JPH11213607A - 磁気テープカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気テープがスライダの壁状のリブを越えてケ
ース内側へ回り込むのを防止する。 【解決手段】一対の巻取ハブの間に張架された部分の磁
気テープ３２の背面側に沿って設けられた、スライダ１
４の壁状のリブ２６の高さを、少なくともその一部にお
いて、下ハーフ１２の前方左右両端に設けられたテープ
ガイドの高さより高く設定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気テープカセッ
トに係り、特に、磁気テープ保護のため、下ハーフに装
着されるスライダの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、ＤＤＳやＤＡＴ等の磁気
テープカセットは、長尺の磁気テープのそれぞれの端部
を固定した上で、この磁気テープを巻回した一対の巻取
ハブあるいは巻取リールを、この２つのハブの間に張架
された部分の磁気テープのみを露出するケース（蓋合わ
せ状に結合された上ハーフ及び下ハーフによって構成さ
れるカセット本体）に収容して構成される。磁気テープ
には高密度の記録が行われることから、特に磁気テープ
に対して手指が接触することや塵埃が付着することを防
止するため、ケースの密閉性を向上させる必要がある。
そのため、上ハーフには、前記磁気テープを露出する前
面側を覆うために前蓋が設けられ、下ハーフには、下面
側を覆うためにスライダが設けられている。

【０００３】図６に、従来の磁気テープカセットの概略
構成を斜視分解図として示す。磁気テープカセットは主
に上ハーフ９０と下ハーフ９１とから成り、その間に巻
取ハブ９２に巻回された磁気テープ９３が収容される。
上ハーフ９０の前面側には、カセット非使用時において
磁気テープを覆い保護する前蓋９４が支軸９４ａのまわ
りに回動可能に取付けられている。また、下ハーフ９１
の外側下面には、ケース下側の解放部分をふさいで密閉
性を高めるため、スライダ９５が前後方向摺動可能に取
付けられている。

【０００４】カセット非使用時に、巻取ハブ９２に巻回
された磁気テープ９３がゆるむのを防止するために、ブ
レーキ部材９７が上ハーフ９０に付設されている。ブレ
ーキ部材９７は、制動片９７ａを巻取ハブ９２の上部に
設けられた歯車９２ａに係合させることにより、巻取ハ
ブ９２の回転を禁止し、磁気テープ９３のゆるみを防止
する。ブレーキ部材９７は、ブレーキばね９８によっ
て、カセット非使用時において制動片９７ａを歯車９２
ａに係合させる位置に付勢されている。ブレーキばね９
８は、上ハーフ９０に設けられた突起９０ａに係止され
ている。

【０００５】下ハーフ９１には、巻取ハブ９２に巻回さ
れた磁気テープ９３に沿って、ハの字状に湾曲した壁状
の部材９１ａが設けられ、その上部に三角形状の板材９
１ｂが取付けられている。この三角形状の板材９１ｂ
は、前記壁状の部材９１ａ及びケースの剛性を高め、図
示しない上ハーフ９０のリブと合わせてケース内の密閉
性を上げ防塵効果を向上させ、さらに前記ブレーキばね
９８を下から支持して、はずれるのを防止する等の役割
を有している。また、下ハーフ９１には、突起９１ｃが
設けられ、スライダ９５を前方へ付勢する付勢手段であ
るねじりコイルばね９６が係止されている。さらに、ス
ライダ９５には、ねじりコイルばね９６の付勢力を受け
たり、前記ねじりコイルばね９６を挿入するリブ９５ａ
が立設されている。

【０００６】図７に、図６に示した上ハーフ９０、下ハ
ーフ９１等を組合せて構成される磁気テープカセット９
９を示す。この磁気テープカセット９９の、VIII−VIII
線に沿う側断面図を図８に示す。ただし、図８では一部
記載を省略している。

【０００７】図８においては、スライダ９５は前方の位
置にあり、閉じた状態である。磁気テープカセット９９
をデッキ（記録再生装置）に装着すると、デッキ内の装
置の機構によりスライダ９５は図の矢印Ａの方向（後
方）へ移動する。図中の２点鎖線がスライダ９５の軌跡
を表わしている。上ハーフ９０の内面に左右方向に設け
られた壁状のリブ９０ｂは、下ハーフ９１の三角形状の
板材９１ｂと合わさって、巻取ハブ９２に巻回された磁
気テープ９３が収容される空間の防塵のため密閉性を上
げている。

【０００８】スライダ９５のリブ９５ａの高さは、三角
形状の板材９１ｂの位置より低く設定されており、磁気
テープカセット９９がデッキに装着され、スライダ９５
が移動すると、図９に示すように、リブ９５ａが三角形
状の板材９１ｂの下に入り込む位置まで、スライダ９５
は移動し、記録・再生を行うガイド類を挿入するための
空間Ｓを確保する。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図８に
示す従来のスライダ９５のようにリブ９５ａを低くして
いると、静電気の発生あるいはカセットを落下したとき
の衝撃等により、磁気テープ９３がリブ９５ａを越え
て、リブ９５ａの内側に回り込んでしまうという重大な
故障を発生させる虞れがあるという問題がある。

【００１０】この磁気テープ９３のリブ９５ａを越えて
の内側への回り込みを防止するには、単純にリブ９５ａ
の高さを高くすることが考えられる。しかしただ単にリ
ブ９５ａを高くするだけでは、スライダ９５が後方へ移
動したとき、図１０に示すように、リブ９５ａの上部が
三角形状の板材９１ｂに突き当ってそれ以上移動するこ
とができない。これではガイド類を挿入させる空間を充
分にとることはできない。

【００１１】本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされ
たものであり、スライダのリブを越えて磁気テープが内
側へ回り込むのを防止することのできる磁気テープカセ
ットを提供することを課題とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを収容するカ
セット本体を構成し、前記一対の巻取ハブの間に張架さ
れた部分の磁気テープのみを露出するよう蓋合わせ状に
結合された上ハーフ及び下ハーフと、前記一対の巻取ハ
ブの間に張架された部分の磁気テープを前記カセット本
体の前面に案内するように、下ハーフの前方左右両端の
底面に垂直に突設された一対のテープガイドと、前記一
対のテープガイドの間で前記カセット本体から露出され
た部分の磁気テープの背面側に沿ってリブを立設し、該
背面側の空間を覆う位置と解放する位置との間を摺動自
在に、前記下ハーフの外側下面に装着されたスライダ
と、前記一対のテープガイドの間に張架され、前記スラ
イダに立設したリブにその背面側を支持される磁気テー
プの前面側から前記カセット本体の前面を覆う前蓋と、
を備えた磁気テープセットであって、前記リブの少なく
とも一部の高さを、前記テープガイドより高く設定し
て、前記磁気テープが該リブを越えて後方へ回り込むの
を防止するようにしたことを特徴とする磁気テープカセ
ットを提供する。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気テープカセッ
トについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳
細に説明する。

【００１４】図１は、本発明に係る磁気テープカセット
の概略構成を示す斜視分解図である。磁気テープカセッ
トは、蓋合わせ状に結合されカセットのケース（カセッ
ト本体）となる筐体を構成する上ハーフ１０と下ハーフ
１２及び下ハーフ１２の外側下部に前後方向摺動可能に
装着されるスライダ１４とから主に構成される。

【００１５】上ハーフ１０と下ハーフ１２とで構成され
るカセットのケース内には、図示しない一対の巻取ハブ
に巻回され張架された磁気テープが収容される。カセッ
ト非使用時において、巻取ハブが回転して磁気テープが
たるまないように、上ハーフ１０にはブレーキ部材１６
が設けられている。ブレーキ部材１６は、２つの制動片
１６ａを有し、この制動片１６ａが巻取ハブに設けられ
た歯車と係合することによって巻取ハブの回転を禁止す
るようになっている。カセット非使用時においては、ブ
レーキ部材１６は、前記制動片１６ａが前記歯車に係合
するように、ねじりコイルばねを用いたブレーキばね１
８によって付勢されている。

【００１６】磁気テープには高密度の記録が行われるこ
とから、特に磁気テープに対して手指が接触することや
塵埃が付着することを防止する必要がある。そのため、
上ハーフ１０には、カセット非使用時において、一対の
巻取ハブ間に張架された磁気テープの部分を保護するた
め上ハーフ１０前面に前蓋２０が設けられている。

【００１７】下ハーフ１２は、長方形状の底面１２ａ
に、カセット使用時においてカセットケース内にリール
軸を挿入するためのリール軸挿入孔１２ｂ，１２ｂを有
し、底面１２ａの左右両端から前方に伸びる張り出し部
１２ｃ，１２ｃを有する構成となっている。左右の張り
出し部１２ｃ，１２ｃには、前記一対の巻取ハブの間に
張架された部分の磁気テープをケース前面にガイド（案
内）するための円柱状のテープガイド１２ｄ，１２ｄが
底面に垂直に突設されている。この左右の張り出し部１
２ｃ，１２ｃの間の空間は、当該磁気テープカセットが
装填されるデッキ側に設けられているいわゆるテープロ
ーディング装置が進入するための空間である。

【００１８】スライダ１４は、下ハーフ１２の底面１２
ａに下側から接してカセット前後方向に摺動するが、前
方に位置するときは、前記下ハーフ１２の左右の張り出
し部１２ｃ，１２ｃの間の空間及びリール軸挿入孔１２
ｂをスライダ１４の底面１４ａにより、防塵のためふさ
ぐようになっている。また、スライダ１４が後方に位置
するときは、前記左右の張り出し部１２ｃ，１２ｃの間
の空間を開放するとともに、スライダ１４の底面１４ａ
に設けられた２つの孔１４ｂ，１４ｂが前記リール軸挿
入孔１２ｂ，１２ｂと一致するようになっている。

【００１９】スライダ１４は、カセットがデッキに装着
されたときには、デッキ内の装置の作用により自動的に
後方に位置されるが、カセット非使用時には、下ハーフ
１２に設けられた板ばね２２により前方に位置される。

【００２０】下ハーフ１２の底面１２ａの、前記左右の
張り出し部１２ｃ，１２ｃの間の空間に面する側（磁気
テープを露出する側）に垂直に、２つの割筒型のリブを
連続してハの字状に設けた壁状の部材１２ｅを立設す
る。この壁状の部材１２ｅのハの字状の湾曲部は、巻取
リブに巻回された磁気テープが置かれた場合に、これに
沿うような形状とする。そして、壁状の部材１２ｅによ
って三角形状に区切られた底面の部分１２ｆのほぼ中央
部に垂直にリブ２４を柱状に立設する。

【００２１】この柱状のリブ２４と前記壁状の部材１２
ｅとの間に、板ばね２２のハの字状の頂点部分２２ａを
入れることにより、板ばね２２を下ハーフ１２の上から
簡単に組み込むことができる。しかも、このとき板ばね
２２の下側には下ハーフ１２の底面１２ｆがあるので、
板ばね２２が直接スライダ１４の底面１４ａに接するこ
とはなく、スライダ１４が摺動しても、板ばね２２がス
ライダ１４を傷つけることはない。尚、この板ばね２２
は、その材質として例えばＳＵＳ６３１等の折出硬化鋼
で、ビッカース硬さ（Ｈｖ）が５４０以上のものが好ま
しい。

【００２２】また、スライダ１４は、カセット非使用時
には板ばね２２によって前方の位置に固定されるよう付
勢されているが、この板ばね２２の付勢力を受けるため
底面１４ａの前方に垂直な壁状のリブ２６が設けられて
いる。本実施形態では、この壁状のリブ２６の高さをテ
ープガイド１２ｄより高くしている。これについては後
述する。

【００２３】図２に、上ハーフ１０の詳細を示す。図２
は、図１の上ハーフ１０を上下逆さまにして示した斜視
図であり、さらに、前蓋２０のある向う側が前方となっ
ている。上ハーフ１０と下ハーフ１２を結合したとき、
下ハーフ１２のリブ２４の位置に対応する上ハーフ１０
の底面１０ａの位置にブレーキばね１８を係止するため
の突起１０ｂが設けられており、その両側に壁状のリブ
２８，２８が立設されている。リブ２８，２８は、上ハ
ーフ１０と下ハーフ１２を結合したとき、下ハーフ１０
のリブ２４の両側に位置し、板ばね２２が上に持上がっ
た場合に板ばね２２を上から押さえて、はずれるのを防
ぐ働きをする。

【００２４】また上ハーフ１０には、リブ２８，２８の
両側に、下ハーフ１２の壁状の部材１２ｅの湾曲に対応
したリブ１０ｃ，１０ｃが設けられている。このリブ１
０ｃ，１０ｃは、上ハーフ１０と下ハーフ１２を結合し
たときに、壁状の部材１２ｅと当接して、ケースの剛性
を高める働きをする。すなわち、従来の三角形状の板材
をなくしてもこのリブ１０ｃ，１０ｃにより充分剛性が
確保される。

【００２５】図３に、図１の上ハーフ１０、下ハーフ１
２等を組合せて構成される磁気テープカセット３０（カ
セット本体）を示す。この磁気テープカセット３０のIV
−IV線に沿う側断面図を図４に示す。ただし、図４では
一部記載を省略している。図４において、符号３２は磁
気テープの断面を表わす。

【００２６】前述したように、本実施形態では、スライ
ダ１４に設けられた壁状のリブ２６の高さを、テープガ
イド１２ｄより高くしているため、磁気テープ３２が、
該リブ２６を越えて内側に回り込むのを防止することが
できる。しかも、このとき、上ハーフ１０に設けたリブ
１０ｃ，１０ｃを下ハーフ１２の壁状の部材１２ｅに当
突てることにより剛性を確保して、従来前へ張り出して
いた三角形状の板材を廃止したため、スライダ１４の壁
状のリブ２６の高さをテープガイド１２ｄより高くして
も、スライダ１４を充分後側へ移動することができ、ガ
イド類を挿入するための空間を広く確保することもでき
る。

【００２７】また、スライダ１４の壁状のリブ２６は、
図１に示したように、連続した形状でその全体をテープ
ガイド１２ｄより高くしたものに限定されることはな
く、図５に示すように、その一部のみをテープガイド１
２ｄより高くしたものでも、磁気テープ３２の内側への
回り込み防止の効果を充分発揮することができる。

【００２８】またスライダ１４を前方へ付勢する付勢手
段も、本実施形態では、板ばね２２を用いたものを示し
て説明したが、板ばねに限定されるものではない。

【００２９】以上、本発明の磁気テープカセットについ
て詳細に説明したが、本発明は以上の例に限定はされ
ず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改
良や変更を行ってもよいのはもちろんである。

【００３０】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、磁
気テープカセットの前面側に露出される磁気テープの背
面側に面して設けられる、スライダの壁状のリブを越え
て、磁気テープがケース内側へ回り込むのを防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る磁気テープカセットの概略構成
を示す斜視分解図である。

【図２】 図１の上ハーフを裏返して、その詳細を示す
斜視図である。

【図３】 図１の上ハーフ、下ハーフ、スライダ等を組
合せて構成された磁気テープカセットの外観を示す斜視
図である。

【図４】 図３のIV−IV線に沿う側断面図である。

【図５】 本実施形態におけるスライダの他の例を示す
斜視図である。

【図６】 従来の磁気テープカセットの概略構成を示す
斜視分解図である。

【図７】 図６の上ハーフ、下ハーフ、スライダ等を組
合せて構成された磁気テープカセットの外観を示す斜視
図である。

【図８】 図７のVIII−VIII線に沿う側断面図である。

【図９】 図８においてスライダが後方へ移動した状態
を示す側断面図である。

【図１０】 従来の問題を示す図８と同様の側断面図で
ある。

【符号の説明】

１０ 上ハーフ １２ 下ハーフ １２ｄ テープガイド １２ｅ 壁状の部材 １４ スライダ １６ ブレーキ板材 １６ａ 制動片 １８ ブレーキばね ２０ 前蓋 ２２ 板ばね ２４ （下ハーフの）リブ ２６ （スライダの）壁状のリブ ２８ （上ハーフの）リブ ３０ 磁気テープカセット ３２ 磁気テープ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープを巻回した一対の巻取ハブを収
   容するカセット本体を構成し、前記一対の巻取ハブの間
   に張架された部分の磁気テープのみを露出するよう蓋合
   わせ状に結合された上ハーフ及び下ハーフと、 前記一対の巻取ハブの間に張架された部分の磁気テープ
   を前記カセット本体の前面に案内するように、下ハーフ
   の前方左右両端の底面に垂直に突設された一対のテープ
   ガイドと、 前記一対のテープガイドの間で前記カセット本体から露
   出された部分の磁気テープの背面側にリブを立設し、該
   背面側の空間を覆う位置と解放する位置との間を摺動自
   在に、前記下ハーフの外側下面に装着されたスライダ
   と、前記一対のテープガイドの間に張架され、前記スラ
   イダに立設したリブにその背面側を支持されている磁気
   テープの前面側から前記カセット本体の前面を覆う前蓋
   と、を備えた磁気テープセットであって、 前記リブの少なくとも一部の高さを、前記テープガイド
   より高く設定して、前記磁気テープが該リブを越えて後
   方へ回り込むのを防止するようにしたことを特徴とする
   磁気テープカセット。