JPH11202086A - 使用済燃料の再処理方法 - Google Patents

使用済燃料の再処理方法

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JPH11202086A
JPH11202086A JP723598A JP723598A JPH11202086A JP H11202086 A JPH11202086 A JP H11202086A JP 723598 A JP723598 A JP 723598A JP 723598 A JP723598 A JP 723598A JP H11202086 A JPH11202086 A JP H11202086A
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JP
Japan
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uranium
plutonium
fuel
extraction
extraction step
Prior art date
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JP723598A
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English (en)
Inventor
Mamoru Kamoshita
守 鴨志田
Tetsuo Fukazawa
哲生 深澤
Akira Sasahira
朗 笹平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】使用済燃料再処理設備をコンパクトにする。 【解決手段】プルトニウム・ウラン共抽出装置9におい
て、燃料溶解液と、30%のトリブチルリン酸,3%以
上のトリノルマルオクチルアミンと、8ないし17%の
イソオクチルアルコールとをノルマルドデカンで希釈し
てなる混合溶媒とを向流接触させて、プルトニウム及び
ウランを混合状態で混合溶媒側に抽出する。プルトニウ
ム・ウラン共抽出装置9からの燃料溶解液は、ウラン抽
出装置10で混合溶媒と向流接触される。 【効果】スクラブ操作が不要となりプルトニウム・ウラ
ン共抽出工程の抽出段数が減少する。プルトニウムの計
量管理を軽減でき、再処理設備より単純化できる。更
に、プルトニウム及びウランの連続抽出操作が可能とな
り、イソオクチルアルコールを添加した状態でもプルト
ニウム全量抽出が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所から
発生する使用済原子燃料の再処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所から発生する使用済核燃料
に含まれたウラン及びプルトニウムは、ピュレックス法
と呼ばれる化学分離プロセスにより分離回収される。ピ
ュレックス法は、マックグロー−ヒル〔McGraw-Hill 〕
社発行のエム・ベネディクト他2名による原子力化学工
学〔Nuclear Chemical Engineering〕第2版466〜5
14頁に記載されている。ピュレックス法は、使用済核
燃料を硝酸で溶解して、共除染工程において、30%の
トリブチルリン酸(TBP)をノルマルドデカンに溶解し
た有機溶媒を用いて、ウラン及びプルトニウムの全量を
抽出して核分裂生成核種から分離する。
【0003】抽出されたウラン及びプルトニウムを抽出
したTBPは分配工程に送られる。この分配工程は、還
元剤を含む希薄硝酸でプルトニウムを還元しながら逆抽
出した後、ウランを希薄硝酸で逆抽出して、ウラン及び
プルトニウムを分離する。ウラン及びプルトニウムは、
それぞれ精製工程に送られて精製される。
【0004】ピュレックス法で回収されたプルトニウム
は、ウランと共に混合酸化物燃料(MOX燃料)として利
用される。軽水炉用MOX燃料は、それぞれの精製工程
で得られたウランとプルトニウムとを所定の仕様になる
ように再度混合して得られる。
【0005】高速炉用MOX燃料は、軽水炉用MOX燃
料ほどの製品純度が要求されない。従って、ウラン及び
プルトニウムを抽出したTBPから、プルトニウムの全
量とウランの一部を高速炉用MOX燃料の組成になるよ
うに混合逆抽出して、その後TBP中に残ったウランを
逆抽出すること、さらには精製工程を削除することによ
り、工程を簡素化した再処理法が開発されている。更に
は、燃料溶解液からウランを晶析法により分離して共除
染工程に供給するウラン量を低減し、共除染工程等での
試薬使用量の低減が検討されている。この場合、晶析工
程に供給する溶解液中のウラン濃度は、上記ピュレック
ス法における溶解液中のその濃度よりも高くし、これを
冷却することにより硝酸ウラニルを晶析させて分離す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】共除染工程は、多段に
組み合わせた抽出器(例えばミキサセトラ)内で、燃料
溶解液とTBPとを向流接触させてウラン及びプルトニ
ウムをTBP側に抽出する。従来のピュレックス法は、
ウランをプルトニウムよりも優先的に抽出するので、プ
ルトニウムの破過がおきないように、燃料溶解液に対す
るTBPの流量比に余裕をもたせている。このため、余
剰のTBPにより燃料溶解液から核分裂生成核種が抽出
される。
【0007】TBPから核分裂生成核種を除去するため
に、スクラブ操作が必要になる。共除染工程は、ウラン
をプルトニウムを抽出する抽出器以外に、スクラブ操作
のための抽出器が必要となる。また、スクラブ操作のた
めに、スクラブ液として使用する試薬が必要となる。ス
クラブ操作のための抽出器の設置は、共除染工程におけ
る抽出器の段数を増加させることになる。また、スクラ
ブ液の使用は、高レベル廃液処理系での放射性廃液の処
理量を増加させる。
【0008】本発明の目的は、設備をコンパクト化でき
る使用済燃料の再処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的を
達成する第1発明の特徴は、核燃料物質を溶解している
燃料溶解液から有機溶媒を用いて核燃料物質を抽出する
抽出工程を含む使用済核燃料の再処理方法において、前
記有機溶媒として30%のトリブチルリン酸,3%以上
のトリノルマルオクチルアミンと、8ないし17%のイ
ソオクチルアルコールとをノルマルドデカンで希釈した
混合溶媒を用い、前記抽出工程でプルトニウム及びウラ
ンを混合状態で抽出することにある。
【0010】トリノルマルオクチルアミンはウランより
もプルトニウムを抽出しやすく、トリブチルリン酸の混
合溶媒への添加量が減少できる。これは、抽出工程にお
いて、トリブチルリン酸への核分裂生成核種の移行を抑
制する。また、トリノルマルオクチルアミンは、余裕を
持って添加しても燃料溶解液に含まれる核分裂生成核種
を抽出しない。以上のことにより、スクラブ操作のため
の抽出器の設置が不要となり、プルトニウム・ウラン共
抽出工程の抽出段数が減少する。従って、抽出工程が簡
素化でき、再処理設備がコンパクトになる。
【0011】トリノルマルオクチルアミンがトリブチル
リン酸に混合されることにより、MOX燃料に用いられ
るプルトニウムとウランとの混合物を直接抽出できる。
【0012】第1発明は、また、混合溶媒が10〜50
%のトリブチルリン酸,3%以上のトリノルマルオクチ
ルアミンを含んでいるので、プルトニウムの分配比がウ
ランのその比よりも大きくなり、プルトニウム・ウラン
共抽出工程及びプルトニウム・ウラン逆抽出工程でプル
トニウムの全量を抽出できる。このため、プルトニウム
・ウラン共抽出工程よりも燃料溶解液の流れに対して下
流側、及びプルトニウム・ウラン逆抽出工程よりも混合
溶媒の流れに対して下流側でのプルトニウムの計量管理
が不要になる。このため、再処理設備のシステム構成が
単純になる。
【0013】イソオクチルアルコールが8%以上である
ので、混合溶媒側にウランとトリブチルリン酸との錯体
を主に含む相、及びプルトニウムとトリノルマルオクチ
ルアミンとの錯体を主に含む相の形成が防止できるの
で、プルトニウム及びウランの連続抽出操作が可能にな
る。また、イソオクチルアルコールが17%以下である
ので、プルトニウムの分配比がウランのそれよりも大き
くなり、イソオクチルアルコールを添加した状態でもプ
ルトニウムの全量抽出が可能になる。
【0014】トリブチルリン酸は本来、具体的には硝酸
水溶液である燃料溶解液と相分離しにくい抽出剤であ
る。このため、通常、相分離しやすいノルマルドデカン
で希釈して、硝酸水溶液との相分離性を改善している。
このことから、トルブチルリン酸濃度を高くすること
は、ウランとプルトニウムの分配比を大きくする反面、
相分離性を悪化させて抽出工程の運転性を低下させる。
これを防止するためには、トリブチルリン酸を硝酸水溶
液から良好に分離させる必要がある。これを達成できる
トリブチルリン酸濃度の上限は、50%である。
【0015】トリブチルリン酸の濃度を小さくするとウ
ランの分配比が小さくなる。トリブチルリン酸の濃度を
10%以上にすることによって1以上の分配比でウラン
を抽出できる。
【0016】上記の目的を達成する第2発明の特徴は、
前記トリノルマルオクチルアミンが7〜15%であるこ
とにある。
【0017】トリノルマルオクチルアミン濃度が7%よ
りも小さくなると、トリブチルリン酸とトリノルマルオ
クチルアミンがイプルトニウム及びウランに対して複雑
に結合して抽出する協同効果の領域になる。この領域で
は、プルトニウム及びウランの抽出挙動を予測すること
が非常に難しくなるので、使用済燃料再処理装置の運転
が複雑になる。従ってトリノルマルオクチルアミンの濃
度を7%以上にすることによって、協同効果を示さない
領域を実現でき、プルトニウム及びウランの抽出挙動の
予測が単純になる。このため、上記装置の運転が容易に
なる。一方、トリノルマルオクチルアミン濃度を高くし
すぎると、高濃度のプルトニウム及びウランを抽出した
ときに前述の異なる錯体を主に含む2つの相が生成され
易くなる。トリノルマルオクチルアミン濃度が15%以
上では、8−17%のイソオクチルアルコールの添加に
より確実に上記の2つの相の生成を防ぎながらプルトニ
ウム及びウランを抽出できる。このため、抽出工程の運
転が容易になる。
【0018】上記の目的を達成する第3発明の特徴は、
前記抽出工程が、前記燃料溶解液から前記混合溶媒を用
いてプルトニウム及びウランを混合状態で抽出するプル
トニウム・ウラン共抽出工程と、前記プルトニウム・ウ
ラン共抽出工程から排出された前記燃料溶解液から前記
混合溶媒を用いてウランを抽出するウラン抽出工程とを
含み、前記プルトニウム・ウラン共抽出工程及び前記ウ
ラン抽出工程へのそれぞれの前記混合溶媒の供給は並行
して行うことにある。
【0019】燃料溶解液が直列に供給されるプルトニウ
ム・ウラン共抽出工程及びウラン抽出工程に対して並行
に混合溶媒を供給しているので、燃料溶解液は、プルト
ニウム・ウラン共抽出工程以外にウラン抽出工程でも新
たな混合溶媒と接触することになる。このため、核燃料
物質の抽出効率が向上し、プルトニウム・ウラン共抽出
工程とウラン抽出工程との合計の抽出段数が従来のピユ
ーレックス法での抽出洗浄工程の抽出段数よりも少なく
なる。従って、抽出工程が簡素化でき、再処理設備がコ
ンパクトになる。
【0020】この理由を以下に具体的に述べる。従来の
ピユーレックス法は、前述したように、共除染工程にお
いて有機溶媒を含む抽出剤と燃料溶解液とを接触させて
所定量のプルトニウム及びウランを抽出している。抽出
剤は、共除染工程の第一段に供給され、その工程の最終
段に向かって流れる。なお、抽出剤は、共除染工程にお
いて燃料溶解液と向流接触される。有機溶媒は、燃料溶
解液と接触されながら共除染工程の最終段まで流れる間
に燃料溶解液と接触されながらウラン及びプルトニウム
を抽出する。このため、最終段に近くなるほど、抽出剤
中の抽出に寄与する有効有機溶媒濃度が低下し、核燃料
物質の抽出効率が低下する。従って、所定量の核燃料物
質を抽出するためには、抽出段数を多くし、第一段に供
給する抽出剤中の有機溶媒濃度を大きくしなければなら
ない。
【0021】これに対して、第3発明は、プルトニウム
・ウラン共抽出工程及びウラン抽出工程のそれぞれの第
一段に有機溶媒を含む新たな混合溶媒を供給している。
後段のウラン抽出工程に新たな混合溶媒を供給するの
で、前段のプルトニウム・ウラン共抽出工程の最終段で
低下した核燃料物質の抽出効率がウラン抽出工程で再度
高くなる。第3発明ではプルトニウム・ウラン共抽出工
程及びウラン抽出工程が核燃料の抽出工程である。同じ
量の核燃料物質を抽出するときには、抽出工程の2箇所
に新たな抽出剤を供給する場合のほうが、従来のピユー
レックス法のように抽出工程の1箇所に抽出剤を供給す
る場合よりも全体的な核燃料物質の抽出効率が高くな
る。従って、第3発明におけるプルトニウム・ウラン共
抽出工程とウラン抽出工程との抽出段数の和は、従来の
ピユーレックス法における共除染工程の抽出段数よりも
少なくできる。また核燃料物質の抽出効率が高いと、燃
料溶解液に対する抽出剤の流量比が小さくてすむ。
【0022】上記の目的を達成する第4発明の特徴は、
前記プルトニウム・ウラン共抽出工程で抽出したプルト
ニウム及びウランを含む前記混合溶媒から、硝酸溶液を
用いて、プルトニウム及びウランを抽出するプルトニウ
ム・ウラン逆抽出工程と、前記ウラン抽出工程で抽出し
たウランを含む前記混合溶媒から、硝酸溶液を用いて、
ウランを抽出するウラン逆抽出工程とを含むことにあ
る。
【0023】回収したウラン及びプルトニウムは、酸化
物燃料に転換しなければならない。このため、プルトニ
ウム・ウラン逆抽出工程及びウラン逆抽出工程から、逆
抽出された燃料物質を含む硝酸溶液を排出することによ
って、硝酸溶液から酸化物燃料への転換操作が容易にな
る。
【0024】プルトニウム・ウラン共抽出工程でプルト
ニウムを優先的に抽出した混合溶媒と、ウラン抽出工程
でウランのみを抽出した混合溶媒が発生するので、これ
らを別々に逆抽出しないとプルトニウム/ウラン比が高
い製品とウランのみの製品が得られない。このため、プ
ルトニウム・ウラン逆抽出工程及びウラン逆抽出工程を
設置することにより、これらの2つの製品が並行して得
られる。これは、一つの逆抽出装置を用いて交互にプル
トニウム/ウラン比が高い製品とウランのみの製品を逆
抽出する場合に比べて、処理量が大きくできる。
【0025】上記の目的を達成する第5発明の特徴は、
プルトニウム及びウランを混合状態で抽出する前記抽出
工程から排出された前記燃料溶解液に沈澱試薬を添加し
てウランを沈澱させ、沈澱したウランを前記燃料溶解液
から分離することにある。
【0026】燃料溶解液に添加した沈澱試薬によってウ
ランを沈澱させ、沈澱したウランを燃料溶解液から分離
するので、ウラン抽出工程及びウラン逆抽出工程を省く
ことができ、使用済燃料再処理装置を更にコンパクト化
できる。
【0027】上記の目的を達成する第6発明の特徴は、
前記燃料溶解液に含まれているウランの一部を晶析させ
て前記燃料溶解液から分離し、ウランの一部が取り除か
れたその燃料溶解液を、プルトニウム及びウランを混合
状態で抽出する前記抽出工程に導くことにある。
【0028】プルトニウム・ウラン抽出工程の前で晶析
により燃料溶解液に含まれているウランの一部を分離す
るので、プルトニウム・ウラン抽出工程に供給される燃
料溶解液に含まれるウランの量を低減できる。このた
め、プルトニウム・ウラン抽出工程で使用される混合溶
媒の量を減少できる。
【0029】上記の目的を達成する第7発明の特徴は、
前記硝酸溶液に還元剤を混合し、前記プルトニウム・ウ
ラン逆抽出工程においてプルトニウムを3価に還元して
逆抽出することにある。
【0030】3価のプルトニウムは分配係数が小さく混
合抽出剤から硝酸溶液に移行しやすいので、プルトニウ
ムの逆抽出が簡単に行える。
【0031】上記目的を達成する第8発明の特徴は、プ
ルトニウム・ウラン共抽出工程で抽出したプルトニウム
及びウランを含む有機溶媒から、硝酸溶液を用いて、全
量のプルトニウム、及びウランの一部を抽出するプルト
ニウム・ウラン逆抽出工程と、ウラン抽出工程で抽出し
たウランを含む有機溶媒、及び前記プルトニウム・ウラ
ン逆抽出工程から排出されたウランを含む有機溶媒を混
合し、混合された有機溶媒から、硝酸溶液を用いて、ウ
ランを抽出するウラン逆抽出工程とを含み、これらの有
機溶媒が前記混合抽出剤であることにある。
【0032】プルトニウム・ウラン逆抽出工程ですべて
のウランを逆抽出せずに、ウランの一部を有機溶媒側に
残すことによって、プルトニウム・ウラン逆抽出工程の
抽出段数を少なくすることができる。量が少なくなった
ウランを完全に逆抽出するためには、更に抽出段を増加
する必要がある。プルトニウム・ウラン逆抽出工程から
排出されるウランを含む有機溶媒と、ウラン抽出工程で
抽出したウランを含む有機溶媒とを混合することによっ
て、量が少なくなったウランを完全に逆抽出する負荷が
掛かる工程を減らすことができる。例えば、その工程は
ウラン逆抽出工程だけになる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明は、以下の検討結果に基づ
いてなされたものである。検討の対象としたのは、使用
済核燃料を再処理して、高速炉用の炉心燃料及びブラン
ケット燃料を製造することを前提とした。
【0034】炉心燃料となるMOX燃料を得るために
は、MOX燃料と同等のプルトニウム富化度でプルトニ
ウム及びウランの混合物を取り出す必要がある。使用済
燃料の燃料溶解液はプルトニウムに対して過剰量のウラ
ンを含むので、有機溶媒を用いた抽出操作でプルトニウ
ム富化度を調整するためにはプルトニウムの全量をウラ
ンの一部と共に取り出す必要がある。例えば、プルトニ
ウムの10倍のウランを含む燃料溶解液から、プルトニ
ウム富化度が25%の混合物を抽出する場合には、ウラ
ンの30%とプルトニウムの全量とを抽出し、ウランが
プルトニウムの3倍量になるようにする。このとき、燃
料溶解液中に共存した核分裂生成核種を1000分の1
程度に除染する。一方、残りの70%のウラン(余剰ウ
ラン)は、ブランケット燃料の製造に用いるので、核分
裂生成核種は100分の1程度以上で除染する。
【0035】MOX燃料の組成になるように燃料溶解液
からプルトニウム及びウランを分離するための原理は、
以下の通りである。燃料溶解液からプルトニウムの全量
及びウランの一部を回収するためには、プルトニウムを
ウランよりも優先的に回収する必要がある。有機溶媒で
あるトリノルマルオクチルアミン(TOA)は、プルトニ
ウムを選択的に抽出し、ウランの抽出には必ずしも有効
でない。一方、TBPは、燃料溶解液のようにプルトニ
ウムよりもウランを過剰に含む水溶液からウランを優先
的に抽出する。ウランの一部を抽出しながらプルトニウ
ムの全量を抽出するためには、TBPとTOAとを混合
して、プルトニウムの分配比をウランの分配比よりも大
きくすればよいことが分かった。
【0036】この知見を図2及び図3に基づいて以下に
述べる。30%のTBPに種々の濃度のTOAを混合
し、プルトニウム及びウランの分配比を調べた。この結
果、図2に示すように、30%のTBPに3%以上のT
OAを混合することにより、プルトニウムの分配比がウ
ランの分配比よりも大きくなることが分かった。
【0037】しかしながら、TOA濃度が7%未満の時
にはTBPとTOAが協同効果を示し、抽出挙動が複雑
となる。このため、TOA濃度が7%以上であることが
望ましいが、希釈剤としてn−ドデカン等の脂肪族有機
液体を用いる場合、TBP及びTOAを含む混合溶媒と
高濃度のウランを含む燃料溶解液と接触させると、混合
溶媒側にウランとTBPとの錯体を主に含む相と、プル
トニウムとTOAとの錯体を主に含む相とが形成され
る。これらの相は、互いに分離する。このように混合抽
出剤側に分離する2つの相が形成されると、燃料溶解液
と混合溶媒とを向流接触させることによるウラン及びプ
ルトニウムの連続抽出が困難になる。従って、上記の分
離する2つの相の形成を抑制するために緩衝剤(例えば
イソオクチルアルコール)を添加する必要がある。ちな
みに、図2の特性は、緩衝剤が添加されていない場合の
ものである。
【0038】緩衝剤として種々の濃度のイソオクチルア
ルコールを、TBP,TOA及びn−ドデカンを含む混
合溶媒に添加したときのウラン及びプルトニウムの分配
比の変化を図3に示す。イソオクチルアルコールの添加
により、上記の分離する2つの相の形成が防止できる。
例えば、TOA濃度が10%のときには8%のイソオク
チルアルコールが必要である。TOA濃度が高くなる
と、上記の分離する2つの相の抑制のために必要なイソ
オクチルアルコール濃度も高くなるが、それに伴ってプ
ルトニウムの分配比が低下し、イソオクチルアルコール
濃度が17%をこえるとウランよりもプルトニウムの分
配比が小さくなる。これらから、イソオクチルアルコー
ル濃度は10%程度であることが望ましい。このとき上
記の分離する2つの相が生成しないTOAの最高濃度は
15%である。以上から、混合溶媒として、30%のT
BP、3%以上で望ましくは7ないし15%のTOA、
及び8ないし17%で望ましくは10%程度のイソオク
チルアルコールの混合液を、ノルマルドデカンで希釈し
たものを用いるとよい。この混合溶媒を用いて、プルト
ニウム及びウランをMOX燃料の組成になるように分離
する。
【0039】上記の混合溶媒を用いたプルトニウム−ウ
ラン共抽出工程では、ウランの一部が破過する条件であ
るので、TBPの大部分はウランと結合している。この
ため、TBPによる核分裂生成核種の抽出が大幅に抑制
される。一方、TOAは、陰イオン抽出機構を有してい
ることから分かるように、燃料溶解液中で大部分が陽イ
オンとして存在している核分裂生成核種を抽出しにく
い。さらに、TOAの大部分がプルトニウムと結合する
条件で抽出すれば、核分裂生成核種の抽出はさらに抑制
される。この結果、混合溶媒を用いることによって、従
来のピュレックス法のように共除染工程においてスクラ
ブ操作を行う必要がなく、プルトニウム及びウランの混
合製品の除染係数は1000以上となる。また、余剰ウ
ランを混合溶媒により抽出して回収する場合も、同様に
溶媒飽和度が高くなるような条件で抽出すれば、スクラ
ブ操作なしで100以上の除染係数が達成できる。
【0040】溶媒飽和度を高くするためには、燃料溶解
液流量に対して混合溶媒の流量を最低限にする必要があ
る。TBP単独の場合には、溶媒飽和度を高くすると、
溶媒流量変動等によりプルトニウムが破過する危険性が
高いので、現行ピュレックス法では溶媒流量に余裕をも
たせている。これに対して、混合溶媒を用いる場合に
は、プルトニウム−ウラン共抽出する工程で、プルトニ
ウムに対してTOAの流量に若干の余裕をもたせること
で、プルトニウムの破過は回避できる。また、余剰ウラ
ンを抽出する工程では、プルトニウムが存在しないの
で、破過の危険性がない。
【0041】以上から、従来の共除染スクラブがなくと
も製品の除染係数が確保できるので、工程の簡素化、分
離器の低減が達成され、スクラブ液を使用しないことに
対応した試薬使用量が低減される。
【0042】(実施例1)本発明の好適な一実施例であ
る実施例1の使用済核燃料の再処理方法を、図1に示す
使用済核燃料の再処理装置を用いて以下に説明する。
【0043】剪断装置2から計量・調整装置8までは従
来のピュレックス法で用いられている装置が使用され
る。高速炉から取り出された使用済燃料集合体1は、剪
断装置2によって機械的に剪断され、次の溶解槽3内で
溶解しやすくする。剪断された使用済燃料集合体は、溶
解槽3内で数規定の硝酸4を用いて加熱条件下で溶解さ
れる。このとき、剪断片のうちウラン及びプルトニウム
等は硝酸に溶解するのに対して、燃料被覆管等の金属材
は硝酸に溶けずに固体の放射性廃棄物(ハル)5とな
る。剪断装置2及び溶解槽3から排出されるガスは、放
射性物質を含んでいるので、オフガス処理系16で浄化
される。
【0044】ウラン及びプルトニウムを溶解した燃料溶
解液は、燃料被覆管等の金属材を分離後、清澄装置(具
体的には遠心清澄器を使用)6に送られる。清澄装置6
は、燃料溶解液から上記金属材等の不溶解残渣7を除去
する。清澄装置6から排出された燃料溶解液は、計量・
調整装置8の計量・調整槽に送られる。ここで、燃料溶
解液に含まれるウラン及びプルトニウムの濃度を分析
し、これらの濃度が合計200ないし250g/L、硝
酸濃度が3規定になるように調整される。計量・調整装
置8から排出された燃料溶解液は、プルトニウム・ウラ
ン共抽出装置9に導かれ、ここで混合溶媒11と向流接
触される。混合溶媒11の組成は、TBP30%,TO
A15%,イソオクチルアルコール10%及びノルマル
ドデカン45%である。
【0045】プルトニウム・ウラン共抽出装置9は、多
段に配列された遠心抽出器を有する。燃料溶解液は第1
段から最終段の遠心抽出器に向かって流れ、混合溶媒1
1は逆に最終段から第1段の遠心抽出器に向かって流れ
る。このとき、プルトニウムの全量とプルトニウムの3
倍量のウランを抽出すること、及び混合溶媒に含まれる
TBP及びTOA共、90%程度以上がウランあるいは
プルトニウムと結合するように混合溶媒11と燃料溶解
液との流量比を決定する。高速に回転している遠心抽出
器の回転中心側から燃料溶解液を供給し、遠心抽出器の
周辺部から混合溶媒を供給する。相対的に比重の大きな
燃料溶解液は遠心抽出器の周辺部に向かって流れ、相対
的に比重の小さい混合抽出剤は遠心抽出器の回転中心側
に向かって流れる。このような流れによって、燃料溶解
液と混合抽出剤とが遠心抽出器内で向流接触される。向
流接触の間で、燃料溶解液に含まれるプルトニウム及び
ウランが混合抽出剤の方へ移行する。遠心抽出器の周辺
部から取り出された燃料溶解液は、燃料溶解液の流れ方
向で次の段の遠心抽出器の回転中心側に供給される。こ
れに対して、遠心抽出器の回転中心から取り出された混
合溶媒は、燃料溶解液の流れ方向で前段の遠心抽出器の
周辺部に供給される。
【0046】プルトニウム・ウラン共抽出装置9では、
MOX燃料のプルトニウム/ウラン比に対してウランが
余剰になるように、プルトニウム及びウランが抽出され
る。プルトニウム・ウラン共抽出装置9は、高い除染係
数でプルトニウム及びウランを混合状態で抽出できる。
この原理は以下の通りである。
【0047】前述したピュレックス法の共除染工程で
は、前述したように、TBP量がウラン及びプルトニウ
ムの量に対して余裕がある分、核分裂生成核種が抽出さ
れる。このため、ピュレックス法は、スクラブ操作、及
び精製操作を行って高い除染係数を得ている。
【0048】これに対して、本実施例は、プルトニウム
量に対して混合溶媒内のTOA量は余裕があるので、プ
ルトニウム・ウラン共抽出装置9で全プルトニウムを抽
出する。しかし、ウランは一部が抽出されるだけである
のでTBP量には余裕がない。このため、混合溶媒内の
TBPはウランと結合する。この結果、TBPはプルト
ニウム・ウラン共抽出装置9において核分裂生成核種を
抽出しない。また大部分の核分裂生成核種はTOAによ
ってほとんど抽出されない。プルトニウム及びウランの
混合物への核分裂生成核種の混入が抑制される。従っ
て、抽出されたプルトニウム及びウランの混合物に対す
る精製工程が不要になる。
【0049】プルトニウム及びウランを含む混合溶媒
は、プルトニウム・ウラン共抽出装置9からプルトニウ
ム・ウラン逆抽出装置12に送られる。この混合溶媒
は、抽出されたプルトニウム及びウランを含んでいる。
プルトニウム・ウラン共抽出装置9から排出された燃料
溶解液は、ウラン抽出装置10に供給される。
【0050】プルトニウム・ウラン逆抽出装置12は、
プルトニウム・ウラン共抽出装置9と同様に多段の遠心
抽出器が配列されている。還元剤である2価の鉄イオン
を溶解した希薄硝酸水溶液(逆抽出液)14が、プルト
ニウム・ウラン逆抽出装置12に供給される。希薄硝酸
水溶液14と混合溶媒が、プルトニウム・ウラン逆抽出
装置12内で向流接触される。
【0051】プルトニウム・ウラン逆抽出装置12にお
ける混合溶媒/希薄硝酸水溶液流量比は、プルトニウム
/ウラン比がMOX燃料の組成になるように設定され
る。混合溶媒に含まれているプルトニウム及びウラン
が、希薄硝酸水溶液側に移行する。プルトニウム・ウラ
ン逆抽出装置12から排出される希薄硝酸水溶液は、MO
X燃料のプルトニウム/ウラン比になる量のプルトニウ
ム及びウランを含んでいる。プルトニウム・ウラン逆抽
出装置12に供給される混合溶媒はウランを余剰に含む
関係上、プルトニウム・ウラン逆抽出装置12から排出
される混合溶媒には、ウランが一部残存する。
【0052】もし、残存する程度の少量のウランを抽出
するとなると、更に多くの段数の遠心抽出器の設置が必
要になる。これでは、プルトニウム・ウラン逆抽出装置
12が大型化する。本実施例は、排出させる混合抽出剤
にウランを一部残存させることによって、プルトニウム
・ウラン逆抽出装置12における遠心抽出器の段数を低
減している。当然のことながら、プルトニウム・ウラン
逆抽出装置12のコンパクト化が図れる。また、排出さ
せる混合抽出剤にウランを一部残存させることは、プル
トニウム・ウラン逆抽出装置12に供給する希薄硝酸水
溶液の量を少なくできる。プルトニウム・ウラン逆抽出
装置12から排出された、プルトニウムを含まなくウラ
ンが残存する混合抽出剤は、溶媒洗浄系20に導かれ
る。
【0053】プルトニウム・ウラン逆抽出装置12から
排出された希薄硝酸水溶液は、プルトニウムとウランの
組成比を分析される。この組成比がMOX燃料の組成比
であることを確認された後、希薄硝酸水溶液にマイクロ
波を照射して脱硝する。得られたプルトニウム及びウラ
ンを酸化物に転換する。これらの混合酸化物を用いてM
OX燃料が製造される。
【0054】ウラン抽出装置10も、遠心抽出器を多数
段配列して構成される。プルトニウム・ウラン共抽出装
置7から排出された燃料溶解液は、ウラン抽出装置10
で混合溶媒11と向流接触される。ウラン抽出装置10
に供給される混合溶媒11の組成は、プルトニウム・ウ
ラン共抽出装置9に供給される混合溶媒11のそれと同
じである。ウラン抽出装置10では、混合溶媒11中の
TBPの70%以上、好ましくは85%程度がウランと
結合するように、混合溶媒11と燃料溶解液の流量比を
設定する。このため、TBPによる核分裂生成核種の抽
出が抑制される。燃料溶解液中の核分裂生成核種は大部
分が陽イオンであるので、TOAでは抽出されにくい。
得られるウランに混入する核分裂生成核種は、著しく少
なくなる。従って、抽出されたウランに対する精製工程
が不要になる。
【0055】ウラン抽出装置11に供給される燃料溶解
液はプルトニウムを含んでいないので、ウラン抽出装置
11から排出され廃液となる燃料溶解液はウランの一部
を含んでいてもプルトニウムを含まない。従って、プル
トニウムは廃液処理装置14に供給されない。前述した
ようにウラン抽出装置10から排出される燃料溶解液
は、廃液であり、廃液処理系17に供給される。廃液処
理系17は、その燃料溶解液をガラス固化体にする。
【0056】ウラン逆抽出装置13は、ウラン抽出装置
10から排出されたウランを含む混合溶媒と希薄硝酸水
溶液15とを向流接触させる。ウラン逆抽出装置13
も、多段に配列された遠心抽出器を備える。ウラン逆抽
出装置13から排出され、逆抽出されたウランを含む希
薄硝酸水溶液19は脱硝処理される。その後、回収され
たウランは、酸化物に再転換され、例えば高速炉のブラ
ンケット燃料の材料として利用される。
【0057】ウラン逆抽出装置13から排出された混合
溶媒は、プルトニウム・ウラン逆抽出装置12から排出
された希薄硝酸水溶液と同様に溶媒洗浄系20に供給さ
れて洗浄される。
【0058】プルトニウム・ウラン共抽出装置9に供給
される混合溶媒11に含まれるアミン系抽出剤であるT
OAは、ウランよりもプルトニウムを抽出しやすい。こ
のため、本実施例は、TBPの大部分がウランと結合し
た状態にしてもプルトニウムの抽出ロスを避けることが
できる。TBPの大部分がウランと結合した状態では、
プルトニウム・ウラン共抽出装置9において、TBPへ
の核分裂生成核種の移行を抑制する。また、TOAは、
余裕を持って添加しても燃料溶解液に含まれる核分裂生
成核種をほとんど抽出しない。以上のことにより、プル
トニウム・ウラン共抽出装置9は、スクラブ操作のため
の抽出器の設置が不要となり、抽出段数が減少する。従
って、プルトニウム・ウラン共抽出装置9の簡素化によ
り、再処理設備がコンパクトになる。混合溶媒11を用
いることにより、MOX燃料に用いられるプルトニウム
とウランとの混合物を直接抽出できる。
【0059】核燃料の再処理においてはプルトニウムの
管理が重要であり、その所在を明確にする必要がある。
本実施例は、混合溶媒がTBP30%及びTOA15%
を含んでいるので、プルトニウム・ウラン共抽出装置9
でプルトニウムの全量を抽出でき、プルトニウム・ウラ
ン逆抽出装置12でプルトニウムの全量を逆抽出でき
る。このため、プルトニウムは、ウラン抽出装置10,
廃液処理系17,ウラン逆抽出装置13,溶媒洗浄系2
0、及び図1に示すようにこれらを接続する管路内に存
在しない。これらの場所でのプルトニウムの管理が不要
になる。このため、再処理設備のシステム構成が単純に
なる。本実施例は、プルトニウム・ウラン共抽出装置9
とウラン抽出装置10とを接続する燃料溶解液排出管、
及びプルトニウム・ウラン逆抽出装置12と溶媒洗浄系
20とを接続する希薄硝酸水溶液排出管に別々にプルト
ニウム計測器(図示せず)を設置し、それぞれからのプ
ルトニウムの流出を監視するればよい。もし、それぞれ
からプルトニウムが検出された場合は、それぞれの排出
管に設けられた弁(図示せず)を閉鎖することにより、
ウラン抽出装置10及び溶媒洗浄系20へのプルトニウ
ムの流入を阻止できる。
【0060】本実施例は、混合溶媒がTBP30%及び
TOA15%を含んでいるので、プルトニウムとウラン
を混合状態で抽出できる。このため、従来のピューレッ
クス法で行われる分配工程、及び分離されたプルトニウ
ムとウランを混合してMOX燃料を製造するといった処
理が不要になり、本実施例の処理工程が単純化される。
【0061】本実施例は、燃料溶解液が直列に供給され
るプルトニウム・ウラン共抽出装置9及びウラン抽出装
置10に対して並行に混合溶媒11を供給しているの
で、プルトニウム・ウラン共抽出装置9を通過した燃料
溶解液は、ウラン抽出装置10でも新たな混合溶媒11
と接触する。このため、プルトニウム・ウラン共抽出装
置9及びウラン抽出装置10全体での核燃料物質の抽出
効率が向上する。これは、プルトニウム・ウラン共抽出
装置9及びウラン抽出装置10の合計の抽出段数が従来
技術で述べたピューレックス法での共除染工程の抽出段
数よりも少なくなる。従って、プルトニウム・ウラン共
抽出装置9及びウラン抽出装置10が簡素化でき、再処
理設備がコンパクトになる。また核燃料物質の抽出効率
が高いと、燃料溶解液に対する混合溶媒の流量比が小さ
くてすむ。
【0062】本実施例の混合溶媒が8%以上である10
%のイソオクチルアルコールを含んでいるので、混合溶
媒側にウランとTBPとの錯体を主に含む相、及びプル
トニウムとTOAとの錯体を主に含む相の形成が防止で
きるので、プルトニウム及びウランの連続抽出操作が可
能になる。また、イソオクチルアルコールの濃度が17
%以下の10%であるので、プルトニウムの分配比がウ
ランのそれよりも大きくなり、イソオクチルアルコール
を添加した状態でもプルトニウムの全量抽出が可能にな
る。
【0063】希薄硝酸水溶液14は還元剤である2価の
鉄イオンを含んでおり、プルトニウム・ウラン逆抽出装
置12で4価のプルトニウムが3価に還元されて逆抽出
される。3価のプルトニウムは混合溶媒に含まれる6価
のウランよりも分配比が小さく混合溶媒から希薄硝酸水
溶液14に移行しやすい。このため、プルトニウム・ウ
ラン逆抽出装置12においてプルトニウムの逆抽出が簡
単に行える。
【0064】本実施例は、プルトニウムの抽出ロスを避
けるための余剰の混合溶媒が不要になるため、混合溶媒
/燃料溶解液流量比を小さくすることができる。
【0065】前述のようなプルトニウム・ウラン共抽出
装置9及びウラン抽出装置10の抽出段数の低減によ
り、プルトニウム・ウラン共抽出装置9及びウラン抽出
装置10の合計の抽出段数は、ピューレックス法の共除
染工程の抽出段数の約60%となる。
【0066】更に本実施例は、従来のピューレックス法
で用いられているプルトニウム及びウランの各精製工程
が不要となる。
【0067】(実施例2)本発明の他の実施例である使
用済燃料の再処理方法を図4を用いて説明する。本実施
例が適用される使用済燃料再処理装置は、図1の使用済
燃料再処理装置のウラン抽出装置10及びウラン逆抽出
装置13の替りにウラン分離装置21を設けたものであ
る。本実施例の剪断装置2,溶解槽3,清澄装置6,計
量・調整装置8,プルトニウム・ウラン共抽出装置9及
びプルトニウム・ウラン逆抽出装置12で行われる処理
は、実施例1と同じである。プルトニウム・ウラン共抽
出装置9に供給される混合溶媒11の組成は、実施例1
と同じく、TBP30%,TOA15%,イソオクチル
アルコール10%及びノルマルドデカン45%である。
【0068】プルトニウム・ウラン共抽出装置9から排
出された燃料溶解液が、ウラン分離装置21のシュウ酸
塩沈澱槽(図示せず)に供給される。シュウ酸塩沈澱槽
では、その燃料溶解液にふくまれているウランを分離す
る回分式の沈澱分離処理が行われる。この回分式の沈澱
分離処理を具体的に述べる。
【0069】シュウ酸22がウラン分離装置21のシュ
ウ酸塩沈澱槽内の燃料溶解液に添加される。シュウ酸の
添加量は、ウランの量により決定され、化学量論的な必
要量の2倍ないし5倍程度になるように添加する。本実
施例では、プルトニウム・ウラン共抽出装置9に供給さ
れる燃料溶解液が、ウランとプルトニウムとの濃度の合
計が200g/Lで、ウランがプルトニウムの10倍含
んでいる。プルトニウム及びウランの共抽出が終了して
プルトニウム・ウラン共抽出装置9から排出された燃料
溶解液は、140g/Lのウランを含んでいる。この量
のウランをシュウ酸塩沈澱槽内で沈澱させるために、シ
ュウ酸22が100g/L乃至270g/Lの濃度にな
るようにシュウ酸塩沈澱槽内の燃料溶解液に添加され
る。これによって、シュウ酸塩沈澱槽内でウランのシュ
ウ酸塩が生成され、ウランのシュウ酸塩が沈澱する。沈
澱されたウランのシュウ酸塩は、シュウ酸塩沈澱槽内の
液体と共にシュウ酸塩沈澱槽から排出され、ろ過装置
(公知)を用いて除去される。除去されたウランのシュ
ウ酸塩は、他の槽に送られて硝酸水溶液で洗浄される。
この洗浄液、及びろ過装置を通過した液体は、廃液処理
系に送られる。
【0070】プルトニウム・ウラン共抽出装置9より排
出された燃料溶解液からのウランの分離について、実施
例1の多数の遠心抽出器で構成されるウラン抽出装置1
0及びウラン逆抽出装置13を、シュウ酸塩沈澱槽及び
ろ過装置等を有するウラン分離装置21に変更すること
で、本実施例の使用済燃料再処理装置の構成を実施例1
のその構成に比べて著しく簡素化できる。また、本実施
例は、シュウ酸が固体廃棄物とならないことから、トー
タルの混合溶媒の使用量を低減できる分、TBPに含まれ
るリンに起因する固体廃棄物の発生量を低減できる。
【0071】硝酸水溶液で洗浄されたウランのシュウ酸
塩が供給されたウラン分離装置21の槽内に、1規定程
度の炭酸アンモニウムの水溶液を添加する。ウランのシ
ュウ酸塩は、1規定程度の炭酸アンモニウムの水溶液に
より溶解する。このとき、ウランは、炭酸塩あるいはア
ンモニウム−ウラン−シュウ酸の複塩を生成して溶解す
る。一方、希土類元素等の核分裂生成核種もシュウ酸塩
として沈澱しているが、炭酸アンモニウムを添加したと
き、希土類元素等の核分裂生成核種のシュウ酸塩は、加
水分解して水酸化物となるか、あるいはシュウ酸イオン
と強く結合したままで、溶解しない。従って、ウラン分
離装置21におけるウラン沈澱の溶解の過程でも、核分
裂生成核種を除染することができる。溶解したウランは
か焼して酸化物に転換して、高速炉ブランケット燃料と
して利用する。一方、ろ過装置に残存した核分裂生成核
種は、フィルターを逆洗する等により回収する。
【0072】以上、本実施例によれば、混合溶媒11を
用いてプルトニウムを優先的に抽出することにより、プ
ルトニウムの破過を回避しながら、溶媒の飽和度が高い
条件で抽出処理を行うことができる。このため、実施例
1と同様に、スクラブ操作を省略できることによるプル
トニウム・ウラン共抽出装置9の簡素化、及びスクラブ
液の使用回避に起因した放射性廃液発生量の低減を達成
できる。更に、本実施例は、ウラン分離装置21でのシ
ュウ酸及び炭酸アンモニウムを用いたウラン分離によ
り、ウラン抽出装置10及びウラン逆抽出装置13を不
要にできるので、使用済燃料再処理装置の構成を実施例
1よりもコンパクト化できる。
【0073】本実施例は、混合溶媒がTBP30%及び
TOA15%を含んでいること、混合溶媒に10%のイ
ソオクチルアルコール添加、及び希薄硝酸水溶液14が
2価の鉄イオンを含んでいることによって得られる実施
例1の効果も生じる。
【0074】(実施例3)本発明の他の実施例である使
用済燃料の再処理方法を図5を用いて説明する。本実施
例が適用される使用済燃料再処理装置は、図1の使用済
燃料再処理装置のウラン抽出装置10及びウラン逆抽出
装置13の替りに濃縮装置24及び晶析装置25を設け
たものである。本実施例の剪断装置2,溶解槽3,清澄
装置6,計量・調整装置8,プルトニウム・ウラン共抽
出装置9及びプルトニウム・ウラン逆抽出装置12で行
われる処理は、実施例1と同じである。プルトニウム・
ウラン共抽出装置9に供給される混合溶媒11の組成
は、実施例1と同じく、TBP30%,TOA15%,
イソオクチルアルコール10%及びノルマルドデカン4
5%である。
【0075】実施例1と異なる濃縮装置24及び晶析装
置25での処理を以下に述べる。計量・調整装置8から
排出された燃料溶解液は、濃縮装置24に供給される。
濃縮装置24は蒸発缶を有しており、ここで燃料溶解液
はウランとプルトニウムの濃度の合計が500g/L程
度になるまで濃縮される。濃縮装置24では、濃縮され
た燃料溶解液中のウラン及びプルトニウムを計量・調整
する。濃縮装置24から排出された燃料溶解液は、晶析
装置25に供給される。
【0076】晶析装置25は、公知の横型多段型または
ロータリーキルン型の晶析装置を用いている。晶析装置
25は、濃縮された燃料溶解液を10℃あるいはそれ以
下まで冷却して、硝酸ウラニルの結晶を晶析させて燃料
溶解液からウランを分離する。晶析装置25に供給され
る燃料溶解液中にウランがプルトニウムの10倍含まれ
ている場合には、晶析装置25でウランの70%を除去
する。硝酸ウラニルは、洗浄後にウラン酸化物に転換さ
れる。ウラン酸化物は、高速炉ブランケット燃料として
利用される。
【0077】晶析装置25から排出された燃料溶解液
は、再度の計量・調整後に、プルトニウム・ウラン共抽
出装置9に導かれる。プルトニウム・ウラン共抽出装置
9に供給される燃料溶解液は、プルトニウム及びウラン
を合計して200g/Lを含んでいる。晶析装置25か
らプルトニウム・ウラン共抽出装置9に供給される燃料
溶解液の計量・調整は、燃料溶解液の温度を25℃にし
て、プルトニウムとウランの濃度を分析することにより
行われる。
【0078】本実施例は、プルトニウム・ウラン共抽出
装置9に混合溶媒11を供給すること、混合溶媒がTB
P30%及びTOA15%を含んでいること、混合溶媒
に10%のイソオクチルアルコール添加、及び希薄硝酸
水溶液14が2価の鉄イオンを含んでいることによって
得られる実施例1の効果も生じる。更に、本実施例は、
プルトニウム・ウラン共抽出装置9の前に晶析装置25
を配置することによって、抽出処理を行うウラン量を低
減し、使用する混合溶媒11の量を低減できる。
【0079】(実施例4)本発明の他の実施例である使
用済燃料の再処理方法を以下に説明する。本実施例に用
いる使用済燃料再処理装置を図6を示す。本実施例は、
実施例1の構成でプルトニウム・ウラン逆抽出装置12
から排出された混合溶媒をウラン逆抽出装置13に供給
するものである。プルトニウム・ウラン逆抽出装置12
及びウラン抽出装置10から排出された混合溶媒が混合
されてウラン逆抽出装置13に供給される。本実施例に
おいてプルトニウム・ウラン共抽出装置9及びウラン抽
出装置10に供給される混合溶媒11の組成は、実施例
1で用いられる混合溶媒11のそれと同じである。本実
施例は、プルトニウム富化度の調整をプルトニウム・ウ
ラン逆抽出装置12で行う。なお、本実施例で用いられ
る混合溶媒11の組成は、実施例1で用いられるその組
成と同じである。
【0080】実施例1と異なる本実施例の処理につい
て、以下に詳細に説明する。本実施例も、実施例1と同
様に剪断装置2からウラン抽出装置10までの燃料溶解
液に対する処理が実行される。ただし、プルトニウム・
ウラン共抽出装置9においては、プルトニウム全量及び
プルトニウムの3.5 ないし4倍のウランを抽出するよ
うに、及び混合溶媒に含まれるTBPの約90%以上が
ウランあるいはプルトニウムと結合するように、混合溶
媒11と燃料溶解液の流量比が設定される。
【0081】プルトニウム・ウラン逆抽出装置12で
は、混合溶媒と、希薄硝酸水溶液14とが、プルトニウ
ム・ウラン逆抽出装置12を構成する多段の遠心抽出器
を用いて向流接触される。これにより、実施例1と同様
にプルトニウムを4価から3価に還元しながらその全量
を逆抽出し、同時にウランの一部も逆抽出する。このと
き、希薄硝酸水溶液14に抽出されたプルトニウム富化
度がMOX燃料と同じになるように、プルトニウム・ウ
ラン逆抽出装置12における混合溶媒の流量と希薄硝酸
水溶液14の流量を設定する。特に、この流量比は、プ
ルトニウム・ウラン逆抽出装置12から排出される混合
溶媒に少量のウランが残存するように設定される。この
ようにして、プルトニウム及びウランの混合物は、希薄
硝酸水溶液14側に抽出され、その後、希薄硝酸水溶液
14にマイクロ波を照射することにより脱硝され、酸化
物に転換される。プルトニウム及びウランの混合酸化物
を用いて、MOX燃料が製造される。
【0082】ウラン逆抽出装置13では、ウラン抽出装
置10及びプルトニウム・ウラン逆抽出装置12から排
出された混合溶媒を混合し、この混合溶媒と希薄硝酸水
溶液15とを向流接触させて、混合溶媒に含まれている
ウランの全量を逆抽出する。ウランは、脱硝後に酸化物
に転換されて、高速炉のブランケット燃料として利用さ
れる。ウラン逆抽出装置13から流出した混合溶媒は、
溶媒洗浄系20にて洗浄され、再利用される。
【0083】本実施例は、実施例1と同じ効果を得るこ
とができる。更に、本実施例は、プルトニウム・ウラン
逆抽出装置12において、プルトニウムを還元して逆抽
出し易くし、ウランの全量を逆抽出するのではなく一部
を混合溶媒に残留させるので、プルトニウム・ウラン逆
抽出装置12の遠心抽出器の段数を減少できる。
【0084】もし、プルトニウム・ウラン逆抽出装置1
2から排出される混合溶媒に残存する程度の少量のウラ
ンを全て抽出するとなると、更に多くの段数の遠心抽出
器の設置が必要になる。これでは、プルトニウム・ウラ
ン逆抽出装置12が大型化する。本実施例は、排出させ
る混合溶媒にウランを一部残存させることによって、プ
ルトニウム・ウラン逆抽出装置12における遠心抽出器
の段数を低減している。当然のことながら、プルトニウ
ム・ウラン逆抽出装置12のコンパクト化が図れる。ま
た、排出させる混合溶媒にウランを一部残存させること
は、プルトニウム・ウラン逆抽出装置12に供給する希
薄硝酸水溶液の量を少なくできる。
【0085】(実施例5)本発明の他の実施例である使
用済燃料の再処理方法を以下に説明する。本実施例に用
いる使用済燃料再処理装置を図7を示す。本実施例は、
図6の構成からウラン抽出装置10を取り除いたもので
ある。なお、本実施例で用いられる混合溶媒11の組成
は、実施例1で用いられるその組成と同じである。
【0086】本実施例は、プルトニウム・ウラン共抽出
装置9において混合溶媒11と計量・調整装置8から供
給された燃料溶解液とを向流接触させる。プルトニウム
・ウラン共抽出装置9における混合溶媒11と燃料溶解
液との流量比は、プルトニウム及びウランの全量を抽出
し、かつ混合溶媒11に含まれるTBPの70%以上、
好ましくは85%程度以上がウランあるいはプルトニウ
ムと結合するように設定されている。混合溶媒11に含
まれるTOAの効果で、プルトニウムの破過が回避さ
れ、プルトニウム・ウラン共抽出装置9から流出した燃
料溶解液にプルトニウムが含まれていない。これらによ
り、ウラン及びプルトニウムを核分裂生成核種から良好
に除染できる。プルトニウム・ウラン共抽出装置9から
多排出された燃料溶解液は、廃液処理系17に送られ
る。一方、ウラン及びプルトニウムを抽出した混合溶媒
11は、プルトニウム・ウラン逆抽出装置12に送られ
る。
【0087】プルトニウム・ウラン逆抽出装置12で
は、混合溶媒と、硫酸第一鉄等の還元剤を含む希薄硝酸
水溶液14とが向流接触される。希薄硝酸水溶液14に
含まれる硫酸第一鉄の作用により、プルトニウムは、4
価から3価に還元される。3価のプルトニウムは、分配
比が小さく混合溶媒から希薄硝酸水溶液14に移行しや
すいので、逆抽出が容易に行える。混合溶媒に含まれる
プルトニウムの全量が逆抽出される。このとき、所定の
プルトニウム富化度になるようなウランを同時に逆抽出
するように、希薄硝酸水溶液14の混合溶媒に対する流
量比が設定されている。プルトニウム・ウラン逆抽出装
置12から排出された希薄硝酸水溶液14に含まれたウ
ラン及びプルトニウムは、希薄硝酸水溶液14から分離
された後に酸化物に転換され、MOX燃料として利用さ
れる。
【0088】プルトニウム・ウラン逆抽出装置12から
排出された混合溶媒は、ウラン逆抽出装置13に送られ
る。ウラン逆抽出装置13は、混合溶媒に残留したウラ
ンの全量を希薄硝酸水溶液15との向流接触により逆抽
出する。希薄硝酸水溶液15側に逆抽出されたウラン
は、酸化物に転換された後、高速炉ブランケット燃料と
して利用される。また、ウラン逆抽出装置13から排出
された混合溶媒は、溶媒洗浄系20で洗浄された後、再
利用される。
【0089】本実施例は、実施例1と同じ効果を生じ
る。また、本実施例は、実施例6で用いられているウラ
ン抽出装置10が不要になるので、その分、使用済燃料
再処理装置の構成をコンパクトにすることができる。
【0090】(実施例6)本発明の他の実施例である使
用済燃料の再処理方法を以下に説明する。本実施例は、
実施例2のウラン分離装置21におけるシュウ酸塩沈澱
法によるウランの分離を、過酸化物沈澱法によるウラン
の分離に置き換えたものである。本実施例で用いられる
使用済燃料再処理装置の構成は、ウラン分離装置21で
過酸化物沈澱法によるウラン分離を行う点を除いて、図
4の構成と同じである。
【0091】剪断装置からプルトニウム・ウラン共抽出
装置9に至るまでの処理、及びプルトニウム・ウラン逆
抽出装置12での処理は、実施例2で実行される処理と
同じである。プルトニウム・ウラン共抽出装置9から排
出されたウランを含む燃料溶解液は、ウラン分離装置2
1の給液調整槽に送られる。ここで、アルカリの添加,
脱硝あるいは希釈により、燃料溶解液のpHが2ないし
4に調整される。この燃料溶解液はウラン分離装置21
の過酸化物沈澱槽に移され、ここで過酸化水素が燃料溶
解液に添加される。過酸化水素の作用によりウランの過
酸化物が生成され、このウランの過酸化物が、過酸化物
沈澱槽内で沈澱する。沈澱されたウランの過酸化物は、
過酸化物沈澱槽内の液体と共に過酸化物沈澱槽から排出
され、ろ過装置(公知)を用いて除去され、洗浄され
る。洗浄されたウランの過酸化物は、硝酸水溶液により
溶解されてろ過装置のフィルタから回収される。その
後、ウランの過酸化物は、二酸化物に転換されて高速炉
用のブランケット燃料の製造に用いられる。ろ過装置を
通過した液体及び洗浄液は、廃液処理系17に送られ
る。
【0092】本実施例によれば、実施例2と同じ効果を
生じる。更に、過酸化物沈澱法を適用することにより、
沈澱溶解液を含めた全水溶液を酸性に統一でき、廃液処
理系17を簡素化できる。
【0093】(実施例7)本発明の他の実施例である使
用済燃料の再処理方法を以下に説明する。本実施例は、
実施例2のウラン分離装置21におけるシュウ酸塩沈澱
法によるウランの分離を、炭酸塩沈澱法によるウランの
分離に置き換えたものである。本実施例で用いられる使
用済燃料再処理装置の構成は、ウラン分離装置21で炭
酸塩沈澱法によるウラン分離を行う点を除いて、図4の
構成と同じである。
【0094】剪断装置からプルトニウム・ウラン共抽出
装置9に至るまでの処理、及びプルトニウム・ウラン逆
抽出装置12での処理は、実施例2で実行される処理と
同じである。プルトニウム・ウラン共抽出装置9から排
出されたウランを含む燃料溶解液は、ウラン分離装置2
1の給液調整槽に送られる。ここで、アルカリの添加、
脱硝あるいは希釈により、燃料溶解液のpHが、中性付
近のpHに調整される。この燃料溶解液はウラン分離装
置21の炭酸塩沈澱槽に移され、炭酸カリウム等の炭酸
アルカリが燃料溶解液に添加される。炭酸アルカリ濃度
は3規定程度である。炭酸アルカリの作用により、ウラ
ンはアルカリと炭酸イオンとの複塩を生成して沈澱す
る。沈澱されたその複塩は、炭酸塩沈澱槽内の液体と共
に炭酸塩沈澱槽から排出され、ろ過装置(公知)を用い
て除去される。その後、その複塩は洗浄される。洗浄さ
れたウランの複塩は、水により溶解されてろ過装置のフ
ィルタから回収される。その後、ウランの複塩は、二酸
化物に転換されて高速炉用のブランケット燃料の製造に
用いられる。ろ過装置を通過した液体及び洗浄液は、廃
液処理系17に送られる。
【0095】本実施例によれば、実施例2と同じ効果を
生じる。
【0096】
【発明の効果】第1発明によれば、スクラブ操作のため
の抽出器の設置が不要となりプルトニウム・ウラン共抽
出工程の抽出段数が減少するので、抽出工程が簡素化で
き、再処理設備がコンパクトになる。また、MOX燃料
に用いられるプルトニウムとウランとの混合物を直接抽
出できる。プルトニウムの計量管理を軽減でき、再処理
設備のシステム構成をより単純化できる。更には、プル
トニウム及びウランの連続抽出操作が可能となり、イソ
オクチルアルコールを添加した状態でもプルトニウムの
全量抽出が可能になる。
【0097】第3発明によれば、核燃料物質の抽出効率
が向上し、プルトニウム・ウラン共抽出工程とウラン抽
出工程との合計の抽出段数が従来よりも低減できる。こ
のため、抽出工程が簡素化でき、再処理設備がコンパク
トになる。
【0098】第5発明によれば、ウラン抽出工程及びウ
ラン逆抽出工程を省くことができるので、使用済燃料再
処理装置を更にコンパクト化できる。
【0099】第6発明によれば、プルトニウム・ウラン
抽出工程に供給される燃料溶解液に含まれるウランの量
を低減できるので、プルトニウム・ウラン抽出工程で使
用される混合溶媒の量を減少できる。
【0100】第7発明によれば、プルトニウムの逆抽出
が簡単に行える。
【0101】第8発明によれば、プルトニウム・ウラン
逆抽出工程の抽出段数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である使用済燃料の再
処理方法に用いられる使用済燃料再処理装置の構成図で
ある。
【図2】30%のTBPに種々の濃度のTOAを添加し
たときの6価のウランと4価のプルトニウムの分配比の
変化を示す特性図である。
【図3】30%のTBP及び10%のTOAに種々の濃
度のイソオクチルアルコールを添加したときの6価のウ
ランと4価のプルトニウムの分配比の変化を示す特性図
である。
【図4】本発明の他の一実施例である使用済燃料の再処
理方法に用いられる使用済燃料再処理装置の構成図であ
る。
【図5】本発明の他の一実施例である使用済燃料の再処
理方法に用いられる使用済燃料再処理装置の構成図であ
る。
【図6】本発明の他の一実施例である使用済燃料の再処
理方法に用いられる使用済燃料再処理装置の構成図であ
る。
【図7】本発明の他の一実施例である使用済燃料の再処
理方法に用いられる使用済燃料再処理装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
2…剪断装置、3…溶解槽、6…清澄装置、8…計量・
調整装置、9…プルトニウム・ウラン共抽出装置、10
…ウラン抽出装置、12…プルトニウム・ウラン逆抽出
装置、13…ウラン逆抽出装置、16…オフガス処理
系、17…廃液処理系、21…ウラン分離装置、24…
濃縮装置、25…晶析装置。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】核燃料物質を溶解している燃料溶解液から
    有機溶媒を用いて核燃料物質を抽出する抽出工程を含む
    使用剤核燃料の再処理方法において、 前記有機溶媒として10〜50%のトリブチルリン酸,
    3%以上のトリノルマルオクチルアミンと、8ないし1
    7%のイソオクチルアルコールとをノルマルドデカンで
    希釈した混合溶媒を用い、前記抽出工程でプルトニウム
    及びウランを混合状態で抽出することを特微とする使用
    済核燃料の再処理方法。
  2. 【請求項2】前記トリノルマルオクチルアミンが7〜1
    5%である請求項1の使用済核燃料の再処理方法。
  3. 【請求項3】前記抽出工程が、前記燃料溶解液から前記
    混合溶媒を用いてプルトニウム及びウランを混合状態で
    抽出するプルトニウム・ウラン共抽出工程と、前記プル
    トニウム・ウラン共抽出工程から排出された前記燃料溶
    解液から前記混合溶媒を用いてウランを抽出するウラン
    抽出工程とを含み、前記プルトニウム・ウラン共抽出工
    程及び前記ウラン抽出工程へのそれぞれの前記混合溶媒
    の供給は並行して行う請求項1の使用済核燃料の再処理
    方法。
  4. 【請求項4】前記プルトニウム・ウラン共抽出工程で抽
    出したプルトニウム及びウランを含む前記混合溶媒か
    ら、硝酸溶液を用いて、プルトニウム及びウランを抽出
    するプルトニウム・ウラン逆抽出工程と、前記ウラン抽
    出工程で抽出したウランを含む前記混合溶媒から、硝酸
    溶液を用いて、ウランを抽出するウラン逆抽出工程とを
    含む請求項1,請求項4または請求項5の使用済核燃料
    の再処理方法。
  5. 【請求項5】プルトニウム及びウランを混合状態で抽出
    する前記抽出工程から排出された前記燃料溶解液に沈澱
    試薬を添加してウランを沈澱させ、沈澱したウランを前
    記燃料溶解液から分離する請求項1の使用済核燃料の再
    処理方法。
  6. 【請求項6】前記沈澱試薬がシュウ酸,過酸化水素及び
    炭酸塩から選ばれる1つである請求項5の使用済核燃料
    の再処理方法。
  7. 【請求項7】前記燃料溶解液に含まれているウランの一
    部を晶析させて前記燃料溶解液から分離し、ウランの一
    部が取り除かれたその燃料溶解液を、プルトニウム及び
    ウランを混合状態で抽出する前記抽出工程に導く請求項
    1の使用済核燃料の再処理方法。
  8. 【請求項8】前記硝酸溶液に還元剤を混合し、前記プル
    トニウム・ウラン逆抽出工程においてプルトニウムを3
    価に還元して逆抽出する請求項4の使用済核燃料の再処
    理方法。
  9. 【請求項9】前記プルトニウム・ウラン共抽出工程で抽
    出したプルトニウム及びウランを含む有機溶媒から、硝
    酸溶液を用いて、全量のプルトニウム、及びウランの一
    部を抽出する前記プルトニウム・ウラン逆抽出工程と、
    前記ウラン抽出工程で抽出したウランを含む有機溶媒、
    及び前記プルトニウム・ウラン逆抽出工程から排出され
    たウランを含む有機溶媒を混合し、混合された有機溶媒
    から、硝酸溶液を用いて、ウランを抽出する前記ウラン
    逆抽出工程とを含み、これらの有機溶媒が前記混合抽出
    剤である請求項4の使用済核燃料の再処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6497769B1 (en) * 2001-10-12 2002-12-24 Bobolink, Inc. Radioactive decontamination and translocation method
US6605158B1 (en) 2001-10-12 2003-08-12 Bobolink, Inc. Radioactive decontamination and translocation method
JP2012137344A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 抽出装置および使用済核燃料の再処理施設

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