JPH11200344A - シートの水底敷設方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クレーン台船によってシートを確実、かつ容
易に水底の所定位置に敷設できると共に、潜水夫による
水底作業を大幅に削減でき、省力化と安全性との向上を
はかりうるシートの水底敷設方法を提供する。 【解決手段】 シート１を敷設する水底域の両端にガイ
ドワイヤー２を緊張した後、クレーン台船３でシートロ
ール１１がセットされたシート敷設装置４を吊り下ろ
し、シート敷設装置４の両側に設けた金具にガイドワイ
ヤー２を連結し、かつクレーン台船３の船尾両側とシー
ト敷設装置４の両側とをそれぞれシート展張りワイヤー
６で連絡し、シート１の先端を水底に固定した後、クレ
ーン台船３を後方Ｒに移動することでシート敷設装置４
をガイドワイヤー２に沿って移動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ケーソンの捨石マ
ウンドの裏込め土砂の吸い出し防止等のために、水底に
シートをクレーン台船により敷設する際に適用されるシ
ートの水底敷設方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、海底に造成した基礎マウンド上
に、ケーソンを連続して沈設した護岸で囲んだ内側水域
を土砂等で埋立てする埋立作業が盛んに行われている
が、このような基礎マウンドは、水底に捨石を投入して
造成した捨石マウンドからなっており、潮の干満により
発生する海水の流れによって埋立に使用した土砂が基礎
マウンドの捨石層の隙間を通して埋立側から海側へ流出
することになる。

【０００３】そこで上記の対策として従来、捨石マウン
ドの埋立側の水底面の特に法面にシートを敷設した後、
そのシート上に埋立用の土砂を投入することが行われて
いる。ところで、上記のごとくシートを水底に敷設する
際の一般的な方法としては、シートをフロートを用いて
水面上に浮かべて拡げた後、フロートを除去してシート
自体の自重または載置した荷重により沈設する方法が採
用されているが、気泡などの影響もあって水中に一様に
沈設することが極めて困難で、施工能力も劣るという問
題があった。

【０００４】そこで、例えば特開平７−１２７０３４号
の水底敷設用シートに関する発明のごとく、砂防シート
を軸部材にロール状に巻取ってなるシートロールをクレ
ーンで吊って水底に降ろし、捨石マウンドの法面の傾斜
又はクレーンの動きを利用してシートロールを転がしな
がら敷設する工法が採用されている。しかしながらこの
場合、シートロールを一定方向へ円滑に転がすことが困
難で、かつ敷設面の不陸が大きい場合にはシートロール
が転がらないため面倒な潜水作業が多くなるという問題
があった。

【０００５】そこで、不陸の大きいシート敷設面にも、
捨石均し等の特別な潜水作業を不要として大水深域への
適用を可能とする特開平９−１６５７３２号のシート敷
設工法及びシート敷設装置に関する発明がなされてお
り、この発明では軸部材に砂防シートをロール状に巻き
つけてなるシートロールを吊具に回動自在に支持させ、
その吊具を作業船上の作業機械により水中に降ろした
後、ＧＰＳ及び超音波測量システムにより吊具の位置を
作業船上で確認しながら、吊具をシート敷設面に沿って
移動させてシートロールから砂防シートを繰り出すよう
になっている。

【０００６】しかしながら、上記公知の発明において
は、高価なＧＰＳ及び超音波測量システムを必要とし
て、シート敷設作業コストがかさむと共に、敷設するシ
ートの方向修正が必要な時に、その修正が容易に行われ
ないという問題があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、クレーン台
船によってシートを確実、かつ容易に水底の所定位置に
敷設できると共に、潜水夫による水底作業を大幅に削減
でき、省力化と安全性との向上をはかりうるシートの水
底敷設方法を提供する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、シートを敷設
する水底域の両端にガイドワイヤーを緊張した後、クレ
ーン台船でシートロールをセットされたシート敷設装置
を吊り下ろし、シート敷設装置の両側に設けた金具にガ
イドワイヤーを連結し、かつクレーン台船の船尾両側と
シート敷設装置の両側とをそれぞれシート展張ワイヤー
で連絡し、そのシートの先端を水底に固定した後、クレ
ーン台船を後方に移動することでシート敷設装置をガイ
ドワイヤーに沿って移動するシートの水底敷設方法から
なる。

【０００９】また、本発明のシートの水底敷設方法は、
上記のクレーン台船を後方に移動する際に、シート敷設
装置が２本のガイドワイヤーに斜めに位置しないように
展張ワイヤーでシート敷設装置の位置を調節することか
らなる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明のシー
トの敷設方法を適用した一実施形態の作業手順につき説
明するが、まず図１及びそのＡ−Ａ方向の平面図の図２
において、水底に造成した硬質砂岩２１及び基礎割石２
０上に連続して沈設したケーソン１８からなる護岸の内
側水域の水底に土砂の吸い出し防止用のシート１を敷設
するに当って、ケーソン１８上にガイドワイヤー緊張架
台７を取付けるための架台取付位置を予め測量してマー
キングしておき、クレーン台船３により、そこに図５の
側面図及びその平面図である図６に示すガイドワイヤー
緊張架台７を取付けるが、ケーソン１８に対し固定ジャ
ッキ１７等の締金具で固定する際、ゴム板等にて養生す
る。

【００１１】次に、シート１を敷設する水底域の両端に
２本のガイドワイヤー２を平行に緊張するが、そのため
にガイドワイヤー２の一端に取付けるシンカーブロック
１０を設置する。このシンカーブロック１０は、ケーソ
ン１８上及び陸上等からトランシットによりそれぞれ誘
導して設置するが、その際のシンカーブロック１０に
は、ガイドワイヤーの一端を連結し、玉掛けにはレッコ
フックを使用し、またガイドワイヤー２の他端部にはク
レーン台船３上に固ばくしておく。

【００１２】そして、シンカーブロック１０の設置が完
了次第、ケーソン１８上のガイドワイヤー緊張架台７上
でガイドワイヤー２の端部にカウンターウエイト８をセ
ットし、このガイドワイヤー２の他端と上記シンカーブ
ロック１０を取付けたガイドワイヤー２の他端とをシャ
ックルにて連結した後、カウンターウエイト８をケーソ
ン１８の海側に吊り降ろすことにより、各ガイドワイヤ
ー２はガイドワイヤー緊張架台７のローラ１６を介して
緊張して設置される。

【００１３】次に、クレーン台船３上には、陸上ヤード
等でシート本体上に、可撓性のある重量物、例えばチェ
ーン等を全面にわたって荷重が均等になるように一定間
隔に配置したものをロール状に巻取ってシートロール１
１として予め搬入しておき、このシートロール１１を積
込んだ図３の正面図及びそのＢ−Ｂ方向の側面図の図４
に示すシート敷設装置４を図１のごとく、クレーン台船
３から吊りワイヤー１２で吊り下ろし、シート敷設装置
４両端のカラビナ金具等の金具５に前記ガイドワイヤー
２を連結し、かつクレーン台船３の船尾両側とシート敷
設装置４の両側とをそれぞれシート展張ワイヤー６で連
絡する。

【００１４】この状態でシート敷設装置４を所定位置へ
誘導するが、その時、図１の硬質砂岩２１及びケーソン
１８の埋立側の裏込石１９の捨石法面と受台２２とが離
れることのないように充分注意するものとする。次に、
潜水夫によりシートロール１１のシート１の先端を図１
の固定ブロック２３に固定した後、クレーン台船３を操
船ワイヤー９により矢印Ｒの後方に移動することにより
シート１を水底に敷設するが、その際、この敷設作業の
指揮者は、出来形管理装置のディスプレイにより、複数
のオペレータ・ウインチマンに指示してクレーン台船３
を誘導し、２本のガイドワイヤー２に沿ってクレーン台
船３を移動させて、所定位置にシート１を敷設するよう
にする。

【００１５】なお、シート敷設装置４の受台２２にはシ
ートロール１１の軸を回転自在に受ける軸承部１４があ
り、また受台２２の端部には油圧モータ等の駆動部１５
が設けられているので、シートロール１１からのシート
１はこの駆動部１５で順次繰り出されながら敷設され
る。また、上記のごとくクレーン台船３を後方の矢印Ｒ
方向に移動する際には、シート敷設装置４が２本のガイ
ドワイヤー２に斜めに位置しないように、シート展張ワ
イヤー６をクレーン台船３上のウインチ巻取操作でシー
ト敷設装置４の位置を調整することでシート１を正確な
位置に敷設できる。

【００１６】上記のごとくシート１の敷設完了を確認
後、シート敷設装置４の受台２２の両端の金具５からガ
イドワイヤー２を外してシート敷設装置４をクレーン台
船３上に引上げると共に、カウンターウエイト８をケー
ソン１８上に引上げ、ガイドワイヤー２の端部もクレー
ン台船３上に固ばくする。しかる後、ガイドワイヤー緊
張架台７のケーソン１８上の位置を移設し、シンカーブ
ロック１０の次の埋立水域への移設を行って、敷設ずみ
のシート１端部に対し、例えば３ｍのオーバラップ幅を
持たせて次のシート１の水底敷設作業を、前述した作業
手順で繰り返しながら行うもので、これらの作業手順を
図７の施工フロー図に示している。

【００１７】

【発明の効果】以上に説明した本発明のシートの水底敷
設方法によれば、不陸の大きい水底のシート敷設面に対
してもシートを所定の水底位置に正確、かつ確実に敷設
できると共に、面倒で能率の悪い潜水夫による水底作業
を大幅に省略できて、省力化と安全性との向上を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシートの水底敷設方法を適用した一実
施形態の作業手順説明用の概略配置側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ方向の要部平面図である。

【図３】図１のシート敷設装置の拡大正面図である。

【図４】図３のＢ−Ｂ方向の側面図である。

【図５】図１のガイドワイヤー緊張架台の拡大側面図で
ある。

【図６】図５の平面図である。

【図７】図１に示す本発明の一実施形態のシートの水底
敷設方法の作業手順の施工フロー図である。

【符号の説明】

１ シート ２ ガイドワイヤー ３ クレーン台船 ４ シート敷設装置 ５ 金具 ６ シート展張ワイヤ
ー １１ シートロール Ｒ 後方

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北林 三津雄 神奈川県横浜市中区日本大通18 東亜建設 工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートを敷設する水底域の両端にガイド
   ワイヤーを緊張した後、クレーン台船でシートロールが
   セットされたシート敷設装置を吊り下ろし、シート敷設
   装置の両側に設けた金具にガイドワイヤーを連結し、か
   つクレーン台船の船尾両側とシート敷設装置の両側とを
   それぞれシート展張ワイヤーで連絡し、シートの先端を
   水底に固定した後、クレーン台船を後方に移動すること
   でシート敷設装置をガイドワイヤーに沿って移動するシ
   ートの水底敷設方法。
2. 【請求項２】 クレーン台船を後方に移動する際に、シ
   ート敷設装置が２本のガイドワイヤーに斜めに位置しな
   いようにシート展張ワイヤーでシート敷設装置の位置を
   調整する請求項１記載のシートの水底敷設方法。