JP2743373B2 - 音響光学偏向装置 - Google Patents

音響光学偏向装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、音響光学偏向素子によってレーザ光を所
定の角度で偏向走査し、光記録媒体に照射するような光
学系を備えている音響光学偏向装置に関するものであ
る。
〔発明の概要〕
本発明は、半導体レーザ発光素子等から出力されるレ
ーザ光を音響光学偏向素子によって偏向し、偏向された
レーザ光を所定の走査レーザビーム光に成形して光記録
媒体に照射するような音響光学偏向装置において、前記
音響光学偏向素子に印加される走査用のスイープ信号に
レーザビームが通過する光学系の非点収差を補償するよ
うな変化特性を与え、高速の走査の場合でも広画角の走
査が行われるようにしたものである。
〔従来の技術〕
レーザビームを光記録ディスク等に照射して情報を読
み出す光学式プレーヤは、ビデオ信号やオーディオデー
タの再生機として広く普及している。
又、記録媒体として光記録テープを使用するものや,
光記録カードを使用する記録方法も提案されているが、
かかる記録媒体は高密度記録を行うために高速で安定に
移動させることが困難になるから、一般的には、記録媒
体に照射するレーザビーム側を所定の範囲内で高速に走
査することが要請されている。
レーザビームを所望の角度で偏向する手段としては、
多数の反射面を有する回転多面鏡や,レーザビームを回
転して、その照射方向を変化させる回転ドラム方式等が
開発されている。
しかしながら、上述したような偏向手段は、機械的な
回転運動をともなうため、走査レーザビームのトラッキ
ング制御等が比較的困難であり、かつ、光学装置も大型
化するという問題がある。
そこで、第5図に示すようにレーザビームLBが透過す
る媒質mの中に、超音波の疎密波Wを圧電素子TRにより
発生し、この疎密波Wによる反射率の変化を立体回折格
子として作用させることによって、媒質m中に入射され
たレーザビームLBをブラック角θだけ偏向して出力する
ような音響光学偏向素子をレーザビームの偏向走査手段
として使用することが知られている。
このような音響光学偏向素子は圧電素子TRに印加する
交流信号Sの周波数によって偏向角を変えることが可能
であるから、例えば、交流信号の周波数がf1からf2まで
連続して変化するようなスイープ信号とされているとき
は、媒質中に入射されたレーザビームもその大部分が周
波数の変化に対応して偏向される1次光として出力さ
れ、走査レーザビーム光を得ることができる。
第6図はかかる音響光学偏向素子をレーザビームの偏
向走査手段とする光記録装置の概要を示したもので、1
は半導体レーザ発光素子、2は半導体レーザ発光素子1
から出力されたレーザ光を所定のレーザビーム径に集束
し、前記したような音響光学偏向素子3に照射するコリ
メーションレンズである。
4は音響光学偏向素子3の媒質中に超音波の疎密波を
発生するため、その励振電極3Aに交流信号を供給する偏
向電源、5は音響光学偏向素子3によって偏光された出
力ビームの広がりを集束するための円筒レンズ、6は全
体として音響光学偏向素子3によって偏向された偏向レ
ーザビームを光記録媒体の記録面に絞り込み、合焦点で
照射するための走査レーザビームの光学系を示し、例え
ば2つのリレーレンズL1,L2及び対物レンズL3等から構
成されている。なお、Pは非回折光の遮蔽板を示す。
このような音響光学偏向素子を使用したレーザビーム
の走査装置は、偏向電源4から周波数が連続して変化す
るスイープ交流信号を音響光学偏向素子3の励振電極3A
に供給すると、音響光学偏向素子3の媒質内に発生する
超音波の疎密波の波長に関連して、レーザビームの出射
角度が変化し、レーザビームを或る範囲内で走査するこ
とができる。
円筒レンズ5は音響光学偏向素子3によって高速でレ
ーザビームを偏向する際に発生する音響光学偏向素子3
の円筒レンズ効果を補償するものであって、この円筒レ
ンズ5によって音響光学偏向素子3から出力される偏向
レーザビームはほぼ平行光線に成形し、走査レーザビー
ムの光学系6に供給される。
そして、走査レーザビーム光学系でレーザビームを対
物レンズに集束し、合焦点で記録面に照射されることに
なる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、レーザ光源として半導体レーザ発光素子を
使用するときは、上記したような光学系はできるだけシ
ンプルなレンズ構成とし、光の損失を少なくすることが
好ましい。
そのため、例えば、円筒レンズ5から出力された走査
レーザビームが入射されている走査レーザビームの光学
系6を単純な凸レンズ等で構成すると、いわゆるレンズ
の非点収差によって光軸上(レンズの中心)を通過する
レーザビームの焦点距離と、光軸上からはずれているレ
ーザビームの焦点距離に差異が発生し、走査レーザビー
ムの光学系6が比較的製造し易い凸レンズ系で構成され
ているときは、第7図に示すように、レーザビームが光
軸から離れるにしたがって、焦点位置が手前(−)にな
るという傾向がある。
すると、記録面に照射される走査レーザビームがその
走査位置によって焦点がずれ、記録データの分解能が低
下するという問題が発生する。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、かかる問題点にかんがみてなされたもの
で、音響光学偏向素子によって偏向された走査レーザビ
ームの光学系における非点収差を音響光学偏向素子が有
する円筒レンズ効果によって補償するように、音響光学
偏向素子に供給されるスイープ交流信号の周波数変化率
を設定するものである。
〔作用〕
音響光学偏向素子に入射されているレーザビームの偏
向速度を早くするために、音響光学偏向素子の励振電極
に印加するスイープ信号の周波数変化を早くすると、音
響光学偏向素子の媒質内に発生している疎密波の波長が
入射されているレーザビームのスポット径内で一定とな
らないから、スイープ信号の周波数変化率を制御するこ
とによって、音響光学偏向素子の後側焦点距離を可変に
することができ、この後側焦点距離をスイープ期間中に
コントロールすることにより走査レーザビーム光学系の
非点収差が小さくするようにできる。
〔実施例〕
第1図は本発明の音響光学偏向素子に印加されるスイ
ープ信号源の一例を示したものであって、11は鋸歯状波
発生器、12はパラボリック信号発生器、13は加算器、14
は前記加算器13の出力鋸歯状波信号によって発振周波数
が制御される電圧制御発振器(VCO)、15はVCO14の信号
を前記した音響光学偏向素子の圧電素子に印加するため
のパワーアンプを示す。
鋸歯状波発生器11はVCO14の発振周波数をコントロー
ルするもので、その繰り返し周期は、レーザビームの走
査周波数によって設定され、そのレベルはレーザビーム
の走査距離を設定する。
又、パラボリック信号発生器12は後述するようにVCO
の周波数変化率を制御するために鋸歯状波信号に付加さ
れる信号を出力するもので、この波形によって前記した
音響光学偏向素子の後側焦点距離が変化されることにな
る。
パワーアンプ15から出力される超音波領域の交流信号
は、第2図に示すように、周波数がf1からf2まで連続し
て変化するスイープ信号になるが、本発明の実施例で
は、この変化特性が点線で示すようにスイープスタート
点と、スイープ終了点で周波数変化が急傾斜となるよう
に設定され、この変化特性によって、音響光学偏向素子
の後側焦点距離FCが短くなるようにしている。
以下、この点を第3図により説明すると、一般に音響
光学偏向素子3の媒質m中に超音波領域の疎密波を形成
し、この疎密波の進行方向と直交する方向から所定の角
度でレーザビームLBを入射すると、 (Λは疎密波の波長、λはレーザ光の波長)なるブラッ
グ角で偏向出力される。
ところが、音響光学偏向素子3の圧電素子3Aに印加す
る交流信号の周波数が前記第2図に示すようにf1からf2
まで連続して繰り返し変化しているときは、音響光学偏
向素子3の媒質中に形成される疎密波の波長Λも位置に
よって異なった値となる。すなわち、第3図に示すよう
に疎密波が圧電素子3A側で密となり、吸音材3B側で疎に
なる。すると、入射されたレーザビームLBの上端縁と下
端縁ではブラッグ角θ1が異なり(θ<θ)、
結果的に音響光学偏向素子3から出力される偏向レーザ
ビーム1次光は少なくとも0次光(無偏向)のものより
θ−θ以上の角度で広がったものになる。すなわ
ち、音響光学偏向素子3の円筒レンズ効果によって偏向
されたレーザビームが広がることになり、音響光学偏向
素子3が凹レンズ系の光学素子と同様にふるまう。
この広がりによるレーザビームがもたらす音響光学偏
向素子3の後側焦点距離をFCとすると、一般に、 で示され、時間Tあたりの周波数変化幅Δfが大きいほ
ど、後側焦点距離FCは短くなる。つまり、周波数変化率
Δf/Tが大きいほど、後側焦点距離FCが小さくなり、レ
ーザビームの広がり角が大きくなる。
そこで、本発明の場合は前記した第2図に示すように
音響光学偏向素子3に印加するスイープ信号の周波数変
化率Δf/Tがスイープのスタート点と、終了点で大きく
なるようにし、走査の中間の位置(センタ周波数)では
小さくなるようにする。すると、前記した第6図の走査
レーザビームの光学系6の光軸上をレーザビームが通過
するときは、もっとも偏向レーザビームの広がり角が小
さくなり、走査レーザビームが光軸上から離れるにした
がって、その広がり角が大きくなる。
そこで、走査レーザビームが光軸上を通過するときは
対物レンズによって記録面に合焦点で照射されるように
走査レーザビームの光学系を設定しておく、すると前述
したように、単純なレンズ系で走査レーザビームの光学
系6が形成されていると、第7図に示したようにその光
学的な特性は光軸上から離れるにしたがって焦点位置が
前側にずれるから、このときに音響光学偏向素子3の円
筒レンズ効果を利用してレーザビームの広がりが大きく
なるように制御すると、結果的に音響光学偏向素子3の
焦点位置が後側に移動することになり、走査レーザビー
ムが光軸から離れているときも記録面で合焦点となるよ
うに補償することができる。
つまり、本発明のレーザビームの走査方式の場合は、
第4図に示すように音響光学偏向素子3の後側焦点距離
FCが光軸から離れるにしたがって(−)、つまり短くな
るように設定され、走査レーザビームの広がり角が大き
くなるが、走査レーザビームの光学系6では光軸上から
離れるにしたがって焦点が後側になる傾向にあるから、
この走査レーザビームの光学系6で発生する非点収差が
音響光学偏向素子3の円筒レンズ効果によって補償され
ることになり、走査レーザビームの光学系6に非点収差
の少ない高価なレンズを使用したものと同等の効果をも
たせることができる。
以上の実施例は、走査レーザビームの光学系6の非点
収差によって、レーザビームが光軸からずれるにしたが
って、焦点距離が手前側に傾く例について説明したが、
走査レーザビームの光学系6の非点収差の特性が逆の場
合でも、本発明の音響光学偏向装置を採用すると音響光
学偏向素子に印加されるスイープ信号の周波数変化率を
逆にするだけで補正することが可能になる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の音響光学偏向装置は、
記録媒体に照射する走査レーザビームの光学系に発生す
る非点収差を音響光学偏向素子に印加されるスイープ信
号の周波数変化率をコントロールによって補償するよう
にしているから、簡単な構造の光学系を採用することが
でき、走査光学系のコストダウンと光損失を低減するこ
とができるという効果がある。
又、光軸からずれている走査レーザビーム光の非点収
差を補正することによって、広画角のスキャン装置を構
築することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の音響光学偏向装置に採用されるスイー
プ信号発生器の一例を示すブロック図、第2図はスイー
プ信号の周波数変化率のグラフ、第3図は音響光学偏向
素子の円筒レンズ効果を説明するための模式図、第4図
は音響光学偏向素子の後側焦点距離のグラフ、第5図は
音響光学偏向素子の動作を示す説明図、第6図は音響光
学偏向素子を使用したレーザ走査装置の概要図、第7図
はレーザビームの光学系で発生する非点収差の一例を示
すグラフである。 図中、1は半導体レーザ発光素子、2はコリメーション
レンズ、3は音響光学偏向素子、5は円筒レンズ、6は
走査レーザビームの光学系を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ光が入力されている音響光学変換素
    子と、 前記音響光学変換素子に対して連続して周波数が変化す
    るスイープ信号を印加する信号源と、 前記音響光学変換素子によって偏向された出力レーザ光
    を走査ビーム光として光記録媒体に合焦点で照射するた
    めの光学系と、 前記スイープ信号の周波数変化率を補正する信号補正手
    段とを備え、 前記信号補正手段によって前記光学系で発生する走査ビ
    ーム光の非点収差を補償することを特徴とする音響光学
    偏向装置。
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