JPH11210441A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機関排気系の排気集合部より上流側の排気通
路に各気筒毎にパティキュレート捕集用フィルタを配置
した内燃機関の排気浄化装置において、大気中に放出さ
れるパティキュレートを十分に低減可能とすること。 【解決手段】 機関排気系の排気集合部２ａより上流側
の排気通路２ｂに各気筒毎にパティキュレート捕集用フ
ィルタ５を配置した内燃機関の排気浄化装置において、
各排気通路のパティキュレート捕集用フィルタの上流側
１ｂは、少なくとも一つの他の排気通路のパティキュレ
ート捕集用フィルタの上流側１ｂと、連通路６によって
連通されており、連通路はシリンダヘッド１内に形成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気浄
化装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関、特に、ディーゼル機関の排気
ガス中にはカーボンを主成分とする排気微粒子（パティ
キュレート）が比較的多く含まれており、これが環境汚
染を引き起こすために、このようなパティキュレート
は、排気ガスを大気に放出する以前に除去することが好
ましい。そのために、ディーゼル機関の排気通路内には
パティキュレートを捕集するためのフィルタを配置する
ことが提案されている。

【０００３】このようなフィルタは、フィルタ自身が大
きな排気抵抗とならないように、一般的に、パティキュ
レートの大きさに比較して数１００倍の大きな目を有し
ている。このようなフィルタにおいては、排気ガスがフ
ィルタの目を通過する際にパティキュレートがフィルタ
の目の回りに付着堆積することによってパティキュレー
トが捕集される。パティキュレートは、フィルタの目を
狭めるように堆積するために、パティキュレートの堆積
がある程度に成長すると、フィルタの高いパティキュレ
ート捕集率が実現される。

【０００４】こうして、パティキュレートの捕集が進行
し、かなりの量のパティキュレートがフィルタに捕集さ
れると、排気抵抗が増大して機関性能を低下するため
に、捕集されたパティキュレートを定期的に焼失させて
フィルタを再生しなければならない。この再生には機関
高負荷高速運転時の高温の排気熱を利用することが提案
されている。実開平５−６９３１１号公報には、排気熱
をフィルタ再生に有効に利用するために、エキゾースト
マニホルドの各排気枝通路それぞれにパティキュレート
捕集用フィルタを配置して、フィルタを機関本体に近接
させた内燃機関の排気浄化装置が開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術におい
て、任意の気筒の排気行程時には、他の気筒の排気枝通
路におけるフィルタ上流側がほぼ大気圧であるのに対し
て、各フィルタ下流側の排気集合部の圧力は、この任意
の気筒の排気圧力によって大気圧以上となる。それによ
り、他の気筒においてはフィルタを排気ガスが逆流する
現象が発生する。この排気逆流現象によって、パティキ
ュレートの堆積は、高いパティキュレート捕集率を実現
するまで成長する以前にフィルタ上流側に崩され、パテ
ィキュレート捕集率が低いまま推移するために、大気中
に放出されるパティキュレートを十分に低減することが
できない。

【０００６】従って、本発明の目的は、機関排気系の排
気集合部より上流側の排気通路に各気筒毎にパティキュ
レート捕集用フィルタを配置した内燃機関の排気浄化装
置において、大気中に放出されるパティキュレートを十
分に低減可能とすることである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
の内燃機関の排気浄化装置は、機関排気系の排気集合部
より上流側の排気通路に各気筒毎にパティキュレート捕
集用フィルタを配置した内燃機関の排気浄化装置におい
て、各前記排気通路の前記パティキュレート捕集用フィ
ルタの上流側は、少なくとも一つの他の前記排気通路の
前記パティキュレート捕集用フィルタの上流側と、連通
路によって連通されており、前記連通路はシリンダヘッ
ド内に形成されていることを特徴とする。

【０００８】本発明の請求項２に記載の内燃機関の排気
浄化装置は、請求項１に記載の内燃機関の排気浄化装置
において、必要に応じて各前記連通路を閉鎖可能な開閉
弁が設けられていることを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は、本発明による内燃機関の
排気浄化装置を示す概略断面図である。同図において、
１はシリンダヘッド、２はエキゾーストマニホルド、３
はエキゾーストマニホルド２の排気集合部２ａの下流側
に接続されたターボチャージャのタービンである。シリ
ンダヘッド１において、１ａは各気筒毎に形成された吸
気ポートであり、１ｂは各気筒毎に形成された排気ポー
トである。エキゾーストマニホルド２の各枝管２ｂは、
フランジ２ｃによってガスケット４を介してシリンダヘ
ッド１に取り付けられ、シリンダヘッド１の対応する各
排気ポート１ｂに連通されている。

【００１０】５はエキゾーストマニホルド２の各枝管２
ｂ内に配置されたパティキュレート捕集用フィルタであ
る。このフィルタ５は、一般的なもので、例えば、多孔
性物質からなるハニカム状の隔壁を備えたハニカム状フ
ィルタで、隔壁で囲まれた通路の隣接する二つにおい
て、一方が排気上流側を、他方が排気下流側をセラミッ
ク製の閉塞材によって閉塞されているものである。それ
により、排気ガスは隔壁を通過し、その際に多孔性物質
からなる隔壁によってパティキュレートが捕集されるよ
うになっている。

【００１１】パティキュレートの捕集は、パティキュレ
ートがフィルタ５の目の回りに付着堆積することによっ
て行われ、このパティキュレートの堆積がある程度とな
ると、フィルタの目が狭められてパティキュレート捕集
率が高くなる。こうしてパティキュレートの捕集が進行
し、かなりの量のパティキュレートが捕集されると、フ
ィルタ５の排気抵抗が機関性能を低下させるほど大きく
なるために、捕集されたパティキュレートを焼失させ、
フィルタ５を再生することが必要となる。

【００１２】このフィルタ５の再生には、一般的には排
気熱が使用される。本実施形態においては、各フィルタ
５はエキゾーストマニホルド２の各枝管２ｂに配置され
ているために、排気熱を有効に利用することができる。
また、各フィルタ５に電気ヒータを配置し、この電気ヒ
ータによる加熱によって定期的に捕集されたパティキュ
レートを焼失させるようにしても良い。このような電気
ヒータに代えて、燃料及び二次空気を各フィルタ５へ供
給するなどの他のパティキュレート燃焼手段を設けるこ
とも可能である。

【００１３】６は、シリンダヘッド１内において、各排
気ポート１ｂを隣接する他の排気ポート１ｂへ連通する
連通路であり、本実施形態の場合には、四気筒内燃機関
であるために、三つの連通路６が設けられている。各連
通路６には、各連通路６を閉鎖可能な開閉弁７が配置さ
れているが、各開閉弁７は通常時は開弁されている。

【００１４】全排気ポート１ｂが連通路６によって連通
されていないと、任意の気筒の排気行程時において、他
の気筒の排気ポート１ｂ内はほぼ大気圧であるのに対し
て、エキゾーストマニホルド２の排気集合部２ａ内の圧
力が、この任意の気筒の排気圧力によって大気圧以上と
なるために、他の気筒においてはフィルタ５を排気ガス
が逆流する現象が発生する。この排気逆流現象によっ
て、パティキュレートの堆積は、高いパティキュレート
捕集率を実現するまで成長する以前にフィルタ上流側に
崩され、パティキュレート捕集率が低いまま推移するた
めに、多量のパティキュレートが大気中に放出される問
題が発生する。

【００１５】しかしながら、本実施形態のように、全排
気ポート１ｂが連通されていると、任意の気筒の排気行
程時において、この排気圧力は連通路６を介して他の気
筒の排気ポート１ｂへ伝達され、他の気筒の排気ポート
１ｂ内は、この排気圧力が抵抗体であるフィルタ５を介
して伝達されるエキゾーストマニホルド２の排気集合部
２ａに比較して少なくとも高圧となるために、前述の排
気逆流現象は発生せず、堆積するパティキュレートをフ
ィルタ上流側に崩すことがない。それにより、フィルタ
５におけるパティキュレートの堆積は、早期に成長して
高いパティキュレート捕集率を実現することができる。

【００１６】各連通路６には、前述したように開閉弁７
が配置されている。各開閉弁７は回動軸７ａに固定され
ており、各回動軸７ａは各連通路６の外側へ突出してレ
バー８が固定されている。駆動装置として、例えば、ス
テップモータ９が使用され、その回動軸９ａにも同様な
レバー１０が固定されている。各レバー８とレバー１０
とは、共通のリンク１１によって連結され、ステップモ
ータ９を作動することにより、全ての開閉弁７を同時に
開弁又は閉弁させることが可能となっている。

【００１７】ディーゼル機関等の内燃機関の燃焼に際し
て、燃料だけでなく気筒内へ侵入したエンジンオイルも
燃焼するために、その成分であるカルシウムおよびリン
等の酸化物および硫化物が生成される。通常、パティキ
ュレートはこれらを成分として有している。カルシウム
またはリンの酸化物または硫化物は非常に燃焼し難く、
前述のフィルタ再生において、アッシュとしてフィルタ
内に残留する。

【００１８】アッシュは、パティキュレート同様にフィ
ルタ５に堆積して排気抵抗を増加させるものであるため
に、定期的にフィルタ５から除去しなければならない。
本実施形態においては、アッシュを除去しようとする
時、例えば、フィルタ５の再生完了直後には、前述の開
閉弁７を閉弁することにより、各フィルタ５に前述の排
気逆流現象を発生させるようになっている。これによ
り、フィルタ５に堆積するアッシュは崩されて小さな粒
となり、この大部分はフィルタ５の目をすり抜けて、排
気下流側に排出される。

【００１９】本実施形態において、エキゾーストマニホ
ルド２の排気下流側には、ターボチャージャのタービン
３が配置されている。このようなタービン３は、排気抵
抗を増加させる抵抗体である。このような抵抗体が配置
されることで、エキゾーストマニホルド２の排気集合部
２ａより排気下流側に位置する排気通路全体における排
気集合部２ａ近傍の通路抵抗が増大し、排気集合部２ａ
から排気下流に排気ガスが流出し難くなり、各排気行程
初期における排気集合部２ａ内の最大圧力を高めること
ができ、排気行程を迎えていない気筒における排気ポー
ト１ｂとの間の圧力差が大きくなる。それにより、逆流
する排気ガスの流速が速まり、前述のアッシュの除去作
用を高めることができる。

【００２０】本実施形態において、各連通路６は、シリ
ンダヘッド１を鋳込む際に中子を使用する等して、シリ
ンダヘッド１内に形成されているために、シリンダヘッ
ド１の外側でエキゾーストマニホルドの各枝管を連通す
るために接続部を有するものに比較して、排気ガスが漏
れる心配がない。さらに、各連通路６には開閉弁７が配
置されており、この開閉弁７の回動軸７ａが連通路６を
貫通しなければならず、回動軸７ａの軸シールから排気
ガスが漏れやすい。本実施形態では、この回動軸７ａ、
回動軸７ａに固定されたレバー８、ステップモータ９、
及びリンク１１等の開閉弁７の駆動機構全てをシリンダ
ヘッド１内の空間に収納することができるために、軸シ
ール等から収納空間に排気ガスが漏れても外部へ漏らす
ことなく、容易にシリンダ内又は排気ポート１ｂ内へ戻
すことが可能である。

【００２１】前述の軸シール等は一般的に熱に弱く、排
気熱によって劣化し易いものであるが、本実施形態のよ
うに、軸シールがシリンダヘッド１内に配置されている
ことにより、機関冷却水通路によって軸シールを冷却す
ることができ、軸シールの耐久性を向上させることがで
きる。また、リンク１１の近傍に機関冷却水通路を形成
して駆動機構全体を冷却すれば、軸シールの冷却と共
に、悪影響をもたらす駆動機構の熱膨張等を防止するこ
とができる。また、吸排気動弁系の潤滑油を開閉弁７の
駆動機構へも供給するようにして駆動機構を冷却するこ
とも容易である。

【００２２】本実施形態において、各フィルタ５は外フ
ランジ５ａを有し、エキゾーストマニホルド２の枝管の
フランジ２ｃには、各フィルタ５の外フランジ５ａが嵌
合する溝が形成されている。それにより、エキゾースト
マニホルド２の枝管のフランジ２ｃをシリンダヘッド１
に取り付けると、フランジ２ｃとシリンダヘッド１との
間に各フィルタ５の外フランジ５ａが挟持されて、各枝
管２ｂ内にフィルタ５が支持されるようになっている。

【００２３】こうして、各フィルタ５をシリンダヘッド
１の近接して配置することで、機関排気系を小型化する
ことができる。各フィルタ５は、排気抵抗を低減するた
めに、比較的大きな断面積を有している。それにより、
シリンダヘッド１内に形成される各排気ポート１ｂのフ
ィルタ側は、各フィルタ５の断面積に合わせて円錐状に
拡大している。また、前述の構成は、各フィルタ５を容
易に取り外すことができ、必要に応じて各フィルタ５の
洗浄又は交換も可能である。

【００２４】本実施形態において、各連通路６は、全て
の排気ポート１ｂを連通するように設けられているが、
これは、本発明を限定するものではなく、各排気ポート
１ｂが少なくとも一つの他の排気ポート１ｂに連通する
ように連通路が設けられていれば、連通する排気ポート
における気筒の排気行程においては少なくとも排気逆流
が起きないために、従来に比較して、各フィルタのパテ
ィキュレート捕集率を早期に高めることができる。もち
ろん、連通路は、隣接する排気ポートを連通するものに
限定されない。

【００２５】

【発明の効果】このように、本発明による請求項１の内
燃機関の排気浄化装置によれば、機関排気系の排気集合
部より上流側の排気通路に各気筒毎にパティキュレート
捕集用フィルタを配置した内燃機関の排気浄化装置にお
いて、各排気通路のパティキュレート捕集用フィルタの
上流側は、少なくとも一つの他の排気通路のパティキュ
レート捕集用フィルタの上流側と、連通路によって連通
されており、連通路はシリンダヘッド内に形成されてい
るために、各排気通路のパティキュレート捕集用フィル
タにおいて、連通路によって連通された気筒の排気行程
においては少なくとも排気逆流が発生しないために、フ
ィルタにおけるパティキュレートの堆積は、高いパティ
キュレート捕集率を実現するまで早期に成長し、大気中
に放出されるパティキュレートを十分に低減することが
できる。さらに、連通路はシリンダヘッド内に形成され
ているために、連通路からの排気ガスの漏れの心配がな
い。

【００２６】また、本発明による請求項２に記載の内燃
機関の排気浄化装置によれば、請求項１に記載の内燃機
関の排気浄化装置において、必要に応じて各連通路を閉
鎖可能な開閉弁が設けられているために、前述同様な効
果に加えて、開閉弁により各連通路を閉鎖すれば、各排
気通路のパティキュレート捕集用フィルタにおいて、対
応する気筒以外の気筒における排気行程時に排気逆流が
発生し、この排気逆流によってパティキュレート焼失後
のアッシュを排気上流側に除去することができる。さら
に、各開閉弁は、シリンダヘッド内の連通路に配置され
ているために、シリンダヘッドの冷却系による冷却が可
能となり、開閉弁の駆動機構の信頼性を向上することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による内燃機関の排気浄化装置を示す概
略断面図である。

【符号の説明】

１…シリンダヘッド ２…エキゾーストマニホルド ５…パティキュレート捕集用フィルタ ６…連通路 ７…開閉弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｆ０２Ｆ 1/42 ＺＡＢ Ｆ０２Ｆ 1/42 ＺＡＢＢ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機関排気系の排気集合部より上流側の排
   気通路に各気筒毎にパティキュレート捕集用フィルタを
   配置した内燃機関の排気浄化装置において、各前記排気
   通路の前記パティキュレート捕集用フィルタの上流側
   は、少なくとも一つの他の前記排気通路の前記パティキ
   ュレート捕集用フィルタの上流側と、連通路によって連
   通されており、前記連通路はシリンダヘッド内に形成さ
   れていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
2. 【請求項２】 必要に応じて各前記連通路を閉鎖可能な
   開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項１に記
   載の内燃機関の排気浄化装置。