上記各ローラ3、3との間に設けら
れ、これら各ローラ3、3を円周方向に関して同じ方向
に押圧するばね4、4とを備える。特に、本発明のロー
ラクラッチに於いては、上記カム面7、7aに形成され
た複数の凹部8、8aの深さH8 を、上記各ローラ3、
3の外径D3 の0.1倍以上(H8 ≧0.1D3 )とし
ている。
【0011】更に、次の〜の様な条件の1又は2以
上を満たす事も、前述した課題を解決する為には有効で
ある。 上記外輪2の内周面と上記軸6又は内輪13の外周
面とのうちの少なくとも一方の周面の表層部に、硬度が
Hv550以上であり、深さが0.20mm以上である浸炭
層又は浸炭窒化層を形成する。尚、この様な条件は、上
記浸炭層又は浸炭窒化層を形成する外輪2又は内輪13
の板厚が0.5mm以上であるローラクラッチに適用した
場合に有効である。又、上記した条件を満たす浸炭層或
は浸炭窒化層を設けるのは、上記外輪2の内周面と上記
軸6又は内輪13の外周面とのうちの一方の周面でも、
或る程度効果を得られる。但し、両周面ともに、上記浸
炭層或は浸炭窒化層を設ければ、より優れた作用・効果
を得られる。 外輪2の内周面と軸6又は内輪13の外周面とのう
ちの少なくとも一方の周面に、硬度がHv550以上、深
さが0.20mm以上である浸炭層又は浸炭窒化層を形成
する事に加え、当該周面を有する部材の芯部の硬度をHv
300以上とする。 外輪2の内周面と軸6又は内輪13の外周面とのう
ちの少なくとも一方の周面に、硬度がHv550以上、深
さが0.20mm以上である浸炭層又は浸炭窒化層を形成
する事に加え、外輪2の内周面と軸6又は内輪13の外
周面と各ローラ3、3の転動面とのうちの少なくとも何
れかの面を、ハードショット・ピーニング、バレル、サ
ンドブラスト、タンブラーのうちから選択される何れか
の加工を施す事により、当該面を加工硬化させ、この面
の表面から0〜50μmの範囲である表層部の硬度をHv
830〜960、圧縮残留応力を−50〜−110kgf/
mm2、平均波長を25μmとする。 外輪2の内周面と軸6又は内輪13の外周面とのう
ちの少なくとも一方の周面に、硬度がHv550以上、深
さが0.20mm以上である浸炭層又は浸炭窒化層を形成
し、当該周面を有する部材の芯部の硬度をHv300以上
とする事に加え、外輪2の内周面と軸6又は内輪13の
外周面と各ローラの転動面とのうちの少なくとも何れか
の面を、ハードショット・ピーニング、バレル、サンド
ブラスト、タンブラーのうちから選択される何れかの加
工を施す事により、当該面を加工硬化させ、この面の表
面から0〜50μmの範囲である表層部の硬度をHv83
0〜960、圧縮残留応力を−50〜−110kgf/mm
2 、平均波長を25μmとする。
【0012】
【作用】上述の様に構成する本発明のローラクラッチ
1、1aが、外輪2と軸6又は内輪13との間で、一方
向の回転運動のみ伝達する作用は、前述した従来のロー
ラクラッチの場合と同様である。特に、本発明のローラ
クラッチ1、1aの場合には、カム面7、7aに形成し
た複数の凹部8、8aの深さH8 を、各ローラ3、3の
外径D3 の0.1倍以上としている為、上記各ローラ
3、3が円筒状隙間12のうちの幅が狭くなっている部
分に食い込みにくくなる。即ち、この構成により、上記
各ローラ3、3を円筒状隙間12のうちの幅が狭くなっ
ている部分に食い込ませる為に要する荷重が極端に大き
くなる。この結果、上記外輪2、2aと軸6又は内輪1
3との間で伝達するトルクが大きく、しかもローラクラ
ッチが急激にオーバラン状態から噛み合い状態になる様
な場合でも、上記各ローラ3、3が円筒状隙間12のう
ちの幅が狭くなっている部分に食い込む事がなくなる。
この結果、外輪2、2aと軸6又は内輪13とが両方向
の回転伝達を行なう状態に結合される事を防止して、一
方向クラッチとしての機能を確保できる。尚、上記各ロ
ーラ3、3の外径D3 に対する上記複数の凹部8、8a
の深さH8 の最大値は、保持器5やばね4、4の設置空
間を確保する面から、設計的に規制する。この様な面か
ら設計上は、上限値を上記外径D3 の0.25倍程度に
規制する。
【0013】又、外輪2、2aの内周面と軸6又は内輪
13の外周面とのうちの少なくとも一方の表面に、硬度
がHv550以上で、深さが0.20mm以上である浸炭層
又は浸炭窒化層を形成すれば、当該周面の塑性変形を防
止できる。即ち、この構成により、ローラクラッチ1、
1aを接続状態にすべく、各ローラ3、3が外輪2、2
aの内周面と軸6又は内輪13の外周面との間の円筒状
隙間12のうちで幅が狭くなった部分にくさび状に食い
込む際に、上記各ローラ3、3の転動面から加わる剪断
応力等の応力の到達位置よりも、上記浸炭層又は浸炭処
理層が深くなる。この為、ローラクラッチ1、1aがオ
ーバラン状態から接続状態に移る瞬間に、上記各ローラ
3、3の転動面から加わる大きな面圧に拘らず、上記外
輪2、2aの内周面と軸6又は内輪13の外周面とのう
ちの少なくとも一方の周面に圧痕が形成されにくくな
る。この結果、長期間に亙る使用によっても、当該周面
の形状がだれる(凹む)事を防止して、これら各ローラ
3、3が上記円筒状隙間12のうちで幅が狭くなった部
分にくさび状に食い込みにくくなる。
【0014】又、上記外輪2、2a又は軸6若しくは内
輪13の芯部の硬度をHv300以上とした場合でも、こ
の外輪2、2aの内周面又は軸6若しくは内輪13の外
周面に圧痕が形成されにくくなって、上述の様に形状が
だれる事を防止して、上記各ローラ3、3を上記円筒状
隙間12のうちで幅が狭くなった部分にくさび状に食い
込みにくくできる。尚、形状がだれる事を阻止する為、
表面と芯部との少なくとも一方の硬度を高くする面は、
カム面である事が好ましい。更に好ましくは、カム面及
び円筒面の表面及び芯部を硬化させる。更に、外輪2、
2aの内周面と軸6又は内輪13の外周面と各ローラ
3、3の転動面とのうちの少なくとも何れかの面を、当
該面の表面から0〜50μmの範囲である表層部の硬度
をHv830〜960、圧縮残留応力を−50〜−110
kgf/mm2 、平均波長を25μmとした場合には、表面硬
度を高くする事による耐圧痕性(圧痕の形成されにく
さ)の向上を図れるだけでなく、表面に存在する微細な
凹部に潤滑油を保持する事に伴う潤滑性の向上を図れ
る。しかも、表面に存在する微細な凸部による応力集中
の緩和、並びに圧縮残留応力により、ローラクラッチ
1、1aがオーバラン状態から接続状態に移る瞬間に、
上記各ローラ3、3の転動面から加わる大きな面圧に拘
らず、当該面にフレッチング摩耗が発生する事を防止し
て、やはり上記滑りの発生を抑える事ができる。
【0015】
【実施例】本発明の効果を確認する為に行なった実験の
結果に就いて説明する。実験では、図1〜3に示す様な
ローラクラッチ1を使用し、このローラクラッチ1を構
成する外輪2の内周面にカム面7を形成する為の凹部
8、8の深さH8 を、ローラ3、3の外径D3 との関係
で、0.05D3 〜0.15D3 の間で4段階に変化さ
せた。そして、これら凹部8、8の深さH8 とローラク
ラッチ1に付加するトルクの大きさとが、各ローラ3、
3が円筒状隙間12のうちで幅が狭くなった部分にくさ
び状に食い込むか否かに及ぼす影響を検査した。尚、実
験に使用したローラクラッチ1を構成する外輪2の軸方
向寸法L2 は16mm、外径寸法D0 は26mm、上記外輪
2の材質は冷間圧延特殊用途帯鋼、板厚は最大厚さで1
mm、ローラ3、3の数は17本、これら各ローラ3、3
の軸方向長さは10.9mm、上記外輪2の内側に挿通す
る軸6の外径は20mmとした。
【0016】上述の様な条件で行なった実験の結果を、
図5に示す。この図5で、白丸は、各ローラ3、3が円
筒状隙間12のうちで幅が狭くなった部分にくさび状に
食い込んだものを、黒丸は、この様な食い込みの発生が
認められなかったものを、それぞれ示している。この様
な図5を見れば明らかな通り、上記ローラクラッチ1を
構成する外輪2の内周面にカム面7を形成する為の凹部
8、8の深さH8 を、ローラ3、3の外径の0.1倍以
上にすれば、各ローラ3、3が円筒状隙間12のうちで
幅が狭くなった部分にくさび状に食い込む事を防止し
て、一方向クラッチとしての機能を確保できる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、信頼性及び耐久性の高いローラクラッチを
実現して、ローラクラッチを組み込んだ各種機器の性能
を安定させる事ができる。逆の面から見れば、信頼性及
び耐久性を維持しつつ、ローラクラッチの構成各部材の
小型化を図る事で、このローラクラッチ全体としての小
型化を図り、ローラクラッチを組み込んだ各種機械装置
の設計の容易化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となるローラクラッチの第1例を
示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図2のB部拡大図。
【図4】本発明の対象となるローラクラッチの第2例を
示す断面図。
【図5】本発明の効果を確認する為に行なった実験の結
果を示すグラフ。
【符号の説明】
1、1a ローラクラッチ 2、2a 外輪 3 ローラ 4 ばね 5 保持器 6 軸 7 カム面 8、8a 凹部 9 鍔部 10 ポケット 11 柱部 12 円筒状隙間 13 内輪

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外輪相当部材と、この外輪相当部材の内
    側にこの外輪相当部材と同心に配置された内輪相当部材
    と、この外輪相当部材の内周面と内輪相当部材の外周面
    とのうちの一方の周面に形成された、円周方向に亙る凹
    凸であるカム面と、上記外輪相当部材の内周面と内輪相
    当部材の外周面とのうちの他方の周面に形成された円筒
    面と、この円筒面と上記カム面との間の円筒状隙間内に
    設けられた複数本のローラと、このカム面を形成された
    部材に対する回転を不能として上記円筒状隙間内に支持
    され、上記複数本のローラを保持する保持器と、この保
    持器と上記各ローラとの間に設けられ、これら各ローラ
    を円周方向に関して同じ方向に押圧するばねとを備えた
    ローラクラッチに於いて、上記カム面に形成された複数
    の凹部の深さを、上記各ローラの外径の0.1倍以上と
    した事を特徴とするローラクラッチ。
  2. 【請求項2】 外輪相当部材の内周面と内輪相当部材の
    外周面とのうちの少なくとも一方の周面の表層部に、硬
    度がHv550以上であり、深さが0.20mm以上である
    浸炭層又は浸炭窒化層を形成した、請求項1に記載した
    ローラクラッチ。
  3. 【請求項3】 外輪相当部材の内周面と内輪相当部材の
    外周面とのうちの少なくとも一方の周面に、硬度がHv5
    50以上、深さが0.20mm以上である浸炭層又は浸炭
    窒化層を形成する事に加え、当該周面を有する部材の芯
    部の硬度をHv300以上とした、請求項1に記載したロ
    ーラクラッチ。
  4. 【請求項4】 外輪相当部材の内周面と内輪相当部材の
    外周面とのうちの少なくとも一方の周面に、硬度がHv5
    50以上、深さが0.20mm以上である浸炭層又は浸炭
    窒化層を形成する事に加え、上記外輪相当部材の内周面
    と上記内輪相当部材の外周面と各ローラの転動面とのう
    ちの少なくとも何れかの面を、ハードショット・ピーニ
    ング、バレル、サンドブラスト、タンブラーのうちから
    選択される何れかの加工を施す事により、当該面を加工
    硬化させ、この面の表面から0〜50μmの範囲である
    表層部の硬度をHv830〜960、圧縮残留応力を−5
    0〜−110kgf/mm2 、平均波長を25μmとした、請
    求項1〜3の何れかに記載したローラクラッチ。
  5. 【請求項5】 外輪相当部材の内周面と内輪相当部材の
    外周面とのうちの少なくとも一方の周面に、硬度がHv5
    50以上、深さが0.20mm以上である浸炭層又は浸炭
    窒化層を形成し、当該周面を有する部材の芯部の硬度を
    Hv300以上とする事に加え、外輪相当部材の内周面と
    内輪相当部材の外周面と各ローラの転動面とのうちの少
    なくとも何れかの面を、ハードショット・ピーニング、
    バレル、サンドブラスト、タンブラーのうちから選択さ
    れる何れかの加工を施す事により、当該面を加工硬化さ
    せ、この面の表面から0〜50μmの範囲である表層部
    の硬度をHv830〜960、圧縮残留応力を−50〜−
    110kgf/mm2 、平均波長を25μmとした、請求項1
    〜4の何れかに記載したローラクラッチ。
JP10020706A 1998-02-02 1998-02-02 ローラクラッチ Withdrawn JPH11218159A (ja)

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