JP5052586B2 - 抵抗溶接方法、抵抗溶接部材、抵抗溶接機とその制御装置、抵抗溶接機の制御方法とその制御プログラム、抵抗溶接の評価方法とその評価プログラムおよび抵抗溶接の溶融開始時の検出方法 - Google Patents
抵抗溶接方法、抵抗溶接部材、抵抗溶接機とその制御装置、抵抗溶接機の制御方法とその制御プログラム、抵抗溶接の評価方法とその評価プログラムおよび抵抗溶接の溶融開始時の検出方法 Download PDFInfo
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Description
そこで、スポット溶接を行いつつ、形成されるナゲット(被溶接物の溶融凝固部)の大きさを均一化させ、溶接品質を安定化させる方法が種々提案されている。例えば、それに関連した開示が下記の特許文献1にある。
しかし、実際の溶接現場では、想定とは異なる様々な状況(外乱)の下で溶接がなされる。例えば、被溶接物である2枚の鋼板を抵抗溶接する場合を考えると、溶接により接合される鋼板間に隙間が存在したり、鋼板が傾斜したり、鋼板に圧接される電極の先端部が摩耗したりし得る。このような外乱が存在すると、鋼板間の接触状況(特に接触面積)が変化する。このため、溶接部に生じるジュール熱量や放熱量も外乱により変化し、溶接に有効活用される熱量もばらつく。このため上記の特許文献1のように、外乱を考慮せず単に、通電開始から被溶接物へ投入される全エネルギー(全電力量)に着目していても、溶接品質の安定化を図ることは現実には困難であった。
(1)本発明の抵抗溶接方法は、圧接された電極から投入される電力により被溶接物の溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出工程と、前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出工程と、前記第1電力量または該第1電力量に対応した前記溶接部の溶接状況を指標する溶接指標値が少なくとも第1設定値に到達したか否かを判定する第1判定工程と、前記溶融開始時から前記第1電力量または前記溶接指標値が少なくとも前記第1設定値に到達するまで前記ジュール加熱を行う加熱工程とを備え、前記溶接部が溶融凝固したナゲットの形成を安定化させ得ることを特徴とする。
この溶融開始時以降の投入電力量である第1電力量に着目すれば、理由やメカニズムは必ずしも定かではないが、様々な外乱の存在する状況下でも、被溶接物の溶接部に形成されるナゲットの大きさを適切に制御できる。具体的には、溶融開始時以降の投入電力量を積算して得られた第1電力量またはその第1電力量をナゲットの大きさ(ナゲット径)などに換算した溶接指標値が、所定の設定値(第1設定値)に少なくとも到達するまでジュール加熱を行うことで、様々な外乱の存在する溶接現場でも、溶接品質の安定化を図れる。
また「溶接指標値」は、抵抗溶接の状況が的確に指標されるものであればよく、代表例としてナゲット径がある。
さらに本明細書でいう「電力量」はその算出方法を問わない。本明細書でいう各電力量は、具体的な数値自体が重要なわけではなく、被溶接物の溶融開始時や形成されるナゲット径の大きさなどと相関する明確な指標となるものであれば足る。
そもそも溶融開始時は、被溶接物の溶接部が固相から液相へ変化する時であるから、溶融部の温度や体積変化など、被溶接物の物性値変化に着目して溶融開始時を検出することが考えられる。
もっとも、本発明者は、被溶接物と電極の近傍で種々の外乱が存在する場合でも、その外乱の種類に拘わらず、溶融開始時を高精度に、かつ簡易に検出できる方法を新たに見出した。すなわち、本発明者は、前記溶接部のジュール加熱のために前記電極への通電が開始された時である通電開始時からの経過時間に応じて、被溶接物へ投入された電力の積算値である第2電力量を算出する第2電力量算出工程と、前記通電開始時からの経過時間に対応して予め定められ前記溶接部の少なくとも一部が現実に溶融を開始するまでに投入された電力量である溶融開始電力量または該溶融開始電力量に基づき設定された第2設定値に、前記第2電力量が少なくとも到達した時を前記溶融開始時と判定する第2判定工程とにより、溶融開始時の検出(つまり前述した溶融開始時検出工程の構成)が可能であることを見出した。この理由は次の通りである。
しかし、種々の外乱の下で被溶接物の溶融開始時を調べたところ、溶融開始時に至るまでの通電時間と溶融開始時に至るまでに投入された電力量(溶融開始電力量)との間には相関関係があることが明らかとなった。つまり、被溶接物の溶融開始に必要な累積した電力量(溶融開始電力量)は、通電開始後の経過時間(初期通電時間)の関数で表現されることが明らかとなった。
より具体的には、通電後の短時間で被溶接物が溶融を開始する場合は投入電力量が少なく、通電後の長時間で被溶接物が溶融を開始する場合は投入電力量が多くなる。つまり、溶融開始電力量は初期通電時間に関して単調増加な関係にあることがわかった。
従って、外乱の種類を特定されなくても、通電開始後の経過時間(初期通電時間)に応じて算出される電力量(第2電力量)が、同じく通電開始後の経過時間(初期通電時間)に応じて定まる溶融開始電力量に少なくとも到達したときを検出すれば、その時に被溶接物の溶融が開始され、その時が溶融開始時と判断することができる。
同様のことは、被溶接物の溶融開始時の検出に関してもいえる。溶融開始時の検出は、被溶接物が溶融を開始するまでの通電時間と、その通電時間に対応して算出される第2電力量と、通電時間に対応して求まる溶融開始電力量との対比が重要である。従って、第2電力量を算出する途中、さらには溶接スポット毎に、被溶接物へ印加する電流値や電圧値は適宜変更されてもよい。
上記の抵抗溶接方法を用いると、溶接不良の抑止や溶接品質の安定化が図られた製品を得ることができる。従って本発明は、単に抵抗溶接方法としてのみならず、従来になく各ナゲット形状などの安定した抵抗溶接部材としても把握され得る。
また本発明は、上記の抵抗溶接方法を実現する抵抗溶接機およびその制御装置としても把握できる。
(1)すなわち本発明は、被溶接物に外接する電極と該被溶接物の溶接部をジュール加熱する加熱用電流を該電極へ供給する電源装置とを備える抵抗溶接機の制御装置であって、
前記電極から前記被溶接物へ投入される電力により前記溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出部と、前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出部と、前記第1電力量または該第1電力量に対応した前記溶接部の溶接状況を指標する溶接指標値が少なくとも第1設定値に到達したか否かを判定する第1判定部と、前記溶融開始時から前記第1電力量または前記溶接指標値が少なくとも該第1設定値に到達するまで前記ジュール加熱を行う加熱部と、を有することを特徴とする抵抗溶接機の制御装置でもよい。
さらに本発明は、上記の抵抗溶接機の制御方法またはその制御プログラムとしても把握できる。
(1)すなわち本発明は、被溶接物に外接する電極と該被溶接物の溶接部をジュール加熱する加熱用電流を該電極へ供給する電源装置とを備える抵抗溶接機の制御方法であって、
前記電極から前記被溶接物へ投入される電力により前記溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出ステップと、前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出ステップと、前記第1電力量または該第1電力量に対応した前記溶接部の溶接状況を指標する溶接指標値が少なくとも第1設定値に到達したか否かを判定する第1判定ステップと、前記溶融開始時から前記第1電力量または前記溶接指標値が少なくとも該第1設定値に到達するまで前記ジュール加熱を行う加熱ステップと、を備えることを特徴とする抵抗溶接機の制御方法でもよい。
加えて本発明は、抵抗溶接の評価方法およびその評価プログラムとしても把握できる。
(1)すなわち本発明は、圧接された電極から投入される電力により被溶接物の溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出ステップと、前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出ステップと、前記第1電力量に基づき前記溶接部の溶接状況を推定する推定ステップと、を備えることを特徴とする抵抗溶接の評価方法でもよい。
20 溶接ロボット
30 制御装置
40 電源装置
100 スポット溶接機
W ワーク(被溶接物)
R1 第1電気抵抗値
R2 第2電気抵抗値
X 電力量
本発明を理解する際に重要な前提となる抵抗溶接および外乱について、先ず説明しておく。
(1)抵抗溶接は、被溶接物に圧接された電極へ通電した際に、その溶接部に存在する種々の抵抗により生じる抵抗発熱量(ジュール発熱量)から、その一部が被溶接物自体や電極などへ放熱する放熱量を差し引いた熱量差によって、被溶接物の溶接部が温度上昇し、溶融した後に、冷却されて凝固することによりなされる接合である。
一例として、複数枚からなる一組の金属製板材を抵抗溶接する場合を考える。被溶接物である一組の板材は、先ず、電極などで加圧されて密接状態にされる。そして電極へ通電がなされ、隣接する板材の接触面間(継手間)に大きなジュール発熱が生じて、その接触面近傍が優先的に溶融する。そして通電終了後の冷却により、その溶融部分が凝固してナゲットが形成され、その抵抗溶接が終了する。
もちろん、外乱が存在する場合でも、放熱量などを正確に算出して、接触部分へ溶接に必要十分な熱量を臨機に投入できれば安定した溶接を行い得るが、そのような通電加熱は現実には困難である。このため従来の抵抗溶接では、溶接部の形態にバラツキを生じたり、電力量が過剰に投入されたりして、安定した溶接を効率的に行うことは困難であった。
従って本発明のように、被溶接物の溶融開始時以降に着目すれば、所望する溶接状況(例えばナゲットの大きさ)に応じて被溶接物へ投入する電力量を最適化することが可能となり、溶接品質の安定化を効率的に図れるようになる。
しかし、その前提となる被溶接物の溶融開始時や溶融開始時までに投入される電力量は、外乱の種類によって異なり、単に通電開始時からの被溶接物への投入電力量のみでは、被溶接物の溶融開始時を精度良く判定または特定することが難しい。
本発明の電力量算出工程は、被溶接物に圧接された電極を流れる電流などに基づいて算出される。電力量は電流と電圧と時間の積分値として求まるが、その変形式から求めてもよい。電極への通電は直流でも交流でもよく、交流の場合なら実効値に基づいて電力量が算出されてもよい。
本発明の判定工程は、電力量算出工程で算出された電力量またはその電力量に対応する指標値と、設定値との対比によりなされる。比較対象が電力量であるか指標値であるかに応じて、適切な設定値が選択される。代表的な指標値は、被溶接物の溶接部が溶融凝固して形成されたナゲットの大きさ(ナゲット径)である。
もっとも、被溶接物の溶融開始前にはナゲットが形成されないので、通電時間に応じて随時算出される投入電力量と、その通電時間に応じて定まる溶融開始電力量またはそれに基づく設定値とを端的に対比する方が好ましい。
被溶接物の形状、材質などは問わない。代表的な被溶接物は積層した鋼板である。例えば、厚さ0.5〜3mm程度、含有炭素量(C)が0.05〜0.2質量%の軟鋼板が抵抗溶接に用いられる。その他、高強度鋼(ハイテン)、亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)、Al合金、銅(Cu)、Cu合金、ニッケル(Ni)、Ni合金などの素材を被溶接物にしてもよい。さらには被溶接物は異種材の組み合わせでもよい。
被溶接物の材質により、所望形態の溶接部を得るために必要な電力量などは変化する。従って、抵抗溶接中に算出された電力量と対比される設定値、溶融開始電力量などは、被溶接物の材質や形態、被溶接物の積層状態、電極による加圧力などによって異なる。
電極の形状、材質などは問わない。電極は通常、円柱状または円筒状の銅製である。円筒状の電極の場合、その内部に冷却水が供給されて電極が強制冷却されていると、電極の損耗が抑制されて好ましい。
被溶接物に外接する電極の端面は、円形または緩やかな円錐形であることが多い。抵抗溶接が良好ならば、溶接部に形成されるナゲット形状も電極端面の形状に倣い、ほぼ円形になることが多い。この場合、ナゲットの大きさはその直径(ナゲット径)で示される。本明細書では、便宜的にナゲットの大きさをナゲット径ともいう。
電源装置は、交流電源でも直流電源でもよい。交流電源には単相電源または三相電源などがある。また電源装置は、定電流電源でも定電圧電源でもよい。定電流電源であると、被溶接物が加熱されて高温になるほど発生するジュール熱量も多くなり、被溶接物が溶融凝固したナゲットが確実に形成されるので好ましい。なお、電極から被溶接物に供給する好ましい電流値などは、被溶接物の材質、所望するナゲット径、通電時間等によって異なる。
《投入電力量とナゲットの形成》
本発明者は、重ねた2枚の鋼板からなるワーク(被溶接物)のカットモデルに様々な外乱の下で抵抗溶接(スポット溶接)を行い、その様子を高速度カメラで撮影した。これによりスポット溶接にできるナゲットの形成過程を観察した。
(1)具体的には、図1に示すような代表的な5つのパターンI〜Vを設定してスポット溶接を行った。
図1に示したパターンIの「外乱無し」は、重ねた2枚の鋼板が電極により押圧されて密接しており、電極の中心軸がワークの溶接部を通る法線となっている場合である。パターンIIの「面直崩れ」は、パターン1の標準状態に対してワークを水平方向から3°傾斜させた場合である。パターンIIIの「板隙」は、溶接部の周囲に隙間を形成させた場合である。具体的には重ねた鋼板の溶接中心から両側15mm(φ30mm)の位置に、厚さ1mmのスペーサーを介在させた。パターンIVの「電極摩耗」は、電極の先端面(ワークとの接触面)の円形をde=φ6mmからde=φ7mmに拡張した場合である。ちなみにその電極の先端面は、曲率半径40mmの湾曲面により電極の周側面と接続されている。パターンVの「分流」は、電極から供給された電流が、現在の溶接スポット以外に前工程で溶接を終えた別のスポット(既溶接点)にも流れる場合である
なお、スポット溶接に供したワークは、厚さ2mmの冷延軟鋼板(JIS:SPC270)を2枚重ねたものである。用いた電極は円筒状であり、内部を水冷しつつスポット溶接した。電極の先端部の形状は前述した通りである。また電極はワークの両外側へ圧接しつつスポット溶接を行った。電極によるワークの加圧力は3430Nとした。電源には60サイクルの単相交流を用いた。このときの実効電流値は11kAとした。この加熱用電流の通電時間は、サイクルタイムCt(1/60秒)単位で制御した。
さらに、前述した各パターンのワークが溶融を開始した点(溶融開始点)を図2を参考に見積もり、図3上に重ねて示した。この溶融開始点は、カットモデルの断面上で溶融による流動が確認できたタイミングにより特定した。
より現実的には、外乱パターンを気にすることなく、通電時間(通電サイクル数)毎に、算出された投入電力量と、その通電時間に対応して記憶されている溶融開始電力量とを対比する。そして、投入電力量が溶融開始電力量に到達したかまたは溶融開始電力量を超えた時が溶融開始時と判断される。
この図4から明らかなように、溶融開始後の第1電力量Q1と形成されるナゲット径Dとの関係は、外乱パターンに拘わらずほぼ一致することがわかる。つまり、ワークの溶融開始後に着目すれば、形成されるナゲット径Dは、外乱の影響を殆ど受けることなく第1電力量Q1によってほぼ決定される。
(1)本発明の抵抗溶接機に係る一実施例であるスポット溶接機100を図5に示す。スポット溶接機100は、多関節型の溶接ロボット20と、この溶接ロボット20を制御する制御装置30と、電源装置40とを備える。
また可動電極11aおよび対向電極11bは有底円筒状の銅合金製であり、それらの内部は循環する冷却水により強制冷却されている。
スポット溶接したいワークWを保持台(図略)に設置する。ワークWの溶接スポット、ワークWの物性値、電極11によるワークWの挟持力、電極11へ供給する電流値、通電時間、所望のナゲット径に対応した目標値(第1設定値)などの溶接条件を制御装置30へ入力設定する。
(1)本発明に係る実施例である制御装置30は、さらに、溶接スポットの溶接状況を監視する監視回路(図略)を備える。
この監視回路は、電極11から投入された電力によりワークWの少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出部と、電極11を介してワークWへ投入された第1電力量Q1を算出する第1電力量算出部と、積算された第1電力量Q1が第1設定値X1に到達したか否か(つまりQ1≧X1か)を判定する第1判定部とを備える。さらに監視回路は、第1電力量Q1が第1設定値X1に到達するまで、前述した電力回路を介してワークWへ電力を供給し、ワークWをジュール加熱する(加熱部)。
先ずステップS11で、種々の溶接条件が入力設定される(設定ステップ)。具体的には、ワークWa、Wbの材質や板厚、溶接スポットの数やそれらの位置、電極11a、11bのチップ形状、電極11によるワークWへの加圧力、スポット溶接する加熱用電流値I1、サイクルタイムCt、所望のナゲット径に対応した第1設定値X1、初期通電時間tの関数である溶融開始電力量X2(t)などがある。ちなみに溶融開始電力量X2(t)は、図3に示した溶融開始曲線から導出されるものであれば足り、実験式の形式でもよいし、初期通電時間tと相関させた溶融開始電力量X2(t)の数値データ(配列データ)でもよい。
ステップS13で、スポット溶接するための加熱通電がなされる。つまり、加熱用電流値I1が電極へ供給されてスポット溶接が開始される(加熱ステップ、加熱工程)。
ステップS18で、溶融開始時t0以降に算出された第1電力量Q1と所望のナゲット径に対応した第1設定値X1とを比較する(第1判定ステップ、第1判定工程)。
スポット溶接の溶接状況を評価するには、図7に示したステップS14〜18により行うことができる。溶接状況の良否を評価するのみであれば、ステップS18のような第1電力量Q1と第1設定値X1との大小関係から評価可能である(推定ステップ、評価ステップ)。勿論、図4に示すような第1電力量Q1とナゲット径Dとを対応づけたデータベースを予め用意しておけば、実際に積算した第1電力量Q1から、溶接部に形成されるナゲット径Dを推定することができる(ナゲット推定ステップ)。
Claims (12)
- 圧接された電極から投入される電力により被溶接物の溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出工程と、
前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出工程と、
前記第1電力量または該第1電力量に対応した前記溶接部の溶接状況を指標する溶接指標値が少なくとも第1設定値に到達したか否かを判定する第1判定工程と、
前記溶融開始時から前記第1電力量または前記溶接指標値が少なくとも前記第1設定値に到達するまで前記ジュール加熱を行う加熱工程とを備え、
前記溶接部が溶融凝固したナゲットの形成を安定化させ得ることを特徴とする抵抗溶接方法。 - 前記溶融開始時検出工程は、
前記溶接部のジュール加熱のために前記電極への通電が開始された時である通電開始時からの経過時間に応じて該被溶接物へ投入された電力の積算値である第2電力量を算出する第2電力量算出工程と、
前記通電開始時からの経過時間に対応して予め定められ前記溶接部の少なくとも一部が現実に溶融を開始するまでに投入された電力量である溶融開始電力量または該溶融開始電力量に基づき設定された第2設定値に、前記第2電力量が少なくとも到達した時を前記溶融開始時と判定する第2判定工程と、からなる請求項1に記載の抵抗溶接方法。 - 前記加熱工程は、前記第1判定工程の判定結果に基づき前記被溶接物の加熱条件を変更する加熱変更工程を含む請求項1または2に記載の抵抗溶接方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の抵抗溶接方法により溶接されたことを特徴とする抵抗溶接部材。
- 被溶接物に外接する電極と該被溶接物の溶接部をジュール加熱する加熱用電流を該電極へ供給する電源装置とを備える抵抗溶接機の制御装置であって、
前記電極から前記被溶接物へ投入される電力により前記溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出部と、
前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出部と、
前記第1電力量または該第1電力量に対応した前記溶接部の溶接状況を指標する溶接指標値が少なくとも第1設定値に到達したか否かを判定する第1判定部と、
前記溶融開始時から前記第1電力量または前記溶接指標値が少なくとも該第1設定値に到達するまで前記ジュール加熱を行う加熱部と、
を有することを特徴とする抵抗溶接機の制御装置。 - 被溶接物に圧接される電極と、
該被溶接物の溶接部をジュール加熱する加熱用電流を該電極へ供給する電源装置と、
請求項5に記載の制御装置と、
を備えることを特徴とする抵抗溶接機。 - 被溶接物に外接する電極と該被溶接物の溶接部をジュール加熱する加熱用電流を該電極へ供給する電源装置とを備える抵抗溶接機の制御方法であって、
前記電極から前記被溶接物へ投入される電力により前記溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出ステップと、
前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出ステップと、
前記第1電力量または該第1電力量に対応した前記溶接部の溶接状況を指標する溶接指標値が少なくとも第1設定値に到達したか否かを判定する第1判定ステップと、
前記溶融開始時から前記第1電力量または前記溶接指標値が少なくとも該第1設定値に到達するまで前記ジュール加熱を行う加熱ステップと、
を備えることを特徴とする抵抗溶接機の制御方法。 - 請求項7に記載の抵抗溶接機の制御方法を、コンピュータを機能させて実行することを特徴とする抵抗溶接機の制御プログラム。
- 圧接された電極から投入される電力により被溶接物の溶接部の少なくとも一部がジュール加熱されて溶融を開始する時である溶融開始時を検出する溶融開始時検出ステップと、
前記溶融開始時から前記電極を介して前記被溶接物へ投入された電力の積算値である第1電力量を算出する第1電力量算出ステップと、
前記第1電力量に基づき前記溶接部の溶接状況を推定する推定ステップと、
を備えることを特徴とする抵抗溶接の評価方法。 - 前記推定ステップは、前記第1電力量に基づいて前記溶接部が溶融凝固して形成されたナゲットの大きさを推定するナゲット推定ステップである請求項9に記載の抵抗溶接の評価方法。
- 前記溶融開始時検出ステップは、
前記溶接部のジュール加熱のために前記電極への通電が開始された時である通電開始時からの経過時間に応じて該被溶接物へ投入された電力の積算値である第2電力量を算出する第2電力量算出ステップと、
前記通電開始時からの経過時間に対応して予め定められ前記溶接部の少なくとも一部が現実に溶融を開始するまでに投入された電力量である溶融開始電力量または該溶融開始電力量に基づき設定された第2設定値に、前記第2電力量が少なくとも到達した時を前記溶融開始時と判定する第2判定ステップと、
からなる請求項9または10に記載の抵抗溶接の評価方法。 - 請求項9〜11のいずれかに記載の抵抗溶接の評価方法を、コンピュータを機能させて実行することを特徴とする抵抗溶接の評価プログラム。
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