JPH11209864A - コロナ放電処理用セラミックロール及びその製造方法 - Google Patents

コロナ放電処理用セラミックロール及びその製造方法

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JPH11209864A
JPH11209864A JP10023949A JP2394998A JPH11209864A JP H11209864 A JPH11209864 A JP H11209864A JP 10023949 A JP10023949 A JP 10023949A JP 2394998 A JP2394998 A JP 2394998A JP H11209864 A JPH11209864 A JP H11209864A
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秀行 栗林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロール製造時又は使用時に絶縁層の亀裂や剥
離が生じにくく、絶縁性に優れ、耐久性のあるコロナ放
電処理用セラミックロールを提供する。 【解決手段】 金属製ロールの表面をブラスト後、金属
を溶射して下地層を形成させ、該下地層の上に金属酸化
物を溶射して、少なくとも下地層に結合した下部多孔層
が気孔率3〜6%、厚さ0.2〜1.0mm、表面層を
形成する上部多孔層が気孔率5〜12%、厚さ0.3〜
2.5mmであり、上部多孔層が下部多孔層よりも気孔
率が大となるように、多孔層を形成させ、次いで多孔層
内の気孔に封孔処理剤を充填し、封孔処理剤を硬化処理
して電気絶縁性の金属酸化物の封孔材を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン等
の高分子フィルムの表面を改質して、印刷受容性や接着
性を付与する目的で使用されるコロナ放電処理用のロー
ルに関するものである。更に詳しくは、金属製ロール表
面を下地処理した後、無機絶縁層を設けたコロナ放電処
理用のセラミックロール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン等の高分子フィルムの表
面を改質して、印刷受容性や接着性を付与する目的でコ
ロナ放電処理装置に使用されるコロナ放電処理用のロー
ルとしては、被膜の厚さが約0.508mm〜1.27
mmで、実質的に平らな絶縁被膜を含み、該被膜が約8
5〜95%の範囲の密度をもつ多孔性の耐火性酸化物か
らなり、かつ該酸化物被膜中の孔が高絶縁強度のシリコ
ンポリマーのような有機高分子物質で実質的に完全に充
填されているロール(特公昭61−4848号公報)、
又は絶縁溶射皮膜の気孔率がロールの基材の近傍で5%
以下、最表面層を15%以上となるように気孔量を基材
から表面にかけて暫変気孔率とする溶射皮膜を形成し、
この気孔に絶縁性のある無機物を充填して製造するロー
ル(特開平7−224371号公報)が知られている。
【0003】上記特公昭61−4848号公報に記載さ
れたロールでは、溶射皮膜の特性として気孔率が基材の
近傍で5%と高いことから基材との密着力が弱いこと
や、また高分子物質からなる封孔処理剤がコロナ放電中
に発生するオゾンや熱に対して十分な耐性がないことが
指摘されている。また特開平7−224371号公報に
記載されたロールの製造方法では、皮膜の気孔率をロー
ルの基材の近傍から表面にかけて5%以下から15%以
上まで、暫変的に大きくすることにより、基材と溶射皮
膜の密着力の向上を計り、残留応力による亀裂の発生を
防止することを目的としているが、この方法では溶射工
程がきわめて複雑であるのみならず、15%以上の高気
孔率の皮膜の溶射では、歩留まりが著しく悪くなる一
方、皮膜の物性が劣ったものとなる。
【0004】コロナ放電処理用に使用されるセラミック
ロールとしては、絶縁性に優れ、耐久性のある皮膜(以
下絶縁層という)が要求される。絶縁性をあげるために
は、ロールの表面に溶射して形成される絶縁性の優れた
多孔層の厚みを大きくすること、またセラミックとの接
着性が良く絶縁性に優れた封孔材を形成する封孔処理剤
で溶射により形成される多孔層内の気孔をできるだけ十
分に充填処理することが望まれる。しかし、一般に絶縁
性の良いセラミック材質の溶射多孔層は、金属材料製の
芯材ロールとの密着性が悪いのみならず、熱サイクルお
よび衝撃の影響を受けやすい。特に気孔率の少ない緻密
な溶射多孔層では、絶縁性に優れるものの、溶射時の歪
みを受けやすく亀裂や剥離を起こしやすいのが実状で、
一般に、0.3mm以上の絶縁層の使用は避けるべきで
あると言われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ロール製造時又は使用
時に絶縁層の亀裂や剥離が生じにくく、絶縁性に優れ、
耐久性のあるコロナ放電処理用セラミックロールを提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、金属製の
ロールの表面にニッケル・クロム合金を溶射して下地層
を形成させたところ、ロール製造時又は使用時における
金属酸化物の絶縁層の亀裂や剥離の問題が緩和されるこ
と、下部多孔層の上にさらに気孔率が高い上部多孔層を
設けることにより、溶射時の歪みが少なくなり且つ封孔
処理剤が含浸しやすいこと、多孔層に低粘度で含浸しや
すく、100℃以下の温度で硬化し、電気絶縁性の良い
金属酸化物系のセラミックを生成する絶縁性に優れた封
孔処理剤を使用して封孔処理を行うことにより、多孔層
の厚さを厚くしても実用上問題なく使用でき、絶縁層の
厚みが大で、従って絶縁性に優れ、しかも耐久性の良い
コロナ放電処理用セラミックロールが製造できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の第1は、金属製ロール
(1)、金属製ロール(1)の表面に金属を溶射して設
けられた下地層(2)、下地層(2)の上に金属酸化物
を溶射して形成された多孔層(3)及び、多孔層(3)
内の孔に封孔処理剤を充填し、硬化処理して得られた電
気絶縁性の金属酸化物の封孔材(4)からなり、多孔層
(3)が少なくとも、下地層に結合した下部多孔層
(5)及び表面層を形成する上部多孔層(6)からな
り、下部多孔層(5)が気孔率3〜6%、厚さ0.2〜
1.0mm、上部多孔層(6)が気孔率5〜12%、厚
さ0.3〜2.5mmであり、上部多孔層が下部多孔層
よりも気孔率が大であることを特徴とするコロナ放電処
理用セラミックロールに関するものである。本発明の第
2は、下地層(2)が、ロール(1)の表面を(酸化ア
ルミニウムグリットで)ブラストした後、ロール表面に
ニッケル・クロム合金を厚さ0.10〜0.15mmに
溶射して形成される本発明の第1に記載のコロナ放電処
理用セラミックロールに関するものである。本発明の第
3は、封孔処理剤が、常温で100cP以下の低粘度の
液体で、常温〜100℃の温度で硬化し、電気絶縁性金
属酸化物の封孔材を生成するものである本発明の第1又
は2に記載のコロナ放電処理用セラミックロールに関す
るものである。本発明の第4は、封孔処理剤が、(a)
Si、Al、Ti、Zr又はこれらの混合物から主とし
てなる金属の酸化物、(b)炭素数1〜6の有機基を含
むこれらの金属の化合物、及び(c)有機溶剤からなる
本発明の第1〜3のいずれかに記載のコロナ放電処理用
セラミックロールに関するものである。本発明の第5
は、金属製ロールの表面をブラスト後、金属を溶射して
下地層を形成させ、該下地層の上に金属酸化物を溶射し
て、少なくとも下地層に結合した下部多孔層が気孔率3
〜6%、厚さ0.2〜1.0mm、表面層を形成する上
部多孔層が気孔率5〜12%、厚さ0.3〜2.5mm
であり、上部多孔層が下部多孔層よりも気孔率が大とな
るように、多孔層を形成させ、次いで多孔層内の気孔に
封孔処理剤を充填し、封孔処理剤を硬化処理して電気絶
縁性の金属酸化物の封孔材を形成させることを特徴とす
るコロナ放電処理用セラミックロールの製造方法に関す
るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるコロナ放電処
理用セラミックロールは、図1及び図2に示した構造の
ものであり、芯材としての金属製ロール(1)、金属製
ロール(1)の表面に設けられた下地層(2)、下地層
(2)の上に金属酸化物を溶射して形成された多孔層
(3)及び、多孔層(3)内の孔に封孔処理剤を充填
し、硬化処理して得られた電気絶縁性の封孔材(4)か
らなる。金属酸化物の多孔層(3)と電気絶縁性の金属
酸化物の封孔材(4)はコロナ放電を行うための絶縁層
(7)を形成する。
【0009】金属製ロール(1)の材料としては、炭素
鋼、合金鋼、ステンレス鋼などが使用できる。金属製ロ
ールの直径、長さ等には特に制限はない。
【0010】金属製ロール(1)の表面に施される下地
処理とは、金属製ロール(1)の表面を有機溶剤等を用
いて脱脂洗浄したのち、酸化アルミニウムあるいは炭化
ケイ素などのグリットでブラストし、ブラストされた金
属ロール表面にさらにニッケル、クロム、ニッケル・ク
ロム合金等の金属を厚さ0.05〜0.2mm、好まし
くは、0.10〜0.15mm程度に溶射して下地層
(2)を形成(下地溶射ともいう)することである。下
地溶射に使用されるニッケル・クロム合金としてはクロ
ムを15〜25%含有するニッケル・クロム合金を使用
することができるが、好ましくは、クロムが20%のニ
ッケル・クロム合金が使用される。下地溶射方法として
は、通常行われるプラズマ溶射装置により行うことがで
きる。このような下地処理により、金属製ロール(1)
と後述する金属酸化物の多孔層(3)の密着性が著しく
改善され、また、セラミックロールの耐久性が向上す
る。
【0011】金属製ロール(1)上に多孔層(3)(セ
ラミック溶射皮膜ともいう)を形成させるために使用さ
れる金属酸化物としては、アルミナのほか、アルミナを
主成分とするチタニア、クロミア、ジルコニア、シリ
カ、これらの混合物などの金属酸化物が挙げられる。好
ましくは、通常、セラミック系溶射材料として知られる
電気絶縁性の高いアルミナ含量が99.6%のホワイト
アルミナあるいはアルミナ96%、チタニア2.3%等
を含むグレーアルミナ等が使用される。
【0012】金属酸化物の溶射方法としては、通常知ら
れるプラズマ溶射装置が使用できる。多孔層(3)の気
孔率は、溶射用の原料として使用される金属酸化物の粒
径や溶射距離、プラズマ装置の出力等を変えることによ
り、コントロールすることができ、粒径を小さくした
り、溶射距離を短くしたり、プラズマ装置の出力を上げ
ること等により、気孔率の少ない、より緻密な多孔層
(3)を形成させることができるが、応力の歪みを受け
やすい。一方、気孔率の大きい多孔層(3)は、粒径を
大きくしたり、溶射距離を長くすることにより達成され
るが、気孔率があまりに大きくなると形成された多孔層
(3)の物性が劣る。また、溶射距離をあまり長くする
と、溶射材料の多孔層(3)を形成する歩留まりが悪く
なる。そのため気孔率の目安としては、3〜12%の範
囲とすることが望まれる。
【0013】本発明で、多孔層(3)は、下地層に結合
した下部多孔層(5)及び表面層を形成する上部多孔層
(6)から少なくともなる。下部多孔層(5)と上部多
孔層(6)の間には、必要により中間層(図示せず)を
設けることもできる。下部多孔層(5)は気孔率3〜6
%、厚さ0.2〜1.0mm、好ましくは0.3〜0.
8mmであり、上部多孔層(6)は気孔率5〜12%、
厚さ0.3〜2.5mmである。気孔率は、中間層を設
ける場合を含めて、下部多孔層≦中間層≦上部多孔層と
することが望まれる。下部多孔層(5)の厚さが、0.
2mm未満では絶縁性が劣り、また、1.0mmを越え
ると溶射時の歪みの影響を受けやすいためである。また
上部多孔層(6)の厚さが、0.3mm未満では、絶縁
性に劣り、2.5mmを越えると実質的にさらに望まし
い効果が期待できないためである。このような多孔層
(3)を形成することにより、多孔層(3)の表面から
供給される封孔処理剤の層内気孔への充填が容易とな
り、また、硬化処理が容易に迅速に行われ、電気絶縁
性、機械的物性、耐久性等に優れた均一な絶縁層が形成
され、コロナ放電処理用セラミックロールの製造が可能
となる。
【0014】本発明で使用される封孔処理剤としては、
溶射皮膜の気孔に含浸しやすい常温で100cP以下の
低粘度の液体で、常温または100℃以下の温度で硬化
し、硬化後封孔材として電気絶縁性の良い金属酸化物を
生成するものが適当である。封孔処理剤は、(a)S
i、Al、Ti、Zr又はこれらの混合物から主として
なる金属の酸化物、(b)炭素数1〜6の有機基を含む
これらの金属の化合物、及び(c)有機溶剤からなる。
具体的には、(a)の金属酸化物としてはSiO2、A
23、TiO2、ZrO2及びこれらの混合物が挙げら
れ、これらの金属酸化物は、全金属酸化物中に50%以
上含まれる。全金属酸化物中には上記金属酸化物以外に
酸化鉄等を含むことができる。(b)の有機基を含む金
属の化合物は、上記金属Si、Al、Ti又はZrに有
機基が1〜3個置換したものであり、金属は1分子中に
1又は2以上含まれていてもよく、金属には酸素が結合
していてもよく、2以上の金属は酸素で結合されていて
もよい。有機基としては、メチル、エチル、プロピル、
ブチル等のアルキル基、フェニル基等の炭素数1〜6の
炭化水素基、これらの炭化水素基と酸素が結合した炭化
水素オキシ基、及び/又はアセチルアセトネートのよう
な金属と配位可能な炭素数1〜6の有機化合物(配位す
る化合物は有機基ではなく有機化合物であるが、本発明
では総称上、配位状態の有機化合物も有機基という)が
挙げられる。上記(a)及び(b)を含むものとして
は、一般式で記載すると、例えば、RSiO3/2・Zr
2、RSiO3/2・ZrO2・TiO2、RSiO3/2
ZrO2・Fe23・Al23、RSiO3/2・ZrO2
・TiO2等が挙げられる。ここで、Rは有機基であ
る。これらの有機基を含む金属化合物の溶剤としては、
アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の公知の有
機溶剤(c)が使用可能であり、封孔処理剤が常温で1
00cP以下の低粘度の液体になるような溶剤が使用さ
れる。封孔処理剤としては、固体の懸濁した液体又は均
一な溶液が使用可能である。しかし、ナトリウムやカリ
ウムのようなアルカリ金属が含まれると絶縁性が劣った
ものになることから、アルカリ金属を含まない封孔処理
材が好ましい。したがって、アルカリ珪酸塩系封孔処理
剤よりも有機基を含む金属化合物系封孔処理剤を使用す
ることにより、絶縁性の高い皮膜が得られる。このよう
な封孔処理剤としては、例えば、市販品のセラミカSZ
((株)日板研究所製)等が好ましく使用できる。
【0015】封孔処理剤による封孔処理方法としては特
に限定されるものではなく、通常、行われている方法が
そのまま使用できる。例えば、溶射皮膜に封孔処理剤を
刷毛塗りあるいはディッピング等により、封孔処理剤を
含浸させた後、封孔処理剤の特性、ロールの太さ、多孔
層の厚さ等に応じて、空気中で、常温または100℃以
下の温度で硬化させる。常温では1〜3日程度で、高温
(例えば70℃)では2〜24時間程度で、封孔処理剤
を加熱硬化させることができる。珪酸ナトリウムを用い
た封孔処理剤では、150℃程度に加熱して硬化させる
ので、温度変化による影響を受けやすくロールの製造時
あるいは使用時に亀裂や剥離を起こし易い。封孔処理さ
れたロールは、必要に応じて、表面を研磨して仕上げら
れる。
【0016】硬化後得られた封孔材はシリカ、ジルコニ
ア、チタニア、アルミナ等又はこれらの混合物であり体
積固有抵抗が1012Ω・cm以上、好ましくは1014Ω
・cm以上、更に好ましくは1015Ω・cm以上のもの
が得られるのが特徴である。
【0017】この結果、多孔層及び孔内に形成された封
孔材により、絶縁層の体積固有抵抗が1012Ω・cm以
上、好ましくは1014Ω・cm以上のものが得られる。
このため絶縁層の厚さを約0.5mm程度に薄くして
も、比較的良い絶縁性が保たれるが、実用的には信頼度
を高くするために、1.0mm以上の厚さにすることが
望まれる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発
明で気孔率の測定は、「溶射ハンドブック」(日本溶射
協会編集、(株)新技術開発センター発行、1986年
版、559〜560頁)に記載の、溶射皮膜の構成性質
試験の比重及び気孔率に関する水中に浸漬する方法(飽
水方法)に基づいて行ない、見かけ気孔率の式を用いて
算出した。
【0019】(実施例1)表面が炭素鋼製で、直径10
0mm、長さ300mmのロールをトルエンを用いて脱
脂洗浄したのち、酸化アルミニウムのグリットでブラス
トを行った。次にトルエンで表面を洗浄した後、プラズ
マ溶射装置(メテコ社製)を用いてニッケル・クロム合
金粉末(スルザーメテコ社製クロム含量20%、粒度3
6)を厚さ0.10mmに溶射して、下地層を形成し
た。次に同じプラズマ溶射装置を用いて、下地層の上
に、グレーアルミナ粉末(昭和電工社製、K−11、平
均粒径33μm)を75mmの距離から溶射し、気孔率
が5%、厚さが0.5mmの下部多孔層を形成し、さら
にグレーアルミナを100mmの距離から溶射し、気孔
率が7%、厚さが0.5mmの上部多孔層を形成した。
多孔層の表面に、常温における粘度が10cPの封孔処
理剤((株)日板研究所製、セラミカSZ−90)を刷
毛塗りして封孔処理剤を多孔層に含浸させ、オーブン中
で70℃、12時間放置し、硬化させて絶縁層を形成さ
せた後、絶縁層の表面を研磨して、コロナ放電処理用セ
ラミックロールを作成した。絶縁性の良、不良は、ソフ
タル社製のコロナ放電処理機を用いてロールと電極との
間隙を1.5mmに設定して静止しているロールの表面
に+3.1kVで電極からコロナ放電を行い、絶縁破壊
を起こすまでの時間を測定する促進試験方法により評価
して耐久性の目安とした。その結果、絶縁性は60分後
も良好であり、耐衝撃性も実用上問題がなかった。な
お、上記促進試験で60分後も良好であることは、実用
上1年間以上の耐久性があることに相当する。
【0020】[比較例1]実施例1で、下部多孔層の溶射
についても、上部多孔層と同じに溶射距離100mmか
ら行い、気孔率が7%の溶射皮膜とした以外は、実施例
1と同じに行い、セラミックロールを作成した。このロ
ールの絶縁性は、30分で絶縁破壊を起こした。
【0021】[比較例2]実施例1で、封孔処理剤に室温
での粘度が100cPであるシリコンレジン系封孔処理
剤を用いて処理した以外は、実施例1と同じに行い、セ
ラミックロールを作成した。このロールの絶縁性は、2
0分で絶縁破壊を起こした。
【0022】[比較例3]実施例1で、下地溶射を行わず
にセラミックロールを作成した。このロールは、耐衝撃
性が悪く、絶縁層が簡単に剥がれた。
【0023】
【発明の効果】従来より提案されているコロナ放電処理
用ロールと比べて、ロール製造時及び使用時に絶縁性及
び耐衝撃性、剥離性等の機械的強度において耐久性に優
れた溶射セラミック層をもつコロナ放電処理用セラミッ
クロールが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコロナ放電処理用セラミックロールの
一例の横断面図の一部分を示す。
【図2】本発明における絶縁層の一例の拡大概念図の一
部を示す。
【符号の説明】
1 金属製ロール 2 下地層 3 多孔層 4 封孔材 5 下部多孔層 6 上部多孔層 7 絶縁層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製ロール(1)、金属製ロール
    (1)の表面に金属を溶射して設けられた下地層
    (2)、下地層(2)の上に金属酸化物を溶射して形成
    された多孔層(3)及び、多孔層(3)内の孔に封孔処
    理剤を充填し、硬化処理して得られた電気絶縁性の金属
    酸化物の封孔材(4)からなり、多孔層(3)が少なく
    とも、下地層に結合した下部多孔層(5)及び表面層を
    形成する上部多孔層(6)からなり、下部多孔層(5)
    が気孔率3〜6%、厚さ0.2〜1.0mm、上部多孔
    層(6)が気孔率5〜12%、厚さ0.3〜2.5mm
    であり、上部多孔層が下部多孔層よりも気孔率が大であ
    ることを特徴とするコロナ放電処理用セラミックロー
    ル。
  2. 【請求項2】 下地層(2)が、金属製ロール(1)の
    表面を(酸化アルミニウムグリットで)ブラストした
    後、ロール表面にニッケル・クロム合金を厚さ0.10
    〜0.15mmに溶射して形成される請求項1記載のコ
    ロナ放電処理用セラミックロール。
  3. 【請求項3】 封孔処理剤が、常温で100cP以下の
    低粘度の液体で、常温〜100℃の温度で硬化し、電気
    絶縁性金属酸化物の封孔材を生成するものである請求項
    1又は2に記載のコロナ放電処理用セラミックロール。
  4. 【請求項4】 封孔処理剤が、(a)Si、Al、T
    i、Zr又はこれらの混合物から主としてなる金属の酸
    化物、(b)炭素数1〜6の有機基を含むこれらの金属
    の化合物、及び(c)有機溶剤からなる請求項1〜3の
    いずれかに記載のコロナ放電処理用セラミックロール。
  5. 【請求項5】 金属製ロールの表面をブラスト後、金属
    を溶射して下地層を形成させ、該下地層の上に金属酸化
    物を溶射して、少なくとも下地層に結合した下部多孔層
    が気孔率3〜6%、厚さ0.2〜1.0mm、表面層を
    形成する上部多孔層が気孔率5〜12%、厚さ0.3〜
    2.5mmであり、上部多孔層が下部多孔層よりも気孔
    率が大となるように、多孔層を形成させ、次いで多孔層
    内の気孔に封孔処理剤を充填し、封孔処理剤を硬化処理
    して電気絶縁性の金属酸化物の封孔材を形成させること
    を特徴とするコロナ放電処理用セラミックロールの製造
    方法。
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