JPH11198A - 標的塩基配列の検出方法 - Google Patents

標的塩基配列の検出方法

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JPH11198A
JPH11198A JP9167991A JP16799197A JPH11198A JP H11198 A JPH11198 A JP H11198A JP 9167991 A JP9167991 A JP 9167991A JP 16799197 A JP16799197 A JP 16799197A JP H11198 A JPH11198 A JP H11198A
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JP
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rna
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JP9167991A
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Inventor
Makoto Fujitani
誠 藤谷
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Eiken Chemical Co Ltd
Original Assignee
Eiken Chemical Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11198A publication Critical patent/JPH11198A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、新しい標的塩基配列の検出方
法を提供することである。 【構成】RNAポリメラーゼのプロモーターとリボザイ
ムを構成する塩基配列の鋳型部分を含むシグナルプロー
ブを用い、標的塩基配列が存在する時に転写生成物とし
てリボザイムを特異的に生成させ、このリボザイムの触
媒活性に基づいて標的塩基配列を検出する。 【効果】・簡単な反応原理でシグナルの増幅効果を期待
できる ・増幅生成物の検出が容易 ・コンタミネーションの影響を受けにくい ・感度と定量性に優れる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝的疾患や感染症の
診断に有用な試料中に存在する特定の塩基配列(以下、
標的塩基配列という)の新規な検出技術に関する。
【0002】
【従来の技術】核酸塩基配列の相補性に基づく分析方法
は、遺伝的な特徴を直接的に分析することが可能であ
る。そのため、遺伝的疾患、癌化、微生物の識別等には
非常に有力な手段である。また遺伝子そのものを検出対
象とするために、例えば培養のような時間と手間のかか
る操作を省略できる場合もある。
【0003】とはいえ検体中に存在する目的の遺伝子量
が少ない場合の検出は一般に容易ではなく、標的遺伝子
そのものを、あるいは検出シグナル等を増幅することが
必要となる。標的遺伝子を増幅する方法の一つとしてP
CR(Polymerase Chain Reaction)法[ 1]が知られてい
る。PCR法は、in vitroにおける核酸の増幅技術とし
て最も一般的な方法である。PCR法においては、実施
のために特別な温度調節装置が必要なこと;増幅反応が
指数的に進むことから定量性に問題があること;試料や
反応液が外部からの汚染を受け、誤って混入した核酸が
鋳型として機能してしまうコンタミネーションの影響を
受け易いこと等の問題点が指摘されている。特に増幅生
成物の他の反応系への混入は、それが新たな鋳型として
機能するためPCR法に固有の大きな問題点と言える。
【0004】検出対象配列を鋳型として相補的な配列を
持つDNAを増幅する方法には、SDA法(Strand Disp
lacement Amplification)[ 2][ 3]やLCR法(Ligase C
hainReaction)[ 4]と呼ばれる方法も知られている。S
DA法は3’側のプライマーを増幅起点として相補鎖合
成を行うときに5’側に2本鎖の領域が有るとその2本
鎖を置換しながら相補鎖の合成を行う特殊なDNAポリ
メラーゼを利用する方法である。5’側の2本鎖部分が
新たに合成された相補鎖によって置換(displacement)さ
れることからSDA法と呼ばれている。一方LCR法
は、検出対象となる配列上において隣接する2つのプロ
ーブをハイブリダイズさせ、リガーゼによって両者を連
結する反応が基本原理になっている。標的塩基配列が存
在しない場合には2つのプローブを連結することはでき
ないので、連結生成物の存在は標的塩基配列の指標とな
る。
【0005】これらのDNA増幅反応においては、最終
的に得られる生成物が単なるDNAなので直接的に確認
することが難しい。一般的には予測される長さの増幅生
成物の有無を電気泳動によって確認しなければならな
い。使用するプライマーや合成基質であるデオキシヌク
レオチドを標識しておけば電気泳動によらない検出系も
実現できるが、増幅生成物と反応にあずからなかった標
識成分との分離を完全に行わなければ特異性や感度が期
待できなくなってしまう。たとえば蛍光物質で標識した
プライマーを使ってPCRを行う時、増幅生成物と未反
応の蛍光標識プライマーとの分離が不完全であればバッ
クグランドの上昇により特異性が犠牲になるし、あるい
は増幅生成物の回収率が低い時には感度の低下につなが
ってしまう。エネルギー転移を利用した均一系の反応で
増幅生成物が検出できれば、未反応成分との分離は不要
である。しかし現在のところ、このような方法は原理的
には可能なものの、実際の検査現場では感度が不十分で
あったり、あるいは反応系の設計が難しい等の理由によ
り広く普及するには至っていない。
【0006】検出対象となる標的塩基配列に依存した増
幅生成物を与える方法の他に、標的塩基配列の存在によ
って特定の増幅反応がトリガーされる技術が知られてい
る。たとえばRNAポリメラーゼを利用し、プロモータ
ーに連結したシグナル配列の転写反応が標的塩基配列が
存在した時に開始するという反応原理[ 5]が公知であ
る。この方法では検出対象がどのような塩基配列を持っ
ていても常に同じ配列を持つシグナルが生成する。しか
し開示されたシグナル配列は単なるRNAであり、その
検出には32P標識したdUTPを基質とし電気泳動のよ
うな別の分析技術を利用する必要が有るという点では先
のDNAの増幅反応と同じような問題点を持っていた。
またシグナルRNAを生成する段階で転写による増幅は
期待できるものの、それを検出する段階ではなんら増幅
が行われないので感度の点で改善の余地は残されてい
る。RNAポリメラーゼは、DNAを鋳型として相補的
な配列を持つRNAを合成(転写;transcriptionと呼
ばれる)する酵素である。DNAポリメラーゼとは異な
り原則として2本鎖のDNAを鋳型として転写が行わ
れ、複製の開始点はプライマーではなくRNAポリメラ
ーゼ認識配列(プロモーター)である。したがって、転
写のためには常に一定のプロモーターに作動可能な形で
転写のための鋳型を与える必要が有り、DNAポリメラ
ーゼによる増幅反応とは違った工夫が求められる。反
面、DNAポリメラーゼでは必要とされる熱変性工程が
必ずしも必須ではないので転写反応そのものは容易に実
施することができる。また反応生成物そのものは他の反
応系に混入したとしても新たな転写反応を導くことがで
きないので、PCR法ほどコンタミネーションの心配が
無いことも利点の一つである。
【0007】このようなRNAポリメラーゼの特徴を生
かして、免疫学的な分析の標識系に応用した報告[ 6]が
ある。この報告では、プロモーターにリボザイムの鋳型
を連結したものを標識としている。ELISAにおける
酵素標識の代わりにリボザイムの鋳型を使い、最終的に
RNAポリメラーゼで転写されて生成するリボザイムの
活性を測定することによって定量を行う。この方法は単
に標識酵素を転写のための鋳型で置換しただけなので、
公知の不均一系の免疫学的な分析方法と同様に未反応成
分との分離が必要である。遺伝子の分析においても酵素
標識は公知であるが、この方法をそのまま適用したので
は未反応成分との分離工程を要求するので簡便な方法は
実現できない。また未反応成分の分離工程を含む場合に
は特異性や感度の犠牲を伴うケースが想定されることは
先に述べたとおりである。この他に同様の原理に基づい
て、リボザイムではなく検出に有利な特殊な塩基配列を
備えたRNAを転写し免疫分析を行う技術[ 7]も知られ
ている。しかし転写生成物と検出用プローブとのハイブ
リダイズや未反応成分との分離工程を付加的に要求する
ので、全体としての作業工程が増え、現実的な分析技術
とは言いにくい。
【0008】RNAポリメラーゼを使った遺伝子の増幅
技術としては、NASBA(NucleicAcid Based sequenc
e Amplification)[ 8][ 9]が公知である。NASBA
は、RNAを標的塩基配列としてcDNAを合成し、更
にRNAポリメラーゼのプロモーターとcDNAに相補
的な配列を持つプライマーとを連結した第2プライマー
を組み合わせることによって、標的塩基配列に対応する
RNAの増幅生成物を得る方法である。RNAポリメラ
ーゼを利用するので温度サイクルを伴わずに標的塩基配
列の増幅が可能となるが、生成するRNAは標的の配列
を反映しているので他の反応系に混入すれば新たなcD
NAの鋳型として機能する。つまり、PCRと同じよう
にコンタミネーションに対する注意が必要である。同様
に転写反応に基づく反応原理を利用した遺伝子の増幅技
術には、3SR法(Self Sustained Sequence Replicati
on)[10][11][12]等が知られている。3SR法では、標
的RNAの標的塩基配列に相補的なcDNAの合成とプ
ロモーターの導入、それに続くRNAポリメラーゼによ
る転写を繰り返し、最終的に標的RNAに相補的なDN
Aを増幅する。プロモーターを含むDNA増幅生成物
は、単独でも他の反応系に混入すれば鋳型として作用し
偽陽性結果につながる。
【0009】RNAポリメラーゼを利用した遺伝子の増
幅方法には、この他にも次のようなものが知られてい
る。いずれもRNAポリメラーゼのプロモーターと標的
にハイブリダイズするプライマーとの結合物を利用する
点では共通している。基本的な組み合わせとして、この
種のプライマーと、標的塩基配列に相補的な第2のプラ
イマーを使った方法[13]が公知である。第1のプライマ
ーによる増幅生成物に対して第2のプライマーをもとに
相補鎖を合成すればプロモーター部分が2本鎖となり、
RNAポリメラーゼによる標的遺伝子を鋳型とした転写
反応が成立する。同様の原理に基づく標的塩基配列の増
幅方法は他にも報告[14][15]されている。RNAポリメ
ラーゼに基づく遺伝子増幅方法には、ライゲーション反
応を組み合わせた方法[16]も公知である。この方法で
は、末端に2本鎖のプロモーター領域を持つプローブを
標的塩基配列上で隣接する領域にハイブリダイズする第
2のプローブと組み合わせて用い、両者をライゲーショ
ンした後にプロモーターに続く領域を転写している。
【0010】これらの先行技術で利用されたRNAポリ
メラーゼはDNAを鋳型としてRNAを転写する活性を
持つものである。これに対してRNA依存型のRNAポ
リメラーゼを遺伝子の増幅反応に利用する技術が存在す
る。RNA依存型のRNAポリメラーゼの代表的なも
に、Qβファージに由来するQβレプリカーゼ[17]があ
る。たとえばプロモーターと標的に対するプライマーと
の結合物を利用したQβレプリカーゼによる基本的な反
応原理[18][19]が開示されている。また標的塩基配列と
のハイブリダイズによってリボザイム構造が生じ、自己
を切断することによってQβレプリカーゼの増幅反応の
ための鋳型を生じる反応を検出系に利用した報告[20]も
ある。あるいは先に引用したDNA依存型のRNAポリ
メラーゼによる転写生成物であるRNAを鋳型として更
にQβレプリカーゼによる転写を行う検出方法[21][22]
[23]も試みられている。Qβリプリカーゼを利用する方
法は、増幅させる配列をレプリカーゼが認識する配列内
に挿入する必要があり、その立体構造上の制約から挿入
の位置や配列が制限される等の問題がある。
【0011】これらの方法では塩基配列を増幅している
のに対して、以下に述べるような分解産物を検出するシ
グナル増幅法も考案されている。例えば、標的核酸にオ
リゴヌクレオチドプローブDNAをハイブリダイズさせ
た後、制限酵素処理し、切断されたプローブ断片を検出
するシグナル増幅法[24]が知られている。2本鎖DNA
を特異的に切断するλエクソヌクレアーゼを用いたサイ
クリングアッセイ法[25]も開発されている。プライマー
を起点とする相補鎖の合成反応とともに5’→3’エク
ソヌクレアーゼを作用させてプライマーを逆方向から分
解する方法[26]が公知である。出願人らは、分解産物を
利用した分析技術として、特定の反応促進剤をエクソヌ
クレアーゼIIIとともに用いる塩基配列検出方法[27]を
開発した。これらの分析技術では、標的塩基配列の配列
が制限されたり、特殊な構造のプローブを用意しなけれ
ばならないといった問題点があった。また分解産物を指
標とする分析方法では、短時間で高い感度を達成できな
いことがある。
【0012】一方、触媒活性を持つRNAを遺伝子の検
出に応用しようとする試みも知られている。たとえばテ
トラヒメナからはリガーゼ活性を持つリボザイムが分離
されているが、このリボザイムの配列をプローブと組み
合わせて遺伝子の検出が行われている[28]。基本原理は
先に引用したLCR法[ 4]と同様であるが、ライゲーシ
ョンをプローブ自身の持つリボザイム配列によって実現
している点が特徴である。また、ヌクレアーゼ活性を持
つハンマーヘッド型リボザイムについても遺伝子の検出
への応用が知られている。たとえば、標的であるRNA
がリボザイムの一部を構成するように設定し、標的塩基
配列の存在によって基質として用意した標識ヌクレオチ
ドが切断され、生成する切断断片を検出する方法[29]が
公知である。この方法では、検出されるシグナルの大き
さがリボザイムの触媒活性のターンオーバーに依存して
いるので、現在知られているリボザイムではそれほど大
きな増幅効果は期待できない可能性がある。またリボザ
イムに組みこむ標的塩基配列と相補的な配列には制限が
ある。この配列がリボザイムの触媒活性に影響を与えな
いようにしなければならないためである。したがって特
異性の面でも場合により問題を生じる可能性が予想され
る。また標的塩基配列を鋳型としてRNAポリメラーゼ
による転写を行なった報告の中には、転写生成物をリボ
ザイムでセルフスプライシングする態様を記載したもの
も存在する[22]。この報告におけるリボザイムは、Qβ
レプリカーゼによるRNA依存性の転写反応のためにR
NAの長さを調整することを目的としてリボザイムを応
用しているもので、リボザイムそのものをシグナルとす
るものではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡単な反応
原理でシグナルの増幅効果を期待でき、しかも増幅生成
物の検出が容易で、コンタミネーションの影響を受けに
くい新たな標的配列の検出原理の提案を課題としてい
る。また本発明は、これらの目的を達成するために検出
対象となる塩基配列の制限のない、汎用性に優れる検出
技術の提供をも課題とするものである。更に、検出系の
選択によっては高い感度と定量性を得ることが可能な塩
基配列の検出技術の提供をも課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定の構造を
持つシグナルプローブを利用し、このシグナルプローブ
に基づく触媒活性を持つRNAの転写反応が標的塩基配
列の存在によって特異的に開始されるようにすることで
ポリヌクレオチドの検出を可能としたものである。すな
わち本発明は、検出すべき特定の配列を持つ標的塩基配
列の検出方法であって、RNAポリメラーゼのプロモー
ター配列とこのプロモーター配列に鋳型として機能する
ように連結された触媒活性を持つRNAをコードする塩
基配列とで構成されるシグナルプローブを用い、検出対
象である前記特定の塩基配列を持つポリヌクレオチドの
存在によって前記シグナルプローブから前記触媒活性を
持つRNAをコードする塩基配列を鋳型とするRNA転
写反応を開始させ、生成する転写生成物である触媒活性
を持つRNAを指標とする前記標的塩基配列の検出方法
である。
【0015】本発明に用いるシグナルプローブとは、構
造的には少なくとも次の2つの要素から構成される。以
下にこれらの要素について具体的に説明する。 ・RNAポリメラーゼのプロモーター配列 ・このプロモーター配列に鋳型として機能するように連
結された触媒活性を持つRNAをコードする塩基配列
【0016】プロモーター:プロモーターはRNAポリ
メラーゼによって認識されDNAを鋳型とするRNAの
転写反応をもたらす各RNAポリメラーゼの種類に固有
の配列である。天然のプロモーターは長い配列で存在し
ているが、in vitroで転写反応を行わせるために最低限
必要な配列はその一部であることが明らかにされてい
る。たとえば大腸菌ファージであるT7ファージのRN
Aポリメラーゼ(T7RNAポリメラーゼ)は、配列1
に示すわずか17bpの2本鎖DNAを認識しその下流に
連結されたDNAを鋳型としてRNAへの転写を行う。
またT7RNAポリメラーゼは、生体内において通常環
状のDNAに依存して必要なRNAを転写しているが、
直鎖オリゴヌクレオチドを鋳型とする転写がin vitroで
可能なことが知られている。このとき、配列1に示すプ
ロモーターに相当する配列は2本鎖でなければならない
が、その下流に連結した鋳型となる配列部分は1本鎖で
あっても転写は可能である。T7RNAポリメラーゼに
よる転写効率は高く、好適な反応条件を与えれば1分子
の鋳型から数百倍から1000倍以上の転写生成物を生
じる[30]。本発明ではT7RNAポリメラーゼの他にT
3RNAポリメラーゼやSP6RNAポリメラーゼのよ
うなRNAポリメラーゼを用いてもよい。これらのRN
Aポリメラーゼが認識するプロモーターは、公知であ
る。
【0017】触媒活性を持つRNAをコードする塩基配
列:触媒活性を持つRNAをコードする塩基配列は、前
記プロモーターの下流に機能的に連結され、触媒活性を
持つRNAの鋳型となるDNA配列である。機能的な連
結とは、組み合わせるRNAポリメラーゼによってその
配列を鋳型とする転写反応が効率的に起きることを意味
している。RNAには遺伝子情報の伝達を担うのみなら
ず、触媒活性を持つものの存在が知られている。触媒活
性を持つRNAはリボザイムとも呼ばれている。リボザ
イムには、RNA分子を配列特異的に切断するエンドヌ
クレアーゼ活性を持つもの、隣接するオリゴヌクレオチ
ドを連結するリガーゼ活性を持つもの等が知られてい
る。本発明においては、生成するリボザイムの触媒活性
を指標として遺伝子の検出につなげることから、検出の
容易な活性を持つリボザイムを選択するのが有利であ
る。具体的には、RNAを配列特異的に切断するリボザ
イムが好ましい。歴史的には自己切断(self splicing)
を行うRNA分子の発見[33]にはじまり、これまでに大
型リボザイムと小型リボザイムに大別される多くのリボ
ザイムが確認されている。またこれらのリボザイムの塩
基配列をもとに安定性や触媒活性を増強したミュータン
トに関する報告も多い。これらの公知のリボザイムの中
でも、本発明では特に小型リボザイムに属するものが望
ましい。
【0018】小型リボザイムは、触媒活性にすぐれ、転
写によって容易に生成できるためである。小型リボザイ
ムと呼ばれるものには、その2次構造にしたがってハン
マーヘッド型、ヘアピン型、あるいはデルタ型等の分類
がある。中でもハンマーヘッド型のリボザイムは、早く
から発見されたことも有って情報が多いため特に好適な
リボザイムである。リボザイムの触媒活性は、自己切断
に基づく分子内反応として報告されたが、その後分子間
の反応を触媒するものの存在も知られるようになった。
すなわち一般的な酵素反応と同じように、基質(RN
A)を酵素(リボザイム)が切断する反応形態である。
本発明では自己切断タイプのものよりも分子間反応を触
媒しうるものが望ましい。1分子のリボザイムが複数分
子に対して作用するためにシグナルの増幅効果を期待で
きるためである。本発明に利用することができるハンマ
ーヘッド型リボザイムとしては、たとえば次のような自
然に存在するものを示すことができるが、触媒活性を維
持する限りその配列や長さは任意であってよい。また、
触媒活性を阻害しない範囲で天然の塩基に代えて人工的
な塩基を取りこませた誘導体であってもよい。 テトラヒメナリボザイム イモリのサテライトリボザイム δ肝炎ウイルスのアクスヘッドリボザイム 植物ウイロイド由来のハンマーヘッドリボザイム
【0019】これらの天然のリボザイムの他に、わずか
24塩基で触媒活性部位を形成する人工的なリボザイム
[34]が報告されている。このリボザイムは塩基配列5'-C
UGAUGAGUCCGUGAGGACGAAAC-3'(配列3)を持つ。この触
媒活性を支える配列に、基質となるRNAとハイブリダ
イズするため塩基配列(以下基質認識配列と呼ぶ)を
5’側と3’側に数塩基づつ付加したものが本発明のリ
ボザイムとして有用である。基質認識配列は、触媒活性
に影響を与えないので基質の塩基配列に合わせて任意に
設定することができる。ただし、温度サイクルを行なわ
ないでリボザイムによる触媒反応のターンオーバーを高
く維持するには認識配列はあまり長くしない方が望まし
い。不必要に認識配列が長い場合には切断された基質R
NAがリボザイムから離れにくくなり、触媒反応生成物
が蓄積しなくなってしまうためである。
【0020】この他にも少ない構成塩基数で触媒活性を
もたらすリボザイムが知られている。たとえばレッドザ
イム(leadzyme)と呼ばれるリボザイムには、12塩基
(5'-CUGGGAGUCC-3')という構成塩基で10塩基の基質R
NA(5'-GGACCGAGCCAG-3')を部位特異的に切断するもの
もある[31]。あるいはミニザイムと呼ばれるリボザイム
では、十数塩基で触媒活性を示すもの[32]が報告されて
いる。更にDNAに対する切断活性を備えたリボザイム
も構築されている。特にランダムな組み換えを繰りかえ
すことによってミューテーションを入れて切断活性を高
めた変異体[35]は、本発明において好適なリボザイムと
いえる。この場合も同じようにリボザイムをコードする
相補配列を前記プロモーターに連結する。
【0021】ところでここで例示したリボザイムのう
ち、δ肝炎ウイルスに由来するリボザイム2つのサブド
メインが会合することで触媒活性を示すようになる[3
6]。本発明においてこのようなリボザイムを応用するた
めには、2つの異なるサブドメインを与える異なったシ
グナルプローブを用意する。言い換えれば、各サブドメ
インに対応する違う配列を持つシグナル生成アンチセン
スで構成されたシグナルプローブを用いるのである。こ
のとき標的塩基配列に相補的な部分とは、同じ配列であ
っても良いし、あるいは異なる配列であってもよい。異
なる配列を用いる時には、検出すべき遺伝子の違う領域
に相補的な遺伝子、あるいは同時に検出することに意味
があるが別々の遺伝子等の組み合わせから選択すること
ができる。前者の場合には特異性の向上が期待できる
し、後者の場合には別々の遺伝子の同時検出を実現でき
る。
【0022】これらの小型リボザイムの他、大型リボザ
イムに分類されるRNAsePと呼ばれるものも本発明
に利用することができる。特に好熱性細菌であるThermu
s aquatics等に由来する耐熱性のRNAseP[37]は、
触媒反応を高い温度のもとで行なうことができるのでタ
ーンオーバーを稼ぎやすい。
【0023】本発明においてリボザイムを生成するアン
チセンスとして、リボザイムをセルフプロセッシングの
ための切断部位を挟んで連結した構造を持たせることに
よって、より多くのリボザイムの転写が可能となる。こ
のような転写システムは、より効率的にリボザイムを転
写できる系としてin vivo転写系のために提案された方
法[38]であるが、in vitro転写系である本発明において
も応用することができる。
【0024】本発明においては前記プロモーター配列を
認識するRNAポリメラーゼにより、標的塩基配列の存
在下で特異的に転写反応を開始(トリガー)させなけれ
ばならない。そのための構成として、DNAポリメラー
ゼとの併用が有効である。たとえばシグナルプローブと
して5’−[リボザイムのアンチセンス/1本鎖]−
[プロモーター/1本鎖]−[標的塩基配列に相補的な
配列/1本鎖]−3’という3つの領域からなるオリゴ
ヌクレオチド(図1にsignal probeとして示した)を用
意する。一方、分析対象であるDNAは加熱変性などの
操作によって1本鎖としておく。両者を混合すれば標的
塩基配列に相補的な領域(図1にcomplimentary sequen
ceとして示した)が標的にハイブリダイズし第1プライ
マーとして機能して、DNAポリメラーゼの作用により
5’→3’方向に相補鎖の合成が行われる。得られた2
本鎖DNAを変性して1本鎖とし、合成された相補鎖に
対して逆方向に相補鎖合成するために第2プライマーを
ハイブリダイズさせ、再び相補鎖合成する。このときに
合成されるのは前記シグナルプローブの標的塩基配列に
相補的な配列を通りこしてプロモーターに至る全領域に
相補的な配列である。こうして完成する2本鎖は、プロ
モーター(2本鎖)にリボザイムのアンチセンスが連結
した状態にあるので、RNAポリメラーゼを作用させれ
ばリボザイムの転写が開始される。なお更にシグナルを
増幅するために、同じシグナルプローブと第2プライマ
ーとを使って変性と相補鎖合成を繰り返せば、指数的に
RNAポリメラーゼのための鋳型を増幅することができ
る。このときの増幅工程は、PCR法に他ならない。
【0025】前記シグナルプローブを構成する標的塩基
配列に相補的な配列は、塩基数で少なくとも6以上、好
ましくは10−50、特に好ましくは15−30程度と
する。6未満では通常の条件ではハイブリダイズしにく
いばかりでなく、確率的にも非特異的な反応につながる
可能性が増す。一方必要以上に長いプライマーを用いる
場合はプライマー間、あるいはプライマー内の水素結合
による2本鎖が形成されやすくなり非特異的な反応が起
こりやすくなる。
【0026】なお本発明に使用し得るDNAポリメラー
ゼは特に限定されないが、その中にはDNAポリメラー
ゼIのように弱いながら2本鎖DNAに対する5’→
3’エクソヌクレアーゼ活性を有するものも存在する。
この種の酵素をDNAポリメラーゼとして用いる時には
ハイブリダイズしたシグナルプローブが5’側からの分
解を受けるので5’側をヌクレアーゼ耐性としておくと
よい。なお、同じDNAポリメラーゼでもクレノウフラ
グメントやPhi29DNAポリメラーゼは5’→3エ
クソヌクレアーゼ活性を有しないので好ましい。以上の
ような反応原理は、PCR法を応用してRNAポリメラ
ーゼのための鋳型を生成していると言うことができる。
これに対して、まったく同じ構造のシグナルプローブを
用いてSDA法を利用した鋳型の生成も考えられる。
【0027】SDA法を本発明に応用する場合には、前
記シグナルプローブ、その相補鎖合成に必要な第2プラ
イマーに加えて、鎖置換用の第3のプライマーが要求さ
れる。すなわちシグナルプローブを起点とする1回目の
DNA合成に続いて、シグナルプローブの更に5’側で
標的塩基配列に対してハイブリダイズすることができる
第3のプローブから相補鎖合成をスタートさせる。この
とき利用するDNAポリメラーゼは、2本鎖を置換しな
がら相補鎖を合成する特殊な活性を持つものとする。こ
の種のDNAポリメラーゼには大腸菌由来のDNAポリ
メラーゼIクレノウフラグメント、バクテリオファージ
T5DNAポリメラーゼ、バクテリオファージT7DN
Aポリメラーゼ等が知られている。
【0028】SDA法の応用には他のバリエーションも
考えられる(図2)。第2プライマーの5’側に特殊な
制限酵素の認識配列を付加しておくのである。シグナル
プローブを起点として合成された相補鎖に対して第2プ
ライマーを起点として更に相補鎖を合成して2本鎖とす
る。この段階では第2プライマーに付加した制限酵素認
識配列は1本鎖のままである。得られた2本鎖を変性し
て1本鎖とし、再びシグナルプローブと第2プライマー
のハイブリダイズ→相補鎖合成を行なう。生成した2本
鎖は、第2プライマーの5’側に付加した制限酵素認識
配列が2本鎖となっている。ここで第2プライマーの制
限酵素認識配列に作用する制限酵素を与えればニックが
入り、このニックを起点として2本鎖を置換しながら相
補鎖を合成する反応が開始する。置換された方の鎖の
3’側にはシグナルプローブに相補的な配列が存在して
いるので、ここにシグナルプローブがハイブリダイズす
ればRNAポリメラーゼの転写反応が開始するし、また
シグナルプローブの3’末端は第1プライマーとして機
能するので再び相補鎖合成の起点にもなる。
【0029】類似の反応系をRNAを標的とした場合に
応用することが可能である(図3)。すなわち先に述べ
たシグナルプローブの構成、すなわち5’−[リボザイ
ムのアンチセンス/1本鎖]−[プロモーター/1本
鎖]−[標的塩基配列に相補的な配列/1本鎖]−3’
という3つの領域からなるオリゴヌクレオチドのうち、
[標的塩基配列に相補的な配列/1本鎖]としてcDN
A合成のためのプライマーに相当する配列を利用するの
である。この場合、逆転写酵素(以下RTと省略するこ
ともある)との組み合わせによってまずRNAに相補的
な塩基配列を持つDNAが合成される。次いで鋳型とな
ったRNAを新たに合成されたDNAから分離して1本
鎖とする。このとき、RNaseHのようなRNA−D
NAヘテロ2重鎖のRNAのみを分解する作用を持つ酵
素を利用すると、加熱操作無しで1本鎖のDNAを得る
ことができる。更にその相補鎖合成のための第2プライ
マーを用いて2本鎖のDNAとする。こうして生成した
2本鎖のDNAは、その3’側に2本鎖のプロモーター
に続くRNAのアンチセンスを備えた構造を持ってお
り、RNAポリメラーゼの作用によってリボザイムを生
じる転写反応が可能となる。したがってRNAを分析対
象とするときには、一連の反応を複雑な温度制御無しで
行うことが可能である。
【0030】さてこのRNAを分析対象とする態様にお
いては、第2プライマーをモディファイすることにより
PCR法と同様にRNAポリメラーゼのための鋳型を増
幅することが可能である。たとえば第2プライマーの
5’側にRNAポリメラーゼのプロモーターを付加して
おき、これをシグナルプローブと組み合わせてPCR法
に基づいて相補鎖合成を実施する。少なくとも2回の相
補鎖合成サイクルを行なえば、シグナルプローブ部分の
プロモーターのみならず、第2プライマーの5’側に付
加したプロモーター部分も2本鎖となり標的塩基配列そ
のものがRNAポリメラーゼの作用により転写される。
この反応により生成するRNAはシグナルプローブのた
めの新たな鋳型となる。なおこの増幅反応は先に説明し
たNASBAに他ならない。更にこの態様の応用とし
て、第2プライマーにリボザイムの塩基配列に対応する
塩基配列を連結しておくことも可能である。ただし単に
[プロモーター−リボザイム−相補配列]という順序で
連結すると、リボザイムに続いて標的塩基配列部分も転
写されてしまう。したがってリボザイムに対応する塩基
配列と標的塩基配列に相補的な配列の間に転写終了シグ
ナルを介在させて、リボザイムのみが転写されるように
しておくと良い。転写終了シグナルとしては、TTTTTTと
いったようなTの連続したターミネーター配列を挙げる
ことができる。転写終了シグナルにかえて、リボザイム
によって自己切断される塩基配列を介在させておくこと
も可能である。この応用例においては、標的塩基配列1
分子当たり5’側と3’側に2つの鋳型を設けることが
できるので、感度の点で有利である。
【0031】以上の態様では、常にシグナルプローブに
対してプライマーとして機能する第2のオリゴヌクレオ
チドを組み合わせる必要があった。これに対してシグナ
ルプローブのみで標的塩基配列の存在下リボザイムを生
成させることも可能である。すなわち標的塩基配列とし
て3’末端領域を選択し、この3’末端から相補鎖合成
を開始させるようにするのである。シグナルプローブが
標的塩基配列にハイブリダイズしたとき、標的塩基配列
はシグナルプローブを鋳型とする相補鎖合成のためのプ
ライマーとして機能する。DNAポリメラーゼの作用に
よってシグナルプローブは2本鎖となり、RNAポリメ
ラーゼによるリボザイムの転写がスタートする。この方
法では標的塩基配列として3’末端しか選択できない
が、反面シグナルプローブのみを用意すれば良いので試
薬構成を単純化できる。標的塩基配列となる3’末端部
分は、検出対象となる2本鎖DNAに適当な制限酵素を
作用させて切断することで供給することも可能である。
【0032】本発明に用いるシグナルプローブは、通常
のDNA合成方法によって容易に合成することができ
る。もしもプロモーターやリボザイムをコードする配列
が長く通常の合成方法によって十分な収量を期待しにく
いようであれば、個別に合成した後に両者を連結する手
法をとってもよい。プロモーターとシグナル生成アンチ
センスとは、本発明のシグナルプローブの必須部分であ
り、一般的な実施態様においては更に標的塩基配列に対
する相補配列(complimentary sequence)を連結した状態
で用いられる。
【0033】以上のような反応によって生成したリボザ
イムは、その触媒活性に基づいて検出することができ
る。リボザイムは特定の塩基配列を認識して切断する。
したがって基質として与えるRNAは、シグナルプロー
ブから生成するリボザイムによって切断される塩基配列
を備えたRNAを用いる。リボザイムの触媒作用によっ
て切断された基質RNAは、一般的な検出方法では切断
生成物を電気泳動によって確認している。本発明におい
ても一般的な電気泳動による確認方法を利用することは
できる。しかし電気泳動による確認方法は大量の試料を
迅速に処理するときには不向きである。より望ましい態
様では、あらかじめ標識したRNAを基質として用い、
リボザイムで切断された時に特異的なシグナルの変化を
もたらすようにすることができる。具体的には、分子内
エネルギー転移を起こす蛍光ドナーと消光アクセプター
の組み合わせを標識として利用することができる。エネ
ルギー転移は、2つの物質の間の距離に依存してエネル
ギーの転移が起きる現象である。この組み合わせを標識
としてリボザイムの活性検出に応用すれば、リボザイム
によってRNAが切断された時に2つの物質間の距離が
大きくなりエネルギー転移が起きなくなる。蛍光ドナー
−消光アクセプターの組み合わせであれば、エネルギー
転移が起こらず結果として蛍光ドナー本来の蛍光を観察
できるようになる。
【0034】蛍光ドナーには、フルオレセイン、N−
(2−アミノペンチル)−3−アミノ−2,7−ジスル
ホ−1,8−ナフタルイミド塩(ルシファーイエロ
ー)、5−((2−アミノエチル)アミノ)ナフタレン
−1−スルホン酸(EDANS)、クマリン、あるいは
これら化合物の誘導体を例示できる。一方これらの蛍光
ドナーと組み合わせることができる消光アクセプターに
は、2,4−ジニトロフェニル(DNP)、4−(4−
ジメチルアミノフェニル)アゾベンゼンスルホン酸(D
ABSYL)、あるいは4−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)アゾ安息香酸のような化合物が知られている。こ
れらの化合物の組み合わせでは、両者の距離が100オ
ングストロームを越えるとほとんどエネルギー転移が起
きない、すなわち蛍光ドナー本来の蛍光を発するように
なる。この組み合わせを利用すれば、これらの化合物で
標識されたRNA基質が切断されることによって蛍光を
発するようにすることができるのである。
【0035】蛍光ドナーや消光アクセプターのような標
識化合物は、アミノ基、チオール基、あるいはカルボキ
シル基のような官能基を介してRNAと結合させること
ができる。これらの官能基をRNAの3’末端や5’末
端に結合させる技術は公知である。プロテアーゼのよう
な加水分解酵素では、エネルギー転移に基づく酵素活性
の検出技術が公知[39][40]である。この反応原理はリボ
ザイムの触媒活性の検出にそのまま応用することが可能
である。
【0036】2種の標識物質の距離の変化に応じてシグ
ナルが変化する組み合わせには、フルオレセイン系発蛍
光団とローダミン系発蛍光団というペアも知られてい
る。この組み合わせによって分子内共鳴エネルギー転移
(以下RETと省略する)と呼ばれる現象がもたらされ
る[41]。すなわち、494nmで励起したときローダミン
Xに由来する610nmの蛍光スペクトル強度がフルオレ
セインの蛍光スペクトル強度に比べて数倍に増強され
る。この現象は、フルオレセインからローダミンXへ蛍
光エネルギーが転移するために起きる。両者の距離が一
定以上に離れると、蛍光スペクトル強度の増強効果は失
われる。この原理に基づいてヌクレオチドの分解を検出
する場合、前記ペアを構成する蛍光団が5−18塩基の
距離にあればRETによるシグナルが観察される。他方
リボザイムの触媒活性によってヌクレオチドが切断され
ると、ペアの間の距離は大きく離れることになるのでR
ETによるシグナルは観察されず各蛍光団自身のシグナ
ルが観察されるのみである。
【0037】リボザイムの触媒活性の確認に必要な基質
RNAは、予め鋳型となるDNAをもとにRNAポリメ
ラーゼによって転写させた生成物を精製して用いると良
い。リン酸トリエステル法等公知の方法に基づいて化学
的に合成されたものを用いてもよいが、RNAの化学合
成はDNAのそれと比較して操作が繁雑なので酵素的に
合成する方が有利である。基質を生成するためのDNA
は、プロモーターとして機能する塩基配列を備えた2本
鎖部分の下流に基質となる塩基配列に対応する塩基配列
を含む任意の配列を連結した構造とする。この鋳型に対
して適当なRNAポリメラーゼを作用させれば基質とな
る塩基配列を持つRNAを容易に得ることができる。
【0038】さて、基質を調製するためのRNAポリメ
ラーゼによる反応は、シグナルプローブに基づいてリボ
ザイムを生じる酵素反応と同じである。したがって本発
明では、基質を予め用意するのではなくリボザイムと同
時に生成させる態様を選択することができる。すなわ
ち、RNAポリメラーゼによってリボザイムを生成する
ときに、基質となるRNAを生じる鋳型DNAを加える
のである。1分子のリボザイムが繰り返し基質RNAを
分解することができるように多量の基質を供給するに
は、鋳型DNAを大過剰で与えれば良い。
【0039】本発明の検出対象は、その塩基配列が既知
のDNAあるいはRNAである。本発明の検出対象は、
動物、植物、細菌、酵母、糸状菌、マイコプラズマ、リ
ケッチア、ウイルス他あらゆるものに由来するDNAや
RNAにおよぶ。またDNAとしては、ゲノミック核酸
はもちろん、RNAウイルスやmRNAから誘導された
cDNAを検出対象とすることも可能である。あるいは
RNAを直接検出対象として利用する態様を選択するこ
とも可能である。更に、これらのDNAやRNAを公知
の方法によって増幅した結果得ることができる増幅生成
物を検出対象とすることもできる。増幅生成物を本発明
の検出対象とするときには、本発明の増幅もかかるので
きわめて高い検出感度を期待できる。
【0040】なお実際に検体を分析するときには、検体
に含まれる検出対象以外のDNAの配列や、DNA合成
のプライマーとなりうる配列の存在が問題となることが
ある。また、DNAポリメラーゼやヌクレアーゼの活性
阻害物質、デオキシヌクレオシドトリリン酸も混入して
いる可能性もある。従って、本発明においては増幅反応
を行うためには可能な限り前記混入物を除去することが
好ましい。例えば、固相に結合した捕捉プローブ等を用
いて標的DNAを捕捉し、続いて洗浄により前記不純物
を除去し、その後に本発明を適用するとバックグランド
のない高感度の検出系が可能となる。このとき捕捉プロ
ーブを5’末端で固相と結合しておけば[42][43]、捕捉
プローブそのものをプライマーとして本実験の方法を適
用することも可能となる。
【0041】本発明による標的塩基配列の検出方法を実
施するために必要なシグナルプローブやRNAポリメラ
ーゼをはじめとする各種成分を組み合わせてキットとし
て供給することができる。本発明によるキットには、リ
ボザイムの触媒活性を検出するためのRNA基質、陽性
/陰性対象、そして各反応に好適な条件を与える緩衝液
等の付加的な構成要素を組み合わせると便利である。
【0042】
【発明の実施の態様】本発明の望ましい実施の態様を以
下に述べる。本発明では、標的塩基配列がDNA(cD
NAを含む)であるときと、RNAである場合の2つの
態様を示すことができる。いずれの場合であっても、特
に望ましいシグナルプローブは先に述べた5’−[リボ
ザイムのアンチセンス/1本鎖]−[プロモーター/1
本鎖]−[標的塩基配列に相補的な配列/1本鎖]−
3’という3つの領域からなるオリゴヌクレオチドであ
る。この構造のシグナルプローブは、標的塩基配列とし
て何を選択するかによって、そしてどのような酵素反応
と組み合わせるのかによってDNAに対してもRNAに
対しても応用することができる。いずれの態様であって
も標的塩基配列にハイブリダイズしたシグナルプローブ
をプライマーとして、相補鎖合成を行なう。DNAを標
的としたときには加熱による変性で、またRNAであれ
ばRNAseHで処理することにより合成された相補鎖
を1本鎖とし、その5’側から再び相補鎖合成を行なっ
て2本鎖とする。
【0043】たとえばM13ファージmp18を検出し
ようとする時、配列4に示す塩基配列を持つシグナルプ
ローブが利用できる。このシグナルプローブに第2プラ
イマーとして配列5に示した塩基配列を持つオリゴヌク
レオチドを組み合わせ、DNAポリメラーゼとT7RN
Aポリメラーゼによる酵素反応を行なえば本発明による
標的塩基配列の検出方法を行なうことができる。
【0044】このときのDNAポリメラーゼによる相補
鎖合成反応は、公知の条件で実施する。たとえば以下の
ような条件が一般に用いられている。まず相補鎖合成に
先だって、2本鎖DNAの1本鎖への変性等の必要な処
理を行なう。変性方法としては、通常公知の変性方法、
例えば加熱変性、アルカリ変性等を挙げることができ
る。通常は加熱変性(90℃−100℃で5分以上加
熱)が採用されている。続くハイブリダイズの条件は、
標的塩基配列とシグナルプローブとの組み合わせに基づ
いて決まるTmよりもわずかに低めの温度とすること
で、特異的なハイブリダイズが期待できる。その後の相
補鎖合成反応は、用いるDNAポリメラーゼに合わせて
条件を設定する。たとえばDNAポリメラーゼIのクレ
ノウ断片を用いる時、緩衝液には50mMのトリス−塩酸
緩衝液等を選び、pHは約7−9、20−55℃で反応
を行わせる。特に好ましい条件としては、pH7.5−
8.5、温度は30−45℃を示すことができる。DN
AポリメラーゼIのクレノウ断片は活性の発現にMgイ
オンを要求するので、反応液には10mMのMgCl2
加えておく。
【0045】シグナルプローブの使用量は、検出対象と
なる塩基配列に対して十分量となるように添加する。実
際には、平衡状態をハイブリダイズする方に傾けるため
に十分量のシグナルプローブを利用するのが好ましい。
検出対象となる標的塩基配列の量をあらかじめ予想する
ことは困難であるが、少なくとも希望する検出範囲の量
に対して等モルを越える量を、好ましくは5倍以上の過
剰量でシグナルプローブを用いることが高い感度を確保
するうえで好ましい条件となる。一般的な試料に本発明
を応用する場合、約0.1−1μMのシグナルプローブ
を反応液に加えるようにする。また反応液中にDNAポ
リメラーゼの安定化剤を添加することができる。安定化
剤としては、例えば牛血清アルブミン(BSA)、ジチ
オスレイトール(DTT)、β−メルカプトエタノール
等を挙げることができる。安定化剤の添加量は、BSA
は10−500μg/mL、DTTは1mM程度、β−メルカ
プトエタノールは10mM程度である。この条件で先に述
べた原理に基づいてリボザイムを転写するための鋳型が
生成する。
【0046】一方もしもRNAを検出対象とするときに
は、RNAを鋳型としてシグナルプローブを第1プライ
マーとして逆転写酵素によりcDNAを合成する。逆転
写酵素の反応を行なうには、たとえば次のような組成の
緩衝液を利用する.すなわち、50mMTris−塩酸緩
衝液(pH8.3)、6mMのMgCl2、40mMのKC
l、2mMのスペルミジン、および10mMのDTTを含む
緩衝液を例示できる。この緩衝液に検出対象RNAを含
む試料を加え、基質であるdXTPをそれぞれ0.5m
M、50単位のAMV逆転写酵素と混合して35−45
℃、30−60分間反応させる。RNAに相補的な配列
を持つ合成されたDNAを検出対象であるRNAから分
離して1本鎖とするためには、加熱操作の他にRNas
eHによる消化を利用することができる。RNaseH
は、逆転写酵素とともにcDNA合成反応開始時点で加
えておくと便利である。1本鎖としたDNAをもとに第
2プライマーとDNAポリメラーゼによる相補鎖合成を
行なえば、先に述べた原理に基づいてリボザイムを転写
するための鋳型となる。
【0047】このようにして得られる2本鎖DNAは、
シグナルプローブのプロモーターとして機能しうる部分
を2本鎖として持っている。したがってこの2本鎖にR
NAポリメラーゼとリボヌクレオシドを加えれば、プロ
モーターを認識してその下流に存在する塩基配列を鋳型
にRNAが合成される。本発明においては、このとき生
じる転写生成物がリボザイム活性を持つRNAである。
RNAポリメラーゼとしては転写活性に優れるT7ファ
ージ由来のものなどが有利である。T7RNAポリメラ
ーゼの反応は、RTのための緩衝液とほぼ同様の条件で
行なえば良い。このとき用いるT7RNAポリメラーゼ
は200−1000単位とする。また基質であるリボヌ
クレオシド(ATP、CTP、GTP、およびUTP)
は、5−100mMとなるように加える。試料にRNas
eが共存する可能性が考えられる時には、転写生成物で
あるRNAの分解を防ぐためにリボヌクレアーゼ阻害剤
を加えると良い。リボヌクレアーゼ阻害剤には、たとえ
ばリボヌクレアーゼインヒビター(商品名、SIGMA製)
と呼ばれるRNase阻害剤を50単位加える。もしも
RTとRNaseHを使って生じたcDNAをもとに転
写反応を行なう時には、反応液に加えたRNaseHを
80−100℃で10分間加熱することで不活性化して
おくとよい。
【0048】生成したリボザイムは、適当な基質と接触
させることにより触媒活性が測定される。たとえば配列
2に示したリボザイム5'-AUUUUCUGAUGAGUCCGUGAGGACGAA
ACUUA-3'は、5'-UAAGUCAAAAU-3'を必須配列として含む
1本鎖RNAを認識して切断し、5'-UAAGUC-3'/5'-AAAA
U-3'の2つの断片を生じる。このとき、基質となるRN
Aの全体の長さは、必須となる配列を含む限り限定され
ない。基質RNAは、化学合成したものであっても良い
し、酵素的に合成されたものであってもよい。これらの
リボヌクレアーゼの触媒活性には、通常Mgのような2
価の金属イオンが必要とされている。したがって反応液
中にはMgCl2のような塩類を20−50mM加えてお
く。基質RNAの濃度は1−10mMとし、35−40℃
で1−5時間反応させればリボザイムによる基質RNA
の切断が十分に行われる。このとき、リボザイム活性を
維持できる範囲内で温度を高くするとターンオーバー数
が高まることが知られている[44]。
【0049】RNAの触媒活性によって切断された基質
RNA断片は、電気泳動によって確認することができ
る。電気泳動には、7M尿素を含む20%のポリアクリル
アミドゲルを用いる。たとえば先に説明した基質RNA
を用いる時、リボザイムが生成されていれば大きい方か
ら順に次のようなバンドが確認できるはずである。すな
わち、33bp(リボザイム自身)、11bp(基質)、お
よび4−6bp(基質の切断生成物)の3つのバンドであ
る。基質RNAをリボザイムの転写反応と同時に酵素的
に生成させる態様においては、基質RNAの有無を見る
ことで転写反応がきちんと行われたかどうかを確認する
ことができる。
【0050】一方、エネルギー転移を利用して蛍光シグ
ナルを追跡する態様では、リボザイムの反応を進めなが
ら蛍光強度の測定を並行して行なうことができる。この
態様では、蛍光分析装置の中でRNAの触媒反応を進め
ることになる。
【0051】
【作用】本発明のシグナルプローブは、標的塩基配列の
存在によって触媒活性を持つRNAを生じる転写反応を
トリガーするためのものである。シグナルプローブのプ
ロモーター配列は1本鎖なので、そのままではRNAポ
リメラーゼに認識されず転写反応は起こらない。しかし
標的塩基配列が存在した時には、シグナルプローブのプ
ロモーター配列は2本鎖となり、結果としてRNAポリ
メラーゼの転写反応がトリガーされる。転写反応によっ
て生成する触媒活性を持つRNAは、その触媒活性を追
跡することで標的塩基配列の指標となる。本発明の最大
の特徴は、標的塩基配列そのものは必ずしも増幅する必
要はなく、リボザイムの転写をトリガーさせるために利
用している点にある。このような反応原理は、これまで
の塩基配列検出技術には見られなかった特徴である。
【0052】
【発明の効果】本発明は、標的塩基配列の検出方法にお
いて以下のような効果をもたらす。 ・簡単な反応原理でシグナルの増幅効果を期待できる ・増幅生成物の検出が容易 ・コンタミネーションの影響を受けにくい ・感度と定量性に優れる
【0053】本発明の反応原理は、一定の構造を持つシ
グナルプローブと公知の酵素反応によって構成されてい
るので、容易に実施することができる。酵素反応に必要
な条件も容易に設定することが可能である。そして本発
明で検出反応の指標となっている触媒活性を持つRNA
(リボザイム)は、RNAポリメラーゼの転写反応によ
って数百倍〜1000倍以上の増幅効率を与える。その
上1分子のリボザイムが複数分子のRNAに対して作用
することから、標的塩基配列そのものを増幅しなくても
検出系全体としては高い増幅効率をもたらし、結果とし
て高感度な検出系を実現する。また本発明の標的塩基配
列の検出方法は、標的塩基配列の量に依存して触媒活性
を持つRNAを生成するので、定量性にも優れるという
ことができる。
【0054】一方リボザイムは自身が検出可能な触媒活
性を持っているので、簡便な操作で検出することができ
る。たとえば従来の遺伝子増幅反応による検出技術にお
いては、通常電気泳動を利用して増幅生成物を確認して
いる。電気泳動に基づく検出系では、反応停止後に泳動
することになるし、電気泳動の後に同じ試料で反応を継
続することもできない。これに対して本発明では、リボ
ザイムの触媒活性を他の検出原理に基づいて確認するこ
ともできる。具体的には、たとえばエネルギー転移等を
利用して蛍光シグナルを追跡することで検出することも
可能である。このような態様を採用すれば、反応の進行
をリアルタイムで追跡することができる。
【0055】本発明においてシグナルプローブを構成す
る触媒活性を持つRNAの鋳型となる領域は、検出対象
がなんであれ常に一定のものであって良い。したがっ
て、その触媒活性を検出するための基質RNAも検出対
象にかかわらず同じものを利用することができる。この
ことは、シグナルプローブの標的塩基配列のアンチセン
スのみを取り換えることで多くの検出対象に本発明を応
用することが可能となることを示している。しかも、逆
転写酵素を組み合わせることによって同じシグナルプロ
ーブでDNAのみならずRNAをも直接検出対象とする
ことができる。このように、本発明はきわめて汎用性に
優れる検出方法を提供するものである。
【0056】本発明で増幅生成物として生じるのは触媒
活性を持つRNAである。本発明における転写反応をト
リガーできるのは標的塩基配列だけなので、たとえ触媒
活性を持つRNAが陰性試料に混入することがあって
も、偽陽性の結果につながる可能性は低い。標的塩基配
列そのものが混入すれば偽陽性結果につながるが、標的
塩基配列そのものは増幅されることがないのでその危険
性は小さいといえる。これに対して従来の塩基配列の増
幅反応では、標的塩基配列そのものが増幅されることか
ら、コンタミネーションによる偽陽性結果につながる可
能性が常にともなう。
【0057】引用文献 [ 1] Science,230,1350-1354,1985 [ 2] Pro.N.A.S.,89,392-396;1992 [ 3] Nucleic Acid Res.,20,1691-1696;1992 [ 4] SCIENCE,254,1292;1991 [ 5] 特開平2-131599 [ 6] 特開平8-205897 [ 7] 公表平6-506768 [ 8] USP5130238 [ 9] 特開平2-5864 [10] 公表平2-500565 [11] 公表平4-503451 [12] 公表平6-502767 [13] 公表平2-501532 [14] 公表平4-500457 [15] 公表平4-500759 [16] 特開平5-211873 [17] Ann.Rev.Biochem.,48.525-548;1979 [18] Bio/Technology,6,1197-1202;1988 [19] 公表平4-503302 [20] 特開平2-257898 [21] 公表平3-505673 [22] 公表平4-506748 [23] 特開平3-210179 [24] EP-0455517/A1 [25] BioTechniques,Vol.13,No.6,882-892;1992 [26] 特開平5-130870 [27] 特開平6-327499 [28] 公表平8-505531 [29] 公表平8-507202 [30] Nucleic Acid Res.,Vol.15,No.21,8783-8798;1987 [31] Nature,Vol.358,560-563,1992 [32] WO96/40906 [33] Nature,Vol.308,820-825;1984 [34] Nature,Vol.334,585-591;1988 [35] Science,257,635-641;1992 [36] Proc.N.A.S.,88,10163,1991 [37] Keystone Processing Meeting,Keystone,p55abs,1
992 [38] Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.186,No.3,1271
-1279;1982 [39] J.Am.Chem.Soc.,111,5961,1989 [40] Anal.Biochem.165,96,1987 [41] 特開平8-313529 [42] Eur.J.Immunol.,23,1895-1901,1993 [43] Nucleic Acid Res.,21,3469-3472,1993 [44] Nucleic Acid Res.,21,2273-2274,1993
【0058】
【配列表】
出願人氏名:栄研化学株式会社 発明の名称:標的塩基配列の検出方法 整理番号:P−000379 出願日:平成9年6月10日 配列の数:5 配列番号:1 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸合成DNA 起源:T7ファージRNAポリメラーゼのプロモーター 配列 TAATACGACT CACTATA 17
【0059】配列番号:2 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸合成RNA 起源:リボザイム活性を持つRNA 配列 AUUUUCUGAU GAGUCCGUGA GGACGAAACU UA 32
【0060】配列番号:3 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸合成RNA 起源:リボザイムの保存領域 配列 CUGAUGAGUC CGUGAGGACG AAAC 24
【0061】配列番号:4 配列の長さ:70 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸合成DNA 起源:M13ファージmp18検出用シグナルプローブ 配列 TCTGCCAGTT TGAGGGGACG ATAAGTTTCG TCCTCACGGA CTCATCAGAA AATTATAGTG 60 AGTCGTATTA 70
【0062】配列番号:5 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸合成DNA 起源:M13ファージmp18検出用第2プライマー 配列 CCGGCTCGTA TGTTGTGTGG A 21
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく標的塩基配列の検出方法の代表
的な反応原理を示す模式図。
【図2】本発明に基づく標的塩基配列の検出方法の別の
反応原理を示す模式図。
【図3】本発明に基づく標的塩基配列の検出方法の更に
別の反応原理を示す模式図。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検出すべき特定の配列を持つ標的塩基配列
    の検出方法であって、RNAポリメラーゼのプロモータ
    ー配列とこのプロモーター配列に鋳型として機能するよ
    うに連結された触媒活性を持つRNAをコードする塩基
    配列とで構成されるシグナルプローブを用い、検出対象
    である前記特定の標的塩基配列の存在によって前記シグ
    ナルプローブから前記触媒活性を持つRNAをコードす
    る塩基配列を鋳型とするRNA転写反応を開始させ、生
    成する転写生成物である触媒活性を持つRNAを指標と
    する前記標的塩基配列の検出方法
  2. 【請求項2】シグナルプローブがプロモーターのアンチ
    センス配列と触媒活性を持つRNAの鋳型として機能す
    るシグナル生成アンチセンス配列とを備え、標的塩基配
    列の存在によって前記プロモーターのアンチセンス配列
    の相補鎖が合成されてプロモーター活性を持つ2本鎖と
    なり、次いで合成された前記プロモーターを認識するR
    NAポリメラーゼを作用させることによってシグナル生
    成アンチセンスを鋳型とするRNA転写反応を開始する
    請求項1の標的塩基配列の検出方法
  3. 【請求項3】RNA転写反応による生成物はリボザイム
    であり、標的塩基配列に対応するRNAは転写しない請
    求項2の標的塩基配列の検出方法
  4. 【請求項4】シグナルプローブが、5’側からシグナル
    生成アンチセンス−プロモーターのアンチセンス配列−
    プライマー配列とで構成され、前記プライマー配列が標
    的塩基配列に特異的な配列を備えている請求項2の標的
    塩基配列の検出方法
  5. 【請求項5】標的塩基配列がDNAであり、プライマー
    配列が標的塩基配列のアンチセンスプライマーであり、
    標的塩基配列のセンスプライマーと組み合せてPCR反
    応を行うことによってプロモーターとシグナル生成アン
    チセンスに対する相補鎖合成を行う請求項4の標的塩基
    配列の検出方法
  6. 【請求項6】標的塩基配列がRNAであり、このRNA
    を鋳型として以下の反応によってRNA転写反応を開始
    する請求項4の標的塩基配列の検出方法 a)プライマー配列が標的塩基配列のアンチセンスプラ
    イマーであり、標的塩基配列を鋳型として逆転写酵素に
    より相補的DNAを合成する工程 b)工程a)によって生成したRNA−DNAヘテロ2
    重鎖を1本鎖DNAとする工程 c)工程b)の1本鎖DNAを鋳型として、そのアンチ
    センスプライマー領域よりも3’側にアニールする第2
    プライマーを起点として2本鎖DNAを合成する工程
  7. 【請求項7】RNA−DNAヘテロ2重鎖から1本鎖D
    NAを生じる工程が、RNaseHによるRNAの酵素
    的分解に基づくものである請求項6の標的塩基配列の検
    出方法
  8. 【請求項8】プライマー配列が標的塩基配列の3’末端
    に相補的な配列を持ち、標的塩基配列をプライマーとし
    てプロモーターとシグナル生成アンチセンスに対する相
    補鎖合成を行う請求項4の標的塩基配列の検出方法
  9. 【請求項9】RNAポリメラーゼがT7RNAポリメラ
    ーゼである請求項1の標的塩基配列の検出方法
  10. 【請求項10】プロモーターのアンチセンス配列が、配
    列1に示す塩基配列を持つものである請求項9の標的塩
    基配列の検出方法
  11. 【請求項11】次の構成要素a)−f)を含む標的塩基
    配列を含むDNA検出用キット a)プロモーターのアンチセンス配列に連結したシグナ
    ル生成アンチセンス;このシグナル生成アンチセンスは
    前記プロモーターのアンチセンス配列が標的塩基配列の
    存在によってプロモーターとして機能する構造をもたら
    されたとき、RNAポリメラーゼに基づく転写反応によ
    って触媒活性を持つRNAを生成する b)標的塩基配列に依存してプロモーターのアンチセン
    ス配列を鋳型として2本鎖DNAを合成するための第2
    プライマー c)DNAポリメラーゼ d)DNAポリメラーゼによる相補鎖合成に必要な基質 e)前記プロモーター配列を認識するRNAポリメラー
    ゼ f)RNAポリメラーゼの転写反応に必要な基質
  12. 【請求項12】次の構成要素a)−g)を含む標的塩基
    配列を含むRNA検出用キット a)プロモーターのアンチセンス配列に連結したシグナ
    ル生成アンチセンス;このシグナル生成アンチセンスは
    前記プロモーターのアンチセンス配列が標的塩基配列の
    存在によってプロモーターとして機能する構造をもたら
    されたとき、RNAポリメラーゼに基づく転写反応によ
    って触媒活性を持つRNAを生成する b)標的塩基配列に依存してプロモーターのアンチセン
    ス配列を鋳型として2本鎖DNAを合成するための第2
    プライマー c)逆転写酵素 d)DNAポリメラーゼ e)逆転写酵素とDNAポリメラーゼによる相補鎖合成
    に必要な基質 f)前記プロモーター配列を認識するRNAポリメラー
    ゼ g)RNAポリメラーゼの転写反応に必要な基質
  13. 【請求項13】更にRNA−DNAヘテロ2重鎖のRN
    Aを分解するためのRNaseHを含む請求項12のキ
    ット
  14. 【請求項14】5’側から3’側にかけて、「シグナル
    生成アンチセンス」、「プロモーターのアンチセン
    ス」、および「標的塩基配列相補配列」の3つの領域を
    備えた構造を持ち、前記シグナル生成アンチセンスが触
    媒活性を持つRNAをコードしていることを特徴とする
    標的塩基配列を検出するためのシグナルプローブ
  15. 【請求項15】プロモーターのアンチセンスが1本鎖で
    ある請求項14のシグナルプローブ
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020027096A1 (ja) * 2018-08-03 2020-02-06 学校法人慶應義塾 プライマー及びその使用

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