JPH11210844A - チェーンテンショナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 取外しの容易なチェーンテンショナを提供す
る。 【解決手段】 ハウジング１１に形成されたシリンダ室
１４にプランジャ１５をスライド自在に挿入し、そのプ
ランジャ１５にスプリングの弾力を付与して外方向への
突出性を付与する。ハウジング１１の外周に突起３４を
設け、一方、プランジャ１５の先端部に周方向の係合溝
３３を形成する。この突起３４と係合溝３３に挟み工具
のくわえ部を係合し、挟み工具の握り部を握ることによ
りプランジャ１５の突出を防止し、その状態でハウジン
グ１１をエンジンブロックに取付けるボルト１３の取外
しを行なう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、カム軸駆動用チ
ェーンの張力を一定に保持するチェーンテンショナに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３に示すように、クランク軸１の端部
に取付けられたスプロケット２と、カム軸３の端部に取
付けられたスプロケット４間にチェーン５をかけ渡して
前記クランク軸１の回転をカム軸３に伝えるようにした
カム軸駆動用のチェーン伝動装置においては、前記チェ
ーン５の弛み側チェーン５ａに軸６を中心として揺動自
在に支持されたチェーンガイド７を接触し、そのチェー
ンガイド７にチェーンテンショナ４０の調整力を付与し
てチェーン５の張力を一定に保つようにしている。

【０００３】ここで、チェーンテンショナ４０として、
ボルト４１の締付けによってエンジンブロックに固定さ
れるハウジング４２にシリンダ室を形成し、そのシリン
ダ室内にスライド自在に挿入されたプランジャ４３にス
プリング（図示省略）の弾力を付与して外方向への突出
性を付与し、チェーン５からチェーンガイド７を介して
プランジャ４３に付与される押し込み力を、プランジャ
４３の背部に形成された油室内の作動油によって緩衝す
る油圧式のものが知られている。

【０００４】上記のチェーンテンショナは、エンジン周
りのメンテナンスや部品の取り替えに際して、チェーン
５よりも先に取り外しされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、油圧式のチ
ェーンテンショナにおいては、上記のように、スプリン
グの弾力によってプランジャ４３に外方向への突出性を
付与した構成であるため、ボルト４１を緩めると、プラ
ンジャ４３が突出して、ハウジング４２をチェーンガイ
ド７と逆方向に押し付けることになり、取外しが困難で
あった。特に、内装式の場合、狭い空間でチェーンテン
ショナが突っ張ってしまい、取外しが非常に困難であっ
た。

【０００６】また、チェーンテンショナを取外すと、ス
プリングの弾力によりプランジャ４３が飛び出し、部品
が分解されるという問題もあった。

【０００７】この発明の課題は、一般に汎用されている
工具を用いることによって簡単に取外すことができるよ
うにしたチェーンテンショナを提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、ハウジングに形成されたシ
リンダ室内にプランジャをスライド自在に挿入し、その
プランジャの背部に形成された油室内の作動油によって
プランジャに付与される押し込み力を緩衝し、スプリン
グによって上記プランジャに外方向への突出性を付与し
たチェーンテンショナにおいて、前記ハウジングの外周
とプランジャの先端部外周とに挟み工具のくわえ部が係
合可能な係合部を設けた構成を採用している。

【０００９】ここで、ハウジング側の係合部として、突
起を採用することができる。一方、プランジャ側の係合
部として、周方向の係合溝を採用することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
１および図２に基づいて説明する。

【００１１】図１は、カム軸駆動用のチェーン伝動装置
を示す。このチェーン伝動装置は、先に述べた図３に示
すチェーン伝動装置と同一であるため、同一部品に同一
符号を付して説明を省略する。

【００１２】チェーン５の弛み側チェーン５ａにはチェ
ーンガイド７が接触され、そのチェーンガイド７は軸６
を中心として揺動自在に支持されている。

【００１３】チェーンガイド７に調整力を付与するチェ
ーンテンショナ１０は、ハウジング１１を有し、そのハ
ウジング１１の外周に設けられた複数の取付片１２がボ
ルト１３の締付けによってエンジンブロックに固定され
る。

【００１４】図２に示すように、ハウジング１１にはシ
リンダ室１４が形成され、そのシリンダ室１４にプラン
ジャ１５がスライド自在に挿入されている。また、ハウ
ジング１１には、上記プランジャ１５の背部に形成され
た油室１６の閉塞端において開口する給油通路１７が設
けられている。

【００１５】プランジャ１５には後端面で開口するロッ
ド挿入孔１８が形成され、そのロッド挿入孔１８の開口
部内周に設けられた雌ねじ１９にスクリューロッド２０
の外周に形成された雄ねじ２１がねじ係合されている。

【００１６】スクリューロッド２０には、先端から軸方
向に延びるスプリング収納孔２２と、後端からそのスプ
リング収納孔２２に貫通する連通孔２３とが形成され、
上記スプリング収納孔２２とロッド挿入孔１８の閉塞端
間にスプリング２４と、スプリングシート２５とが組込
まれている。

【００１７】スプリングシート２５は球形表面２５ａを
端部に有し、その球形表面２５ａがロッド挿入孔１８の
閉塞端と点接触している。

【００１８】プランジャ１５に形成された前記雌ねじ１
９とスクリューロッド２０に設けられた雄ねじ２１のね
じ山は、プランジャ１５が軸方向に押された際の押し込
み力を受ける圧力側フランク２６のフランク角が遊び側
フランク２７のフランク角より大きい鋸歯状とされてい
る。その鋸歯状ねじ山にスプリング２４の押圧によって
スクリューロッド２０が回転しつつ油室１６の閉塞端に
向けて移動するリード角が設けられている。

【００１９】前記油室１６の閉塞端部にはスクリューロ
ッド２０の後端を受けるロッドシート２８が組込まれて
いる。ロッドシート２８は油室１６に圧入されて軸方向
に非可動の組付けとされ、そのロッドシート２８に給油
通路１７と油室１６とを連通する通路２９が設けられて
いる。

【００２０】通路２９には、チェックバルブ３０と、そ
のチェックバルブ３０の開閉量を制限するリテーナ３１
とが組込まれ、チェックバルブ３０は油室１６内の圧力
が給油通路１７内の圧力より高くなると通路２９を閉じ
るようになっている。

【００２１】上記の構成から成るチェーンテンショナ１
０において、エンジンの始動あるいはトルクの変動等に
よってチェーン５の弛み側チェーン５ａに弛みが生じる
と、給油通路１７から通路２９に送られる作動油の圧力
及びスプリング２４の弾力によってプランジャ１５が軸
方向に移動してチェーン５の弛みを吸収する。このと
き、スクリューロッド２０はロッドシート２８に接触し
ながら回転する。

【００２２】一方、チェーン５の張力が増大し、そのチ
ェーン５によってプランジャ１５が軸方向に押される
と、その押圧力は、油室１６内に封入された作動油によ
って受けられると共に、雌ねじ１９と雄ねじ２１の圧力
側フランク２６によって受けられ、プランジャ１５は後
退しない。プランジャ１５を押圧する押圧力がスプリン
グ２４の弾力と作動油の油圧力の合力より大きくなる
と、スクリューロッド２０はロッドシート２８に接触す
る状態で回転し、プランジャ１５が後退する。

【００２３】このとき、油室１６内の作動油がシリンダ
室１４とプランジャ１５の摺動面間から外部にリーク
し、プランジャ１５はスプリング２４の弾力と作動油の
圧力の合力と押圧力とが釣り合う位置までゆっくりと後
退し、チェーン５の張力変化を吸収する。

【００２４】上記のようなチェーンテンショナ１０の組
付けに際しては、プランジャ１５を押し込み状態に保持
してハウジング１１をボルト１３の締付けによりエンジ
ンブロックに取付け、その取付け後にプランジャ１５の
押し込みを解除し、スプリング２４の弾力によりプラン
ジャ１５を外方向に移動させてチェーンガイド７を押圧
する。

【００２５】プランジャ１５を押し込み状態に保持する
ため、ハウジング１１の先端部に外周面からシリンダ室
１４内に貫通するピン孔３２を形成し、一方、プランジ
ャ１５の先端部外周面に係合溝３３を設け、その係合溝
３３がピン孔３２と一致する位置までプランジャ１５を
後退させたのち、ピン孔３２から係合溝３３にセットピ
ン（図示省略）を差し込むようにしており、上記ハウジ
ング１１のボルト止め後、そのセットピンを引き抜くよ
うにしている。

【００２６】一般に、エンジン回りのメンテナンスや部
品の交換に際しては、チェーンテンショナ１０の取外し
た後において、チェーン５を取外すようにしている。

【００２７】ここで、チェーンテンショナ１０の取外し
に際し、プランジャ１５はスプリング２４の弾力によっ
て外方向への突出性が付与されているため、従来の技術
の項で説明したように、その取外しはきわめて困難であ
る。

【００２８】その問題点を解決するため、ハウジング１
１の先端部外周に係合部としての突起３４を設けてい
る。

【００２９】上記のように、ハウジング１１に突起３４
を設けると、その突起３４とプランジャ１５の係合溝３
３とを図１の鎖線で示すように、挟み工具のくわえ部Ａ
によって挾持することができるため、プランジャ１５の
外方向への移動を防止する状態でボルト１３の取外しを
行なうことができる。

【００３０】ここで、挟み工具として、市販されている
入手の容易なロッキング・プライヤを用いるのが好まし
い。このロッキング・プライヤは、一対のくわえ部Ａを
任意の開放状態でロックすることが可能であり、そのロ
ック状態で若干の予圧を加えることができるようになっ
ている。

【００３１】上記ロッキング・プライヤを用い、そのロ
ッキング・プライヤの一対のくわえ部Ａで突起３４と係
合溝３３とを挾持して、そのロッキング・プライヤをロ
ック状態とすることにより、ロッキング・プライヤの握
り部を強く握り締める必要がなくなり、ハウジング１１
を固定するボルト１３の取外しを容易に行なうことがで
きる。

【００３２】また、チェーンテンショナ１０の取外し
後、プランジャ１５はロッキング・プライヤによって押
し込み状態に保持されるため、プランジャ１５の飛び出
しはなく、部品が分解するのが防止される。

【００３３】なお、実施の形態においては、プランジャ
１５に形成された係合溝３３を挟み工具のくわえ部が係
合可能な係合部としたが、プランジャ側の係合部はこれ
に限定されない。

【００３４】例えば、プランジャ１５の先端に小径の軸
部を形成し、その軸部の付根におけるプランジャ１５の
端面（肩）を係合部としてもよい。

【００３５】

【発明の効果】以上のように、この発明においては、ハ
ウジングの外周とプランジャの先端部とに挟み工具のく
わえ部が係合可能な係合部を設けたことによって、一般
に使用される挟み工具を用いて上記係合部を挾持するこ
とにより、プランジャの突出を防止することができるの
で、チェーンテンショナの取外しをきわめて簡単に行な
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るチェーンテンショナの使用状態
を示す正面図

【図２】同上のチェーンテンショナを示す断面図

【図３】従来のチェーンテンショナの使用状態を示す正
面図

【符号の説明】

１１ ハウジング １４ シリンダ室 １５ プランジャ ２４ スプリング ３３ 係合溝 ３４ 突起

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジングに形成されたシリンダ室内に
   プランジャをスライド自在に挿入し、そのプランジャの
   背部に形成された油室内の作動油によってプランジャに
   付与される押し込み力を緩衝し、スプリングによって上
   記プランジャに外方向への突出性を付与したチェーンテ
   ンショナにおいて、前記ハウジングの外周とプランジャ
   の先端部外周とに挟み工具のくわえ部が係合可能な係合
   部を設けたことを特徴とするチェーンテンショナ。
2. 【請求項２】 前記ハウジング側の係合部が突起から成
   り、プランジャ側の係合部が周方向の係合溝から成る請
   求項１に記載のチェーンテンショナ。