JPH1121322A - 水溶性抗菌感温性樹脂および凝集剤 - Google Patents

水溶性抗菌感温性樹脂および凝集剤

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JPH1121322A
JPH1121322A JP18714597A JP18714597A JPH1121322A JP H1121322 A JPH1121322 A JP H1121322A JP 18714597 A JP18714597 A JP 18714597A JP 18714597 A JP18714597 A JP 18714597A JP H1121322 A JPH1121322 A JP H1121322A
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trvb
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Seiji Shimura
征爾 志村
Tadashi Sugiya
杉矢  正
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の温度で優れた凝集作用を有し、さらに
抗菌能を有する水溶性の抗菌感温性樹脂およびそれを用
いた凝集剤を提供する。 【解決手段】 N−イソプロピルアクリルアミドとトリ
ブチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロライドと
の共重合体を主成分とする水溶性抗菌感温性樹脂および
それを用いた凝集剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性の抗菌感温
性樹脂およびそれを用いた凝集剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電荷を有する水溶性高分子は分子内に数
多くの親水基と疎水基を持っており、水中に分散する粒
子に対して吸着する性質を有する。ビニル重合によって
得られるカチオン性ポリマーは、合成時における官能基
のモル比によっても異なるが、分子量が高く、電荷密度
は高い。またその分子形態は多種多様であるため、懸濁
質に対する凝集性能とポリマー構造との関連についての
研究も多い。製品形態が粉末状高分子である場合には溶
解性が低下することが懸念され溶解拡散を高める技術の
開発が必要であるが、この作業性などの問題点を簡略化
する意味で新しい型の水溶性凝集剤が求められている。
【0003】一方、1970年代にゲルの相転移現象が
見いだされ外部環境に応答するインテリジェントマテリ
アルとしての研究が盛んとなり、その刺激応答性を利用
した医薬や農業、工業など多方面での応用が期待されて
いる。
【0004】近年、刺激応答性高分子としてN−置換型
(メタ)アクリルアミドポリマーの一部が温度変化によ
り水中で鋭敏な相転移を示すことが見いだされ、盛んに
研究がなされている。その中でもポリN−イソプロピル
アクリルアミドは、相転移温度(下限臨界溶液温度:L
CST)が室温または体温に近い32℃であり、さらに
相転移挙動は濃度や重合度には依存せず鋭敏である。ま
た、構造が比較的単純でその重合が比較的容易であるこ
とから感温性高分子として多く用いられている。
【0005】また、感温性ポリアクリルアミド系水溶性
凝集剤として、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミ
ドと共役ジエンのスルホン化物との共重合体が提案され
ている。(特開平9−3816号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、この様な
従来技術に鑑みて、上記のN−置換型(メタ)アクリル
アミドポリマーまたは共重合体からなる凝集剤は、感温
性で水溶性の凝集剤として有用であるが、その利点を生
かしさらに抗菌能を有する凝集剤について研究し本発明
を完成したものである。
【0007】本発明は、特定の温度で優れた凝集作用を
有し、さらに抗菌能を有する水溶性の抗菌感温性樹脂お
よびそれを用いた凝集剤を提供することを目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一
般式(1)
【0009】
【化3】
【0010】(式中、R1 は水素原子またはメチル基を
示し、R2 、R3 は水素原子または炭素数1〜6の直鎖
状または分岐状のアルキル基を示す。ただし、R2 、R
3 は同時に水素原子であることはない。)で表されるN
−アルキル(メタ)アクリルアミドと、下記一般式
(2)
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R4 、R5 、R6 は炭素数1〜8
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、X- はアニ
オンを示し、nは1以上の整数を示す。)で表されるビ
ニルベンジルホスホニウム塩系単量体との共重合体を含
有することを特徴とする水溶性抗菌感温性樹脂である。
【0013】本発明においては、前記一般式(1)で示
されるN−アルキル(メタ)アクリルアミドが、N−イ
ソプロピルアクリルアミドであるのが好ましい。また、
前記一般式(2)で示されるビニルベンジルホスホニウ
ム塩系単量体が、トリブチル−4−ビニルベンジルホス
ホニウムクロライド、トリヘキシル−4−ビニルベンジ
ルホスホニウムクロライドおよびトリオクチル−4−ビ
ニルベンジルホスホニウムクロライドから選ばれた少な
くとも1種のホスホニウム塩であるのが好ましい。ま
た、上記の共重合体中の含リン量がPとして0.1〜4
wt%であるのが好ましい。
【0014】また、本発明は、上記の水溶性抗菌感温性
樹脂を含有することを特徴とする凝集剤である。この凝
集剤は、特に水懸濁液に対し凝集作用を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、抗菌能を持つホスホニ
ウム基をもつビニルベンジルホスホニウム塩系単量体
と、N−置換型(メタ)アクリルアミドモノマーを共重
合してなる、抗菌性および感温性を有するカチオン性の
水溶性共重合体、およびその水溶性高分子の機能の一つ
である懸濁質の凝集能を利用した凝集剤に係るものであ
る。
【0016】すなわち、本発明の水溶性抗菌感温性樹脂
は、下記一般式(1)
【0017】
【化5】
【0018】(式中、R1 は水素原子またはメチル基を
示し、R2 、R3 は水素原子または炭素数1〜6の直鎖
状または分岐状のアルキル基を示す。ただし、R2 、R
3 は同時に水素原子であることはない。)で表されるN
−アルキル(メタ)アクリルアミドと、下記一般式
(2)
【0019】
【化6】
【0020】(式中、R4 、R5 、R6 は炭素数1〜8
の直鎖状または分岐状のアルキル基を示し、X- はアニ
オンを示し、nは1以上の整数を示す。)で表されるビ
ニルベンジルホスホニウム塩系単量体との共重合体を主
成分として含むことを特徴とする。
【0021】本発明における共重合体の一方の成分であ
る、上記一般式(1)で表されるN−アルキル(メタ)
アクリルアミドにおいて、式中のR1 は水素原子または
メチル基を示す。R2 、R3 は水素原子または炭素数1
〜6、好ましくは2〜3の直鎖状または分岐状のアルキ
ル基を示す。R2 、R3 は同一の基でも、あるいは異な
る基でもよい。ただし、R2 、R3 は同時に水素原子で
あることはない。
【0022】一般式(1)で表されるN−アルキル(メ
タ)アクリルアミドの具体例としては、N−イソプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリル
アミド、N−シクロプロピルアクリルアミド等が挙げら
れる。これらの中で特に、N−イソプロピルアクリルア
ミド、N−イソプロピルメタクリルアミドが好ましい。
【0023】また、これらのモノマーは1種で単独で用
いてもよいし、または2種以上を用いてもよい。本発明
の水溶性抗菌感温性樹脂の特定の温度で凝集作用を示す
感温性の機能は、主としてこれらのモノマーにより付与
される。例えば、N−イソプロピルアクリルアミドは3
3℃付近、N−イソプロピルメタクリルアミドは44℃
付近で感温性を示す。
【0024】次に、本発明における共重合体の他方の成
分は、抗菌作用の機能を示す一般式(2)で表されるビ
ニルベンジルホスホニウム塩系単量体である。一般式
(2)中のR4 、R5 、R6 は炭素数1〜8の直鎖状ま
たは分岐状のアルキル基を示す。アルキル基の具体例と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、
イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、等が挙げられる。また、前記アルキ
ル基をヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換した基で
もよい。これらの基の中でメチル基、エチル基のような
低級アルキル基が水溶性に好適である。抗菌効果は、ア
ルキル基の場合、その長さの影響を受け、例えばメチ
ル、エチル、ブチル、オクチルと抗菌効果が高くなる傾
向がみられる。R4 、R5 、R6 は同一の基でも、ある
いは異なる基でもよい。
【0025】前記一般式(2)中、nは1以上の整数を
示し、該アルキレン基としては、例えばメチレン、エチ
レン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレ
ン、ヘキサメチレン等の基が挙げられ、このうち、nの
好ましい範囲は1〜8、さらに好ましくは1〜2であ
る。
【0026】X- は.アニオンであり、例えばフッ素、
塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン化物イオン、ギ酸、酢
酸、蓚酸等のカルボキシルイオン、硫酸イオン、リン酸
イオン、メチルまたはジメチルリン酸イオン、エチルま
たはジエチルリン酸イオン、フッ化アンチモンイオン、
フッ化リンイオン、フッ化ヒ素イオン、フッ化ホウ素イ
オン、過塩素酸イオン等が挙げられ、これらのうちハロ
ゲン化物イオンが好ましく、特に塩化物イオンが好まし
い。
【0027】一般式(2)で表されるビニルベンジルホ
スホニウム塩系単量体の好適なものはトリアルキル−4
−ビニルベンジルホスホニウムクロライド(TRVB)
であり、その具体例としては、 トリブチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド(TBVB) トリヘキシル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロラ
イド(THVB) トリオクチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロラ
イド(TOVB) トリエチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド トリプロピル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロラ
イド トリブチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド 等が挙げられる。それらの中で特に、トリブチル−4−
ビニルベンジルホスホニウムクロライド(TBVB)、
トリヘキシル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロラ
イド(THVB)、トリオクチル−4−ビニルベンジル
ホスホニウムクロライド(TOVB)が好ましい。
【0028】本発明の水溶性抗菌感温性樹脂は、上記一
般式(1)で表されるN−アルキル(メタ)アクリルア
ミドと、一般式(2)で表されるビニルベンジルホスホ
ニウム塩系単量体とをモノマー成分とし、重合開始剤の
存在下、溶媒中で該モノマー成分を共重合させた共重合
体を主成分として含有する。
【0029】下記に共重合の反応式を示す。
【0030】
【化7】
【0031】上記の共重合反応において、一般式(1)
および一般式(2)で表わされるモノマー成分の配合割
合は、モノマーの種類や樹脂の用途により異なり、任意
に設計できるが、通常N−アルキル(メタ)アクリルア
ミド100モルに対してビニルベンジルホスホニウム塩
系単量体0.5〜10モルの範囲であり、好ましくは、
N−アルキル(メタ)アクリルアミド100モルに対し
てビニルベンジルホスホニウム塩系単量体1〜5モルの
範囲が望ましい。
【0032】この配合割合によれば、本発明の水溶性抗
菌感温性樹脂においては、含りん量がPとして0.1〜
4wt%、好ましくは0.1〜2wt%の範囲となり抗
菌性を発現することができる。
【0033】ビニルベンジルホスホニウム塩系単量体が
0.5モル未満の場合は、樹脂の抗菌性が不十分とな
り、逆に上記ビニルベンジルホスホニウム塩系単量体の
含量が増加すると、凝集能および抗菌性も高くなるが、
10モルを超えるとあまり経済的ではない。
【0034】また、必要に応じて他のビニルモノマー、
例えばアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのアルキ
ルエステル等を適量使用することもできる。
【0035】上記の共重合は、重合開始剤の存在下で行
なわれるが、重合開始剤としてはラジカル重合触媒を用
いればよいが、そのラジカル重合触媒としては、過酸化
水素、過酸化ベンゾイル、ベンゾイルパーオキサイド、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパー
オキシビバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレ
ート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビス
イソブチロニトリル、アゾビスイソバレリアル酸、アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−
アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合
物、過硫酸アンモニム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等
のラジカル重合触媒や、これらと亜硫酸水素ナトリウ
ム、亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、第一鉄
塩等の還元剤との組合わせによるレドックス系開始剤が
用いられる。
【0036】重合系溶媒としては、例えばメタノール、
エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン等が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用
することができる。
【0037】本発明において重合条件は、各種原料によ
って異なるが、重合温度は室温〜100℃、好ましくは
10〜80℃、重合時間は3〜48時間、好ましくは5
〜30時間である。重合終了後、必要に応じて精製、濃
縮して、共重合体が得られる。この共重合体の水溶液
は、本発明の水溶性抗菌感温性樹脂の水溶液として用い
られる。
【0038】かくして得られる本発明の水溶性抗菌感温
性樹脂は、様々な細菌類例えば大腸菌や黄色ブドウ球
菌、真菌類、藻類等に有効な抗菌性を示す。また、熱や
溶媒に対して極めて高い化学安定性を有する。また、本
発明の水溶性抗菌感温性樹脂は、水に溶解して水溶液と
なる。
【0039】本発明の水溶性抗菌感温性樹脂は、水溶液
の状態で凝集剤として用いられる。水溶液中の水溶性抗
菌感温性樹脂の濃度は通常0.01〜1.0wt%、好
ましくは0.1〜0.5wt%の範囲が望ましい。本発
明の凝集剤は、特に水懸濁液に対し優れた凝集作用を有
する。
【0040】また、本発明の凝集剤には、上記の水溶性
抗菌感温性樹脂に、必要に応じて添加剤を添加すること
ができる。添加剤とては、例えば硫酸アルミニウム、ポ
リ塩化アルミニウム等が挙げられる。
【0041】本発明の水溶性抗菌感温性樹脂を含有する
凝集剤は、感温性と、優れた抗菌性を有するために、特
に特定の温度で凝集能を高めることができ、例えば食
品、病院、工業、農業等の細菌類が発生する懸濁溶液の
凝集剤として有用であり、例えばそれらの分野の細菌類
が発生する排水や汚水の処理を行う場合に、特定の温度
で凝集させることにより、効率の良い凝集剤として利用
できる。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0043】(1)水溶性抗菌感温性樹脂(下記の略記
に示すTRVB−NIPAAm共重合体)の合成 3種のトリアルキル−4−ビニルベンジルホスホニウム
クロライド(以下、TRVBと略記す)、すなわち トリブチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド(以下、TBVBと略記する) トリヘキシル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロラ
イド(以下、THVBと略記する) トリオクチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロラ
イド(以下、TOVBと略記する) とN−イソプロピルアクリルアミド(以下、NIPAA
mと記す)のモル比が、下記の表1に示す様に、TRV
B:NIPAAm=x:100(x=2,3,4,5、
NIPAAmの重量は2.263gに固定)となるよう
にそれぞれを精秤し、これをジメチルスルホキシド(D
MSOと記す)20mlに溶解させた。その溶液を重合
試験管に移し、重合開始剤としてα,α′−アゾビスイ
ソブチロニトリル(AIBNと記す)を加え、水浴中で
1時間窒素置換した。その後氷浴中で固化し、熔封後定
温振とう器(島津理化機器製、SBAC−31)を用い
て反応温度50℃で24時間振とうしながら重合を行っ
た。得られた共重合体を水−DMSO混合溶媒(TOV
B−NIPAAmはジエチルエーテル)中に沈殿させデ
カンテーションを行ない、さらに透析を行なうことで未
反応モノマーやDMSOを除去し、TRVB−NIPA
Am共重合体水溶液を得た。
【0044】このTRVB−NIPAAm共重合体の合
成経路を下記に示す。また、TBVB−NIPAAm、
THVB−NIPAAm、TOVB−NIPAAmの配
合割合、および合成した共重合体の含りん量を表1に示
す。
【0045】リンの定量法 乾燥共重合体0.lgをケルダールフラスコに入れ濃硝
酸10mlを加えてロートを付け、弱火で突沸に注意し
ながら褐色の蒸気が白色になるまで加熱した。放冷後、
60%過塩素酸10mlを加え、弱火〜中火で共重合体
が分解するまで加熱した。分解後さらに2〜3時間加熱
を続け、放冷後ケルダールフラスコ内の溶液をすべて1
00mlメスフラスコに入れて、イオン交換水で標線ま
で合わせた。この溶液を50mlメスフラスコに10m
lとり、これにフェノールフタレイン一滴を加え、微紅
色を示すまで希アンモニア水(体積比でアンモニア水:
イオン交換水=1:4)を加えた。次に5mol/1硝
酸5ml、0.25%メタバナジン酸アンモニウム水溶
液5ml、5%モリブデン酸アンモニウム水溶液5ml
を順次加えイオン交換水で標線まで合わせた。この溶液
の440nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(S
IMADZU製 UVl60A)を用いて測定し、10
0ppmリン標準液から同様に調製した検量線を用い
て、リン含量を次式により求めた。
【0046】
【数1】 A:検量線から求めた測定液中のリンの含量(mg) V:試料溶液全量(ml) v:比色法に用いた試料溶液量(ml) W:測定に用いた乾燥共重合体の重量(g)
【0047】
【化8】
【0048】
【表1】
【0049】表1の結果から、仕込み比でTOVB:N
IPAAm=5:100の共重合体は水溶性を示さない
ことが認められる。これはホスホニウム基中のアルキル
鎖が長く、そのTOVBの仕込み比が多いため疎水性が
強くなったためと思われる。すべてのTRVBの場合に
おいて、TRVBの仕込み比が多くなるにつれてリン含
量が多くなっていることがわかる。また、THVB及び
TOVBを含む共重合体は仕込み比から計算した理論値
に近いリン含量を示していたが、TBVBを含む共重合
体は理論値の約2倍のリン含量を示していた。
【0050】(2)TRVB−NIPAAm共重合体水
溶液の粘度測定 粘度測定法 0.3g/dlの共重合体水溶液を調製し、オストワル
ド粘度計を用いて共重合体水溶液の粘度を測定した。な
お、相対粘度は次式により算出した。
【0051】
【数2】ηrel=t/t0 ηrel:相対粘度 t0 :水の流下時間(sec) t:共重合体水溶液の流下時間(sec)
【0052】(2)−(a)水溶液粘度に及ぼすリン含
量の影響 表1に示すリン含量の異なる各々のTRVB−NIPA
Am共重合体水溶液(濃度0.3g/dl)の粘度を種
々の温度で測定した。
【0053】図1は、TBVB−NIPAAm共重合体
水溶液の相対粘度の測定結果を示す図である。図2は、
THVB−NIPAAm共重合体水溶液の相対粘度の測
定結果を示す図である。図3は、TOVB−NIPAA
m共重合体水溶液の相対粘度の測定結果を示す図であ
る。
【0054】図1〜図3の結果から、共重合体水溶液の
相対粘度は温度の上昇とともに低下する傾向を示した
が、その低下の度合はTHVBを含む共重合体を除いて
仕込み比で2:100>3:100>4:100>5:
100共重合体の順、すなわちリン含量の増加とともに
小さくなる傾向にあった。曇点はリン含量の増加にとも
ない高温側ヘシフトしたが、これは高分子の水に対する
親水性の向上によるものと考えられる。一般に親水性の
低い高分子は脱水されやいため曇点を下げることが報告
されている。TRVB導入量の増加にともないホスホニ
ウム基量も増加するが、アルキル鎖による疎水性も強ま
ることで親水性の大きさは2:100>3:100>
4:100>5:100共重合体の順であると思われ
る。
【0055】(2)−(b)水溶液粘度に及ぼすアルキ
ル鎖長の影響 アルキル鎖長の異なるTRVB−NIPAAm共重合体
水溶液(濃度0.3g/dl)の粘度を種々の温度で測
定した。
【0056】図4は、TRVB:NIPAAm=2:1
00の仕込み比から得られた共重合体水溶液の相対粘度
の測定結果を示す図である。図5は、TRVB:NIP
AAm=3:100の仕込み比から得られた共重合体水
溶液の相対粘度の測定結果を示す図である。図6は、T
RVB:NIPAAm=3:100の仕込み比から得ら
れた共重合体水溶液の相対粘度の測定結果を示す図であ
る。
【0057】図4〜図6の結果から、いずれの温度でも
アルキル鎖長の短いものほど高い相対粘度を示す傾向が
見られた。また、いずれの共重合体水溶液の相対粘度も
温度の上昇とともに低下する傾向を示したが、その低下
の度合はTOVB>THVB>TBVB共重合体の順で
あり、とくにTBVB共重合体の低下の度合は小さかっ
た。曇点はアルキル鎖長が長いものほど高温側ヘシフト
した。アルキル鎖長が短かくなると親水性が強まるため
水溶液の粘度もTBVB>THVB>TOVB共重合体
の順であると思われる。
【0058】(3)TRVB−NIPAAm共重合体の
清澄能測定 清澄能測定は、下記の(a)〜(g)に示す諸条件(温
度、塩濃度など)を調整した500mg/lのカオリン
懸濁液300mlを300ml用ビーカーに入れて30
0rpmで撹拌しながら1000mg/lの濃度に調整
した共重合体水溶液を所定量添加し、2分間500rp
mで撹拌を行ない、つづいて15分間300rpmで撹
拌を行なったのち、2分間静置して、その上澄液を約5
mlとり、660nmにおける光透過率を紫外可視分光
光度計で測定した。
【0059】(3)−(a)清澄能に及ぼす開始剤量の
影響 開始剤(AIBN)量の異なるTRVB−NIPAAm
共重合体の清澄能を室温(22〜25℃)で測定した。
【0060】図7は、TBVB:NIPAAm=2:1
00の仕込み比から得られた共重合体の清澄能の測定結
果を示す図である。図8は、THVB:NIPAAm=
2:100の仕込み比から得られた共重合体の清澄能の
測定結果を示す図である。図9は、TOVB:NIPA
Am=2:100の仕込み比から得られた共重合体の清
澄能の測定結果を示す図である。
【0061】図7〜図9の結果から、横軸に共重合体添
加量をとった場合、上澄み透過率(清澄能)は極大値を
持つ凸曲線となった。これは極大までは共重合体による
橋架け吸着による凝集、それ以上では共重合体の飽和吸
着による凝集粒子の再分散が起こったためと考えられ
る。なお、清澄能の極大値における添加量を最適共重合
体添加量と示す。最適共重合体添加量における清澄能
は、TBVB、THVBおよびTOVBを含むいずれの
共重合体も、開始剤(AIBN)量の少ないものほど高
い清澄能を示した。通常、ラジカル重合では開始剤量が
少ない場合ほど高分子量のものが得られることが知られ
ている。この場合の凝集効果も分子量が大きいほど良好
であることを意味する。
【0062】なお、以後の清澄能測定は開始剤量AIB
N=100mgから得られた共重合体について検討し
た。
【0063】(3)−(b)清澄能に及ばすリン含量の
影響 リン含量の異なるTRVB−NIPAAm共重合体の清
澄能を室温(22〜25℃)で測定した。なお、開始剤
量AIBN=100mgから得られた共重合体について
検討した。
【0064】図10は、TBVB−NIPAAm共重合
体の清澄能の測定結果を示す図である。図11は、TH
VB−NIPAAm共重合体の清澄能の測定結果を示す
図である。図12は、TOVB−NIPAAm共重合体
の清澄能の測定結果を示す図である。
【0065】図10〜図12の結果から、リン含量の増
加にともない極大値における清澄能は低下した。最適共
重合体添加量はリン含量の増加にともない減少したが、
この減少は、後述の(3)−(d)に示す懸濁液中へ添
加されたホスホニウム基量に依存していることが確認で
きた。
【0066】(3)−(c)清澄能に及ばすアルキル鎖
長の影響 アルキル鎖長の異なるTRVB−NIPAAm共重合体
の清澄能を室温(22〜25℃)で測定した。なお、開
始剤量AIBN=100mgから得られた共重合体につ
いて検討した。
【0067】図13は、TRVB:NIPAAm=2:
100の仕込み比から得られた共重合体の清澄能の測定
結果を示す図である。図14は、TRVB:NIPAA
m=3:100の仕込み比から得られた共重合体の清澄
能の測定結果を示す図である。図15は、TRVB:N
IPAAm=4:100の仕込み比から得られた共重合
体の清澄能の測定結果を示す図である。
【0068】図13〜図14の結果から、最適共重合体
添加量はアルキル鎖長の増加にともない増加したが、こ
の増加も後述の(3)−(d)に示す懸濁液中へ添加さ
れたホスホニウム基量に依存していることが確認でき
た。またアルキル鎖長の短いものほど極大における清澄
能は高くなった。アルキル鎖長が長いものほど疎水性が
増加するために清澄能が低下したと思われる。なお、以
後の清澄能測定は最適共重合体添加量で行なった。
【0069】(3)−(d)清澄能に及ぼす最適添加量
の影響 上述の(3)−(b)および(3)−(c)で示した清
澄能の凸曲線の極大における共重合体添加量(最適共重
合体添加量)にずれが生じる要因を検討した。図16
は、TRVB:NIPAAmの最適共重合体添加量と共
重合体のリン含量の関係を示す図である。
【0070】図16における最適リン添加量は表1に示
した共重合体のリン含量と最適添加量の積として算出し
た。それぞれのアルキル鎖長では共重合体のリン含量の
増加にともない共重合体最適添加量は減少しているが、
その積である最適リン添加量はほば一定となった。ま
た、アルキル鎖長が長くなるにつれて最適リン添加量は
若干減少しているが、これはアルキル鎖長もカオリン懸
濁粒子の凝集に関与していることを示唆する。
【0071】(3)−(e)清澄能に及ばす塩添加効果 TRVB:NIPAAm=2:100の仕込み比から得
られた共重合体について、NaClを共存させた場合の
清澄能を25℃で測定した。なお、測定は(3)−
(c)で示した清澄能の最適共重合体添加量で行なっ
た。
【0072】図17は、TRVB:NIPAAm=2:
100の仕込み比から得られた共重合体のNaClを共
存させた場合の清澄能の測定結果を示す図である。
【0073】同一NaCl添加量ではアルキル鎖長の短
いTBVBを含む共重合体が高い清澄能を示す傾向にあ
り、同一アルキル鎖長ではNaC1が0.00lwt/
vol%付近で極大となり、それ以上の濃度では低下し
た。これは極大までは添加塩のイオンによる分散粒子の
脱水、電荷の中和による凝結が起こり凝集を向上させた
が、極大より高濃度域では共重合体の荷電が抑えられ収
縮するため凝集は抑制されたものと考えられる。
【0074】(3)−(f)清澄能の温度依存性に及ぼ
すリン含量の影響 リン含量の異なるTRVB−NIPAAm共重合体の清
澄能を種々の温度で測定した。なお、測定は(3)−
(b)で示した清澄能の最適共重合体添加量で行なっ
た。
【0075】図18は、TBVB−NIPAAm共重合
体の清澄能の温度依存性の測定結果を示す図である。図
19は、THVB−NIPAAm共重合体の清澄能の温
度依存性の測定結果を示す図である。図20は、TOV
B−NIPAAm共重合体の清澄能の温度依存性の測定
結果を示す図である。
【0076】図18〜図20の結果から、いずれの温度
でもリン含量の増加にともない、清澄能は低下する傾向
が見られた。清澄能は20〜25℃付近までは温度の上
昇とともに向上するが、それ以上では一端低下し、30
℃以上で再度上昇する傾向が見られた。これらの共重合
体は、温度の上昇とともに溶液粘度が低下することを図
1〜図3に述べたが、清澄能はこれらの傾向とは異なっ
ている。
【0077】(3)−(g)清澄能の温度依存性に及ば
すアルキル鎖長の影響 アルキル鎖長の異なるTRVB−NIPAAm共重合体
の清澄能を種々の温度で測定した。なお、測定は(3)
−(c)で示した清澄能の最適共重合体添加量で行なっ
た。
【0078】図21は、TRVB:NIPAAm=2:
100の仕込み比から得られた共重合体の清澄能の温度
依存性の測定結果である。図22は、TRVB:NIP
AAm=3:100の仕込み比から得られた共重合体の
清澄能の温度依存性の測定結果である。図23は、TR
VB:NIPAAm=4:100の仕込み比から得られ
た共重合体の清澄能の温度依存性の測定結果である。
【0079】図21〜図23の結果から、いずれの温度
でもアルキル鎖長の短いものほど高い清澄能を示す傾向
が見られた。清澄能は20〜25℃付近までは温度の上
昇とともに向上するが、それ以上では一端低下し、30
℃以上で再度上昇する傾向が見られた。25℃以上では
TBVBを含む共重合体は他に比べて特に高い清澄能を
示した。これは図4〜図6に示したように、TBVBを
含む共重合体の溶液粘度が25℃以上でも低下しないこ
とと対応しており、溶液中で広がりの大きい共重合体ほ
ど凝集能が高いことを示唆する。
【0080】(4)TRVB−NIPAAm共重合体の
沈降能測定 沈降速度 所定の温度で目盛付試験管(内径16.2mm×全長1
80mm)にカオリン1.5g及び1000mg/lの
濃度に調整した共重合体水溶液を所定量添加し全量を3
0mlとし、25回転倒して十分に混合させたのち垂直
に立て、沈降物界面が液面から7ml沈降した地点か
ら、さらに5ml沈降するまでの時間を測定した。
【0081】沈降体積および光透過率 所定の温度で目盛付試験管(内径16.2mm×全長1
80mm)にカオリン1.5g及び1000mg/lの
濃度に調整した共重合体水溶液を所定量添加し全量を3
0mlとし、25回転倒して十分に混合させたのち垂直
に立て、1時間後の試験管下端から沈降物界面までの体
積を測定した。また、沈降体積の測定と同時に上澄液を
約5mlとり、660nmにおける光透過率を紫外可視
分光光度計で測定した。
【0082】(4)−(a)沈降能に及ばすリン含量の
影響 リン含量の異なるTRVB−NIPAAm共重合体の沈
降能を25℃で測定した。
【0083】図24は、TBVB−NIPAAm共重合
体を添加した場合のカオリン懸濁液の光透過率を示す図
である。図25は、TBVB−NIPAAm共重合体を
添加した場合のカオリン懸濁液のカオリンの沈降速度を
示す図である。図26は、TBVB−NIPAAm共重
合体を添加した場合のカオリン懸濁液のカオリンの沈降
体積を示す図である。
【0084】図24〜図26の結果から、光透過率、沈
降速度、および沈降体積はポリマー添加量が約0.2w
t%/カオリン付近で極大値を持つ凸曲線となった。こ
のことはTRVB−NIPAAm共重合体が水溶液状態
では通常の水溶性高分子凝集剤と全く同様の凝集機構、
つまり、約0.2wt%/カオリンまではポリマー分子
による橋架け吸着による凝集、約0.2wt%/カオリ
ン以上では共重合体の飽和吸着による凝集粒子の再分散
が起こっていることを示す。
【0085】また、光透過率は約0.3wt%/カオリ
ン付近より急激な低下が見られるのに対し、(3)−
(b)で示した清澄能では500mg/lのカオリン懸
濁液に対して約1.5mg/lから透過率の低下が見ら
れた。この約1.5mg/lという濃度は、実際の凝集
系におけるポリマー添加量に換算すれば約0.3wt%
/カオリンに相当する。したがってTRVB−NIPA
Am共重合体の最適添加量はカオリン濃度に依存せず約
0.3wt%/カオリンであることが分かった。
【0086】また、同一アルキル鎖ではリン含量の増加
にともない最適添加量時の光透過率は低下し、沈降速度
は遅くなり、沈降体積は大きくなる傾向が確認できた。
沈降速度が平均的凝集粒子の密度、沈降体積が凝集粒子
の大きさおよびパッキング(Packing)状態、上
澄みの光透過率が凝集されなかった粒子と、それぞれ測
定された対象が異なるため、凝集効果の大小関係に異な
った結果が得られたと考えられる。
【0087】(4)−(b)沈降能に及ばすアルキル鎖
長の影響 アルキル鎖長の異なるTRVB−NIPAAm共重合体
の沈降能を25℃で測定した。
【0088】図27は、TRVB:NIPAAm=3:
100の仕込み比から得られた共重合体を添加した場合
のカオリン懸濁液の光透過率を示す図である。図28
は、TRVB:NIPAAm=3:100の仕込み比か
ら得られた共重合体を添加した場合のカオリンの沈降速
度を示す図である。図29は、TRVB:NIPAAm
=3:100の仕込み比から得られた共重合体を添加し
た場合のカオリンの沈降体積を示す図である。
【0089】図27〜図29の結果から、アルキル鎖長
の長いものほど最適添加量以上での光透過率は大きく、
沈降速度は速くなり、沈降体積は大きくなる傾向が確認
できた。カオリンの沈降体積は、測定された全ての添加
範囲で、アルキル鎖長の長いホスホニウム基を含む共重
合体ほど大きかった。TBVBを含む共重合体は密度の
高いカオリンフロックを形成するので早く沈降し、清澄
能は高いが、沈降容積は小さいことがわかった。
【0090】(5)以上の総括 長さの異なるアルキル鎖を有するホスホニウム塩モノマ
ーTRVBと感温性を示すNIPAAmの共重合により
感温性を有するカチオン性の水溶性TRVB−NIPA
Am共重合体が得られた。
【0091】共重合体水溶液の相対粘度は温度の上昇と
ともに低下する傾向を示した。その低下の度合は同一仕
込み比ではアルキル鎖長の長いTRVBを含む共重合体
ほど、また同一アルキル鎖をもつ共重合体ではその含量
の小さいものほど大きかった。相転移温度(曇点)は同
一共重合体濃度ではホスホニウム基含量の増加、ホスホ
ニウム基のアルキル鎖長の減少とともに32℃より高温
側ヘシフトした。
【0092】これらの共重合体によるカオリン懸濁液の
凝集を検討した。清澄能は、共重合体中のホスホニウム
基含量の減少、ホスホニウム基中のアルキル鎖長の減少
とともに向上した。最適共重合体添加量は、同一アルキ
ル鎖をもつTRVBを含む共重合体ではその仕込み比の
増加にともない減少し、同一仕込み比で得られた共重合
体ではホスホニウム基中のアルキル鎖長の短かいものほ
ど減少した。共重合体のホスホニウム基含量と最適共重
合体添加量の積として算出した最適ホスホニウム基添加
量はそれぞれのアルキル鎖をもつホスホニウム基におい
て、仕込み比に依存せずほば一定となった。
【0093】各組成のTRVB−NIPAAm共重合体
の最適共重合体添加量における清澄能を温度を変えて測
定した結果、20〜25℃までは温度の上昇とともに向
上したが、それ以上では一端低下し、30℃以上で再度
上昇した。NaClを含むカオリン懸濁液の凝集ではN
aClが0.00lwt/vol%において清澄能は極
大となり、それ以上の濃度では低下した。
【0094】沈降体積の大きさは同一アルキル鎖のホス
ホニウム基をもつ共重合体ではその導入量の大きいもの
ほど、また同一仕込み比で得られた共重合体ではホスホ
ニウム基のアルキル鎖長の長いものほど大きくなること
がわかった。
【0095】(6)抗菌活性試験 グラム陽性菌の代表として、スタフィロコッカス・オ
ーレウス(Staphylococcus aureu
s)IFOl2732に対して、下記の表2に示す試料
1〜3を、下記の表3に示した濃度および作用時間で作
用させた。得られた抗菌活性の結果を表3に示す。
【0096】グラム陰性菌の代表として、エシエリア
・コリ(Escherichia coli)IFO3
806に対して、下記の表2に示す試料1〜3を、下記
の表4に示した濃度および作用時間で作用させた。得ら
れた抗菌活性の結果を表4に示す。
【0097】なお、各々の抗菌活性の評価は、下記の溶
液希釈法で行なった。 溶液希釈法:生理食塩水l8ml中に、lml当たり
106 個の菌2mlを摂取し、試料1〜3の各試料を3
0℃にて表3および表4に示した濃度および作用時間で
作用させ、その後の菌数を測定した。接触時間に対し、
菌数の減少が著しいほど殺菌活性が強いことを示す。表
中の数字は菌数(個/ml)を示す。
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の水溶性抗菌
感温性樹脂によれば、特定の温度で優れた凝集作用を有
し、さらに且つ短時間の接触で十分な抗菌効果を有する
優れた効果が得られる。また、上記の水溶性抗菌感温性
樹脂を用いることにより、特定の温度で優れた凝集作用
を有する抗菌性の凝集剤を得ることができる効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TBVB−NIPAAm共重合体水溶液の相対
粘度の測定結果を示す図である。
【図2】THVB−NIPAAm共重合体水溶液の相対
粘度の測定結果を示す図である。
【図3】TOVB−NIPAAm共重合体水溶液の相対
粘度の測定結果を示す図である。
【図4】TRVB:NIPAAm=2:100の仕込み
比から得られた共重合体水溶液の相対粘度の測定結果を
示す図である。
【図5】TRVB:NIPAAm=3:100の仕込み
比から得られた共重合体水溶液の相対粘度の測定結果を
示す図である。
【図6】TRVB:NIPAAm=3:100の仕込み
比から得られた共重合体水溶液の相対粘度の測定結果を
示す図である。
【図7】TBVB:NIPAAm=2:100の仕込み
比から得られた共重合体の清澄能の測定結果を示す図で
ある。
【図8】THVB:NIPAAm=2:100の仕込み
比から得られた共重合体の清澄能の測定結果を示す図で
ある。
【図9】TOVB:NIPAAm=2:100の仕込み
比から得られた共重合体の清澄能の測定結果を示す図で
ある。
【図10】TBVB−NIPAAm共重合体の清澄能の
測定結果を示す図である。
【図11】THVB−NIPAAm共重合体の清澄能の
測定結果を示す図である。
【図12】TOVB−NIPAAm共重合体の清澄能の
測定結果を示す図である。
【図13】TRVB:NIPAAm=2:100の仕込
み比から得られた共重合体の清澄能の測定結果を示す図
である。
【図14】TRVB:NIPAAm=3:100の仕込
み比から得られた共重合体の清澄能の測定結果を示す図
である。
【図15】TRVB:NIPAAm=4:100の仕込
み比から得られた共重合体の清澄能の測定結果を示す図
である。
【図16】TRVB:NIPAAmの最適共重合体添加
量と共重合体のリン含量の関係を示す図である。
【図17】TRVB:NIPAAm=2:100の仕込
み比から得られた共重合体のNaClを共存させた場合
の清澄能の測定結果を示す図である。
【図18】TBVB−NIPAAm共重合体の清澄能の
温度依存性の測定結果を示す図である。
【図19】THVB−NIPAAm共重合体の清澄能の
温度依存性の測定結果を示す図である。
【図20】TOVB−NIPAAm共重合体の清澄能の
温度依存性の測定結果を示す図である。
【図21】TRVB:NIPAAm=2:100の仕込
み比から得られた共重合体の清澄能の温度依存性の測定
結果である。
【図22】TRVB:NIPAAm=3:100の仕込
み比から得られた共重合体の清澄能の温度依存性の測定
結果である。
【図23】TRVB:NIPAAm=4:100の仕込
み比から得られた共重合体の清澄能の温度依存性の測定
結果である。
【図24】TBVB−NIPAAm共重合体を添加した
場合のカオリン懸濁液の光透過率を示す図である。
【図25】TBVB−NIPAAm共重合体を添加した
場合のカオリン懸濁液のカオリンの沈降速度を示す図で
ある。
【図26】TBVB−NIPAAm共重合体を添加した
場合のカオリン懸濁液のカオリンの沈降体積を示す図で
ある。
【図27】TRVB:NIPAAm=3:100の仕込
み比から得られた共重合体を添加した場合のカオリン懸
濁液の光透過率を示す図である。
【図28】TRVB:NIPAAm=3:100の仕込
み比から得られた共重合体を添加した場合のカオリンの
沈降速度を示す図である。
【図29】TRVB:NIPAAm=3:100の仕込
み比から得られた共重合体を添加した場合のカオリンの
沈降体積を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基を示し、R2
    3 は水素原子または炭素数1〜6の直鎖状または分岐
    状のアルキル基を示す。ただし、R2 、R3 は同時に水
    素原子であることはない。)で表されるN−アルキル
    (メタ)アクリルアミドと、下記一般式(2) 【化2】 (式中、R4 、R5 、R6 は炭素数1〜8の直鎖状また
    は分岐状のアルキル基を示し、X- はアニオンを示し、
    nは1以上の整数を示す。)で表されるビニルベンジル
    ホスホニウム塩系単量体との共重合体を含有することを
    特徴とする水溶性抗菌感温性樹脂。
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で示されるN−アルキ
    ル(メタ)アクリルアミドが、N−イソプロピルアクリ
    ルアミドである請求項1記載の水溶性抗菌感温性樹脂。
  3. 【請求項3】 前記一般式(2)で示されるビニルベン
    ジルホスホニウム塩系単量体が、トリブチル−4−ビニ
    ルベンジルホスホニウムクロライド、トリヘキシル−4
    −ビニルベンジルホスホニウムクロライドおよびトリオ
    クチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロライドか
    ら選ばれた少なくとも1種のホスホニウム塩である請求
    項1記載の水溶性抗菌感温性樹脂。
  4. 【請求項4】 前記共重合体中の含リン量がPとして
    0.1〜4wt%である請求項1乃至3のいずれかの項
    に記載の水溶性抗菌感温性樹脂。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかの項に記載の
    水溶性抗菌感温性樹脂を含有することを特徴とする凝集
    剤。
  6. 【請求項6】 水懸濁液に対し凝集作用を有する請求項
    5記載の凝集剤。
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