JPH0643505A - 光ビーム偏向装置 - Google Patents

光ビーム偏向装置

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JPH0643505A
JPH0643505A JP21851692A JP21851692A JPH0643505A JP H0643505 A JPH0643505 A JP H0643505A JP 21851692 A JP21851692 A JP 21851692A JP 21851692 A JP21851692 A JP 21851692A JP H0643505 A JPH0643505 A JP H0643505A
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JP
Japan
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cylindrical lens
light beam
acousto
aod
optic
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JP21851692A
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English (en)
Inventor
Hidekazu Tamaoki
英一 玉置
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Original Assignee
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 円筒レンズ効果を補正でき、光量損失の少な
い簡易な構造を有する光ビーム偏向装置を提供する。 【構成】 レーザービームLB0は収束レンズ2によっ
てAOM3の内部で集光される。このビームウエストの
位置は、円筒レンズ5の前側焦点位置に該当している。
又、円筒レンズ5は偏向方向と垂直な方向にのみパワー
を有する。その結果、円筒レンズ5を通過したレーザー
ビームLB1は、その方向に関して平行化される。更
に、AOD6は凸円筒レンズ効果が生じるように駆動信
号VD によって駆動されている結果、レーザービームL
B2は偏向方向に対しても平行化される。その際、距離
dは最適化されているため、スポットサイズもまた好適
なものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、画像描画装置などに
用いられる光ビーム偏向装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、音響光学偏向素子(以下、
単にAODと称す。)は無慣性で高速偏向可能であると
いう利点を有する。この利点により、AODはレーザー
顕微鏡や画像描画装置などに広く応用されているが、そ
のような高速のラスタ走査装置にAODを用いると、結
晶中にある周波数帯域をもった超音波が存在するため
に、AODより出射される回折光には円筒レンズ効果が
生じる(AppliedOptics Vol.11
No.10(1972)p2196〜2202L.D.
Dickson)。
【0003】 この円筒レンズ効果を補正するための
従来技術としては、特開昭60−107828号公報に
開示されたものがある。本技術では、AODの出射部に
円筒レンズ効果と逆特性を持った補正円筒レンズを設置
している。
【0004】 また、他の従来技術としては、特開平
3−109527号公報に開示されたものがある。この
技術では複数の円筒レンズを用いており、これらのレン
ズの設置位置を適切に定めることによって、AODから
の出射光を平行光となるようにしている。このような補
正光学系は楕円開口にも使用できる調整範囲の広い光学
系である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法、はいずれもエキスパンダ系と補正用に少
なくとも3組以上のレンズを必要とする。そのため、低
感度レジスト等に光ビームにより高速描画するような装
置、すなわち高エネルギービームを必要とする応用にお
いては、上記複数のレンズ内におけるビームの光量損失
が問題となる。
【0006】また、上記従来技術においては、AOD
の出射部に設けられた補正円筒レンズとAODとの焦点
調整が容易でないという問題点も有している。
【0007】
【目的】この発明は、係る問題点に鑑みなされたもので
あり、以下の目的を有する。
【0008】第1の目的は、円筒レンズ効果を高精度に
補正しつつ、光量損失の少ない簡易な構成を有する光ビ
ーム偏向装置を提供することにある。
【0009】第2の目的は、感光材料上に照射される光
ビームのスポットサイズを最適化できる光ビーム偏向装
置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
光ビームを感光材料上に走査し、画像を描画するための
光ビーム偏向装置であって、光ビームの集光位置に配置
され、画像信号に応じて光ビームを変調する音響光学変
調素子と、音響光学変調素子の後方光路上に配置され、
凸円筒レンズ効果が生じる方向に傾きをもつ鋸歯状波駆
動信号に応じて光ビームを走査方向に偏向する音響光学
偏向素子と、音響光学偏向素子近傍の光路上に配置さ
れ、走査方向に対してほぼ垂直な方向にのみパワーを有
するレンズとを備え、音響光学変調素子の配置位置は凸
円筒レンズ効果から算出される前側焦点位置であって、
しかもレンズの前側焦点位置でもあるようにしたもので
ある。
【0011】請求項2に係る発明では、請求項1に係る
発明に関し、レンズの焦点距離を音響光学偏向素子の焦
点距離に対して0.8〜1.2倍に限定したものであ
る。
【0012】
【作用】請求項1に係る発明では、光ビームは音響光学
変調素子内で集光され、当該素子によって変調を受けた
後、発散ビームとして音響光学偏向素子へ入射する。一
方、音響光学偏向素子は、駆動信号により凸円筒レンズ
と等価な振舞いをする。しかも、音響光学偏向素子を凸
円筒レンズとみなしたときのその前側焦点位置に、音響
光学変調素子が配置されている。従って、音響光学偏向
素子より出射した光ビームは、走査方向に関して平行な
ビームとなる。更に音響光学偏向素子近傍の光路上に配
置されたレンズは、走査方向に対してほぼ垂直な方向に
関して、光ビームを平行化する。
【0013】請求項2に係る発明では、レンズの焦点距
離が音響光学偏向素子の焦点距離に対して0.8〜1.
2倍に限定されることにより、音響光学偏向素子に入射
する光ビームの径が適切化される。
【0014】
【実施例】
(1) 画像描画装置の構成 図1は、この発明の一実施例である画像描画装置の光学
的並びに電気的構成を模式的に示した図である。本描画
装置は、光源部、光ビーム偏向装置、縮小光学
系、ステージ部及び電気制御系より構成される。以
下、各部の構成について説明する。
【0015】 光源部 光源部は、レーザー発振器1(例えばコヒーレント社製
Innova 306:アルゴンレーザー)、数個の
折り返し用ミラー及び収束レンズ2よりなる。この収束
レンズ2としては、焦点距離220mmの単レンズが用い
られており、レーザー発振器1のビームウエスト位置
(出口端より1.5メートル内部に入った個所)から約
2.6メートル離して設置すると、ビームウエスト伝播
の関係により、収束レンズ2から約225mmの所にビー
ム径75μmのビームウエストが形成される。この位置
に、後述する音響光学変調器3が配置されている。
【0016】 光ビーム偏向装置 光ビーム偏向装置は、音響光学変調器3(以下、単にA
OMと称す。例えばクリスタル・テクノロジー社製 m
odel 3200)、λ/4波長板4、円筒レンズ5
及びAOD6よりなる。ここで、AOM3及びAOD6
は、それぞれ後述する駆動信号VM 、VD によって駆動
されている。これらの各構成要素の位置関係について、
以下、図2に基づき説明する。
【0017】図2は、光ビーム偏向装置の横方向の光路
系統図である。まず、AOM3は収束レンズ2の後側焦
点の位置に配置されている。ここで、記号f1 は、収束
レンズ2の焦点距離を示す。従って、レーザー発振器1
より出射したレーザービームLB0は、収束レンズ2に
よってAOM3の内部にビームウエストを形成する。
【0018】一方、円筒レンズ5は、その光軸がAOM
3から出射したレーザービームLB1の主光線と一致す
るように配置されており、しかもその前側焦点(焦点距
離f2 )がAOM3内部のビームウエスト位置に配置さ
れている。この円筒レンズ5は、後述するAOD6の凸
円筒レンズ効果の生じる方向(走査方向)と垂直な方向
にパワーを有している。
【0019】また、AOD6(例えばニューポート社製
Model 45100)は、後述する様に、駆動信
号VD によって凸円筒レンズ効果を有する方向に鋸歯状
波駆動されている。そこで、このAOD6を仮想的な凸
円筒レンズと考えた上で、それによって導出される焦点
距離Fに基づき、その前側焦点の位置がAOM3内部の
ビームウエスト位置になる様に、AOD6が設置されて
いる。この点に関しての詳細な説明は、後述する。
【0020】 縮小光学系 縮小光学系は、リレーレンズ系7および対物レンズ8よ
り構成される。リレーレンズ系7はレーザービームLB
2を対物レンズ8の中心部へ導き、また、対物レンズ8
はレーザービームLB2のビーム系を縮小する。
【0021】 ステージ部 ステージ部は、X−Yステージ10とステージドライバ
ー13とより構成される。このX−Yステージ10の詳
細な構成および動作については、特願平1−14009
9号に開示されている。したがって、ここではその詳細
な説明については述べないが、以下、簡単に説明する。
すなわち、X−Yステージ10の移動台16は、ステー
ジドライバー13からの信号によってX方向(偏向方向
に該当)及びY方向に移動される。なお移動台16に
は、感光レジストを塗布したクロムマスクブランクス9
が備え付けられている。
【0022】 電気制御系 電気制御系は、前述したAOM3およびAOD6をそれ
ぞれ駆動制御するための回路部である。その構成は、制
御回路14を中心として、計算機15、AOMドライバ
11およびAODドライバ12よりなる。制御回路1
4、各ドライバ11、12の詳細な動作および構成につ
いては、特願平1−140099号や従来技術で述べた
特開平3−109527号公報に開示されており、ここ
ではその説明について触れない。なお、駆動信号VM
画像データに基づき作成され、駆動信号VD は制御回路
14の内部のクロックにより形成される。
【0023】 (2) 駆動信号VD と凸円筒レンズ効果との関係 AOD6は駆動信号VD によって周波数掃引されるが、
その掃引時間や周波数帯域によって、AOD6内におけ
る円筒レンズ効果が凸円筒レンズ効果となるか、それと
も凹円筒レンズ効果となるかが定まる。ここでは、鋸歯
状の駆動信号VD と凸円筒レンズ効果との関係を、図6
および図7に基づき説明する。
【0024】凸円筒レンズ効果を生じさせるためには、
AOD6に入射するレーザービームLB1の入射方向に
応じて、駆動信号VD を決定する必要がある。
【0025】すなわち、図6に示したレーザービームL
B1に対しては、レーザービームLB2の波数が減少す
る方向に駆動信号VD を定めなければならない。従っ
て、高周波から低周波への周波数掃引を行なうこととな
る。その結果、図6では超音波の周波数ν1とν2との
大小関係はν1>ν2となる。
【0026】図7に示したレーザービームLB1の入射
方向に対しては、逆に低周波から高周波への周波数掃引
を行う必要がある。その結果、AOD6内部に生じる超
音波の周波数はν1<ν2の関係となる。
【0027】本実施例では、図6に示したケースが採用
されており、駆動信号VD は高周波から低周波へとその
周波数を変化させる。その掃引時間は42μsであり、
周波数帯域45.3MHzである。
【0028】なお、両図6、7に記載した各ベクトル表
示は、次の通りである。ベクトルkiは入射光を、ベク
トルkdは回折光を、ベクトルkaは超音波の波数ベク
トルを示している。
【0029】(3) 光ビーム偏向装置の機能 ここでは、上述した光ビーム偏向装置によって凸円筒レ
ンズ効果がどのように補正され、しかも光ビームがどの
ように平行ビーム化されるかを、図2および図3に基づ
き説明する。なお、図3は、光ビーム偏向装置の縦方向
の光路系統図であり、円筒レンズ5とAOD6を中心と
して描かれている。
【0030】先ず、AOM3に入射したレーザービーム
LB0は駆動信号VM によって変調され、そのレーザー
ビームLB1は発散光として円筒レンズ5に入射する。
【0031】円筒レンズ5は、既述した通り、その前側
焦点位置がAOM3内部のビームウエスト位置とほぼ一
致するように設置されており、AOD6の偏向方向(以
下、単に横方向と称する。)と垂直な方向(以下、単に
縦方向と称する。)にパワーを有している。従って、円
筒レンズ5より出射したレーザービームLB1は、その
縦方向が平行光であり、その横方向は発散光のままであ
る(図3参照)。
【0032】AOD6は駆動信号VD によって凸円筒レ
ンズ効果が生じる様に駆動されており、これを仮想的な
凸円筒レンズと見なすことができる。このとき、当該凸
円筒レンズ効果による焦点距離Fは、数1によって与え
られることが知られている。
【0033】
【数1】
【0034】本実施例では、波長λ=457.9nmで
あるから、焦点距離Fは約771mmとなる。この様に、
その凸円筒レンズ効果の前側焦点位置がAOM3内部の
ビームウエスト位置にほぼ一致されているので、レーザ
ービームLB1は横方向に対して平行となる。
【0035】この様に、本光ビーム偏向装置において
は、AOD6を凸円筒レンズ効果が生じる方向に鋸歯
状に駆動すること、凸円筒レンズ効果から計算される
前側焦点位置に、変調用のAOM3を配置すること、
凸円筒レンズ効果のない縦方向にパワーを持つ円筒レン
ズ5をAOM3とAOD6との間の光路上に配置し、且
つその前側焦点位置をAOM3内部のビームウエスト位
置とすることによって、縦及び横方向のいずれにも平行
な光ビームを実現することができる。従って、実質的に
必要な補正用レンズは、円筒レンズ5のみとなり、レン
ズ系が少ないので調整が容易なばかりでなく、光量損失
が少く光の利用効率が良いという利点を発揮する。しか
も、常に円筒レンズ5の光軸近傍を利用しているので、
収差発生原因とならない結果、本ビーム偏向装置の光学
性能を向上させることも可能となる。
【0036】ここで、AOD6に入射するレーザービー
ムLB1のビーム径について考察する。一般に、ビーム
径ω0 のビームウエスト位置から距離Xだけ離れた位置
における光ビームのビーム径ωは、数2によって与えら
れることが知られている(結像光学入門 松居吉哉著
啓学出版 第5章参照)。
【0037】
【数2】
【0038】従って、本実施例ではAOM3におけるビ
ームウエスト径ω0 は75μmであるから、AOD6に
入射するレーザービームLB1のビーム径ωは約6mmと
なる。この値は、AOD6の開口径(アパーチャ)6.
2mmとほぼ一致しており、本ビーム偏向装置は従来技術
の様なビームエキスパンダを必要としない。
【0039】AOD6から出射したレーザービームLB
2は、リレーレンズ系7を通り、対物レンズ8によって
クロムマスクブランクス9上にスポットを形成し、AO
D6に掃引信号VD を与えることにより、一定距離のビ
ーム走査を行う。本実施例では、クロムマスクブランク
ス9上のビーム径は2μmであり、512μmの走査を
行っている。
【0040】 (4) ビーム径とスポットサイズとの関係 前述の条件〜を満足すれば、レーザービームLB2
をその縦方向及び横方向に対しても平行な光ビームとす
ることができる。しかしながら、実際に光ビームを感光
材料上に照射するにあたっては、ビームスポットの縦方
向の径と横方向の径との比が、理想的には1:1にある
ことが望まれる。これは、輪郭がシャープな画像を描画
するためである。そこで、ビームスポット径を理想的な
円形に近づけるために、AOD6に入射するレーザービ
ームLB1のビーム径を適切化する必要が生じる。この
ことは、円筒レンズ5とAOD6との距離を適切な値に
することと等価である。以下、この様な観点から、ビー
ム径(AOD6に於ける)とスポットサイズとの関係に
ついて議論することとする。
【0041】ここで図5は、そのような関係をシミュレ
ーションしたものである。同図中、(a)はアパーチャ
が有限な場合を示しており、(b)はアパーチャ無限大
の場合を示している。ここでアパーチャとは、AOD6
の開口に該当している。また、図5の横軸は、ビーム径
とアパーチャ径との比γを示しており、縦軸はスポット
サイズを示している(但し、任意単位である。)。
【0042】同図に示す通り、アパーチャ無限大(b)
の場合には、スポットサイズは回折限界によって制限さ
れ、ビーム径がアパーチャ径に対して大きくなるにつれ
て、その値は逆比例して小さくなる。しかし、アパーチ
ャ有限(a)の実際の場合には、AOD6に入射したレ
ーザービームLB1は開口によってトランケートされ、
ビーム径が大きくなってもそれ程小さくならないことが
理解される。一方、開口に対してビーム径が大きくなり
すぎると逆に光量損失が増すため、比γは1程度である
ことが望ましい。
【0043】AOD6に入射する横方向のビーム径は、
AOD6の焦点距離(凸円筒レンズ効果による焦点距
離)Fによって決まる。AOD6の開口は一定であり、
焦点距離Fは後述する掃引レートによって決まるので、
この掃引レートを適宜設定することにより、比γを1程
度に設定することができる。
【0044】一方、縦方向に対しては、凸円筒レンズ効
果が生じないため、円筒レンズ5をAOM3とAOD6
との間に配置することにより、レーザービームLB1を
平行化している。従って、AOD6に入射する縦方向の
ビーム径は横方向のビーム径よりも小さくなるため、ス
ポットサイズは横方向に比べて縦方向が大きくなる。
【0045】そこで、実際にスポットサイズがどこまで
許容されるかが問題となるが、経験的には、ビームの偏
平率が0.9〜1.1程度であれば許容できる。従っ
て、横方向の比γを1とした場合、図5より、縦方向の
比γは0.8〜1.2とすることが望ましく、この範囲
内で円筒レンズ5とAOD6との距離dを設定すること
により、AOD6に入射するビーム径を好適なものにで
きる。
【0046】さらに具体的には、円筒レンズ5の焦点距
離f2 をAOD6の焦点距離Fに対して0.8〜1.2
倍に設定すればよく、距離dは焦点距離f2 と焦点距離
Fとの差である。AOD6の開口に入射する縦方向のビ
ーム径は、円筒レンズ5の焦点距離f2 で決まるので、
AOD6の焦点距離Fを基準にすれば、円筒レンズ5の
焦点距離を上記のように設定することにより、比γを
0.8〜1.2にすることができる。
【0047】なお、比γが1より大きい(焦点距離f2
が焦点距離Fより長い)場合は、後述する変形例に相当
する。
【0048】(5) ビーム径と掃引レートとの関係 高速で描画するためには、一般に掃引レートを高くすれ
ばよい。しかし、掃引レートを高くすると、前述した数
1によって理解される通り、AOD6の凸円筒レンズ効
果によって生じる焦点距離Fは、掃引レートに従って逆
に短くなる。一方、AOD6におけるガウスビーム径を
記号Dとして表現すると、AOM3内部におけるビーム
ウエスト径ω0 は、数3の関係によって与えられ、掃引
時間Tが短くなると、それに比例して小さくなる。
【0049】
【数3】
【0050】しかし、ビームウエスト径ω0 があまり小
さくなりすぎると、逆にAOM3の回折効率が悪化す
る。即ち、AOM3のビーム径は、回折効率と応答速度
とを両立させるために、ビーム径内に超音波が3波長分
程存在する必要がある。このことは、逆にいうと、使用
するAOM3の仕様によって、ビームウエスト径ω0
即ち、焦点距離Fの値が決定されることを意味してい
る。
【0051】その結果、焦点距離Fが定まれば、数4に
よって掃引レートdT/dfが与えられることとなる。
【0052】
【数4】
【0053】ここで勾配そのものに意味があるので、T
/ΔfをdT/dfと記載している。したがって、AO
M3の仕様からは、数4で与えられる掃引が最適と言う
ことになる。
【0054】ここで数4では、入射ビーム径ωは開口径
Dに等しい理想的な場合にあるとしている。これより更
に高速の掃引を行う場合には、焦点距離Fが更に小さく
なるので、ビームウエスト径ω0 の値が一定値であるこ
とから、AOD6の位置におけるビーム径ωは開口径D
よりも小さくなる。したがって、前述した通り、比γは
0.8まで許容されるので、数4におけるDを0.8D
に置き換える事によって、係る場合における掃引レート
の下限値を決定できる。
【0055】一方、掃引が数3より遅い場合というの
は、描画時間が長くなるため望ましくないと言えるが、
ビームウエスト径ω0 の値が大きく取れるので、AOM
3の回折効率が高くなる結果、特に大きなパワー密度を
必要とする場合には有益なものとなりうる。しかし、こ
の場合においても、効果が認められるのは、経験的には
比γが1.2程度までである。
【0056】以上より、AOD6の掃引レートの最適値
は数5によって与えられることとなる。
【0057】
【数5】
【0058】(6) 変形例 前実施例では、円筒レンズ5をAOD6の前方光路上に
配置することにより、縦方向におけるビームの平行化を
実現していた。しかし、本発明は、この様な配置位置に
限定されるものでもない。すなわち、逆に当該円筒レン
ズ5をAOD6の後方光路上に配置することによっても
同一の効果を得ることができる事は自明である。その様
な実施例を図4に示す。
【0059】同図(a)は縦方向の光路系統図を示して
おり、(b)は横方向の光路系統図を示している。この
場合には、AOD6に入射するレーザービームLB1a
は、縦方向及び横方向についても発散光のままであり、
AOD6より出射するレーザービームLB2aは凸円筒
レンズ効果によって横方向について平行化された上で、
円筒レンズ5aによってその縦方向においても平行化さ
れることとなる。
【0060】本変形例においては、円筒レンズ5aの存
在によってはレーザービームLB1aのビーム径ωに影
響を受けないため、前実施例と比較して比γが大きくな
る結果、前実施例よりも横方向のビーム径を小さくする
ことができる利点がある。
【0061】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、音響光学
偏向素子の配置とその駆動条件を適切に設定したので、
レンズ系を用いることなく音響光学偏向素子自身によっ
て、その凸円筒レンズ効果を補正することができる。即
ち、凸円筒レンズ効果の生じる方向(走査方向)に光ビ
ームは平行化される。
【0062】以上の効果より、本発明では、音響光学偏
向素子と音響光学変調素子とを除いた他の要素として
は、凸円筒レンズ効果のない方向に光ビームを平行化す
るためのレンズが必要となるのみであり、その様な役目
は、音響光学偏向素子近傍の光路上に配置されたレンズ
が担っている。従って、本発明は、従来技術と比較し
て、格段にレンズ数を少なくすることができる。
【0063】その結果、本発明は光量損失を低減させる
ことができる。この様な光ビーム偏向装置を用いること
により、可視光に対して低感度なレジスト等の感光材料
に対しても高速描画することが可能になる。又、レンズ
数を減少させることにより、光ビーム偏向装置の調整を
容易化することができる。
【0064】請求項2に係る発明によれば、音響光学偏
向素子に入射する光ビームの径が適切化されるので、光
ビーム偏向装置を介して感光材料上に走査される光ビー
ムのスポットサイズを好適なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である描画装置の構成を模
式的に示した構成図である。
【図2】光ビーム偏向装置の光路系統図(横方向)を示
した構成図である。
【図3】光ビーム偏向装置の光路系統図(縦方向)を示
した説明図である。
【図4】この発明の他の実施例を示した説明図である。
【図5】アパーチャ系に対するビーム系とスポットサイ
ズとの関係を示した説明図である。
【図6】凸円筒レンズ効果を示した説明図である。
【図7】凸円筒レンズ効果を示した説明図である。
【符号の説明】
1 レーザー発振器 2 収束レンズ 3 AOM 5 円筒レンズ 6 AOD LB1 レーザービーム LB2 レーザービーム VD 駆動信号 f1 焦点距離 f2 焦点距離 F 焦点距離

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビームを感光材料上に走査し、画像を
    描画するための光ビーム偏向装置であって、 前記光ビームの集光位置に配置され、画像信号に応じて
    前記光ビームを変調する音響光学変調素子と、 前記音響光学変調素子の後方光路上に配置され、凸円筒
    レンズ効果が生じる方向に傾きをもつ鋸歯状波駆動信号
    に応じて前記光ビームを走査方向に偏向する音響光学偏
    向素子と、 前記音響光学偏向素子近傍の光路上に配置され、前記走
    査方向に対してほぼ垂直な方向にのみパワーを有するレ
    ンズとを備え、 前記音響光学変調素子の配置位置は前記凸円筒レンズ効
    果から算出される前側焦点位置であって、しかも前記レ
    ンズの前側焦点位置であること、を特徴とする光ビーム
    偏向装置。
  2. 【請求項2】 前記レンズの焦点距離が前記音響光学偏
    向素子の焦点距離に対して0.8〜1.2倍に限定され
    ていることを特徴とする請求項1記載の光ビーム偏向装
    置。
JP21851692A 1992-07-24 1992-07-24 光ビーム偏向装置 Pending JPH0643505A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003048093A (ja) * 2001-08-03 2003-02-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd レーザ加工装置およびその加工方法
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