JPH11204882A - 窒化物半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子及びその製造方法

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JPH11204882A
JPH11204882A JP824498A JP824498A JPH11204882A JP H11204882 A JPH11204882 A JP H11204882A JP 824498 A JP824498 A JP 824498A JP 824498 A JP824498 A JP 824498A JP H11204882 A JPH11204882 A JP H11204882A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クラッド層から上の層にリッジが設けられて
なるレーザ素子において、クラッド層表面にピットが存
在してもショートせず、しかもリッジ最表面にあるコン
タクト層と安定してオーミックコンタクトが得られるレ
ーザ素子とその製造方法を提供する。 【構成】 少なくともクラッド層と、コンタクト層とを
順に有し、前記クラッド層を含む層から上の層にリッジ
ストライプが形成されてなる窒化物半導体レーザ素子に
おいて、前記クラッド層はAlを含む第1導電型の窒化
物半導体層を有し、一方、リッジストライプの両側面に
は、クラッド層よりも薄い膜厚で第2導電型若しくは半
絶縁性の窒化物半導体層を含む電流阻止層が形成されて
おり、前記電流阻止層及び前記コンタクト層とに渡って
連続した電極が形成されていることにより、その電流阻
止層でピットを埋めて、ショートを無くすることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化物半導体(Ina
bGa1-a-bN、0≦a、0≦b、a+b≦1)よりなるレ
ーザ素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】我々は窒化物半導体基板の上に、活性層
を含む窒化物半導体レーザ素子を作製して、世界で初め
て室温での連続発振1万時間以上を達成したことを発表
した(ICNS'97 予稿集,October 27-31,1997,P444-446、
及びJpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)pp.L1568-1571、Pa
rt2,No.12A,1 December 1997)。基本的な構造としては
サファイア基板上に、部分的に形成されたSiO2膜を
介して選択成長されたn−GaNよりなる窒化物半導体
基板の上に、レーザ素子構造となる窒化物半導体層が複
数積層されてなる。(詳細はJ.J.A.P参照)
【0003】図4はそのレーザ素子の構造を示す模式断
面図である。このレーザ素子はInGaN/InGaN
よりなるMQW(多重量子井戸構造)の活性層の上に、
p−Al0.2Ga0.8Nよりなるキャップ層、p−GaN
よりなるガイド層、p−Al 0.14Ga0.86Nよりなるク
ラッド層、p−GaNよりなるコンタクト層が順に積層
され、前記クラッド層を含む層から上の層にリッジスト
ライプが形成されている。リッジストライプの両側面に
はSiO2よりなる絶縁膜が形成され、その絶縁膜を介
して、コンタクト層の表面にp電極が形成された構造を
有している。
【0004】一般にクラッド層から上に形成されたリッ
ジストライプのストライプ幅は非常に狭く調整される。
ストライプ幅が広くなると水平横モードがマルチモード
になりやすいからである。従来、このようなストライプ
幅の狭いコンタクト層の表面に電極を設けるのは、非常
に細かいフォトマスク合わせ技術を必要とするため、工
業的には難しい手法である。
【0005】また、リッジストライプは、窒化物半導体
のエッチングによって形成されるため、窒化物半導体の
エッチング面に、エッチピットと呼ばれる微細な孔が発
生する可能性がある。クラッド層、コンタクト層に連続
した電極を設けると、仮にクラッド層にそのエッチピッ
トが発生していると、電流がその孔を介してn電極とシ
ョートしやすくなり、レーザ素子の信頼性が低下する恐
れがある。
【0006】また他の技術として、我々は特開平9−4
26651号公報において、リッジ側面に、クラッド層
よりも屈折率の小さい窒化物半導体よりなる埋め込み層
を形成することを提案した。しかしこの技術では、埋め
込み層の上に新たにGaNよりなるコンタクト層を成長
させる必要がある。埋め込み層は単一層でAl混晶比の
大きい層であるために、結晶性がGaNに比較して悪
い。そのためこの埋め込み層の上にGaNよりなるコン
タクト層を成長しても結晶性があまり良くならないため
に、電極とのオーミック接触が悪くなって、閾値電圧が
上昇する傾向にある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
とするところは、クラッド層から上の層にリッジが設け
られてなるレーザ素子において、クラッド層表面にピッ
トが存在してもショートせず、しかもリッジ最表面にあ
るコンタクト層と安定してオーミックコンタクトが得ら
れるレーザ素子とその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化物半導体レ
ーザ素子は、少なくともクラッド層と、コンタクト層と
を順に有し、前記クラッド層を含む層から上の層にリッ
ジストライプが形成されてなる窒化物半導体レーザ素子
において、前記クラッド層はAlを含む第1導電型の窒
化物半導体層を有し、一方、リッジストライプの両側面
には、クラッド層よりも薄い膜厚で第2導電型若しくは
半絶縁性の窒化物半導体層を含む電流阻止層が形成され
ており、前記電流阻止層及び前記コンタクト層とに渡っ
て連続した電極が形成されてなることを特徴とする。
【0009】また本発明のレーザ素子において、前記電
流阻止層はAlを含む第2導電型若しくは半絶縁性の窒
化物半導体層を有する多層膜を有し、前記クラッド層の
Alの平均組成より多層膜のAlの平均組成が大きいこ
とを特徴とする。
【0010】さらに、前記クラッド層及びコンタクト層
は、結晶欠陥の多い領域と、結晶欠陥の少ない領域とを
ストライプ状に有するGaNよりなる基板上に、複数の
窒化物半導体層を介して成長されており、前記リッジス
トライプは、そのGaN基板の結晶欠陥の少ない領域に
対応する位置にストライプ状に形成されていることを特
徴とする。
【0011】また、本発明のレーザ素子の製造方法は、
少なくともAlを含む第1導電型の窒化物半導体層を有
するクラッド層の上に、同じく第1導電型の窒化物半導
体層を有するコンタクト層を備えたウェーハの、そのコ
ンタクト層の表面に、ストライプ状の保護膜を形成する
第1の工程と、第1の工程後、前記コンタクト層側から
エッチングを行い、前記クラッド層及びコンタクト層に
前記保護膜の形状と対応したリッジストライプを形成す
る第2の工程と、第2の工程後、前記保護膜が形成され
た状態でリッジストライプの側面に、クラッド層よりも
薄い膜厚で、第2導電型若しくは半絶縁性の窒化物半導
体層を有する電流阻止層を形成する第3の工程とを具備
することを特徴とする。
【0012】さらに本発明の製造方法において、第3の
工程後、前記コンタクト層及び埋め込み層とに渡って連
続した電極を形成する第4の工程とを具備することを特
徴とする。
【0013】本発明の製造方法において、前記クラッド
層及びコンタクト層は、結晶欠陥の多い領域と、結晶欠
陥の少ない領域とをストライプ状に有するGaNよりな
る基板上に複数の窒化物半導体層を介して成長されてお
り、前記保護膜を、結晶欠陥の少ないGaN基板に対応
したコンタクト層の表面にストライプ状に形成すること
を特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のレーザ素子において、ク
ラッド層を構成するAlを含む第1導電型の窒化物半導
体層は、p型AlXGa1-XN(0<X<1)層を含む超
格子層とすることが望ましい。なお2種類の窒化物半導
体を積層した超格子とする場合、AlGaNはいずれか
一方の層に成長してあれば良く、両方ともAlGaNと
する必要はない。具体的には、一方がAlGaN層、も
う一方がInGaN若しくはGaN層を交互に積層した
超格子とすると、結晶性が良くAl平均組成の大きいク
ラッド層を厚膜で成長させることができる。超格子を構
成する窒化物半導体層の膜厚は70オングストローム以
下、好ましくは50オングストローム以下とすると、窒
化物半導体の単一層が臨界限界膜厚以下となるので、A
l混晶比の大きい窒化物半導体層が成長できる。また、
クラッド層を超格子とすると、そのクラッド層全体の結
晶性も良くなるために、リッジ形状にエッチングした
後、そのクラッド層の表面に新たに電流阻止層を形成す
る際、ピット、クラックがほとんどない結晶性の良い電
流阻止層が成長できる。
【0015】クラッド層の膜厚は、2.0μm以下にす
ることが望ましい。2.0μmよりも厚くするとクラッ
ド層の抵抗値が高くなって閾値が上昇する。好ましい膜
厚は1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下
である。下限については特に限定しないが、キャリア閉
じ込めとしてのクラッド層として作用させるためには、
50オングストーム以上の膜厚があることが望ましい。
クラッド層を超格子とした場合には、Al平均組成とし
ては50%以下が望ましい。例えば、クラッド層全体の
厚さを2.0μm以下として、かつそのクラッド層に含
まれる3族元素に対するAl平均組成(%)と、p側ク
ラッド層全体の厚さ(μm)との積が4.4以上となる
ように構成すると、光閉じ込めが良く、抵抗値も小さい
クラッド層が形成できる。
【0016】一方、電流阻止層を形成する第2導電型若
しくは半絶縁性の窒化物半導体層は、n型若しくはi型
(insulater)のAlYGa1-YN(0≦Y<1、但しX<
Y)を含む層とすることが望ましく、クラッド層のよう
に超格子層とすることもできる。さらに、クラッド層よ
りもAl平均組成の大きい層とすると、電流阻止層の屈
折率が小さくなるので、リッジ下部に導波路を形成し
て、水平横モードがシングルモードのレーザ光を得るこ
とができる。
【0017】さらに、電流阻止層の膜厚はクラッド層の
膜厚よりも薄くする必要がある。この層の膜厚を厚くす
ると、コンタクト層の上に形成した保護膜の上に電流阻
止層が成長してしまうため、保護膜を後で除去すること
が難しくなる。また電流阻止層のAl平均組成をクラッ
ド層よりも大きくした場合、Al量が多い窒化物半導体
は少ないものに比較して、その結晶欠陥が多い傾向にあ
る。従って、Al混晶比の大きい電流阻止祖を厚く成長
させると、結晶中にクラックが入りやすくなり、ピット
が発生しやすくなる傾向にある。従って電流阻止層の好
ましい膜厚としては1μm以下、さらに好ましくは0.
8μm以下、最も好ましくは0.5μm以下に調整す
る。
【0018】なお、リッジのストライプ幅は30μm以
下、さらに好ましくは20μm以下、最も好ましくは1
0μm以下に調整する。30μmよりも太いとレーザ光
の水平横モードがマルチモードとなりやすい傾向にあ
る。下限は特に限定しないが通常0.5μm以上にす
る。
【0019】さらに、本発明のレーザ素子では電流阻止
層と、コンタクト層とに渡って連続した電極が形成され
ている。特開平9−426651号では電流阻止層の上
に後からコンタクト層が成長されているために、リッジ
の最上部に結晶性の良いコンタクト層が成長できなかっ
たが、本発明のレーザ素子では、リッジ形成時に既にコ
ンタクト層が成長されており、後から電流阻止層が形成
されるため、コンタクト層の結晶性が変わらない。従っ
て、p電極に対して常に安定したオーミック接触が得ら
れる。
【0020】また本発明の請求項2では、前記電流阻止
層はAlを含む第2導電型若しくは半絶縁性の窒化物半
導体層を有する多層膜を有し、前記クラッド層のAlの
平均組成より多層膜のAlの平均組成が大きいことを特
徴としている。これは先にも述べたように、電流阻止層
のAl組成を大きくすることによって、その屈折率が、
クラッド層の屈折率よりも小さくなり、リッジ下部に光
を集中させて導波路領域を作製することができる。Al
組成がクラッド層よりも小さいと埋め込み層の方の屈折
率が大きくなるため、水平横方向の屈折率差が小さくな
り、リッジの効果が得られにくくなる傾向にある。また
多層膜、好ましくは超格子とすることによって、Al組
成の大きい層を成長できる。なお、電流阻止層はクラッ
ド層と異なり、その上にコンタクト層のような層を成長
させないため、少々結晶性は悪くても良いので、特に膜
厚の薄い窒化物半導体を積層した超格子としなくても、
例えば数百オングストロームの窒化物半導体を積層した
多層膜としても良い。
【0021】本発明において、クラッド層、埋め込み層
を多層膜、または超格子とする場合、その層のAlの平
均組成は次のように求めるものとする。例えば25オン
グストロームのAl0.5Ga0.5Nと、25オングストー
ムのGaNとを200ペア(1.0μm)積層した超格
子の場合、1ペアが50オングストローム、Alを含む
層のAl混晶比が0.5であるため、0.5(25/5
0)=0.25となり、超格子における3族元素に対す
るAl平均組成は25%である。一方、膜厚が異なる場
合、Al0.5Ga0.5Nを40オングストロームと、Ga
Nを20オングストロームとで積層した場合、膜厚の加
重平均を行い、0.5(40/60)=0.33とな
り、Al平均組成は33.3%とする。即ちAlを含む
窒化物半導体層のAl混晶比を、その窒化物半導体層が
超格子1ペアの膜厚に占める割合に乗じたものを本発明
におけるAl平均組成とする。またAlを両方含む場合
も同様であり、例えばAl0.1Ga0.9N20オングスト
ローム、Al0.2Ga0.8N30オングストロームの場合
も、0.1(20/50)+0.2(30/50)=
0.16、即ち16%をAl平均組成とする。なお以上
の例はAlGaN/GaN、AlGaN/AlGaNに
ついて説明したが、AlGaN/InGaNについても
同じ算出方法を適用するものとする。従って、クラッド
層、埋め込み層を成長させる場合には、以上の算出方法
に基づいて成長方法を設計できる。また、Al平均組成
は、SIMS(二次イオン質量分析装置)、オージェ等
の分析装置を用いても検出できる。
【0022】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係るレーザ素子の
構造を示す模式断面図であり、図2は、図1のレーザ素
子の活性層から上の層を拡大して示す斜視図、図3は本
発明の製造方法の第1〜第4の各工程において得られる
ウェーハの構造を部分的に示す模式断面図である。これ
らの図において、同一符号は同一部材を示している。こ
れらの図を元に本発明の実施例を以下詳説する。
【0023】2インチφ、C面を主面とするサファイア
よりなる異種基板1の上に、MOVPE法を用い、50
0℃で、GaNよりなるバッファ層(図示せず)を20
0オングストロームの膜厚で成長させる。バッファ層成
長後、温度を1050℃にして、同じくGaNよりなる
下地層2を2μmの膜厚で成長させる。この下地層2は
保護膜を部分的に表面に形成して、次に窒化物半導体基
板の選択成長を行うための下地層として作用する。下地
層2はAl混晶比X値が0.5以下のAlXGa 1-X
(0≦X≦0.5)を成長させることが望ましい。0.
5を超えると、結晶欠陥というよりも結晶自体にクラッ
クが入りやすくなってしまうため、結晶成長自体が困難
になる傾向にある。また膜厚はバッファ層よりも厚い膜
厚で成長させて、10μm以下の膜厚に調整することが
望ましい。基板はサファイアの他、SiC、ZnO、ス
ピネル、GaAs等、窒化物半導体を成長させるために
知られている、窒化物半導体と異なる材料よりなる基板
を用いることができる。
【0024】下地層2成長後、ウェーハを反応容器から
取り出し、この下地層2の表面に、ストライプ状のフォ
トマスクを形成し、CVD装置によりストライプ幅10
μm、ストライプ間隔(窓部)2μmのSiO2よりな
る第1の保護膜3を1μmの膜厚で形成する。なおスト
ライプ状の保護膜を形成する際、窓部よりも保護膜の面
積を大きくする方が、結晶欠陥の少ないGaN基板4が
成長しやすい。第1の保護膜3の材料としては、例えば
酸化ケイ素(SiOX)、窒化ケイ素(SiX Y)、酸
化チタン(TiOX)、酸化ジルコニウム(ZrOX)等
の酸化物、窒化物、またこれらの多層膜の他、1200
℃以上の融点を有する金属等を用いることができる。こ
れらの保護膜材料は、窒化物半導体の成長温度600℃
〜1100℃の温度にも耐え、その表面に窒化物半導体
が成長しないか、若しくは成長しにくい性質を有してい
る。
【0025】第1の保護膜3形成後、ウェーハを再度M
OVPEの反応容器内にセットし、温度を1050℃に
して、アンドープGaNよりなるGaNよりなるGaN
基板4を20μmの膜厚で成長させる。このように異種
基板の上に成長させた窒化物半導体よりなる下地層の上
に、ストライプ状の保護膜を形成し、その保護膜の窓部
から保護膜上部に横方向に窒化物半導体を成長させる
と、基板となるような結晶欠陥の少ない半導体層が得ら
れる。GaN基板4はこの他ハライド気相成長法(HV
PE)を用いて成長させることもできる。GaN基板は
In、Alを含まないアンドープのGaNを成長させる
ことが結晶欠陥が最も少なくなるので最も好ましい。以
上のようにして成長したGaN基板は保護膜のストライ
プ形状に対応して、ストライプ状に結晶欠陥の多い位置
と、少ない位置とを有している。
【0026】次に、GaN基板4の上にSiを3×10
18/cm3ドープしたn型GaNよりなるn側コンタクト
層5を5μmの膜厚で成長させる。このn側コンタクト
層はn電極を形成するためのコンタクト層として作用す
る。
【0027】次に、温度を800℃にしてIn0.06Ga
0.94Nよりなるクラック防止層6を0.15μmの膜厚
で成長させる。
【0028】続いて、1050℃で、Siを1×1019
/cm3ドープしたn型Al0.16Ga0 .84N層を25オン
グストロームの膜厚で成長させ、続いてアンドープGa
N層を25オングストロームの膜厚で成長させる。そし
てこれらの層を交互に積層して超格子層を構成し、総膜
厚1.2μmの超格子よりなるn側クラッド層7を成長
させる。なおn側クラッド層に、バンドギャップエネル
ギーが異なる窒化物半導体を積層した超格子を作製した
場合、不純物はいずれか一方の層に多くドープして、い
わゆる変調ドープを行うと閾値が低下しやすい傾向にあ
る。
【0029】続いて、1050℃でアンドープGaNよ
りなるn側光ガイド層8を0.1μmの膜厚で成長させ
る。このn側光ガイド層は、活性層の光ガイド層として
作用し、GaN、InGaNを成長させることが望まし
く、通常100オングストローム〜5μm、さらに好ま
しくは200オングストローム〜1μmの膜厚で成長さ
せることが望ましい。
【0030】次に、温度を800℃にして、アンドープ
In0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を40オングストロー
ムの膜厚で成長させる。次に同一温度で、アンドープI
0. 01Ga0.95Nよりなる障壁層を100オングストロ
ームの膜厚で成長させる。井戸層と障壁層とを順に積層
し、最後に障壁層で終わり、総膜厚440オングストロ
ームの多重量子井戸構造(MQW)の活性層9を成長さ
せる。活性層は本実施例のようにアンドープでもよい
し、またn型不純物及び/又はp型不純物をドープして
も良い。不純物は井戸層、障壁層両方にドープしても良
く、いずれか一方にドープしてもよい。
【0031】次に、温度を1050℃で、p側光ガイド
層11よりもバンドギャップエネルギーが大きい、Mg
を1×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga0.7Nよ
りなるp側キャップ層10を300オングストロームの
膜厚で成長させる。このp型キャップ層は0.1μm以
下の膜厚で形成することにより素子の出力が向上する傾
向にある。膜厚の下限は特に限定しないが、10オング
ストローム以上の膜厚で形成することが望ましい。
【0032】続いて、1050℃で、バンドギャップエ
ネルギーがp側キャップ層10よりも小さい、アンドー
プGaNよりなるp側光ガイド層11を0.1μmの膜
厚で成長させる。この層は、活性層の光ガイド層として
作用し、n側光ガイド層8と同じくGaN、InGaN
で成長させることが望ましい。
【0033】続いて、1050℃でMgを1×1020
cm3ドープしたp型Al0.16Ga0.8 4N層を25オング
ストロームの膜厚で成長させ、続いてアンドープGaN
層を25オングストロームの膜厚で成長させ、これらの
層を交互に積層して総膜厚0.6μmの超格子層よりな
るp側クラッド層12を成長させる。このp側クラッド
層はAlの平均組成が8%であるので、膜厚との積は
4.8である。なお、p側クラッド層も少なくとも一方
がAlを含む窒化物半導体層を含み、互いにバンドギャ
ップエネルギーが異なる窒化物半導体層を積層した超格
子で作製した場合、不純物はいずれか一方の層に多くド
ープして、いわゆる変調ドープを行うと閾値が低下しや
すい傾向にある。
【0034】次に1050℃で、p側クラッド層12の
上に、Mgを2×1020/cm3ドープしたp型GaNよ
りなるp側コンタクト層13を150オングストローム
の膜厚で成長させる。p側コンタクト層13はp型のI
XAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構
成することができ、好ましくはMgをドープしたGaN
とすれば、p電極20と最も好ましいオーミック接触が
得られる。
【0035】最後に、窒化物半導体を積層成長させたウ
ェーハを反応容器内において、窒素雰囲気中700℃で
アニーリングを行い、p型不純物をドープした層をさら
に低抵抗化させる。
【0036】(第1の工程)以上のようにして、窒化物
半導体を積層したウェーハを反応容器から取り出し、図
3(a)に示すように、CVD装置を用いて、最上層の
p側コンタクト層13の表面に、2μmのストライプ幅
を有するSiO2よりなる第2の保護膜30を1μmの
膜厚で形成する。なお先にGaN基板4を成長した時
に、第1の保護膜をストライプ状に形成してあるため、
GaN基板の表面には表面に現れた結晶欠陥もストライ
プ状に現れやすい傾向にある。このため第2の保護膜を
形成する際は、GaN基板表面の結晶欠陥の少ないとこ
ろ(例えば1×108個/cm2以下、好ましくは1×10
7個/cm2以下)の上部にあるp側コンタクト層13の表
面に対応した位置にストライプ状に形成すると、GaN
基板の結晶欠陥が活性層に転位しにくくなるためレーザ
素子の寿命が向上する。
【0037】(第2の工程)次にウェーハをRIE(反
応性イオンエッチング)装置に移し、図3(b)に示す
ようにp側コンタクト層13と、p側クラッド層12の
一部とをエッチングして、第2の保護膜の形状に対応し
たリッジストライプを形成する。このエッチングにより
露出したクラッド層の表面にピットが発生する可能性が
あるが、後で電流阻止層で埋めることができる。
【0038】(第3の工程)リッジストライプ形成後、
保護膜をつけたまま、再度ウェーハを反応容器内に移
し、1050℃で、Siを1×1019/cm3ドープした
n型Al0.20Ga0.80N層を50オングストロームの膜
厚で成長させ、続いてSiを同量ドープしたGaN層を
50オングストロームの膜厚で成長させ、これらを交互
に積層して総膜厚0.5μmの超格子よりなる電流阻止
層14を形成する。このようにp型コンタクト層13が
リッジに残ったまま、そのリッジ側面に電流阻止層14
を形成すると、リッジ形成後にコンタクト層を成長させ
るのと異なり、コンタクト層の膜質が安定しているの
で、電極と安定してオーミックが得られる。
【0039】電流阻止層14成長後、ウェーハを反応容
器から取り出し、第2の保護膜30をフッ酸で除去した
後、最上層の窒化物半導体層に所定の形状の保護膜を形
成し、図1に示すように、n側コンタクト層5の表面が
露出するまでエッチングする。
【0040】(第4の工程)エッチング終了後、保護膜
を除去し、図3(d)に示すように、電流阻止層14及
びp側コンタクト層13の表面に渡って連続したNi/
Auよりなるオーミック用のp電極を形成する。このp
電極は大面積で形成できるため、ボンディングを行うの
に容易となる。
【0041】一方、先ほど露出させたn側コンタクト層
の表面にはTi/Alよりなるオーミック用のn電極2
1を形成する。
【0042】以上のようにして、n電極とp電極とを形
成したウェーハのサファイア基板を研磨して70μmと
した後、ストライプ状の電極に垂直な方向で、基板側か
らバー状に劈開し、劈開面に共振器を作製する。共振器
面にSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜を形成し、
最後にp電極に平行な方向で、バーを切断してレーザ素
子とする。なおサファイア基板を研磨する際に、第1の
保護膜3まで研磨して除去し、GaN基板4を露出させ
ても良い。GaN基板4を露出させる際、GaN基板の
成長膜厚を80μm以上に調整しないと、研磨中にウェ
ーハが細かく割れてしまい、素子作成が難しくなる傾向
にある。またGaN基板を80μm以上成長させた後、
サファイア基板1、下地層2、第1の保護膜3を除去
し、GaN基板のみとして、そのGaN基板の上に前記
n側コンタクト層5から上の層を積層することもでき
る。
【0043】このレーザ素子をヒートシンクに設置し、
それぞれの電極をワイヤーボンディングして、室温でレ
ーザ発振を試みたところ、室温において連続発振を示
し、単レーザ光のFFPは単一で、その形状も楕円形で
形の良いものが得られていた。また、レーザ素子の特性
に関しても、同一ウェーハから100個無作為に抽出し
たところ、発振閾値、出力とも全てがほぼ同一の特性を
示し、連続で1000時間発振させても電極間でショー
トしたものはなかった。
【0044】[実施例2]実施例1の電流阻止層14を
形成する工程において、1050℃で、Znを1×10
19/cm3ドープした半絶縁性のi型Al0.20Ga0.80
層を0.1μmと、Siを1×1018/cm3ドープした
n型GaN層を0.1μm交互に成長させて総膜厚0.
4μmの多層膜とする他は同様にしてレーザ素子を得た
ところ、実施例1とほぼ同等の特性を有するレーザ素子
が得られた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ素
子はリッジ側面に電流阻止層が形成されているため、エ
ッチングによりクラッド層の表面にピットが発生してい
ても、電流阻止層がそのピットを埋めてしまうため、電
極間のショートがない。また、本発明の製造方法による
と、リッジを形成してから、その狭い領域のストライプ
幅に、マスクを利用して他の窒化物半導体層、あるいは
電極等を形成する工程がないので、細かい作業も必要と
せず、工業的にも非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を
示す模式断面図。
【図2】 図1のレーザ素子の活性層から上の一部の構
造を拡大して示す斜視図。
【図3】 本発明の製造方法の第1〜第4のそれぞれの
工程を順に説明するためのガイド層から上の構造を部分
的に示す模式断面図。
【図4】 従来のレーザ素子の構造を示す模式断面図。
【符号の説明】
1・・・サファイア基板 2・・・下地層 3・・・第1の保護膜 4・・・GaN基板 5・・・n側コンタクト層 6・・・クラック防止層 7・・・n側クラッド層 8・・・n側光ガイド層 9・・・活性層 10・・・p側キャップ層 11・・・p側光ガイド層 12・・・p側クラッド層 13・・・p側コンタクト層 14・・・電流阻止層 20・・・p電極 21・・・n電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともクラッド層と、コンタクト層
    とを順に有し、前記クラッド層を含む層から上の層にリ
    ッジストライプが形成されてなる窒化物半導体レーザ素
    子において、 前記クラッド層はAlを含む第1導電型の窒化物半導体
    層を有し、一方、リッジストライプの両側面には、クラ
    ッド層よりも薄い膜厚で、第2導電型若しくは半絶縁性
    の窒化物半導体層を含む電流阻止層が形成されており、
    前記電流阻止層及び前記コンタクト層とに渡って連続し
    た電極が形成されてなることを特徴とする窒化物半導体
    レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記電流阻止層はAlを含む第2導電型
    若しくは半絶縁性の窒化物半導体層を有する多層膜を有
    し、前記クラッド層のAlの平均組成より多層膜のAl
    の平均組成が大きいことを特徴とする請求項1に記載の
    窒化物半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記クラッド層及びコンタクト層は、結
    晶欠陥の多い領域と、結晶欠陥の少ない領域とをストラ
    イプ状に有するGaNよりなる基板上に、複数の窒化物
    半導体層を介して成長されており、前記リッジストライ
    プは、そのGaN基板の結晶欠陥の少ない領域に対応す
    る位置にストライプ状に形成されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 少なくともAlを含む第1導電型の窒化
    物半導体層を有するクラッド層の上に、同じく第1導電
    型の窒化物半導体層を有するコンタクト層を備えたウェ
    ーハの、そのコンタクト層の表面に、ストライプ状の保
    護膜を形成する第1の工程と、 第1の工程後、前記コンタクト層側からエッチングを行
    い、前記クラッド層及びコンタクト層に前記保護膜の形
    状と対応したリッジストライプを形成する第2の工程
    と、 第2の工程後、前記保護膜が形成された状態でリッジス
    トライプの側面に、クラッド層よりも薄い膜厚で、第2
    導電型若しくは半絶縁性の窒化物半導体層を有する電流
    阻止層を形成する第3の工程とを具備することを特徴と
    する窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 第3の工程後、前記コンタクト層及び埋
    め込み層とに渡って連続した電極を形成する第4の工程
    とを具備することを特徴とする請求項4に記載の窒化物
    半導体レーザ素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記クラッド層及びコンタクト層は、結
    晶欠陥の多い領域と、結晶欠陥の少ない領域とをストラ
    イプ状に有するGaNよりなる基板上に複数の窒化物半
    導体層を介して成長されており、前記保護膜を、結晶欠
    陥の少ないGaN基板に対応したコンタクト層の表面に
    ストライプ状に形成することを特徴とする請求項4に記
    載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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