JPH11211726A - 脱髄疾患の検出方法 - Google Patents

脱髄疾患の検出方法

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JPH11211726A
JPH11211726A JP1737198A JP1737198A JPH11211726A JP H11211726 A JPH11211726 A JP H11211726A JP 1737198 A JP1737198 A JP 1737198A JP 1737198 A JP1737198 A JP 1737198A JP H11211726 A JPH11211726 A JP H11211726A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎等の脱髄
疾患の再燃時の早期診断、脱髄疾患とそれと紛らわしい
各種神経疾患との間の鑑別診断等に使用できる検出方法
を提供する。 【解決手段】 体液中のトロンビン−アンチトロンビン
III複合体レベルを測定することを特徴とする脱髄疾患
の検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多発性硬化症や急
性散在性脳脊髄炎等の脱髄疾患の検出方法及び該方法に
使用するための診断用キットに関する。より詳細には、
多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎等の脱髄疾患の再燃
時の早期診断、脱髄疾患のそれと紛らわしい各種神経疾
患に対する鑑別診断等に使用できる検出方法及び該方法
に使用するための診断キットに関する。
【0002】
【従来の技術】脱髄疾患は、神経の軸索を取り巻き、軸
索の絶縁体として興奮伝導を促進する機能を有する髄鞘
が傷害される神経疾患であり、これに属するものとして
は多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎等が挙げられる。
これらの脱髄疾患の多くは緩解、再燃を繰り返すが、再
燃時を早期に予想するための診断方法としてはこれまで
有力なものがないのが実状であった。またこれらの疾患
はいずれも他の神経疾患との鑑別診断が容易でなく、そ
のような鑑別診断に有用な方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、多発
性硬化症や急性散在性脳脊髄炎等の脱髄疾患の再燃時の
早期診断、脱髄疾患とそれと紛らわしい各種神経疾患と
の間の鑑別診断等に使用できる検出方法を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明者らが上記疾患の動物モデルとされる、ラッ
ト実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental Autoimmune
Encephalomyelitis,EAE)を用いて鋭意検討したとこ
ろ、血液等の検体中のトロンビン−アンチトロンビンII
I複合体(TAT)のレベルが脱髄疾患の臨床症状発現
に先立ち上昇し、検体中のTATのレベルを測定するこ
とにより脱髄疾患を早期に診断することができることが
見出された。また、TATのレベルは脱髄疾患の病状の
回復とともに低下し、従ってTATのレベルを測定する
ことにより脱髄疾患の病勢を診断することができること
も見い出された。本発明はこれらの知見に基づき完成さ
れたものである。
【0005】従って本発明は、体液中のトロンビン−ア
ンチトロンビンIII複合体レベルを測定することを特徴
とする脱髄疾患の検出方法を提供するものである。
【0006】上記本発明の方法の好ましい態様において
は、トロンビン−アンチトロンビンIII複合体レベルの
測定を免疫学的測定法により行い、例えばトロンビン−
アンチトロンビンIII複合体、トロンビン及びアンチト
ロンビンIIIの少なくとも一つと特異的に反応する抗体
から選択される少なくとも一種の抗体を使用して行う。
従って免疫学的測定は、例えば、トロンビン−アンチト
ロンビンIII複合体に対する抗体を使用して、あるいは
トロンビンに対する抗体とアンチトロンビンIIIに対す
る抗体とを組み合わせて使用して行うことができる。
【0007】また本発明の別の形態として、トロンビン
−アンチトロンビンIII複合体、トロンビン及びアンチ
トロンビンIIIの少なくとも一つと特異的に反応する抗
体から選択される少なくとも一種の抗体を含む脱髄疾患
診断用の診断キットが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の検出方法の診断対象とな
る脱髄疾患は、神経の軸索を取り巻き、軸索の絶縁体と
して興奮伝導を促進する機能を有する髄鞘が障害される
神経疾患である。髄鞘が障害される状態を脱髄と称し、
脱髄は髄鞘が選択的に障害され軸索が正常に保たれる一
次性脱髄と、軸索の障害に続発して髄鞘が障害される二
次性脱髄とに分類され、さらに一次性脱髄は原因不明の
特発性脱髄と、パポバウイルス感染、アルコール中毒等
に伴う栄養障害等を原因とすることが知られている症候
性脱髄に分けられる。本発明の方法はこれらのいずれの
種類の脱髄により起こる脱髄疾患も診断対象とし得る。
【0009】代表的な脱髄疾患としては、自己免疫を原
因とすると考えられている多発性硬化症(MS)、急性
散在性脳脊髄炎(ADEM)、ADEMの一亜型と考え
られる脊髄神経根神経障害(myeloradiculoneuropath
y)、副腎白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィ
ー等の白質ジストロフィー等が挙げられ、いずれも本発
明の検出方法の適用対象となり得る。本発明は、これら
のうち特にMS及びADEMの診断に有用である。
【0010】本発明の検出方法においては、対象となる
ヒト患者を含む脊椎動物から採取した体液中のTATの
レベル(濃度)を測定する。使用できる体液としては、
血液、その分画である血漿及び血清、脳脊髄液等が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。
【0011】本発明の検出方法において測定対象となる
TATは、トロンビンとアンチトロンビンIII(ATII
I)との複合体であり、公知の生体物質である。この血
中レベルは血中で急速に消失するトロンビンのレベルに
代えて測定することができ、トロンビン形成、即ち血液
凝固活性、血栓形成傾向等の指標として使用できるもの
として知られていたものである。
【0012】TATの測定方法は特に限定されるもので
はないが、通常は、抗原抗体反応を利用した免疫学的測
定法により測定することが好ましく、免疫学的測定法に
よればTATを高感度で特異的に定量できる。そのよう
な免疫学的測定法の原理自体は公知のものでよく、レー
ザーイムノアッセイ等の非標識イムノアッセイ、ラジオ
イムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ等の標識イ
ムノアッセイのいずれによっても行うことができる。感
度、測定の容易さ等の点から通常は標識イムノアッセイ
により測定するのが好ましい。標識イムノアッセイの方
法も特に制限されるものではなく、例えば液相中での抗
原抗体反応を利用する液相法、固相に結合した第一の抗
体と標識された第二の抗体を使用するいわゆるサンドイ
ッチ法、固相に検体中のTATを吸着させ、これを抗体
で測定する方法等いずれも使用できる。
【0013】免疫学的測定法に使用する抗体も各種のも
のから選択でき、例えば、TATに特異的に結合する抗
体、即ちトロンビンやATIIIには反応しないが、TA
Tにのみ特異的に反応する抗体、トロンビンあるいはA
TIIIのいずれかに特異的に反応し、かつTAT中のト
ロンビンあるいはATIIIに特異的に反応する抗体等い
ずれのものを使用してもよい。例えばTATに特異的に
結合する抗体を用いれば、直接TATのみを捕捉するこ
とができる。またトロンビンあるいはATIIIのいずれ
かに特異的に反応し、かつTAT中のトロンビンあるい
はATIIIに特異的に反応する抗体を使用した場合は、
トロンビンあるいはATIII及びTATの両方を捕捉
し、さらにTATを形成する他方の結合相手に特異的に
反応する抗体(即ち、抗ATIII抗体あるいは抗トロン
ビン抗体)で結果としてTATのみを捕捉することがで
きる。抗体はポリクローナル抗体及びモノクローナル抗
体のいずれも使用できるが、モノクローナル抗体を使用
することが好ましい。
【0014】標識イムノアッセイに使用される標識も公
知のものから任意に選択することができ、放射性物質、
酵素、蛍光物質、発光物質等を使用することができる。
【0015】前述の通り血中のTATレベルはこれまで
にも凝固活性、血栓形成傾向等の指標として測定されて
おり、TATを特異的に高感度で測定するための各種免
疫学的方法の変法(特表平7−508103号、日本特
許第2569383号、特開平3−48158号等)、
及びトロンビン、ATIII、TAT等に対するポリクロ
ーナル抗体及びモノクローナル抗体(特開平7−595
90号、特開平8−120000号、特開平9−234
068号等)等が提案され、またTATの安定化方法
(日本特許第2645774号等)等の周辺技術も各種
提案されている。TATレベルの測定自体は当業者に周
知の技術やこれらの文献に記載された技術、材料を用い
て行うことができる。
【0016】以下、固相に結合される第一抗体と、標識
された第二抗体または標識され得る第二抗体とを用いた
いわゆるサンドイッチ法(特公平6−41952号等参
照)によるTATの測定についてさらに詳細に説明す
る。
【0017】上記サンドイッチ法に使用する第一抗体及
び第二抗体は、TATに特異的に結合する抗体、トロン
ビンあるいはATIIIのいずれかに特異的に反応する抗
体等から選択することができる。
【0018】この方法では、例えば、TATを含む検体
を固相に固定された第一抗体と接触させ、次いで標識物
質で標識された第二抗体と接触させることにより検体中
のTATと第一抗体と標識物質で直接標識された第二抗
体とを反応させて第二抗体−(TAT)−第一抗体−固
相からなる複合体を形成させる。そして前記複合体から
遊離の第二抗体を分離し、前記複合体中または分離され
た第二抗体の標識物質を検出することにより検体中のT
ATを測定する。
【0019】また、形成された第二抗体−(TAT)−
第一抗体−固相の前記複合体に、第二抗体に特異的に結
合する標識された抗イムノグロブリン抗体を接触させる
ことにより前記複合体と標識抗イムノグロブリン抗体の
複合体を形成させ、その標識物質を検出することにより
検体中のTATを測定することもできる。第二抗体を直
接標識する方法に比べ、入手の容易な標識された抗イム
ノグロブリン抗体を使用する方法がより簡便である。な
お、この方法で使用する抗イムノグロブリン抗体は、第
二抗体を製造するために使用した動物と同種の動物のイ
ムノグロブリンを認識する抗体である。
【0020】上記のようなサンドイッチ法において、第
二抗体−(TAT)−第一抗体の複合体形成順序は、い
わゆるフォワード、リバース、同時のいずれも可能であ
る(「蛋白核酸酵素」別冊 No.31、酵素免疫測定法、共
立出版(株)発行、1987年、p13-26 参照)。
【0021】また第一抗体を固定する固相としては、プ
レート、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル等が挙げ
られる。材質としては、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ナイロン、ポリアクリルアミド等が好ましい。
【0022】これらの固相に第一抗体を固定する方法と
しては、物理的吸着法、共有結合法、包括法等、固定化
酵素の調製法として一般的な方法(固定化酵素、1975
年、講談社発行、第9〜75頁参照)を使用することがで
きる。操作が簡便なことから物理的吸着(いわゆるコー
ティング)が特に好ましい。
【0023】また、第一抗体を固定した固相の表面に
は、第一抗体が結合していない表面部分が残存している
場合があり、その部分に検体中のTATや他の分子種が
結合すると正確な測定結果が得られない場合がある。従
って、検体を固相と接触させる前にブロッキング物質を
添加して第一抗体が結合していない部分を被覆しておく
ことが好ましい。このようなブロッキング物質として
は、ウシ等から採取した血清アルブミン、カゼイン、ミ
ルク蛋白等が挙げられ、またブロッキング物質として市
販されている材料を使用することもできる。
【0024】また、固相に固定された第一抗体に検体中
のTATを結合させた後に、固相の表面を洗浄液で洗浄
して非特異的吸着物を除去することが好ましい。洗浄液
としては、例えば、トゥイーン(Tween)系界面活性剤等
の界面活性剤を添加した緩衝液(例えば、リン酸緩衝
液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス塩酸緩衝
液)等が挙げられる。
【0025】第二抗体または該抗体に免疫学的親和性を
有する抗イムノグロブリン抗体の標識に使用される標識
物質としては、前記の通り、酵素(ペルオキシダーゼ、
アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ル
シフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等)、放射
性同位体(125I、131I、3H等) 、蛍光色素(ルミノ
ール、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)
等)、化学発光物質、ハプテン、ビオチン、アビジン
(例えば、ストレプトアビジン等)等が挙げられるが、
通常タンパク質を標識するのに使用することが可能なも
のであれば特に限定されない。尚、ここで標識物質と
は、ビオチン等のようにそれ自体を直接検出せず、その
物質と特異的結合能を有する物質(例えばアビジン)に
検出可能な標識を結合したものを組み合わせて用いる方
法に使用する物質も包含する。
【0026】前記の抗体の標識方法は、標識物質に適し
た公知の方法、例えば、酵素で標識する際にはグルタル
アルデヒド法、過ヨウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、
カルボジイミド法、活性化エステル法等、放射性同位元
素で標識する際にはクロラミンT法、ラクトペルオキシ
ダーゼ法(続生化学実験講座2「タンパク質の化学
(下)」、東京化学同人、1987年発行参照)等から適宜
選択することができる。
【0027】標識物質の検出法としては、用いる標識物
質により異なるが、例えば、第二抗体またはイムノグロ
ブリン抗体がペルオキシダーゼ等の酵素で標識されてい
る場合、前記の抗原抗体反応後、酵素の基質(ペルオキ
シダーゼの場合、過酸化水素水及びオルトフェレンジア
ミン、テトラメチルベンジジン等の発色基質(クロモゲ
ン))を加え、酵素反応による生成物の発色の程度を吸
光度の変化で測定する方法等を挙げることができる。ま
た、抗体がビオチンで標識されている場合、抗原抗体反
応後、例えばペルオキシダーゼ等の酵素で標識されたビ
オチン結合性物質(例えば、ストレプトアビジン)を添
加し、このビオチン結合性物質とビオチンを介して酵素
を抗体に結合させ、その後、上記と同様に酵素活性を測
定することができる。標識物質として蛍光物質や化学発
光物質を使用する場合には、抗原抗体反応後の溶液の蛍
光や発光を測定する方法等が挙げられる。
【0028】本発明の検出方法のTATレベル測定にお
いては、検体中のTATの濃度は、予め既知濃度のTA
T標準液を用いてTAT濃度と標識物質の検出結果との
関係について検量線を作成し、未知濃度の検体について
の検出結果と前記検量線とを比較することにより定量す
ることができる。
【0029】上記のような測定方法においてはTATを
含む検体は予め精製されている必要はない。
【0030】上記のような測定方法により、前記のよう
なヒト体液中のTATレベルを測定してその変化を観察
すると、以下の実施例において具体的に明らかにするよ
うに、多発性硬化症のような脱髄疾患を発症あるいは再
燃した場合、その臨床症状発現に先立ってTATレベル
が上昇し、臨床症状発現前約2〜15日程度の時点にお
いて正常のレベルの約3〜50倍程度、より特定すれば
約5〜20倍程度になる。従って本発明の検出方法によ
れば脱髄疾患を臨床症状発現前に早期に診断することが
できる。また、臨床症状発現後のTATのレベルは脱髄
疾患の病状の回復とともに低下し、従ってTATのレベ
ルにより脱髄疾患の病勢を診断することもできる。
【0031】尚、いかなる理論にも拘束されるものでは
ないが、脱髄疾患においてTATレベルの顕著な上昇が
認められるのは、血管内皮の異常と血液凝固系の活性化
が該疾患の病態に深く関与しているためと考えられる。
【0032】さらに本発明の別の形態として、上記の本
発明の検出方法を上記に説明したような免疫学的測定法
により実施するための診断用キットが提供される。
【0033】本発明の診断用キットは、TAT、トロン
ビン及びATIIIの少なくとも一つを特異的に認識する
抗体から選択される少なくとも一種の抗体を構成成分と
して含むTATの免疫学的測定用の試薬からなるもので
ある。
【0034】上記に説明したようなサンドイッチ法によ
りTATを検出する場合には、上記のような抗体から選
択される、固相に結合される第一抗体と、標識物質で標
識されているかまたは標識され得る第二抗体とを構成成
分として含む。このようなキットにおいて第一抗体を予
め固相に固定したものを使用すれば、診断過程において
固相に抗体を固定する操作を省くことができる。
【0035】このような本発明の診断用キットを用い
て、例えば、固相に固定した第一抗体にTATを含む検
体を接触させ、次いでペルオキシダーゼ等により標識さ
れた第二抗体と接触させることによって、第二抗体−
(TAT)−第一抗体−固相からなる複合体を形成さ
せ、その複合体に含まれる標識物質(例えばペルオキシ
ダーゼ)を検出することにより、検体中のTAT濃度を
測定することができる。
【0036】前記キットには、さらに検量線作成のため
の標準となる既知濃度のTAT標準品、標識物質の検出
試薬、第二抗体を標識する試薬、第二抗体を検出する試
薬(標識された抗イムノグロブリン抗体等)等を必要に
応じて加えることができる。また、これらの成分の他
に、前記のようなブロッキング物質、洗浄液、検体希釈
液、酵素反応停止液等を含むものとしてもよい。
【0037】また、これらの成分は、それぞれ別の容器
に収容しておき、使用時に上記処方に従って使えるキッ
トとして保存しておくことができる。
【0038】本発明の診断用キットを用いてヒトの体液
中のTATを測定すると、健常人においてはそのレベル
は低値であるが、脱髄疾患に罹患した患者においてはそ
の臨床症状が発現する前に高いレベルを示し、脱髄疾患
の早期の診断、特に再燃時の早期の診断を簡便に行うこ
とができる。また、脱髄疾患とそれと紛らわしい各種神
経疾患との間の鑑別診断等を簡便に行うことが可能とな
る。さらにTATレベルは脱髄疾患の病勢の指標ともな
り得るので、前記キットは脱髄疾患の病勢の評価を簡便
に行うのにも有用である。
【0039】上記のキットの具体例として、例えば下記
の構成成分を含む診断用キットが挙げられる。
【0040】 標識抗トロンビン抗体原液(ペルオキシダーゼで標
識した、トロンビン及びTATの双方を認識できる抗ト
ロンビン抗体原液)100μl 希釈用溶液(終濃度がそれぞれ5%及び0.01%
となるように牛血清アルブミン及びチメロサールを含
む)10ml入りバイアル1本 抗TAT抗体でコートされた96ウェルマイクロタ
イタープレート1枚 洗浄液原末用PBS錠剤(100mlの蒸留水に溶
解した場合100mlのPBSが得られるもの)1個
【0041】 クエン酸燐酸緩衝液原末用錠剤(60mlの蒸留水
に溶解した場合60mlの0.1Mのクエン酸燐酸緩衝
液、pH5が得られるもの)1個 オルトフェニレンジアミン末10mg入りバイアル
1本 TAT標準血漿末(TATを100μg/L含む3
00μlの血漿を凍結乾燥したもの)バイアル1本 複数の健常人から集めた正常対照血漿末(血漿30
0μl相当)入りバイアル1本
【0042】上記のキットを使用した実際の患者検体の
TATレベルの測定は、例えば以下のように行うことが
できる。
【0043】脱髄疾患の患者で現在緩解期にある患者、
あるいは脱髄疾患が疑われる患者の検体(静脈血9容に
0.11mol/lのクエン酸ナトリウム溶液1容を加
え、混和後約3000rpmで10分遠心分離して採取
した血漿)50μlを抗TAT抗体でコートされた96
ウェルマイクロタイタープレートのウェルに入れる。
別に正常対照血漿末に蒸留水300μlを加えて作製
した溶液の50μlを96ウェルマイクロタイタープレ
ートのウェルに入れる。同様にTAT標準血漿末に
蒸留水300μlを加えて作成した溶液、及びこれを希
釈用溶液を用いて2倍連続希釈して作製した、TAT
標準血漿末の2倍、4倍及び8倍希釈溶液のそれぞれ
の50μlも96ウェルマイクロタイタープレートの
ウェルに入れ、各プレートを20〜25℃で1時間イン
キュベートし、その後各ウェル中の反応液を全量吸引除
去する。そして洗浄液原末用PBS錠剤を用いて作っ
たリン酸緩衝溶液を約0.3mlずつ各ウェルに加え、
その後吸引する洗浄操作を三回行った後、直ちに標識抗
トロンビン抗体原液を全量8mlの希釈用溶液に加
えて泡立てないように混和したものを50μlずつ各ウ
ェルに加える。20〜25℃で1時間インキュベートし
た後、クエン酸燐酸緩衝液原末用錠剤で作製したクエ
ン酸燐酸緩衝液にオルトフェニレンジアミン末を全量
入れて完全に溶解した後、市販の過酸化水素水10μl
を添加し混和したものを50μlずつ各ウェルに加え
る。10分後に2Mの硫酸を各ウェルに20μlずつ添
加して反応を停止した後、492nmで反応液の吸光度
を測定する。標準液(の希釈液)から求めた値で検量
線を作り、これより検体の濃度を読みとる。陰性対照と
しては、正常対照血漿末から得られた値を用いる。検
量線は3重測定を行って作成する。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるもの
ではない。
【0045】実施例 脱髄疾患の代表的疾患とされる多発性硬化症の動物モデ
ルとして確立された、ラット実験的自己免疫性脳脊髄炎
(Experimental Autoimmune Encephalomyelitis, EAE、
臨床免疫学イラストレイテッド、pp. 112-117, Brostof
f, Scadding, Male, Roitt編、広瀬俊一、狩野庄吾、多
田富雄 監訳、南江堂 1994)を使用してTATのレベル
を観察した。
【0046】EAEの作成は以下のようにして行った。
即ち、疾患を誘発するための感作物質としては、モルモ
ットミエリン塩基性タンパク質(guinea pig myelin ba
sicprotein, GPMBP)と結核菌体(Mycobacterium tuber
culosis, MTB)含むフロイントの完全アジュバントとを
用い、動物としては4週齢のLewisラットを用いた。各
ラットの足底に5μgのGPMBPと200μgのMTBを含む
上記アジュバントとを注射して感作を行った。
【0047】感作日を0日として毎日ラットの症状を観
察し、無症状は0、尾の緊張低下を1、下肢の緊張低下
を2、下肢の麻痺を3、上肢の麻痺を4、死亡を5とし
て症状を数値化して記録した(臨床スコア)。同時に、
クエン酸を抗凝固剤として用い、感作された動物から日
を追って採血して血漿を調製し、そのTATレベルを測
定した。
【0048】血漿は、静脈血9容に0.11mol/l
のクエン酸ナトリウム溶液1容を加え、混和後約300
0rpmで10分遠心分離して血漿を採取することによ
り調製した。
【0049】TATの測定にはヘキストジャパン社から
販売されているキット、エンザイグノストTAT microを
用い、添付されている説明書に記載された方法に従って
行った。概略は以下の通りである。抗トロンビン抗体で
コートされた96ウェルマイクロタイタープレートの各
ウェルに、上記キットに添付されたTAT標準血漿及び
TATコントロール血漿、並びに検体のそれぞれの50
μlを入れ、軽く振盪した。付属のカバーシールで各ウ
ェルを覆い、37℃で15分間インキュベートした。そ
の後カバーシール除去し、各ウェルの反応液を吸引した
後、添付の洗浄液を各ウェルに約0.3mlずつ加え、
再度吸引する洗浄操作を三回繰り返した。その後添付の
ペルオキシダーゼ標識ATIII抗体液の200μlを標
識抗体希釈液1バイアルに加えて作製した標識抗体液を
100μlずつ各ウェルに加えた。再度各ウェルを付属
のカバーシールで覆い、37℃で15分間インキュベー
トした。カバーシールを除去し、各ウェルの反応液を吸
引した後、添付の洗浄液を各ウェルに約0.3mlずつ
加え、再度吸引する洗浄操作を三回繰り返した。添付の
基質緩衝液10mlを添付のクロモゲン(1,2-フェニレ
ンジアミン塩酸塩)の1バイアル(250μg)に加え溶解し
て作製したクロモゲン溶液を、各ウェルに100μlず
つ加えた。再度添付のカバーシールで各ウェルを覆い、
遮光して20〜25℃の温度で30分間インキュベート
した。カバーシールを取り除き、添付の反応停止液を各
ウェルに100μlずつ加えた後、精製水をブランクと
して492nmにおける各反応液の吸光度を測定した。
説明書の記載に従って、標準血漿、コントロール血漿を
使用して得た値から標準曲線及び精度を求め、説明書に
記載されている条件を満たしていることを確認した後、
検体についての測定値を求めた。結果を表1及び図1に
示す。
【0050】
【表1】
【0051】TATレベル値は感作後8日目から明らか
に上昇した。この時期は症状の発現が始まった日の平均
値9.6日より早かった。また、TATレベル値は症状
の改善とともに低下した。
【0052】
【発明の効果】本発明の検出方法によれば、脱髄疾患を
臨床症状発現前に早期に診断することができ、また他の
神経疾患に対する鑑別診断を行うことができる。さらに
は本発明の検出方法によれば脱髄疾患の病勢を診断する
こともできる。また本発明の診断キットによれば、上記
の脱髄疾患の早期の診断、鑑別診断、病勢の診断を簡便
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ラットに感作物質を投与して脱髄疾
患を誘起した際の感作後経過日数とTAT(トロンビン
−アンチトロンビンIII複合体)レベル測定値及び数値
化した症状(臨床スコア)の関係を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体液中のトロンビン−アンチトロンビン
    III複合体レベルを測定することを特徴とする脱髄疾患
    の検出方法。
  2. 【請求項2】 トロンビン−アンチトロンビンIII複合
    体レベルの測定を免疫学的測定法により行う請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 トロンビン−アンチトロンビンIII複合
    体、トロンビン及びアンチトロンビンIIIの少なくとも
    一つと特異的に反応する抗体から選択される少なくとも
    一種の抗体を含む脱髄疾患診断用の診断キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005520124A (ja) * 2001-07-03 2005-07-07 オゥクラホゥマ、メディカル、リサーチ、ファウンデイシャン 第VIIa因子−アンチトロンビン複合体を測定するためのアッセイ

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