JPH1121397A - 芳香族ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ビニル系樹脂組成物

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JPH1121397A
JPH1121397A JP9190658A JP19065897A JPH1121397A JP H1121397 A JPH1121397 A JP H1121397A JP 9190658 A JP9190658 A JP 9190658A JP 19065897 A JP19065897 A JP 19065897A JP H1121397 A JPH1121397 A JP H1121397A
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JP
Japan
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resin
aromatic hydrocarbon
aromatic
hydride
aromatic vinyl
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JP9190658A
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English (en)
Inventor
Takashi Ogasawara
貴士 小笠原
Takumi Okazaki
巧 岡崎
Norihisa Yamaguchi
典久 山口
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Arakawa Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Arakawa Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ビニル系樹脂が本来有する強度、剛性
(機械的強度)を維持しながら、溶融流動性を改善で
き、しかも成形加工時の発煙性等の問題を解消した芳香
族ビニル系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 芳香族ビニル系樹脂(A)およびC9系
芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を含有してなる芳
香族ビニル系樹脂組成物であって、当該C9系芳香族炭
化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれるC9留分中の
重合性モノマーの二量体の含有率が1.5重量%以下で
あることを特徴を有する芳香族ビニル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ビニル系樹
脂組成物に関する。本発明の芳香族ビニル系樹脂組成物
は家庭用品、玩具、包装材料、シートやフィルム、電化
製品、自動車用部品、電子・電気機器部品等の各種成形
品に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】芳香族ビニル系樹脂は、本来的には溶融
流動性がよく成形加工性に優れているため、家庭用品、
電化製品、玩具等の様々な分野で広く用いられてきた
が、近年、成型品の大型化や薄肉化、さらには複雑な形
状を持った成形加工品の増大に伴い、機械的特性の向上
が求められている。こうした要求を満たすために、芳香
族ビニル系樹脂の分子量を大きくして強度を高め、機械
的特性を向上させている。
【0003】しかし、芳香族ビニル系樹脂の分子量を大
きくすると溶融流動性が低下する。そこで、高分子量化
した芳香族ビニル系樹脂の溶融流動性を改善する様々な
手段が考えられてきた。
【0004】例えば可塑剤の添加もその一つである。し
かし、可塑剤を添加すれば溶融流動性は改善されるもの
の、これらを使用した樹脂組成物は、芳香族ビニル系樹
脂に比べてTgが大幅に低下するため、強度、剛性(機
械的特性)が低下してしまう。また、テルペン系樹脂も
しくはそれらの水素化物(特開平4−370131号公
報)、または石油樹脂やクマロン−インデン樹脂もしく
はそれらの水素化物(特開平6−263943号公報、
特開平8−59928号公報)を添加することにより、
強度、剛性等を低下させずに溶融流動性を改善する方法
が提案されている。しかし、前記石油樹脂の水素化物等
の中には、当該石油樹脂原料の重合性モノマーの二量体
や三量体等の低分子量分を多く含むため、前記石油樹脂
等を用いた樹脂組成物の成形加工時に、当該低分子量分
の揮発により発煙が生じる等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、芳香族ビニ
ル系樹脂が本来有する強度、剛性(機械的強度)を維持
しながら、溶融流動性を改善でき、しかも成形加工時の
発煙性等の問題を解消した芳香族ビニル系樹脂組成物を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく、芳香族ビニル系樹脂に配合する各種添加
剤、特に芳香族ビニル系樹脂の機械的強度を維持し、か
つ溶融流動性を改良できるC9系芳香族炭化水素樹脂の
水素化物について鋭意検討を重ねた結果、C9系芳香族
炭化水素樹脂の水素化物中に多量に含まれる二量体など
の低沸成分が、芳香族ビニル系樹脂組成物の加工時の発
煙等の原因となっているという事実を見出した。そし
て、かかる新たな知見に基づき、以下に示す特定のC9
系石油樹脂の水素化物を溶融混合した組成物が、前記目
的に合致することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】即ち、本発明は、芳香族ビニル系樹脂
(A)およびC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物
(B)を含有してなる芳香族ビニル系樹脂組成物であっ
て、当該C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中
に含まれるC9留分中の重合性モノマーの二量体の含有
率が1.5重量%以下であることを特徴を有する芳香族
ビニル系樹脂組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用する芳香族ビニル系
樹脂(A)としては、一種のみの芳香族ビニル化合物か
らなる単独重合体、二種以上の芳香族ビニル化合物を組
み合わせた共重合体、芳香族ビニル化合物とその他の重
合性モノマーとの共重合体であって芳香族ビニル化合物
を50重量%以上含むもの、芳香族ビニル化合物の重合
体をブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジ
エン系化合物の単独重合体で変性したもの、芳香族ビニ
ル化合物の重合体を共役ジエン系化合物と不飽和ニトリ
ル化合物または芳香族ビニル化合物との共重合体で変性
したもの、さらには芳香族ビニル化合物の重合体を天然
ゴムなどの各種のゴム成分で変性したもの等が挙げられ
る。本発明では、これらの中でも溶融流動性に優れる点
から、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体を主成分
とする樹脂、およびゴム成分の存在下で芳香族ビニル化
合物とゴム成分を乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液
重合によりグラフト共重合させたゴム強化芳香族ビニル
系樹脂を用いるのが好ましい。
【0009】上記の各種重合に用いられる芳香族ビニル
化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチ
ルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、エチル
スチレン、イソブチルスチレン、t−ブチルスチレン、
ブロモスチレン、クロロスチレン、インデンなどが挙げ
られる。中でも溶融流動性が優れる点からスチレンが好
ましい。
【0010】また、上記の芳香族ビニル化合物と共重合
させるその他の重合性モノマーとしては、(メタ)アク
リル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリ
ル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル類;(メタ)アクリロニトリル等のビニル・シアン化
合物類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、桂皮酸等の重合性不飽和脂肪酸;N−メチルマレイ
ミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、
N−オクチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−p−ブロモフェニル
マレイミド、N−o−クロルフェニルマレイミド、N−
シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレ
イン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物
類;アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽
和化合物類;アリルアミン等のアミノ基含有不飽和化合
物類;アクリルアミド系化合物;2−ヒドロキシエチル
−アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物などが挙げ
られる。これらの中でも耐熱性が向上する点から(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル類が好ましい。
【0011】上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂に用いら
れるゴム質重合体としては、例えば天然ゴム(NR)、
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレ
ン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム
(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム
(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(A
CM、ANM)、塩素化ポリエチレンゴム、(CS
R)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)ウ
レタンゴム(AU、EU)、多硫化ゴム(T)、エピク
ロルヒドリンゴム(CO、ECO)、クロロスルホン化
ポリエチレン(CMS)、ノルボルネンゴムおよび/ま
たはそれらの加硫化された高分子材料が挙げられる。こ
れらの中でも耐衝撃性が向上する点から、ポリブタジエ
ンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エ
チレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)が
好ましく、特にポリブタジエンゴム(BR)が好まし
い。
【0012】芳香族ビニル系樹脂(A)の重量平均分子
量は特に限定されるものではないが、通常100000
〜600000が好ましく、下限としては15000
0、上限としては500000がより好ましい。この範
囲より分子量が小さいと、本発明のC9系芳香族炭化水
素樹脂の水素化物(B)を配合しても溶融流動性の向上
効果は小さく、この範囲より分子量が大きいと芳香族ビ
ニル系樹脂(A)自体の成形加工性が悪くなる傾向があ
る。なお、本発明の芳香族ビニル系樹脂(A)は、通常
公知の方法すなわち乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶
液重合により得ることができる。
【0013】本発明では、芳香族ビニル系樹脂(A)に
配合するC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)と
して、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中に
含まれるC9留分中の重合性モノマーの二量体の割合が
1.5重量%以下のものを使用する。
【0014】前記C9系芳香族炭化水素樹脂とは、ナフ
サのクラッキングにより得られたC9留分中の重合性モ
ノマー(例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン、インデン類等)をカチオン重合により重合す
ることにより得られるものであり、C9留分中の重合性
モノマーの二量体とは前記重合性モノマーの1種または
2種からなる二量体をいう。
【0015】C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物
(B)中の低沸成分、すなわちC9留分中の重合性モノ
マーの二量体の含有率が1.5重量%を超える場合に
は、当該C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を
配合してなる芳香族ビニル系樹脂組成物を加工する際の
発煙を低減し難い。かかる観点から、本発明で用いるC
9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれる
C9留分中の重合性モノマーの二量体の割合は低い方が
よく、二量体の含有率は1.0重量%以下とするのが好
ましい。
【0016】前記C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物
(B)は、たとえば、C9系芳香族炭化水素樹脂を水
素化した後に、減圧処理することにより低沸成分を除去
する方法、C9系芳香族炭化水素樹脂を減圧処理して
低沸成分を除去した後に、水素化する方法、などにより
得られる。
【0017】水素化に際しては、の方法またはの方
法のいずれを採用する場合にも、C9系芳香族炭化水素
樹脂の芳香環の水素化率が通常5〜100%になるよう
に行うのが好ましい。芳香環の水素化率が5%未満で
は、成形加工時における加熱安定性が低く樹脂組成物が
着色するおそれがある。かかる観点から芳香環の水素化
率は40%以上とするのがより好ましい。一方、芳香環
の水素化率が高くなるに従って、C9系芳香族炭化水素
樹脂の水素化物(B)と芳香族ビニル系樹脂(A)との
相溶性が悪くなるため、芳香族ビニル系樹脂(A)が本
来有する透明性が要求される分野においては芳香環の水
素化率の上限を85%とするのがより好ましい。なお、
芳香環の水素化率は、NMR測定法によるものである。
【0018】水素化条件は、所望の水素化率となる条件
であれば特に限定されない。通常は、水素化圧力は10
〜300kg/cm2 程度(下限としては30kg/c
2、上限として250kg/cm2 が好ましい)で、
反応温度は150〜400℃程度(下限としては250
℃、上限としては350℃が好ましい)である。水素化
圧力が10kg/cm2 に満たない場合または反応温度
が150℃に満たない場合には、水素化反応が進行し難
く、逆に水素化圧力が300kg/cm2 を超える場合
または反応温度が300℃を超える場合には、樹脂の水
素化分解反応が著しくなり、いずれの場合も好ましくな
い。また、水素化の反応時間は、通常1〜7時間程度、
好ましくは2〜7時間である。なお、上記記載は前記範
囲外の条件における水素化を排除しているものではな
く、たとえば水素化圧力10kg/cm2 以下であって
もかかる水素化圧力で反応を起こしうる触媒を用いれば
水素化は可能である。
【0019】水素化触媒としては、ニッケル、パラジウ
ム、白金、コバルト、ロジウム、ルテニウム、モリブデ
ン、オスミウム、イリジウム、レニウム、銅、鉄等の金
属またはこれらの酸化物、硫化物等の金属化合物等の各
種のものを使用できる。かかる水素化触媒は多孔質で表
面積の大きなアルミナ・シリカ(ケイソウ土)・カーボ
ン・チタニア等の担体に担持して使用してもよい。これ
らの触媒の中でも芳香環の水素化効率や費用の面からニ
ッケルーケイソウ土触媒が好ましい。触媒の使用量は、
C9系芳香族炭化水素樹脂またはその減圧処理物に対し
て、通常0.01〜3重量%程度である。0.01重量
%に満たない場合には水素化反応が進行し難く、3重量
%を超える場合には水素化が急激に進行し過ぎる傾向が
あり、また経済的でない。
【0020】前記水素化反応は原料のC9系芳香族炭化
水素樹脂またはその減圧処理物を溶融して、または溶剤
に溶解した状態で行う。溶剤としては、反応に不活性で
原料や生成物が溶融しやすい溶剤であればよい。たとえ
ば、シクロヘキサン、nーヘキサン、nーヘプタン、デ
カリン等を1種または2種以上を組み合わせて使用でき
る。溶剤の使用量は特に制限されないが、原料のC9系
芳香族炭化水素樹脂またはその減圧処理物に対して、固
形分が、通常、10重量%以上であり、好ましくは10
〜70重量%の範囲である。
【0021】なお、触媒の使用量および反応時間につい
ては反応形式として、回分式を採用した場合について説
明したが、反応形式としては流通式(固定床式、流動床
式等)を採用することもできる。
【0022】減圧処理は、の方法ではC9系芳香族炭
化水素樹脂の水素化物中の低沸成分の含有率、または
の方法ではC9系芳香族炭化水素樹脂中の低沸成分の含
有率を1.5重量%以下にできる条件であれば特に限定
されるものではない。通常、減圧処理は、5Torr程
度以下、250℃程度以上の条件で、10時間程度以内
の範囲で行う。減圧処理条件が5Torrを超えたり、
250℃に満たない場合には低沸成分を充分に除去でき
ない場合がある。好ましくは減圧処理条件は、2Tor
r以下、より好ましくは1Torr以下の減圧下で、2
50〜300℃程度の温度条件である。
【0023】こうして得られた本発明の得られたC9系
芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の軟化点は、90
〜180℃程度が好ましい。得られる芳香族ビニル系樹
脂組成物の機械的強度を高く維持できることから、軟化
点の下限としては120℃、さらには140℃とするの
がより好ましい。一方、得られる芳香族ビニル系樹脂組
成物の溶融流動性の点から、軟化点の上限は160℃と
するのがより好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)
は、40〜130℃程度が好ましく、下限としては70
℃、上限としては110℃がより好ましい。また、C9
系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の分子量は特に
限定されないが、一般的には重量平均分子量500〜2
5000程度のものが好ましい。
【0024】本発明の芳香族ビニル系樹脂組成物は、芳
香族ビニル系樹脂(A)およびC9系芳香族炭化水素樹
脂の水素化物(B)を含有してなるものであり、該C9
系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の使用量は、芳
香族ビニル系樹脂(A)100重量部に対して、通常
0.1〜50重量部が好ましく、下限としては0.5重
量部、上限としては30重量部がより好ましい。C9系
芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)の添加量が0.1
重量部未満では、芳香族ビニル系樹脂組成物の溶融流動
性を十分に向上し難く、一方50重量部を超えると、芳
香族ビニル系樹脂組成物の機械的強度を低下させるおそ
れがある。
【0025】芳香族ビニル系樹脂(A)に、C9系芳香
族炭化水素樹脂の水素化物(B)を添加する方法は特に
制限されず、たとえば、芳香族ビニル系樹脂(A)とC
9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を溶融混合す
る方法の他、芳香族ビニル系樹脂(A)に用いる芳香族
ビニル系化合物に、C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化
物(B)を溶解した後に芳香族ビニル系化合物を重合す
る方法や、芳香族ビニル系樹脂(A)に用いる芳香族ビ
ニル系化合物の重合途中または重合が終了した後に、C
9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を溶融または
溶媒に溶解して混合する方法等があげられる。また、芳
香族ビニル系樹脂(A)とC9系芳香族炭化水素樹脂の
水素化物(B)を混合し、押出機あるいは成形機等で混
練することもできる。
【0026】また、本発明の芳香族ビニル系樹脂組成物
には、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来、流動
性改質剤として用いられている、ナフサをクラッキング
して得られるC9留分をカチオン重合したC9系石油樹
脂、ナフサのクラッキングにより得られるC5留分とC
9留分を共重合したC5/C9系石油樹脂、クマロン−
インデン樹脂、テルペン−スチレン樹脂等、およびこれ
らの水素化物も本発明の目的を阻害しない範囲で添加す
ることができる。
【0027】さらに、本発明の芳香族ビニル系樹脂組成
物には上記の成分以外に公知の各種の添加剤、例えばス
テアリン酸、ベヘニン酸、それらの金属塩(カルシウ
ム、マグネシウム、亜鉛等)、エチレンビスステアリン
酸アミド等を添加することもできる。また、着色剤、酸
化防止剤、帯電防止剤等を添加できる。また、本発明の
目的を阻害しない範囲でスチレン−ブタジエンブロック
共重合体等の熱可塑性エラストマーを添加することもで
きる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、強度、剛性(機械的強
度)および溶融流動性を満足でき、しかも成形加工時の
発煙性の問題のない芳香族ビニル系樹脂組成物を提供で
きる。また、本発明の芳香族ビニル系樹脂組成物は、石
油樹脂などの低分子量分が原因となって引き起こしてい
たシルバーストリーク等の成形不良の問題、成形後のブ
リードアウト現象の問題も同時に解決できる。
【0029】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。なお各例中の「部」および「%」はいずれ
も重量基準である。
【0030】製造例1(比較) 1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素
樹脂(「ペトロジン#120」,軟化点120℃,数平
均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500
部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重
量%)13部を仕込み、270℃に保温し、水素圧20
0kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次いで、得
られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出
し、シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により
触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間
減圧脱溶剤して、軟化点125℃のC9系芳香族炭化水
素樹脂の水素化物450部を得た。得られたC9系芳香
族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量
体(低沸成分)の含有率を表1に示す。
【0031】なお、軟化点は環球法(JIS K220
7)による測定値である。色調は、ハーゼンスタンダー
ドカラー(H)およびガードナースタンダードカラー
(G)による(JIS K5400)。芳香環の水素化
率は、プロトン核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)
を測定することにより算出した。即ち、原料樹脂である
C9系石油樹脂及び得られたC9系石油樹脂の水素化物
(B)の同濃度の重水素置換クロロホルム(CDCl
3 )溶液を作成して、 1H−NMRを測定し、7ppm
付近に現れる芳香環のH−スペクトル面積より以下の式
に基づき算出した。芳香環水素化率={1−(C9系石
油樹脂の水素化物(B)のスペクトル面積/原料樹脂で
あるC9系石油樹脂のスペクトル面積)}×100
(%)。数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(M
w)、二量体(低沸成分)の含有率は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(東ソー(株)製,HLC8
02A,使用カラム:TSKGelG4000H8+T
SKGelG2000H8,展開溶剤:テトラヒドロフ
ラン)で測定しものであって、二量体(低沸成分)の含
有率は、それぞれ得られたチャートの溶出カウント31
00〜3300のピークを面積%で表したものである。
Mn、Mwはポリスチレン換算値である。
【0032】製造例2(比較) 1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素
樹脂(「ペトロジン#140」,軟化点140℃,数平
均分子量1040、三井石油化学工業(株)製)500
部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重
量%)15gを仕込み、270℃に保温し、水素圧20
0kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次いで、得
られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出
し、シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により
触媒を除去した後、220℃、20Torrで30分間
減圧脱溶剤して、軟化点140℃のC9系芳香族炭化水
素樹脂の水素化物445部を得た。得られたC9系芳香
族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量
体(低沸成分)の含有率を表1に示す。
【0033】製造例3 1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素
樹脂(「ペトロジン#120」、軟化点120℃,数平
均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500
部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重
量%)7.5部を仕込み、300℃に保温し、水素圧2
00kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次いで、
得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出
し、シクロヘキサン500gに溶解し、濾紙ろ過により
触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間
減圧脱溶剤した後、更に270℃、0.5Torrで3
時間減圧処理して、軟化点122℃のC9系芳香族炭化
水素樹脂の水素化物420部を得た。得られたC9系芳
香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化
率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、
二量体(低沸成分)の含有率を表1に示す。
【0034】製造例4 1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素
樹脂(「ペトロジン#120」、軟化点120℃,数平
均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500
部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重
量%)15部を仕込み、270℃に保温し、水素圧20
0kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次に、得ら
れたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出し、
シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により触媒
を除去した後、200℃、20Torrで30分間減圧
脱溶剤した後、更に280℃、0.7Torrで4時間
減圧処理して、軟化点141℃のC9系芳香族炭化水素
樹脂の水素化物420部を得た。得られたC9系芳香族
炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化率、数
平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、二量体
の含有率(低沸成分)を表1に示す。
【0035】製造例5 1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素
樹脂(「ペトロジン#120」、軟化点120℃,数平
均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500
部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重
量%)4.5部を仕込み、290℃に保温し、水素圧2
00kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次いで、
得られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出
し、シクロヘキサン500gに溶解し、濾紙ろ過により
触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間
減圧脱溶剤した後、更に270℃、0.5Torrで3
時間減圧処理して、軟化点125℃のC9系芳香族炭化
水素樹脂の水素化物420部を得た。得られたC9系芳
香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化
率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、
二量体(低沸成分)の含有率を表1に示す。
【0036】製造例6 1リットル容オートクレーブに、C9系芳香族炭化水素
樹脂(「ペトロジン#120」、軟化点120℃,数平
均分子量920,三井石油化学工業(株)製)500
部、ニッケル/ケイソウ土触媒(ニッケル担持量50重
量%)7.5部を仕込み、270℃に保温し、水素圧2
00kg/cm2 で5時間、水素化を行った。次に、得
られたC9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物を取り出
し、シクロヘキサン500部に溶解し、濾紙ろ過により
触媒を除去した後、200℃、20Torrで30分間
減圧脱溶剤した後、更に280℃、0.7Torrで4
時間減圧処理して、軟化点140℃のC9系芳香族炭化
水素樹脂の水素化物420部を得た。得られたC9系芳
香族炭化水素樹脂の水素化物の色調、芳香環の水素化
率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、
二量体の含有率(低沸成分)を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】また、樹脂a(C9系芳香族炭化水素樹脂
の水素化物,アルコンM−115,荒川化学工業(株)
製)、樹脂b(C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物,
アルコンM−135,荒川化学工業(株)製)、樹脂c
(C9系芳香族炭化水素樹脂ペトロジン#140,三井
石油化学工業(株)製)を用いた。各樹脂の色調、芳香
環の水素化率、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量
(Mw)、二量体の含有率(低沸成分)を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例1〜4、比較例1〜5 芳香族ビニル系樹脂(A)として用いるポリスチレン
(数平均分子量250000)100部に、表3に示す
各種樹脂5部をドライブレンドにて撹拌混合した後、2
軸の押出し成型機(商品名PLABOR BT−30
L,(株)プラスチック工学研究所製)を用いて、20
0℃の温度下に於いて溶融混合し、ペレタイザーを用い
てペレットを調製した。
【0041】(性能評価)上記、各実施例及び比較例に
於いて、押し出し成型機によって作製された芳香族ビニ
ル系樹脂組成物のペレットを下記(1)〜(4)の試験
方法によりそれぞれ評価した。また、比較例6として、
芳香族ビニル系樹脂(A)のみを用いてペレットを調製
し、同様の評価を行なった。結果を表3に示す。
【0042】(1)流動性測定試験(スパイラルフロー
測定) 上記ペレットを射出成形機(商品名JSW−J75E
II P、日本製鋼所(株)製)を用いて、射出圧力50
kgf/cm2 の一定圧力下で測定(射出)を行った。
使用した金型は、流路幅10mm,流路厚1mmのアル
キメデス型スパイラルフロー測定用金型で、金型温度4
0℃,樹脂温度200℃に於いて測定を行った。
【0043】(2)衝撃強度試験(アイゾット衝撃試
験) 上記ペレットを射出成型機(商品名JSW−J75E
II P、日本製鋼所(株)製)を用いて、JIS K7
110(硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法)
に規定された2号A(幅6.4mm)試験片を作製し、
JIS K7110(硬質プラスチックのアイゾット衝
撃試験方法)に規定された試験方法に準じて測定した。
【0044】(3)色調および相溶性試験 上記ペレットを射出成型機(商品名JSW−J75E
II P、日本製鋼所(株)製)を用いて、(長さ×幅×
厚さ)=(50mm×50mm×2mm)の板状の試験
片を作製し、色調および透明性を以下の基準で目視にて
測定した。 (色調) ○:無色 △:淡黄色 ×:黄色〜褐色 (相溶性) ○:透明 △:部分透明 ×:不透明
【0045】(4)発煙性 樹脂組成物を成形加工する際、発生してくる煙を以下の
基準で目視判定した。 ◎:全く発煙が認められない。 ○:殆ど発煙が認められない。 △:僅かに発煙が認められる。 ×:発煙が認められる。
【0046】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 57:02)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル系樹脂(A)およびC9系
    芳香族炭化水素樹脂の水素化物(B)を含有してなる芳
    香族ビニル系樹脂組成物であって、当該C9系芳香族炭
    化水素樹脂の水素化物(B)中に含まれるC9留分中の
    重合性モノマーの二量体の含有率が1.5重量%以下で
    あることを特徴を有する芳香族ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物
    (B)が、C9系芳香族炭化水素樹脂を水素化した後
    に、減圧処理したものである請求項1記載の芳香族ビニ
    ル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物
    (B)が、C9系芳香族炭化水素樹脂を減圧処理した後
    に、水素化したものである請求項1記載の芳香族ビニル
    系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 減圧処理を、5Torr以下、250℃
    以上の条件で行う請求項2または3記載の芳香族ビニル
    系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物
    (B)が、C9系芳香族炭化水素樹脂中の芳香環を5〜
    100%水素化したものである請求項1〜4のいずれか
    に記載の芳香族ビニル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 C9系芳香族炭化水素樹脂の水素化物
    (B)の軟化点が、120〜160℃である請求項1〜
    5のいずれかに記載の芳香族ビニル系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 芳香族ビニル系樹脂(A)の重量平均分
    子量が100000〜600000、C9系芳香族炭化
    水素の水素化物(B)の重量平均分子量が500〜25
    000である請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族ビ
    ニル系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 芳香族ビニル系樹脂(A)100重量部
    に対するC9系石油樹脂の水素化物(B)の添加量が
    0.1〜50重量部である請求項1〜7のいずれかに記
    載の芳香族ビニル系樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010219512A (ja) * 2009-02-18 2010-09-30 Arakawa Chem Ind Co Ltd 太陽電池用封止材シート
EP3875528A4 (en) * 2018-10-30 2022-07-06 Zeon Corporation RUBBER COMPOSITION AND PNEUMATIC TIRES WITH USE THEREOF

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