JPH11209283A - 抗癌剤 - Google Patents

抗癌剤

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JPH11209283A
JPH11209283A JP28732398A JP28732398A JPH11209283A JP H11209283 A JPH11209283 A JP H11209283A JP 28732398 A JP28732398 A JP 28732398A JP 28732398 A JP28732398 A JP 28732398A JP H11209283 A JPH11209283 A JP H11209283A
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cycloprodigiosin
tumor
cells
anticancer
anticancer agent
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JP28732398A
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Hajime Hirata
肇 平田
Yoshinari Ikegami
良成 池上
Yoshito Yokoyama
嘉人 横山
Koji Nakagawa
光司 中川
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Ako Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な抗癌剤。 【解決手段】 シクロプロジギオシンあるいはその薬理
上許容される塩類を有効成分とする抗癌剤。塩類として
は、シクロプロジギオシン塩酸塩がある。また、他の抗
癌剤と併用して抗癌作用を高めることができる。投与方
法として皮下投与が有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な抗癌剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、癌の化学療法剤として種々の薬剤
が開発され、実用化されているものも数多い。しかし、
癌は予後不良の疾患であり、しかも、一部の癌種を除い
ては化学療法剤の効力は、いまだ十分満足できるもので
はない。そして癌は年間死亡者が20万人を超えるなど社
会的に重大な疾患となっている。これらのことから、よ
り優れた新規な抗癌剤の速やかな臨床応用が望まれてい
る。また、医療の場では抗癌剤の単剤による治療はまれ
で、作用機構の異なる他の抗癌剤等と併用して投与する
ことがほとんどである。このようなことからも従来の抗
癌剤とは異なる、新規な作用機構を有する抗癌剤の開発
が強く望まれている。
【0003】一方、本発明者らは、海洋細菌の一種シュ
ードアルテロモナス・デニトリフィカンス(Pseudoalter
omonas denitrificans) AK-1 株(FERM P-15771)が赤色
色素を産生することを見出し、この赤色色素を同定した
ところ、シクロプロジギオシン・塩酸塩であることが判
明した。そして、このシクロプロジギオシン塩酸塩がメ
チシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)あるいは、Plasmodi
um属の原虫 (マラリア原虫) の増殖を抑制したり、ある
いは免疫抑制作用やV−ATPase (VacuolorATPase)
脱共役 H+ ポンプ阻害作用のあることを見出し、特許出
願した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、癌の化学療
法においてより優れた抗癌剤を速やかに臨床に使用する
ことが望まれている現状に鑑み、シクロプロジギオシン
あるいはその塩の抗癌作用について検討したところ、驚
くべきことにシクロプロジギオシンあるいはその塩が従
来の抗癌剤と同様に高い抗癌作用があり、抗癌剤として
使用できることを見出した。最近ヒトの膵臓癌組成で
は、V−ATPase の発現量が多くなっていることが報
告されている (Br. J. Cancer 73(12)1511〜1517(199
6)) 。この報告によると、調査した浸潤性のある膵臓癌
のうち92%で細胞膜にV−ATPase がより多く発現し
ており、V−ATPase の発現は良性腫瘍や通常の組織
ではみられないと報告されている。また、ヒトのガン細
胞では、細胞内のpHが通常の細胞のpHより高くなってお
り、これは細胞膜のV−ATPase の作用により生じて
いるということも報告されている (1996 Fifteen Year'
s Progress and Future Perspectives of VacuolarAT
Pase での Robert J.Gillies の発表) 。
【0005】本発明者らは、先にシクロプロジギオシン
及びその塩が細胞のV−ATPase活性を阻害し、酸性
オルガネラのpHを上昇させる作用を見出した (特願平8-
299359号) 。そこで、この作用を利用してシクロプロジ
ギオシン及びその塩がV−ATPase のH + ポンプを阻
害し、高い抗癌活性を示すのではないかと予想し、シク
ロプロジギオシン塩酸塩の抗癌活性を調べたところ驚く
べきことに種々の癌細胞の生育を低濃度で阻害し、抗癌
剤として用いることができることを見出した。従って、
本発明は、新規な抗癌剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、従来の抗癌剤と異なる機構で制癌作用
を示す抗癌剤を提供することを課題とする。さらに、本
発明は、シクロプロジギオシン及びその塩の新規な用途
を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するためになされたものであって、シクロプロジギオシ
ンまたはその薬理上許容される塩を有効成分とする抗癌
剤に関する。本発明におけるシクロプロジギオシンまた
はその薬理上許容される塩は、シュードアルテロモナス
・デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas denitrific
ans)AK-1株(FERM P-15771)が産生するシクロプロジギオ
シン塩酸塩が、その結晶が容易に得られ、保存中変質し
ないことからみて製剤上好ましい。
【0007】また、本発明でシクロプロジギオシンの対
象となる癌は、膵臓癌、胆嚢癌、肺癌、胃癌、大腸癌、
直腸癌、子宮癌、皮膚癌、白血病等の癌組織である。こ
れらの癌細胞では、細胞内オルガネラばかりでなく細胞
膜にもV−ATPase の発現が多いことが知られてお
り、これもシクロプロジギオシンの標的になる。また、
公知の種々の抗癌剤と併用すると抗癌剤の作用機構の相
違によって有効に制癌作用を発揮させることができる。
このような抗癌剤としては、アクチノマイシンD(コス
メゲン:萬有)、ダウノルビシン(ダウノマイシン:明
治)等がある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の抗癌剤の有効成分のシク
ロプロジギオシンは、次の式(I) で示される化合物であ
る。シクロプロジギオシンは、海洋細菌のアルテロモナ
ス ルブラ (Alteromonasrubra)(Tetrahedron Letters
24 (26), 2701-2704(1983)) 、あるいはベネッケアガ
ゾゲネス(Benekea gazogenes) (同上誌 24(27),2797-
2798(1983)) から産生される赤い色素であり、また2-メ
チルシクロヘキサノンを出発物質として合成する方法も
知られている(Tetrahedron Letters 25(13),1387-1388
(1984)) 。しかし、これらの海洋細菌から得られるシク
ロプロジギオシンは、数種のプロジギオシン類を爽雑物
の形で産生しているので、抽出物のなかからシクロプロ
ジギオシン単体を単離するには煩雑な単離操作を必要と
した。また、化学合成によってシクロプロジギオシンを
製造する方法は多工程にわたる複雑な工程を必要として
いた。
【0009】
【化1】
【0010】本発明者らは、海洋細菌の代謝産物につい
て検討を行なってみたところ、シュードアルテロモナス
デニトリフィカンス(Pseudoalteromonas denitrific
ans)AK-1株(FERM P-15771)がシクロプロジギオシン塩酸
塩を、他のプロジギオシン類の爽雑物を含むことなく産
生することを見出した。従って、前記菌体を培養すると
シクロプロジギオシン塩酸塩が菌体内及び培地中に大量
に生成蓄積されるので、これを高純度で大量に作ること
ができる。このシクロプロジギオシン塩酸塩は、カラム
クロマトグラフィー処理することによって容易に塩化水
素をはずし塩酸塩のない遊離のシクロプロジギオシンを
得ることができる。そして、この遊離シクロプロジギオ
シン (シクロプロジギオシン塩酸塩から塩化水素をはず
した式(I) で示される化合物をいう) をリン酸、硫酸等
の酸で処理することによって前記した塩類とすることが
できる。
【0011】また、シクロプロジギオシンの薬理上許容
できる塩には、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩素酸
塩、カルボン酸塩 (例えば酢酸塩、クエン酸塩、シュウ
酸塩等) 、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、ピクリン酸塩、スル
ホン酸塩、テトラフルオロボレート塩等を例示すること
ができる。シクロプロジギオシン塩酸塩等の前記化合物
は、シクロプロジギオシンを塩の形に変換することによ
って得ることができる。塩とする手段は、通常の塩形成
手段を用いることができる。本発明で使用するシクロプ
ロジギオシン塩酸塩、その他の塩は、水に可溶性であ
り、蒸留水等に溶解して使用することができる。従っ
て、注射剤、ドリンク剤等としても用いることができ
る。
【0012】本発明のシクロプロジギオシン塩酸塩の抗
癌活性を試験例をあげて説明する。
【試験例1】シクロプロジギオシン塩酸塩(cPrG・HCl)
の制癌効果を、ヒト肝臓癌由来細胞(HuH-7: ヒューマン
サイエンス研究資源バンクより分譲) を移植したBALB/c
A ヌードマウスを用いて試験した動物実験の結果を示し
て説明する。
【0013】
【実験材料】1) 動物: BALB/cA ヌードマウス、雌、平
均体重18〜20g 、5 〜6 週齢。 2) 癌細胞懸濁液: HuH-7 は、1 ×108 個/ml のダルベ
ッコ変法イーグル培地 (10%ウシ胎児血清) 懸濁液とし
て調製した。 3) cPrG・HCl 溶液: 100 ℃で滅菌したcPrG・HCl の粉
末にH2O を加え、超音波処理後使用した。
【0014】
【実験方法】ヌードマウスに HuH-7懸濁液 0.1mlを皮下
投与し、移植2日後試験群(6匹)にはcPrG・HCl 10mg
/kg を皮下投与し、また対照群 (6匹)には水を皮下投
与した。それぞれの投与は18回で、58日間飼育し、体重
及び腫瘍体積の変化を測定した。腫瘍体積は、長径×短
径×高さ×0.5(mm3)で測定した。
【0015】
【実験結果】その結果を図1及び2に示した。また HuH
-7懸濁液投与後58日目にヌードマウスを屠殺し、その腫
瘍重量の測定結果を図3に示した。この図から、対照群
では、腫瘍体積及び腫瘍重量も共に経日的にいちじるし
く増大したが、cPrG・HCl 投与群では、その増大を有意
に統計的に抑制することができた。
【0016】さらに、これらの腫瘍組織のHE標本につい
て病理組織検索を行なった。ただし、腫瘍細胞の増殖力
あるいは悪性度の指標として核分裂像に注目し、各々の
例について対物 (×40) 、対眼 (×10) の400 倍視野に
おいて腫瘍組織実質部 (間質が少なく、また、壊死部の
ない、viability のある箇所) を任意に10視野選び、各
視野ごとに各分裂像(mitotic figure)を示す腫瘍細胞数
をカウントし、その平均値を算出、腫瘍増殖力 (増殖ス
ピード) の客観的指標とした。各標本の核分裂指数(Mit
otic index; MI値) を表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】これらの所見についてみてみると次のとお
りである。標本H- 11) : 水皮下投与 (コントロール) MI=21 腫瘍細胞は類円形、クロマチンの増量、1〜2個の核小
体の目立つ異型性の強い核を示し、胞体は好酸性、豊富
で間質は一層の内皮細胞で囲まれた類洞様構造を示す所
が多く、ヒト肝細胞に似た腫瘍細胞が索状の充実胞巣を
形成している。ヒト肝細胞癌索状型(hepatocellular ca
rcinoma, trabecular(sinusoidal type)) に一致した像
を示す。しばしば大型多核細胞や奇異な形の腫瘍細胞が
混在し、核分裂像が頻繁に見られ、異常核分裂像も混在
している。腫瘍組織は壊死傾向が強く、特に胞巣の中心
部に壊死が強く、しばしば胞巣全体が壊死を来し、残存
しているのは胞巣辺縁部のみといったところも見られ
る。間質の拡張した血管を中心とした腫瘍組織のみが残
存している所も多く、頻繁な核分裂像と考え合わせると
この移植肝臓癌は極めて増殖力が強い特性を示し、その
増殖スピードに腫瘍の栄養補給となる腫瘍間質血管の増
生が間に合わず、従って胞巣中心部 (間質より離れた
所) は壊死を来していると解釈される。血管間質が主で
あるが一部では浮腫状の繊維増生を示す所も見られる。
【0019】標本H-52) : cPrG・HCl 皮下投与 MI=16 腫瘍細胞は異型性が強いが標本H-1 と比較して多形成
(pleomorphism) がそれほど目立たず、多核細胞や巨細
胞は少ないように見える。それ以外の腫瘍細胞の形態は
標本H-1 とほとんど同じである。しかし、標本H-1 と比
較して腫瘍組織の中心壊死が軽度で腫瘍胞巣内には血管
を中心として腫瘍細胞が放射状に配列する偽ロゼット像
や血管の拡張、増生が目立つ。これらは炎症細胞浸潤が
著明で血管に富んだ肉芽組織形成に隣接した腫瘍胞巣に
おいて目立つ。標本H-1 と比較して最も顕著な組織像の
違いは腫瘍胞巣周囲の間質に見られる。すなわち繊維芽
細胞や他の間様系細胞の増生が強く、間質は幅広くなり
(fibrosis が強い) 、著明なリンパ球、plasma cell 、
好中球浸潤が見られ、しばしば繊維化や細胞浸潤が胞巣
内に入り込み、胞巣や腫瘍細胞を分断しているような所
が見られる。腫瘍細胞に対するリンパ球のcytotoxic な
像を思わせ、ヒト制癌剤投与例に見られる変化と一致し
いる。所によっては胞巣が消失し中心壊死巣にのみの残
存している所や肉芽組織で置換された所、石灰沈着、腫
瘍胞巣の嚢胞化が見られる。一部のリンパ球浸潤の強い
所では腫大したリンパ濾胞 (既存のリンパ装置の過形
成) やびまん性のリンパ球の濾胞様病巣が見られる。要
するに間様系反応が賦活された像を示し、そのような所
では腫瘍細胞の変性、消失を示す。しかし、間質は浮腫
状で細胞浸潤の乏しい所もある。
【0020】これらの試験結果より次のことがいえる。 1.全例のMI値に有意差がなかったことより、cPrG・HC
l は腫瘍増殖力 (増殖スピード) 抑制作用を有していな
い。 2.通常、腫瘍細胞が栄養障害や、制癌剤投与を受ける
と、異常核分裂像 (多極分裂や内分裂)などが増加し、
その結果、巨細胞や多核細胞などが多く出現し、腫瘍細
胞の pleomorphism ( 多形性) が増加する。しかし、cP
rG・HCl 投与例では異常核分裂像や pleomorphism の増
加はみられず、むしろ標本H-5 では pleomorphism は減
少していた。また、cPrG・HCl 投与例では腫瘍細胞の細
胞形態像に変化が見られなかった。以上の2点より、cP
rG・HCl の直接的な腫瘍細胞に対する細胞障害効果は、
認められなかったと考えられる。
【0021】3.cPrG・HCl 投与例では宿主の間質のリ
ンパ球、plasma cell のびまん性浸潤、リンパ装置の過
形成、繊維芽細胞増生や血管増生を伴う肉芽組織形成が
みられた。このことよりcPrG・HCl は間葉系の免疫反応
を活性化し、特にリンパ球の腫瘍細胞に対する cytotox
icity を高めることより、間接的な腫瘍細胞障害効果を
有しているものと思われる。 4.cPrG・HCl 皮下投与例では、pleomorphic な腫瘍細
胞の減少とともに、特に間質の肉芽組織に隣接した部で
は腫瘍組織の中心部壊死傾向が際立って減少し、腫瘍細
胞内の血管増生、拡張が目立った点が注目される。これ
は皮下投与されたcPrG・HCl が、腫瘍胞巣周辺に血管に
富んだ肉芽組織形成作用 (催炎症作用) を有しているこ
とを示している。すなわち、cPrG・HCl は腫瘍胞巣周辺
に炎症作用を惹起し、その部の肉芽組織に hemoconcent
rationが著明となり、同時にその付近の腫瘍胞巣を栄養
する腫瘍血管にも血液集中がおこり、その結果、腫瘍細
胞全体に栄養が行き届くため、腫瘍の中心壊死像が減少
したのみならず、pleomorphic な腫瘍細胞の出現頻度が
減少したものと考えられる。これは、むしろ腫瘍にとっ
て都合のよいことであって、cPrG・HCl が必ずしも腫瘍
増殖に抑制的に働くとは思われないように見えるが、標
本H-5 などでみられた変化を考えあわせ前記3でのメカ
ニズムを考慮に入れ総合的に見ると、cPrG・HCl 投与に
より、腫瘍組織は胞巣周辺の腫瘍細胞から徐々に崩壊さ
れ、結局、肉芽や繊維化巣あるいは嚢胞などに置換され
ていくように思われる。
【0022】本発明におけるシクロプロジギオシン、シ
クロプロジギオシン塩酸塩あるいはその他の塩は、これ
をそのまま抗癌剤として用いることができるが、通常
は、賦形剤、その他の補助剤とともに適当な製剤の形と
して経口あるいは非経口の形で投与される。経口剤とし
ては、粉剤、顆粒剤、錠剤、糖衣剤、丸剤、カプセル
剤、ドリンク剤等がある。また、非経口製剤には、坐
剤、パップ剤、注射剤等がある。注射剤は、筋肉注射、
動脈注射あるいは静脈注射等の剤型とするとよい。特に
皮下注射が有効であるように思われる。
【0023】これらの賦形剤あるいはその他の補助剤と
しては、乳糖、ショ糖、各種のでん粉、ぶどう糖、セル
ロースあるいはその誘導体、ステアリン酸マグネシウ
ム、タルク等が用いられる。また、生理食塩水、蒸留水
等の溶媒を用いることができる。さらに、可溶化のため
に界面活性剤を加えたり、あるいは無痛化剤を加えるこ
ともできる。これらは、製剤手段として通常知られてい
る手段で経口あるいは非経口の製剤とすることができ
る。投与量は、症状、年齢、性別等によって相違する
が、経口投与の場合は、シクロプロジギオシン、その塩
酸塩あるいはその他の塩を1日当り1〜10mg/体重kg、
非経口投与の場合は、注射剤で1日当り1〜5mg/体重
kgを投与することが望ましい。
【0024】これらの化合物の毒性については、シクロ
プロジギオシン塩酸塩をICR雌性マウス(5週齢、体
重25〜29g)の腹腔内に投与したところ LD50 値は10mg以
上であった。また、シクロプロジギオシン塩酸塩をリン
脂質平面膜法 (1992年7月10日(株)東京化学同人発
行、(財)日本生化学会編新生化学実験講座「生体膜と
膜輸送(上)」第 181〜187 頁) により比抵抗を検討し
た。その結果を図1に示した。この図に示されるように
イオノフォアのひとつであるカルボニルシアニド−p−
トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)に比較
して、イオノフォア活性が示さなかったことからみて、
毒性がきわめて低いものと判断される。
【0025】本発明のシクロプロジギオシン塩酸塩の製
造例を示す。バクトペプトン(Difco) 2.5g、バクトイー
トスエクストラクト(Difco) 0.5g及びリン酸鉄(III)n水
和物 (和光純薬)0.1g を天然海水1L中に溶解した後、滅
菌し、その3ml 中に、シュードアルテロモナス・デニト
リフィカンス(Pseudoalteromonas denitrificans)AK-1
株(FERM P-15771)を接種し、15〜20℃で1日間培養を行
なった。得られた培養物を上記組織の培地 600mlに移
し、1日間培養を行なった。
【0026】このようにして培養された培地を22,000rp
m で20分間遠心分離し、菌体を回収した。菌体は5〜10
g が回収された。この菌体にアセトン- ジエチルエーテ
ル(4:1) 混液を加え200 振盪/minで色素 (シクロプロジ
ギオシン塩酸塩) を抽出した。抽出液を12,000rpm で10
分間遠心分離して上清液を得た。この上清液に無水硫酸
マグネシウムを加えて水分を吸着除去し、この硫酸マグ
ネシウムを濾過して除去した。濾液を乾固するまで濃縮
し、これを薄層クロマトグラフィーによって分析した(K
iesselgel 60F254; 展開溶媒ベンゼン: エーテル=1:
1)。Rf 0.20 に単一のスポットが得られた。この濃縮物
を塩化メチレン5 mlに溶解し、この溶液から温度差を利
用して再結晶した。生成した結晶をペンタンで洗浄し、
吸引濾過して結晶 5mgを採取した。この結晶は、赤色の
金属光沢をもった針状結晶であって、融点はなく、約23
0℃で分解した、この結晶を、元素分析し、またその Ma
ss スペクトル、UVスペクトル、IRスペクトル、H-NMR
スペクトルを解析したところ、シクロプロジギオシン塩
酸塩 (式II) のそれと一致し(Tetrahedron Letters,
24(26), 2701〜2704(1983)) 、同化合物であることが同
定された。
【0027】
【化2】
【0028】このようにして得られたシクロプロジギオ
シン塩酸塩 5mgを塩化メチレン10mlに溶解し、シリカゲ
ルカラム (口径 1.5cm、長さ12cm、流速1.2 ml/min) を
通過させ、溶媒を留去して遊離シクロプロジギオシン 4
mgを得た。この物質が遊離シクロプロジギオシンである
ことはH-NMR 等のデータによって確認された。
【0029】次に実施例として製剤例を示す。
【実施例1】 シクロプロジギオシン塩酸塩 20 mg Tween 80 0.4 g 蒸留水 200 ml シクロプロジギオシン塩酸塩20mgをTween 80 0.4g とと
もに蒸留水 200mlに溶解し、20mlのアンプルに充填し、
加熱殺菌して静脈注射剤を調製した。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、シクロプロジギオシン
あるいはその塩酸塩等のシクロプロジギオシン塩の抗癌
作用を利用して抗癌剤とし、非経日または経日で投与し
てこの疾病の予防あるいは治療をすることができる。特
に、皮下投与が有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例4のヒト肝臓癌由来細胞を移植したヌー
ドマウス(皮下投与群)の体重の経日変化を示す。
【図2】試験例4のヒト肝臓癌由来細胞を移植したヌー
ドマウス(皮下投与群)の腫瘍体積の経日変化を示す。
【図3】試験例4のヒト肝臓癌由来細胞を移植したヌー
ドマウス(皮下投与群)を細胞移植後58日目に屠殺した
ときの腫瘍重量を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (C12P 17/10 C12R 1:01) (72)発明者 中川 光司 兵庫県赤穂市坂越329番地 赤穂化成株式 会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロプロジギオシンまたはその薬理学
    上許容される塩を有効成分とする抗癌剤。
  2. 【請求項2】 有効成分がシクロプロジギオシン塩酸塩
    である請求項1記載の抗癌剤。
  3. 【請求項3】 シュードアルテロモナス・デニトリフィ
    カンス(Pseudoalteromonas denitrificans) AK-1 株(F
    ERM P-15771)の産生するシクロプロジギオシン塩酸塩を
    用いる請求項2記載の抗癌剤。
JP28732398A 1997-10-01 1998-09-24 抗癌剤 Pending JPH11209283A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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