JPH11207463A - スタッド溶接不良原因表示方法 - Google Patents

スタッド溶接不良原因表示方法

Info

Publication number
JPH11207463A
JPH11207463A JP2648698A JP2648698A JPH11207463A JP H11207463 A JPH11207463 A JP H11207463A JP 2648698 A JP2648698 A JP 2648698A JP 2648698 A JP2648698 A JP 2648698A JP H11207463 A JPH11207463 A JP H11207463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
stud
cause
failure
causes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2648698A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Ishii
博幸 石井
Shinya Okamoto
真也 岡本
Hiroshi Nakai
宏 中井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihen Corp filed Critical Daihen Corp
Priority to JP2648698A priority Critical patent/JPH11207463A/ja
Publication of JPH11207463A publication Critical patent/JPH11207463A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arc Welding Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】溶接開始前の段階から溶接中及び溶接後までの
いずれかの段階又は複数の段階で、作業者が過大な労力
を要しない方法で、早い段階で、溶接不良となる要因を
除去し、又は作業者が対処しやすいように溶接不良とな
る要因を表示する。 【解決手段】スタッド溶接のスタッドSを引き上げてア
ークを発生させ、所定時間後にスタッドを被溶接材Wに
押しつけて短絡させて溶接するスタッド溶接の不良原因
表示方法において、スタッド溶接機器に、溶接不良とな
るおそれがある原因を除去する方法を実行させ、溶接開
始前の段階から溶接中及び溶接後までのいずれかの段階
又は複数の段階で、溶接不良となるおそれがある現象を
検出し、この検出値に対応した溶接不良となるおそれが
ある複数の原因を予め想定して、この想定した複数の原
因のうち、頻度が高いと予想される原因の順に不良原因
を表示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スタッド溶接のス
タッドを引き上げてアークを発生させ、所定時間後にス
タッドを被溶接材に押しつけて短絡させて溶接するスタ
ッド溶接の不良原因表示方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スタッド溶接は、材質、直径、形状等の
スタッドの種類と下向き姿勢、横向姿勢等の溶接姿勢と
被溶接材直接溶接、上板貫通溶接等の被溶接材状態(以
下、スタッド及び被溶接材の種類という)によって、溶
接電流値、溶接時間、切換溶接電流値、溶接ガンの移動
量(引き上げ距離、押し込み距離、押し込み速度切換)
等の設定(以下、溶接機器動作設定という)をしてか
ら、スタッド溶接のスタッドを引き上げてアークを発生
させ、所定時間後にスタッドを被溶接材に押しつけて短
絡させて溶接している。
【0004】従来の溶接継手の良否の判定は、溶接終了
後に行っていた。従来の溶接終了後の溶接継手の良否の
判定方法は、溶接終了後に、余盛り量及び余盛り均一性
の外観を目視によって全数良否判定する外観目視検査、
押し込み距離の適否を判別する仕上がり高さの測定、ハ
ンマーで打撃する曲げ試験等の物理的試験によって、溶
接継手の良否を判定してきた。しかし、外観検査だけで
は溶接継手の良否を正確に判定することができない、又
はハンマーで溶接したスタッドを打撃する曲げ試験は、
過大な労力を要するだけでなく破壊試験であるためにス
タッドが無駄になる。これらを改良する従来技術とし
て、近年、入熱量(正確に表現すると、溶接電流値と溶
接電源装置の出力端子電圧値と溶接時間との積の溶接電
源装置の供給電力量)、引き上げ距離、押し込み距離の
電気測定によって、溶接継手の良否を判定する方法が提
案されている。
【0006】特許出願公表昭58−500279の技術
は、マイクロプロセッサを使用して溶接電流を制御し、
溶接電流平均値、溶接電圧平均値、溶接電流通電時間の
各々を計算し、これら3つの値を乗算して入熱量を計算
し、溶接電流平均値、溶接電圧平均値、溶接電流通電時
間、入熱量の記憶及び表示をしている。また、溶接時間
Taの終わりで、溶接電流の設定値と実際値とを比較し
て設定値に満たない場合は、溶接時間Taを延長して必
要な入熱量Qrを確保するように制御している。この方
法では、溶接サイクル終了時点でエネルギー量を算出し
ているために、終了時点でエネルギー量が過大であるこ
とが判明しても、エネルギー量を制御することができな
いので、必要な入熱量Qrを正確に供給することができ
ない。
【0008】溶接不良となる主な原因は下記のとおりで
ある。 A.溶接ガンの移動が円滑でない。[従来技術1] 図1は、引き上げ距離L1及び押し込み距離L2を測定
して測定結果を記録するための位置検出手段GN3を備
えた従来方式の溶接ガンを示す図である。
【0009】この図1の溶接ガンGNは、溶接ガン本体
GN1に、電磁石GN6を配設し、圧縮バネGN7によ
って被溶接材W側に付勢される可動鉄心GN5に、移動
軸GN8の端部に取り付けた保持具GN9にスタッドS
を保持している。また、Z1又はZ2方向に位置調整自
在なストッパ金具GN11を設けて、可動鉄心GN5の
Z1方向の変位量を制限している。さらに、Z1又はZ
2方向の設定長さが調整自在な当接部材GN2を溶接ガ
ン本体GN1に支持している。位置検出手段GN3は、
例えば、ポテンショメ−タGN3aであって溶接ガン本
体GN1に取り付けられている。このポテンショメ−タ
の軸GN3bは連結板GN4を介して移動軸GN8に連
結されている。ガン移動量測定回路32は、位置検出手
段GN3によって測定した移動量を、波形モニタ−、デ
ジタル表示器等のガン移動量表示器31によって作業者
に確認させるために信号を処理する。
【0010】溶接ガンGNは、上記の溶接ガン本体GN
1と当接部材GN2と位置検出手段GN3と連結板GN
4と可動鉄心GN5と電磁石GN6と圧縮バネGN7と
移動軸GN8と保持具GN9とストッパ金具GN11と
から構成される。この溶接ガンGNとガン移動量表示器
31とガン移動量測定回路32と図示していない溶接電
源装置と溶接制御装置とによってスタッド溶接機が構成
される。位置検出手段GN3として、全移動範囲を有す
るポテンショメ−タGN3aが使用される。このポテン
ショメ−タの軸GN3bは、引き上げ動作及び押し込み
動作に応じてスライドする。しかし、1日に1000本
のスタッドを溶接するために、ポテンショメ−タの軸G
N3bが摩耗しやすく、また連結板GN4のゆるみ等で
正確に位置測定ができない場合もある。
【0011】このような従来技術1では、各スタッドを
溶接するごとに、溶接中の移動量を測定した移動量測定
値と適正な溶接を行うめの移動量標準値とを比較して、
その差が許容値内であるか否かによって、各溶接継手の
良否を判定している。しかし、この従来技術の判定方法
は、溶接した後の判定であるために、溶接不良と判定さ
れた溶接スタッドを切り取って溶接し直すか追加のスタ
ッドを溶接しなければならない。したがって、溶接ガン
の移動量が不足したり、円滑な移動がされなかったこと
が原因で、溶接不良を発生してしまうことがあった。そ
こで、溶接作業前に、溶接ガンが正常に動作するかどう
かをチェックする必要がある。
【0012】また、図1に示す電磁石GN6ではなく、
溶接ガン可動部を駆動させるサ−ボモ−タ等を用いた場
合、サ−ボモ−タ及びそのモ−タを駆動させる駆動回路
が異常動作した場合も、溶接結果が不良になってしまっ
て適正な溶接継手を確保することができない。
【0015】B.溶接時間中の短絡発生による入熱が不
足している。[従来技術2] スタッド溶接において、スタッドを被溶接材から引き上
げ、次にスタッドを被溶接材に所定の押し込み距離L2
だけ押し込んで溶接して、その溶接継手が良好であるた
めには、前述したように、必要な入熱量Qrを得ること
が重要である。入熱等の溶接条件が適正でなく、必要な
入熱量Qrを得ることができない場合は、引き上げ期間
中にスタッドの溶融面が被溶接材の溶融プールに接触し
て短絡が発生する。この短絡が発生すると、適正なア−
ク電圧値が十分に継続しないために入熱不足となって、
押し込み中に所要の押し込み距離L2だけ押し込むこと
ができなくなり溶接不良となる。
【0016】この従来技術2において、溶接時間Taに
短絡が発生して適正なア−ク電圧値Vaが十分に継続し
ないために入熱不足となるときには、必要な入熱量Qr
を得るために、作業者が、主ア−ク電流値Ia又は溶接
時間Taを増加させなければならない。しかし、入熱が
過大になると、溶融金属が過大になって移動して不均一
になるために、押し込み後の余盛り形状が不均一になり
溶接強度が低下する。
【0017】したがって、従来技術2においては、入熱
不足とならないように、作業者が、主ア−ク電流値Ia
又は溶接時間Taを判断して、適正値を設定しなければ
ならない。
【0020】C.横向き溶接の溶融金属の垂れ下がりに
よる短絡が発生している。[従来技術3] 太径のスタッドを横向き姿勢で溶接する場合、溶接時間
Taの後半において、図2に示したように、スタッド先
端部の溶融金属及び被溶接材表面の溶融金属Wmが、重
力によってフェルールFの内面下部に集中して、フェル
−ル内の溶融金属Wmが片寄るために、後述する図5
(B)に示すように、溶接時間Taの後半において、ア
−ク長が短くなり短絡が頻繁に発生する。
【0021】図2は、横向き溶接中のフェルール内の溶
融金属Wmの状態を示す図である。同図において、被溶
接材WとスタッドSとの間に図示されていないアークが
発生して被溶接材Wが溶融するが、この溶融した溶融金
属Wmが重力によってフェル−ルFの内面下部に溜まる
ために、スタッドの上方に溶接後のフラッシュ(以下、
余盛りという)を必要量だけ形成することができない。
【0022】この従来技術3においては、必要な入熱量
Qrを得るために、作業者が、溶融金属Wmの垂れ下が
りによって発生する短絡を少なくする主ア−ク電流値I
a又は溶接時間Ta(以下、主アーク期間Taという)
を判断して設定しなければならない。
【0025】D.上板貫通溶接の押し込み距離が不足し
ている。[従来技術4] スタッド溶接の用途として、建築工事、建設工事等にお
いて、H型鋼、I型鋼等の鉄骨を組み立てた構築物に鋼
板を配設し、鉄骨上に鋼板(デッキプレート)をスタッ
ド溶接によって固定する上板貫通溶接がある。
【0026】図3は、鉄骨上に鋼板を配設したときに、
鋼板が波打ち、鉄骨と鋼板との間に隙間(クリアラン
ス)が生じている状態を示す鉄骨・鋼板位置関係図であ
る。同図において、鉄骨Wa上に鋼板Wbを配設したと
きに、鋼板の板厚Dpが例えば、1. 2[mm]のような
薄板のときは、鋼板Wbが波打ち、鉄骨Waと鋼板Wb
との間に隙間(クリアランス)Dcが生じる。
【0027】図4は、鉄骨と鋼板との間に隙間があると
きの鋼板とスタッド先端との位置関係を示す鋼板・スタ
ッド位置関係図である。同図(A)は、スタッド溶接開
始直後のスタッドSの先端が鋼板Wbに接触した状態を
示す溶接開始位置関係図であって、スタッドSの先端が
鋼板Wbに接触した位置を基準点Pとする。同図(B)
は、スタッド先端を引き上げてアークを発生させている
状態を示すアーク発生位置関係図であって、スタッド先
端は同図(A)の基準点Pから引き上げ距離Dupだけ引
き上げられた位置にある。
【0028】同図(C)は、溶接開始時から予め設定し
た時間が経過した後に、スタッドSを押し込む指令を出
して、スタッド先端を押し込んで短絡させた状態を示す
短絡位置関係図であって、スタッド先端は同図(A)の
基準点Pから押し込み距離Ddだけ押し込まれた位置に
ある。同図(C)のDeは、スタッド先端が鉄骨Waに
押し込まれる実際の押し込み距離を示す。
【0029】同図(D)は、溶接開始時から溶接終了時
までのスタッドSの先端位置の時間的経過を示す図であ
って、縦軸がスタッド先端の移動量Mを示し、符号は
同図(A)のスタッド先端のの位置を示し、符号は
同図(B)のスタッド先端のの位置を示し、符号は
同図(C)のスタッド先端のの位置を示し、符号Dd
は同図(A)の基準点Pからの押し込み距離を示す。
【0030】同図(E)は、溶接開始時から溶接終了時
までの出力端子電圧Vdの時間的経過を示す図である。
同図(E)において、時刻ts0は、上板貫通溶接でない
通常の溶接(以下、直接溶接という)のときの押し込み
時短絡開始時点であり、時刻ts1は、上板貫通溶接のと
きの短絡時点であり、同図(C)に示すように、溶融し
たスタッド先端が鋼板の板厚Dp及び隙間(クリアラン
ス)Dcだけ移動した押し込み時短絡開始時点であっ
て、時刻ts0よりも遅れる。さらに、時刻ts2は、この
ような上板貫通溶接のときに溶融したスタッド先端が鉄
骨に接触した押し込み開始時点であり、鉄骨Waと鋼板
Wbとの間の隙間Dcが不定であるために時刻ts0から
時刻ts2までの遅れ時間がばらつく。
【0031】上記の隙間Dcが不定であるために、同図
(B)に示すように、アーク長Daは、Dup+(Dp+
Dc)となり、直接溶接のときよりも、(Dp+Dc)
だけ増加すると共に、このDcのばらつきによってアー
ク長Daが変動する。さらに、上板貫通溶接のときは、
同図(C)に示すように、スタッド先端が鉄骨Waに押
し込まれる鉄骨表面からの押し込み距離Deは、Dd−
(Dp+Dc)となり、直接溶接のときよりも、(Dp
+Dc)だけ減少するだけでなく、このDcのばらつき
によって鉄骨表面からの押し込み距離Deも変動する。
【0032】このように、上板貫通溶接では、鋼板が波
打ち、鉄骨と鋼板との間に隙間Dcが生じ、その隙間D
cが不定であるために、直接溶接のときの押し込み時短
絡開始時点ts0から上板貫通溶接のときのスタッド先端
が鉄骨に押しまれる押し込み開始時点ts2までの遅れ時
間がばらつき、直接溶接よりも多くの入熱量を必要とす
る。この多くの入熱量を必要とすることを予測して、作
業者が主アーク期間Taを予め長く設定するために、後
述する図5(B)に示すように、主アーク電流期間Ta
の後半において短絡が頻繁に発生する。
【0033】図5は、従来の溶接動作において、主アー
ク期間Taの後半で短絡が発生したときの波形を示す図
で、同図(A)は溶接電流Ioの波形を示す溶接電流波
形図であり、同図(B)は溶接電源装置の出力端子電圧
Vdの波形を示す出力端子電圧波形図であり、同図
(C)はスタッド先端の移動量Mを示すスタッド先端移
動図である。同図(A)乃至同図(C)において、溶接
開始スイッチ13を押して補助ア−ク電流Ipの通電を
開始すると共に、スタッドSを被溶接材Wから引き上げ
補助ア−クを発生さて溶接を開始する。補助ア−ク期間
Tpの経過後に、補助ア−ク電流Ipから主ア−ク電流
Iaに切り換えると、出力端子電圧値Vdはア−ク電圧
値Vaとなる。主アーク期間Ta中の時刻tasにおいて
短絡が発生している。主アーク期間Taの経過後に、ス
タッドSを被溶接材Wに押し込んで短絡させて押し込み
短絡ア−ク電流Isを通電する。押し込み短絡期間Ts
の経過後に、押し込み短絡ア−ク電流Isを遮断して溶
接を終了する。なお、ts0は直接溶接のときの押し込み
時短絡開始時点であり、上板貫通溶接のときのスタッド
先端が鉄骨に押しまれる図4に示した押し込み開始時点
ts2は、前述したように、直接溶接のときの押し込み時
短絡開始時点ts0よりも遅れてばらつく。
【0034】このような主アーク期間Ta中の時刻tas
において短絡が発する状態で、スタッドSを被溶接材W
に押し込むと、同図(C)に示すように、実際の押し込
み距離はDd0となり、設定値どおりの押し込み距離Dd
まで押し込むことができないために、押し込み不足とな
る。その結果、余盛りの片寄りによる融合不良等の溶接
欠陥が生じる。なお、Tmは押し込み期間である。
【0035】この従来技術4において、押し込み不足が
生じないようにするために、作業者が、押し込み距離L
2及び溶接時間Taを判断して設定しなければならな
い。
【0040】E.溶接回路の電圧降下が大である。[従
来技術5] 現場作業では、通常、溶接電源装置1が重量物であるた
めに移動が困難であるので、溶接電源装置を頻繁に移動
させないで、ある位置に設置して「+」出力端子を溶接
電源装置付近の被溶接材Wに接続し、「−」出力端子
を、溶接ケーブル17及び後述する本体ケーブル17a
とから成る2次ケーブルに接続する。この2次ケーブル
を電圧降下が許容する範囲の溶接位置まで延長する。し
たがって、2次ケーブル、被溶接材等の溶接回路の抵抗
値が溶接場所によって変化するために、2次ケーブル、
被溶接材等の抵抗による電圧降下も変化する。
【0042】溶接電源装置の出力端子間で出力電圧を検
出する場合、2次ケーブル長が短いときは、検出した出
力端子電圧値Vdとアーク電圧値Vaとの誤差は少ない
が、16φ、19φ等の太径のスタッド溶接のときは、
1000〜2000[A]程度の大電流を通電するの
で、検出した出力端子電圧値Vdとアーク電圧値Vaと
の誤差が大になる。
【0044】また、2次ケーブル長を溶接箇所まで10
0[m]延長して溶接することが可能である溶接電源装
置も市販されている。このような溶接電源装置往復を使
用して、2次ケーブル長を100[m]まで延長して溶
接すると、2次ケーブル、被溶接材等の電圧降下(以
下、溶接回路電圧降下という)V5は数十[V]にな
る。この溶接回路電圧降下V5は、溶接電源装置1から
溶接箇所までの距離に関係する2次ケーブルの長さ、2
次ケーブルの直径、被溶接材の抵抗値等の違いによって
大きく変化する。
【0046】この従来技術5において、作業者が、溶接
回路電圧降下V5による消費電力P5を補償して必要な
入熱Qrを得るために、主ア−ク電流値Ia又は溶接時
間Taを判断して、適正値を設定しなければならない。
【0048】F.溶接機器の設定値の組み合わせが適切
でない。[従来技術6] 作業者は、前述したスタッドの直径、溶接姿勢及び被溶
接材配置の組み合わせに応じて、適切な溶接機器設定値
を記載した取扱説明書、ガイドブック等を参照して又は
試し打ち、経験等を含めて、複数の適切な溶接機器動作
設定をしなければならない。
【0050】上記の溶接機器動作設定時には、取扱説明
書、ガイドブック等を手元に持参して参照して、スタッ
ド及び被溶接材の種類の組み合わせを見つけなければな
らない。組み合わせが見つからないときは、過去のデー
タが必要となり、過去のデータがないときは試し打ちを
して最良の溶接結果を見つけなければならない。そのた
めに、作業者は、労力を必要とし、作業効率を低下させ
るだけでなく、適切な溶接機器設定値の組み合わせを見
つけることが困難なために、最良の溶接結果をうること
ができない場合も生じる。
【0060】G.溶接用の2次ケーブル素線の断線が進
行している。[従来技術7] 図6は、通常のスタッド溶接をするときの2次ケ−ブル
の接続状態を示す図である。通常、溶接ガンGNの本体
ケ−ブル17aの一端は、スタッドSを保持する保持具
GN9を移動させる移動軸GN8に取り付けられた本体
ケーブル接続金具GN12に接続されている。通常のス
タッド溶接をするときは、溶接ガンGNの本体ケ−ブル
17aの他端を溶接電源装置1の一方の出力端子に接続
し、溶接ケ−ブル17を被溶接材Wと溶接電源装置1の
他方の出力端子間に接続する。
【0062】本体ケ−ブル17a及び溶接用ケーブル1
7(以下、2次ケーブルという)は、通常の固定配線さ
れたケーブルに比べて、第1に、溶接箇所まで頻繁に引
き回され、屈曲と延伸との繰り返し回数(以下、屈曲回
数という)及び2次ケーブルの捻れが多いために、ケー
ブル素線が断線(以下、部分断線という)することが多
い。第2に、本体ケ−ブルは可撓性をよくするために、
通常のケーブルよりも細い素線を使用しているので素線
が断線しやすい。第3に、溶接箇所まで頻繁に移動さ
せ、大電流を通電するので、固定配線されたケーブルに
比べて、断面積の小さいケーブルを使用するために、電
圧降下による発熱が大となり、素線の一部が断線すると
残りの素線の断線が急速に進行する。したがつて、通常
の固定配線されたケーブルの劣化が、電圧降下による発
熱によって絶縁が低下して使用不能になるのに対して、
2次ケーブルの劣化は、素線の断線が進行して異常発熱
して使用不能になる。
【0064】特に、溶接箇所が建築物等の大形構造物で
あるときは、溶接箇所まで溶接ケーブルを本体ケ−ブル
に接続延長して、総延長が100[m]に及ぶ場合もあ
る。この2次ケ−ブルは、溶接箇所まで頻繁に引き回さ
れ、特に、本体ケ−ブルは、屈曲回数が多く、使用を繰
り返すと部分断線し、しかもその部分断線数の進行が速
い。
【0066】さらに、スタッド溶接は、1000[A]
以上の大電流を通電するために、2次ケーブルの抵抗値
が小であっても、10〜30[V]程度のかなり大きい
電圧降下が発生して、2次ケーブルが発熱する。特に、
屈曲回数が多い部分では、溶接作業中に、急速に部分断
線数が進行して、部分断線部分にア−クが発生すること
があり危険である。この2次ケーブルの屈曲回数が多い
部分は、溶接作業者近傍の位置であるために、実際に火
傷事故が発生したことがある。そこで、定期的に又は溶
接作業の開始前に、溶接ケーブル素線の断線及びその部
分断線数の進行をチェック(以下、断線チェックとい
う)する必要がある。
【0068】本出願人は、スタッド溶接において、実際
に発生した事故に対する対策(2次ケ−ブルの断線チェ
ック)として、2次ケ−ブル自体に定電流を通電して、
断線チェックしたい部分の温度上昇を確認する方法を検
討した。以下に、この2次ケ−ブルの検討済断線チェッ
ク方法を説明する。
【0075】図7は、本出願人の従来方法のスタッド溶
接の2次ケ−ブルの劣化状態をチェックするときの2次
ケ−ブルの接続状態を示す図である。この断線チェック
方法は、2次ケーブル素線数の1/2が断線した場合
を、2次ケ−ブルの寿命と定める。同図において、通常
のスタッド用溶接電源装置1を使用して、2次ケ−ブル
17に定電流を通電する。本体ケ−ブル17aの劣化状
態をチェックするときは、図6の状態から、本体ケーブ
ル接続金具GN12に接続されている本体ケーブル17
aを取り外し、溶接電源装置1の一方の出力端子に接続
されている溶接ケーブル17に接続する。この断線チェ
ックしたい本体ケーブル17aの断線チェック部分17
bの温度上昇値を、熱電対34等を使用した温度上昇値
測定器33を使用して予め測定しておき、この初回の温
度上昇値を判定温度上昇値Trsとする。
【0076】次に、実際に、スタッド溶接電流に相当す
る1秒間通電と5秒間休止とを1サイクルとする約15
00[A]の電流を通電する。20サイクル及び100
サイクル(以下、N回目という)の通電中に、温度上昇
値測定器33を使用して断線チェック部分17bの温度
上昇値を測定し、このN回目の測定温度上昇値Trnと判
定温度上昇値Trsとを比較して、寿命を推定する。
【0078】この本出願人の従来方法は、断線の発生し
やすい屈曲部分、例えば、図7の断線チェック部分17
bを特定しておき、その特定した断線チェック部分17
bの温度上昇値を熱電対34等を用いて測定しなければ
ならないために、かなりの労力を必要とする。特に、建
築現場での作業では、断線の発生しやすい屈曲部分が多
数あるために、多数の屈曲部分の温度上昇値を熱電対3
4等を用いて測定することは実用的でない。さらに、特
定した箇所の温度測定時に、誤差及びバラツキが生じる
ために、この検討済断線チェック方法は、常に、2次ケ
−ブルの被覆外観チェックと併用する必要がある。
【0080】
【発明が解決しようとする課題】(1)従来技術では、
第1に、第2に、作業者が、仕上がり高さの測定の代わ
りに、溶接電流値、溶接電源装置の出力端子電圧値、溶
接時間、引き上げ距離、押し込み距離等の電気測定値に
よって、溶接継手の良否を判定する方法では、溶接電流
値、溶接時間、溶接ガンの移動量(引き上げ距離及び押
し込み距離)等の実際の測定値が、溶接機器動作設定値
のとおりであったかどうかをチェックして、溶接継手の
良否を判定して不良と判定したときは、その不良の原因
について、溶接機器からガイドがなかったので、作業者
の経験に基づいてその不良の原因を究明しなければなら
ない。 (2)従来技術では、溶接終了後に不良を判定しても、
手直し、追加溶接等に労力を要し、作業効率を低下させ
た。
【0082】前述したように、不良発生の原因が多数あ
るために、作業者が、不良が発生したことを表示、警報
等によって知っても、その原因の究明が容易でなく、そ
の原因の究明に多大な労力を要し、作業効率を低下させ
ていた。
【0084】したがって、本発明の目的は、溶接開始前
の段階から溶接中及び溶接後までのいずれかの段階又は
複数の段階で、作業者が過大な労力を要しない方法で、
早い段階で、溶接不良となる要因を除去し、又は作業者
が対処しやすいように溶接不良となる要因を表示するこ
とにある。
【0086】本出願人は、前述した従来技術1乃至7に
記載した溶接不良が発生しないようにするために、溶接
開始前の段階から溶接中及び溶接後までのいずれかの段
階又は複数の段階で、溶接不良となる要因を除去する方
法を提案して出願している。これらの溶接不良となる要
因を除去する方法の本出願人の先願は、次のとおりであ
る。
【0090】A.スタッド溶接ガン円滑移動確認 特願平 9-249383 に記載した先願1の「スタッド溶接ガ
ン移動方法及び装置」は、従来技術1の課題を解決する
ために、スタッドを引き上げ及び押し込む移動軸GN8
の端部に取り付けた保持具GN9にスタッドを保持して
溶接するスタッド溶接ガン移動方法において、スタッド
の引き上げ距離L1及び押し込み距離L2をプリセット
し、溶接開始前に、溶接ガンGNに取り付けた移動軸G
N8を移動させて移動量を検出し、この移動量検出値e
fと移動量設定値erとを比較して、予め設定した移動
許容値よりも大又は小になると、異常表示又は警報し、
また溶接開始動作を停止し、上記の移動許容値の範囲を
越えなかったときは、溶接開始動作をする方法である。
【0092】先願1の上記の第1の方法を実施すると、
ポテンショメ−タ自体又は取り付けの不良、フィードバ
ック系回路の不良、溶接ガンの機械的な引っかかり、制
御ケーブルの接続不良等を発見することができる。
【0094】先願1の第1の方法においては、溶接ガン
の移動が円滑に行われなく、部分的に機械的な引っかか
りがあっても、確認範囲の最終位置において、移動量許
容値又は移動量上下限許容値よりも大又は小でなければ
正常移動と判別される。溶接ガンの移動中に部分的に機
械的な引っかかりがあり、円滑に移動しないときは、ス
タッドが短絡したり、傾斜して片溶けを生じたりして、
溶接スタッドが不良になることがある。
【0096】そこで、移動中の任意の時点t1の移動量
設定信号er1と移動中の任意の時点t1の移動量検出信
号ef1との差の移動量比較値の絶対値|er1−ef1|
を、予め設定した移動量差許容値δと比較する先願1の
第2の方法を実施すると、そのような部分的に機械的な
引っかかりがあったときでも、異常移動であると判定す
ることができる。
【0100】B.主アーク期間中の短絡発生による入熱
不足の補償 特願平 9-249384 に記載した先願2の「スタッド溶接の
入熱積算押し込み制御方法」は、従来技術2の課題を解
決するために、検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav
( Δt)を基に算出した主アーク期間積算入熱量Qta3n
が、予め設定した主アーク期間全体の標準入熱量Qst38
に達した時点tnで押し込みを開始するスタッド溶接の
入熱積算押し込み制御方法である。
【0101】[図8の説明]図8(A)は、正常な溶接
時の検出期間中の溶接電流平均値Iavを算出する説明図
であり、同図(B)は、正常な溶接時の検出間隔Δtご
とに検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) を
算出する説明図であり、同図(C)は正常な溶接時のス
タッド先端の移動量Mを示す図である。
【0102】同図(A)に示すように、補助ア−ク電流
通電開始時点t0において、溶接開始終了スイッチ13
を押して補助ア−ク電流Ipの通電を開始すると共に、
スタッドSを被溶接材Wから引き上げて補助ア−クを発
生させる。
【0103】この補助ア−ク電流通電開始時点t0又は
主ア−ク電流通電開始時点t2から、後述する図12に
示す溶接電流検出回路IC及び溶接電圧検出回路VCに
よって、各時刻tの溶接電圧値V1(t)及び各時刻tの溶
接電流値I1(t)を予め設定した検出間隔△tで検出し
て、この検出間隔Δtごとに検出間隔ごとの主ア−ク電
圧平均値Vav(△t)及び主ア−ク電流平均値Iav(△
t)を算出する。
【0104】次に、主ア−ク電流通電開始時点t2にお
いて、補助ア−ク電流Ipから主ア−ク電流Iaに切り
換える。前述した主ア−ク電流通電開始時点t2直後の
主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3から主ア−ク電流
・電圧検出終了時点t8までの主アーク入熱標準値設定
期間T38に、各時刻tの溶接電圧値V1(t)を検出して、
短絡が発生しないときの検出間隔ごとの主ア−ク電圧平
均値Vav(Δt)を算出する。同様に、各時刻tの溶接
電流値I1(t)を検出して、短絡が発生しないときの検出
間隔ごとの主ア−ク電流平均値Iav( Δt )を算出す
る。
【0106】[数1の説明]図8において、主ア−ク電
流・電圧検出開始時点t3から主ア−ク電流・電圧検出
終了時点t8までの間、検出間隔Δtごとに、検出間隔
ごとの主ア−ク電圧平均値Vav(Δt)及び検出間隔ご
との主ア−ク電流平均値Iav( Δt )を算出して、検出
間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを数1によって算出す
る。
【0107】
【数1】
【0108】[数2の説明]図8(A)及び(B)に示
すように、主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3から主
ア−ク電流・電圧検出終了時点t8までの正常な溶接時
の検出期間全体の標準入熱量Qstを算出する式について
説明する。数2の右辺の1番目の式によって、検出間隔
ごとの入熱量平均値ΔQavを主ア−ク電流・電圧検出開
始時点t3から主ア−ク電流・電圧検出終了時点t8ま
で積算して検出期間全体の標準入熱量Qstを算出する。
【0109】
【数2】
【0110】図8(A)及び(B)に示すように、上記
の主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3の検出間隔Δt
の検出開始時点はt01であり、主ア−ク電流・電圧検出
終了時点t8の検出間隔Δtの検出開始時点はt0nであ
る。したがって、1回目の検出間隔Δtの検出開始時点
t01から検出回数n回目の検出間隔Δtの検出開始時点
t0nまでの検出期間全体の標準入熱量Qstを、数2の右
辺の2番目の式によって算出してもよい。
【0112】[数3の説明]また、検出期間全体の標準
入熱量Qstを上記の数2によって算出する代わりに、主
ア−ク電流・電圧検出開始時点t3の1回目の検出間隔
Δtから主ア−ク電流・電圧検出終了時点t8の検出回
数n回目の検出間隔Δtまでの検出期間全体の標準入熱
量Qstを、数3によって算出してもよい。
【0113】
【数3】
【0120】[図9の説明]図9(A)は、各溶接中の
検出期間中の溶接電流平均値Iav又は検出間隔ごとの主
ア−ク電流平均値Iav( Δt)を算出する説明図であり、
同図(B)は、各溶接中の検出間隔Δtごとに検出間隔
ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) を算出する説明
図である。
【0121】後述する図12の溶接電源装置1として、
サイリスタ等の半導体スイッチング素子を用いた略定電
流制御方式の電源装置を使用た場合、主アーク電流通電
開始時点t2から短絡電流通電終了時点t10までの間、
溶接電流値Ioが略一定に制御された定電流が流れる。
【0122】主ア−ク電流通電終了時点、即ち短絡電流
通電開始時点t9で、押し込み動作を開始して短絡させ
ると、図9(A)に示すように、正常に短絡した瞬間に
急峻な電流が流れる。この急峻な電流の増加分は、主ア
ーク電流Iaの平均値と比較して無視することができる
範囲である。そこで、主アーク期間Taの溶接電流値I
oは、アーク発生時も瞬時的な短絡時も略一定値である
ので、下記の数6及び数7に示すように、検出間隔ごと
の主ア−ク電流平均値Iav( Δt)を測定しないで、数4
及び数5に示すように検出期間中の溶接電流平均値Iav
を測定してもよい。
【0123】次に、図9(A)及び(B)を参照して、
主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3から、検出期間全
体の標準入熱量Qstに達した主ア−ク電流・電圧検出終
了時点tnまでの積算入熱量Qtaを算出する式について
説明する。
【0124】[数4の説明] 検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) 及び
検出期間中の溶接電流平均値Iavを測定して、数1と同
様に、検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを算出する。 数4の右辺の1番目の式によって、主ア−ク電流・電
圧検出開始時点t3から主ア−ク電流・電圧検出終了時
点tnまで、検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを積算
して、積算入熱量Qtaを算出する。
【0125】
【数4】
【0126】上記の主ア−ク電流・電圧検出開始時点t
3の検出間隔Δtの検出開始時点はt01であり、主ア−
ク電流・電圧検出終了時点tnの検出間隔Δtの検出開
始時点はt0nである。したがって、1回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t01から検出回数n回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t0nまでの積算入熱量Qtaを、数4の
右辺の2番目の式によって算出してもよい。
【0128】[数5の説明] 検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) 及び
検出期間中の溶接電流平均値Iavを測定して、数1と同
様に、検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを算出する。 また、積算入熱量Qtaを上記の数4によって算出す
る代わりに、主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3の1
回目の検出間隔Δtから主ア−ク電流・電圧検出終了時
点tnの検出回数n回目の検出間隔Δtまでの積算入熱
量Qtaを、数5によって算出してもよい。
【0129】
【数5】
【0130】[数6の説明] 検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) 及び
検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値Iav( Δt)を測定し
て、数1と同様に、検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQav
を算出する。 積算入熱量Qtaは、検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQ
avを、主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3から主ア−
ク電流・電圧検出終了時点tnまで、数6の右辺の1番
目の式によって算出する。
【0131】
【数6】
【0132】上記の主ア−ク電流・電圧検出開始時点t
3の検出間隔Δtの検出開始時点はt01であり、主ア−
ク電流・電圧検出終了時点tnの検出間隔Δtの検出開
始時点はt0nである。したがって、1回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t01から検出回数n回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t0nまでの積算入熱量Qtaを、数6の
右辺の2番目の式によって算出してもよい。
【0134】[数7の説明] 検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) 及び
検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値Iav( Δt)を測定し
て、数1と同様に、検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQav
を算出する。 また、積算入熱量Qtaを上記の数4によって算出する
代わりに、主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3の1回
目の検出間隔Δtから主ア−ク電流・電圧検出終了時点
tnの検出回数n回目の検出間隔Δtまでの積算入熱量
Qtaを、数7によって算出してもよい。
【0135】
【数7】
【0136】通常のスタッド溶接においては、前述した
図9に示した補助ア−ク期間Tpは0. 1〜0. 2
[秒]であり、主アーク期間Taは0. 4〜1. 5
[秒]であり、短絡期間Tsは0. 2[秒]位であっ
て、補助ア−ク期間Tpは主アーク期間Taに比べて1
/10程度の通電時間であり、しかも補助ア−ク電流値
Ipは主ア−ク電流値Iaよりも小であるので、制御回
路を簡単にするために、補助アーク入熱標準値設定期間
T12の補助ア−ク期間積算入熱量Qta12の算出を省略し
ている。
【0140】C.横向き溶接の溶融金属の垂れ下がりに
よる短絡の発生防止 特願平 9-316180 に記載した先願3の「主電流切換スタ
ッド溶接方法」は、従来技術3の課題を解決するため
に、主アーク期間Taの後半に、主アーク電流値Iaを
増加させる主電流切換スタッド溶接方法である。しか
し、この先願3の溶接方法であっても、作業者が、主ア
ーク期間Taの後半のどの時点で、どれだけの主アーク
電流値Iaを増加させるかを判断して設定しなければな
らない。
【0141】図10は、切換前の主ア−ク電流値Iaを
通電して切換前標準入熱量Qst3bに達した時点tbで、
切換後の主ア−ク電流値Ibに切り換えて通電して、切
換後標準入熱量Qstb8に達した時点tnで、押し込みを
開始する主ア−ク電流値切換説明図である。
【0142】図10に示すように、CPUは、上記の既
知の主ア−ク電流値Ia、予め設定した主アーク期間全
体の標準入熱量Qst38、切換溶接電流値比率α及び切換
標準入熱量比率βから、下記の順序で、切換前標準入熱
量Qst3b及び切換後標準入熱量Qstb8を算出して、積算
している主アーク期間積算入熱量Qta3nが、切換前標準
入熱量Qst3bに達した時点tbで、主ア−ク電流値Ia
からIbに切り換え、さらに切換後標準入熱量Qstb8に
達した時点で押し込みを開始する。
【0143】 Ib=α・Ia …(式1) Qstb8=β・Qst38 …(式2) Qst3b+Qstb8=Qst38 …(式3) Qst3b=k・Ia・T3b …(式4) 式2及び式4を式3に代入すると、 k・Ia・T3b=(1−β)Qst38 …(式5) この式5から切換前通電期間T3bが定まる。この切換
前通電期間T3bが定まると、式4から切換前標準入熱量
Qst3bが定まる。 この切換前標準入熱量Qst3bが定まると、式3から切
換後標準入熱量Qstb8が定まる。 なお、図10(A)及び同(B)において、Tb8は切換
後標準入熱量Qstb8を算出する切換後通電期間であり、
Tbnは切換後主ア−ク期間積算入熱量Qtab8を算出する
切換後通電期間であり、Vaは切換前の主ア−ク電流値
Iaのときの切換前の主アーク電圧値であり、Va1は切
換後の主ア−ク電流値Ibのときの切換後の主アーク電
圧値である。
【0144】D.上板貫通溶接の押し込み距離不足の防
止 上板貫通溶接の押し込み距離不足を解決した先願技術
は、上記の横向き溶接の溶融金属の垂れ下がりによる短
絡の発生を解決した先願3と同じ技術を使用している。
【0145】E.溶接回路の電圧降下補償 特願平 9-343940 に記載した先願4の「スタッド溶接の
ケーブル電圧降下補償方法」は、従来技術5の課題を解
決するために、検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav
( Δt)から溶接回路電圧降下V5を減算した検出間隔ご
との算出平均アーク電圧V3を基に算出した主アーク期
間積算入熱量Qta3nが、予め設定した主アーク期間全体
の標準入熱量Qst38に達した時点tnで押し込みを開始
するスタッド溶接のケーブル電圧降下補償方法である。
【0146】[図11の説明]図11(A)は、各溶接
中の溶接電流値Ioから検出期間中の溶接電流平均値I
av又は検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値Iav( Δt)を
検出する説明図であり、同図(B)は、各溶接中の出力
端子電圧Vdから、検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値
Vav( Δt) を検出する説明図である。
【0147】[数8の説明]数8の右辺の1番目の式に
よって、主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3から主ア
−ク電流・電圧検出終了時点tnまで、次の順序で、検
出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを積算して、積算入熱
量Qtaを算出する。
【0148】検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav
( Δt) 及び検出期間中の溶接電流平均値Iavを測定す
る。 検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) から
溶接回路電圧降下V5を減算した検出間隔ごとの算出平
均アーク電圧V3を算出する。 V3=Vav( Δt) −V5 上記の溶接回路電圧降下V5は、初回の溶接ではV5=
V5sとなり、2回目以後の溶接ではV5=Ra×Iavと
なるので、初回の溶接ではV3=V3sとなり、2回目以
後の溶接ではV3=V3pとなる。ただし、V5sは設定電
圧降下であり、Raは算出抵抗値であり、Iavは検出期
間中の溶接電流平均値であり、V3sは検出間隔ごとの設
定算出平均アーク電圧であり、V3pは検出間隔ごとの押
し込み算出平均アーク電圧である。
【0149】検出間隔ごとの算出平均アーク電圧V3
と検出期間中の溶接電流平均値Iavとの積の検出間隔ご
との入熱量平均値ΔQavを算出する。 ΔQav=V3×Iav×Δt 検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを、数8によって
積算して、積算入熱量Qtaを算出する。
【0150】
【数8】
【0151】上記の主ア−ク電流・電圧検出開始時点t
3の検出間隔Δtの検出開始時点はt01であり、主ア−
ク電流・電圧検出終了時点tnの検出間隔Δtの検出開
始時点はt0nである。したがって、1回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t01から検出回数n回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t0nまでの積算入熱量Qtaを、数8の
右辺の2番目の式によって算出してもよい。
【0152】[数9の説明]また、積算入熱量Qtaを上
記の数8によって算出する代わりに、主ア−ク電流・電
圧検出開始時点t3の1回目の検出間隔Δtから主ア−
ク電流・電圧検出終了時点tnの検出回数n回目の検出
間隔Δtまでの積算入熱量Qtaを、数9によって算出し
てもよい。
【0153】
【数9】
【0154】[数10の説明]数10の右辺の1番目の
式によって、主ア−ク電流・電圧検出開始時点t3から
主ア−ク電流・電圧検出終了時点tnまで、次の順序
で、検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを積算して、積
算入熱量Qtaを算出する。 検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) 及び
検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値Iav( Δt)を測定す
る。 検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) から
溶接回路電圧降下V5を減算した検出間隔ごとの算出平
均アーク電圧V3を算出する。 V3=Vav( Δt) −V5 上記の溶接回路電圧降下V5は、初回の溶接ではV5=
V5sとなり、2回目以後の溶接ではV5=Ra×Iav(
Δt) となるので、初回の溶接ではV3=V3sとなり、
2回目以後の溶接ではV3=V3pとなる。ただし、V5s
は設定電圧降下であり、Raは算出抵抗値であり、Iav
( Δt) は検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値であり、
V3sは検出間隔ごとの設定算出平均アーク電圧であり、
V3pは検出間隔ごとの押し込み算出平均アーク電圧であ
る。
【0155】検出間隔ごとの算出平均アーク電圧V3
と検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値Iav( Δt)との積
の検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを算出する。 ΔQav=V3×Iav( Δt)×Δt 検出間隔ごとの入熱量平均値ΔQavを、数10によっ
て積算して、積算入熱量Qtaを算出する。
【0156】
【数10】
【0157】上記の主ア−ク電流・電圧検出開始時点t
3の検出間隔Δtの検出開始時点はt01であり、主ア−
ク電流・電圧検出終了時点tnの検出間隔Δtの検出開
始時点はt0nである。したがって、1回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t01から検出回数n回目の検出間隔Δ
tの検出開始時点t0nまでの積算入熱量Qtaを、数10
の右辺の2番目の式によって算出してもよい。
【0158】[数11の説明]また、積算入熱量Qtaを
上記の数10によって算出する代わりに、主ア−ク電流
・電圧検出開始時点t3の1回目の検出間隔Δtから主
ア−ク電流・電圧検出終了時点tnの検出回数n回目の
検出間隔Δtまでの積算入熱量Qtaを、数11によって
算出してもよい。
【0159】
【数11】
【0160】F.溶接機器動作自動設定 また、平成9年12月22日に出願した先願5の「溶接
機器動作自動設定スタッド溶接方法」は、従来技術6の
課題を解決するために、作業者がスタッドの種類と溶接
姿勢と被溶接材配置とを入力すると、溶接制御装置3が
上記入力値に対応した必要な入熱Qrと溶接ガンGNの
移動量とを含む溶接機器設定値を算出又は選定して、溶
接電源装置1及び溶接ガンGNが上記溶接機器設定値に
従って動作する溶接方法である。
【0162】[図12の説明]図12は、本発明の溶接
機器動作自動設定スタッド溶接方法を実施するスタッド
溶接装置のブロック図である。図12において、3相交
流電源Aの商用電力を入力として出力端子電圧値Vdで
溶接電流値Ioの溶接電力を出力する溶接電源装置1と
溶接ガンGNと溶接制御装置3とからなる。溶接ガンG
Nは、スタッドSを移動させるためのサ−ボモ−タ2
4、スタッドSの移動量を検出するポテンショメ−タ等
の移動量検出回路MC、当接部材GN2等から形成され
る。
【0164】溶接電源装置1は、溶接ガンGNに供給さ
れる溶接電流値Ioを検出して溶接電流検出信号Icを
出力する溶接電流検出回路ICと、溶接電源装置1の出
力端子電圧値Vdを検出して溶接電圧検出信号Vcを出
力する溶接電圧検出回路VCと、予め設定された電流指
令信号に応じて溶接電流値Ioを制御するサイリスタ等
の半導体スイッチング素子からなる溶接電流調整回路1
5とから形成される。
【0166】溶接制御装置3は、演算処理回路CPU
と、演算処理回路CPUから出力された予め設定された
「溶接電流値Ioに対応するディジタル信号」をアナロ
グ信号の予め設定された電流指令信号に変換するD/A
変換回路6と、上記の変換された電流指令信号を上記の
溶接電流調整回路15に出力する電流指令出力回路5
と、検出した溶接電流検出信号Icを演算処理回路CP
Uに供給するA/D変換回路7と、検出した溶接電圧検
出信号Vcを演算処理回路CPUに供給するA/D変換
回路8と、演算処理回路CPUから出力された所定のス
タッドの移動量Mに対応するディジタル信号をアナログ
信号に変換するD/A変換回路21と、変換されたスタ
ッドの移動量Mに対応するアナログ信号に応じてサ−ボ
モ−タ24を駆動するモ−タ駆動回路26と、検出した
移動量検出信号Mcを演算処理回路CPUに供給するA
/D変換回路20と、主ア−ク電流値Ia、引き上げ距
離L1、押し込み距離L2等のプリセット条件を設定及
び作業者がスタッド・被溶接材条件の表示に従って、ス
タッド・被溶接材条件及び周囲設置条件の選択をする条
件設定スイッチ27と、上記プリセット条件、溶接結果
デ−タ等を記憶する記憶回路11と、プリセット条件及
び溶接結果を表示するディジタルパネル等の表示回路又
は作業者に異常を知らせる警報回路からなる表示回路又
は警報回路12(以下、表示回路12という)とから形
成される。
【0168】以下、図12の実施例のスタッド溶接装置
の動作について説明する。溶接ガンGNに保持させたス
タッド先端を被溶接材Wに当接する位置まで押し当て、
溶接ガンGNに配設されている溶接開始終了スイッチ1
3を押すと、当接位置にあったスタッドSは、予め設定
された引き上げ距離L1だけ引き上げられると同時に、
補助アーク電流Ip を通電する。以下、作業者が、厚板
の鋼板上に予め定めた直径のスタッドを横向き姿勢で溶
接する場合の先願5の溶接方法について説明する。
【0170】第1に、「(A)スタッド・被溶接材条件
及び周囲設置条件と溶接機器設定値との関係を前述した
図12の溶接制御装置3の記憶回路11に記憶するスタ
ッド溶接条件・機器設定値記憶動作」について説明す
る。上記のスタッド溶接条件・機器設定値記憶動作は次
のステップを実行する。 (1)横向き姿勢で、被溶接材直接溶接をする場合、溶
接開始前に、各スタッドの呼び径に対応させた「主ア−
ク電流値Ia、引き上げ距離L1及び押し込み距離L
2」を、条件設定スイッチ27によって予め設定して、
記憶回路11の横向き姿勢・被溶接材直接溶接(以下、
横向き溶接という)の溶接条件・機器設定値対応表に書
き込む。 (2)前述した図8に示すように、正常な溶接時の主ア
ーク期間全体の標準入熱量Qst38を、前述した数1乃至
数3によって算出して、記憶回路11の横向き溶接の溶
接条件・機器設定値対応表に書き込む。
【0172】(3)切換溶接電流値比率α=Ib/Ia
(例えば、α=1. 1)及び切換標準入熱量比率β=Q
stb8/Qst38(例えば、β=0. 1)を、条件設定スイ
ッチ27によって予め設定して、記憶回路11の横向き
溶接の溶接条件・機器設定値対応表に書き込む。ただ
し、Ibは切換後の主ア−ク電流値であり、Qstb8は切
換後標準入熱量であり、Qst38は標準入熱量である。
【0174】第2に、前述した「(B)溶接装置に商用
電源を供給すると、図12の表示回路12にスタッド・
被溶接材条件が表示され、作業者がその表示に従って、
条件設定スイッチ27によってスタッド・被溶接材条件
及び周囲設置条件の選択をするスタッド溶接条件選定動
作」について説明する。
【0176】作業者は表示に従って、条件設定スイッチ
27によって下記の選択をする。 (1)スタッドの直径の呼び径(M4,M5,M6,M
8,M10,M12,M16,M18,M20,M2
2,φ13,φ16,φ19,φ22)が表示されるの
で、例えば、M20を選択する。 (2)溶接姿勢(下向き姿勢、横向き姿勢)が表示され
るので、横向き姿勢を選択する。 (3)被溶接材配置(被溶接材直接溶接、上板貫通溶
接)が表示されるので、被溶接材直接溶接を選択する。
【0200】(4)図12において、CPUは、記憶回
路11に予め記憶しておいた横向き溶接の溶接条件・機
器設定値対応表から、主ア−ク電流値Ia、主アーク期
間全体の標準入熱量Qst、引き上げ距離L1及び押し込
み距離L2を読み出して、表示回路12に表示する。
【0202】(5)上記の(2)で、横向き姿勢を選択
したので、切換溶接電流値比率α=Ib/Ia=1.
1,1. 15,1. 2等が表示される。このとき、作業
者は、例えば、1. 1を選択する。続いて、切換標準入
熱量比率β=Qstb8/Qst38=0. 1,0. 15,0.
2等が表示されるので、作業者は、例えば、0. 1を選
択する。
【0204】このとき、今回以前に同じスタッド・被溶
接材条件で溶接して適正値が記憶されているときは、各
溶接機器設定値の最小値、平均値、最大値等も同時に表
示される。作業者は、これらの表示されたいずれかの値
を選択するか、これらの表示されたいずれかの値を参考
にして微調整又は作業者が希望する値を入力すると、C
PU内部の主記憶領域に書き込まれる。最も簡単な選択
は、作業者が実行キーを押せば標準の値がそのまま、C
PU内部の主記憶領域に書き込まれる。
【0206】第3に、前述した「(C)作業者が溶接開
始終了スイッチ13を押して溶接を開始し、選定した溶
接機器設定値に従って溶接電源装置1及び溶接ガンGN
が動作してスタッド溶接する溶接機器自動動作」につい
て説明する。上記の溶接機器自動動作は次のステップを
実行する。 溶接開始終了スイッチ13を押して溶接を開始する
と、CPU内部の主記憶領域から読み出した溶接機器設
定値に従って動作を開始する。 図9に示すように、補助ア−ク電流通電開始時点t0
において、補助ア−ク電流Ipの通電を開始すると共
に、スタッドSを被溶接材Wから引き上げて補助ア−ク
を発生させる。
【0208】補助ア−ク期間Tpが経過した主ア−ク
電流通電開始時点t2で、補助ア−ク電流Ipから主ア
−ク電流Iaに切り換える。 前述した図8に示す場合と同様に、主アーク電流・電
圧検出開始時点t3から、検出期間中の溶接電流平均値
Iav又は検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値Iav( Δt)
及び検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt)を測
定する。 この検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt)と
検出期間中の溶接電流平均値Iav又は検出間隔ごとの主
ア−ク電流平均値Iav( Δt)との積の検出間隔ごとの入
熱量平均値ΔQavを積算して主アーク期間積算入熱量Q
ta3nを算出する。
【0210】切換前の主ア−ク電流値Iaを通電し
て、積算した主アーク期間積算入熱量Qta3nが、切換前
標準入熱量Qst3bに達した時点tbで、切換後の主ア−
ク電流値Ibに切り換える。 切換後の主ア−ク電流値Ibを通電して、主ア−ク電
流値切換時点tbから積算した主アーク期間積算入熱量
Qta3nが、切換後標準入熱量Qstb8に達した時点tn又
は主アーク電流・電圧検出開始時点t3から積算した主
アーク期間積算入熱量Qta3nが、上記主アーク期間全体
の標準入熱量Qst38に達した時点tnで押し込みを開始
する。
【0220】G.溶接用の2次ケーブル素線の断線進行
予測 また、平成9年12月26日に出願した先願6の「溶接
用の2次ケーブル素線の断線進行予測方法」は、従来技
術7の課題を解決するために、通電時間が経過して2次
ケ−ブル素線の断線数が増加するに従って、素線断線部
分の温度が著しく上昇するときは、その素線断線部分を
含む2次ケ−ブル抵抗値の上昇を下記の方法で測定して
2次ケーブル素線の断線の進行を予測する。
【0222】溶接作業開始前に、接続している2次ケ
−ブルの断面及び長さにおける抵抗値から過熱焼損の危
険を生ずる抵抗値までの抵抗増加許容値ΔRr を予め定
めておく。 溶接作業開始時の初回の溶接時に、スタッドを被溶接
材に押し込んだ後の短絡電流通電中に、押し込み短絡電
圧平均値V2a=V21と押し込み短絡電流平均値I2a=I
21とを検出して初期抵抗値R1=V21/I21を算出す
る。
【0224】次に、溶接毎、例えばN回目にスタッド
を被溶接材に押し込んだ後の短絡電流通電中に、押し込
み短絡電圧平均値V2a=V2nと押し込み短絡電流平均値
I2a=I2nとを検出してN回目抵抗値Rn=V2n/I2n
を算出する。 このN回目抵抗値Rnと上記初期抵抗値R1との差の
N回目抵抗値増加分ΔRn=Rn−R1を算出する。
【0226】このN回目抵抗値増加分ΔRnと上記抵
抗増加許容値ΔRrとを比較して、上記N回目抵抗値増
加分ΔRnが上記抵抗増加許容値ΔRrよりも大になっ
たときに、作業者に表示又は警報する。
【0228】先願6の方法において、短絡電圧瞬時値V
(t)及び短絡電流瞬時値I(t)の検出ごとに、累積
抵抗値Rntと初期抵抗値R1との差のN回目溶接時の累
積抵抗値増加分ΔRnt=Rnt−R1を算出し、この累積
抵抗値増加分ΔRntが抵抗増加許容値ΔRrを越えたと
きに、溶接電流を遮断する構成を実施すると、2次ケー
ブルの過熱焼損を余裕をもって防止することができる。
【0241】
【課題を解決するための手段】出願時の請求項1の方法
は、スタッド溶接のスタッドを引き上げてアークを発生
させ、所定時間後にスタッドを被溶接材に押しつけて短
絡させて溶接するスタッド溶接の不良原因表示方法にお
いて、溶接不良となるおそれがある現象を検出し、この
検出値に対応した溶接不良となるおそれがある複数の原
因を予め想定して、この想定した複数の原因を表示する
スタッド溶接不良原因表示方法である。
【0242】出願時の請求項2の方法は、スタッド溶接
のスタッドを引き上げてアークを発生させ、所定時間後
にスタッドを被溶接材に押しつけて短絡させて溶接する
スタッド溶接の不良原因表示方法において、溶接開始前
の段階から溶接中及び溶接後までのいずれかの段階又は
複数の段階で溶接不良となるおそれがある現象を検出
し、この検出値に対応した溶接不良となるおそれがある
複数の原因を予め想定して、この想定した複数の原因の
うち、頻度が高いと予想される原因の順に不良原因を表
示するスタッド溶接不良原因表示方法である。
【0243】出願時の請求項3の方法は、スタッド溶接
のスタッドを引き上げてアークを発生させ、所定時間後
にスタッドを被溶接材に押しつけて短絡させて溶接する
スタッド溶接の不良原因表示方法において、スタッド溶
接機器に、溶接不良となるおそれがある原因を除去する
方法を実行させ、溶接開始前の段階から溶接中及び溶接
後までのいずれかの段階又は複数の段階で、溶接不良と
なるおそれがある現象を検出し、この検出値に対応した
溶接不良となるおそれがある複数の原因を予め想定し
て、この想定した複数の原因のうち、頻度が高いと予想
される原因の順に不良原因を表示するスタッド溶接不良
原因表示方法である。
【0244】出願時の請求項4の方法は、スタッド溶接
のスタッドを引き上げてアークを発生させ、所定時間後
にスタッドを被溶接材に押しつけて短絡させて溶接する
スタッド溶接の不良原因表示方法において、スタッド溶
接機器に、溶接不良となるおそれがある原因を除去する
方法を実行させ、溶接開始前の段階から溶接中及び溶接
後までのいずれかの段階又は複数の段階で、溶接不良と
なるおそれがある現象を検出し、この検出した時点で、
スタッド溶接機器の次の動作を停止すると共に、この検
出値に対応した溶接不良となるおそれがある複数の原因
を予め想定して、この想定した複数の原因のうち、頻度
が高いと予想される原因の順に不良原因を表示するスタ
ッド溶接不良原因表示方法である。
【0245】出願時の請求項5の方法は、スタッド溶接
のスタッドを引き上げてアークを発生させ、所定時間後
にスタッドを被溶接材に押しつけて短絡させて溶接する
スタッド溶接の不良原因表示方法において、スタッド溶
接機器に、溶接不良となるおそれがある頻度の高い発生
原因を除去する方法を実行させ、溶接開始前の段階から
溶接中及び溶接後までのいずれかの段階又は複数の段階
で、溶接不良となるおそれがある現象を検出し、この検
出した時点で、スタッド溶接機器の次の動作を停止する
と共に、この検出値に対応した溶接不良となるおそれが
ある複数の原因を予め想定して、この想定した複数の原
因のうち、頻度が高いと予想される原因の順に不良原因
を表示するスタッド溶接不良原因表示方法である。
【0246】出願時の請求項6の方法は、出願時の請求
項5の方法の溶接不良となるおそれがある頻度の高い発
生原因を除去する方法が、入熱不足が発生しないよう
に、検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値から算出した主
アーク期間積算入熱量が、予め設定した主アーク期間全
体の標準入熱量に達した時点で押し込み動作を開始する
スタッド溶接不良原因表示方法である。
【0247】出願時の請求項7の方法は、出願時の請求
項5の方法の溶接不良となるおそれがある頻度の高い発
生原因を除去する方法が、スタッドの引き上げ距離L1
及び押し込み距離L2をプリセットし、溶接開始前に、
溶接ガンGNに取り付けた移動軸GN8を移動させて移
動量を検出し、この移動量検出値efと移動量設定値e
rとを比較して、予め設定した移動許容値よりも大又は
小になると、異常表示又は警報し、また溶接開始動作を
停止し、上記の移動許容値の範囲内にあるときは、溶接
開始の動作をするスタッド溶接不良原因表示方法であ
る。
【0248】出願時の請求項8の方法は、出願時の請求
項5の方法の溶接不良となるおそれがある頻度の高い発
生原因を除去する方法が、作業者がスタッドの種類と溶
接姿勢と被溶接材配置とを入力すると、溶接制御装置3
が上記入力値に対応した必要な入熱Qrと溶接ガンGN
の移動量とを含む溶接機器設定値を算出又は選定して、
溶接電源装置1及び溶接ガンGNが上記溶接機器設定値
に従って動作するスタッド溶接不良原因表示方法であ
る。
【0249】出願時の請求項9の方法は、出願時の請求
項5の方法の溶接不良となるおそれがある第1の発生原
因を除去する方法及び第2の発生原因を除去する方法を
実行し、溶接開始前の段階から溶接中及び溶接後までの
いずれかの段階又は複数の段階で、第1及び第2以外の
残りの溶接不良となるおそれがある現象を検出し、この
検出値に対応した溶接不良となるおそれがある複数の原
因を予め想定して、この想定した複数の原因のうち、頻
度が高いと予想される原因の順に不良原因を表示するス
タッド溶接不良原因表示方法である。
【0250】出願時の請求項10の方法は、出願時の請
求項4の方法の溶接不良となるおそれがある複数の発生
原因を除去する方法を実行し、溶接開始前の段階から溶
接中及び溶接後までのいずれかの段階又は複数の段階
で、実行した複数の発生原因を除去する方法以外の残り
の溶接不良となるおそれがある現象を検出し、この検出
値に対応した溶接不良となるおそれがある複数の原因を
予め想定して、この想定した複数の原因のうち、頻度が
高いと予想される原因の順に不良原因を表示するスタッ
ド溶接不良原因表示方法である。
【0270】
【発明の実施の形態】溶接開始前の段階から溶接中及び
溶接後までのいずれかの段階又は複数の段階で、溶接不
良となる要因を除去すると共に、溶接不良が発生するお
それがあるときは、下記のとおり、「不良原因表示」を
する。 (1)保守点検時又は溶接開始前に、次のとおり、溶接
不良が発生しないようにし、溶接不良が発生するおそれ
があるときは「不良原因表示」をする。 保守点検時又は溶接開始前に、先願6に記載した2次
ケーブル素線の断線による抵抗値増加分が設定値を越え
たときは、「2次ケーブル素線の断線が進行している」
不良原因表示をする。
【0271】溶接開始前に、先願5に記載した「作業
者がスタッドの種類と溶接姿勢と被溶接材配置とを入力
すると、溶接制御装置3が溶接機器設定値を算出又は選
定して、溶接電源装置1及び溶接ガンGNが溶接機器設
定値に従って動作する溶接機器動作の自動設定」をし、
「不良原因表示」の代わりに、作業者がスタッドの種類
と溶接姿勢と被溶接材配置とを入力するための表示に従
って、選択するための「設定手順表示」をする。
【0272】(2)アークを発生して溶接を開始する前
に、次のとおり、溶接不良が発生するおそれがないかど
うかの確認をして、溶接不良が発生するおそれがあると
きは「不良原因表示」をする。 アーク発生前に、先願1に記載した移動量検出値ef
と移動量設定値erとを比較して、予め設定した移動許
容値よりも大又は小になると、「溶接ガン円滑移動異常
表示」又は警報し、また溶接開始動作を停止する。
【0273】(3)アークを発生して溶接を開始してか
ら押し込み動作までに、次のとおり、溶接不良が発生す
る原因を除去する。 初回溶接直後に、先願6に記載した2次ケーブル素線
の断線による抵抗値増加分が設定値を越えたときは、
「2次ケーブル素線の断線が進行している」不良原因表
示をする。
【0274】前述した溶接開始前に自動設定した主ア
ーク期間全体の標準入熱量Qst38になるまで通電させる
ことによって、アークを発生してから押し込み動作まで
の溶接不良の発生を除去することができる。 溶接中に、先願4に記載した「スタッド溶接のケーブ
ル電圧降下補償方法」を実施すると、アークを発生して
から押し込み動作までの溶接不良の発生を除去すること
ができる。
【0275】溶接中に、先願6に記載した2次ケーブ
ル素線の断線が設定値を越えたときは、「2次ケーブル
素線の断線が進行している」不良原因表示をする。
【0276】(4)アーク発生中に、不良発生のおそれ
が生じたときは、溶接電流を遮断し押し込み動作を中止
して、次のとおり、「不良発生表示」をする。 先願6の方法において、累積抵抗値増加分ΔRntが、
抵抗増加許容値ΔRrを越えたときに、溶接電流を遮断
し押し込み動作を中止して「不良発生表示」をする。
【0277】(5)押し込み動作をして溶接を終了した
後に、溶接ガンの押し込み距離が設定値の範囲を超えて
いたときは、溶接不良の発生の有無を判別して、溶接不
良が発生したと考えられる「不良発生原因」を表示す
る。
【0280】
【実施例】溶接開始前の段階から溶接中及び溶接後まで
のいずれかの段階又は複数の段階で、溶接不良となる要
因を除去する方法は、下記のとおりである。 (1)保守点検時又は溶接開始前に、次のとおり、溶接
不良が発生しないようにする。なお、溶接不良が発生す
るおそれがあるときは「不良原因表示」もする。 保守点検時又は溶接開始前に、先願6に記載した2次
ケーブル素線の断線による抵抗値増加分が設定値を越え
たときは、「2次ケーブル素線の断線が進行している」
不良原因表示をする。
【0282】溶接開始前に、先願5に記載した「作業
者がスタッドの種類と溶接姿勢と被溶接材配置とを入力
すると、溶接制御装置3が溶接機器設定値を算出又は選
定して、溶接電源装置1及び溶接ガンGNが溶接機器設
定値に従って動作する溶接機器動作の自動設定」をす
る。主アーク期間全体の標準入熱量Qst38を自動設定し
てその値になるまで通電させることによって、後述する
アークを発生してから押し込み動作までの溶接不良の発
生を除去することができる。この場合の表示は、「不良
原因表示」の代わりに、作業者がスタッドの種類と溶接
姿勢と被溶接材配置とを入力するための表示に従って、
選択するための「設定手順表示」をする。
【0290】(2)アークを発生して溶接を開始する前
(以下、アーク発生前という)に、次のとおり、溶接不
良が発生するおそれがないかどうかの確認をして、溶接
不良が発生するおそれがあるときは「不良原因表示」を
する。アーク発生前に、先願1に記載した「スタッド
の引き上げ距離L1及び押し込み距離L2をプリセット
し、空間で、溶接ガンGNに取り付けた移動軸GN8を
移動させて移動量を検出し、この移動量検出値efと移
動量設定値erとを比較して、予め設定した移動許容値
の範囲を越える」と、「溶接ガン円滑移動異常表示」又
は警報し、また溶接開始動作を停止する。なお、上記の
移動許容値の範囲を越えなかったときは、溶接を開始す
ることができる。
【0300】(3)アークを発生して溶接を開始してか
ら押し込み動作まで(以下、アーク発生中という)に、
次のとおり、溶接不良が発生する原因を除去する。初
回溶接直後に、先願6に記載した2次ケーブル素線の断
線による抵抗値増加分が設定値を越えたときは、「2次
ケーブル素線の断線が進行している」不良原因表示をす
る。
【0302】前述した溶接開始前に自動設定した主ア
ーク期間全体の標準入熱量Qst38になるまで通電させる
ことによって、アークを発生してから押し込み動作まで
の溶接不良の発生を除去することができる。
【0304】溶接中に、先願4に記載した「スタッド
溶接のケーブル電圧降下補償方法」を実施すると、アー
クを発生してから押し込み動作までの溶接不良の発生を
除去することができる。
【0306】溶接中に、先願6に記載した2次ケーブ
ル素線の断線が設定値を越えたときは、「2次ケーブル
素線の断線が進行している」不良原因表示をする。
【0310】(4)アーク発生中に、不良発生のおそれ
が生じたときは、溶接電流を遮断し押し込み動作を中止
して、次のとおり、「不良発生表示」をする。 先願6の方法において、累積抵抗値増加分ΔRntが、
抵抗増加許容値ΔRrを越えたときに、溶接電流を遮断
し押し込み動作を中止して「不良発生表示」をする。
【0320】(5)押し込み動作をして溶接を終了した
後(以下、溶接終了後という)に、溶接ガンの押し込み
距離が設定値の範囲を超えていたときは、溶接不良の発
生の有無を判別して、溶接不良が発生したと考えられる
「不良発生原因」を表示する。
【0330】不良発生の原因は多数あるために、作業者
が不良が発生したことを表示、警報等によって知って
も、その原因の究明が容易でない。本発明において、頻
度の高い不良の第1の発生原因を予め除去しておき、残
りの原因によって不良が発生したときは、作業者が不良
の発生原因を容易に究明することができるようにガイド
する不良発生原因を表示する方法が、効果が大である。
【0332】上記の頻度の高い不良の発生原因は、入熱
不足であるので、入熱不足が発生しないように、検出間
隔ごとの主ア−ク電圧平均値から算出した主アーク期間
積算入熱量が、予め設定した主アーク期間全体の標準入
熱量に達した時点で押し込み動作を開始する方法を実施
している。
【0334】上記の入熱不足の次に、頻度の高い不良の
第2の発生原因を予め除去しておき、第1及び第2以外
の残りの原因によって不良が発生したときは、作業者が
不良の発生原因を容易に究明することができるようにガ
イドする不良発生原因を表示する方法である。
【0336】以下、同様に、第3及び第4以外の残りの
原因によって不良が発生したときは、作業者が不良の発
生原因を容易に究明することができるようにガイドする
不良発生原因を表示する方法である。
【0338】上記の第1乃至第4の不良の発生原因を除
去する方法を実施したときは、それらに関するガイドす
る不良発生原因の表示をスキッブすると、作業者が不良
の発生原因を究明する労力を軽減することができる。
【0340】以下、頻度の高い不良の発生原因を予め除
去したときのスタッド溶接不良原因表示方法の具体例に
ついて説明する。 [実施例1]実施例1は、先願2の「スタッド溶接の入
熱積算押し込み制御方法」を実施したときの不良原因表
示を示す。厚板の鋼板上に予め定めた直径のスタッドを
下向き姿勢で被溶接材直接溶接(以下、下向き直接溶接
という)をする最も簡単な場合に、この先願2の方法を
実施したときは、短絡が発生しても、適切な入熱量を確
保することができ、良好な溶接継手を得ることができ
る。
【0342】したがって、この先願2の方法を実施した
下向き直接溶接においては、短絡が発生しても、適切な
入熱量を確保することができるので、入熱量の過不足で
不良が発生することはない。この下向き直接溶接におい
て、溶接終了後に、溶接不良の発生の有無を判別して、
溶接不良が発生したときは、溶接不良発生原因は、入熱
量の過不足ではなく、それ以外の残りの原因であるの
で、「不良発生原因表示」は、入熱量の過不足を除いた
残りの原因の内、発生頻度が高いと考えられる「不良発
生原因」を下記の順序で表示する。
【0350】(1)「溶接ガンが円滑に移動しているか
どうかを確認してください」。確認結果、異常がなけれ
ば、次の「不良発生原因」を表示させる。 (2)「溶接回路の電圧降下が、(例えば、30[V]
を越えていないかどうかを確認してください」。確認結
果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示させ
る。
【0352】(3)「溶接用の2次ケーブル素線の断線
が進行していないかどうかを確認してください」。確認
結果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示さ
せる。 (4)「溶接機器設定値の組み合わせが適切かどうかを
確認してください」。確認結果、異常がなければ、次の
「不良発生原因」を表示させる。
【0354】(5)「磁気吹きが発生していないかどう
かを確認してください」。確認結果、異常がなければ、
次の「不良発生原因」を表示させる。 (6)「スタッド・被溶接材の表面の付着物、変形等が
発生していないかどうかを確認してください」。確認結
果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示させ
る。 (7)「上記の他の原因を確認してください」。
【0360】上記の実施例1は、下向き直接溶接をする
最も簡単な場合であるので、熟練者でなくても、適切な
スタッドの直径によって、溶接電流値、溶接ガンの引き
上げ距離及び押し込み距離を設定することができる。
【0362】しかし、厚板の鋼板上に予め定めた直径の
スタッドを横向き溶接する場合又は厚板の鋼板上に予め
定めた直径のスタッドを上板貫通溶接(以下、上板貫通
溶接という)する場合には、前述した従来技術4の理由
によって、主アーク期間全体の標準入熱量Qst38だけを
適正値に設定しても、溶接終了後の押し込み距離が設定
値の範囲を超えていたときは、溶接不良と判定して「不
良発生原因」を表示する。
【0364】このように、主アーク期間全体の標準入熱
量Qst38だけを適正値に設定しても、先願2の「スタッ
ド溶接の入熱積算押し込み制御方法」だけでは溶接不良
の発生を防ぐことができない場合が生じる。以下、この
ような場合に、溶接不良の発生を防ぐことができる方法
を実施したときの不良原因表示について説明する。
【0366】特に、横向き溶接又は上板貫通溶接におい
ては、先願2の「スタッド溶接の入熱積算押し込み制御
方法」に加えて、横向き溶接の溶融金属の垂れ下がりに
よる短絡の発生防止のために、先願3の「主電流切換ス
タッド溶接方法」をも実施して、主アーク期間Taの後
半に、主アーク電流値Iaを増加させると、溶接不良の
発生を防ぐことができる。
【0370】[実施例2]実施例2は、横向き溶接又は
上板貫通溶接においては、先願2の「スタッド溶接の入
熱積算押し込み制御方法」に加えて、先願3の「主電流
切換スタッド溶接方法」を実施したときの不良原因表示
を示す。
【0372】この先願2の方法及び先願3の方法を実施
した横向き溶接又は上板貫通溶接においては、短絡が発
生しても、適切な入熱量を確保することができるので、
入熱量の過不足で不良が発生することはない。この横向
き溶接又は上板貫通溶接において、溶接終了後に、溶接
不良の発生の有無を判別して、溶接不良が発生したとき
は、溶接不良発生原因は、入熱量の過不足ではなく、そ
れ以外の残りの原因であるので、「不良発生原因表示」
は、入熱量の過不足を除いた残りの原因の内、発生頻度
が高いと考えられる「不良発生原因」を下記の順序で表
示する。
【0374】(1)「溶接ガンが円滑に移動しているか
どうかを確認してください」。確認結果、異常がなけれ
ば、次の「不良発生原因」を表示させる。 (2)「溶接機器設定値の組み合わせが適切かどうかを
確認してください」。確認結果、異常がなければ、次の
「不良発生原因」を表示させる。 (3)「溶接回路の電圧降下が、(例えば、30[V]
を越えていないかどうかを確認してください」。確認結
果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示させ
る。
【0376】(4)「溶接用の2次ケーブル素線の断線
が進行していないかどうかを確認してください」。確認
結果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示さ
せる。以下、実施例1の(5)乃至(7)と同じなので
省略する。
【0400】[実施例3]実施例3は、先願2の「スタ
ッド溶接の入熱積算押し込み制御方法」に加えて、先願
5の「溶接機器動作自動設定スタッド溶接方法」を実施
したときの不良原因表示を示す。
【0402】この先願2の方法を実施した溶接において
は、溶接機器設定値の組み合わせの不適切によって又は
短絡が発生しても、適切な入熱量を確保することができ
るので、入熱量の過不足によって不良が発生することは
ない。この溶接において、溶接終了後に、溶接不良の発
生の有無を判別して、溶接不良が発生したときは、溶接
不良発生原因は、入熱量の過不足及び溶接機器設定値の
組み合わせの不適切ではなく、それ以外の残りの原因で
あるので、「不良発生原因表示」は、入熱量の過不足及
び溶接機器設定値の組み合わせの不適切を除いた残りの
原因の内、発生頻度が高いと考えられる「不良発生原
因」を下記の順序で表示する。
【0410】(1)「溶接ガンが円滑に移動しているか
どうかを確認してください」。確認結果、異常がなけれ
ば、次の「不良発生原因」を表示させる。 (2)「溶接回路の電圧降下が、(例えば、30[V]
を越えていないかどうかを確認してください」。確認結
果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示させ
る。
【0412】(3)「溶接用の2次ケーブル素線の断線
が進行していないかどうかを確認してください」。確認
結果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示さ
せる。以下、実施例1の(5)乃至(7)と同じなので
省略する。
【0420】[実施例4]実施例4は、実施例3の先
願2の「スタッド溶接の入熱積算押し込み制御方法」及
び先願5の「溶接機器動作自動設定スタッド溶接方
法」に加えて、先願1の「スタッド溶接ガン移動方
法」を実施したときの不良原因表示を示す。
【0422】この先願2の方法を実施した溶接において
は、短絡が発生しても、適切な入熱量を確保することが
できるので、入熱量の過不足で不良が発生することはな
い。この実施例4の溶接不良発生原因は、入熱量の過
不足、溶接機器設定値の組み合わせの不適切及び溶
接ガンの移動の異常ではなく、それ以外の残りの原因で
あるので、「不良発生原因表示」は、入熱量の過不足及
び溶接機器設定値の組み合わせの不適切を除いた残りの
原因の内、発生頻度が高いと考えられる「不良発生原
因」を下記の順序で表示する。
【0430】(1)溶接回路の電圧降下が、(例えば、
30[V]を越えていないかどうかを確認してくださ
い」。確認結果、異常がなければ、次の「不良発生原
因」を表示させる。
【0432】(2)「溶接用の2次ケーブル素線の断線
が進行していないかどうかを確認してください」。確認
結果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示さ
せる。以下、実施例1の(5)乃至(7)と同じなので
省略する。
【0440】[実施例5]実施例5は、実施例4の先
願2の「スタッド溶接の入熱積算押し込み制御方法」、
先願5の「溶接機器動作自動設定スタッド溶接方法」
及び先願1の「スタッド溶接ガン移動方法」に加え
て、先願4の「スタッド溶接のケーブル電圧降下補償
方法」を実施したときの不良原因表示を示す。
【0442】この実施例5の溶接不良発生原因は、入
熱量の過不足、溶接機器設定値の組み合わせの不適
切、溶接ガンの移動の異常及びスタッド溶接のケー
ブル電圧降ではなく、それ以外の残りの原因であるの
で、「不良発生原因表示」は、上記乃至を除いた残
りの原因の内、発生頻度が高いと考えられる「不良発生
原因」を下記の順序で表示する。
【0444】(1)「溶接用の2次ケーブル素線の断線
が進行していないかどうかを確認してください」。確認
結果、異常がなければ、次の「不良発生原因」を表示さ
せる。以下、実施例1の(5)乃至(7)と同じなので
省略する。
【0450】[実施例6]実施例6は、実施例5の先
願2の「スタッド溶接の入熱積算押し込み制御方法」、
先願5の「溶接機器動作自動設定スタッド溶接方
法」、先願1の「スタッド溶接ガン移動方法」及び
先願4の「スタッド溶接のケーブル電圧降下補償方法」
に加えて、先願6の「溶接用の2次ケーブル素線の断
線進行予測方法」を実施したときの不良原因表示を示
す。
【0452】この実施例6の溶接不良発生原因は、入
熱量の過不足、溶接機器設定値の組み合わせの不適
切、溶接ガンの移動の異常、スタッド溶接のケーブ
ル電圧降及び溶接用の2次ケーブル素線の断線進行に
よる電圧降ではなく、それ以外の残りの原因であるの
で、「不良発生原因表示」は、上記乃至を除いた残
りの原因の内、発生頻度が高いと考えられる「不良発生
原因」を下記の順序で表示する。以下、実施例1の
(5)乃至(7)と同じなので省略する。
【0460】上記の実施例1乃至6で説明したように、
溶接機器が、溶接不良となるおそれがある現象を検出し
て、溶接不良となるおそれがある原因を除去する構成を
増加させるにしたがって、溶接不良と判定される比率を
減少させ、手直し溶接、追加溶接の無駄を排除すること
ができると共に、溶接不良と判定されたときも、溶接不
良となるおそれがある原因が少なくなり、しかも、表示
されるガイドに従って作業者が容易に対処することがで
きる。
【0465】溶接機器が、溶接不良となるおそれがある
現象を検出して、溶接不良となるおそれがある原因を除
去する方法は、前述した実施例に限定されることなく、
スタッド・被溶接材条件及び周囲設置条件等に対応させ
て、任意に組み合わせ又は追加することができる。
【1001】
【発明の効果】本発明の共通の効果は、溶接機器が自動
で溶接不良となるおそれがある現象を検出し、この検出
値に対応した溶接不良となるおそれがある複数の原因を
予め想定して、この想定した複数の原因を表示するの
で、作業者がこの溶接機器が表示するガイドに従って、
不良の発生原因を容易に究明することができる。
【1002】出願時の請求項2の効果は、本発明の共通
の効果に加えて、溶接開始前の段階から溶接中及び溶接
後までのいずれかの段階又は複数の段階で、作業者が過
大な労力を要しない方法で、早い段階で、溶接不良とな
る要因を除去し、又は作業者が対処することができる。
【1003】スタッド溶接機器に、溶接不良となるおそ
れがある原因を除去する方法を実行することによって、
この実行した不良除去方法に対応する「溶接不良となる
おそれがある現象」は発生しなくなる。したがって、出
願時の請求項3の効果は、請求項2の効果に加えて、ス
タッド溶接機器に、溶接不良となるおそれがある原因を
除去する方法を実行させ、この実行した不良除去方法以
外の「溶接不良となるおそれがある現象」を検出し、こ
の検出値に対応した溶接不良となるおそれがある複数の
原因を予め想定し、この想定した複数の原因のうち、頻
度が高いと予想される原因の順に不良原因を表示するこ
とによって、溶接不良を少なくすると共に、残りの原因
によって不良が発生したときは、溶接不良となる要因の
項目が少なくなり、作業者が不良の発生原因を究明して
対処する労力を少なくすることができる。
【1004】出願時の請求項4の効果は、請求項3の効
果に加えて、溶接開始前の段階から溶接中及び溶接後ま
でのいずれかの段階又は複数の段階で、溶接不良となる
おそれがある現象を検出しした時点で、スタッド溶接機
器の次の動作を停止するので、手直しを少なくして作業
効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、引き上げ距離L1及び押し込み距離L
2を測定して測定結果を記録するための位置検出手段G
N3を備えた従来方式の溶接ガンを示す図である。
【図2】図2は、横向き溶接中のフェルール内の溶融金
属の状態を示す図である。
【図3】図3は、鉄骨上に鋼板を配設したときに、鋼板
が波打ち、鉄骨と鋼板との間に隙間(クリアランス)が
生じている状態を示す鉄骨・鋼板位置関係図である。
【図4】図4は、鉄骨と鋼板との間に隙間があるときの
鋼板とスタッド先端との位置関係を示す鋼板・スタッド
位置関係図である。
【図5】図5は、従来の溶接動作において、主アーク期
間Taの後半で短絡が発生したときの波形を示す図で、
同図(A)は溶接電流Ioの波形を示す溶接電流波形図
であり、同図(B)は溶接電源装置の出力端子電圧Vd
の波形を示す出力端子電圧波形図であり、同図(C)は
スタッド先端の移動量Mを示すスタッド先端移動図であ
る。
【図6】図6は、通常のスタッド溶接をするときの2次
ケ−ブルの接続状態を示す図である。
【図7】図7は、本出願人の従来方法のスタッド溶接の
2次ケ−ブルの劣化状態をチェックするときの2次ケ−
ブルの接続状態を示す図である。
【図8】図8(A)は、正常な溶接時の検出期間中の溶
接電流平均値Iavを算出する説明図であり、同図(B)
は、正常な溶接時の検出間隔Δtごとに検出間隔ごとの
主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) を算出する説明図であ
り、同図(C)は正常な溶接時のスタッド先端の移動量
Mを示す図である。
【図9】図9(A)は、各溶接中の検出期間中の溶接電
流平均値Iav又は検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値I
av( Δt)を算出する説明図であり、同図(B)は、各溶
接中の検出間隔Δtごとに検出間隔ごとの主ア−ク電圧
平均値Vav( Δt) を算出する説明図である。
【図10】図10は、切換前の主ア−ク電流値Iaを通
電して切換前標準入熱量Qst3bに達した時点tbで、切
換後の主ア−ク電流値Ibに切り換えて通電して、切換
後標準入熱量Qstb8に達した時点tnで、押し込みを開
始する主ア−ク電流値切換説明図である。
【図11】図11(A)は、各溶接中の溶接電流値Io
から検出期間中の溶接電流平均値Iav又は検出間隔ごと
の主ア−ク電流平均値Iav( Δt)を検出する説明図であ
り、同図(B)は、各溶接中の出力端子電圧Vdから、
検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値Vav( Δt) を検出
する説明図である。
【図12】図12は、本発明の溶接機器動作自動設定ス
タッド溶接方法を実施するスタッド溶接装置のブロック
図である。
【符号の説明】
1 …溶接電源装置 3 …溶接制御装置 5 …電流指令出力回路 6、21…D/A変換回路 7、8、20…A/D変換回路 11…記憶回路 12…表示回路又は警報回路 13…溶接開始終了スイッチ 15…溶接電流調整回路 17…溶接ケ−ブル 17a…本体ケ−ブル 23…当接部材 24…サ−ボモ−タ 26…モ−タ駆動回路 27…条件設定スイッチ 31…ガン移動量表示器 32…ガン移動量測定回路 33…温度上昇値測定器 34…熱電対 A …3相交流電源 CPU…演算処理回路 Da…アーク長 Dc…隙間(クリアランス) Dd…基準点Pからの押し込み距離/設定値どおりの押
し込み距離 Dd0…(押し込み不足のときの)実際の押し込み距離 Dup…引き上げ距離Dup De…鉄骨表面からの押し込み距離 Dp…板厚 ef…移動量検出値 er…移動量設定値 er1…移動中の任意の時点t1の移動量設定信号 ef1…移動中の任意の時点t1の移動量検出信号 |er1−ef1|…移動量比較値の絶対値 F …フェル−ル GN…溶接ガン GN1…溶接ガン本体 GN2…当接部材 GN3…位置検出手段 GN3a…ポテンショメ−タ GN3b…ポテンショメ−タの軸 GN4…連結板 GN5…可動鉄心 GN6…電磁石 GN7…圧縮バネ GN8…移動軸 GN9…保持具 GN11…ストッパ金具 GN12…本体ケーブル接続金具 I1(t)…各時刻tの溶接電流値 I21…初回溶接時の短絡電流平均値/初回の押し込み短
絡電流平均値 I2a…押し込み短絡電流平均値 I2n…N回目溶接時の短絡電流平均値/N回目の押し込
み短絡電流平均値 Ia…主ア−ク電流/(切換前の)主ア−ク電流値 Iav…検出期間中の溶接電流平均値 Iav( Δt)…検出間隔ごとの主ア−ク電流平均値 Ib…切換後の主ア−ク電流/切換後の主ア−ク電流値 IC…溶接電流検出回路 Ic…溶接電流検出信号 Io…溶接電流/溶接電流値 Ip…補助ア−ク電流 I(t)…短絡電流瞬時値 L1…引き上げ距離 L2…押し込み距離 M …スタッド先端の移動量 MC…移動量検出回路 Mc…移動量検出信号 P …基準点 P5…消費電力 Qr…必要な入熱量 Qst…標準入熱量 Qst38…主アーク期間全体の標準入熱量/主アーク期間
全体の標準入熱量 Qst3b…切換前標準入熱量 Qstb8…切換後標準入熱量 Qta…積算入熱量 Qta3n…主アーク期間積算入熱量 Qtab8…切換後主ア−ク期間積算入熱量 ΔQav…検出間隔ごとの入熱量平均値 R1…初期抵抗値[V21/I21] Ra…算出抵抗値[V2a/I2a] Rn…N回目抵抗値[V2n/I2n] Rnt…累積抵抗値 Rs…設定抵抗値 ΔRn…N回目抵抗値増加分[Rn−R1] ΔRnt…(N回目溶接時の)累積抵抗値増加分[Rnt−
R1] ΔRr …抵抗増加許容値 S …スタッド t0…補助ア−ク電流通電開始時点 t01乃至t0n…各検出間隔Δtの検出開始時点 t2…主ア−ク電流通電開始時点 t3…主アーク電流・電圧検出開始時点 t8…主ア−ク電流・電圧検出終了時点 t9…主ア−ク電流通電終了時点/短絡電流通電開始時
点 t10…出力電流通電終了時点/短絡電流通電終了時点 T12…補助アーク入熱標準値設定期間 T38…主アーク入熱標準値設定期間 T3b…切換前通電期間 Ta…溶接時間/主アーク期間 tas…主アーク期間Ta中の短絡発生時点 tb…主ア−ク電流値切換時点 Tb8…切換後通電期間 Tbn…切換後通電期間 Tp…補助ア−ク期間 Tm…押し込み期間 tn…主アーク期間全体の標準入熱量Qst38に達した時
点 Trn…N回目の温度上昇値 Trs…判定温度上昇値 ts0…直接溶接のときの押し込み時短絡開始時点 ts1…上板貫通溶接のときの押し込み時短絡開始時点 ts2…押し込み開始時点 Δt…検出間隔 V1(t)…各時刻tの溶接電圧値 V21…初回溶接時の短絡電圧平均値/初回の押し込み短
絡電圧平均値 V2n…N回目溶接時の短絡電圧平均値/N回目の押し込
み短絡電圧平均値 V2a…押し込み短絡電圧平均値 V3…算出平均アーク電圧 V3p…押し込み算出平均アーク電圧 V3s…設定算出平均アーク電圧 V5…溶接回路電圧降下 V5s…設定電圧降下 Va…ア−ク電圧値/切換前の主アーク電圧値 Va1…切換後の主アーク電圧値 Vav( Δt)…検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均値 VC…溶接電圧検出回路 Vc…溶接電圧検出信号 Vd…出力端子電圧/出力端子電圧値 V(t)…短絡電圧瞬時値 W …被溶接材 Wa…鉄骨 Wb…鋼板 Wm…溶融金属 α …切換溶接電流値比率[Ib/Ia] β …切換標準入熱量比率[Qstb8/Qst38] δ …移動量差許容値

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スタッド溶接のスタッドを引き上げてア
    ークを発生させ、所定時間後にスタッドを被溶接材に押
    しつけて短絡させて溶接するスタッド溶接の不良原因表
    示方法において、溶接不良となるおそれがある現象を検
    出し、前記検出値に対応した溶接不良となるおそれがあ
    る複数の原因を予め想定して、前記想定した複数の原因
    を表示するスタッド溶接不良原因表示方法。
  2. 【請求項2】 スタッド溶接のスタッドを引き上げてア
    ークを発生させ、所定時間後にスタッドを被溶接材に押
    しつけて短絡させて溶接するスタッド溶接の不良原因表
    示方法において、溶接開始前の段階から溶接中及び溶接
    後までのいずれかの段階又は複数の段階で溶接不良とな
    るおそれがある現象を検出し、前記検出値に対応した溶
    接不良となるおそれがある複数の原因を予め想定して、
    前記想定した複数の原因のうち、頻度が高いと予想され
    る原因の順に不良原因を表示するスタッド溶接不良原因
    表示方法。
  3. 【請求項3】 スタッド溶接のスタッドを引き上げてア
    ークを発生させ、所定時間後にスタッドを被溶接材に押
    しつけて短絡させて溶接するスタッド溶接の不良原因表
    示方法において、スタッド溶接機器に、溶接不良となる
    おそれがある原因を除去する方法を実行させ、溶接開始
    前の段階から溶接中及び溶接後までのいずれかの段階又
    は複数の段階で、溶接不良となるおそれがある現象を検
    出し、前記検出値に対応した溶接不良となるおそれがあ
    る複数の原因を予め想定して、前記想定した複数の原因
    のうち、頻度が高いと予想される原因の順に不良原因を
    表示するスタッド溶接不良原因表示方法。
  4. 【請求項4】 スタッド溶接のスタッドを引き上げてア
    ークを発生させ、所定時間後にスタッドを被溶接材に押
    しつけて短絡させて溶接するスタッド溶接の不良原因表
    示方法において、スタッド溶接機器に、溶接不良となる
    おそれがある原因を除去する方法を実行させ、溶接開始
    前の段階から溶接中及び溶接後までのいずれかの段階又
    は複数の段階で、溶接不良となるおそれがある現象を検
    出し、前記検出した時点で、スタッド溶接機器の次の動
    作を停止すると共に、前記検出値に対応した溶接不良と
    なるおそれがある複数の原因を予め想定して、前記想定
    した複数の原因のうち、頻度が高いと予想される原因の
    順に不良原因を表示するスタッド溶接不良原因表示方
    法。
  5. 【請求項5】 スタッド溶接のスタッドを引き上げてア
    ークを発生させ、所定時間後にスタッドを被溶接材に押
    しつけて短絡させて溶接するスタッド溶接の不良原因表
    示方法において、スタッド溶接機器に、溶接不良となる
    おそれがある頻度の高い発生原因を除去する方法を実行
    させ、溶接開始前の段階から溶接中及び溶接後までのい
    ずれかの段階又は複数の段階で、溶接不良となるおそれ
    がある現象を検出し、前記検出した時点で、スタッド溶
    接機器の次の動作を停止すると共に、前記検出値に対応
    した溶接不良となるおそれがある複数の原因を予め想定
    して、前記想定した複数の原因のうち、頻度が高いと予
    想される原因の順に不良原因を表示するスタッド溶接不
    良原因表示方法。
  6. 【請求項6】 請求項5の方法の溶接不良となるおそれ
    がある頻度の高い発生原因を除去する方法が、入熱不足
    が発生しないように、検出間隔ごとの主ア−ク電圧平均
    値から算出した主アーク期間積算入熱量が、予め設定し
    た主アーク期間全体の標準入熱量に達した時点で押し込
    み動作を開始するスタッド溶接不良原因表示方法。
  7. 【請求項7】 請求項5の方法の溶接不良となるおそれ
    がある頻度の高い発生原因を除去する方法が、スタッド
    の引き上げ距離及び押し込み距離をプリセットし、溶接
    開始前に、溶接ガンに取り付けた移動軸を移動させて移
    動量を検出し、前記移動量検出値と移動量設定値とを比
    較して、予め設定した移動許容値よりも大又は小になる
    と、異常表示又は警報し、また溶接開始動作を停止し、
    前記の移動許容値の範囲を越えなかったときは、溶接開
    始の動作をするスタッド溶接不良原因表示方法。
  8. 【請求項8】 請求項5の方法の溶接不良となるおそれ
    がある頻度の高い発生原因を除去する方法が、作業者が
    スタッドの種類と溶接姿勢と被溶接材配置とを入力する
    と、溶接制御装置が前記入力値に対応した必要な入熱と
    溶接ガンの移動量とを含む溶接機器設定値を算出又は選
    定して、溶接電源装置及び溶接ガンが前記溶接機器設定
    値に従って動作するスタッド溶接不良原因表示方法。
  9. 【請求項9】 請求項5の方法の溶接不良となるおそれ
    がある第1の発生原因を除去する方法及び第2の発生原
    因を除去する方法を実行し、溶接開始前の段階から溶接
    中及び溶接後までのいずれかの段階又は複数の段階で、
    第1及び第2以外の残りの溶接不良となるおそれがある
    現象を検出し、前記検出値に対応した溶接不良となるお
    それがある複数の原因を予め想定して、前記想定した複
    数の原因のうち、頻度が高いと予想される原因の順に不
    良原因を表示するスタッド溶接不良原因表示方法。
  10. 【請求項10】 請求項4の方法の溶接不良となるおそ
    れがある複数の発生原因を除去する方法を実行し、溶接
    開始前の段階から溶接中及び溶接後までのいずれかの段
    階又は複数の段階で、実行した複数の発生原因を除去す
    る方法以外の残りの溶接不良となるおそれがある現象を
    検出し、前記検出値に対応した溶接不良となるおそれが
    ある複数の原因を予め想定して、前記想定した複数の原
    因のうち、頻度が高いと予想される原因の順に不良原因
    を表示するスタッド溶接不良原因表示方法。
JP2648698A 1998-01-23 1998-01-23 スタッド溶接不良原因表示方法 Pending JPH11207463A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2648698A JPH11207463A (ja) 1998-01-23 1998-01-23 スタッド溶接不良原因表示方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2648698A JPH11207463A (ja) 1998-01-23 1998-01-23 スタッド溶接不良原因表示方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11207463A true JPH11207463A (ja) 1999-08-03

Family

ID=12194843

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2648698A Pending JPH11207463A (ja) 1998-01-23 1998-01-23 スタッド溶接不良原因表示方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11207463A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010221252A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Japan Drive-It Co Ltd コンデンサ放電型スタッド溶接機の溶接良否判定方法及び判定装置
CN115194303A (zh) * 2021-04-01 2022-10-18 丰田自动车株式会社 电弧螺柱焊接装置及电弧螺柱焊接方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010221252A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Japan Drive-It Co Ltd コンデンサ放電型スタッド溶接機の溶接良否判定方法及び判定装置
CN115194303A (zh) * 2021-04-01 2022-10-18 丰田自动车株式会社 电弧螺柱焊接装置及电弧螺柱焊接方法
CN115194303B (zh) * 2021-04-01 2024-01-05 丰田自动车株式会社 电弧螺柱焊接装置及电弧螺柱焊接方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7009144B2 (en) Process for short-time arc welding and short-time arc welding system
WO2014156290A1 (ja) 抵抗スポット溶接システム
JP5052586B2 (ja) 抵抗溶接方法、抵抗溶接部材、抵抗溶接機とその制御装置、抵抗溶接機の制御方法とその制御プログラム、抵抗溶接の評価方法とその評価プログラムおよび抵抗溶接の溶融開始時の検出方法
CN110238499B (zh) 电阻点焊方法和电阻点焊设备
JP2003500213A (ja) 抵抗スポット溶接システム状態の決定
JP2012502799A (ja) ドロウンアーク固定具溶接における波形制御
JP2018034172A (ja) 溶接の状態を判定するスポット溶接装置
JP3379965B2 (ja) プラズマアーク溶接装置及び方法
EP0765710B1 (en) Apparatus and method for controlling resistance welding
JP6052798B2 (ja) 自動溶接機の異常監視装置
US20080237303A1 (en) Decision method for dressing of welding electrodes
KR20180130173A (ko) 전기저항용접의 실시간 모니터링 시스템 및 방법
JP4112665B2 (ja) スタッド溶接の不良原因除去方法
TWI503197B (zh) Arc welding method
JP4844565B2 (ja) 自動溶接装置
JPH11207463A (ja) スタッド溶接不良原因表示方法
JP5582277B1 (ja) 抵抗スポット溶接システム
US7060929B2 (en) Sheet-to-tube resistance spot welding using servo gun
JPH11179546A (ja) 溶接機器動作自動設定スタッド溶接方法
JP4717969B2 (ja) スタッド溶接ガン移動方法及び装置
JP2000005882A (ja) スポット溶接制御装置およびその制御方法
JP2006055893A (ja) スポット溶接判定システムおよび判定方法
JP2002028790A (ja) 抵抗溶接機
US11872659B2 (en) Welding device and welding method with self-setting welding wire feed speed
CN208162832U (zh) 一种机器人焊接工作站