JPH11199283A - 着色無機充填剤及びこれを用いたプレミックスの製造方法 - Google Patents

着色無機充填剤及びこれを用いたプレミックスの製造方法

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JPH11199283A
JPH11199283A JP670098A JP670098A JPH11199283A JP H11199283 A JPH11199283 A JP H11199283A JP 670098 A JP670098 A JP 670098A JP 670098 A JP670098 A JP 670098A JP H11199283 A JPH11199283 A JP H11199283A
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JP
Japan
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meth
inorganic filler
inorg
premix
filler
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JP670098A
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English (en)
Inventor
Sadahito Nakahara
禎仁 中原
Hitoshi Takayama
仁史 高山
Seiya Koyanagi
精也 小柳
Kentaro Hayashi
健太郎 林
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレミックスの製造において、洗浄労力を最
小限に抑え、かつ混合分散時間を短縮できる着色無機充
填剤を提供する。 【解決手段】 水酸化アルミニウム等の無機充填剤に対
し粉末状固体着色剤が均一に混合分散(レーザ光散乱強
度パターンの有意水準が5%以内)されてなる着色無機
充填剤、及びこれを用いたプレミックスの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
系プレミックスの製造において、洗浄労力を最小限に抑
え、かつ混合分散時間を短縮できる着色無機充填剤、及
びこれを用いた(メタ)アクリル系プレミックスの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、着色意匠性に富んだ樹脂成型物
が、一般に多く使用されてきている。この樹脂成型物
は、用途に応じて軽量性や耐候性等の物性を有する。そ
して、これら物性の発現と意匠性を兼ね備え、かつ安価
に消費者に提供可能な樹脂の組成や、その製造方法の開
発が進められている。
【0003】特に、物性と意匠性に優れた樹脂成型物の
一例として、(メタ)アクリル系樹脂に水酸化アルミニ
ウム等の無機充填剤を配合した(メタ)アクリル系樹脂
成形体((メタ)アクリル系人工大理石など)が挙げら
れる。このような樹脂成形体は、優れた成形外観、柔ら
かな手触り及び耐候性等の各種の卓越した機能特性を有
しており、キッチンカウンター等のカウンター類、洗面
化粧台、防水パン、その他建築用途に広く使用されてい
る。
【0004】そして、この樹脂成形体に優れた外観意匠
性を付与する着色方法として、例えば特公平2−120
264号公報に記載されるような、着色剤と各種原料を
容器中に投入し、高速撹拌機や塗料製造用の顔料分散
機、あるいは混練ロールなどを用いて混合する方法が知
られている。
【0005】粉末状で固体の着色剤は、2次凝集してい
る場合が殆どである。したがって、上述の着色方法にお
いて、粉末状固体着色剤と各種原料を直接混合分散する
場合は、十分に時間をかけた撹拌や分散を行って着色プ
レミックスを得ている。またこの混合分散時間の短縮の
ため、予め粉末状固体着色剤を液体状に分散させて予備
ペースト状着色剤を作製し、これを各種原料と混合分散
して同様の着色プレミックスを得ることもできる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粉末状
固体着色剤とプレミックス用各種原料を直接混合分散す
る方法は、凝集状態の着色剤の混合分散に要する時間が
十分必要であることから生産性悪化の原因となる。ま
た、得られるプレミックスに流動性が有る場合は、混合
分散に時間をかけすぎると、着色剤の種類によってはプ
レミックス中で再凝集することもあり、プレミックスへ
の着色条件の決定には多種の実験を繰り返さねばならな
い困難さがある。
【0007】一方、混合分散時間の短縮のため予備ペー
スト状着色剤を作製する方法においては、この予備ペー
スト状着色剤を作製するための容器や分散機器が特に必
要となり、使用する着色剤を変更する度にこの容器や分
散機器を洗浄する多くの労力が必要であり、同時に洗浄
剤など、プレミックス作製には直接関係の無い多くの材
料を使用する必要がある。
【0008】本発明の目的は、予備ペースト状着色剤を
作製する必要が無く、洗浄労力を最小限に抑え、かつ混
合分散時間を短縮できる着色無機充填剤、及びこれを用
いたプレミックスの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
ついて検討した結果、プレミックスの構成成分を均一混
合する前に、予め着色剤と無機充填剤を均一混合分散
し、これを着色無機充填剤として用いることにより、短
時間で着色剤を分散でき、良好なプレミックスを製造で
きることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、無機充填剤に対し粉
末状固体着色剤が均一に混合分散されてなる着色無機充
填剤であり、嵩密度が0.1〜0.7g/mlの範囲内で
あり、アマニ油に対する吸油量が60〜200ml/1
00gの範囲内であり、メチルメタクリレートに対する
膨潤度が16倍以上である非架橋重合体粉末(A)と、
メチルメタクリレート又は(メタ)アクリル系単量体混
合物(a)、及び、ポリメチルメタクリレート又は(メ
タ)アクリル系共重合体(b)からなるアクリル系シラ
ップ(B)と、前記本発明の着色無機充填剤(C)と、
必要に応じて無機充填剤含有樹脂粒子(D)やその他の
成分を混合することを特徴とするプレミックスの製造方
法である。
【0011】なお、本発明において、「(メタ)アクリ
ル」とは「メタクリル及び/又はアクリル」を意味す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0013】本発明の着色無機充填剤(C)は、無機充
填剤に対し粉末状固体着色剤が均一に混合分散されてな
るものである。
【0014】着色無機充填剤(C)に用いる粉末状固体
着色剤としては、粉末状固体であればその種類は限定さ
れず、従来より知られる各種の無機着色剤、有機着色剤
が使用できる。例えば、無機着色剤としては、酸化チタ
ン、酸化クロム、アルミナ、硫化亜鉛、酸化鉄、カーボ
ンブラック等が挙げられ、有機着色剤としては、β−ナ
フトール系、ジスアゾイエロー系、フタロシアニン系等
の各種着色剤が挙げられる。着色剤は、樹脂成形体の強
度、耐水性、耐食性等の各特性を阻害しないものを適宜
選択すればよい。
【0015】着色無機充填剤(C)に用いる無機充填剤
としては、例えば、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融
シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、
リン酸カルシウム、タルク、クレー、ガラスパウダー等
が挙げられる。特に、本発明の着色無機充填剤(C)を
人工大理石用プレミックスに使用する場合は、無機充填
剤として、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、
ガラスパウダー等を用いることが好ましい。
【0016】この無機充填剤は、意匠性樹脂成形体の全
光線透過率を所定の値とせしめるものであり、その平均
粒径は10〜200μm程度が好ましく、20〜100
μm程度がより好ましい。
【0017】本発明の着色無機充填剤(C)において、
無機充填剤に対する粉末状固体着色剤の分散状態の均一
さの程度については、予備ペースト状着色剤を作製しな
くとも、混合分散時間の短縮が図れる程度であればよ
く、具体的な制限は無い。ただし、着色無機充填剤
(C)のレーザ光散乱強度パターンの有意水準が5%以
内であることが好ましい。
【0018】このレーザ光散乱強度パターンの測定は、
具体的には次の方法により行なう。まず、無機充填剤と
粉末状固体着色剤の混合物である着色無機充填剤(C)
を、厚さ(t)1mm、縦100mm、横100mmの
空間を有する透明容器に充填する。この縦100mm、
横100mmの面において、図1に示すように縦10m
m、横10mmの100個の正方形にNo.1〜 No.10
0の番号を付して側定点とする。そして、容器下部に対
し45゜の方向からHe−Neレーザ光(ビームエキス
パンダ付加、照射径φ10mm)を照射して、各側定点
における着色無機充填剤(C)による散乱光強度パター
ンを計測し、相対強度分布を観察し、有意水準を求め
る。
【0019】本発明の着色無機充填剤(C)を製造する
ために、無機充填剤に対し粉末状固体着色剤を均一に混
合分散する方法は、特に限定されず、従来より知られる
各種の混合分散法を使用できる。ただし、混合分散中に
無機充填剤の平均粒径に影響を与えない方法を選択する
ことが好ましい。このような方法によれば、作製される
樹脂成形体の全光線透過率が低下せず、本来要求される
意匠性が発現し易くなるからである。
【0020】この混練分散方法としては、例えば、ヘン
シェルミキサ等の定量容器中にて、無機充填剤と粉末状
固体着色剤を高速撹拌する方法が挙げられる。また、前
述した理由により、樹脂成形体の全光線透過率に影響を
与えない範囲、すなわち無機充填剤の平均粒径が粉砕に
より小さくならない範囲の高速撹拌速度や時間を、使用
する無機充填剤の種類に応じ、適宜決定することが好ま
しい。また、ヘンシェルミキサ等を用いた方法以外にお
いても、同様に、その全光線透過率に影響を与えない範
囲で適宜条件設定することが好ましい。
【0021】本発明の着色無機充填剤(C)において、
無機充填剤と粉末状固体着色剤との比率は、所望に応じ
て適宜決定すればよいが、無機充填剤100重量部に対
して粉末状固体着色剤は4.5重量部以下が好ましく、
2.5重量部以下がより好ましい。
【0022】また、本発明の着色無機充填剤(C)を意
匠性樹脂成形体用のプレミックスの製造に用いる場合、
無機充填剤は、意匠性樹脂成形体に所望の全光線透過率
を発現するのに必要な量を使用すればよい。後述する
(メタ)アクリル系シラップを用いる場合、無機充填剤
の量はシラップ100重量部に対して、100〜400
重量部の範囲内であることが好ましい。無機充填剤の使
用量を100重量部以上にすれば、成形体の質感や耐熱
性等が良好となり、また、無機充填剤の使用量を400
重量部以下にすれば、強度の高い成形体が得られる傾向
にある。
【0023】粉末状固体着色剤が均一に混合分散された
着色無機充填剤(C)は、保管、運搬される際、両者が
分級することがある。従って、使用する際は再び撹拌等
により混合分散を行うことが好ましいが、用いられる着
色剤と無機充填剤の各々の比重に関し、着色剤と無機充
填剤が分級しにくい組み合せを選択することも好ましい
手段である。
【0024】また、着色無機充填剤(C)がプレミック
スと混合される工程においても、混合条件によって均一
分散されている粉末固体着色剤が再凝集することによ
り、得られる意匠性樹脂成形体の外観に色ムラが発現す
ることがある。したがって、粉末状固体着色剤が再凝集
を起こさない混合条件を用いるか、あるいはプレミック
スを使用する直前に、再び着色剤の分散を行うことが好
ましい。また、混合分散に時間をかけすぎると、着色剤
の種類によっては再凝集することもあるので、混合分散
の時間も適宜、好適な時間を設定する。
【0025】本発明の着色無機充填剤(C)は、プレミ
ックスの着色用途に有用である。特に、本発明の着色無
機充填剤(C)を、以下に示す特定の非架橋重合体粉末
(A)と、各種単量体及び重合体からなるシラップと混
合して、プレミックスを製造する場合、粉末固体着色剤
の再凝集をより良好に防止でき、外観等極めて良好な意
匠性樹脂成形体を得ることができる。
【0026】特に好適な用途は、嵩密度が0.1〜0.7
g/mlの範囲内であり、アマニ油に対する吸油量が6
0〜200ml/100gの範囲内であり、メチルメタ
クリレートに対する膨潤度が16倍以上である非架橋重
合体粉末(A)と、メチルメタクリレート又は(メタ)
アクリル系単量体混合物(a)、及び、ポリメチルメタ
クリレート又は(メタ)アクリル系共重合体(b)から
なる(メタ)アクリル系シラップ(B)と、本発明の着
色無機充填剤(C)とを混合することを特徴とするプレ
ミックスの製造方法に用いる場合である。
【0027】また、御影石調の樹脂成形体を製造する場
合、すなわち、上記非架橋重合体粉末(A)と、上記
(メタ)アクリル系シラップ(B)と、本発明の着色無
機充填剤(C)と、無機充填剤含有樹脂粒子(D)とを
混合することを特徴とするプレミックスの製造方法に用
いる場合も、同様に有用である。
【0028】非架橋重合体粉末(A)は、上述の諸物性
を有し、増粘剤として良好に機能する。この非架橋重合
体粉末(A)の嵩密度は0.1〜0.7g/mlの範囲内
である。嵩密度を0.1g/ml以上とすることによっ
て、重合体粉末が飛散しにくくなり、その製造時におけ
る歩留まりが良好となり、重合体粉末を(メタ)アクリ
ル系プレミックスに添加、混合する際の粉立ちが減少
し、作業性が良好になる。また、また、0.7g/ml
以下とすることによって、少量の重合体粉末の使用で十
分な増粘効果を得ることが可能となり、さらに増粘が短
時間で済むので、プレミックスの連続生産が容易にな
る。好ましくは、0.15〜0.65g/mlであり、さ
らに好ましくは、0.2〜0.6g/mlである。
【0029】非架橋重合体粉末(A)のアマニ油に対す
る吸油量は、60〜200ml/100gの範囲内であ
る。この吸油量を60ml/100g以上とすることに
よって、少量の重合体粉末の使用で十分な増粘効果を得
ることが可能となり、さらに増粘が短時間で済むので、
プレミックスの連続生産が容易になる。また、200m
l/100g以下とすることによって、重合体粉末のシ
ラップに対する分散性が良好となるために、プレミック
スを製造する際の混練性が良好になる。好ましくは、7
0〜180ml/100gであり、さらに好ましくは、
80〜140ml/100gである。
【0030】非架橋重合体粉末(A)のメチルメタクリ
レートに対する膨潤度は16倍以上である。この膨潤度
を16倍以上とすることによって、シラップを増粘させ
る効果が十分なものとなる。より好ましくは20倍以上
である。
【0031】非架橋重合体粉末(A)の比表面積は、1
〜100m2/gの範囲内であることが好ましい。比表
面積をこの範囲内にすることによって、十分な増粘効果
が短時間で得られる傾向にあり、さらに御影石調樹脂成
形体の製造に使用する場合には石目模様の鮮明性が良く
なり、石目の模様ムラがなくなる傾向にある。これは重
合体粉末が十分な比表面積を有しているので、室温でも
シラップ中で速やかに溶解し、増粘効果が短時間で得ら
れるためと考えられる。より好ましくは3〜100m2
/gであり、特に好ましくは5〜100m2/gであ
る。
【0032】非架橋重合体粉末(A)は、一次粒子のま
ま使用することも可能であるが、計量・混練等の作業の
際に粉立ちやロスを低減できる点で、一次粒子同士が凝
集した二次凝集体であることが好ましい。また二次凝集
体を用いる場合の一次粒子の平均粒子径は0.03〜1.
0μmの範囲内であることが好ましい。この場合、十分
な増粘効果が短時間で得られる傾向にあり、さらに御影
石調人工大理石樹脂成形体の製造に使用する場合には石
目模様の鮮明性が良くなり、石目の模様ムラがなくなる
傾向にある。より好ましい一次粒子の平均粒子径は0.
07〜0.7μmである。
【0033】また、二次凝集体粉末の平均粒子径は、特
に限定されるものではないが、1〜250μmが好まし
い。この平均粒子径を1μm以上とすることにより、粉
末の粉立ちが減少し、取り扱い性が向上する傾向にあ
る。また、250μm以下とすることにより、プレミッ
クスを硬化させて得られる樹脂成形体の外観、特に光沢
と表面平滑性が良好となる傾向にある。より好ましい二
次凝集体粉末の平均粒子径は5〜150μmであり、最
も好ましくは10〜70μmである。
【0034】非架橋重合体粉末(A)の重量平均分子量
は、10万以上であることが好ましい。この場合におい
て、十分な増粘効果が短時間で得られる傾向にあり、さ
らに御影石樹脂成形体の場合には石目模様の鮮明性が良
くなり、石目の模様ムラがなくなる傾向にある。これ
は、この重合体粉末が、アクリル系シラップ中で膨潤し
た後、すみやかにその一部又は全部が溶解するためと考
えられる。好ましくは10万〜350万であり、さらに
好ましくは30万〜300万であり、最も好ましくは5
0〜200万である。
【0035】非架橋重合体粉末(A)を構成する重合体
としては、種々のものを必要に応じて適宜選択して使用
でき、特に限定されるものではないが、得られる(メ
タ)アクリル系樹脂成形体の外観等の点を考慮に入れる
と、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。
【0036】非架橋重合体粉末(A)の構成成分として
は、例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するアル
キル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸金属塩、フマル酸、フマル酸エ
ステル、マレイン酸、マレイン酸エステル、芳香族ビニ
ル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)
アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸等が挙
げられる。これらは、必要に応じて単独で重合しても良
いし、二種以上を併用して共重合しても良い。(メタ)
アクリル系シラップを構成する単量体成分との親和性を
考慮に入れると(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
【0037】さらに非架橋重合体粉末(A)は、それら
を形成する重合体の化学的組成、構造、分子量等が互い
に異なったコア相とシェル相から構成された、いわゆる
コア/シェル構造を有する重合体粉末とすることもでき
る。この場合、コア相は非架橋重合体であっても架橋性
重合体であっても良いが、シェル相は非架橋重合体であ
ることが好ましい。
【0038】重合体粉末のコア相及びシェル相の構成成
分としては、例えば、先に重合体粉末の構成成分の例と
して列挙した各種成分等が挙げられる。これらも、必要
に応じて単独で重合しても良いし、二種以上を併用して
共重合しても良い。(メタ)アクリル系シラップを構成
する単量体成分との親和性が高まる点から、シェル相に
はメチルメタクリレートを主成分として用いることが好
ましい。
【0039】また、コア相を架橋させる場合には、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールエタンジ
(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパン
ジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパ
ンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、及び、(メタ)アクリル酸と多価アルコ
ール[例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トール等]との多価エステル、ジビニルベンゼン、トリ
アリールイソシアヌレート、アリールメタクリレート等
の多官能性単量体を構成成分として使用することがで
き、これらは単独あるいは二種以上を併用して使用する
ことができる。
【0040】また、非架橋重合体粉末(A)は、重合体
の他に無機充填剤を含有していても良いが、増粘効果を
より高いものにするためには、無機充填剤を含有しない
方が好ましい。
【0041】非架橋重合体粉末(A)の製造方法は特に
制限されるものではなく、例えば、塊状重合、溶液重
合、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の公知の方法が挙
げられる。中でも、乳化重合で得られたエマルションに
噴霧乾燥、フリーズドライ、塩/酸沈殿等の処理を行っ
て重合体粉末を得る方法が、製造効率が良好であり好ま
しい。
【0042】(メタ)アクリル系シラップ(B)は、メ
チルメタクリレート又は(メタ)アクリル系単量体混合
物(a)、及び、ポリメチルメタクリレート又は(メ
タ)アクリル系共重合体(b)からなるものである。
【0043】シラップ(B)を構成するメチルメタクリ
レート、又は(メタ)アクリル系単量体混合物(a)
は、好ましくはメチルメタクリレートを50〜100重
量%の範囲で含有する不飽和単量体あるいは不飽和単量
体混合物である。シラップ(B)中における(a)成分
の含有量は特に制限されないが、プレミックスとして使
用する場合の作業性、及び、このプレミックスを(メ
タ)アクリル系樹脂成形体の原料として使用した場合の
機械的強度等の物性を考慮に入れると、(a)成分と
(b)成分の合計100重量部に対して、30〜90重
量部が好ましい。(a)成分の含有量を30重量部以上
とすることによって、シラップが低粘度となり、その取
扱い性が良好となる。また、90重量部以下とすること
によって、硬化時の収縮率が低くなる傾向にある。より
好ましくは40〜85重量部、特に好ましくは50〜8
0重量部である。
【0044】(a)成分で使用されるメチルメタクリレ
ート以外の単量体としては、例えば、炭素数1〜20の
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸金属塩、
フマル酸、フマル酸エステル、マレイン酸、マレイン酸
エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリ
ル酸アミド、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、
無水マレイン酸等の単官能性単量体、及び、エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレート、ジメチロールエタンジ(メ
タ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパン
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、及び、(メタ)アクリル酸と多価アルコ
ール[例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トール等]との多価エステル、ジビニルベンゼン、トリ
アリールイソシアヌレート、アリールメタクリレート等
の多官能性単量体が挙げられる。これらは、必要に応じ
て単独であるいは二種以上を併用して使用できる。
【0045】(a)成分中に多官能性単量体を含有させ
ると、得られる成形体に優れた強度、耐溶剤性、寸法安
定性等が付与される傾向にあり好ましい。この場合、多
官能性単量体の使用量は特に限定されないが、上記の効
果を有効に得るためには、(a)成分中3〜50重量%
の範囲で使用するのが好ましい。
【0046】特に、(a)成分に使用するメチルメタク
リレート以外の単量体としてネオペンチルグリコールジ
メタクリレートを使用すると、きわめて表面光沢の優れ
た成形体が得られるので好ましい。この場合、ネオペン
チルグリコールジメタクリレートと他の多官能性単量体
を併用しても良い。ネオペンチルグリコールジメタクリ
レートの使用量は特に限定されないが、(a)成分中の
メチルメタクリレート以外の単量体中に50重量%以上
使用するのが好ましい。
【0047】シラップ(B)を構成するポリメチルメタ
クリレート又は(メタ)アクリル系共重合体(b)は、
好ましくはメチルメタクリレート構造の繰り返し単位が
50〜100モル%の範囲であるポリメチルメタクリレ
ート又は(メタ)アクリル系共重合体である。
【0048】シラップ(B)中における(b)成分の含
有量は特に制限されるものではないが、プレミックスの
作業性、及び、このプレミックスを(メタ)アクリル系
樹脂成形体の原料として使用した場合の機械的強度等の
物性を考慮に入れると、(a)成分と(b)成分の合計
100重量部に対して、10〜70重量部が好ましい。
より好ましくは15〜60重量部、特に好ましくは20
〜50重量部である。(b)成分は、架橋重合体でも非
架橋重合体でも良く、必要に応じて適宜選択することが
できる。得られるプレミックスの流動性や成形材料の機
械的強度を考慮に入れると、重量平均分子量は、15,
000〜300,000の範囲内であることが好まし
い。より好ましくは25,000〜250,000であ
る。
【0049】(b)成分で使用されるメチルメタクリレ
ート以外の構成成分(重合に使用する単量体等)として
は、例えば、先に(a)成分の例として列挙した各種成
分等が挙げられる。これらも、二種以上を併用でき、必
要に応じて多官能性単量体を共重合させることもでき
る。(b)成分は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合
法、懸濁重合法等の公知の重合法により製造することが
できる。
【0050】シラップ(B)は、(a)成分中に(b)
成分を溶解したものでも良いし、(a)成分を部分重合
することによって(a)成分中にその重合体である
(b)成分を生成したものでも良いし、あるいは、この
部分重合したものにさらに(a)成分を添加したもの、
又は部分重合したものにさらに(b)成分を添加したも
のでも良い。
【0051】プレミックス中における、重合体粉末
(A)とシラップ(B)の含有量は特に限定されない
が、シラップ(B)100重量部に対して、重合体粉末
(A)が0.1〜100重量部の範囲内であることが好
ましい。重合体粉末(A)の使用量が0.1重量部以上
であると高い増粘効果が発現される傾向にある。また、
100重量部以下であると重合体粉末の分散性が良好に
なり、かつコスト的に有利になる傾向にある。より好ま
しくは1〜80重量部である。
【0052】以上説明した非架橋重合体粉末(A)と、
シラップ(B)と、着色無機充填剤(C)とを混合する
ことにより、良好なプレミックスを製造できるが、さら
に、必要に応じて、ペンゾイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t
−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサ
イド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5
−トリチメチルシクロヘキサン、アゾビスイソブチロニ
トリル等の有機過酸化物やアゾ化合物等の硬化剤;ガラ
ス繊維、炭素繊維等の補強材;低収縮剤;等の各種添加
剤を添加することもできる。
【0053】また先に述べたように、御影石調の樹脂成
形体を製造する場合は、非架橋重合体粉末(A)、シラ
ップ(B)及び着色無機充填剤(C)と共に、無機充填
剤含有樹脂粒子(D)を混合してプレミックスを製造す
ることにより、鮮明な石目模様を有し意匠性に優れた御
影石調樹脂成形体を得ることができる。
【0054】無機充填剤含有樹脂粒子(D)の配合量
は、特に制限はないが、プレミックス100重量部に対
して、1〜200重量部の範囲内であることが好まし
い。この配合量を1重量部以上とすることによって、意
匠性の良い石目模様が得られる傾向にある。また、20
0重量部以下とすることによって、プレミックスの製造
時における混練性が良好となる傾向にある。より好まし
くは10〜100重量部である。
【0055】無機充填剤含有樹脂粒子(D)を構成する
樹脂は、メチルメタクリレートに溶解しない樹脂ならば
何でも良く、例えば、架橋(メタ)アクリル樹脂、架橋
ポリエステル樹脂、架橋スチレン樹脂などを挙げること
ができる。(メタ)アクリル系樹脂組成物との親和性が
高く、美しい外観をした成形体が得られることから、架
橋(メタ)アクリル樹脂が好ましい。また、この架橋
(メタ)アクリル樹脂は、ポリメチルチタクリレート又
はメチルメタクリレートを主成分とする非架橋アクリル
系重合体を含有するものでも良い。
【0056】無機充填剤含有樹脂粒子(D)を構成する
無機充填剤は、樹脂100重量部に対して50〜400
重量部の範囲内で使用することが好ましい。無機充填剤
の使用量を50重量部以上にすれば、成形体の質感や耐
熱性等が良好となり、400重量部以下にすれば、強度
の高い成形体を得ることが可能となる傾向にある。
【0057】この無機充填剤としては、水酸化アルミニ
ウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、タルク、クレ
ー、ガラスパウダー等を必要に応じて適宜使用すること
ができる。特に、御影石調の人工大理石等の樹脂成形体
を製造する場合には、無機充填剤としては、水酸化アル
ミニウム、シリカ、溶融シリカ、ガラスパウダーが好ま
しい。
【0058】無機充填剤含有樹脂粒子(D)製造方法は
特に限定されないが、例えば、熱プレス法、注型法など
によって重合硬化して得られる無機充填剤入り樹脂成型
物を粉砕し、ふるいにより分級する方法が挙げられる。
例えば(メタ)アクリル系人工大理石を粉砕し、分級す
る方法が好ましい。
【0059】無機充填剤含有樹脂粒子(D)としては、
その粒径が成形体の肉厚以下のものが使用でき、1種の
み、あるいは、色や粒径の異なったものを2種以上併用
することができる。
【0060】以上説明したプレミックスを、例えば、成
形型内に充填し、場合によってはこれを加熱加圧硬化す
ることによって、(メタ)アクリル系樹脂成形体を含む
意匠性樹脂成形体を得ることができる。この具体的な成
形方法としては、真空成型法、圧縮成形法、射出成形
法、押出成形法等があるが、特に限定されるものではな
い。
【0061】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。例中の部及び%は、全て重量基準である。
【0062】<重合体粉末の物性> ・平均粒子径:レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
(LA−910、堀場製作所製)を用いて測定した。 ・嵩密度:JIS R 6126−1970に基づいて
測定した。 ・吸油量:JIS K 5101−1991に基づいて
測定し、パテ状塊がアマニ油の最後の一滴で急激に柔ら
かくなる直前を終点とした。 ・比表面積:表面積計SA−6201(堀場製作所製)
を用いて、窒素吸着法で測定した。 ・重量平均分子量:GPC法による測定値(ポリスチレ
ン換算)を求めた。 ・膨潤度:100mlのメスシリンダーに重合体粉末を
投入し、数回軽くたたいて5ml詰めた後、10℃以下
に冷却したメチルメタクリレートを全量が100mlと
なるように投入し、全体が均一になるように素早く攪拌
し、その後、メスシリンダーを25℃の恒温槽で1時間
保持し、膨潤後の重合体粉末層の体積を求めて、膨潤前
の体積(5ml)との比によって示した。
【0063】<(メタ)アクリル系シラップの物性> ・重量平均分子量:GPC法による測定値を求めた。
【0064】(1)重合体粉末(P−1)の製造例 冷却管、温度計、撹拌機、滴下装置及び窒素導入管を備
えた反応装置に、純水925部、アルキルジフェニルエ
ーテルジスルフォン酸ナトリウム(花王(株)製、商品
名ペレックスSS−H)5部、及び過硫酸カリウム1部
を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃に加熱し
た。これに、メチルメタクリレート500部及びジアル
キルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名
ペレックスOT−P)5部からなる混合物を3時間かけ
て滴下した後、1時間保持し、さらに80℃に昇温して
1時間保持して乳化重合を終了し、ポリマーの一次粒子
径が0.08μmのエマルションを得た。
【0065】得られたエマルションを大川原化工機社製
L−8型噴霧乾燥装置を用いて入口温度/出口温度=1
50℃/90℃で噴霧乾燥処理し、二次凝集体粒子の平
均粒子径が30μmの非架橋重合体粉末(P−1)を得
た。得られた非架橋重合体粉末(P−1)はメチルメタ
クリレートに完全に溶解し、膨潤度は20倍以上であっ
た。その他の物性値を表1に示す。 (2)重合体粉末(P−2)の製造例 冷却管、温度計、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応装
置に、純水800部及びポリビニルアルコール(けん化
度88%,重合度1000)1部を溶解させた後、メチ
ルメタクリレート400部、アゾビスイソブチロニトリ
ル0.5部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰囲
気下で撹拌しながら1時間で80℃に昇温し、そのまま
2時間加熱した。その後、90℃に昇温し2時間加熱
後、さらに120℃に加熱して残存モノマーを水と共に
留去してスラリーを得て、懸濁重合を終了した。得られ
たスラリーを濾過、洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で
乾燥し、平均粒子径88μmの非架橋重合体粉末(P−
2)を得た。得られた重合体粉末(P−2)の膨潤度
は、1.2倍であった。その他の物性値を表1に示す。 (3)ポリメチルメタクリレート(b−1)の製造例 冷却管、温度計、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応装
置に、純水800部及びポリビニルアルコール(けん化
度88%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチ
ルメタクリレート400部、ノルマルドデシルメルカプ
タン2部、及びアゾビスイソブチロニトリル2部を溶解
させた単量体溶液を投入し、窒素雰囲気下で撹拌しなが
ら1時間で80℃に昇温し、そのまま2時間加熱した。
その後、90℃に昇温し2時間加熱後、さらに120℃
に加熱して残存モノマーを水と共に留去してスラリーを
得て、懸濁重合を終了した。得られたスラリーを濾過、
洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で乾燥し、平均粒子径
93μmのポリメチルメタクリレート(b−1)を得
た。得られたポリメチルメタクリレート(b−1)の重
量平均分子量は4万であった。 (4)無機充填剤含有樹脂粒子(D−1)の製造例 メチルメタクリレート69%、エチレングリコールジメ
タクリレート2%、及び上記製造例(3)で得たポリメ
チルメタクリレート(b−1)29%からなるシラップ
100部に、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾ
エート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルZ)2.
0部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛0.5部、白
色無機顔料又は黒色無機顔料0.25部を添加した後
に、無機充填剤として水酸化アルミニウム(昭和電工
(株)製、商品名ハイジライトH−310)200部を
添加し、さらに上記製造例(1)で得た重合体粉末(P
−1)30部を添加し、ニーダーで10分間混練して
(メタ)アクリル系プレミックスを得た。
【0066】次に、このプレミックスを200mm角の
平型成形用金型に充填し、金型温度130℃、圧力10
0kg/cm2の条件で10分間加熱加圧硬化させ、厚
さ10mmのアクリル系人工大理石を得た。得られたア
クリル系人工大理石をクラッシャーで粉砕し、平均粒子
径が350μmの白色又は黒色の無機充填剤含有樹脂粒
子(D−1)を得た。この粉体特性を表3に示す。
【0067】<実施例1>無機充填剤として水酸化アル
ミニウム(昭和電工(株)製、商品名ハイジライトH−
310)100部、粉末状固体着色剤として青色顔料
(酸化鉄80%、ステアリン酸亜鉛20%、平均粒子径
1.2μm)0.005部を、それぞれ三井鉱産製ヘンシ
ェルミキサに投入し、撹拌翼回転数500rpmで1分
間撹拌を行って、水酸化アルミニウムと青色顔料の混合
物である着色無機充填剤を得た。
【0068】この着色無機充填剤を、厚さ(t)1m
m、縦100mm、横100mmの空間を有する透明ア
クリル容器に充填した。この縦100mm、横100m
mの面において、図1に示すように縦10mm、横10
mmの100個の正方形にNo.1〜 No.100の番号を
付して側定点とした。そして、容器下部に対し45゜の
方向からHe−Neレーザ光(ビームエキスパンダ付
加、照射径φ10mm)を照射して、各側定点における
着色無機充填剤(C)による散乱光強度パターンを計測
し、相対強度分布を観察し、有意水準を求めた。
【0069】その結果、散乱光強度パターンNo.1〜No.
5に対するNo.6〜No.10、−−−、No.95〜No.10
0の母平均の差、母分散の比の検定を行ったところ、有
意水準5%で差があるとはいえないとの結果を得た。つ
まり、散乱光強度パターンは各部において均一であると
言える。したがって、本実施例の着色無機充填剤におい
て、水酸化アルミニウムに対する青色顔料の分散は極め
て良好である。
【0070】また使用したヘンシェルミキサの洗浄に関
しては、撹拌翼を取り出した後これを乾いた雑巾で拭き
取ると共に、槽内を水洗後同様に雑巾で拭き取り、約1
5分で良好な洗浄を完了することができた。
【0071】<比較例1>撹拌翼回転時間を20秒とし
たこと以外は、実施例1と同様にして、水酸化アルミニ
ウムと青色顔料を混合し、同様に評価した。散乱光強度
パターンNo.1〜No.5に対するNo.6〜No.10、−−
−、No.95〜No.100の母平均の差、母分散の比の検
定を行ったところ、有意水準10%で差があるといえる
との結果を得た。つまり、散乱光強度パターンは各部に
おいて均一でないと言える。したがって、この混合物
は、水酸化アルミニウムに対し青色顔料が均一に混合分
散されたものとは言えない。
【0072】<比較例2>メチルメタクリレート48
%、ネオペンチルグリコールジメタクリレート15%、
エチレングリコールジメタクリレート2%、及び製造例
(3)で得たポリメチルメタクリレート(b−1)35
%からなるシラップ100部をヘンシェルミキサに投入
し、さらに、実施例1で用いた青色顔料1.0106部
を添加した後、撹拌翼回転数500rpmで1分間撹拌
を行った。このシラップと顔料の混合物を取り出し、肉
眼で観察した結果、顔料の塊(ダマ)が非常に多数見ら
れ、一見して分散が不良であることが分かった。
【0073】<比較例3>撹拌翼回転時間を60分とし
たこと以外は、実施例1と同様にして、水酸化アルミニ
ウムと青色顔料を混合した。この混合物を取り出し、肉
眼で観察した結果、顔料の塊(ダマ)が非常に多数見ら
れ、一見して分散が不良であることが分かった。
【0074】<比較例4>比較例2で用いたシラップ1
00部、及び、青色顔料(可塑剤に分散させたもの、山
陽色素製アクリル用加工顔料、#517)0.266部
をヘンシェルミキサに投入し、撹拌翼回転数500rp
mで60分間撹拌を行った。
【0075】このシラップと顔料の混合物を取り出し、
ガラス製セル(100mm×100mm×20mm)に
投入、充填した。この縦100mm、横100mmの面
において、図1に示すように縦10mm、横10mmの
100個の正方形にNo.1〜No.100の番号を付して側
定点とした。そして、JUKI製分光測色計JP710
0Fにて、セル下面である各側定点の反射分光分布を測
定し、色差△Eの計測を行った(測色計入射部口径φ1
0mm)。その結果、測定No.1(L*=82.93、a
*=−8.74、D*=−7.88)に対するNo.2〜No.
100の△Eは0.02〜0.15であり、色差識別不可
能領域にあるとの結果を得た。すなわち、上記サンプル
の各部における色差は極めて小さく、肉眼観察における
色むらは無いと判断できる。すなわち、顔料のアクリル
系シラップへの分散は極めて良好であった。
【0076】しかしながら、使用したヘンシェルミキサ
の洗浄に関しては、撹拌翼を取り出した後これを乾いた
雑巾で拭き取ったが良好な洗浄には至らなかった。そこ
で、トルエンをしみ込ませた雑巾での拭き取りにより洗
浄した。また構内には槽容量と同量のトリエンを満た
し、約30分放置後抜液し、こののち雑巾で拭き取り、
ミキサの洗浄を完了した。この洗浄作業には約120分
を要した。また、抜液したトルエンは顔料による着色の
ため廃棄した。
【0077】<実施例2>比較例2及び4で用いたもの
と同等のシラップ286部をSUS製容器内に投入し、
これに、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエー
ト(日本油脂(株)製、商品名パーブチルZ)9部、内
部離型剤としてステアリン酸亜鉛2部を添加した後に、
エアーモーターで駆動された撹拌翼にて混合した。
【0078】この混合物297部をモリヤマ製パンバリ
ー型ニーダに投入した。また、実施例1で得た水酸化ア
ルミニウムと青色顔料の混合物である着色無機充填剤6
31部を、同様にニーダに投入した。さらに、製造例
(1)で得た重合体粉末(P−1)72部を同様にニー
ダに投入した。その後ニーダによる混練を行い、プレミ
ックスを得た。混練時間は10分であった。得られたプ
レミックスは、べたつきの無い、取り扱い性の良好な餅
状物であった。
【0079】次に、このプレミックスを100mm×1
00mmの平型成形用金型に充填し、金型温度130
℃、圧力100kg/cm2の条件で10分間加熱加圧
硬化させ、厚さ10mmの(メタ)アクリル系樹脂成形
体を得た。この樹脂成形体の表面は光沢が極めて高く、
欠陥が全く無い鏡面状態で、表面平滑性が極めて高かっ
た。
【0080】この樹脂成形体の縦100mm、横100
mmの面においてを、図1に示すように縦10mm、横
10mmの100個の正方形にNo.1〜 No.100の番
号を付して側定点とした。そして、JUKI製分光測色
計JP7100Fにて、各側定点の反射分光分布を測定
し、色差△Eの計測を行った(測色計入射部口径φ10
mm)。その結果、測定No.1(L*=83.00、a*
=−8.73、D*=−7.91)に対するNo.2〜No.1
00の△Eは0.04〜0.12であり色差識別不可能領
域にあるとの結果に至った。すなわち、このサンプルの
各部における色差は極めて小さく、肉眼観察における色
むらは無く、成形体中での顔料の分散は極めて良好であ
ると判断できた。
【0081】<比較例5>実施例2において、実施例1
で得た水酸化アルミニウムと青色顔料の混合物である着
色無機充填剤の代わりに、比較例1で得た水酸化アルミ
ニウムと青色顔料の混合物を用いたこと以外は、実施例
2と同様にして(メタ)アクリル系樹脂成形体を作製
し、同様に評価した。
【0082】その結果、測定No.1(L*=82.88、
a*=−8.74、D*=−7.92)に対するNo.2〜N
o.100の△Eは0.48〜1.12であり、色差識別可
能領域にあるとの結果に至った。すなわち、このサンプ
ルの各部における色差は大きく、肉眼観察における色む
らが有り、成形体中での顔料の分散は良好ではないと判
断できた。
【0083】<実施例3>比較例2及び4で用いたもの
と同等のシラップ270部をSUS製容器内に投入し、
これに、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエー
ト(パーブチルZ)9部、内部離型剤としてステアリン
酸亜鉛2部を添加し、エアーモーターで駆動された撹拌
翼にて混合した。この混合物281部をモリヤマ製バン
バリー型ニーダに投入した。また、実施例1で得た水酸
化アルミニウムと青色顔料の混合物である着色無機充填
剤461部を、同様に該ニーダに投入した。さらに、製
造例(1)で得た重合体粉末(P−1)68部と、製造
例(4)で得た黒色又は白色の無機充填剤含有樹脂粒子
(D−1)190部を、同様にニーダに投入した。その
後、ニーダによる混練を行い、プレミックスを得た。混
練時間は10分であった。得られたプレミックスは、べ
たつきのない取り扱い性の良好な餅状物であった。
【0084】このプレミックスを用い、実施例2と同様
にして、御影石調(メタ)アクリル系樹脂成形体を得
た。この樹脂成形体は、欠陥のない鏡面状態であり、光
沢が極めて高く、きわめて鮮明な石目模様を有し、また
石目模様にムラが全くなく、極めて意匠性に優れてい
た。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の着色無機
充填剤を用いれば、プレミックス用各種原料との混合分
散時間を極めて短時間にすることができ、かつ良好なプ
レミックスを得ることができ、工業上非常に有益であ
る。
【0089】また、従来の予備ペースト状着色剤を作製
する必要が無く、そのための容器や分散機器などが不要
となり、しかも容器への粘性のある汚れが発生すること
も無いので各種機器類の洗浄労力を最小限に抑えること
ができ、この点においても工業上非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】着色無機充填剤中の粉末状固体着色剤の分散状
態を評価するため、あるいは成形体の色むらを評価する
ため測定点を説明するための図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 健太郎 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機充填剤に対し粉末状固体着色剤が均
    一に混合分散されてなる着色無機充填剤。
  2. 【請求項2】 レーザ光散乱強度パターンの有意水準が
    5%以内である請求項1記載の着色無機充填剤。
  3. 【請求項3】 嵩密度が0.1〜0.7g/mlの範囲内
    であり、アマニ油に対する吸油量が60〜200ml/
    100gの範囲内であり、メチルメタクリレートに対す
    る膨潤度が16倍以上である非架橋重合体粉末(A)
    と、メチルメタクリレート又は(メタ)アクリル系単量
    体混合物(a)、及び、ポリメチルメタクリレート又は
    (メタ)アクリル系共重合体(b)からなる(メタ)ア
    クリル系シラップ(B)と、請求項1記載の着色無機充
    填剤(C)とを混合することを特徴とするプレミックス
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 嵩密度が0.1〜0.7g/mlの範囲内
    であり、アマニ油に対する吸油量が60〜200ml/
    100gの範囲内であり、メチルメタクリレートに対す
    る膨潤度が16倍以上である非架橋重合体粉末(A)
    と、メチルメタクリレート又は(メタ)アクリル系単量
    体混合物(a)、及び、ポリメチルメタクリレート又は
    (メタ)アクリル系共重合体(b)からなるアクリル系
    シラップ(B)と、請求項1記載の着色無機充填剤
    (C)と、無機充填剤含有樹脂粒子(D)とを混合する
    ことを特徴とするプレミックスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115895041A (zh) * 2022-11-18 2023-04-04 广东热浪新材料科技有限公司 高强度亚克力实体面材的制备方法

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CN115895041A (zh) * 2022-11-18 2023-04-04 广东热浪新材料科技有限公司 高强度亚克力实体面材的制备方法

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