JPH11202961A - 作業車両の操縦装置とその操作方法 - Google Patents

作業車両の操縦装置とその操作方法

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JPH11202961A
JPH11202961A JP1826798A JP1826798A JPH11202961A JP H11202961 A JPH11202961 A JP H11202961A JP 1826798 A JP1826798 A JP 1826798A JP 1826798 A JP1826798 A JP 1826798A JP H11202961 A JPH11202961 A JP H11202961A
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JP
Japan
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steering
work vehicle
lever
grip
backward
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Application number
JP1826798A
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English (en)
Inventor
Koji Okazawa
浩二 岡澤
Takeshi Matsumoto
毅 松本
Noriaki Namiki
紀明 並木
Rikio Fuse
力夫 布施
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Marelli Corp
Original Assignee
Kansei Corp
Komatsu Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11202961A publication Critical patent/JPH11202961A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 片手での操作性が良く、異なる種類の切換え
の同時操作が容易に可能となり、かつ、誤操作するおそ
れがない作業車両の操縦装置とその操作方法を提供す
る。 【解決手段】 作業車両のオペレータシート6の左右い
ずれか一側に設置され、片手により作業車両の前後進切
換え、操向及び速度切換えを操作する操縦装置におい
て、前後方向に回動可能な前後進切換えレバー11と、
前後進切換えレバー11と共に回動し、回動した位置で
親指以外の指先により操作可能な操向レバー28,29
と、前後進切換えレバー11のグリップ12の親指側端
部に付設された速度段切換えスイッチ40とを備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業車両の操縦装
置とその操作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種作業機を搭載した作業車両において
は、通常、操作者が一方の手で車両を操縦し、他方の手
で作業機を操作するようになっている。従来から、片手
による操縦性を向上させるための種々の操縦装置が提案
されており、例えば特表平7−502315号公報には
建設作業車両等に使用される自動車用制御コンソールが
開示されている。図11及び図12は、それぞれ同公報
に示された自動車用制御コンソールを表す斜視図及び要
部詳細図である。
【0003】同図において、作業車両のオペレータシー
ト80に隣接して設けられた制御コンソール66の上部
にはアームレスト70が設けられており、このアームレ
スト70は略水平な上面72を有している。この上面7
2は、その長手方向が作業車両の進行方向に略平行にな
るように設けられている。また、アームレスト70の前
端部に隣接してハンドレスト76が配設されており、こ
のハンドレスト76は略水平な上面(図示せず)と、ア
ームレスト70から上方に設けられた隆起部78とを有
している。隆起部78は、車両の進行方向に対して略垂
直方向に設けられている。そして、操作者の片手の掌の
手前部分をハンドレスト76に密接に接触させて、手を
しっかりと隆起部78で支持できるようになっている。
【0004】また、ハンドレスト76の操作者に隣接す
る側部には、車両の前後進切換えのための前後進切換え
ノブ86が回転可能に取着されている。この前後進切換
えノブ86の回転軸(図示せず)は、隆起部78の長手
方向にほぼ平行に、すなわち車両の進行方向に対して略
垂直方向に設けられている。そして前後進切換えノブ8
6の操作者に面した表面に互いに離隔して形成された1
対の窪み88、90を操作者の指(通常は親指)で押す
ことによって、前記前後進切換えノブ86は前記回転軸
回りに回転し、前後進クラッチを切り換えられるように
なっている。また、前後進切換えノブ86には、前記一
対の窪み88、90に隣接して(同図では、前後進切換
えノブ86の操作者側の側面に)1対の速度段切換え用
の電気式押しボタン96、98(以後、速度段切換えス
イッチと言う)が取り付けられている。この速度段切換
えスイッチ96、98はそれぞれ速度段をシフトアップ
又はシフトダウンするスイッチであり、親指で1回押す
ごとに多段変速機(図示せず)の多段変速比クラッチを
切り換えられるようになっている。
【0005】さらに、ハンドレスト76の隆起部78の
前方には、左右1対の操向操作用のレバー106、10
8(以後、操向操作レバー106、108と言う)が設
けられており、操作者の指の先端が容易に操向操作レバ
ー106、108の先端部に接近できるように配置され
ている。この1対の操向操作レバー106、108の基
端側はハンドレスト76の内部にそれぞれ単独で回動自
在に取着されており、また図示しないリンク機構によっ
て1対の回転センサに連結され、この回転センサにより
操向操作レバー106、108の各操作量が検出されて
いる。
【0006】以上のような自動車用制御コンソールによ
り、前後進切換え操作、速度段切り換え操作及び操向操
作を片手の指先で可能とすると共に、稼動中に操作者の
身体が車両の動きにより振られても、その操作する手の
掌を前記隆起部78に固定させることによって上記の3
種類の操作機能が限定的に、かつ安定して実施できるよ
うにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記自
動車用制御コンソールには次のような問題がある。 (1)ハンドレストの隆起部に掌の手前部分を密接さ
せ、親指で前後進切換えノブ86を時計回りの方向又は
反時計回りの方向に回転させることによって変速機の前
後進切換え操作を行うが、前後進いずれの場合も親指で
前後進切換えノブを前後方向に押す動作となるため、操
作者の感覚に必ずしも適合せず、誤操作のおそれがあ
る。特に、不測の事態が発生したときに、これを回避し
ようと前後進切換え操作を行う場合、とっさの判断によ
って操作を行うので、誤って反対方向の操作を行う可能
性が大きい。また、前後進切換え操作と操向操作とを行
う場合、前後進切換えノブ86(例えば親指で操作)と
操向操作レバー106、108(例えば人指し指と中指
で操作)とをそれぞれ別個の指で操作する必要があるた
め、これらの同時操作が極めて困難である。
【0008】(2)速度段切換えスイッチ96、98は
前後進切換えノブ86よりもさらに内側(操作者寄り)
に配設されているので、速度段の切換えを行うときは前
後進切換えノブ86を跨いで操作しなければならず、よ
って、親指の移動量が大きくなって操作性が良くない。
また、この速度段切換えスイッチ96、98の操作は前
後進切換えノブ86と同様に親指で押す操作であるた
め、操作者がシフトアップとシフトダウンを誤操作しや
すい。しかも、前後進切換えノブ86の回転に伴って速
度段切換えスイッチ96、98の位置が変化するため、
シフトアップとシフトダウンとを間違える可能性が大き
くなる。 (3)さらに、前後進の切換えと速度段の切換えとの同
時操作が非常に困難である。例えば、前進1速で所定の
位置まで走行した後、後進3速で戻る作業を行う場合、
親指で前後進切換えノブ86を操作して前後進切換えを
行った後に、続けて親指で速度段切換えスイッチ96、
98を操作して速度段切換えを行わなければならないの
で、これら2種類の切換え操作に時間がかかり、作業能
率が低下する。
【0009】本発明は上記従来の問題点に着目してなさ
れたもので、片手での操作性が良く、異なる種類の切換
えの同時操作が容易に可能となり、かつ、誤操作するお
それがない作業車両の操縦装置とその操作方法を提供す
ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記目的
を達成するため、請求項1に記載の発明は、作業車両の
オペレータシート6の左右いずれか一側に設置され、片
手により作業車両の前後進切換え、操向及び速度切換え
を操作する操縦装置において、前後方向に回動可能な前
後進切換えレバー11と、前後進切換えレバー11と共
に回動し、回動した位置で親指以外の指により操作可能
な操向レバー28,29と、前後進切換えレバー11に
付設された速度段切換えスイッチ40とを備えた構成と
している。
【0011】請求項1に記載の発明によると、前後進切
換えレバーを前後方向に回動させるようにしたので、車
両の進行方向が操作者の操作方向に一致することとな
り、誤操作するおそれがない。また、操向レバーは前後
進切換えレバーと共に回動するので、前後進切換えレバ
ーの前進、中立及び後進の各操作位置にかかわらず常に
前後進切換えレバーからの距離が変わらずに操向レバー
を操作することができる。さらに、速度段切換えスイッ
チを前後進切換えレバーに付設したので、前後進切換え
を操作する手の指で速度段切換え操作が可能となる。従
って、操作者は作業車両を片手で容易に操縦することが
できる。
【0012】また請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の作業車両の操縦装置において、前記前後進切換え
レバー11のグリップ12と前記操向レバー28,29
の操向レバーハンドル28a,29aとを上面視でほぼ
平行に並設している。
【0013】請求項2に記載の発明によると、請求項1
記載のように操向レバーのハンドルと前後進切換えレバ
ーのグリップとの距離が常に変わらず、かつ、両者を上
面視でほぼ平行に並設しているので、作業車両を左右い
ずれかの方向に旋回させる場合、操作者は前後進切換え
レバーのグリップを握った片手の指先を操向レバーハン
ドルに容易にかけて引き寄せることができ、操向操作が
極めて容易である。
【0014】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の作業車両の操縦装置において、前記速度段切換
えスイッチ40を親指で操作可能な位置に設けている。
【0015】請求項3に記載の発明によると、操作者は
前後進切換えレバーのグリップを握ったまま親指を動か
すことにより、速度段を任意に切換えることができる。
このとき、前後進切換えレバーは掌で前後方向に回動操
作し、速度段切換えは親指操作なので、同時操作が可能
となる。また、この操縦装置では、親指による操作が速
度段の切換えのみに限定されるので、極めて操作が容易
となる。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の作業車両の操縦装置において、前後進切換えレバー1
1は、上端部の左右方向にほぼ水平な握り部12cと、
この握り部12cの中央部から下方に形成された支持部
12dとを有するT字形状のグリップ12を備えた構成
としている。
【0017】請求項4に記載の発明によると、グリップ
をT字形状としたので、片手の掌を下に向けた状態でグ
リップを握り易くなり、また車両が振動しても操作者の
身体を片手で支えていることができる。これによって、
作業車両の安定した操縦ができる。
【0018】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の作業車両の操縦装置において、前後進切換えレバー1
1を前進、中立及び後進の各位置に規定するデテント機
構24,26を備えている。
【0019】請求項5に記載の発明によると、デテント
機構を設けたので、前後進切換えレバーを前進・中立・
後進のいずれか任意の位置に回動したとき、所望の位置
に移動したことを明確に認識することができ、かつ、前
後進切換えレバーを操作者による操作以外の要因、たと
えば車両の振動等によって所望の位置から離脱しないよ
うに固定させておくことが可能である。また、デテント
機構により所定値以上の大きな操作力で操作しないと前
後進切換えレバーが回動しないような適切な操作力が付
与され、よって良好な操作感覚が得られる。
【0020】請求項6に記載の発明は、請求項1に記載
の作業車両の操縦装置において、前後進切換えレバー1
1と共に回動可能な位置に、操向レバー28,29の操
作量を検出するポテンショメータ36,37を設けてい
る。
【0021】請求項6に記載の発明によると、前後進切
換えレバーと共に回動する位置にポテンショメータを設
けたので、簡単な機構で操向レバーの操作量を精度良く
検出できる。また、このポテンショメータにより検出さ
れた操向レバーの操作量に基づいて、操向クラッチ及び
操向ブレーキにこの操作量に見合った油圧を作用させら
れるので、操作者が意図した通りに車両を旋回させるこ
とができる。
【0022】請求項7に記載の発明は、請求項1に記載
の作業車両の操縦装置において、操向操作を停止したと
き前記操向レバー28,29を自動的に元の位置に復帰
させる手段を備えている。
【0023】操向レバーは、前後進切換えレバーに添え
た片手の指先で引き寄せる動作により操作されるが、元
の位置に押し戻す操作は引き寄せ操作に比べてやりにく
い。本請求項7に記載の発明によると、操向レバーに自
動復帰手段を設けたので、戻す操作が容易となり、よっ
て車両操縦操作が簡易化され、操作者の疲労が軽減され
る。
【0024】請求項8に記載の発明は、請求項3に記載
の作業車両の操縦装置において、速度段切換えスイッチ
40は、前記前後進切換えレバー11のグリップ12端
部に設定した水平軸の回りに揺動可能な操作部41を有
し、この操作部41の前記水平軸より上部又は下部を親
指で押すことにより速度段切換えを可能とした構成とし
ている。
【0025】請求項8に記載の発明によると、速度段切
換えスイッチは前後進切換えレバーのグリップ端部に設
定した水平軸回りに揺動し、かつ、親指で前記水平軸よ
り上部又は下部を押すようにした操作部を有するので、
親指を大まかにこの操作部の上部又は下部に移動して押
すだけで容易に速度段の切換えが可能となる。また、こ
のような構成により、前後進切換え操作と速度段切換え
操作とを片手でほぼ同時に行うことができ、迅速な操縦
操作が可能となる。
【0026】請求項9に記載の発明は、請求項3に記載
の作業車両の操縦装置において、速度段切換えスイッチ
40の操作面を、左右方向は、オペレータシート6寄り
の内側端部が外側寄りの端部よりも前方に変位するよう
に、作業車両の左右方向に対してほぼ水平な面内で約2
0°回転させ、上下方向は、上端部が下端部よりも前方
に変位するように、鉛直面に対して約20°傾斜させた
構成としている。
【0027】請求項9に記載の発明によると、速度段切
換えスイッチの操作面を左右方向について約20°回転
させたことにより、この速度段切換えスイッチの操作面
が前後進切換えレバーに掌を添えたときの親指先端の動
き方向に対してほぼ垂直となり、極めて押し易くなる。
また、上下方向についてはこの速度段切換えスイッチの
操作面が鉛直面に対して約20°前傾しているため、グ
リップを握ったままので自然な状態で親指操作が容易と
なると共に、操作面を視野に入れることもできるので、
操縦性が向上する。
【0028】請求項10に記載の発明は、請求項4に記
載の作業車両の操縦装置において、前後進切換えレバー
11のグリップ12の前面に親指を除く他の指をかける
第1のくぼみ12aを設けている。
【0029】請求項10に記載の発明によると、前後進
切換えレバーのグリップ前面に設けた第1のくぼみに親
指以外の他の指先を入れることができるので、極めて自
然な状態で握り易くなる。このため、不整地を走行する
場合等において作業車両が激しく振動しても、このグリ
ップを握ることによって身体を安定した状態で支えるこ
とができ、よって安定した操縦が可能となる。
【0030】さらに、請求項11に記載の発明は、請求
項4に記載の作業車両の操縦装置において、前後進切換
えレバー11のグリップ12の後面に親指の付け根を入
れる第2のくぼみ12bを設けている。
【0031】請求項11に記載の発明によると、前後進
切換えレバーのグリップ後面に設けた第2のくぼみに親
指付け根のふくらみ部を入れることができ、よって掌に
グリップを包み込むようにしてしっかりと握ることがで
きる。この結果、安定して操縦ができる。
【0032】請求項12に記載の発明は、請求項4に記
載の作業車両の操縦装置において、前後進切換えレバー
11のグリップ12のオペレータシート6寄り内側端部
が外側端部よりも前方に変位するように、グリップ12
の左右方向中心線を作業車両の左右方向に対してほぼ水
平な面内で約10°回転させている。
【0033】グリップの中心線を、作業車両の左右方向
に設置するよりも、オペレータシート寄りの内側つまり
親指側のグリップエンドを前方に、そして外側つまり小
指側グリップエンドを後方に変位させた方が、オペレー
タがグリップを自然に握り易く、掌になじみやすい。し
たがって、本請求項12に記載の発明によると、グリッ
プの左右方向中心線をほぼ水平な面内で約10°回転さ
せて親指側のグリップエンドを前方に変位させたので、
手首に不必要な力を加えずに自然な状態で前後進切換
え、操向及び速度段切換えの各操作を行うことができ
る。
【0034】また請求項13に記載の発明は、請求項7
に記載の作業車両の操縦装置において、前記操向レバー
28,29を自動的に元の位置へ復帰させる手段は、操
向レバー28,29に操作力を付与するスプリングケー
ス32の付勢力を利用している。
【0035】請求項13に記載の発明によると、操向レ
バーには、操向クラッチ及び操向ブレーキの操作の際に
操向レバーの操作量に応じて操作力を変化させるスプリ
ングが使用されているが、このスプリングの付勢力を操
向レバーの自動復帰手段としても利用するので、操向レ
バー復帰用として特別な戻しばね等を必要としなくな
る。したがって、操向レバーの構成が簡易化される。
【0036】次に、請求項14に記載の発明は、オペレ
ータシート6の左右のいずれか一側に設置され、操作者
が作業車両の前後進切換え、操向及び速度段切換えを片
手で操作可能な作業車両の操縦装置の操作方法におい
て、片手で握ったグリップ12を前後方向のいずれかに
回動して前進あるいは後進のいずれかを選択し、前記グ
リップ12を握った片手の親指で任意の速度段を選択
し、前進あるいは後進中に右方向又は左方向に旋回する
場合は、前記グリップ12を握った片手の人指し指、中
指、薬指又は小指のいずれか、あるいはこれらの組み合
わせにより旋回方向に適した操向レバー28,29を引
き寄せるようにした方法としている。
【0037】請求項14に記載の発明によると、車両の
前後進切換えは前後進切換えレバーを前後いずれかの方
向に操作すればよく、車両の進行方向が操作者の操作方
向に一致しているため誤操作のおそれが無くなる。ま
た、速度段切換え操作はグリップを握ったまま親指で行
い、左右方向への旋回はグリップの近傍に配設された操
向レバーを親指以外の他の指で引き寄せればよい。これ
らの操作も操作者の操作感覚に違和感を与えることな
く、円滑に操作が可能である。従って、操作者が意図し
た通りに誤操作無く車両を操縦することができ、心理的
及び肉体的疲労が著しく軽減されるので、安全に、か
つ、能率良く車両を操縦することが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係わる作業車両
の操縦装置とその操作方法の実施形態について、ブルド
ーザを例に挙げ、図面を参照して説明する。図1は、本
発明に係わる操縦装置が適用される作業車両の一例を表
すブルド−ザを示している。同図に示すように、ブルド
ーザ100は進行方向に対して左右に1対の履帯を有す
る装軌式車体1の前後に作業機を装着した建設機械で、
通常、装軌式車体1の前方には油圧シリンダ2により昇
降するブレード3を備えており、また、作業目的に応じ
て装軌式車体1の後方にリッパ、ウインチ等のアタッチ
メント(図示せず)を装着していることもある。装軌式
車体1の前部にエンジンルーム4が配設されており、エ
ンジンルーム4の後方には操作者用のキャビン5が設置
されている。
【0039】図2は、上記キャビン5の内部の斜視図を
示している。キャビン5内の後部の略中央にはオペレー
タシート6が配設されており、オペレータシート6の左
右に設けられたアームレスト7、8の前方には、それぞ
れブルドーザ100の操縦装置と作業機操作装置とが配
設されている。図2において、左側のアームレスト7の
前方には1本の操作桿を主体として一体に構成された操
縦装置9が設けられており、この操縦装置9によりブル
ドーザ100の前後進切換え、旋回・操向、及び走行速
度段の切換えを行うことができる。また、右側のアーム
レスト8の前方にブレードの昇降及びチルト等の操作を
行うブレード操作レバー10aが設置されており、アー
ムレスト8の外側後部寄りには、例えばリッパの昇降等
を操作するリッパ操作レバー10bが設置されている。
なお、本発明においては、操縦装置9の設置位置はオペ
レータシート6の左側に限定されるものではない。
【0040】図3〜図10に操縦装置9の概略構成を示
しており、同図に基づいて操縦装置9の各構成を詳細説
明する。図3は操縦装置9の操作部の斜視図であり、図
4は操縦装置9の支持部の斜視図である。また、図5〜
図7はそれぞれ操縦装置9の平面図、正面図及び左側面
図を示している。
【0041】図3、図4において、前後進切換えレバー
11は、上部に片手(本実施例では左手)の掌を下向き
にして握りやすいように形成されたグリップ12と、グ
リップ12の下端に固着された第1プレート13と、第
1プレート13に固着されたほぼU字状の第2プレート
14と、第2プレート14の下面に固着されたほぼ逆U
字状の部材からなる第3プレート15とを備えている。
前記グリップ12は、上端部に車両進行方向に対して左
右方向に略水平に形成された握り部12cと、この握り
部12cの中央部から下方に形成された支持部12dと
から構成されている。そして、第3プレート15の前記
逆U字状部材の両側面内側にはボールベアリングを内蔵
したロータ16が取着されている。第1プレート13に
は、後述する右操向レバー、左操向レバーの戻り位置を
規制するための切り欠き穴13aが設けられている。ま
た、操縦装置9の下部にはキャビン5の床面の車体側に
取着されたほぼU字状部材からなるベース17が設けら
れており、このベース17の左右側面間に第1シャフト
18(以後、第1シャフト18の中心線をI軸と呼ぶ)
が取着されている。そして、前記第3プレート15は、
この第1シャフト18に前記ロータ16を介して回動自
在に取着されている。従って、前記グリップ12を操作
者の前後方向に動かすと、第1プレート13、第2プレ
ート14、第3プレート15はグリップ12とともに前
記I軸を回動中心として車両の進行方向に対して前後方
向に動くようになっている。
【0042】操作者の左手首に不必要な力を加えずに、
自然な状態で上記グリップ12を握れるようにするた
め、本実施例では図5の平面図に示すようにグリップ1
2の左右方向中心線12AをI軸に対して水平面内で反
時計回りの方向に約10°回転させ、親指側を小指側よ
り前方に変位させている。また、前後進切換えレバー1
1の左側面図である図7に示すように、グリップ12の
前面に左手の親指を除く他の指でグリップ12をつかみ
易くするための第1のくぼみ12aが設けられている。
親指を除く他の指をこのくぼみ12aに入れることによ
り、より強固にグリップ12をつかむことができる。
【0043】さらに、グリップ12を操作者の左手の掌
になじみやすくするため、図5に示すようにグリップ1
2の背面に第2のくぼみ12bが設けられている。第2
のくぼみ12bに左手親指の付け根が入り込むと、左掌
のほぼ全面がグリップ12に密着し、自然な状態で強固
にグリップ12を握ることができる。このように前記第
1のくぼみ12a及びこの第2のくぼみ12bを設けた
ことにより、不整地を走行する場合など、ブルドーザ1
00が激しく振動する場合でも左手でグリップ12を強
固に把持することができ、操作者の身体は確実に支えら
れる。
【0044】また、前後進切換えレバー11のグリップ
12の左右の内、グリップ12を操作する手の親指側
(本実施形態では前後進切換えレバー11を左手で操作
するように構成したので、左手の親指側すなわち前後進
切換えレバー11の右端)の後面に速度段切換えスイッ
チ40が設置されている。また、この速度段切換えスイ
ッチ40の操作部は略水平方向のIII 軸を中心として揺
動可能となっており、この揺動中心のIII 軸は、図5に
示すようにI軸に対して水平面内で反時計方向に約20
°回転させて設けられている。
【0045】また図4に示すように、ベース17のU字
状部材の底面の上部には、進行方向に対して(以後同様
に、左右を言う場合には進行方向に対してとする)左右
いずれか一側(同図では左側)の前部に前進認識用リミ
ットスイッチ21が、また後部には後進認識用リミット
スイッチ23が設置され、そして略中央の前後部いずれ
か一方(同図では後部)に中立位置認識用リミットスイ
ッチ22が設置されている。さらに、ベース17のU字
状部材の左右いずれかの側面(同図では左側面)内側に
は、コイルスプリングで付勢された鋼球を内蔵するアク
ションボックス24が取着されている。
【0046】また、図3に示すように、上記第3プレー
ト15の左右いずれかの側板(同図では、前記前進認識
用リミットスイッチ21及び後進認識用リミットスイッ
チ23の位置に対応させて左側板)の前端部には、前方
に突出し、かつ、前後進切換えレバー11を前方に操作
したとき前記前進認識用リミットスイッチ21の作動レ
バー21aに当接して押す前方凸部15aが設けられ、
また後端部に、後方に突出し、かつ、前後進切換えレバ
ー11を後方に操作したとき後進認識用リミットスイッ
チ23の作動レバー23aに当接して押す後方凸部15
bとが設けられている。さらに、第3プレート15の前
記逆U字状部材の中央部下面には、前後いずれかの方向
(同図では、中立位置認識用リミットスイッチ22の位
置に対応させて後方)に突出し、かつ、前後進切換えレ
バー11を中立位置にしたとき中立位置認識用リミット
スイッチ22の作動レバー22aに当接して押すプレー
ト25が取着されている。各リミットスイッチにより前
後進切換えレバー11の前進、中立及び後進の各位置が
それぞれ電気的に検出され、これらの電気信号が図示し
ない制御器によって処理される。この制御器は、所定の
アルゴリズムに従った判断に基づいて、変速機の油圧制
御装置(図示せず)に出力し、前進用クラッチ及び後進
用クラッチの入り/切り制御を行うようにする。
【0047】さらに、第3プレート15の左右いずれか
一方の側面(図3では、前記アクションボックス24の
位置に対応した左側面)の外部には、前進(F)・中立
(N)・後進(R)に対応する3個のノッチを上端部に
備えたデテント26が固着されており、このデテント2
6に前記アクションボックス24の鋼球が係合してい
る。(図6参照)これらのアクションボックス24とデ
テント26は前後進切換えレバー11のデテント機構を
構成しており、前進・中立・後進のそれぞれに関する前
後進切換えレバー11の操作位置を規定するとともに、
前後進切換えレバー11を適切な操作力によって切り換
え可能となるようにしている。
【0048】なお、前後進切換えレバー11の切換え操
作時には必ず中立位置を通過するが、このとき前記制御
器は、中立位置認識用リミットスイッチ22の出力信号
に基づいて、後述する速度段切換えスイッチの出力信号
により設定されている速度段を無効として1速に戻して
も、または、現在の速度段をそのまま維持するようにし
ても良い。あるいは、さらに、前進切換え時又は後進切
換え時に強制的に特定の速度段を設定するようにしても
よく、要は、前後進切換え後の速度段設定方法は限定さ
れるものではなく、本発明に係わる操縦装置9を適用す
る作業車両の用途や構成によって、任意に設定可能であ
る。
【0049】第2プレート14にはグリップ12の左右
方向中心線12Aとほぼ平行に第2シャフト27(以
後、第2シャフト27の中心線をII軸と呼ぶ)が固着さ
れている。また、グリップ12の前方には右操向レバー
28及び左操向レバー29が設けられており、これらの
操向レバーの下端側面にはそれぞれ右アーム30の中間
部、左アーム31の中間部が固着されている。そして、
右操向レバー28と右アーム30、左操向レバー29と
左アーム31はいずれも前記第2シャフト27に回動自
在に取着されている。また、右操向レバー28及び左操
向レバー29の上端部には、グリップ12の前面からほ
ぼ所定距離を保ってグリップ12の左右方向中心線12
Aとほぼ平行に、それぞれ右操向レバーハンドル28a
及び左操向レバーハンドル29aが取着されている。な
お、前述のように、グリップ12の左右方向中心線12
AをI軸に対して水平面内で反時計回りの方向に約10
°回転させているが、これに伴って上記II軸もI軸に対
して水平面内で反時計回りの方向に約10°回転させて
いる。
【0050】また、第2プレート14の右側面及び左側
面には、右操向レバー28及び左操向レバー29にそれ
ぞれ適切な操作力を付与する左右1対のスプリングケー
ス32,32が取着されている。図3に示すように、右
側のスプリングケース32に内蔵されたスプリングによ
って付勢されたロッド35の下端面は、右アーム30の
前端部に取着され、かつ、左右方向に軸心を有する円筒
部材30bの外周面に当接しており、このロッド35の
付勢力により右アーム30の前端部を押し下げている。
また、この右アーム30の後端部には扇状の歯車30a
が固着されており、この歯車30aは右操向用ポテンシ
ョメータ36の回転軸に装着された歯車36aと噛み合
うようになっている。左アーム31の場合も右アーム3
0と同一構造となっており、左アーム31の前端部に取
着された円筒部材31bの外周面は左側のスプリングケ
ース32のロッド35下端面に当接していて、このロッ
ド35の付勢力により左アーム31の前端部を押し下げ
ている。また、この左アーム31の後端部に固着された
扇状の歯車31aは左操向用ポテンショメータ37の回
転軸に装着された歯車37aと噛み合うようになってい
る。なお、この右アーム30と歯車30a、また、左ア
ーム31と歯車31aとをそれぞれ一体構成としてもよ
い。
【0051】また、図7に示すように右アーム30及び
左アーム31のII軸よりも前方と第2プレート14の底
面との間にはそれぞれ戻しばね38,38が係止されて
おり、この戻しばね38,38の張力により、右操向レ
バー28及び左操向レバー29は第1プレート13に設
けられた切り欠き穴13aの前縁にその前面が当接して
停止する位置へ復帰するように付勢されている。
【0052】右操向レバー28及び左操向レバー29は
親指以外の他の指先、例えば人指し指及び中指(及び/
又は薬指)をそれぞれ右操向レバーハンドル28a及び
左操向レバーハンドル29aに掛けて引き寄せることが
でき、図7に2点鎖線で示すように右操向レバーハンド
ル28a及び左操向レバーハンドル29aがグリップ1
2の前面に当接したとき、右操向レバー28及び左操向
レバー29のストロークエンドとなる。また、指先の力
を抜くと右アーム30、左アーム31と第2プレート1
4の底面とにそれぞれ掛止された戻しばね38の張力に
より元の位置、すなわち第1プレート13に設けられた
切り欠き穴13aの前縁に右操向レバー28、左操向レ
バー29の前面が当接する位置へ復帰する。これによ
り、左右の操向レバー29,28の戻し操作が非常に容
易となり、操作性が良い。
【0053】スプリングケース32は、図8に示すよう
にばね定数の異なる2種類のスプリング33、34を内
蔵しており、操向操作及びブレーキ操作に見合った操作
力を与えるように構成されている。ここで、図8はスプ
リングケース32の1例を表す構成図である。同図にお
いて、スプリングケース32の内部には、径の異なる略
円柱状の中空部が上下に形成されており、下部の小径中
空部と上部の大径中空部との境に端面51が設けられて
いる。大径中空部には、下方に開口し、かつ、外形が略
円筒形状のキャップ状部材53が配設されており、この
キャップ状部材53の下端外周部に鍔部54が設けられ
ている。そして、この鍔部54と大径中空部の上端内面
との間にスプリング34が配設されており、スプリング
34の付勢力によって鍔部54の下端面55が前記端面
51に当接するようになっている。また、ロッド35は
スプリングケース32及びキャップ状部材53の中心部
を貫通するように設けられており、ロッド35の中間部
に係止部材56が取着されている。そして、この係止部
材56とキャップ状部材53の上端面部との間にスプリ
ング33が配設されており、スプリング33の付勢力に
よって係止部材56の下端面が前記小径中空部の下端面
52に当接するようになっている。
【0054】左右の操向レバー29、28がグリップ1
2の方へ操作されると、左アーム31及び右アーム30
の前端部の円筒部材31b,30bがロッド35を上方
に持ち上げる。係止部材56がキャップ状部材53の鍔
部54の下端面55に当接するまでは、操向レバー2
9、28のストロークに比例したスプリング33の付勢
力がロッド35に作用し、これに対応する操向レバー2
9、28の戻り力が発生する。このとき、操向レバー2
9、28は上記戻り力に抗するオペレータの操作力によ
り操作される。そして、係止部材56がキャップ状部材
53に当接した後は、スプリング33の付勢力に操向レ
バー29、28のストロークに比例したスプリング34
の付勢力がさらに加算されてロッド35に作用し、操向
レバー29、28の操作に必要な操作力が大きく増加す
るようになっている。
【0055】図9は、このときの左右の操向レバー2
9、28のストロークと操作力とこれに対応する操向ク
ラッチ及び操向ブレーキの駆動油圧の大きさとの関係を
表している。すなわち、本実施形態では図9に示すよう
に、ストロークにおいて操向クラッチの切り終わり位置
θ1と操向ブレーキの効き始め位置θ2との間で、前記
スプリング33とスプリング34との付勢力の変化によ
り操作力を大きく変化させることによって、操作者が容
易にブレーキ操作の始まりを認識できるようにしてい
る。なお、スプリングケース32に組み込まれるスプリ
ング33,34や、前記端面51の位置等を変更するこ
とにより、操作力の大きさや操作力が変化する位置を任
意に設定することができる。また、スプリング33,3
4は図示したようなコイル状のスプリングに限定されず
に、他の形状のスプリング等の弾性部材により構成して
もよい。また、左右の操向レバー29、28を復帰させ
る手段として上記戻しばね38,38を装着せずに、例
えば、上記係止部材56の位置を調整してスプリング3
3の付勢力が常時左アーム31及び右アーム30の前端
部に作用するようにしてもよい。
【0056】II軸の回りに回動する右操向レバー28及
び左操向レバー29の操作量は、右アーム30及び左ア
ーム31にそれぞれ固着された歯車30a,31aと、
歯車36a,37aとを介して右操向用ポテンショメー
タ36及び左操向用ポテンショメータ37により回転角
変位として検出される。本実施形態では、図示しない制
御器は、これらのポテンショメータが出力する回転角信
号を受けて所定の処理を行い、作業車両の操向クラッチ
・ブレーキ油圧制御装置に指令を出力して操向クラッチ
・ブレーキを制御しているが、車両の形態により制御処
理の内容を変えていかようにも制御することが可能であ
る。
【0057】左右の操向レバー29,28操作時の操向
クラッチ油圧及び操向ブレーキ油圧の変化は、図9に示
すように、C1 からC2 までの間は操向クラッチ油圧が
漸増する半クラッチ域となり、その後C3 (ストローク
θ1に相当)で操向クラッチ油圧が急上昇してクラッチ
の接続が断たれる。さらに、左右の操向レバー29,2
8を引くと操向ブレーキ油圧が急下降して操向ブレーキ
がかかり始め、この後B1 からB2 までの間は操向ブレ
ーキ油圧が漸減して半ブレーキ状態となり、B3 でフル
ブレーキ状態となる。
【0058】図10は図5のA−A断面図であり、速度
段切換えスイッチ40の詳細構成を示しており、同図に
基づいて速度段切換えスイッチ40の説明を行う。速度
段切換えスイッチ40は、III 軸の回りに揺動可能な操
作部41と、この操作部41が操作されることにより作
動する増速用リミットスイッチ44と、減速用リミット
スイッチ45とを備えている。操作部41の操作面は上
端部が下端部よりも前方に変位するように鉛直面に対し
て約20°前傾しており、操作部41のIII 軸より上部
に増速側操作面41aを、また下部には減速側操作面4
1bを有している。そして、グリップ12の内部には、
上記操作部41の増速側、減速側への揺動によって作動
レバー42,43を介してそれぞれ作動する増速用リミ
ットスイッチ44及び減速用リミットスイッチ45が設
けられており、増速用リミットスイッチ44及び減速用
リミットスイッチ45の出力信号は図示しない前記制御
器に入力されている。このとき、これらのリミットスイ
ッチの出力信号は、NO (normally open)又はNC(nor
mally close)のいずれで構成してもよい。また、増速側
操作面41aと減速側操作面41bとの間には、この両
者を仕切るような線状の突起41cが設けられている。
【0059】この速度段切換えスイッチ40の増速側操
作面41aを1回押すと、増速用リミットスイッチ44
の出力信号を前記制御器は入力して所定の処理を行い、
図示しない速度段切換えクラッチを制御して増速側への
速度段切換えを段階的に行う。また、同様にして減速側
操作面41bを1回押すと、減速用リミットスイッチ4
5の出力信号を前記制御器は入力して所定の処理を行
い、減速側への速度段切換えを段階的に行う。これによ
って、片手で前後進切換えレバー11を握ったまま、親
指による速度段切換え操作が可能となっている。増速用
リミットスイッチ44及び減速用リミットスイッチ45
は、作動レバー42,43に加わる操作力が無くなった
ときに、内蔵されたスプリングによりこの作動レバー4
2,43が自動的に元の位置に復帰するようになってお
り、このスプリングの復帰力によって操作部41が戻る
ようにしている。なお、この操作部41の復帰力を得る
方法としては、上記のようなリミットスイッチに内蔵さ
れたスプリングに限定する必要はなく、別途他のスプリ
ングを設けてもよい。
【0060】以上の構造によると、前進へ切換え時に
は、片手の掌でグリップ12を握って前後進切換えレバ
ー11を前方へ傾動させ、後進へ切換え時には、前後進
切換えレバー11を後方へ傾動させるようにしたので、
前後進切換え操作が作業車両の走行方向と一致し、か
つ、作業者の運転感覚と一致する操作となる。したがっ
て、前後進切換え操作時の誤操作が無くなり、安全性が
高まる。また、前後進切換え操作は上記のように掌でグ
リップ12を握って前後方向に動かす操作であり、操向
操作は左右の操向レバー29,28を親指以外の指(例
えば、薬指と、中指又は人指し指のいずれか一方と)に
よって前後方向に動かす操作なので、前後進切換え操作
及び操向操作の同時操作も容易に可能となり、操縦性が
良い。
【0061】そして、左右の操向レバー29,28の回
動中心となるII軸が前後進切換えレバー11に設置され
ているので、前進・中立・後進の各位置において前後進
切換えレバー11のグリップ12と左右の操向レバー2
9,28の各操向レバーハンドル29a,28aとの距
離が不変となり、前後進切換えレバー11の操作位置に
かかわらず操向レバー29,28の指先操作が容易に可
能となる。さらに、前記II軸回りに右操向レバー28及
び左操向レバー29と共にそれぞれ回動する右アーム3
0及び左アーム31、そして右操向レバー28及び左操
向レバー29の操作量を検出するための右操向用ポテン
ショメータ36及び左操向用ポテンショメータ37も前
後進切換えレバー11に設置されているので、前後進切
換えレバー11の操作位置にかかわらず、左右の操向レ
バー29,28の操作量を常に正確に検出することがで
きる。したがって、この操作量に基づいて旋回制御を行
う際、精度良く制御を行うことが可能となる。また、左
右の操向レバー29,28の操作を停止して操作力を緩
めたときに、この操向レバー29,28を元の位置に復
帰させるように復帰手段(戻しばね38等による)が作
用するので、操作性が良い。
【0062】また、速度段切換えスイッチ40は、グリ
ップ12の左右いずれか一方で、かつ、操作する手の親
指に近い端部(本実施形態では右端部)に配設されてい
るので、グリップ12を握ったままの自然な状態で、親
指を余り動かさずに親指で速度段切換えスイッチ40を
操作することができる。これにより、速度段切換えの操
作性が向上する。さらに、前後進切換えレバー11は上
記のように掌で前後方向に操作し、速度段切換えスイッ
チ40は親指で操作するようにしているので、前後進切
換えと速度段切換えとの同時操作が可能となり、操縦性
が良い。また、従来技術のように前後進切換え操作と速
度段切換え操作を親指で押すという類似の操作とせず、
明確に識別できるようにしたので、誤操作することがな
い。
【0063】そして、速度段切換えスイッチ40の各操
作面を水平面内でI軸に対して約20°傾斜させ、か
つ、この操作面を鉛直面に対して約20°前傾させたの
で、前後進切換えレバー11に左掌を添えたときの親指
先端の動き方向に対して前記操作面がほぼ垂直となって
いる。また、速度段切換えスイッチ40の操作部41は
揺動中心のIII 軸より上部に増速側操作面41aを、下
部に減速側操作面41bを有しているので、親指を大ま
かにIII 軸より上方にずらして押すだけで増速側操作面
41aを操作でき、同様にIII 軸より下方にずらして押
すだけで減速側操作面41bを操作できる。この結果、
速度段切換え時の親指操作が容易で、極めて押し易くな
る。さらに、上記のように操作面を鉛直面に対して約2
0°前傾させたので、操作面を視野に入れることもでき
ると共に、増速側操作面41aと減速側操作面41bと
の間に突起41cを設けたので、親指による増速側操作
面41aと減速側操作面41bとの識別が容易となり、
よって誤操作を無くすことができる。
【0064】次に、上記構成の操縦装置を備えた作業車
両の操縦方法の一例について説明する。例えば、操作者
がブルドーザ100による掘削、押し土作業をする場
合、まず片手(本実施例では左手)の掌を前後進切換え
レバー11に密接させた後、前後進切換えレバー11を
前方に傾動させる。このとき前後進切換えレバー11
は、デテント26のノッチが中立位置から前進位置に移
動することにより、前進位置に停止する。これと同時
に、親指で速度段切換えスイッチ40の増速側操作面4
1aを1回押す。以上の操作により、第3プレート15
の前方凸部15aが前進認識用リミットスイッチ21を
作動させると共に、増速用リミットスイッチ44が作動
する。この後、制御器はこれらの作動信号を受けて変速
機の油圧制御装置に指令信号を出力し、前進側クラッチ
及び1速クラッチを係合させる。前進1速から2速に増
速する場合は、再度速度段切換えスイッチ40の増速側
操作面41aを1回押す。これにより、変速機の1速ク
ラッチの係合が解除され、2速クラッチが係合される。
また、2速から1速に減速する場合は、速度段切換えス
イッチ40の減速側操作面41bを1回押すことにより
可能である。
【0065】次に、前進から後進に切換える場合は、前
後進切換えレバー11が後方すなわち手前側に一杯に引
き寄せられ、このとき前後進切換えレバー11はデテン
ト26が中立位置を越えて後進位置に入った状態で停止
する。この操作により、第3プレート15の後方凸部1
5bが後進認識用リミットスイッチ23を作動させ、制
御器はこの作動信号を受けて変速機の油圧制御装置に指
令信号を出力し、前進側クラッチの係合を解除した後、
後進側クラッチを係合させる。また、3速で後進したい
ときは、例えば現在の速度段が1速の場合、親指で速度
段切換えスイッチ40の増速側操作面41aを2回押
す。これにより3速クラッチが係合され、ブルドーザは
後進3速で走行することができる。
【0066】前進又は後進で走行中に例えば右方向に旋
回する場合、親指以外の他の指で、すなわち、例えば人
指し指で、あるいは人指し指と中指とで右操向レバーハ
ンドル28aを引き寄せる。このとき、ブルドーザ10
0の旋回半径は右操向レバー28の操作ストローク量に
反比例しており、右操向レバーハンドル28aをストロ
ークエンドまで引き寄せると、ブルドーザ100の右側
履帯の操向クラッチがオフし、かつ、操向ブレーキがオ
ンして右側履帯の回転が停止し、ブルドーザ100は右
方向に信地旋回する。
【0067】以上のように、操作レバー等を持ち変える
ことなく片手で前後進切換え操作、操向操作、及び速度
段切換え操作が可能となり、前後進切換えレバーに片手
の掌を添えた状態のまま、その手の指先によって操向操
作、速度段切換え操作ができるため、操作者の疲労を大
幅に軽減することができる。また、従来から1本のジョ
イスティックレバーを右方向又は左方向に動かして作業
車両を旋回させるようにした操向操作手段があるが、こ
の方式の場合、作業車両が不整地を走行中に操作者の身
体が左右に振られたとき、無意識に操向操作を行ってし
まうことがある。しかし、前記実施形態で説明した操縦
装置では左右方向への操作を排除したので、前記のよう
な不測の操向操作が行われることはなくなり、作業車両
を安定して操縦することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる操縦装置が適用される作業車両
の一例のブルドーザの左側面図である。
【図2】ブルドーザのキャビン内部の一例を示す斜視図
である。
【図3】本発明に係わる操縦装置の操作部の斜視図であ
る。
【図4】本発明に係わる操縦装置の支持部の斜視図であ
る。
【図5】本発明に係わる操縦装置の平面図である。
【図6】本発明に係わる操縦装置の正面図である。
【図7】本発明に係わる操縦装置の左側面図である。
【図8】スプリングケースの縦断面図を示す。
【図9】操向操作時の操向レバーストロークと、操作力
と、操向クラッチ及び操向ブレーキの駆動油圧の大きさ
との関係を表すグラフである。
【図10】図5のA−A断面図である。
【図11】従来技術に係わる操縦装置の一例の斜視図を
示す。
【図12】従来技術に係わる操縦装置の一例の要部詳細
図を示す。
【符号の説明】
1…装軌式車体、6…オペレータシート、9…操縦装
置、11…前後進切換えレバー、12…グリップ、12
a…第1のくぼみ、12b…第2のくぼみ、13…第1
プレート、13a…切り欠き穴、14…第2プレート、
15…第3プレート、15a…前方凸部、15b…後方
凸部、17…ベース、18…第1シャフト、21…前進
認識用リミットスイッチ、22…中立位置認識用リミッ
トスイッチ、23…後進認識用リミットスイッチ、24
…アクションボックス、26…デテント、27…第2シ
ャフト、28…右操向レバー、28a…右操向レバーハ
ンドル、29…左操向レバー、29a…左操向レバーハ
ンドル、30…右アーム、31…左アーム、32…スプ
リングケース、33,34…スプリング、36…右操向
用ポテンショメータ、37…左操向用ポテンショメー
タ、38…戻しばね、40…速度段切換えスイッチ、4
1…操作部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 並木 紀明 大阪府枚方市上野3−1−1 株式会社小 松製作所大阪工場内 (72)発明者 布施 力夫 埼玉県大宮市日進町2−1215−5

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業車両のオペレータシート(6) の左右
    いずれか一側に設置され、片手により作業車両の前後進
    切換え、操向及び速度切換えを操作する操縦装置におい
    て、 前後方向に回動可能な前後進切換えレバー(11)と、 前後進切換えレバー(11)と共に回動し、回動した位置で
    親指以外の指により操作可能な操向レバー(28,29) と、 前後進切換えレバー(11)に付設された速度段切換えスイ
    ッチ(40)とを備えたことを特徴とする作業車両の操縦装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 前記前後進切換えレバー(11)のグリップ(12)と前記操向
    レバー(28,29) の操向レバーハンドル(28a,29a) とを上
    面視でほぼ平行に並設したことを特徴とする作業車両の
    操縦装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 前記速度段切換えスイッチ(40)を親指で操作可能な位置
    に設けたことを特徴とする作業車両の操縦装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 前後進切換えレバー(11)は、上端部の左右方向にほぼ水
    平な握り部(12c) と、この握り部(12c) の中央部から下
    方に形成された支持部(12d) とを有するT字形状のグリ
    ップ(12)を備えたことを特徴とする作業車両の操縦装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 前後進切換えレバー(11)を前進、中立及び後進の各位置
    に規定するデテント機構(24,26) を備えたことを特徴と
    する作業車両の操縦装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 前後進切換えレバー(11)と共に回動可能な位置に、操向
    レバー(28,29) の操作量を検出するポテンショメータ(3
    6,37) を設けたことを特徴とする作業車両の操縦装置。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 操向操作を停止したとき前記操向レバー(28,29) を自動
    的に元の位置に復帰させる手段を備えたことを特徴とす
    る作業車両の操縦装置。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 速度段切換えスイッチ(40)は、前記前後進切換えレバー
    (11)のグリップ(12)端部に設定した水平軸の回りに揺動
    可能な操作部(41)を有し、この操作部(41)の前記水平軸
    より上部又は下部を親指で押すことにより速度段切換え
    を可能としたことを特徴とする作業車両の操縦装置。
  9. 【請求項9】 請求項3に記載の作業車両の操縦装置に
    おいて、 速度段切換えスイッチ(40)の操作面を、左右方向は、オ
    ペレータシート(6) 寄りの内側端部が外側寄りの端部よ
    りも前方に変位するように、作業車両の左右方向に対し
    てほぼ水平な面内で約20°回転させ、上下方向は、上
    端部が下端部よりも前方に変位するように、鉛直面に対
    して約20°傾斜させたことを特徴とする作業車両の操
    縦装置。
  10. 【請求項10】 請求項4に記載の作業車両の操縦装置
    において、 前後進切換えレバー(11)のグリップ(12)の前面に親指を
    除く他の指をかける第1のくぼみ(12a) を設けたことを
    特徴とする作業車両の操縦装置。
  11. 【請求項11】 請求項4に記載の作業車両の操縦装置
    において、 前後進切換えレバー(11)のグリップ(12)の後面に親指の
    付け根を入れる第2のくぼみ(12b) を設けたことを特徴
    とする作業車両の操縦装置。
  12. 【請求項12】 請求項4に記載の作業車両の操縦装置
    において、 前後進切換えレバー(11)のグリップ(12)のオペレータシ
    ート(6) 寄り内側端部が外側端部よりも前方に変位する
    ように、グリップ(12)の左右方向中心線を作業車両の左
    右方向に対してほぼ水平な面内で約10°回転させたこ
    とを特徴とする作業車両の操縦装置。
  13. 【請求項13】 請求項7に記載の作業車両の操縦装置
    において、 前記操向レバー(28,29) を自動的に元の位置へ復帰させ
    る手段は、操向レバー(28,29) に操作力を付与するスプ
    リングケース(32)の付勢力を利用したことを特徴とする
    作業車両の操縦装置。
  14. 【請求項14】 オペレータシート(6) の左右のいずれ
    か一側に設置され、操作者が作業車両の前後進切換え、
    操向及び速度段切換えを片手で操作可能な作業車両の操
    縦装置の操作方法において、 片手で握ったグリップ(12)を前後方向のいずれかに回動
    して前進あるいは後進のいずれかを選択し、 前記グリップ(12)を握った片手の親指で任意の速度段を
    選択し、 前進あるいは後進中に右方向又は左方向に旋回する場合
    は、前記グリップ(12)を握った片手の人指し指、中指、
    薬指又は小指のいずれか、あるいはこれらの組み合わせ
    により旋回方向に適した操向レバー(28,29) を引き寄せ
    るようにしたことを特徴とする作業車両の操縦装置の操
    作方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009018682A (ja) * 2007-07-11 2009-01-29 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd 作業車両の変速操作具
KR101334490B1 (ko) * 2006-12-15 2013-11-29 두산인프라코어 주식회사 차량 조향장치용 틸러바 타입 조이스틱
WO2023100602A1 (ja) * 2021-12-02 2023-06-08 株式会社小松製作所 キャブ及び作業機械

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