JPH11217516A - 有色雲母チタン系顔料及びそれを用いた塗装体 - Google Patents
有色雲母チタン系顔料及びそれを用いた塗装体Info
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- JPH11217516A JPH11217516A JP27791798A JP27791798A JPH11217516A JP H11217516 A JPH11217516 A JP H11217516A JP 27791798 A JP27791798 A JP 27791798A JP 27791798 A JP27791798 A JP 27791798A JP H11217516 A JPH11217516 A JP H11217516A
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Abstract
チタン系顔料の色調を改善することにある。 【解決手段】 薄片状雲母基板と、前記雲母基板に被覆
された複合酸化物と、を含み、前記複合酸化物を構成す
る金属として、チタンと、鉄と、ニッケルを含むことを
特徴とする有色雲母チタン系顔料及びそれを塗布した塗
装体。
Description
料及びそれを用いた塗装体、特にその色調の改良に関す
る。
のが多く、パール顔料などとして広く用いられている。
そして、この雲母チタン系顔料に対して特定の色調を付
与するため、有色顔料などを共存させる場合もあるが、
これらの有色顔料は一般に耐光性に劣る。このため、雲
母チタン系顔料の二酸化チタン層の一部を還元して暗色
低次酸化チタンとし、雲母チタン系顔料が本来有する干
渉色を強調して有色外観色を得た有色顔料(特公平4−
61032など)が開発されている。これらの無機性有
色顔料は化学的にきわめて安定で、耐光性にも優れると
いう利点がある。
機性有色雲母チタン系顔料は、特に長波長側、例えば赤
色などの色調域を十分に発現することが困難であり、色
調の一層の改善が望まれていた。本発明は前記従来技術
の課題に鑑みなされたものであり、その目的は有機性物
質を用いずに雲母チタン系顔料の色調を改善することに
ある。
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、雲母表面にチタ
ン、鉄、ニッケルの複合酸化物層を形成することによ
り、優れた色調を得ることが可能であることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
系顔料は、薄片状雲母基板と、前記雲母基板に被覆され
た複合酸化物と、を含み、前記複合酸化物を構成する金
属として、チタンと、鉄と、ニッケルを含むことを特徴
とする。
を構成する金属として、チタンが60〜95重量%、鉄
が1〜24重量%、ニッケルが1〜24重量%であり、
赤色〜赤紫の顔料であることが好適である。また、前記
赤色〜赤紫色の顔料において、色相が、ハンターのLa
b値で表示したとき、a:22.04,b:−6.96
を中心として色差Δab=12.00の範囲内にあり、
かつL値が23.00〜39.00の範囲にあることが
好適である。
色相が、ハンターのLab値で表示したとき、a:2
0.00,b:−10.00を中心として色差Δab=
9.00の範囲内にあり、かつL値が23.00〜3
9.00の範囲にあることが好適である。また、前記顔
料において、前記複合酸化物を構成する金属として、チ
タンが30〜60重量%、鉄が20〜48重量%、ニッ
ケルが10〜40重量%であり、色相が、ハンターのL
ab値で表示したとき、a:7.70,b:8.01を
中心として色差Δab=10.00の範囲内にあり、か
つL値が19.00〜32.00の範囲にある黄色〜赤
茶色の顔料であることが好適である。
れかの顔料を含む組成物を塗布したことを特徴とする。
また、前記塗装体において、明度がL値で70以下の基
材上に前記顔料を含む組成物を塗布することが好適であ
る。また、前記塗装体において、基材は黒色、青色、緑
色であることが好適である。
に説明する。本発明において用いられる雲母はどのよう
なものでもよく、一般には市販の白雲母系雲母(muscov
ite mica)を用いるが、場合によっては黒雲母などを用
いることも可能である。粒径は特に制限されないが、真
珠光沢顔料として利用する場合には一般市販の雲母(粒
径1〜50μm程度)の中でも粒径が小さく粒子形状が
できるだけ扁平なものが美しい色調と真珠光沢が発揮さ
れやすいため、好ましい。
あるいは鉄、ニッケルの無機酸塩水溶液を雲母の存在下
で加水分解し、雲母粒子表面に二酸化チタンなどを析出
させ、さらに500℃〜1000℃で焼成することによ
り、複合酸化物被覆雲母を形成することができる。な
お、チタン、鉄、ニッケルは同時に析出させることも可
能ではあるが、各析出条件が多少異なり、またそれぞれ
の金属の析出割合を調整する観点から、別々に析出させ
ることが好ましい。そして、析出後に500℃〜100
0℃で焼成することにより、複合酸化物となる。
に対する被覆量は、雲母100重量部に対して、好まし
くは144〜200重量部、さらに好ましくは170〜
190重量部である。被覆量が144重量部よりも少な
い場合には十分な彩度を得ることができない場合があ
り、また200重量部よりも多い場合には複合酸化物そ
のものの色に近くなる傾向にある。
む組成物を基材上に塗布する際の組成物において顔料の
配合量は特に限定されないが、組成物全量に対して通常
5〜35重量%が好適である。顔料の配合量が少ない
と、隠蔽力が低下し、配合量が過剰になると組成物中で
顔料の分散が不均一になったり、組成物塗装体の外観が
まだらになったり、組成物の粘度が上昇して作業性や印
刷適正等に好ましくない影響を及ぼすことがある。な
お、本発明において塗装される基材としては、紙、板
紙、布、皮革、金属、プラスティック等、特に限定され
ず、その形状も様々なものが適用可能である。もちろ
ん、予め塗装、印刷、コーティング処理された基材でも
よい。
に配合されるバインダー樹脂とは、顔料を基材上に安定
に密着させうる樹脂であり、顔料組成物を基材上に塗装
後は該組成物中の溶剤が揮散して顔料を包埋した状態で
基材上に被膜を形成するものである。バインダー樹脂は
基材との相性や、形成被膜被膜強度、膜厚等によって選
択されるので特に限定されないが、通常塗料や印刷イン
キのバインダーとして用いられているものを使用するこ
とができる。例えば、ギルソナイト、マレイン酸樹脂、
環化ゴム、硬化ロジン、石油樹脂、ニトロセルロース、
アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢
酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル、ポリエステル樹脂、
アルキド樹脂、アマニ油、変性フェノール樹脂、フマル
酸樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシアミノ樹脂、
エポキシフェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹
脂、ポリアミド樹脂、鉱油ワニス、ケトン樹脂、塩化ゴ
ム、エチルセルロース、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙
げられる。
と共に配合される溶剤としては、一般に塗料やインキに
用いられる溶剤を用いることが可能であり、通常バイン
ダー樹脂を良好に溶解して作業性を向上させ、且つこの
樹脂溶液中に光輝性有色顔料が良好に分散配合できるも
のであれば特に限定されない。例えば、トルエン、キシ
レン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸
n−ブチル、酢酸イソブチル、メタノール、エタノー
ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、イゾブチルアルコール、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテルアセテート等が挙げられる。溶剤としては揮発
性の有機溶剤が多く用いられるが、場合によっては水等
を配合しても良い。
には、本発明の効果を損なわない範囲であれば組成物の
特性を調節するために前記必須成分の他に通常塗料やイ
ンキに配合されている各種添加剤を配合してもよい。例
えば、可塑剤、ワックス、湿潤剤、安定剤、染顔料、静
電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、レベリング剤、重合禁
止剤、フィラー剤等が挙げられる。
れた色調を得るためには塗料組成物中の有色顔料とバイ
ンダー樹脂の重量比は1:20〜3.5:10であるこ
とが好適である。このような塗料組成物を基材上に塗装
すると、乾燥により組成物中の溶剤が揮散し、基板上に
バインダー樹脂被膜が形成され、有色顔料はこの被膜中
に保持されて、塗膜が形成される。従って、基板上の塗
膜中、有色顔料とバインダー樹脂の重量比は1:20〜
3.5:10の範囲に存する。このような組成比を有す
る塗膜は基板に有色の外観色及び高い光輝感を与え、且
つ良好な色調を発現する。
料組成物が基板上に塗装された塗装体において、乾燥後
の塗膜の幾何学的膜厚は0.01〜0.07mmである
ことが好適である。塗膜膜厚が小さい場合には顔料によ
る外観色が希薄で隠蔽力が低く、十分な色調が得られな
い。一方、塗布膜厚が大きすぎると塗膜がうまくのらず
にまだらになることがあり、外観が不均一となりやす
い。
顔料を含む組成物を基材上の一部又は全部の表面に塗布
する方法であり、一般的な印刷方法も含む概念である。
本発明の塗装方法としては、従来より行われている塗装
方法、印刷方法、コーティング技術を利用することがで
き、例えば印刷方法としては凸板印刷、凹板印刷、グラ
ビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット
印刷、インキジェット印刷、静電印刷等が利用できる。
また、はけ塗り、スプレー塗り、転がし塗り、ステンシ
ル塗り、静電塗り、流し塗り、浸し塗り、ローラー塗
り、吹き付け塗り等の塗装方法も用いることができる。
ン系顔料の製造方法を説明する。すなわち、二酸化チタ
ン被覆雲母10.00重量部(粒径12μm、対雲母二
酸化チタン被覆量138重量%)に対し、水50重量部
を加え、攪拌分散させる。これに、塩化鉄(FeCl3
・6H2O)3.36重量部、尿素4.48重量部、水
50重量部を混合、溶解させたものを加え、攪拌下に昇
温し、2時間反応させる。生成した鉄・二酸化チタン被
覆雲母を濾過、水洗し、150℃で12時間乾燥させ
た。
00重量部に対し、炭酸ニッケル・水酸化ニッケル水和
物を1.34重量部加え、混合した後、700℃で1時
間焼成し、チタン、鉄、ニッケルの複合酸化物を生成す
る。焼成後、粉砕し、赤色の雲母チタン系顔料を得た。
得られた複合酸化物被覆雲母は、複合酸化物被覆量が対
雲母で183重量%、複合酸化物を構成する金属比は、
チタン71.60重量%、鉄14.20重量%、ニッケ
ル14.20重量%であった。
色調 次に、複合酸化物の色調と、前記複合酸化物被覆雲母の
色調の相違を検討した。なお、色調の比較は、それぞれ
の被検物を下記表1に示す組成物とし、その組成物をド
クターブレードを用いて黒色紙上に塗布した。そして得
られた色紙を乾燥後、20×100mmの大きさに切り取
り測定用試料とした。測色は肉眼観察と、村上色彩研究
所製の変角分光測色機(GCMS−3)を用いた測色
(入射角45度、受光角35〜65度)で行った。な
お、測定用試料の乾燥後の塗膜膜厚は0.016mmとし
た。
覆雲母は、同一金属比の複合酸化物のみ、あるいは
同一組成の複合酸化物と雲母の単純混合物とは異なった
色彩を有しており、本発明の雲母チタン系顔料が、複合
酸化物を雲母上に被覆することにより特異的に得られる
色調を有していることが理解される。
覆雲母)を塗布する基材(色紙)の色調と、塗装体の色
調との相関について検討を進めた。
雲母チタン系顔料は、黒色、青色、緑色などの明度の低
い、好ましくはL値が70以下の基材上に塗布すること
により、特に優れた色調を得ることが可能となる。
せ、その色調を比較した。結果を次の表4に示す。赤〜赤紫系の色調
を構成する金属中のチタン、鉄、ニッケルの割合がそれ
ぞれ60〜95重量%、1〜24重量%、1〜24重量
%の範囲にある試験例1〜12はいずれも赤色ないし紫
色を呈し、ハンター(Hunter)のLabで表示したと
き、a;22.04,b:−6.96を中心として色差
Δab=12.00の範囲に存在する。これは、チタ
ン、鉄、ニッケルそれぞれ単独では発現させることがき
わめて困難な色調領域であり、かつ赤色ないし赤紫色と
して優れた美観を生じさせる。
示したときa:20.00、b:−10.00を中心と
してΔab=9.00の範囲内にあり、特に赤色ないし
赤紫色として特に優れた色調となる。一方、試験例13
〜20に示すように各成分が所定範囲を超えると、前記
試験例1〜12のように美しい赤色ないし赤紫色の色調
を得るのが困難となる傾向にある。
て、表5に示す。ブラウン系(黄〜赤茶系)の色調
鉄、ニッケルの割合がそれぞれ30〜60重量%、20
〜48重量%、10〜40重量%の範囲内にある試験例
21〜27は、いずれもチタン、鉄、ニッケルそれぞれ
単独では得られない優れた色調のブラウン系色を呈し、
ハンターのLab値で表示したとき、a:7.70,
b:8.01を中心として色差Δab=10.00の範
囲に存在する。これに対し、試験例28〜36に示すよ
うに各成分が所定範囲を超えると、優れたブラウン系色
を得るという点ではやや不満足な結果となった。
好適な組成物の配合例を挙げるが、本発明はこれらによ
って限定されるものではない。なお、特に限定のない限
り、配合量は重量%で表す。配合例1 グラビアインキ 有色雲母チタン系顔料 30.0% エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂 7.5 塩素化ポリプロピレン 5.5 トルエン 28.0 酢酸エチル 8.5 メチルエチルケトン 17.0 イソプロピルアルコール 2.5 ポリエチレンワックス 0.8 静電防止剤 0.2
色雲母チタン系顔料によれば、チタン、鉄、ニッケルの
複合酸化物を薄片状雲母基板上に被覆することにより、
従来無機物のみでは得るのが困難であった色調を発現さ
せることができる。また、前記複合酸化物を構成する金
属としてチタンを60〜95重量%、鉄を1〜24重量
%、ニッケルを1〜24重量%とすることで、赤色ない
し赤紫色の色調を得ることができる。また、前記複合酸
化物を構成する金属として、チタンを30〜60重量
%、鉄を20〜48重量%、ニッケルを10〜40重量
%とすることで、黄色〜赤茶色の色調を得ることができ
る。また、本発明に本発明にかかる顔料を含む組成物を
L値が70以下の基材上に塗布することにより、顔料の
色彩を一層明瞭化することができる。
料の製造工程の説明図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 薄片状雲母基板と、 前記雲母基板に被覆された複合酸化物と、を含み、 前記複合酸化物を構成する金属として、チタンと、鉄
と、ニッケルを含むことを特徴とする有色雲母チタン系
顔料。 - 【請求項2】 請求項1記載の顔料において、 前記複合酸化物を構成する金属として、チタンが60〜
95重量%、鉄が1〜24重量%、ニッケルが1〜24
重量%である赤色〜赤紫の有色雲母チタン系顔料。 - 【請求項3】 請求項2記載の顔料において、 色相が、ハンターのLab値で表示したとき、a:2
2.04,b:−6.96を中心として色差Δab=1
2.00の範囲内にあり、かつL値が23.00〜3
9.00の範囲にあることを特徴とする雲母チタン系顔
料。 - 【請求項4】 請求項2記載の顔料において、 色相が、ハンターのLab値で表示したとき、a:2
0.00,b:−10.00を中心として色差Δab=
9.00の範囲内にあり、かつL値が23.00〜3
9.00の範囲にあることを特徴とする雲母チタン系顔
料。 - 【請求項5】 請求項1記載の顔料において、 前記複合酸化物を構成する金属として、チタンが30〜
60重量%、鉄が20〜48重量%、ニッケルが10〜
40重量%であり、 色相が、ハンターのLab値で表示したとき、a:7.
70,b:8.01を中心として色差Δab=10.0
0の範囲内にあり、かつL値が19.00〜32.00
の範囲にある黄色〜赤茶色の有色雲母チタン系顔料。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の顔料を
含む組成物を基材に塗布したことを特徴とする塗装体。 - 【請求項7】 請求項6記載の塗装体において、明度が
L値で70以下の基材上に前記顔料を含む組成物を塗布
したことを特徴とする塗装体。 - 【請求項8】 請求項7記載の塗装体において、基材は
黒色、青色、緑色であることを特徴とする塗装体。
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