JPH11209491A - 抗菌性スチレン系樹脂シート - Google Patents

抗菌性スチレン系樹脂シート

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JPH11209491A
JPH11209491A JP10009518A JP951898A JPH11209491A JP H11209491 A JPH11209491 A JP H11209491A JP 10009518 A JP10009518 A JP 10009518A JP 951898 A JP951898 A JP 951898A JP H11209491 A JPH11209491 A JP H11209491A
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JP
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chitosan
coated
silicone oil
sheet
antibacterial
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JP10009518A
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Inventor
Yasunari Tanaka
康成 田中
Kiyoshi Shimamura
喜代司 島村
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性、安全性に優れ、かつ、従来の性能で
ある防曇性、離型性、透明性等を維持した、スチレン系
樹脂シートを提供する。 【解決手段】 防曇剤(好ましくは、ショ糖脂肪酸エス
テル)とシリコーンオイルが被覆されたスチレン系樹脂
シートの少なくとも片面に、キトサンが5〜50mg/
2 被覆されている抗菌性スチレン系樹脂シート。 【効果】 キトサンと、ショ糖脂肪酸エステル又はシリ
コーンオイル(シリコーンエマルジョン)とを混合して
用いることで、キトサンの抗菌性を効率良く、最大限に
発揮させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に熱板接触加熱
真空圧空成型法(以下、熱成型という)によって成型さ
れ、食品包装用容器を始め、その他各種包装容器として
使用される、防曇性や離型性等を有し、かつ、シートの
片面、又は両面に抗菌性を付与したスチレン系樹脂シー
トに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スチレン系樹脂シートに防曇剤と
シリコーンオイルを被覆し、防曇性や離型性等を付与さ
せることは公知であり、その成型品は、主に食品類の包
装容器として好適に用いられている。その機能の一つと
して、食品類の汚染防止、外部からの臭いの浸透防止等
の効果が挙げられ、食品類の長期保存にある程度の効果
を示しているが、シート、又はその成型品の表面に、食
中毒等の症状を引き起こす人体に有害な微生物が付着し
た場合、その増殖を防止する効果は持っていない。
【0003】一方、キトサンは、海老や蟹などの甲殻類
の殻に含まれるキチンをアルカリ中で加水分解して得ら
れるアミノ基を有するセルロース誘導体の一種であり、
食品添加物に分類され、安全性に優れている。このキト
サンが抗菌性を有することは公知であり、水には不溶で
あるが、酸性水溶液には溶解するため、酸性水溶液にキ
トサンを溶解したものをフィルム、又はシート表面に被
覆し、抗菌性を付与する方法が検討されてきた。
【0004】しかし、キトサンは人畜に対する安全性に
優れるが、抗菌性は弱く、少量のキトサンをフィルムや
シートに被覆させても、十分な抗菌性が得られないとい
った問題がある。このため、特公平1−56754号公
報には、キトサンをキトサナーゼのような酵素により分
解した軽度分解物をフィルムに付着させる方法が開示さ
れている。又、特開平8−225669号公報には、フ
ィルム表面に遊離酸基を有するグラフト重合体膜を介し
て、キトサン膜を形成させる方法が開示されている。
【0005】一方、キトサンの抗菌性を高めることを目
的として、特開平7−173312号公報、特開平8−
268821号公報、特開平9−40502号公報等に
は、キトサンに銀、銅、亜鉛等の抗菌作用を有する金属
イオンを加えた抗菌剤組成物が開示されている。上記、
特公平1−56754号公報や特開平8−225669
号公報の方法において、十分な抗菌性を得るためには、
少なくともフィルム片面に1平方メートル当たり100
mg以上(100mg/m2 以上)のキトサンを被覆さ
せる必要がある。
【0006】しかし、スチレン系樹脂シートにこれほど
多量のキトサンを被覆させた場合、被覆むら等の発生に
よってシート表面の外観が悪くなるため、特徴の一つで
ある透明性が低下する。更に、キトサンは高価であるた
め、経済性が劣る。又、特開平7−173312号公
報、特開平8−268821号公報、特開平9−405
02号公報等に開示のキトサンに金属イオンを加えた抗
菌組成物では、添加した金属イオンの影響で、光照射時
にシート表面の変色が避けられず、透明性が低下すると
いう問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、少量のキト
サンで、キトサン本来の抗菌性を最大限に発揮させ、過
剰被覆による透明性の低下を発生せず、更に、光照射時
に変色を起こさない抗菌性スチレン系樹脂シートを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、キトサン
に、防曇剤、好ましくはショ糖脂肪酸エステル、又はそ
の他の界面活性剤を混合した場合、従来よりも少量のキ
トサンで十分な抗菌性を発揮することを見いだし、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の通りであ
る。 1〕防曇剤とシリコーンオイルが被覆されたスチレン系
樹脂シートの、少なくとも片面にキトサンが5〜50m
g/m2 被覆されていることを特徴とする抗菌性スチレ
ン系樹脂シート。 2〕防曇剤とシリコーンオイルが被覆されたスチレン系
樹脂シートの、両面にキトサンが、その表裏合計で、1
0〜100mg/m2 被覆されていることを特徴とする
上記1に記載の抗菌性スチレン系樹脂シート。 3〕防曇剤が、ショ糖脂肪酸エステルであることを特徴
とする上記1または2に記載の抗菌性スチレン系樹脂シ
ート。 4〕スチレン系樹脂シートの片面にキトサンとショ糖脂
肪酸エステルとの混合物が被覆され、さらにその上にシ
リコーンオイルが被覆され、該シートの反対面にシリコ
ーンオイルが被覆されており、かつ、下記(1)〜
(3)を満たすことを特徴とする抗菌性スチレン系樹脂
シート。
【0009】(1)キトサンの被覆量が5〜50mg/
2 (2)ショ糖脂肪酸エステルの被覆量が5〜50mg/
2 (3)シリコーンオイルの表裏合計被覆量が5〜30m
g/m2 5〕スチレン系樹脂シートの片面にショ糖脂肪酸エステ
ルが被覆され、さらにその上にシリコーンオイルが被覆
され、該シートの反対面にシリコーンオイルとキトサン
との混合物が被覆されており、かつ、下記(1)〜
(3)を満たすことを特徴とする抗菌性スチレン系樹脂
シート。 (1)キトサンの被覆量が5〜50mg/m2 (2)ショ糖脂肪酸エステルの被覆量が5〜50mg/
2 (3)シリコーンオイルの表裏合計被覆量が5〜30m
g/m2 6〕スチレン系樹脂シートの片面にキトサンとショ糖脂
肪酸エステルとの混合物が被覆され、更にその上にシリ
コーンオイルが被覆され、該シートの反対面にキトサン
とシリコーンオイルとの混合物が被覆されており、か
つ、下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする抗菌
性スチレン系樹脂シート。 (1)キトサンの片面の被覆量が5〜50mg/m2
あり、かつ、表裏合計被覆量が10〜100mg/m2 (2)ショ糖脂肪酸エステルの被覆量が5〜50mg/
2 (3)シリコーンオイルの表裏合計被覆量が5〜30m
g/m2 以下、本発明につき詳細に説明する。
【0010】本発明で抗菌剤として使用するキトサンの
被覆量は、片面に5〜50mg/m 2 であり、両面の場
合は、その表裏合計が10〜100mg/m2 である。
片面の被覆量が5mg/m2 より少ない場合は、防曇剤
(好ましくは、ショ糖脂肪酸エステル)、又はシリコー
ンオイル(シリコーンエマルジョン)と混合しても十分
な抗菌性が得られず、50mg/m2 よりも多い場合は
シート及び成型品の外観(透明性)が低下する傾向があ
る。更に、シート及び成型品の透明性をより高度に維持
するため、キトサンの被覆量は片面につき、5〜30m
g/m2 がより好ましい。
【0011】本発明で使用するキトサンは、前述のよう
にキチンをアルカリ中で加水分解し、キチン中に含まれ
るN−アセチル基からアセチル基を脱離させることによ
り得られるが、この場合の脱アセチル化率は70%以
上、好ましくは80〜99%である。キトサンを水に溶
解させるために用いる酸としては、硝酸、塩酸等の無機
酸、及び酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸のいずれでも
良いが、使用時の変色、臭いを考慮すると、乳酸、クエ
ン酸が好ましい。又、コーティング時の酸濃度は、キト
サンが溶解する濃度であればよく、好ましくは0.01
〜20重量%であるが、溶液粘度を考慮すると0.01
〜5重量%がより好ましい。
【0012】本発明に用いる防曇剤としては、ショ糖脂
肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビ
タン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ポリエチレングリコール等の界面活性剤が使用でき
る。なかでもショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
【0013】本発明に用いる防曇剤、好ましくはショ糖
脂肪酸エステル、の被覆量は5〜50mg/m2 であ
り、より好ましくは5〜30mg/m2 である。5mg
/m2より少ない場合は十分な防曇性が得られず、50
mg/m2 よりも多い場合は防曇性の向上が認められ
ず、熱成型時に、熱板又は金型を汚染する傾向がある。
ショ糖脂肪酸エステルは、シートの防曇性を高め、それ
を保持するために、脂肪酸成分として、ラウリル酸を5
0モル%以上含み、HLBが11〜17のものがより好
ましい。HLBが11以上のものを使うことで、シート
上でのショ糖脂肪酸エステルの分散性、濡れ性を良く
し、均一な防曇膜を形成することが可能となり、HLB
を17以下にすることで、防曇性を維持できる。
【0014】本発明で離型剤として使用するシリコーン
オイルの表裏合計被覆量は5〜30mg/m2 が好まし
い。5mg/m2 より少ない場合は熱成型時の離型性及
び成型品の剥離性が低下し、シートをロール状に巻き取
った時にブロッキングを発生する傾向がある。30mg
/m2 より多い場合は該シート及び成型品にべたつき感
が発生すると共に、熱成型時に金型及び/又は熱板を汚
染する傾向がある。更に上記シリコーンオイル被覆量の
内、防曇処理剤の上のシリコーンオイル被覆量は2〜1
4mg/m2 (反対面には3〜16mg/m2 )の範囲
がより好ましい。2mg/m2 以上にすることで、熱成
型時の金型との離型性、又は熱板との滑り性を改良する
ことができ、14mg/m2 以下にすることで、成型品
の防曇性を阻害することが防げる。なお、防曇処理剤と
は、防曇剤又は防曇剤とキトサンの混合物をいう。
【0015】シリコーンオイルは、ジメチルポリシロキ
サン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリ
シロキサン等の有機ポリシロキサンであり、特に製品安
全上及び経済性より、ジメチルポリシロキサンがより好
ましい。又、これらのシリコーンオイルは、取り扱いや
すさ、コーティングのしやすさの観点から、シリコーン
エマルジョンが好ましく、特に、キトサンと混合して用
いる場合は、キトサンの抗菌性を最大限に発揮させる観
点から、シリコーンエマルジョンを用いるのが好まし
い。
【0016】尚、シリコーンエマルジョンの界面活性剤
としては、キトサンの安全性を損なわないために、アニ
オン系、非イオン系のものが好ましい。アニオン系の例
としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルサルフェート等が挙げられ、非イオ
ン系のものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。シリコーン
オイルの粘度は、熱成型時の滑り性や離型性、エマルジ
ョンの安定性の観点から100〜20000cs(セン
チストークス)がより好ましい。
【0017】次に、本発明のスチレン系樹脂シートの製
造方法につき、その例を以下に示す。 シートを製膜後、シートの片面をコロナ放電処理し、
キトサンと防曇剤との混合物を被覆させて乾燥し、続い
てその反対面をコロナ放電処理し、シリコーンオイル、
又はキトサンとシリコーンオイルとの混合物を被覆させ
て乾燥した後、シートをロール状に巻き取り、エージン
グさせて、シリコーンオイルを反対面へ転写させる方
法。 シートを製膜後、シートの片面をコロナ放電処理し、
防曇剤を被覆させて乾燥し、続いてその反対面をコロナ
放電処理し、キトサンとシリコーンオイルとの混合物を
被覆させた後、シートをロール状に巻き取り、エージン
グさせて、シリコーンオイルを反対面へ転写させる方
法。
【0018】シートを製膜後、シートの片面をコロナ
放電処理し、キトサンと防曇剤との混合物を被覆させて
乾燥し、さらにその上にシリコーンオイルを被覆させて
乾燥し、続いて反対面をコロナ放電処理し、シリコーン
オイル、又はキトサンとシリコーンオイルとの混合物を
被覆させて乾燥した後、シートをロール状に巻き取り、
エージングさせる方法。 これらの製造方法においては、特に、抗菌剤として用い
るキトサンを単独で被覆させるのではなく、防曇剤又は
シリコーンオイル(シリコーンエマルジョン)と混合し
て被覆させることが重要である。キトサンを単独で用い
た場合は、多量に被覆させないと抗菌性を発揮しない場
合がある。
【0019】又、シリコーンオイルを片面にのみ被覆さ
せた場合は、シリコーンオイルを反対面へ転写させるた
め、シートをロール状に巻き取った後にエージングさせ
る必要がある。この時のシリコーンオイルの転写量は、
エージングの温度及び期間、シリコーンオイルの被覆
量、シートの巻き張力等に依存するが、20℃で5日間
エージングした場合は平均的に被覆量の約40%〜50
%未満が反対面へ転写する傾向がある。尚、シリコーン
オイルを片面だけに被覆させた場合でも、シートをロー
ル状に巻き取った後のエージングによってシリコーンオ
イルが反対面へ転写していることは、FT−IR分析法
(ATR)、蛍光X線分析法等で定性・定量分析が可能
である。
【0020】上記の製造方法において、スチレン系樹脂
シート表面のコロナ放電処理は、該シート表面と純水と
の接触角が25〜60°となるように調整するのがより
好ましい。接触角が25°未満では、シートをロール状
に巻き取った時にブロッキングを発生しやすくなる傾向
があり、更に、低温低湿度の環境下では、該シートの製
造時あるいは熱成型時に静電気を発生しやすくなる傾向
がある。一方、接触角が60°を越えると、コーティン
グ液が均一に被覆されにくくなるため塗りむらが生じて
抗菌性、防曇性、離型性等が不均一になる傾向がある。
上記の内、防曇処理面の接触角は25〜50°がより好
ましく、離型処理面の接触角は40〜60°がより好ま
しい。
【0021】本発明において、表面処理に用いるコーテ
ィング剤の被覆方法は、公知の方法、例えばスプレーコ
ーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、ロ
ールコーター、ナイフコーター等を用いる一般的な方法
で行うことができる。被覆後の乾燥については特に制限
はないが、熱風乾燥機を用いるのが一般的である。本発
明のスチレン系樹脂シートは、無延伸であっても、一軸
あるいは二軸延伸されたものでも良く、更に公知のスチ
レン系樹脂による多層シートでも良く、目的とする物性
性能により適宜選択すれば良い。延伸は、公知のテンタ
ー法、バブル法等で行えば良く、特に制限はない。又、
無延伸シートの製造方法も公知の方法で行えば良く、特
に制限はない。
【0022】本発明のスチレン系樹脂シートにおいて使
用されるスチレン系樹脂とは、一般用ポリスチレン(G
PPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレ
ン−共役ジエン(ブタジエン、イソプレン等)共重合
体、スチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合
体等の樹脂及びそれらの混合物である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を説明
する。なお、評価方法は以下の通りであり、キトサン塗
布面における24時間後の大腸菌と黄色ブドウ球菌の生
残菌数が共に100未満であるものを抗菌性ありと評価
し、これと同時に、表4に示した評価結果が全て○以上
であるものを合格とした。
【0024】〔抗菌性の評価方法〕 (1)供試菌 ・大腸菌(IFO 3972) ・黄色ブドウ球菌(IFO 12732) (2)試験用培地 ・NA培地:普通寒天培地「栄研化学(株)」 ・1/500NB培地:肉エキスを0.2%添加した普
通ブイヨン培地「栄研化学(株)」を滅菌精製水で50
0倍に希釈し、pHを7.0±0.2に調整した。 ・SCDLP培地:SCDLP培地「日本製薬(株)」 ・SA培地:標準寒天培地「栄研化学(株)」 (3)菌液の調整 NA培地で37±1℃、16〜24時間培養した試験菌
をNA培地に再度接種して37±1℃、16〜24時間
培養した菌体を1/500NB培地に均一に分散させ、
1ミリリットルあたりの菌数が約105 個となるように
調整した。
【0025】(4)試料の調整 各実施例及び比較例で示したシートを熱成型した成型品
(蓋)の天井部を5cm×5cm(25cm2 )の大き
さに切断し、これを試料とした。 (5)試験操作 試験面25cm2 に対して0.5ミリリットルの割合で
菌液を滴下し、その上に滅菌ポリエチレンフィルムをか
ぶせて密着させた。これらを35±1℃、相対湿度90
%の環境下で保存した。 (6)生菌数の測定 保存24時間後に、SCDLP培地10ミリリットルで
試料から生残菌を洗い出し、この洗い出し液の生残菌数
をSA培地を用いた寒天平板培養法(35℃で2日間培
養)により生残菌数を測定し、試験面1枚あたりの生残
菌数に換算した。
【0026】(7)抗菌性の評価 ◎:両面にキトサンが被覆され、両面に抗菌性あり。 ○:片面にキトサンが被覆され、その面に抗菌性あり。 △:片面、又は両面にキトサンが被覆されているが、抗
菌性は弱い。 ×:両面にキトサンが被覆されていないので、抗菌性が
ない。 〔成型品の評価〕 (1)熱成型条件 各実施例及び比較例で示したスチレン系樹脂シートを用
いて、熱板温度を130℃、金型温度を60℃、シート
の加熱時間を1.5秒、成型サイクルを6秒に設定し、
連続熱成型を行った。この時の金型には、20cm×1
5cm×1.5cmの天井部が平らな蓋を熱成型するも
のを用いた。
【0027】(2)防曇性評価 熱成型で得られた成型品を80℃に設定された恒温水槽
上に置き(防曇処理面を水面側にする)、1分後(初期
防曇)と2時間後(持続防曇)の水滴の付着状態(曇
り)を以下の基準によって評価した。 ◎:曇りが無く、内部がよく見える。 ○:全体的にもやもやしているが、曇りはなく、内部が
よく見える。 △:コーナーの一部が曇り、中央部は曇っていないが、
内部はやや見にくい。 ×:全体的に曇りが発生し、内部は非常に見にくい。 (3)成型品の離型性 熱成型時において、成型品が金型から離れる時の、音の
発生や傷の発生(金型との離型不良)について、以下の
基準によって評価した。 ○:音の発生が小さい、かつ成型品に傷がない。 ×:大きな音が発生、又は成型品に傷が発生。
【0028】(4)成型品の剥離性 熱成型で得られた成型品を1個づづ打ち抜いた後、任意
に選出した20個を重ねて、手で軽く押さえつけて相互
に密着させた後、成型品を手で1個づつ取り出す時の剥
離性を、以下の基準によって評価した。 ○:1個づづ剥離できる。 ×:2個以上重なって剥離される場合がある。 〔シートの耐ブロッキング性〕各実施例及び比較例で示
したスチレン系樹脂シートを20cm×20cmに切り
取り、防曇処理面と離型処理面が接触するように5枚重
ね、60℃で200kg/cm2 の加圧下、3分間処理
した後、手でシートを1枚づつ引き剥がした時の状態
を、以下の基準によって評価した。 ○:ほとんど抵抗なく引き剥がせ、シートに白化の発生
なし。 ×:引き剥がしが困難で、シートが破れる。
【0029】〔シリコーンオイルの定量分析例〕FT−
IR(パーキンエルマー社製、FT−IR 1600)
を用いて、ATR法(ATR結晶ZnSe、積算回数1
6回)によってシート表面(両面)の赤外吸収スペクト
ルを測定し、1263cm-1近傍のシリコーンオイル
(ポリジメチルシロキサン)の吸収と1372cm-1
傍のポリスチレンの吸収との比率より、被覆量を定量し
た(濃度既知のサンプルを利用して検量線を作成し、定
量)。尚、測定は各シートの任意の位置で行い、シート
片面につきn=10として、その平均値を求めた。
【0030】次に、実施例及び比較例で使用した表面処
理剤について説明する。 ・キトサンは、太洋化学(株)クリスタリンLA−S
(キトサン:5%、乳酸10%、水:85%)を用い
た。 ・ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸成分として、ラウリ
ル酸が68モル%で、モノエステルが30モル%、HL
Bが15.2であるものを用いた。 ・シリコーンオイルは、25℃における粘度が1000
csのジメチルポリシロキサンで、有効固形分30重量
%のエマルジョンであり、乳化剤(界面活性剤)にポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテルとポリオキシ
エチレンアルキルフェニルサルフェートが使用されてい
るものを用いた。
【0031】
【製造例1】ポリスチレンを押出し機に供給し、T−ダ
イより押出し、押出したシートをキャスティング後、1
30℃に加熱したローラーの速比により3倍に縦延伸し
た後、オーブン温度135℃のテンターで3倍に横延伸
し、厚みが0.18mmの二軸延伸シートを得た。
【0032】
【実施例1】製造例1で製膜したシート表面の片面と純
水との接触角が平均42°となるようにコロナ放電処理
し、この面にキトサンとショ糖脂肪酸エステルとの混合
物が各々10mg/m2 となるようにスプレーコーター
で被覆し、熱風乾燥機中で乾燥後、続いてこの反対面を
接触角が平均50°となるようにコロナ放電処理し、こ
の面にシリコーンオイルが25mg/m2 となるように
スプレーコーターで被覆し、熱風乾燥機中で乾燥した。
このようにして得られたシートをロール状に巻き取り、
20℃で5日間エージングした後、各評価を行った。こ
の時の表面処理方法とエージング後の表面処理剤の被覆
量を表1に、成型品での抗菌性評価結果を表3に、その
他の評価結果を表4に示す。
【0033】
【実施例2】製造例1で製膜したシート表面の片面と純
水との接触角が平均42°となるようにコロナ放電処理
し、この面にキトサンとショ糖脂肪酸エステルとの混合
物が各々10mg/m2 となるようにスプレーコーター
で被覆し、熱風乾燥機中で乾燥後、さらにその上にシリ
コーンオイルが10mg/m2 となるようにスプレーコ
ーターで被覆し、熱風乾燥機中で乾燥後、続いてこの反
対面を接触角が平均50°となるようにコロナ放電処理
し、この面にシリコーンオイルが15mg/m 2 となる
ようにスプレーコーターで被覆し、熱風乾燥機中で乾燥
した。このようにして得られたシートをロール状に巻き
取り、20℃で5日間エージングした後、各評価を行っ
た。この時の表面処理方法とエージング後の表面処理剤
の被覆量を表1に、成型品での抗菌性評価結果を表3
に、その他の評価結果を表4に示す。
【0034】
【実施例3〜5】表面処理方法を表1のように行った以
外は、実施例1と同様に行った。この時の表面処理方法
とエージング後の表面処理剤の被覆量を表1に、成型品
での抗菌性評価結果を表3に、その他の評価結果を表4
に示す。
【0035】
【実施例6、7】表面処理方法を表1のように行った以
外は、実施例2と同様に行った。この時の表面処理方法
とエージング後の表面処理剤の被覆量を表1に、成型品
での抗菌性評価結果を表3に、その他の評価結果を表4
に示す。表3及び表4の結果より、実施例1〜7で示し
たシートからの成型品では、キトサンを被覆させた面に
十分な抗菌性を持ち、かつ、十分な防曇性、離型性、剥
離性等を有しているのがわかる。
【0036】
【比較例1、及び3〜5】表面処理方法を表2のように
行った以外は、実施例1と同様に行った。この時の表面
処理方法とエージング後の表面処理剤の被覆量を表2
に、成型品での抗菌性評価結果を表3に、その他の評価
結果を表4に示す。
【0037】
【比較例2】表面処理方法を表2のように行った以外
は、実施例2と同様に行った。この時の表面処理方法と
エージング後の表面処理剤の被覆量を表2に、成型品で
の抗菌性評価結果を表3に、その他の評価結果を表4に
示す。比較例1のシートでは、キトサンを被覆させてい
ないので、成型品には抗菌性がない。比較例2のシート
では、防曇処理面にキトサンを単独で被覆させているた
め、この面の抗菌性が弱く、ショ糖脂肪酸エステルを被
覆させていないため、防曇性がない。比較例3のシート
では、離型処理面にキトサンを単独で被覆させているた
め、この面の抗菌性が弱く、シリコーンオイルを被覆さ
せていないため、離型性や剥離性がなく、シートにブロ
ッキングが発生する。
【0038】比較例4のシートでは、防曇処理面に多量
(100mg/m2 )のキトサンを被覆させているの
で、防曇処理面の抗菌性は十分であるが、ショ糖脂肪酸
エステルを被覆させていないため防曇性が不十分で、更
に、キトサンの被覆むらが目立ち、外観が悪い。比較例
5のシートでは、離型処理面に多量(100mg/
2 )のキトサンを被覆させているので、離型処理面の
抗菌性は十分であるが、シリコーンオイルを被覆させて
いないため離型性及び剥離性がなく、シートにブロッキ
ングが発生し、更に、キトサンの被覆むらが目立ち、外
観が悪い。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】本発明のスチレン系樹脂シートは、少量
のキトサンで十分な抗菌性を発揮し、更に、従来からの
性能(防曇性、離型性等)を維持しているので、食品包
装容器を始め、各種包装容器成型用スチレン系樹脂シー
トとして好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/06 CET C08J 7/06 CETD

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防曇剤とシリコーンオイルが被覆された
    スチレン系樹脂シートの、少なくとも片面にキトサンが
    5〜50mg/m2 被覆されていることを特徴とする抗
    菌性スチレン系樹脂シート。
  2. 【請求項2】 防曇剤とシリコーンオイルが被覆された
    スチレン系樹脂シートの、両面にキトサンが、その表裏
    合計で、10〜100mg/m2 被覆されていることを
    特徴とする請求項1に記載の抗菌性スチレン系樹脂シー
    ト。
  3. 【請求項3】 防曇剤が、ショ糖脂肪酸エステルである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌性スチ
    レン系樹脂シート。
  4. 【請求項4】 スチレン系樹脂シートの片面にキトサン
    とショ糖脂肪酸エステルとの混合物が被覆され、さらに
    その上にシリコーンオイルが被覆され、該シートの反対
    面にシリコーンオイルが被覆されており、かつ、下記
    (1)〜(3)を満たすことを特徴とする抗菌性スチレ
    ン系樹脂シート。 (1)キトサンの被覆量が5〜50mg/m2 (2)ショ糖脂肪酸エステルの被覆量が5〜50mg/
    2 (3)シリコーンオイルの表裏合計被覆量が5〜30m
    g/m2
  5. 【請求項5】 スチレン系樹脂シートの片面にショ糖脂
    肪酸エステルが被覆され、さらにその上にシリコーンオ
    イルが被覆され、該シートの反対面にシリコーンオイル
    とキトサンとの混合物が被覆されており、かつ、下記
    (1)〜(3)を満たすことを特徴とする抗菌性スチレ
    ン系樹脂シート。 (1)キトサンの被覆量が5〜50mg/m2 (2)ショ糖脂肪酸エステルの被覆量が5〜50mg/
    2 (3)シリコーンオイルの表裏合計被覆量が5〜30m
    g/m2
  6. 【請求項6】 スチレン系樹脂シートの片面にキトサン
    とショ糖脂肪酸エステルとの混合物が被覆され、更にそ
    の上にシリコーンオイルが被覆され、該シートの反対面
    にキトサンとシリコーンオイルとの混合物が被覆されて
    おり、かつ、下記(1)〜(3)を満たすことを特徴と
    する抗菌性スチレン系樹脂シート。 (1)キトサンの片面の被覆量が5〜50mg/m2
    あり、かつ、表裏合計被覆量が10〜100mg/m2 (2)ショ糖脂肪酸エステルの被覆量が5〜50mg/
    2 (3)シリコーンオイルの表裏合計被覆量が5〜30m
    g/m2
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