JP2002061721A - チェーンの張力調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チェーンの張力を一定に保持するチェーン張
力調整装置の組立ての容易化を図ることである。 【解決手段】 エンジンブロックに一端部が回動自在に
支持され、他端部がチェーンテンショナ２４によって押
圧される揺動可能なチェーンガイド１０に一側から他側
に貫通するピン孔３１を形成する。エンジンブロック１
３には上記ピン孔３１と対応する位置に係合孔を設け、
そのピン孔３１から係合孔に係止ピン３３を挿入して弛
み側チェーン３ａが緊張する状態にチェーンガイド１０
を係止保持し、チェーンテンショナ２４の組付けの容易
化を図る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、カム軸駆動用チ
ェーンの張力を一定に保持する張力調整装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、クランクシャフトの回転をカム
軸に伝達するチェーン伝動装置においては、図６に示す
ように、カム軸駆動用チェーン４０の弛み側チェーン４
０ａにチェーンガイド４１を対設し、そのチェーンガイ
ド４１のチェーン進入側端部を軸４２で回動自在に支持
すると共に、チェーンガイド４１の他端部にエンジンブ
ロックに取付けられたチェーンテンショナ４３の押圧力
を付与して、弛み側チェーン４０ａを緊張させるように
している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なチェーンの張力調整装置の組立てに際し、従来は、エ
ンジンブロックにチェーンガイド４１の一端部を連結し
たのち、そのチェーンガイド４１の他端部を手で押圧し
て弛み側チェーン４０ａを緊張させ、その押圧状態を保
持する状態でチェーンテンショナ４３の取付けを行なう
ようにしており、組立てに非常に手間がかかっていた。

【０００４】また、チェーンガイド４１を手で直接押圧
するため、弛み側チェーン４０ａを充分に緊張させるこ
とができず、弛み側チェーン４０ａに大きな弛みを生じ
る場合がある。この場合、カム軸はカムを押圧するバル
ブスプリングの弾力によって回転力が付与されているた
め、カム軸に取付けられたスプロケット４４とチェーン
４０の相互間で歯飛びを生じ、カムの位相にずれを生じ
る場合がある。

【０００５】この発明の課題は、チェーンの張力調整装
置の組立て作業の容易化を図り、チェーンとスプロケッ
トの相互間で歯飛びが生じるのを防止できるようにする
ことである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、カム軸駆動用チェーンの弛
み側チェーンに揺動可能なチェーンガイドを対設し、そ
のチェーンガイドにチェーンテンショナの押圧力を付与
してチェーンガイドを弛み側チェーンに押し付けるよう
にしたチェーンの張力調整装置において、前記チェーン
ガイドと、そのチェーンガイドを支持するエンジンブロ
ックの相互間に、チェーンガイドが弛み側チェーンを押
圧するチェーンの緊張状態でそのチェーンガイドを固定
する係止手段を設けた構成を採用したのである。

【０００７】上記のように、チェーンガイドとエンジン
ブロックの相互間に係止手段を設けることにより、その
係止手段によってチェーンガイドをチェーンが緊張する
加圧状態に保持することができる。このため、チェーン
テンショナの組付けに際してチェーンガイドを押圧状態
に保持する必要がなく、チェーンテンショナの組付けが
簡単となり、張力調整装置の組立ての容易化を図ること
ができる。また、チェーンを緊張状態に保持することが
できるので、チェーンとカム軸に取付けられたスプロケ
ットの相互間で歯飛びを生じるのを防止することができ
る。

【０００８】ここで、係止手段として、チェーンガイド
に一側から他側に貫通するピン孔を形成し、エンジンブ
ロックにはそのピン孔と対応する位置に係合孔を設け、
前記ピン孔から係合孔に係止ピンを挿入するようにした
ものを採用することができる。

【０００９】この発明に係るチェーンの張力調整装置に
おいて、チェーンガイドの揺動側端部に、チェーンガイ
ドの揺動操作用レバーを着脱自在に連結する連結部を設
けると、その連結部に揺動操作用レバーを連結して、そ
の揺動操作レバーを押圧することにより、小さな操作力
によって弛み側チェーンを確実に緊張させることができ
る。

【００１０】前記連結部は、角軸であってもよく、角孔
であってもよい。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図１に示すように、クランクシ
ャフトに取付けられたスプロケット１とカムシャフトに
取付けられたスプロケット２間にはチェーン３がかけ渡
され、そのチェーン３の弛み側チェーン３ａにチェーン
ガイド１０が対設されている。

【００１２】チェーンガイド１０は、長さ方向にわん曲
するアルミ合金製のアーム１１と、そのアーム１１の凸
曲面に装着されたシュー１２とから成り、前記アーム１
１は図２に示すエンジンブロック１３にねじ込まれたボ
ルト１４によって一端部が回動自在に支持され、揺動側
の他端部にはプランジャ当接部１５が設けられている。

【００１３】シュー１２はポリアミド樹脂等の耐摩耗性
および滑り性の良好な合成樹脂から成る。このシュー１
２は、アーム１１の凸曲面の全体を覆う長さおよび幅を
有し、両側には複数の係合片１６が形成され、各係合片
１６に形成された係合孔１７にアーム１１の両側に設け
られた突出部１８が係合している。

【００１４】また、シュー１２の一端部にはアーム１１
の一端面に係合するフック片１９が設けられ、そのフッ
ク片１９に形成された係合孔２０にアーム１１の一端に
設けられた突片２１が係合している。

【００１５】さらに、シュー１２の他端部には、アーム
１１の他端部に設けられた突片２２の一側面および内面
に係合するＬ字形の係合片２３が形成されている。

【００１６】チェーンガイド１０の揺動側端部には油圧
式チェーンテンショナ２４が設けられている。チェーン
テンショナ２４は複数の取付片２５を有し、各取付片２
５がエンジンブロック１３にねじ込まれるボルトの締付
けによってエンジンブロック１３に固定される。

【００１７】チェーンテンショナ２４は、摺動自在に設
けられたプランジャ２６によりアーム１１のプランジャ
当接部１５を押圧してチェーンガイド１０を弛み側チェ
ーン３ａに押し付け、その弛み側チェーン３ａからチェ
ーンガイド１０に付与される振動を図示省略して油圧ダ
ンパにより緩衝して弛み側チェーン３ａの張力を一定に
保持するようになっている。

【００１８】図１および図２に示すように、チェーンガ
イド１０のアーム１１とエンジンブロック１３の相互間
には、弛み側チェーン３ａを緊張させた状態でチェーン
ガイド１０を固定する係止機構３０が設けられている。

【００１９】係止機構３０はアーム１１の長さ方向中央
からプランジャ当接部１５に片寄った位置に一側から他
側に貫通するピン孔３１を形成し、エンジンブロック１
３にはそのピン孔３１と対応する位置に係合孔３２を設
け、上記ピン孔３１から係合孔３２に係止ピン３３を挿
入してチェーンガイド１０を固定している。

【００２０】チェーンガイド１０は、チェーンテンショ
ナ２４の組付け時、弛み側チェーン３ａを緊張させる位
置に変位される。その変位に際して、チェーンガイド１
０を手で直接押圧する場合、弛み側チェーン３ａを強く
押圧することができず、弛み側チェーン３ａに適正な張
力を付与することができない。

【００２１】チェーンガイド１０に大きなモーメントを
付与することができるようにするため、チェーンガイド
１０におけるアーム１１の揺動側端部に図４に示す揺動
操作用レバーＴを着脱自在に連結し得る連結部３４を設
けている。その連結部３４として、図３（Ｉ）では角孔
を示し、図３（II）ではボルトの六角頭部から成る角軸
を示している。

【００２２】連結部３４を角軸とすると、モンキレン
チ、スパナから成る作業用工具を揺動操作用レバーＴと
して利用することができる。また、連結部３４を角孔と
すると、角ドライブを有するソケットレンチを揺動操作
用レバーとして使用することができ、専用の揺動操作用
レバーの形成を不要とすることができる。

【００２３】実施の形態で示すチェーンの張力調整装置
は上記の構造から成り、その張力調整装置の組立てに際
しては、先ず、チェーンガイド１０の一端部をエンジン
ブロック１３に回動自在に取付け、そのチェーンガイド
１０のアーム１１の揺動側端部に設けられた連結部３４
に図４に示すように、揺動操作用レバーＴを連結し、そ
の揺動操作用レバーＴに押圧力を付与してチェーンガイ
ド１０を弛み側チェーン３ａに押し付け、その弛み側チ
ェーン３ａを緊張させる。

【００２４】図５に示すように、アーム１１に形成され
たピン孔３１がエンジンブロック１３に設けられた係合
孔３２と一致する位置までチェーンガイド１０が変位さ
れると、ピン孔３１から係合孔３２に係止ピン３３を挿
入して、チェーンガイド１０を固定する。

【００２５】上記のようにしてチェーンガイド１０を固
定したのち、エンジンブロック１３にチェーンテンショ
ナ２４を取付けてプランジャ２６の先端でアーム１１に
設けられたプランジャ当接部１５を押圧し、その押圧
後、係止ピン３３を引き抜いてチェーンガイド１０の固
定を解除する。

【００２６】上記のように、チェーンガイド１０が弛み
側チェーン３ａを緊張させる状態において、そのチェー
ンガイド１０を固定することにより、チェーンテンショ
ナ２４の組付け時、チェーンガイド１０を手によって押
圧状態に保持する必要がなくなり、張力調整装置をきわ
めて簡単に組立てることができる。

【００２７】また、連結部３４に揺動操作用レバーＴを
連結し、その揺動操作用レバーＴに押圧力を付与してチ
ェーンガイド１０を弛み側チェーン３ａが緊張する方向
に押圧するようにしたので、チェーンガイド１０に大き
なモーメントを付与することができ、弛み側チェーン３
ａを比較的小さな操作力によって確実に緊張させること
ができる。

【００２８】また、弛み側チェーン３ａを弛みのない緊
張状態に保持することができるため、チェーン３とスプ
ロケット２の相互間で歯飛びが生じるのを防止すること
ができる。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、この発明においては、チ
ェーンガイドとエンジンブロックの相互間に係止手段を
設けたことによって弛み側チェーンが緊張する状態でチ
ェーンガイドを係止保持することができるため、チェー
ンテンショナを簡単に組付けることができ、張力調整装
置の組立ての容易化を図ることができる。

【００３０】また、チェーンを緊張状態に保持すること
ができるため、スプロケットとチェーンの相互間で歯飛
びが生じるのを防止することができる。

【００３１】さらに、チェーンガイドの揺動側端部に連
結部を設け、その連結部に揺動操作用レバーを連結して
押圧することにより、比較的小さい操作力によって弛み
側チェーンを簡単に、確実に緊張させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るチェーンの張力調整装置の実施
の形態を示す正面図

【図２】図１のII−II線に沿った断面図

【図３】（Ｉ）、（II）は図１に示すアームの揺動側端
部に設けられた連結部の各例を示す正面図

【図４】図１に示すチェーン張力調整装置の組立て途中
の状態を示す正面図

【図５】図４に示すチェーンガイドの係止機構を示す断
面図

【図６】従来のチェーンの張力調整装置を示す正面図

【符号の説明】

３ チェーン ３ａ 弛み側チェーン １０ チェーンガイド ２４ チェーンテンショナ ３０ 係止機構 ３１ ピン孔 ３２ 係合孔 ３３ 係止レバー Ｔ 揺動操作用レバー

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カム軸駆動用チェーンの弛み側チェーン
   に揺動可能なチェーンガイドを対設し、そのチェーンガ
   イドにチェーンテンショナの押圧力を付与してチェーン
   ガイドを弛み側チェーンに押し付けるようにしたチェー
   ンの張力調整装置において、前記チェーンガイドと、そ
   のチェーンガイドを支持するエンジンブロックの相互間
   に、チェーンガイドが弛み側チェーンを押圧するチェー
   ンの緊張状態でそのチェーンガイドを固定する係止手段
   を設けたことを特徴とするチェーンの張力調整装置。
2. 【請求項２】 前記係止手段が、チェーンガイドに一側
   から他側に貫通するピン孔を形成し、エンジンブロック
   にはそのピン孔と対応する位置に係合孔を設け、前記ピ
   ン孔から係合孔に係止ピンを挿入してチェーンガイドを
   固定する構成とされた請求項１に記載のチェーンの張力
   調整装置。
3. 【請求項３】 前記チェーンガイドの揺動側端部に、チ
   ェーンガイドの揺動操作用レバーを着脱自在に連結する
   連結部を設けた請求項１又は２に記載のチェーンの張力
   調整装置。
4. 【請求項４】 前記連結部が角軸又は角孔から成る請求
   項３に記載のチェーンの張力調整装置。