JPH11216828A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

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JPH11216828A
JPH11216828A JP2451998A JP2451998A JPH11216828A JP H11216828 A JPH11216828 A JP H11216828A JP 2451998 A JP2451998 A JP 2451998A JP 2451998 A JP2451998 A JP 2451998A JP H11216828 A JPH11216828 A JP H11216828A
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JP
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film
coating
titanium oxide
laminated film
polyester film
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JP2451998A
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Sachiro Morimoto
幸朗 森本
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チタン酸化物からなる光触媒機能層と基材と
なるポリエステルフィルムとの接着性に優れ、かつ光触
媒作用(例えば、表面の防汚効果、抗菌効果、起親水化
効果)を奏する積層フィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
にシランカップリング剤からなる架橋プライマー層を設
け、該架橋プライマー層の上に平均粒径0.001〜
0.5μmのチタン酸化物および式(1)で表わされる
加水分解性ケイ素化合物の加水分解物から構成される組
成物からなる光触媒機能層を設けた積層フィルム。 (式(1)中、nは0〜8の整数、X1、X2、X3、X4
は、それぞれハロゲン原子または炭素数1〜8のアルコ
キシ基を表わす。ただし、X1、X2、X3、X4は互いに
同一あるいは異なっていてもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光酸化触媒として
使用されるチタン酸化物含有層を設けた積層フィルムに
関し、さらに詳しくは該チタン酸化物含有層とポリエス
テルフィルムの接着性に優れた積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】チタン酸化物は、それ自体が光半導体で
あり、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光、
例えば紫外線を照射されると伝導帯に電子が集積し、価
電子帯には正孔(ホール)が生じる。この集積電子およ
び正孔によって生じる電子移動に基づく酸化還元作用に
より大気中の有機物を分解し、殺菌効果を示すという光
触媒活性が知られており、この殺菌効果を工業的に利用
する試みが種々行われている。
【0003】しかし、光活性触媒の高いチタン酸化物層
を例えばポリエステルフィルムなどの基材の表面に形成
させることは困難である。
【0004】従来行われている方法は、1つには純チタ
ン板状体の表面を空気酸化または陽極酸化してチタン酸
化物膜を形成するものであるが、この方法は酸化方法が
難しい割に良好な機能が得られにくい欠点がある。
【0005】別の方法として基材表面にチタン酸化物を
CVD法で蒸着させたりプラズマ照射を行う方法(特開
平6−210170号公報)も知られているが、いずれ
もコストの高い方法であり、また基材の種類によって適
用することができない欠点がある。
【0006】さらに、チタン酸化物粉末をバインダーと
呼ばれる接着剤を介して基材に付着させる方法も試みら
れているが、チタン酸化物の光触媒作用によりバインダ
ー自体が酸化分解され、数ヶ月の後には基材から脱落し
てしまい工業用途の使用に耐えられない問題がある。
【0007】近年、チタンのアルコキシドからゾルゲル
法によってガラス管表面にチタン酸化物薄膜を形成させ
る方法が発表されている。この方法は、アルコキシドの
アルコール溶液にある種の有機ポリマーを添加した溶液
を基材に塗布し、加熱処理によって有機ポリマーを熱分
解除去し、かつチタン酸化物の結晶化を行うというもの
であるが、出発原料が高価なものであることや高温での
加熱処理が必須となっていることが問題点として残る。
【0008】これらの問題に対し、チタン酸化物粉末を
加水分解性ケイ素化合物の加水分解物からなる組成物を
バインダーとして用いた方法(特開平8−164334
号公報)が有効な方法として知られている。しかし、こ
の方法で用いるバインダーは無機質(ガラス質)であ
り、前述の有機バインダーのようにバインダー自体の酸
化分解の問題はないものの、プラスチック基材、特にポ
リエステルフィルムとの接着性が悪いという問題があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題を解消し、チタン酸化物からなる光触媒機能層と
基材となるポリエステルフィルムとの接着性に優れ、か
つ光触媒作用(例えば、表面の防汚効果、抗菌効果、起
親水化効果)を奏する積層フィルムを提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
フィルムの少なくとも片面にシランカップリング剤から
なる架橋プライマー層を設け、該架橋プライマー層の上
に平均粒径0.001〜0.5μmのチタン酸化物およ
び式(1)で表わされる加水分解性ケイ素化合物の加水
分解物から構成される組成物からなる光触媒機能層を設
けた積層フィルムである。
【0011】
【化2】
【0012】(式(1)中、nは0〜8の整数、X1
2、X3、X4は、それぞれハロゲン原子または炭素数
1〜8のアルコキシ基を表わす。ただし、X1、X2、X
3、X4は互いに同一あるいは異なっていてもよい。)以
下、本発明を詳細に説明する。
【0013】[ポリエステルフィルム]本発明における
ポリエステルは、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成
性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とか
ら製造される結晶性の線状飽和ポリエステルであり、具
体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレート、ポリ(1,4−シク
ロヘキシレンジメチレンテレフタレート)などが好まし
く例示され、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートが特に好ましく例示される。
【0014】また、これらの一部が他成分に置換された
共重合体や、ポリアルキレングリコール或は他の樹脂と
の混合体であっても良い。
【0015】さらに、上記ポリエステルには種々の添加
剤を配合することもできる。例えば、帯電防止剤として
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを含有させ
ることができる。
【0016】本発明におけるポリエステルフィルムは、
透明性が要求される用途には透明性の良好なポリエステ
ルフィルムを用いることが好ましく、透明二軸配向ポリ
エステルフィルムが特に好ましい。また、遮光性が要求
される用途には顔料を配合したポリエステルフィルムを
用いることが好ましく、TiO2やSiO2の如き顔料を
配合した白色二軸配向ポリエステルフィルムが特に好ま
しい。
【0017】本発明におけるポリエステルフィルムは、
従来から知られている方法で製造できる。例えば二軸配
向ポリエステルフィルムの場合、上記ポリエステルを乾
燥後溶融し、ダイ(例えばTダイ、Iダイ等)から冷却
ドラム上に押出し冷却して未延伸フィルムとし、該未延
伸フィルムを二軸方向に延伸し、更に熱固定することに
よって製造することができる。フイルムの厚みは、特に
制限がないが、5〜250μmが好ましい。ポリエステ
ルフィルムとしては滑剤を含まないフィルムが表面平坦
性の点で好ましいが、表面粗さ制御のため滑剤、例えば
炭酸カルシウム、カオリン、シリカ等の如き無機微粒子
及び/又は触媒残渣の析出微粒子等を含有させたフィル
ムであっても良い。
【0018】[架橋プライマー層]本発明の架橋プライ
マー層を構成するシランカップリング剤は、一般式YR
SiX3で表わされる化合物である。ここで、Yはビニ
ル基、エポシキ基、アミノ基、メルカプト基等の如き有
機官能基、Rはメチレン、エチレン、プロピレン等の如
きアルキレン基、Xはメトキシ基、エトキシ基等の如き
加水分解基及びアルキル基である。具体的化合物として
は、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメト
キシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、N―β(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N―β(アミノエチル)―γ―アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ―メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ま
しいシランカップリング剤としては、水溶性又は水分散
性を有するシランカップリング剤である。
【0019】前記シランカップリング剤と共に架橋プラ
イマー層を構成することが好ましいアルカリ性無機微粒
子としては、例えば酸化鉄ゾル、アルミナゾル、酸化ス
ズゾル、酸化ジリコニウムゾル、シリカゾル等を挙げる
ことができるが、特にアルミナゾル、シリカゾルが好ま
しい。就中シランカップリング剤の初期反応性(ダイマ
ー化、トリマー化等)を促進する点から、シリカゾルが
好ましい。
【0020】アルカリ性無機微粒子は表面積の大きい小
粒径のものが良く、平均粒径が1〜150nm、さらに
は2〜100nm、特に3〜50nmであるものが好ま
しい。平均粒径が150nmより大きくなると、表面積
が小さくなりすぎ、シランカップリング剤の反応促進作
用が低下し、かつ架橋プライマー層の表面が粗れるので
好ましくない。他方、平均粒径が1nmより小さくなる
と、表面積が大きすぎ、シランカップリング剤の反応制
御が困難となることがある。
【0021】アルカリ性無機微粒子の量は、シランカッ
プリング剤の量に対して、1〜50重量%、さらには2
〜20重量%であることが好ましい。この量が1重量%
未満であると、架橋反応が進まず、他方50重量%を超
えると塗布液の安定性に欠け、例えば無機微粒子の添加
後短時間で塗布液中に沈澱が発生することがある。
【0022】シランカップリング剤及びアルカリ性無機
微粒子を含有するプライマー塗布液、特に水性塗布液
は、そのpHを4.0〜7.0、好ましくは5.0〜
6.7に調整する。このpが4.0未満になると、無機
微粒子の触媒活性が失われ、他方7.0を超えると塗液
が不安定となり、沈澱が生じることがある。
【0023】このpHを調整する酸としては塩酸、硝
酸、硫酸等の無機酸や蓚酸、蟻酸、クエン酸、酢酸等の
有機酸が用いられるが、特に有機酸が好ましい。
【0024】かかる塗布後、特に水性液には、アニオン
界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活
性等の界面活性剤を必要量添加して用いることができ
る。
【0025】かかる界面活性剤としては塗布液の表面張
力を50dyne/cm以下、好ましくは40dyne
/cm以下に降下でき、ポリエステルフィルムへの濡れ
を促進するものが好ましく、例えばポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン―脂肪
酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪
酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキ
ルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級ア
ンモニウムクロライド塩、アルキルアミン塩酸等を挙げ
ることができる。更に本発明の効果を消失させない範囲
において、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、有
機フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤等の他の添加
剤を混合することができる。
【0026】かかる架橋プライマー塗布液をポリエステ
ルフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥、熱
架橋させることで、架橋プライマー層を設けることがで
きる。塗布は、通常のプライマー塗布工程、すなわち二
軸延伸熱固定したポリエステルフイルムに、該フィルム
の製造工程と切離して塗布する工程で行ってもよい。し
かし、この工程では、芥、塵埃などを巻込み易いから、
クリーンな雰囲気での塗工が望ましい。かかる観点より
ポリエステルフィルム製造工程での塗工が好ましい。特
に、この工程中で結晶配向が完了する前のポリエステル
フィルムの片面又は両面に水性塗布液として塗布するこ
とが好ましい。
【0027】ここで、結晶配向が完了する前のポリエス
テルフィルムとは、ポリエステルを熱溶融してそのまま
フィルム状となした未延伸フィルム、未延伸フィルムを
縦方向(長手方向)または横方向(幅方向)の何れか一
方に配向せしめた一軸延伸フイルム、さらには縦方向及
び横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終
的に縦方向または横方向に再延伸せしめて配向結晶可を
完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものであ
る。
【0028】上記塗布液の固形分濃度は、通常30重量
%以下であり、10重量%以下が更に好ましい。塗布量
は走行しているフィルム1m2当り0.5〜20g、さ
らに1〜10gが好ましい。
【0029】塗布方法としては、公知の任意の塗工法が
適用できる。例えば、キスコート法、バースコート法、
ダイコート法、リバースコート法、オフセットグラビア
コート法、マイヤバーコート法、グラビアコート法、ロ
ールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコ
ート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独又は組
み合わせて適用するとよい。
【0030】塗液を塗布した、結晶配向完了する前のポ
リエステルフィルムは、乾燥され、延伸、熱固定等の工
程に導かれる。例えば水性液を塗布した縦一軸延伸ポリ
エステルフィルムは、ステンターに導かれて横延伸及び
熱固定される。この間、塗布液は乾燥され熱架橋され
る。
【0031】ポリエステルフィルムの配向結晶化条件、
例えば延伸、熱固定等の条件は、従来から当業界に蓄積
された条件で行うことができる。
【0032】本発明における架橋プライマー層は、ポリ
エステルフィルムに対して優れた接着性を奏し、かつチ
タン酸化物と前述の式(1)で表わされる加水分解物か
ら構成される組成物からなる層に対して優れた接着性を
有する。
【0033】[光触媒機能層]本発明に用いられるチタ
ン酸化物とは、特定エネルギーを持つ光の照射で有機物
の酸化還元に対して触媒作用を示すものであり、純粋な
チタン酸化物の他、含水酸化チタン、水和酸化チタン、
メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタンと呼ばれ
ているものを含む。二酸化チタンまたはこれより低次酸
化状態にあるものが特に好ましく用いられる。二酸化チ
タンの結晶型はアナターゼ型、ルチル型、フルッカイト
型のいずれでもよくまたこれらの混合体でも良い。
【0034】これらのチタン酸化物は微粉末状であり、
その粒径は光触媒活性の強さから見て0.001〜0.
5μmである必要がある。この微粉末は乾燥状態の粉末
として用いても良いが、後述の加水分解性ケイ素化合物
から誘導されるシリカバインダーと均一分散させるため
に予め分散体としておく事が望ましい。本発明の組成物
中においてチタン酸化物が良好に分散されているか否か
は塗膜を形成したときの光触媒機能に大きく影響してく
る。
【0035】チタン酸化物は種々の公知の方法で製造さ
れる。例えば1.硫酸チタニル、塩化チタン、有機チタ
ン化合物などのチタン化合物を必要に応じて核形成種の
存在下に加水分解する方法、2.硫酸チタニル、塩化チ
タン、有機チタン化合物などのチタン化合物に、必要に
応じて核成形種の存在下にアルカリを添加し、中和する
方法、3.塩化チタン、有機チタン化合物などを気相酸
化する方法、4.上記1,2の方法で得られたチタン酸
化物を焼成する方法などが挙げられる。特に、前記1,
2の方法で得られたチタン酸化物は光触媒機能が高いた
め好ましい。光触媒機能を更に向上させるためにチタン
酸化物表面に白金、金、銀、銅、パラジウム、ロジウ
ム、ルテニウムなどの金属、酸化ルテニウム、酸化ニッ
ケル等の金属酸化物を被覆しても良い。
【0036】これらのチタン酸化物は水などの溶媒に高
度に分散させて使用される。超微粒子となっているチタ
ン酸化物を二次凝集させずに水などの溶媒と均一分散さ
せておくためには、酸性またはアルカリ性として保存し
ておくことが好ましい。酸性下に置くときはpH0.5
〜4、特に1〜3.5とするのが好ましい。分散媒体と
しては水の他、水とアルコールの混合物を用いても良
い。
【0037】本発明で用いられる前記式(1)で表わさ
れる加水分解性ケイ素化合物としては、アルキルシリケ
ート、ハロゲン化ケイ素及びこれらの部分加水分解物で
ある。アルキルシリケートとしてはメチル、エチル、イ
ソプロピルシリケートなどが用いられる。これらのシリ
ケートはいずれも単量体もしくは部分加水分解によって
生成するオリゴマーの形で用いられ、オリゴマーとして
は一般式Sinn-1(OR)2n+2(ただしnは2〜6,
Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表わされるアルキル
シリケート縮合物が特に好ましい。これらのオリゴマー
は混合物でも用いられる。
【0038】部分加水分解するときの触媒としては酸、
アルカリのいずれもが使用できる。チタン酸化物分散体
が酸性のときは酸で加水分解したアルキルシリケートが
好ましい。加水分解液の分散溶媒は水または炭素数が1
〜4のアルコールが用いられる。酢酸エチルなどのエス
テル類は、組成物液を不安定にするので好ましくない。
本発明において用いられるケイ素化合物及びその部分加
水分解物は、チタン酸化物を結合させる目的で用いられ
るものであるので以下においてシリカバインダーと呼
ぶ。
【0039】チタン酸化物とシリカバインダーとの混合
は、適宜に出来るが、一例を示すと酸性下にある所定量
の二酸化チタン水性分散液を10〜50℃の液温に保持
し、これに秤量したアルキルシリケートもしくは部分加
水分解物を一定時間かけて滴下添加する。滴下終了後、
1〜5時間撹拌下に反応させて組成物液を調製する。ア
ルキルシリケートもしくは部分加水分解物添加の際にこ
れの加水分解触媒を同時に加えても良いし、二酸化チタ
ン分散液中に存在する酸分を利用して加水分解を進めて
も良い。分散媒体としてアルコール系の媒体を用いる場
合は、二酸化チタンの水/アルコール混合媒体分散液
と、アルコール媒体中でアルキルシリケートもしくは部
分加水分解物を50〜1500%加水分解した液とを撹
拌下に混合して本組成物を得ることもできる。
【0040】本発明において加水分解率とは、アルキル
シリケート1モルに対し水2モルの割合で使用した場合
を加水分解率100%として水の使用量によって算出し
たものである。一般式Sinn-1(OR)2n+2の形の部
分加水分解物を用いた場合は、この縮合体1モルに対し
水n+1モルの割合で使用した場合を加水分解率100
%として算出した。
【0041】本発明の組成物中のチタンとシリカとの割
合は、各々二酸化チタンと二酸化ケイ素に換算した重量
比(TiO2/SiO2)で96/4〜30/70とする
ことが好ましい。シリカの割合が70%を超えるとチタ
ン酸化物の光触媒機能が小さくなってしまい、実用性が
乏しくなる。これはチタン酸化物粒子表面を覆うシリカ
の割合が大きくなり、チタン酸化物と酸化分解されるべ
き物質との接触を妨害することになるからと思われる。
一方、シリカの混合割合が4%以下であると基材及びチ
タン酸化物同士の接着強度が充分でなく指触や振動で容
易に脱落してしまい、塗膜として工業的に使用しにくい
ものになる。シリカのさらに好ましい割合は10〜50
%である。
【0042】本発明の組成物中の固形分濃度は重量で3
0%以下である。ここで固形分とは全組成物中における
チタン酸化物とシリカの合計量を言い、チタン酸化物は
二酸化チタンに、シリカは組成物中のアルキルシリケー
トもしくはそのオリゴマー中のケイ素(Si)分をSi
2に換算した値を用いる。その他の成分は水分及び/
または有機溶媒が主体であり、組成物を基材面上へ塗布
後、乾燥により実質的に除去されるべきものである。好
ましい固形分濃度は5〜20%であり、5%以下になる
と基材との接着性は強固になるが塗膜の厚さ、つまり二
酸化チタン量が不十分で光触媒機能を充分発揮できる塗
膜を形成できない。二層塗り、三層塗りで塗膜厚さを厚
くする事は可能であるが、通常は固形分濃度をわざわざ
低くして手間の掛かる二層塗りをするメリットは出てこ
ない。しかし、光触媒機能を犠牲にしても強固な薄い塗
膜を必要とする場合など特殊な用途には用いることがで
きる。
【0043】一方、固形分濃度が30%を超えると組成
物中の固形物の分散性が悪くなり、組成物の保存安定性
が著しく低下し、僅かな日数でゲル化が生じ易くなる。
また、このような高濃度になると成膜性も悪く、形成さ
れた被膜の基材との接着性が大きく低下し、指で擦ると
剥離してしまうようになるので好ましくない。
【0044】本発明の組成物には少量のチタンアルコキ
シド、四塩化チタンを加えても良い。又チタン、或いは
シランカップリング剤などを加えても良い。更に、組成
物の安定性確保及び濡れ特性を改善するために各種界面
活性剤を加えても良い。また、アルコキシ基を2個以上
含むアルキシランもしくはハイドロシランを少量添加し
ても良いがこれらチタン、シランの化合物は固形分算出
の際のシリカ換算に加えるものとする。
【0045】かかる組成物は、ポリエステルフィルムの
架橋プライマー層を設けた面に設けられ、その方法とし
てはかかる組成物を含む塗液を塗布する方法が好まし
い。
【0046】すなわち、本発明の組成物は、基材フィル
ムの架橋プライマー層を設けた面に塗布され、乾燥、場
合によって低温焼成されて塗膜化される方法が好まし
い。塗布方法は塗布すべき基材の形状によってスピンコ
ーティング、スプレーコーティング、バーコート、ディ
ップ法などが適宜に使用される。塗膜の厚さは0.1〜
3μm、特に0.3〜2μmが適当である。チタン酸化
物の光触媒活性は、表面に露光し酸化分解されるべき化
合物と接触可能なチタン酸化物の量に関係するので本来
は塗膜の厚さは関係ないが、現実には塗膜厚さに不均一
があり、又粒子の分散は必ずしも理想とする均一性が得
られず、余り薄くすると塗膜表面上のチタン酸化物量が
少なく光触媒活性が充分でないので前記程度の厚さにす
ることが好ましい。このような厚さであると塗膜を透明
にすることも可能であり、基材の持つ透明性や色などを
損なうことなく、その表面に光活性を持つ被膜を形成す
ることが出来る。
【0047】上記の方法で設けられた塗膜は100〜1
80℃の乾燥によって、爪でこすっても容易に剥離しな
い強固な被膜を形成することができる。
【0048】これに対し、ポリエステルフィルム上に直
接塗設した場合、得られた塗膜はセロテープなどを貼り
付け、剥離すると容易にポリエステルフィルムから剥離
してしまい、その後の加工、さらには製品として使用さ
れることを考えると被膜の脱落による光触媒活性機能が
損なわれる可能性が高い。
【0049】さらに、本発明において、架橋プライマー
層と光機能触媒層との間に前述の式(1)で表わされる
加水分解性ケイ素化合物の加水分解物からなる層を設け
ることにより、光触媒作用による架橋プライマー層の酸
化分解を完全に防止することができ、積層フィルムの長
期耐久性が向上するので好ましい。
【0050】かかる加水分解性ケイ素化合物は、前述の
光触媒機能層を構成する加水分解性ケイ素化合物と同一
または同種のものであり、また層を設ける方法も同じ方
法で実施することができる。
【0051】かかる加水分解性ケイ素化合物の加水分解
物からなる層を設けることにより、架橋プライマー層と
光触媒機能層との接着性はさらに向上する効果がある。
【0052】本発明の積層フィルムは、その光触媒活性
と各層間の接着性、および耐久性により極めて広い種々
の用途に利用できる。例えば、表面に付着した有機物や
微生物を分解除去する目的でガラスや金属表面を保護す
るフィルムとして使用できる。また、壁材などに貼合せ
ると、壁面を自動浄化できるため病院などの壁面の殺菌
効果が期待できる。さらには、鏡や窓ガラスに貼り合せ
るだけで水滴による曇り防止にも適用できる。
【0053】これらの用途のために、ガラス、金属、プ
ラスチックなどの種々の対象物との貼合せや接着には、
公知の粘着剤や接着剤を使用することができ、光触媒活
性機能を持つ保護フィルムとして、すでに設置されてい
る構造物に対する適用に特に有用である。
【0054】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を更に詳細に説
明する。なお、例中の「部」は重量部」を意味する。ま
た、積層フィルムの特性は以下の方法で測定、評価し
た。
【0055】(1)接着性 フィルムの光触媒機能層面に、セロテープを貼り付け、
ゴムロールで圧着した後、フィルム面を垂直にかつすば
やくセロテープを剥離した。この操作を5回繰り返し、
下記の基準で評価した。 ○ :5回とも塗膜の脱落がない。 ○〜△:1回塗膜の脱落がある。 △ :2回塗膜の脱落がある。 ×〜△:3回塗膜の脱落がある。 × :4回塗膜の脱落がある。 ×× :5回とも塗膜の脱落がある。 なお、1mW/cm2の紫外線を1ヶ月間照射した後の
フィルムについても上記と同じ評価をした結果、5回と
も塗膜の脱落がなかったものに対しては、◎を付した。
【0056】(2)アルデヒド分解性 サンプルを0.8リットルのガラス容器に入れ、悪臭成
分であるアセトアルデヒドを100ppmの濃度となる
量をガラス容器に導入し密封した。次に30分間紫外線
を照射せずに30分間維持した後、サンプル表面での紫
外線強度が1mW/cm2となる量ブラックライト光を
照射した。60分間照射後、ガラス容器中のアセトアル
デヒドの濃度を測定し、下記の基準で評価した。 ◎:25ppm未満 ○:25ppm以上50ppm未満 △:50ppm以上75ppm未満 ×:75ppm以上
【0057】(3)防曇性 500mlビーカーに100mmlの水を入れ、30℃
で保持した状態で、サンプルフィルムを、光触媒機能層
が内側になるようにしてビーカーのふたをして、室内の
温度を8℃以下に保ち、7日間観察し下記の基準で評価
した。 ○:フィルム表面に曇りがなかった。 ×:フィルム表面に曇りが発生した。
【0058】[実施例1〜9及び比較例1〜2]35℃
のO−クロロフェノール中で測定した固有粘度0.65
のポリエチレンテレフタレート(滑剤500ppm含
有)を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出し
て厚み480μmの未延伸フィルムを得、次に機械軸方
向に3.5倍延伸したのち、一軸延伸フィルムの片面に
表1にシランカップリング剤、無機微粒子及びノニオン
界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル)を含み、かつクエン酸でpH6.3に調整した固形
分濃度4wt%の水性塗布液をキスコート法にて塗布し
た。引続き105℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに
210℃で熱処理し、厚み38μmのプライマー被覆ポ
リエステルフィルムを得た。
【0059】一方、平均粒径0.07〜0.1μmのア
ナターゼ型二酸化チタンとエチルシリケートの組成物と
して、TiO2/SiO2に換算して50部/50部とな
る割合の組成物を溶媒に溶解し、固形分濃度10%の溶
液とした塗布液(ST−K03、コルコート株式会社
製)を、前述のフィルムのプライマー層上に、塗布量5
g/m2となる量コーティングし、150℃2分間乾燥
し、積層フィルムを得た。この積層フィルムの特性を表
2に示す。
【0060】[実施例10〜18、比較例3〜4]実施
例1で得られたプライマー被覆ポリエステルフィルムの
プライマー層の上に、加水分解性ケイ素化合物の加水分
解物としてエチルシリケートを部分加水分解した塗布液
(コルコート103X,コルコート株式会社製)を塗布
量5g/m2でコーティングし、150℃1分間乾燥す
る以外は実施例1と同じ方法で積層フィルムを得た。こ
の積層フィルムの特性を表2に示す。
【0061】[実施例19]実施例1で用いたアナター
ゼ型二酸化チタンとエチルシリケートの組成物を含む塗
布液に代えて、平均粒径0.07〜0.1μmのアナタ
ーゼ型二酸化チタンとエチルシリケートの組成物とし
て、TiO2/SiO2に換算して80部/20部となる
割合の組成物を溶媒に溶解し、固形分濃度10%の溶液
とした塗布液(ST−K01、コルコート株式会社製)
を用いる以外は実施例1と同じ方法で積層フィルムを得
た。この積層フィルムの特性を表2に示す。
【0062】[実施例20]実施例1で用いたアナター
ゼ型二酸化チタンとエチルシリケートの組成物を含む塗
布液と実施例19で用いた塗布液を等量ブレンドした、
都合平均粒径0.07〜0.1μmのアナターゼ型二酸
化チタンとエチルシリケートの組成物として、TiO2
/SiO2に換算して65部/35部となる割合の組成
物を溶媒に溶解し、固形分濃度10%の溶液とした塗布
液を用いる以外は実施例1と同じ方法で積層フィルムを
得た。この積層フィルムの特性を表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】なお、表1中のプライマー組成欄の記号は
それぞれ以下の化合物を表わす。シランカッフ゜リンク゛ 剤(A); Si−1:γ−グリシドプロピルトリメトキシシラン Si−2:γ−グリシドプロピルトリエトキシシラン Si−3:ビニルトリエトキシシラン 無機微粒子(B); F−1:シリカゾル20%分散液(平均粒径6nm、p
H9.5) F−2:シリカゾル20%分散液(平均粒径40nm、
pH10.0) 界面活性剤(C);
【0065】
【化3】
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、チタン酸化物からなる
光触媒機能層と基材となるポリエステルフィルムとの接
着性に優れ、かつ光触媒作用(例えば、表面の防汚効
果、抗菌効果、起親水化効果)を奏する積層フィルムを
提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    にシランカップリング剤からなる架橋プライマー層を設
    け、該架橋プライマー層の上に平均粒径0.001〜
    0.5μmのチタン酸化物および式(1)で表わされる
    加水分解性ケイ素化合物の加水分解物から構成される組
    成物からなる光触媒機能層を設けた積層フィルム。 【化1】 (式(1)中、nは0〜8の整数、X1、X2、X3、X4
    は、それぞれハロゲン原子または炭素数1〜8のアルコ
    キシ基を表わす。ただし、X1、X2、X3、X4は互いに
    同一あるいは異なっていてもよい。)
  2. 【請求項2】 架橋プライマー層と光触媒機能層との間
    に式(1)で表わされる加水分解性ケイ素化合物の加水
    分解物からなる層を設けた請求項1記載の積層フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 架橋プライマー層がアルカリ性無機微粒
    子を含有する請求項1または2記載の積層フィルム。
  4. 【請求項4】 架橋プライマー層が、結晶配向が完了す
    る前のポリエステルフィルムにシランカップリング剤か
    らなる塗液を塗布、乾燥して設けた層である請求項1〜
    3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムがポリエチレンテ
    レフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナ
    フタレートフィルムである請求項1〜4のいずれかに記
    載の積層フィルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100867184B1 (ko) * 2006-03-17 2008-11-06 주식회사 엘지화학 내오염성 옥외용 원단 및 그 제조방법

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KR100867184B1 (ko) * 2006-03-17 2008-11-06 주식회사 엘지화학 내오염성 옥외용 원단 및 그 제조방법

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