JPH11212124A - 光ビーム偏向装置および描画装置 - Google Patents

光ビーム偏向装置および描画装置

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JPH11212124A
JPH11212124A JP1289398A JP1289398A JPH11212124A JP H11212124 A JPH11212124 A JP H11212124A JP 1289398 A JP1289398 A JP 1289398A JP 1289398 A JP1289398 A JP 1289398A JP H11212124 A JPH11212124 A JP H11212124A
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藤和 北村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ビームを広帯域かつ高速に走査させた場合
でも所定の回折効率を確保しつつ入射光と同じ大きさの
回折光を得ることができる光ビーム偏向装置およびそれ
を用いた描画装置を提供することである。 【解決手段】 AOD1のトランスデューサ1bの幅L
を次式のように設定する。 【数22】 vはAOD1の音響媒質1a中の音速、fは掃引信号に
基づく超音波の中心周波数、DはAOD1の開口幅、T
は掃引信号に基づく超音波の掃引時間、λは光ビームの
波長、Δfは超音波の掃引周波数帯域である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響光学偏向素子
(AOD)を用いて光ビームを偏向させる光ビーム偏向
装置およびそれを用いた描画装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音響光学偏向素子(AOD)は、レーザ
ビーム等の光ビームを偏向させる偏向器として光ビーム
偏向装置に広く用いられている。特に、このAODを用
いた光ビーム偏向装置は、偏向角の制御を高速で行うこ
とができるので、光ビームを高速で走査させるための走
査光学系に用いられることが多い。このような光ビーム
偏向装置は、例えば光ビームを感光材の表面に走査させ
ることにより描画を行う描画装置に用いられている。
【0003】しかし、AODを用いて高速な走査を行う
と、シリンドリカルレンズ効果と呼ばれる現象が現れる
ことが知られている。AODのシリンドリカルレンズ効
果については、例えばL.D.Dickson,“Optical Consider
ations for an Accoustooptic Deflector,”Applied Op
tics誌,Vol.11,No10, 1972年10月, 第2196頁〜第2202頁
に詳しく説明されている。
【0004】図3(a)はAODにおけるシリンドリカ
ルレンズ効果を説明するための概念図、図3(b)は超
音波の周波数変化の一例を示す波形図である。
【0005】図3(a)において、AOD1は、音響媒
質1aおよび超音波振動子(トランスデューサ)1bを
備える。トランスデューサ1bから発振された超音波S
は、音響媒質1a中を進行する。図においては、超音波
Sは音響媒質1a内に平行線によって模擬的に示されて
いる。この平行線は、その間隔が狭いほど周波数が高い
ことを意味している。超音波Sの周波数は、図3(b)
に示すように、最低周波数fmin から最高周波数fmax
まで直線的に上昇するように周期的に変化している。
【0006】音響媒質1aに光ビームLIa,LIbが
入射すると、1次回折光である出射光LDa,LDbが
出射される。一般に、回折光の回折角2ψは、次式(a
1)で与えられる。
【0007】2ψ=fλ/v ・・・(a1) ここで、fは超音波の周波数、λは光ビームの波長、v
は音響媒質1a中の音速である。上式から、超音波の周
波数fを変化させることにより、回折光の回折角ψを変
化させて、光ビームを偏向することができる。
【0008】回折角ψを高速に変化させるために超音波
Sの周波数fを高速で変化させると、図3(a)に模擬
的に示すように、音響媒質1a中に低周波の音波と高周
波の音波とが同時に存在することになる。
【0009】このとき、入射光LIbは入射光LIaよ
りもトランスデューサ1bから遠い位置で回折するの
で、入射光LIbの回折に関与する周波数fbは入射光
LIaの回折に関与する周波数faよりも低くなってい
る。
【0010】したがって、上式(a1)から導かれるよ
うに、回折光LDbの回折角ψb は、回折光LDaの回
折角ψa よりも小さくなる。すなわち、AOD1は凹レ
ンズとして働く。逆に、超音波Sの周波数を高周波から
低周波に変化させると、AOD1は凸レンズとして働
く。このような現象がシリンドリカルレンズ効果と呼ば
れるものである。
【0011】このシリンドリカルレンズ効果による凸レ
ンズまたは凹レンズの焦点距離Fは、次式(a2)で表
される。
【0012】 F=v2 ・T/(λ・Δf) ・・・(a2) ここで、vは音響媒質1a中の音速、Tは超音波Sの周
波数の掃引時間(図3(b)参照)、λは光ビームの波
長、Δfは掃引周波数帯域(fmax −fmin )である。
AOD1から出射される光ビームを平行光にするために
は、上記のシリンドリカルレンズ効果を補正する必要が
ある。AOD1のシリンドリカルレンズ効果を補正する
方法としては、例えばAOD1の入射側に補正光学系を
配置する方法が提案されている。
【0013】図4はAODの入射側に補正光学系を配置
した光ビーム偏向装置の一例を示す図である。
【0014】図4において、レーザ光源2とAOD1と
の間に複数のシリンドリカルレンズからなる補正光学系
3が配置されている。図4の例では、AOD1が凸レン
ズとして働く。この場合には、レーザ光源2から出射さ
れたレーザビームを、補正光学系3によりAOD1の手
前の焦点FCから発散する発散光としてAOD1に入射
させる。この焦点FCは、音響媒質1a内の回折位置か
ら上式(a2)の焦点距離Fだけレーザ光源2に近づく
位置に存在する。これにより、AOD1から出射される
レーザビームが平行光として走査用レンズ4に入射す
る。
【0015】また、AOD1が凹レンズとして働く場合
には、レーザ光源2から出射されたレーザビームを、補
正光学系3によりAOD1の後方の焦点で収束する収束
光としてAOD1に入射させる。この焦点は、音響媒質
1a内の回折位置から上式(a2)の焦点距離Fだけレ
ーザ光源2から遠ざかる位置に存在する。
【0016】このように、AOD1のシリンドリカルレ
ンズ効果を補正してAOD1から平行光を出射させた場
合、AOD1には広がりのあるレーザビームが入射され
る。
【0017】なお、AOD1のトランスデューサ1bの
幅(電極幅)Lを大きくするほど高い回折効率が得られ
るため、一般に、トランスデューサ1bの幅Lはできる
だけ大きく設定される。ここで、回折効率とは、入射光
の光量に対する回折光の光量の割合である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】図4の光ビーム偏向装
置において、レーザビームを広帯域および高速に走査さ
せるために、掃引周波数帯域Δfを大きくし、超音波S
の掃引時間Tを小さくすると、上式(a2)からシリン
ドリカルレンズ効果による凸レンズまたは凹レンズの焦
点距離Fが短くなる。その場合、補正光学系3によりシ
リンドリカルレンズ効果を補正すると、AOD1に入射
するレーザビームの広がり角が大きくなる。
【0019】AOD1への入射光の入射角度がある角度
よりも大きくなると、その入射光は回折せずにAOD1
から出射する。そのため、AOD1への入射光の広がり
角が大きくなると、図5に示すように、入射光Liのう
ち回折に寄与しない角度の光ビームRa,Rbが生じ
る。その結果、AOD1への入射光よりも小さな径の回
折光しか得られない。
【0020】AOD1からの出射光を走査用レンズ4で
収束させる場合に、出射光の径が小さいとその光ビーム
を走査用レンズ4で十分に小さい光スポットに絞ること
ができなくなる。したがって、図4の光ビーム偏向装置
を描画装置に用いた場合に、高解像度を得ることが困難
となる。
【0021】本発明の目的は、光ビームを広帯域かつ高
速に走査させた場合でも所定の回折効率を確保しつつ入
射光と同じ大きさの回折光を得ることができる光ビーム
偏向装置およびそれを用いた描画装置を提供することで
ある。
【0022】
【課題を解決するための手段および発明の効果】(1)
第1の発明 第1の発明に係る光ビーム偏向装置は、光ビームを出射
する光源と、光源からの光ビームを回折させる音響媒質
および所定の掃引信号に基づいて音響媒質中に超音波を
発生する超音波振動子を有する音響光学偏向素子と、光
源と音響光学偏向素子との間に配置され、音響光学偏向
素子のシリンドリカルレンズ効果を補正する補正光学系
とを備え、音響媒質中の音速をvとし、掃引信号に基づ
く超音波の中心周波数をfとし、音響光学偏向素子の開
口幅をDとし、掃引信号に基づく超音波の掃引時間をT
とし、光源から出射される光ビームの波長をλとし、掃
引信号に基づく超音波の掃引周波数帯域をΔfとした場
合に、音響媒質に対する光ビームの透過方向に平行な方
向における超音波振動子の幅Lが、
【0023】
【数5】
【0024】式(1)で表され、式(1)中のkが、
【0025】
【数6】
【0026】式(2)を満足する定数であることを特徴
とする。本発明に係る光ビーム偏向装置においては、音
響光学偏向素子の超音波振動子の幅Lが式(1)を満足
するように設定されることにより、光ビームを高帯域か
つ高速に走査させた場合でも、所定の回折効率を確保し
つつ入射光と同じ大きさの回折光を得ることができる。
したがって、偏向される光ビームを十分に小さい径に絞
ることが可能となる。
【0027】(2)第2の発明 第2の発明に係る光ビーム偏向装置は、第1の発明に係
る光ビーム偏向装置の構成において、kが0.7である
ことを特徴とする。
【0028】この場合、超音波の掃引周波数帯域Δfお
よび超音波の掃引時間Tにおいてほぼ1/e2 以上の回
折光の強度を得ることが可能となる。
【0029】(3)第3の発明 第3の発明に係る描画装置は、光ビームを出射する光源
と、画像信号を発生する画像信号発生手段と、画像信号
発生手段により発生された画像信号に基づいて光源から
出射される光ビームを変調する変調手段と、掃引信号を
発生する掃引信号発生手段と、変調手段により変調され
た光ビームを回折させる音響媒質および掃引信号発生手
段により発生された掃引信号に基づいて音響媒質中に超
音波を発生する超音波振動子を有する音響光学偏向素子
と、光源と音響光学偏向素子との間に配置され、音響光
学偏向素子のシリンドリカルレンズ効果を補正する補正
光学系とを備え、音響媒質中の音速をvとし、掃引信号
に基づく超音波の中心周波数をfとし、音響光学偏向素
子の開口幅をDとし、掃引信号に基づく超音波の掃引時
間をTとし、光源から出射される光ビームの波長をλと
し、掃引信号に基づく超音波の掃引周波数帯域をΔfと
した場合に、音響媒質に対する光ビームの透過方向に平
行な方向における超音波振動子の幅Lが、
【0030】
【数7】
【0031】式(1)で表され、式(1)中のkが、
【0032】
【数8】
【0033】式(2)を満足する定数であることを特徴
とする。本発明に係る描画装置においては、音響光学偏
向素子の超音波振動子の幅Lが式(1)を満足するよう
に設定されることにより、光ビームを広帯域かつ高速に
走査させた場合でも、所定の回折効率を確保しつつ入射
光と同じ大きさの回折光を得ることができる。したがっ
て、偏向される光ビームを十分に小さい光スポットに絞
ることができ、高解像度の描画が可能となる。
【0034】(4)第4の発明 第4の発明に係る描画装置は、第3の発明に係る描画装
置の構成において、kが0.7であることを特徴とす
る。
【0035】この場合、超音波の掃引周波数帯域Δfお
よび超音波の掃引時間Tにおいてほぼ1/e2 以上の回
折光の強度を得ることが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
光ビーム偏向装置を用いた描画装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【0037】図1の描画装置は、音響光学偏向素子(A
OD)1、レーザ光源2、補正光学系3、走査用レンズ
4、変調器5、画像信号発生回路6および掃引信号発生
回路7を含む。この描画装置において、AOD1、レー
ザ光源2および補正光学系3が光ビーム偏向装置を構成
する。
【0038】レーザ光源2から出射されたレーザビーム
は、変調器5を通して補正光学系3に入射する。変調器
5は、画像信号発生回路6により発生される画像信号に
基づいてレーザ光源2から出射されるレーザビームのオ
ンオフを制御することにより変調を行う。
【0039】補正光学系3は、レーザ光源2からのレー
ザビームをAOD1のシリンドリカルレンズ効果に応じ
て発散光または収束光としてAOD1に与える。図1で
は、AOD1のシリンドリカルレンズ効果によりAOD
1が凸レンズとして働く場合が示されている。この場
合、補正光学系3は、AOD1から出射されるレーザビ
ームが平行光となるように、レーザビームを手前の焦点
FCから発散する発散光としてAOD1に与える。
【0040】AOD1は、結晶材料からなる音響媒質1
aおよび超音波振動子(トランスデューサ)1bを備え
る。AOD1のトランスデューサ1bには掃引信号発生
回路7により発生される掃引信号が与えられる。AOD
1から出射されるレーザビームは走査用レンズ4を通し
て感光材10の表面に照射される。
【0041】感光材10の表面に照射されるレーザビー
ムがAOD1により主走査方向に沿って一定幅で走査さ
れるとともに、駆動機構(図示せず)により感光材10
が描画装置に対して相対的に副走査方向に移動する。そ
れにより、感光材10の表面にレーザビームによる描画
が行われる。
【0042】本実施例では、レーザ光源2が光源に相当
し、変調器5が変調手段に相当する。また、画像信号発
生回路6が画像信号発生手段に相当し、掃引信号発生回
路7が掃引信号発生手段に相当する。
【0043】図2は図1の描画装置に用いられるAOD
1の斜視図である。図2に示すように、直方体形状の音
響媒質1aの一方の端面にトランスデューサ1bが設け
られている。ここでは、AOD1の開口幅をDとし、音
響媒質1a中の光路に沿った方向のトランスデューサ1
bの幅(電極幅)をLとし、音響媒質1a中の光路に垂
直な方向のトランスデューサ1bの高さ(電極高さ)を
Hとする。トランスデューサ1bの幅Lは、次式(3)
を満足するように設定される。
【0044】
【数9】
【0045】ここで、vは音響媒質1a中の音速、fは
掃引信号に基づく超音波の中心周波数、DはAOD1の
開口幅(光学的に有効な幅)である。また、Tは掃引信
号に基づく超音波の掃引時間、λはレーザ光源2から出
射されるレーザビームの波長である。Δfは掃引信号に
基づく超音波の掃引周波数帯域であり、最高周波数と最
低周波数との差に相当する。なお、トランスデューサ1
bの幅Lは、上式(3)を満足する範囲で可能な限り大
きい方が好ましい。
【0046】このようにトランスデューサ1bの幅Lを
設定することにより、以下に説明するように、AOD1
において所定の回折効率を確保しつつ入射光と同じ大き
さの回折光を得ることが可能となる。したがって、走査
用レンズ4でレーザビームを十分に小さな光スポットに
絞ることができる。その結果、高解像度を得ることが可
能な描画装置が実現される。
【0047】以下、式(3)の導出過程を説明する。A
OD1の回折効率ηは次式(A1)で表される。
【0048】
【数10】
【0049】上式(A1)は、例えばDESIGN AND FABRI
CATION OF ACOUSTO-OPTIC DEVICESby AKIS P.GOUTZOULI
S,DENNIS R.PAPE,Marcel Dekker,Inc. に示されてい
る。η a はAOD1の音響媒質1a内での超音波の減衰
に依存する効率、ηAOはAOD1の音響媒質1aおよび
トランスデューサ1bの構造に依存する効率、ηD はA
OD1の音響媒質1a中で超音波が伝搬する領域のうち
光ビームが通過しない領域による効率、ηTRANはAOD
1のトランスデューサ1bでの電気エネルギーから音波
エネルギーへの変換の効率を示している。
【0050】式(A1)において、入射光の広がり角が
影響するのはηAOのみである。ここでは、超音波の減衰
がなく(ηa =1)、光ビームが通過しない領域による
損失がなく(ηD =1)、トランスデューサ1bでのエ
ネルギー変換の損失がない(ηTRAN=1)とする。
【0051】AOD1のシリンドリカル効果を補正する
ため、入射光に広がり角があるとすると、トランスデュ
ーサ1bから発生される超音波Sが十分な広がり角を有
するようにAOD1を設計する必要がある。
【0052】AOD1の音響媒質1aおよびトランスデ
ューサ1bの構造とに起因する効率ηAOは次式(A2)
で表される。
【0053】
【数11】
【0054】上式(A2)において、ki (=n・2π
/λ)は音響媒質1a中での光ビームの波数、M2 はA
OD1の音響媒質1aの特性により決まる定数、P0
トランスデューサ1bでの音波の強度、Lはトランスデ
ューサ1bの幅、θBCは超音波の掃引周波数帯域Δf
(最高周波数と最低周波数との差)の中心周波数fでの
ブラッグ角、Hはトランスデューサ1bの高さである。
nは音響媒質1aの屈折率、λは光ビームの波長であ
る。
【0055】また、Δkzは、超音波の波数ベクトルK
(=2πf/v)と超音波の半角の広がり角δγ/2と
の積(Δkz=K・δγ/2)である。vは音響媒質1
a中の音速である。
【0056】式(A2)のうちηM は音波と光波の相互
作用に起因する効率であり、広がり角が影響するのは回
折光の強度Id である。Id は次式(A3)のように書
き換えられる。
【0057】
【数12】
【0058】回折光の強度の帯域は、広がり角δγにお
いてId >1/e2 である事が必要であり、次式(A
4)が成立する。
【0059】
【数13】
【0060】なお、eは自然対数の底である。ここで、
kを次式(A5)を満足する定数であるとする。
【0061】
【数14】
【0062】上式(A5)を満足するkの値は0.7で
ある。この場合、次式(A6)の関係を満たすと、上式
(A4)の関係が満足される。
【0063】
【数15】
【0064】上式(A6)から次式(A7)が得られ
る。
【0065】
【数16】
【0066】AOD1のトランスデューサ1aの幅Lが
上式(A7)の関係を満たすと、AOD1に入射する広
がり角を有する光ビームに対して1/e2 以上の強度の
回折光が得られる。
【0067】次に、AOD1のシリンドリカルレンズ効
果を補正するために必要なシリンドリカルレンズの焦点
距離をF(=v2 ・T/(λ・Δf))、AOD1の開
口幅をDとすれば、AOD1に入射する光ビームの半角
の広がり角Δθは、次式(A8)のようになる。
【0068】
【数17】
【0069】δγ=2Δθであれば良いので、式(A
8)を式(A7)に代入して整理すると、次式(A9)
のように、トランスデューサ1bの幅Lの条件が得られ
る。
【0070】
【数18】
【0071】上式(A9)の掃引周波数帯域Δfおよび
掃引時間Tにおいて、AOD1に広がり角を持つ光ビー
ムが入射されても、そのすべての光ビームが回折に寄与
し、入射光と同じ大きさの回折光を得ることができる。
上式(A9)にk=0.7を代入すると、式(3)が得
られる。
【0072】
【実施例】ここで、表1の条件で上式(3)を満足する
トランスデューサ1bの幅Lを算出した。
【0073】
【表1】
【0074】上記の条件でのシリンドリカルレンズ効果
による焦点距離Fは次式のようになる。
【0075】
【数19】
【0076】また、シリンドリカルレンズ効果の補正に
より生じる入射光の半角の広がり角Δθ(=δγ/2)
は次式のようになる。
【0077】
【数20】
【0078】式(3)より広がり角2Δθを有する全て
の入射光が回折に寄与するために必要なAOD1のトラ
ンスデューサ1bの幅Lの条件は次式のようになる。
【0079】
【数21】
【0080】これにより、上記の条件においては、トラ
ンスデューサ1aの幅Lを0.917mm以下にすれ
ば、入射光に等しい大きさの回折光が得られることがわ
かる。
【0081】また、トランスデューサ1bの幅Lが小さ
くなるほど音響媒質中を伝搬する超音波の強度が小さく
なり、回折効率が小さくなる。したがって、トランスデ
ューサ1bの幅Lは上記の式(3)の条件を満たす範囲
で大きい方が好ましい。
【0082】なお、図1の例では、AOD1が凸レンズ
として働く場合を示しているが、AOD1が凹レンズと
して働く場合にも、同様に式(3)を満足するようにト
ランスデューサ1bの幅を設定することにより、所定の
回折効率を確保しつつ入射光と同じ大きさの回折光を得
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における光ビーム偏向装置を
用いた描画装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の描画装置に用いられるAODの斜視図で
ある。
【図3】AODにおけるシリンドリカルレンズ効果を説
明するための概念図および超音波の周波数変化の一例を
示す波形図である。
【図4】AODの入射側に補正光学系を配置した従来の
光ビーム偏向装置の一例を示す図である。
【図5】AODへの入射光およびAODから出射される
回折光を示す図である。
【符号の説明】
1 AOD 1a 音響媒質 1b トランスデューサ 2 レーザ光源 3 補正光学系 4 走査用レンズ 5 変調器 6 画像信号発生回路 7 掃引信号発生回路 10 感光材 L トランスデューサの幅

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビームを出射する光源と、 前記光源からの光ビームを回折させる音響媒質および所
    定の掃引信号に基づいて前記音響媒質中に超音波を発生
    する超音波振動子を有する音響光学偏向素子と、 前記光源と前記音響光学偏向素子との間に配置され、前
    記音響光学偏向素子のシリンドリカルレンズ効果を補正
    する補正光学系とを備え、 前記音響媒質中の音速をvとし、前記掃引信号に基づく
    超音波の中心周波数をfとし、前記音響光学偏向素子の
    開口幅をDとし、前記掃引信号に基づく超音波の掃引時
    間をTとし、前記光源から出射される光ビームの波長を
    λとし、前記掃引信号に基づく超音波の掃引周波数帯域
    をΔfとした場合に、前記音響媒質に対する光ビームの
    透過方向に平行な方向における前記超音波振動子の幅L
    が、 【数1】 式(1)で表され、式(1)中のkが、 【数2】 式(2)を満足する定数であることを特徴とする光ビー
    ム偏向装置。
  2. 【請求項2】 前記kが0.7であることを特徴とする
    請求項1記載の光ビーム偏向装置。
  3. 【請求項3】 光ビームを出射する光源と、 画像信号を発生する画像信号発生手段と、 前記画像信号発生手段により発生された画像信号に基づ
    いて前記光源から出射される光ビームを変調する変調手
    段と、 掃引信号を発生する掃引信号発生手段と、 前記変調手段により変調された光ビームを回折させる音
    響媒質および前記掃引信号発生手段により発生された掃
    引信号に基づいて前記音響媒質中に超音波を発生する超
    音波振動子を有する音響光学偏向素子と、 前記光源と前記音響光学偏向素子との間に配置され、前
    記音響光学偏向素子のシリンドリカルレンズ効果を補正
    する補正光学系とを備え、 前記音響媒質中の音速をvとし、前記掃引信号に基づく
    超音波の中心周波数をfとし、前記音響光学偏向素子の
    開口幅をDとし、前記掃引信号に基づく超音波の掃引時
    間をTとし、前記光源から出射される光ビームの波長を
    λとし、前記掃引信号に基づく超音波の掃引周波数帯域
    をΔfとした場合に、前記音響媒質に対する光ビームの
    透過方向に平行な方向における前記超音波振動子の幅L
    が、 【数3】 式(1)で表され、式(1)中のkが、 【数4】 式(2)を満足する定数であることを特徴とする描画装
    置。
  4. 【請求項4】 前記kが0.7であることを特徴とする
    請求項3記載の描画装置。
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