JPH11200881A - カバー装置 - Google Patents

カバー装置

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JPH11200881A
JPH11200881A JP646098A JP646098A JPH11200881A JP H11200881 A JPH11200881 A JP H11200881A JP 646098 A JP646098 A JP 646098A JP 646098 A JP646098 A JP 646098A JP H11200881 A JPH11200881 A JP H11200881A
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cover
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vibration
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JP646098A
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Yuji Furukawa
裕二 古川
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Sanwa Packing Industry Co Ltd
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Sanwa Packing Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音源から発生する音を遮断する遮音効果が格
段に向上されたカバー装置を提供する。 【解決手段】 カバー12は、カバー本体22と、カバ
ー本体22の周縁部に装着された防音サッシ23とを備
える。防音サッシ23は、カバー12が覆うケースカバ
ー14の部分から発生される音をカバー12内に閉じ込
め、このような音が、カバー12とケースカバー14と
の間からカバー12の外部に漏れる事態を防止する。カ
バー本体22には突条38が形成されている。この突条
38は、カバー12に共振が発生し、カバー12から大
きな音が発生する事態を防止するために形成されてい
る。カバー12には、袋ナット21がそれぞれ挿通する
挿通穴30が形成される。各挿通穴30にはゴムマウン
ト20が嵌め込まれる。カバー12には、カバー12の
挿通穴30の周囲内側に、スポンジ状材料からなるスポ
ンジリング36が接着されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例として内燃機関
の所定箇所を覆い、内燃機関からの熱および/または音
を遮断する作用を実現するカバー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガソリンエンジンなどの内燃機関には、
遮熱、遮音のために各種カバーが用いられている。以下
の説明では、自動車のエンジンを内燃機関の例として示
す。エンジンには、例として、シリンダヘッド上部のカ
ムシャフトなどを覆うシリンダヘッドカバー用の遮音カ
バー、エンジンのシリンダブロックの側部を覆うブロッ
クカバー、エキゾーストマニホールド(以下、エキマ
ニ)用のエキマニカバー、或いはエンジンのクランク軸
の軸線方向前方端部に設けられ、エンジンのクランク軸
の回転をウオータポンプ等に伝達する動力伝達用のギア
トレイン等を覆うギアケースカバー用の遮音カバー等が
挙げられる。
【0003】このようなカバー類は、ヒートインシュレ
ータ、ヒートプロテクタ或いは遮熱板とも称され、上記
エンジン本体やエキマニ等の熱や音を発生する発生源か
らの熱放散などによるエンジンルーム内の配管類や補機
類等の周辺に対する熱害の防止、音の放散を防止するこ
とによる車内や車外に対する静粛性の向上、また、特に
自動車のエンジンルーム内に用いられる場合には、ボン
ネットを開放した際のエンジンの美観の向上等の目的で
用いられている。
【0004】このようなカバーの従来技術として、図1
7に示すような実開平5ー92422号に記載のエキマ
ニカバーが挙げられる。この従来技術では、エキゾース
トマニホールド1に取り付けられたエキマニカバー2
は、複数の貫通孔3aが形成された内側カバー3を固定
し、エキマニカバー2と内側カバー3との間に耐熱性を
備えたセラミック繊維4を挟んだ構成である。エキマニ
カバー2とセラミック繊維4と内側カバー3とが一体で
エキゾーストマニホールド1に対するカバーとしての機
能を実現する。このカバーでは、セラミック繊維4が吸
音部材としての機能を実現する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のカバ
ーは、以下のような問題点を有している。 貫通孔3aを有する内側カバー3とセラミック繊維4
とは、エキマニ1から放射される音を吸収するが、カバ
ー2および内側カバー3はエキマニ1から間隔をあけて
エキマニ1に固定されており、内側カバー3とエキマニ
1との間の空間から音が外部に放散されてしまう。
【0006】このようなカバー2や内側カバー3はボ
ルトなどでエキマニ1に形成されたボスに固定されるこ
とが多いが、このような場合、エキマニ1の振動がカバ
ー2や内側カバー3に直接伝達されてカバー2等が振動
を生じ外部に音を放射する。特に、カバー2などが共振
する場合には大きな音を発生する。
【0007】従来では、カバー2や内側カバー3等に
関して、エキマニ1からのこれらのカバー2、3を透過
する音への対策が考慮されておらず、外部に漏れる音の
レベルを大幅に低減することが困難な要因の一つになっ
ている。
【0008】本件発明者が、エンジンやエキマニから
の音の周波数帯域別の聴感上の特性を調査したところ、
約2.5〜6.3kHzの帯域で、耳障りな聴感が強い
ことが判明した。ところが、従来のカバー類は、可聴周
波数帯域の音を全体に抑制しようとするものであり、聴
感上の分析に基づく効率的な遮音機能が実現されていな
いという問題点がある。
【0009】請求項1〜8の発明は、上記問題点を解決
すべくなされたものであり、その目的は、音源から発生
する音が外部に放散される程度を格段に抑制することが
できるカバー装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明のカバー
装置は、カバー本体を備えている。カバー本体は、音源
側に配置されたインナと、インナに積層された吸音断熱
シートと、吸音断熱シートに積層された金属板からなる
アウタとを備えており、音源に対して離反方向に変形し
た凹所を有している。また、前記インナは、金属板と、
この金属板の音源側に設けられた耐熱性を有する弾性材
料からなる少なくとも表面が多孔性の発泡シートとを備
えている。
【0011】以下、本発明の説明において用いられる用
語を定義する。本発明のカバー装置は、カバー装置が覆
う音源からの音の外部への放散を可及的に抑制するため
に、音に関する吸音性、遮音性および制振性の3つの機
能をそれぞれ改善し、かつこれらの機能を併せ持つよう
にしている。上記吸音性とは、カバー装置自身及び/ま
たはカバー装置の一つまたは複数の構成要素が、音のエ
ネルギーをカバー装置自身及び/または上記構成要素の
振動に変換することにより音を吸収する機能である。遮
音性とは、カバー装置自身及び/またはカバー装置の一
つまたは複数の構成要素が、これらに到達した音を反射
するなどして外部に直接漏洩することを防止する機能で
ある。また、前記制振性とは、音源やその周辺に固定さ
れるカバー装置に音源やその周辺からの振動が伝達され
ることを防止し、或いはカバー装置自身及び/またはカ
バー装置の一つまたは複数の構成要素の振動を抑制する
機能である。即ち、このような振動が伝達されるほど、
或いはカバー装置自身及び/またはカバー装置の一つま
たは複数の構成要素の振動が抑制されないほど、カバー
装置自身及び/またはカバー装置の一つまたは複数の構
成要素が振動して、カバー装置が外部に音を発生するこ
とになるからである。
【0012】本発明によれば、カバー本体の音源側に少
なくとも表面が多孔性の発泡シートが設けられているの
で、音源から発生した音は発泡シート表面で乱反射さ
れ、表面が平滑な平坦面での反射と比較し、音のエネル
ギーの減衰が大きくなり、遮音性が向上される。また、
発泡シートは、少なくとも表面が多孔性なので、発泡シ
ートの振動に変換される音の割合が増大し、吸音性が向
上される。これらにより、カバー装置の外部に漏れる音
のレベルを抑制することができる。また、この発泡シー
トがカバー本体の振動、特に共振を抑制して制振性を向
上しているので、カバー装置から発生される音のレベル
が抑制される。このようなカバー装置自身の振動の抑制
は、カバー本体に設けられている吸音断熱シートによっ
ても実現される。
【0013】本発明のカバー装置では、カバー本体と音
源との間が、カバー本体の音源に臨む周縁部に全周に亘
って装着され、音源と密着するシール部材で塞がれてい
る場合がある。従って、このようなシール部材が設けら
れずに音がカバー本体と音源との間の空間から外部に漏
れる場合と比較し、音源からの音が、カバー本体と音源
との間から外部に直接漏れることが防止されており、カ
バー装置の外部に漏れる音のレベルが抑制され、遮音性
が向上される。
【0014】更に、本発明では、前記カバー本体を音源
に対して連結するための連結部材が取り付けられるカバ
ー本体の取付部と前記連結部材との間に、カバー本体を
連結部材に対して弾性的に支持する弾性支持部材が設け
られている場合がある。このとき、音源が音を発生する
際に生じる振動は、カバー装置を音源に連結する連結部
材に伝達されるが、連結部材とカバー装置の取付部との
間に設けられた弾性支持部材で実質的に吸収される。従
って、音源からの音がカバー装置に直接伝達されること
によってカバー装置に共振が生じて、カバー装置自身が
大きな音を発生する事態が防止され、制振制が向上され
る。
【0015】本件発明のカバー装置では、聴感上で耳障
りな聴感が強い約2.5〜6.3kHzの帯域での音が
特に抑制されていることが確認された。従って、聴覚可
能な全ての周波数帯域の音レベルを抑制する場合と比較
し、効率的な遮音機能が実現される。
【0016】請求項1の発明において、前記弾性支持部
材が、ゴム材料を筒状に成形した筒状部材で構成されて
いる場合がある。このような弾性支持部材が用いられる
場合でも、上述した請求項1の発明の作用効果と同様な
作用効果が実現されるのはあきらかである。
【0017】請求項1の発明において、前記弾性支持部
材が、実質的に前記カバー本体の取付部と前記音源の表
面との距離を超える長さを有するように構成されている
場合がある。これにより、カバー装置を音源に取り付け
た際に弾性支持部材が圧縮され、その復原力でカバー装
置は音源に弾発的に密着する。これにより、カバー装置
が音源に微小な間隔をあける際に発生するびびり音の発
生が防止され、カバー装置から外部に漏れる音のレベル
を防止することができる。
【0018】請求項6の発明のカバー装置は、カバー本
体を備えており、このカバー本体は、音源に対向し金属
板からなるインナと、インナに積層された吸音断熱シー
トと、アウタとを備えている。アウタは、金属板と、金
属板の音源と反対側に設けられた耐熱性を有する弾性材
料からなる発泡シートとを備えている。前記発泡シート
の耐熱性に対して音源の温度が高い場合、この発泡シー
トをカバー本体に関して音源と反対側に固定する。
【0019】本発明によれば、カバー本体の音源側と反
対側に発泡シートが設けられているので、音源からカバ
ー装置に伝達された音は、発泡シートからランダムな方
向に放射される。これにより、カバー装置からの音のレ
ベルが特定方向で強くなる事態が防止される。これによ
り、聴感上、カバー装置から発生する音のレベルを抑制
することができる。この発泡シートがカバー本体の振
動、特に共振を抑制するので、カバー装置から発生され
る音のレベルが抑制され、制振性が向上される。このよ
うなカバー装置自身の振動の抑制は、カバー本体に設け
られている吸音断熱シートによっても実現される。
【0020】請求項7の発明は、請求項6の発明におい
て、前記カバー本体を前記音源に対して連結するための
連結部材が取り付けられるカバー本体の取付部と連結部
材との間には、カバー本体を連結部材に対して弾性的に
支持する弾性支持部材が設けられている場合である。
【0021】音源が音を発生する際に生じる振動は、カ
バー装置を音源に連結する連結部材に伝達されるが、連
結部材とカバー装置の取付部との間に設けられた弾性支
持部材で実質的に吸収される。従って、音源からの音が
カバー装置に直接伝達されることによってカバー装置に
共振が生じて、カバー装置自身が大きな音を発生する事
態が防止され、制振性が向上される。
【0022】本件発明のカバー装置では、聴感上で耳障
りな聴感が強い約2.5〜6.3kHzの帯域での音が
特に抑制されていることが確認された。従って、聴覚可
能な全ての周波数帯域の音レベルを抑制する場合と比較
し、効率的な遮音機能が実現される
【0023】請求項8の発明は、請求項7の発明におい
て、前記弾性支持部材が、金属材料メッシュから構成さ
れている場合である。弾性支持部材が、このような材料
から構成される場合でも、請求項6、7に関連して説明
した作用効果を実現できるのは明らかである。
【0024】また、上述した請求項1および6の発明に
おいて、カバー本体を構成するインナ或いはアウタの少
なくともいずれかを従来よりも板厚が厚い金属材料から
構成することにより、カバー本体の重量が増大し、音源
からの振動によってカバー装置自身が発生する振動の程
度を格段に抑制することができる。また、カバー本体の
積層厚を大きくすることにより、カバー装置を音が透過
する程度を抑制することができる。これにより、カバー
装置全体の吸音性を向上することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
【実施例】(第1実施例;クランクケース用カバー)以
下に本発明を実施例に即して説明する。図1〜図8に、
本発明の第1実施例を示す。図1は本発明が実施される
エンジンのクランクケース11のフロントエンド付近の
斜視図であり、図2は前記フロントエンドに設けられる
本発明の第1実施例のカバー12の一部断面を示す斜視
図であり、図3は図2の切断面線X3ーX3から見た断
面図であり、図4は図2の切断面線X4ーX4から見た
断面図であり、図5はカバー12のカバー本体22の外
周部の拡大断面図であり、図6は図3の部分X6の拡大
断面図であり、図7はゴムマウント20の斜視図であ
り、図8はスポンジリング36の斜視図である。
【0026】以下、図1を参照して、本実施例のカバー
12が装着されるクランクケース11付近の構成の概略
について説明する。本実施例のカバー12が装着される
エンジンのシリンダブロック下部のクランクケース11
にはクランクシャフト(図示せず)が収納されており、
クランクケース11のフロントエンド13には、前記ク
ランクシャフトの回転をヘッドカムや各種補器類に伝達
するために金属ギア列が配置されている。従って、エン
ジンからは、エンジンのシリンダ内の爆発音などの通常
の音に加え、特に、クランクケース11付近から、前記
ギア列のバックラッシュなどに起因する大きな金属性の
メカニカルノイズ等の音が発生する。本実施例のカバー
12は、このような音が外部に放散されることを抑制す
るために設けられる。
【0027】前記エンジンのクランクケース11のフロ
ントエンド13には、フロントエンド13を覆う形状の
鋳物などの金属材料から形成されるケースカバー14が
設けられる。ケースカバー14には、前記クランクシャ
フトの端部を回転自在に支持するクランクケース11に
設けられた軸受部(図示せず)などを覆い、ケースカバ
ー14の上下方向(図1の上下方向)中間位置付近から
下部を覆う凸部15と、クランクケース11内のクラン
クシャフト等の回転数を検出するための計器用ワイヤ
(図示せず)が挿通される透孔16と、クランクケース
11の図1に示される凹所17に対応する凹所18とが
形成される。本実施例のカバー12は、このようなケー
スカバー14の前記凸部15よりも上方付近を覆い、ク
ランクケース11に埋設された複数本のスタッドボルト
19を用いて、後述される構造のゴムマウント20を介
し袋ナット21で固定される。
【0028】A.カバー12の構成 以下、図2〜図8を併せて参照して、本実施例のカバー
12の構造について説明する。カバー12は、図1に示
されるように、カバー本体22と、カバー本体22の周
縁部に装着された防音サッシ23とを備える。防音サッ
シ23は、例としてエチレンビニル系樹脂材料など、少
なくとも80〜200℃の温度範囲の耐熱性、加工性、
及び前記カバー12の周縁部に沿った形状に変形可能
で、かつカバー12が装着されるケースカバー14の図
1に示されるような外面形状に追随して密着可能な柔軟
性にそれぞれ優れた樹脂材料からリング状に形成され、
全周に亘る溝27が形成される。この溝27にカバー本
体22の前記周縁部が嵌め込まれ、防音サッシ23がカ
バー本体22に装着される。本実施例における前記クラ
ンクケース11の温度は、例として、120℃〜150
℃が常用温度範囲とされている。従って、防音サッシ2
3の材料として、上述のような耐熱性を有する材料が選
択される。
【0029】このような防音サッシ23は、カバー12
が覆うケースカバー14の部分から発生される音をカバ
ー12内に閉じ込め、このような音が、カバー12とケ
ースカバー14との間からカバー12の外部に漏れる事
態を防止して遮音性を向上している。
【0030】このような防音サッシ23の本発明におけ
る他の構成例として、前記耐熱性、加工性および柔軟性
に優れたスポンジ状の発泡樹脂材料からなるテープ状材
料を用い、このテープ状材料をカバー本体22の周縁部
内面に耐熱性接着剤等の接着剤を用いて接着する場合も
ある。このような変形例を用いる場合、前記加工性およ
び柔軟性が前記エチレンビニル系樹脂材料を用いる場合
よりも向上される。これにより、防音サッシ23がケー
スカバー14の外面形状に良好に追随し、前述したよう
なケースカバー14からの音を密封する特性が更に向上
される。
【0031】また、防音サッシ23のカバー本体22へ
の取付状態に関しても、前記テープ状材料を接着する場
合には、防音サッシ23がカバー本体22から外れる事
態が防止される。これにより、カバー12の製造段階や
使用段階などでカバー本体22から防音サッシ23が外
れて落ちることが防止され、カバー12の信頼性が格段
にされる。
【0032】前記カバー本体22は、図6に示されるよ
うに、例として板厚0.6mmの亜鉛メッキ鋼板(SE
CC)などの金属板からなるアウタ24と、例としてバ
ーモサルシート(商品名;(株)ニチアス)などのシー
ト状の吸音材25と、後述する構成を有するインナ26
とを備える。前記バーモサルシートは、ノンアスベスト
の無機質鉱物繊維を主成分とし抄造成板したものであ
り、約800℃の耐熱性を有し、柔軟性、耐圧縮性が良
好な材料である。また、アスベストよりも熱伝導率が小
さく、打ち抜きなどの加工が容易である。また、前記イ
ンナ26は、プライマリ処理が施されたSPCEなどの
金属板28と、金属板28の内側に形成され、例として
NBRゴムなどのゴム材料を発泡形成して膜厚800μ
mのシート状に形成したフォーム層29とを備える。フ
ォーム層29には、グラファイトを表面処理剤として表
面処理がなされている。
【0033】このようなカバー12において、前記アウ
タ24、吸音材25及びインナ26を結合するために、
図5に示されるようなクリンチ加工がカバー本体22の
外周の複数箇所に施される。このクリンチ加工は、イン
ナ26の金属板28とアウタ24の外周部を所定の長さ
だけ延長し、図5に示すように両者を共に折り返してク
リンチ部48を形成し、アウタ24、吸音材25および
インナ26を相互に強固に固定する。
【0034】フォーム層29の前記材料は、例として、
120℃〜150℃の耐熱性を有している。前述したよ
うに、本実施例のカバー12が装着されるクランクケー
ス11の常用温度範囲は、120℃〜150℃である。
このため、フォーム層29としてNBRゴムが好適に用
いられる。
【0035】更に、前記カバー本体22には、図1に示
されるように、前記アウタ24と吸音材25とインナ2
6とを積層した段階でプレス加工を施すことによって形
成される1条或いは複数条の突条38が形成されてい
る。この突条38は、ケースカバー14から直接に或い
は前記スタッドボルト19を介して伝達される音や振動
によって、カバー12に共振が発生し、カバー12から
大きな音が発生する事態を防止するために形成されてい
る。即ち、カバー12おける共振はカバー12における
平面部分が広いほど発生し易く、また、共振によって放
散される音の周波数帯域が低下する。従って、本実施例
では、突条38の数及び形状の適切な範囲を実験などに
よって定め、突条38を可聴周波数帯域における共振の
防止を行うに適切な数と形状に形成している。このよう
な突条38により、カバー12の前記平面部分の面積を
低下させている。本実施例では、これにより、カバー1
2における可聴周波数帯域における共振の発生を防止し
て、カバー12の制振性を格段に向上している。
【0036】以下、カバー12をケースカバー14に取
り付けるための構造について説明する。この取付構造の
詳細は、図1および図4に示されている。カバー12に
は、前記複数の袋ナット21がそれぞれ挿通する挿通穴
30が、袋ナット21の筒部31の径D1よりも大径の
径D2に形成される。各挿通穴30には、図7に示され
るように、前記挿通穴30の径D2よりも大径の径D3
で長さL1の略円筒状の前記ゴムマウント20が嵌め込
まれる。ゴムマウント20には、軸線方向に沿って前記
袋ナット21の筒部31の径D1程度の径D4の挿通穴
32が形成され、ゴムマウント20の外周部には、全周
に亘って嵌合溝33が形成される。嵌合溝33の深さ
は、嵌合溝33の底の径D5が前記挿通穴30の径D2
程度となるように選ばれる。また、嵌合溝33のゴムマ
ウント20の軸線方向端部からの距離L2は、図4に示
されるケースカバー14のスタッドボルト19の取付位
置付近の取付座34とカバー12との予め定められる距
離L4よりも長く形成される。ゴムマウント20と前記
取付座34との間には、ゴムマウント20の径D3より
も大径の径D5のワッシャ35が配置される。
【0037】前記ゴムマウント20の変形例として、前
記ゴムマウント20が、金属材料メッシュから構成され
ている場合が可能である。ゴムマウント20に相当する
部材が、このような材料から構成される場合でも、前述
したゴムマウント20に関連して説明した作用効果を実
現できるのは明らかである。即ち、ゴムマウント20が
装着されたカバー12を、袋ナット21をスタッドボル
ト19に捩じ付けてワッシャ35を介してケースカバー
14に固定する場合、袋ナット21をスタッドボルト1
9に捩じ付けると前記ゴムマウント20が圧縮される。
圧縮されたゴムマウント20の復元力によってカバー1
2は、ケースカバー14に密着する。従って,ケースカ
バー14とカバー12との間のがたつきなどによる音の
発生を防止することができ、制振性を格段に向上してい
る。
【0038】更に、本実施例のカバー12では、カバー
12の前記挿通穴30の周囲内側に、図8に示されるよ
うに、例として前記フォーム層29と同様なスポンジ状
材料からなるスポンジリング36が接着されている。こ
れは、図4に示されるように、カバー12の前記周縁
部、特に前記防音サッシ23とケースカバー14との間
に隙間を生じる場合、ケースカバー14から発生した音
が、この隙間から外部に放散されるので、この隙間を封
止するために設けられている。
【0039】このようなスポンジリング36は、前記ゴ
ムマウント20の外径D3と同程度の内径D6の挿通穴
37が形成され、スポンジリング36の外径は、防音サ
ッシ23とケースカバー14との間の前記隙間を封止で
きる範囲に選ばれ、その長さジリング36が圧縮される
ことにより、スポンジリング36は高密度になり、前記
隙間を塞いで、ケースカバー14からの音を良好に吸収
して、カバー12の吸音性および遮音性を向上してい
る。
【0040】B.カバー12の機能 以下に、このような構成を有するカバー12の機能につ
いて説明する。本実施例のカバー12は、カバー本体2
2のケースカバー14側にフォーム層29が固定されて
いるので、ケースカバー14から発生した音はフォーム
層29で乱反射される。これにより、カバー本体22の
ケースカバー14側が平坦面である場合にケースカバー
14からの音響が反射する状態と比較し、音波がフォー
ム層29の多数の気泡室を構成する隔壁の振動に変換さ
れ、音のエネルギーの減衰が大きくなる。これにより、
カバー12の外部に漏れる音のレベルを抑制することが
でき、吸音性が格段に向上されている。また、このフォ
ーム層29がカバー本体22の振動、特に共振を抑制す
るので、カバー12から発生される音のレベルが抑制さ
れ、制振性が向上されている。また、カバー本体22に
設けられている吸音材25もこのようなカバー12自身
の振動を抑制する。以上の点から、ケースカバー14か
ら発生しカバー12の外部に漏れる音のレベルが抑制さ
れる。
【0041】また、前述したように、本実施例のカバー
12には、カバー本体22の周縁部にリング状の防音サ
ッシ23が装着されている。従って、このような防音サ
ッシ23により、カバー12が覆うケースカバー14の
部分から発生される音はカバー12内に閉じ込められて
音のエネルギーが次第に減衰され、このような音が、カ
バー12とケースカバー14との間からカバー12の外
部に漏れる事態が防止され、遮音性が格段に向上され
る。これによっても、ケースカバー14から発生しカバ
ー12の外部に漏れる音のレベルが抑制される。
【0042】更に、本実施例のカバー12では、カバー
12の前記周縁部、特に前記防音サッシ23とケースカ
バー14との間に隙間を生じる場合、ケースカバー14
から発生した音が、この隙間から外部に放散されるの
で、この隙間を封止するためにスポンジリング36が設
けられてこの隙間を塞ぐようにしている。従って、この
ようなスポンジリング36が設けられずに、ケースカバ
ー14からの音がカバー本体22とケースカバー14と
の間の隙間から外部に漏れる場合と比較し、ケースカバ
ー14から発生しカバー12の外部に漏れる音のレベル
が抑制され、遮音性が向上されている。
【0043】更に、ケースカバー14が発生する音は、
ケースカバー14自身の振動としてカバー12をケース
カバー14に連結するスタッドボルト19に伝達され
て、スタッドボルト19の振動がカバー12に伝達され
て、伝達された音がカバー12が放散され、或いはカバ
ー12に振動を発生させ、この振動による音が放散され
るなどの事態が想定される。これに対して、本実施例の
カバー12では、ケースカバー14からスタッドボルト
19に伝達された振動が、スタッドボルト19とカバー
12の取付部との間に設けられたゴムマウント20で実
質的に吸収される。従って、ケースカバー14からの音
がカバー12に直接伝達されることによってカバー12
に共振が生じて、カバー12自身が大きな音を発生する
事態が防止され、カバー12の制振性が格段に向上され
る。
【0044】また、本実施例では、カバー12に前述し
た突条38が形成されている。これにより、カバー12
における可聴周波数帯域における共振の発生を防止する
ことができる。本実施例のカバー12の吸音特性は、カ
バー12が採用されるエンジンの形式に対応して変化す
るが、突条38の数及び形状の適切な範囲は、前述した
ように実験などによって適宜定めることができる。これ
により、本実施例のカバー12は、カバー12が用いら
れるエンジンの形式を問わず、広範な種類のエンジンに
対してその吸音作用を容易に実現し得るものである。
【0045】本実施例のカバー12において、前述した
ゴムマウント20の軸線方向の長さL1は、図4に示さ
れるケースカバー14のスタッドボルト19の取付位置
付近の取付座34とカバー12との予め定められる距離
L4よりも長く形成されている。従って、ゴムマウント
20が装着されたカバー12を、前述した袋ナット21
とスタッドボルト19とを用いてケースカバー14に固
定する場合、ゴムマウント20が圧縮される。圧縮され
たゴムマウント20の復原力でカバー12はケースカバ
ー14に弾発的に密着する。これにより、カバー12が
ケースカバー14に微小な間隔をあける際に発生するび
びり音の発生が防止され、カバー12から外部に漏れる
音のレベルを防止することができる。
【0046】また、本実施例のカバー12において、カ
バー12を構成するインナ26或いはアウタ24のいず
れも従来よりも板厚が厚い金属材料から構成されてい
る。これにより、カバー12の重量が増大し、ケースカ
バー14を介するクランクケース11からの振動によっ
て、カバー12自身が発生する振動の程度を格段に抑制
することができる。また、カバー12の積層厚を大きく
することにより、カバー12を音が透過する程度を抑制
することができる。これによっても、カバー12の吸音
特性を格段に向上することができる。
【0047】本実施例のカバー12では、前述したよう
なフォーム層29やゴムマウント20などの複数の構成
要素を、個々の吸音作用のバランスを適宜勘案して、カ
バー12として最良の吸音特性が得られるように構成し
たものである。このような本実施例のカバー12の吸音
特性を、本件発明者が調査したところ、聴感上で耳障り
な聴感が強い約2.5〜6.3kHzの帯域での音が特
に抑制されていることが確認された。従って、本実施例
のカバー12を持ちることにより、可聴周波数帯域の全
ての周波数帯域の音レベルを均等に抑制する場合と比較
し、効率的な遮音機能が実現されている。
【0048】(第2実施例;シリンダヘッドカバー用カ
バー) C.カバー41の構成及び機能 図9は本発明の第2実施例のカバー41の一部を切り欠
いて示す斜視図である。図9を参照してカバー41につ
いて説明する。前記第1実施例のカバー12に実現され
ている構成上の特徴は、図9に示されるシリンダヘッド
カバー40に装着されるシリンダヘッドカバー(以下、
カバー)41にも適用される。前述したように、本発明
の主眼は前記クランクケース11を含むエンジン全体か
らの音のレベルを抑制しようとするものであり、音の放
散、伝達を防止するために必要な任意の箇所に、クラン
クケースカバー14に装着されている前述したカバー1
2と同様な構成のカバーを設けるようにしている。
【0049】シリンダヘッドカバー40にはオイル注入
部42が設けられており、前記カバー41のカバー本体
43には、オイル注入部42を覆う突部46が形成され
ている。カバー本体43の外周部には、前記カバー12
の場合の防音サッシ23と同様な防音サッシ44が装着
される。防音サッシ44はゴム材料からリング状に形成
され、カバー本体43の外周部を嵌合するための溝47
が形成されている。カバー本体43に防音サッシ44が
装着された構成のカバー41はボルト45でシリンダヘ
ッドカバー40に固定される。このようなカバー41を
用いることにより、前記カバー12で説明した作用効果
と同様な作用効果が実現される。
【0050】この防音サッシ44に代えて、耐熱性、加
工性および柔軟性に優れたスポンジ状の発泡樹脂材料か
らなるテープ状材料を用い、このテープ状材料をカバー
本体43の外周部内面に耐熱性接着剤等の接着剤を用い
て接着する変形例があることは前記カバー12の場合と
同様である。
【0051】(第3実施例;エキゾーストマニホルド用
カバー) D.カバー50の構成 図10は本発明の第3実施例のカバー50と、カバー5
0が装着されるエキゾーストマニホールド(以下、エキ
マニ)51とを示す斜視図であり、図11はカバー50
の断面図であり、図12は図10の切断面線X12ーX
12から見た断面図であり、図13は図12の部分X1
3の拡大断面図であり、図14は本実施例に用いられる
マウント部材52の斜視図である。
【0052】以下、図10〜図14を参照して、本発明
の第3実施例について説明する。図10に示されるよう
に、本実施例のカバー50は、例として4気筒のエンジ
ンのエキマニ51に装着される。エキマニ51は、シリ
ンダブロック(図示せず)の各排気ポートに連結されそ
れぞれ連結用のフランジ52を有する4本の分岐管53
と、各分岐管53が一体化された集合部54とを有して
いる。本実施例のカバー50は、図10に示すように、
このような形状のエキマニ51の上側部分を覆う立体形
状に形成されている。
【0053】カバー50の構成は図11に示される。本
実施例のカバー50は、前記エキマニ51に間隔をあけ
て装着されるため、前記第1実施例で図1を参照して説
明したカバー12における防音サッシ23は採用されな
い。カバー50は、例として板厚0.6mmの亜鉛メッ
キ鋼板(SECC)などの金属板からなるインナ55
と、前記バーモサルシート等のシート状の吸音材56
と、第1実施例のインナ26と同様な構成のアウタ57
とを備える。アウタ57のプライマリ処理が施されたS
PCEなどの金属板58の外側にフォーム層59が形成
される。フォーム層59には、第1実施例の場合と同様
に、グラファイトを表面処理剤として表面処理がなされ
ている。
【0054】本実施例で、フォーム層59を最外部に設
けているのは、フォーム層59の耐熱性が例として18
0℃〜200℃程度であり、最内方に設けるとエキマニ
51からの熱による劣化や溶融が想定されるからであ
る。このようにフォーム層59をカバー50の最外部に
設けても、音の放散が有効に防止されることが確認され
ている。即ち、エキマニ51からの音がカバー50に伝
達されて、更に外部に放散されるとき、カバー50が振
動して音を発生させることになる。このとき、カバー5
0の振動は、前記吸音材56およびフォーム層59の双
方によって抑制され、制振性が向上されている。また、
カバー51から音が放散されるとき、カバー51が振動
するが、この振動による音波がフォーム層59によって
吸収され、音の放散が良好に抑制される。この点で、カ
バー50の吸音性が格段に向上されている。
【0055】更に、前記カバー50には、図10に示さ
れるように、前記インナ55と吸音材56とアウタ57
とを積層した段階でプレス加工を施すことによって形成
される1条或いは複数条の突条60が形成されている。
この突条60は、前記第1実施例で説明したように、エ
キマニ51から伝達される音や振動によって、カバー5
0に共振が発生し、カバー50から大きな音が発生する
事態を防止して制振性を向上するために形成されてい
る。
【0056】また、本実施例のカバー50によれば、カ
バー50のエキマニ51と反対側にフォーム層59が固
定されているので、エキマニ51からカバー50に伝達
された音は、フォーム層59からランダムな方向に放射
される。これにより、カバー50からの音のレベルが特
定方向で強くなる事態が防止される。これにより、聴感
上、カバー50から発生する音のレベルを抑制すること
ができる。
【0057】また、本実施例において、カバー50を構
成するインナ55及びアウタ57の金属板58のいずれ
も従来よりも板厚が厚い金属材料から構成されている。
これにより、カバー50の重量が増大し、エキマニ51
からの振動によってカバー50自身が発生する振動の程
度を格段に抑制することができ、制振性が向上されてい
る。また、カバー50の積層厚が大きく選ばれているの
で、カバー50を音が透過する程度を抑制することがで
きる。このような作用によっても、本実施例のカバー5
0の吸音特性が格段に向上されている
【0058】E.カバー50の取付構造 以下、カバー50をエキマニ51付近に取り付けるため
の構造について説明する。カバー50は、エキマニ51
やシリンダブロック(図示せず)等にボルトを用いて取
付けられる。この取付構造の詳細は、図11および図1
2に示されている。カバー50には、前記ボルトがそれ
ぞれ挿通される挿通穴61が形成されている。カバー5
0の挿通穴61付近は、前記吸音材56が設けられてお
らず、インナ55とアウタ57とが直接重ねられた構成
である。所望の挿通穴61には、図12および図14に
示されるようなリング状の制振部材62がそれぞれ装着
されている。図14は制振部材62の後述するグロメッ
ト63を除いた形状が示されている。
【0059】制振部材62は、例としてSPC等の金属
材料から形成されるグロメット63と、グロメット63
の半径方向内方端の折返し部64とグロメット本体65
との間に配置されたワッシャ66と、これらグロメット
63とワッシャ66とに挟まれた制振材67とを備えて
いる。グロメット63は、例としてSPCなどの金属材
料から形成される。ワッシャ66は、例として板厚1.
2mmのSPC等の金属材料から形成され、半径方向内
方部68が半径方向外方部69よりもグロメット63側
に凹状となるように、段差部70が形成されている。ま
た、制振材67は、ステンレス鋼等の金属材料からメッ
シュ状に形成されている。
【0060】従って、エキマニ51の振動によって発生
する前記ボルトの振動は、制振部材62を介してカバー
50に伝達されるが、制振部材62に伝達された振動
は、制振材67の金属繊維の振動にエネルギーが吸収さ
れ減衰され、吸音性を実現している。また、制振部材6
2のワッシャ66は、前述したように、半径方向内方部
68と半径方向外方部69との間に段差部70が形成さ
れている。これにより、ワッシャ66の平坦部分が減少
し、また、全体として階段状に形成されているので、ワ
ッシャ66自身の共振が防止され、制振性を向上してい
る。この作用によっても、ボルトの振動が減衰される。
このようにして、エキマニ51からの振動は、カバー5
0に伝達される際に減衰され、カバー50の振動が抑制
される。これによっても、カバー50の吸音特性が向上
されている。
【0061】図15は本実施例のカバー50の吸音特性
を計測するために用いた設備の正面図であり、図16は
計測結果を示すグラフである。以下、図15および図1
6を併せて参照して、カバー50の吸音特性を説明す
る。前記計測実験では、エキマニ51に装着されたカバ
ー50の外表面やエキマニ51自身の外表面から、例と
して、2.5mmなど可及的に短い距離L5だけ離れてマ
イクロフォン71を設置する。このマイクロフォン71
を図示しない音量計などに接続し音量を計測する。この
計測に用いられたサンプルは、第1実施例のカバー1
2のアウタ24、吸音材25、インナ26のみからなる
カバー(以下、メタフォーム)、カバー類無しでエキ
マニ51のみ、第1実施例のカバー12のアウタ2
4、吸音材25、金属板28のみからなるカバー(以
下、現行カバー)の3種である。
【0062】この3種のサンプルに対して行った試験の
結果が図16のグラフに示されている。これから以下の
ことが分かる。全周波数帯域では、カバー類を設置した
ほうが音圧が低くなる傾向がある。また、カバー類の中
でも本実施例のカバー50を用いると、全周波数帯域で
音圧が低下しており、また、聴感上でも柔らかい音にな
っていることが確認された。この聴感上の変化を確認す
るために、前記マイクロフォン71で集音した音をイコ
ライザーを用いて分析した。その結果、2.5kHz〜
6.3kHzの周波数帯域の音圧が抑制されていた。即
ち、可聴周波数帯域中の比較的高音域が抑制されている
ので、前記聴感上の変化が得られていることが確認され
た。従って、本実施例のカバー12を用いることによ
り、可聴周波数帯域の全ての周波数帯域の音圧レベルを
均等に抑制する場合と比較し、効率的な遮音機能が実現
されている。
【0063】本発明のカバーは、前記各実施例の自動車
のエンジン周りに用いられるに限定されず、任意の音源
に対して、特に熱を併せて発生する任意の音源に対して
好適に実施されることが可能である。本発明は、上記各
実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱
しない範囲で広範な変形例を有するものである。
【0064】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明のカバー
装置は、カバー本体を備えている。カバー本体は、音源
側に配置されたインナと、インナに積層された吸音断熱
シートと、吸音断熱シートに積層された金属板からなる
アウタとを備えており、音源に対して離反方向に変形し
た凹所を有している。また、前記インナは、金属板と、
この金属板の音源側に設けられた耐熱性を有する弾性材
料からなる少なくとも表面が多孔性の発泡シートとを備
えている。
【0065】本発明によれば、カバー本体の音源側に少
なくとも表面が多孔性の発泡シートが設けられているの
で、音源から発生した音は発泡シート表面で乱反射さ
れ、表面が平滑な平坦面での反射と比較し、音のエネル
ギーの減衰が大きくなり、遮音性が向上される。また、
発泡シートは、少なくとも表面が多孔性なので、発泡シ
ートの振動に変換される音の割合が増大し、吸音性が向
上される。これらにより、カバー装置の外部に漏れる音
のレベルを抑制することができる。また、この発泡シー
トがカバー本体の振動、特に共振を抑制して制振性を向
上しているので、カバー装置から発生される音のレベル
が抑制される。このようなカバー装置自身の振動の抑制
は、カバー本体に設けられている吸音断熱シートによっ
ても実現される。
【0066】本発明のカバー装置では、カバー本体と音
源との間が、カバー本体の音源に臨む周縁部に全周に亘
って装着され、音源と密着するシール部材で塞がれてい
る場合がある。従って、このようなシール部材が設けら
れずに音がカバー本体と音源との間の空間から外部に漏
れる場合と比較し、音源からの音が、カバー本体と音源
との間から外部に直接漏れることが防止されており、カ
バー装置の外部に漏れる音のレベルが抑制され、遮音性
が向上される。
【0067】更に、本発明では、前記カバー本体を音源
に対して連結するための連結部材が取り付けられるカバ
ー本体の取付部と前記連結部材との間に、カバー本体を
連結部材に対して弾性的に支持する弾性支持部材が設け
られている場合がある。このとき、音源が音を発生する
際に生じる振動は、カバー装置を音源に連結する連結部
材に伝達されるが、連結部材とカバー装置の取付部との
間に設けられた弾性支持部材で実質的に吸収される。従
って、音源からの音がカバー装置に直接伝達されること
によってカバー装置に共振が生じて、カバー装置自身が
大きな音を発生する事態が防止され、制振制が向上され
る。
【0068】本件発明のカバー装置では、聴感上で耳障
りな聴感が強い約2.5〜6.3kHzの帯域での音が
特に抑制されていることが確認された。従って、聴覚可
能な全ての周波数帯域の音レベルを抑制する場合と比較
し、効率的な遮音機能が実現される。
【0069】請求項1の発明において、前記弾性支持部
材が、ゴム材料を筒状に成形した筒状部材で構成されて
いる場合がある。このような弾性支持部材が用いられる
場合でも、上述した請求項1の発明の作用効果と同様な
作用効果が実現されるのはあきらかである。
【0070】請求項1の発明において、前記弾性支持部
材が、実質的に前記カバー本体の取付部と前記音源の表
面との距離を超える長さを有するように構成されている
場合がある。これにより、カバー装置を音源に取り付け
た際に弾性支持部材が圧縮され、その復原力でカバー装
置は音源に弾発的に密着する。これにより、カバー装置
が音源に微小な間隔をあける際に発生するびびり音の発
生が防止され、カバー装置から外部に漏れる音のレベル
を防止することができる。
【0071】請求項6の発明のカバー装置は、カバー本
体を備えており、このカバー本体は、音源に対向し金属
板からなるインナと、インナに積層された吸音断熱シー
トと、アウタとを備えている。アウタは、金属板と、金
属板の音源と反対側に設けられた耐熱性を有する弾性材
料からなる発泡シートとを備えている。前記発泡シート
の耐熱性に対して音源の温度が高い場合、この発泡シー
トをカバー本体に関して音源と反対側に固定する。
【0072】本発明によれば、カバー本体の音源側と反
対側に発泡シートが設けられているので、音源からカバ
ー装置に伝達された音は、発泡シートからランダムな方
向に放射される。これにより、カバー装置からの音のレ
ベルが特定方向で強くなる事態が防止される。これによ
り、聴感上、カバー装置から発生する音のレベルを抑制
することができる。この発泡シートがカバー本体の振
動、特に共振を抑制するので、カバー装置から発生され
る音のレベルが抑制され、制振性が向上される。このよ
うなカバー装置自身の振動の抑制は、カバー本体に設け
られている吸音断熱シートによっても実現される。
【0073】請求項7の発明は、請求項6の発明におい
て、前記カバー本体を前記音源に対して連結するための
連結部材が取り付けられるカバー本体の取付部と連結部
材との間には、カバー本体を連結部材に対して弾性的に
支持する弾性支持部材が設けられている場合である。
【0074】音源が音を発生する際に生じる振動は、カ
バー装置を音源に連結する連結部材に伝達されるが、連
結部材とカバー装置の取付部との間に設けられた弾性支
持部材で実質的に吸収される。従って、音源からの音が
カバー装置に直接伝達されることによってカバー装置に
共振が生じて、カバー装置自身が大きな音を発生する事
態が防止され、制振性が向上される。
【0075】本件発明のカバー装置では、聴感上で耳障
りな聴感が強い約2.5〜6.3kHzの帯域での音が
特に抑制されていることが確認された。従って、聴覚可
能な全ての周波数帯域の音レベルを抑制する場合と比較
し、効率的な遮音機能が実現される
【0076】請求項8の発明は、請求項7の発明におい
て、前記弾性支持部材が、金属材料メッシュから構成さ
れている場合である。弾性支持部材が、このような材料
から構成される場合でも、請求項6、7に関連して説明
した作用効果を実現できるのは明らかである。
【0077】また、上述した請求項1および6の発明に
おいて、カバー本体を構成するインナ或いはアウタの少
なくともいずれかを従来よりも板厚が厚い金属材料から
構成することにより、カバー本体の重量が増大し、音源
からの振動によってカバー装置自身が発生する振動の程
度を格段に抑制することができる。また、カバー本体の
積層厚を大きくすることにより、カバー装置を音が透過
する程度を抑制することができる。これにより、カバー
装置全体の吸音性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が実施されるエンジンのクランクケース
11のフロントエンド付近の斜視図である。
【図2】フロントエンドに設けられる本発明の第1実施
例のカバー12の一部断面を示す斜視図である。
【図3】図2の切断面線X3ーX3から見た断面図であ
る。
【図4】図2の切断面線X4ーX4から見た断面図であ
る。
【図5】カバー12のカバー本体22の外周部の拡大断
面図である。
【図6】図3の部分X6の拡大断面図である。
【図7】ゴムマウント20の斜視図である。
【図8】スポンジリング36の斜視図である。
【図9】本発明の第2実施例のカバー41の一部を切り
欠いて示す斜視図である。である。
【図10】本発明の第3実施例のカバー50とエキゾー
ストマニホールド51とを示す斜視図である。
【図11】カバー50の断面図である。
【図12】図10の切断面線X12ーX12から見た断
面である。
【図13】図12の部分X13の拡大断面図である。
【図14】本実施例に用いられるマウント部材52の斜
視図である。
【図15】本実施例のカバー50の吸音特性を計測する
ために用いた設備の正面図である。
【図16】計測結果を示すグラフである。
【図17】従来技術を示す図である。
【符号の説明】
11 クランクケース 12、41、50 カバー 14 ケースカバー 19 スタッドボルト 20 ゴムマウント 22、43 カバー本体 23、44 防音サッシ 24、57 アウタ 25、56 吸音材 26、55 インナ 28 金属板 29、59 フォーム層 36 スポンジリング 38、60 突条 40 シリンダヘッドカバー 51 エキマニ 62 制振部材 63 グロメット 66 ワッシャ 67 制振材 70 段差部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02B 77/13 F02B 77/13 E G

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱を発生する音源に対向し、金属板と該
    金属板の音源側に固定された耐熱性を有する弾性材料か
    らなる少なくとも表面が多孔性の発泡シートとからなる
    インナと、該インナに積層された吸音断熱シートと、該
    吸音断熱シートに積層され金属板から構成されるアウタ
    とを備え、該音源に対して離反方向に変形した凹所を有
    するカバー本体とを備えるカバー装置。
  2. 【請求項2】 前記カバー本体の前記音源に臨む周縁部
    に全周に亘って装着され、該音源と密着するシール部材
    を備える請求項1に記載のカバー装置。
  3. 【請求項3】 前記カバー本体を前記音源に対して連結
    するための連結部材が取り付けられる該カバー本体の取
    付部と該連結部材との間に設けられ、該カバー本体を該
    連結部材に対して弾性的に支持する弾性支持部材を備え
    る請求項1に記載のカバー装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性支持部材は、ゴム材料を筒状に
    成形した筒状部材で構成されている請求項3に記載のカ
    バー装置。
  5. 【請求項5】 前記弾性支持部材は、実質的に前記カバ
    ー本体の取付部と前記音源の表面との距離を超える長さ
    を有する請求項3に記載のカバー装置。
  6. 【請求項6】 熱を発生する音源に対向する金属板から
    なるインナと、該インナに積層された吸音断熱シート
    と、該吸音断熱シートに積層され、金属板と該金属板の
    該音源側と反対側に固定された耐熱性を有する弾性材料
    からなる発泡シートとからなるアウタとを備えているカ
    バー本体とを備えるカバー装置。
  7. 【請求項7】 前記カバー本体を前記音源に対して連結
    するための連結部材が取り付けられる該カバー本体の取
    付部と該連結部材との間に設けられ、該カバー本体を該
    連結部材に対して弾性的に支持する弾性支持部材が備え
    られる請求項6に記載のカバー装置。
  8. 【請求項8】 前記弾性支持部材は、金属材料メッシュ
    から構成されている請求項7に記載のカバー装置。 【0001】
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JP (1) JPH11200881A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001271707A (ja) * 2000-03-28 2001-10-05 Aisin Seiki Co Ltd エンジンのシリンダヘッドカバー
JP2009108789A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Tokai Rubber Ind Ltd 隙間遮断構造
KR101189294B1 (ko) * 2005-09-14 2012-10-09 현대자동차주식회사 히트 프로텍터 장착구조

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