JP2001046099A - 増強された核酸増幅法 - Google Patents

増強された核酸増幅法

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JP2001046099A
JP2001046099A JP2000172002A JP2000172002A JP2001046099A JP 2001046099 A JP2001046099 A JP 2001046099A JP 2000172002 A JP2000172002 A JP 2000172002A JP 2000172002 A JP2000172002 A JP 2000172002A JP 2001046099 A JP2001046099 A JP 2001046099A
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rna
triphosphate
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polymerase
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Tetsuya Ishizuka
哲也 石塚
Norihiko Ishiguro
敬彦 石黒
Juichi Saito
寿一 斉藤
Tomomi Sakai
智美 酒井
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】概ね一定温度で、簡便かつ迅速に、試料中に元
来存在した特定RNA配列を飛躍的に増幅させる方法を
提供する。 【解決手段】特定核酸を含むと予想される試料中の特定
核酸分析において、試料中の特定RNA配列を鋳型とし
て、特定RNA配列と相補的および相同的配列を含み、
該配列を転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖D
NAを生成し、RNAポリメレースによってRNA転写
産物を生成し、該RNA転写産物が更に2本鎖DNAの
鋳型となるRNA増幅工程において、RNAポリメレー
スの基質としてアデノシン三リン酸、ウリジン三リン
酸、シチジン三リン酸、グアノシン三リン酸に加え、イ
ノシン三リン酸を添加することにより増幅反応の効率を
向上させる特定核酸増幅方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNAやRNA等
の遺伝子混合物中に含まれると予想される、特定塩基配
列を含む標的RNAの増幅方法に関するものであり、更
には、標的RNAを増幅し、定性的又は定量的に分析す
る方法に関するものである。本発明は遺伝子診断等の臨
床診断分野での利用に有用であり、更には、食品中、室
内、土壌中、河川中、海洋中等の環境中の微生物の定性
又は定量を行う際に有用である。
【0002】
【従来の技術】一般的に、ウイルス感染症の診断では、
臨床試料中の核酸(ウイルス核酸)が極微量であること
が多いため、高感度かつ良好な再現性の測定を実現する
ために信号強度を向上し高感度化する目的で、標的核酸
を増幅する方法がとられる。例えば核酸中の特定のDNA
配列を増幅する方法として、ポリメレースチェインリア
クション(PCR)法が知られている。この方法は、特
定のDNA配列の両末端部に相補的なプライマー及び相同
なプライマーからなる一組のプライマーと熱耐性DNAポ
リメレースを用いて、熱変性、プライマー・アニール、
伸長反応からなるサイクルを繰り返し行うことにより特
定のDNA配列を増幅するものである。
【0003】特定塩基配列を含むRNA(標的RNA)
の増幅法としては、NASBA法や3SR法等が知られ
ている。この方法は、標的RNAに対してプロモーター
配列を含むプライマーと逆転写酵素及びリボヌクレエー
スHを用いて、プロモーター配列を含む2本鎖DNAを
生成し、RNAポリメレースにより、特定塩基配列を含
むRNAを生成し、以後は、該生成されたRNAを前記
プロモーター配列を含む2本鎖DNA合成の鋳型とする
連鎖反応を生じさせるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、PCRでRN
Aを増幅する場合、PCRに先だってRNAを鋳型とす
る逆転写反応を行い、一旦cDNAを合成する、いわゆ
るRT−PCR法を行わなければならず、実質的に2段
階の工程が要求されることとなる。またPCRは急激な
昇温、降温を必要とするため、特殊なインキュベーター
を必要とし、大量処理を目的とした自動化への適用が容
易ではないという課題もある。
【0005】一方、前記したようなRNAの増幅法は、
比較的一定温度での反応が可能であるため自動化への適
用が容易である。しかし、試料中に存在する極微量の標
的RNAをより高感度かつ再現性良く検出するために
は、増幅効率を更に向上させる必要がある。
【0006】本発明は、更に効率が向上された、試料中
の標的RNAの増幅方法を提供するものである。また本
発明は、試料中の標的RNAを更に効率的に増幅しつ
つ、増幅されたRNAを分析する、標的RNAの分析方
法である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、RNAポ
リメレースを用いるRNAの増幅工程において、その基
質であるリボヌクレオシド三リン酸(アデノシン三リン
酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグアノシ
ン三リン酸)に加え、更にイノシン三リン酸(以下、
「ITP」と略する)を特定量添加することで、増幅効
率を向上し得ることを見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0008】本願請求項1の発明は、特定塩基配列を含
む試料中の標的RNAを鋳型として、プロモーター配列
を有し前記特定塩基配列又は前記特定塩基配列と相補的
な配列からなるRNAを転写可能な2本鎖DNAを生成
し、RNAポリメレースによって前記特定塩基配列又は
前記特定塩基配列に相補的な配列からなるRNA転写産
物を生成し、更に、該RNA転写産物を鋳型として前記
2本鎖DNAを生成する工程からなるRNA増幅工程に
おいて、RNAポリメレースの基質としてアデノシン三
リン酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸、グアノ
シン三リン酸に加え、ITPを添加することを特徴とす
る標的RNAの増幅方法である。
【0009】本願請求項2の発明は、請求項1の発明に
係り、RNAポリメレースとしてファージSP6のRN
Aポリメレースを用い、ITPを終濃度が0.5mM〜
2mMの範囲となるように添加することを特徴とする。
本願請求項3の発明は、請求項2の発明に係り、添加す
るITPの終濃度と、それ以外のリボヌクレオシド三リ
ン酸(アデノシン三リン酸、ウリジン三リン酸、シチジ
ン三リン酸及びグアノシン三リン酸)の終濃度の比率が
0.5対1.0〜1.5対1.0の範囲であることを特
徴とする。
【0010】本願請求項4の発明は、請求項1の発明に
係り、少なくとも、トリス塩酸緩衝液(pH8.5〜
8.9)の終濃度が20mM〜50mM、塩化マグネシ
ウムの終濃度が12mM〜20mM、リボヌクレオシド
三リン酸(アデノシン三リン酸、ウリジン三リン酸、シ
チジン三リン酸及びグアノシン三リン酸)の終濃度が
3.5mM〜5mM、RNAポリメレースとしてファー
ジT7のRNAポリメレースを含み、イノシン三リン酸
を終濃度が1.0mM〜2.7mMの範囲となるように
添加することを特徴とする。本願請求項5の発明は、請
求項4の発明に係り、添加するITPの終濃度と、それ
以外のリボヌクレオシド三リン酸(アデノシン三リン
酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグアノシ
ン三リン酸)の終濃度の比率が0.3対1.0〜0.7
対1.0の範囲であることを特徴とする。
【0011】本願請求項6の発明は、請求項1の発明に
係り、少なくとも、トリス塩酸緩衝液(pH8.5〜
8.9)の終濃度が50mM〜80mM、塩化マグネシ
ウムの終濃度が12mM〜20mM、リボヌクレオシド
三リン酸(アデノシン三リン酸、ウリジン三リン酸、シ
チジン三リン酸及びグアノシン三リン酸)の終濃度が
2.0mM〜3.5mM、RNAポリメレースとしてフ
ァージT7のRNAポリメレースを含み、イノシン三リ
ン酸を終濃度が3.2mM〜4.4mMの範囲となるよ
うに添加することを特徴とする。本願請求項7の発明
は、請求項6の発明に係り、添加するITPの終濃度
と、それ以外のリボヌクレオシド三リン酸(アデノシン
三リン酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグ
アノシン三リン酸)の終濃度の比率が1.0対1.0〜
1.0対1.5の範囲であることを特徴とする。
【0012】本願請求項8の発明は、請求項1の発明に
係り、前記RNA増幅工程が、特定塩基配列に相補的な
配列を有するプライマー及び特定塩基配列に相同的な配
列を有するプライマー(ここで一方のプライマーは、
5’側にRNAポリメレースのプロモーター配列を有す
るプロモータープライマーである)を用い、標的RNA
を鋳型としてRNA依存性DNAポリメレースにより1
本鎖DNAを生成し、該1本鎖DNAを鋳型としてDN
A依存性DNAポリメレースを用いることで、特定塩基
配列又は特定塩基配列に相補的な配列からなるRNAを
転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNAを生
成すること、そして、該2本鎖DNAがRNAポリメレ
ース存在下でRNA転写産物を生成し、該RNA転写産
物が引き続き前記RNA依存性DNAポリメレースによ
る1本鎖DNA生成の鋳型となるものであることを特徴
とする。
【0013】本願請求項9の発明は、請求項1の発明に
関連し、その増幅工程をインターカレーター性蛍光色素
で標識されたプローブの存在下で実施し、反応液の蛍光
強度を経時的に測定することからなる標的核酸の分析方
法である。そして本願請求項10の発明は、請求項9の
発明に係り、前記インターカレーター性蛍光色素で標識
されたプローブが、RNA転写産物との相補結合によっ
て、複合体を形成していない場合と比較して蛍光特性が
変化するものであることを特徴とする。
【0014】本発明は、RNAポリメレースがDNAを
鋳型としてRNAを生成する際に、ITPが存在すると
RNA生成効率が向上するという知見に基づくものであ
る。
【0015】本発明は、例えば以下(A)〜(I)の試
薬を用意し、標的RNAを含むと予想される試料にこれ
らを順次添加するか、これらの2以上を一度に添加する
か、又はこれらを一度に添加する操作により実施するこ
とが可能である((A)〜(I)は、この順に添加する
ことを要しない)。
【0016】(A)前記1本鎖RNA中の特定塩基配列
の3’側末端配列に相補的な配列を有する第1の1本鎖
オリゴヌクレオチド、(B)RNA依存性DNAポリメ
レース、(C)デオキシリボヌクレオシド三リン酸 (D)リボヌクレエースHまたは同等のRNA分解活性
を有する酵素、(E)5’末端側から順に(1)DNA
依存性RNAポリメレースのプロモーター配列、(2)
該プロモーターのエンハンサー配列及び(3)前記1本
鎖RNA中の特定塩基配列の5’末端配列と同一の塩基
配列を有する第2の1本鎖オリゴヌクレオチド、(F)
DNA依存性DNAポリメレース、(G)DNA依存性
RNAポリメレース、(H)リボヌクレオシド三リン酸
(アデノシン三リン酸、ウリジン三リン酸、シチジン三
リン酸、グアノシン三リン酸)、(I)ITP。
【0017】また例えば、また、上記試薬(A)及び試
薬(E)の、第1及び第2の1本鎖オリゴヌクレオチド
の組み合わせを用いる以外に、以下の試薬(J)及び試
薬(K)の第1及び第2の1本鎖オリゴヌクレオチドの
組み合わせを用いてもよい。
【0018】(J)5’末端側から順に(1)DNA依
存性RNAポリメレースのプロモーター配列、(2)該
プロモーターのエンハンサー配列及び(3)標的RNA
中の特定塩基配列の3’側末端配列に相補的な配列を有
する第1の1本鎖オリゴヌクレオチド、(K)標的RN
A中の特定塩基配列の5’側末端配列と同一の塩基配列
を有する第2の1本鎖オリゴヌクレオチド。
【0019】上記において特定塩基配列とは、上記
(A)および(E)の第1及び第2の1本鎖オリゴヌク
レオチドを使用した場合、5’末端が(E)の第2の1
本鎖オリゴヌクレオチドにおける(3)の配列で始ま
り、3’末端が(A)の第1の1本鎖オリゴヌクレオチ
ドと相補的な配列で終わる、標的RNA中に存在する塩
基配列部分である。また上記(J)及び(K)の第1及
び第2の1本鎖オリゴヌクレオチドを使用した場合に
は、5’末端が(K)の第2の1本鎖オリゴヌクレオチ
ドと同一な配列で始まり、3’末端が(J)の第1の1
本鎖オリゴヌクレオチドにおける(3)の配列に相補的
な配列で終わる、標的RNA中に存在する塩基配列部分
である。特定塩基配列は任意に決定することができる
が、標的RNAを他の核酸から区別し得る程度に特異的
な配列部分を含むようにすることが重要である。
【0020】試薬(A)は、特定塩基配列の3’末端に
相補的な配列を有する第1の1本鎖オリゴヌクレオチド
である。該試薬は標的RNAに相補結合し、後述する試
薬(B)及び(C)の共存下で、RNA依存性DNAポ
リメレースによる標的RNAを鋳型とするcDNA合成
が行われる際に、該cDNAの5’側末端に特定塩基配
列の3’末端と相補的な配列が位置するようにするため
のものである。
【0021】試薬(B)はRNA依存性DNAポリメレ
ースであり、試薬(C)はその基質となるデオキシリボ
ヌクレオシド三リン酸である。試薬(A)〜(C)の共
存下で、標的RNA中の特定塩基配列の3’末端に相補
的な配列を5’末端に持つcDNAが合成される。この
cDNAは、鋳型となったRNAと、DNA−RNA2
本鎖を形成した状態である。
【0022】試薬(D)は、上記DNA−RNA2本鎖
中のRNAを切断する活性を有するリボヌクレエースH
であるが、同等のRNA分解活性を有する酵素を用いる
こともできる。トリ筋芽細胞腫ウイルス逆転写酵素(以
下、AMV逆転写酵素)に代表される逆転写酵素は、D
NA−RNA2本鎖中のRNAを切断する活性を有して
おり、この種の酵素を用いることが例示できる。
【0023】試薬(E)は、5’末端側から順に(1)
DNA依存性RNAポリメレースのプロモーター配列、
(2)該プロモーターのエンハンサー配列及び(3)特
定塩基配列の5’末端配列と同一の塩基配列を有する第
2の1本鎖オリゴヌクレオチドである。第2のオリゴヌ
クレオチドにおいて、(3)の部分は試薬(A)〜
(D)が共存することで合成されるcDNAの3’末端
に結合する。従って試薬(C)と(F)の共存により、
第2のオリゴヌクレオチドの3’末端から該cDNAを
鋳型として、また同時に該cDNAの3’末端から該第
2のオリゴヌクレオチドを鋳型として、DNA依存性D
NAポリメレースによりそれぞれの相補鎖が合成され、
転写可能なプロモーター配列を有する完全な2本鎖DN
Aが合成される。
【0024】試薬(F)はDNA依存性DNAポリメレ
ースである。AMV逆転写酵素に代表される逆転写酵素
には、DNA依存性DNAポリメレース活性を有するも
のがあり、この種の酵素を用いてもよい。
【0025】試薬(G)は、DNA依存性RNAポリメ
レースであり、試薬(H)と(I)はその基質となるリ
ボヌクレオシド三リン酸及びITPである。試薬
(C)、(E)及び(F)の共存により合成される2本
鎖DNAは、DNA依存性RNAポリメレースのプロモ
ーター領域を末端に有する。このため、試薬(G)及び
(H)の共存下では該DNA合成後、直ちに特定塩基配
列からなる1本鎖RNAの合成が開始される。ここで、
前述の通り、試薬(I)を共存させることにより該RN
Aの合成量を飛躍的に増大することができる。試薬
(G)におけるDNA依存性RNAポリメレースとして
は、具体的に例えばT7 RNAポリメレースやT3
RNAポリメレース、SP6 RNAポリメレース等を
例示することができる。
【0026】試薬(G)〜(I)の共存により合成され
る1本鎖RNAは特定塩基配列からなるRNAである
(一部ITPに置換されている)。従って、これらが合
成されて試薬(A)〜(F)と共存することにより、上
述した一連の反応が繰り返し生じることとなる。このよ
うに、本発明では試料中に存在する極微量の標的RNA
をもとにして前記の如きプロモータ領域を末端にもつ2
本鎖DNAが合成され、これが特定塩基配列からなる1
本鎖RNAの合成源となる。合成された1本鎖RNAは
新たな2本鎖DNAの合成に寄与し、結果として時間の
経過とともに特定塩基配列からなる1本鎖RNA量は飛
躍的に増大する。
【0027】本発明の分析方法は、例えば前記のような
RNAの増幅工程において、試薬(L)を添加し、反応
液の蛍光強度を測定する工程を含む、標的RNAの分析
方法である。
【0028】(L)前記特定塩基配列に相補的な配列を
有し、該配列を有する核酸と結合した場合に測定可能な
蛍光信号を発するように標識された第3の一本鎖オリゴ
ヌクレオチド。
【0029】この第3のオリゴヌクレオチドは、例えば
インターカレーター性蛍光色素が結合されたDNAであ
れば良い。該DNA部分は、特定塩基配列の特異的分析
のため、6〜100ヌクレオチド、更に好ましくは10
〜30ヌクレオチドとすることが好ましい。むろん該D
NA部分は、特定塩基配列中に存在する配列であって、
標的核酸以外の核酸と十分に区別可能な配列部分と相補
的な配列であることが重要である。また、DNA部分は
合成された特定塩基配列からなる1本鎖RNAと相補結
合を形成した場合に、既に添加されている試薬(C)に
おけるRNA依存性DNAポリメレースが作用してその
3’末端からの伸長が生じないように、該3’末端が特
定塩基配列と非相補的な配列が付加されているか、また
は、その3’末端が化学的に修飾されていることが好ま
しい。
【0030】インターカレーター性蛍光色素は、DNA
部分が他の核酸と相補結合を形成すると2本鎖部分にイ
ンターカレーションして蛍光特性が変化するものであ
る。この目的のためには、インターカレーター性蛍光色
素を、2本鎖部分へのインターカレションを妨げない程
度の適当な分子長リンカーを介してDNAと結合するこ
とが例示できる。かかるリンカーとしては、インターカ
レーター性蛍光色素が2本鎖部分にインターカレーショ
ンすることを妨げない分子であれば特に制限はない。特
に両末端に官能基を有する二官能性炭化水素から選択さ
れるリンカー分子は、オリゴヌクレオチドへの修飾を行
う上で簡便で好ましい。また、例えば、市販の試薬セッ
ト(C6−Thiolmodifier,商品名、Cl
ontech製)等を使用することもできる。
【0031】インターカレーター性蛍光色素としては、
2本鎖にインターカレーションすることで、例えば発す
る蛍光波長が変動したりする等、その蛍光特性が変化す
るものであれば特に制限はないが、測定の容易さ等の観
点からインターカレーションにより蛍光強度が増加する
性質を有するものが特に好ましい。より具体的には特に
蛍光強度の変化が著しいチアゾールオレンジ、オキサゾ
ールイエロー又はそれらの誘導体を特に好ましいインタ
ーカレーター性蛍光色素として例示できる。
【0032】インターカレーター性蛍光色素をリンカー
を介してDNAに結合させる位置は、DNAの5’末
端、3’末端又は中央部等、インターカレーター性蛍光
色素の2本鎖へのインターカレーションが妨げられず、
かつ、DNA部分とRNAとの相補結合を阻害しない限
り特に制限はない。
【0033】プロモーター配列を有する2本鎖DNAを
鋳型として試薬(G)〜(I)により合成される1本鎖
RNA量は経時的に増加する。そこで、試薬(L)を、
上記標的RNAを含むと予想される試料に、少なくとも
試薬(A)〜(I)とともに共存させ、増加する特定塩
基配列からなる1本鎖RNAを、蛍光信号として測定す
る。ここで、合成された1本鎖RNAと試薬(L)の第
3のオリゴヌクレオチドが相補結合を形成し、蛍光信号
を発した場合であっても、このRNAは試薬(A)〜
(C)共存下でのDNA合成における鋳型として機能す
ることが明らかとなった。即ち本発明では、各試薬の共
存状態においてRNAからのcDNA合成、2本鎖DN
Aの合成、2本鎖DNAからのRNA合成という一連の
現象が、第3のオリゴヌクレオチド共存下で生じ、RN
Aの増加に比例して蛍光強度が増加する。
【0034】本発明で、上記試薬(A)及び(E)に代
えて試薬(J)及び(K)を用いるのであれば、前記試
薬(L)に代えて以下の(M)を用いることにより、特
定核酸を分析することが可能である。
【0035】(M)標的RNA中の特定塩基配列に同一
な配列を有し、該配列と相補的配列を有する核酸と結合
した場合に測定可能な蛍光信号を発するように標識され
た第3の1本鎖オリゴヌクレオチド。
【0036】試薬(J)は、5’側末端から順に(1)
DNA依存性RNAポリメレースのプロモーター配列、
(2)該プロモーターのエンハンサー配列及び(3)前
記1本鎖RNA中の特定塩基配列の3’側末端配列に相
補的な配列を有する第1の1本鎖オリゴヌクレオチドで
ある。該試薬の(3)の部分は特定塩基配列中の3’側
末端に相補結合し、試薬(A)を用いた場合と同様に、
試薬(B)および(C)および(D)の存在下で、標的
RNAに相補的なcDNAが合成される。試薬(K)
は、該cDNAの特定塩基配列中の5’側末端に相補的
配列を有する1本鎖オリゴヌクレオチドである。該試薬
(K)は、該cDNAの特定塩基配列中の5’側末端に
相補的結合をした後、試薬(C)および試薬(F)の共
存により、RNAポリメレースのプロモーター配列を有
する2本鎖DNAが合成される。更に該2本鎖DNA
は、試薬(G)〜(H)の共存により、特定塩基配列に
相補的な第2の1本鎖RNAが合成される。更に試薬
(I)を共存させることにより、該1本鎖RNAの合成
量は飛躍的に増大する。
【0037】更に、該第2のRNAの3’側末端は試薬
(K)と相補結合し、試薬(B)〜(D)の共存下で、
該第2のRNAの第2のcDNAが合成される。該第2
のcDNAは試薬(J)の(3)部分と相補結合し、試
薬(C)および試薬(F)によりプロモーター配列を含
有する2本鎖DNAが合成され、試薬(G)〜(I)に
より該第2のRNAが合成される。合成された特定塩基
配列に相補的な該第2のRNAは、新たな2本鎖DNA
の合成源となり、一連の反応が繰り返し生じることによ
り、結果として該第2のRNAの量は飛躍的に増大す
る。
【0038】ここで得られた該第2のRNAは、標的R
NA中の特定塩基配列と相補的な配列を有する。特定塩
基配列と同一な配列を有し、かつインターカレーター性
蛍光色素で標識された第3の1本鎖オリゴヌクレオチド
である試薬(M)を共存させることにより、合成された
該第2のRNA量に比例して蛍光強度が増加する。
【0039】本願発明における蛍光信号の測定は、好ま
しくは試薬(A)〜(I)および試薬(L)または試薬
(M)の添加直後から、又は、添加後所定時間経過後か
ら経時的に行う。試薬試薬(L)又は試薬(M)の第3
のDNAは、1本鎖RNAの合成過程において、合成さ
れたRNAと結合・解離を繰り返すが、結合時に測定さ
れる蛍光信号は各測定時における該RNAの存在量を反
映するため、1本鎖RNAの増加する様子を経時的に追
跡することが可能である。なお、測定自体は連続的なも
のであっても一定時間毎の間欠的なものであっても良
い。また、蛍光信号の測定装置は、本願発明の一部を構
成しないが、1本以上の反応管中の蛍光信号を連続的ま
たは一定時間毎の間欠的に測定できるものであれば如何
なる装置を用いても良い。
【0040】蛍光信号の測定時間は、一定量の標的RN
Aを含んだ試験区の蛍光強度が増加する時間が標的RN
Aを含まない試験区と有為に差の見られる時間を含み、
一定量の標的RNAを含んだ試験区の蛍光強度がほぼ一
定になるまでの時間で、概ね4時間、好適条件では1時
間である。
【0041】
【発明の実施形態】以下、本発明を実施例により更に詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定され
るものではない。
【0042】実施例1 標的核酸増幅におけるITP添加(終濃度0.1mM〜
2.0mM)の効果を検討した。
【0043】(1)ヒトC型肝炎ウイルスRNAの塩基
番号113〜267(加藤ら、Proc.Natl.S
ci.、USA、1990年、87、9524〜952
8)を標準RNA試料とし、260nmの紫外部吸収に
より定量後、RNA希釈液(10mM Tris−HC
l (pH8.0)、0.1mM EDTA、0.5U
/μl RNase Inhibitor)を用い10
6、104コピー/4μlとなるよう希釈した。コントロ
ール試験区(Nega)には、前記RNA希釈液のみを
用いた。
【0044】(2)以下の組成の反応液15.2μlを
市販の0.5ml容PCR用チューブ(商品名;Gen
e Amp Thin−Walled Reactio
nTubes、パーキンエルマー社製)に分注し、これ
に上記RNA試料4μlを添加後、ミネラルオイル10
0μlを重層した。
【0045】反応液の組成 59.2mM Tris−酢酸緩衝液(pH8.1) 13.2mM 酢酸マグネシウム 123.7mM 酢酸カリウム 15.8% ソルビトール 19.7mM DTT 各1.0mMのdATP、dCTP、dGTP、dTT
P 各2.0mMのATP、CTP、GTP、UTP 各種濃度(0.2mM、1.0mM、2.0mM、3.
0mM、4.0mM)のITP 0.4μMの第1のオリゴヌクレオチド(配列番号1) 0.4μMのSP6プロモーター配列を有する第2のオ
リゴヌクレオチド(配列番号2;該配列中の5’端1番
目の「A」から17番目の「A」までの部分はSP6プ
ロモータ配列であり、また18番目の「G」から25番
目の「A」までの部分はエンハンサー配列である) 0.049μMのインターカレーター性蛍光色素(図
1)で標識された第3のオリゴヌクレオチド(配列番号
3;該配列中の5’端から5番目の「C」と6番目の
「G」の間にインターカレーター性蛍光色素が標識され
ており、またその3’末端はグリコール酸で修飾されて
いる、以後、YO−271と略する) 60ユニット リボヌクレエース インヒビター(宝酒
造(株)製) 3.9% DMSO 容量調製用蒸留水 (3)上記の反応液を、50℃で5分間保温後、以下の
組成の酵素液10.8μlを添加した。
【0046】酵素液の組成 83.3mM Tris−酢酸緩衝液(pH8.1) 18.5mM 酢酸マグネシウム 174.1mM 酢酸カリウム 22.2% ソルビトール 42ユニット AMV逆転写酵素 (宝酒造(株)製) 171ユニット SP6 RNAポリメレース (宝酒
造(株)製) 3μg 牛血清アルブミン 容量調製用蒸留水 (4)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機
能付蛍光分光光度計を用い、50℃に保温して、励起波
長490nm、蛍光波長510nmで、PCRチューブ
内の反応溶液の蛍光強度を5分間隔で測定した。
【0047】酵素液添加時の時刻を0分として、サンプ
ルの蛍光強度比(所定時刻の蛍光強度値÷バックグラン
ドの蛍光強度値)の経時変化を図2(RNAサンプル濃
度106コピー/テスト、ITP終濃度0.1mM〜
1.0mM)、図3(RNAサンプル濃度104コピー
/テスト、ITP終濃度1.0mM〜2.0mM)に示
した。
【0048】これらのことから、RNAポリメレースと
してSP6 RNAポリメレースを用いた場合、終濃度
が0.5mM〜2mMとなるITPを反応系内に添加す
ることによって特定核酸の増幅効率は飛躍的に向上する
ことが示された。また、陰性(Nega)のときには蛍
光強度の増加が見られていないことから、蛍光強度の増
加は特定塩基配列の増加を反映していることが示され
た。
【0049】実施例2 標的核酸増幅におけるITP添加(終濃度0.5mM〜
3.0mM)の効果を検討した。
【0050】(1)前記ヒトC型肝炎ウイルスRNAを
標準RNA試料とし、260nmの紫外部吸収により定
量後、RNA希釈液(10mM Tris−HCl
(pH8.0)、0.1mM EDTA、0.5U/μ
l RNase Inhibitor)を用い106
ピー/2.5μlとなるよう希釈した。コントロール試
験区(Nega)には、希釈液のみを用いた。
【0051】(2)以下の組成の反応液21.0μlを
市販の0.5ml容PCR用チューブ(商品名;Gen
e Amp Thin−Walled Reactio
nTubes、パーキンエルマー社製)に分注し、これ
に上記RNA試料2.5μlを添加後、ミネラルオイル
100μlを重層した。
【0052】反応液の組成 47.6mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.5) 17.1mM 塩化マグネシウム 185.7mM 塩化カリウム 1.4mM DTT 各0.7mMのdATP、dCTP、dGTP、dTT
P 各5.4mMのATP、CTP、GTP、UTP 0.7、1.4、2.1、2.9、3.6、3.9又は
4.3mMのITP 1.1μMの第1のオリゴヌクレオチド(配列番号4) 1.1μMのT7プロモータ配列を有する第2のオリゴ
ヌクレオチド(配列番号5;該配列中の5’端1番目の
「A」から22番目の「A」までの部分はT7プロモー
タ配列であり、また23番目の「G」から28番目の
「A」までの部分はエンハンサー配列である) 0.049μMのインターカレーター性蛍光色素(図
1)で標識された第3のオリゴヌクレオチド(配列番号
6;該配列中の5’端14番目の「A」と15番目の
「C」の間にインターカレーター性蛍光色素が標識され
ており、またその3’末端はグリコール酸で修飾されて
いる、以後YO−HC1bと略する) 40ユニット リボヌクレエース インヒビター(宝酒
造(株)製) 21.4% DMSO 容量調製用蒸留水 (3)上記の反応液を、41℃で5分間保温後、以下の
組成の酵素液6.5μlを添加した。
【0053】酵素液の組成 30.8mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.5) 7.8% ソルビトール 29ユニット AMV逆転写酵素(宝酒造(株)製) 142ユニット T7 RNAポリメレース(東洋紡
(株)製) 3μg 牛血清アルブミン 容量調製用蒸留水 (4)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機
能付蛍光分光光度計を用い、41℃に保温して、励起波
長490nm、蛍光波長510nmで、PCRチューブ
内の反応溶液の蛍光強度を5分間隔で測定した。
【0054】酵素液添加時の時刻を0分として、サンプ
ルの蛍光強度比(所定時刻の蛍光強度値÷バックグラン
ドの蛍光強度値)の経時変化を図4(RNAサンプル濃
度106コピー/テスト、ITP終濃度0.5mM〜
3.0mM)に示した。
【0055】これより、T7 RNAポリメレースを用
いた場合、ITPを終濃度が0.5mMとなるように添
加した場合より1.0mM〜2.7mMとなるように添
加した場合の方が特定核酸の増幅効率は飛躍的に向上す
ることが示された。また、陰性(Nega)の場合には
蛍光強度の増加が見られていないことから、特定塩基配
列のRNAを検出していることが示された。
【0056】実施例3 インターカレーター性蛍光色素(図1)で標識された第
3のオリゴヌクレオチドおよび第4のオリゴヌクレオチ
ドによる特異産物の検出を検討した。
【0057】(1)前記標準RNA(HCV−RNA)
と合成RNA(WQ−RNA、配列番号7)を、RNA
希釈液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、
0.1mM EDTA、0.5U/μl RNase
Inhibitor)を用い、105コピー/4μlと
なるよう希釈した。コントロール試験区(Nega)に
は、希釈液のみを用いた。
【0058】(2)以下のRNAサンプル、インターカ
レーター性蛍光色素(図1)で標識されたオリゴヌクレ
オチドの組み合わせになるように(3)で溶液を調整し
た。
【0059】 RNAサンプル 蛍光色素標識オリゴヌクレオチド HCV RNA 第3オリゴヌクレオチド(YO−271) WQ−RNA 第3オリゴヌクレオチド(YO−271) Nega 第3オリゴヌクレオチド(YO−271) WQ−RNA 第4オリゴヌクレオチド(YO−WT) HCV RNA 第4オリゴヌクレオチド(YO−WT) Nega 第4オリゴヌクレオチド(YO−WT) (3)以下の組成の反応液15.2μlを市販の0.5
ml容PCR用チューブ(商品名;Gene Amp
Thin−Walled ReactionTube
s、パーキンエルマー社製)に分注し、これに上記RN
A試料4μlを添加後、ミネラルオイル100μlを重
層した。
【0060】反応液の組成 59.2mM Tris−酢酸緩衝液(pH8.1) 13.2mM 酢酸マグネシウム 123.7mM 酢酸カリウム 15.8% ソルビトール 19.7mM DTT 各1.0mMのdATP、dCTP、dGTP、dTT
P 各2.0mMのATP、CTP、GTP、UTP 2.5mMのITP 0.4μMの第1のオリゴヌクレオチド(配列番号1) 0.4μMのSP6プロモータ配列を有する第2のオリ
ゴヌクレオチド(配列番号2) 0.049μMのインターカレーター性蛍光色素(図
1)で標識された第3のオリゴヌクレオチド(YO−2
71)又はインターカレーター性蛍光色素(図1)で標
識された、YO−271とは異なる第4のオリゴヌクレ
オチド(配列番号8;該配列中の5’端10番目の
「A」と11番目の「G」の間にインターカレーター性
蛍光色素が標識されており、その3’末端はグリコール
酸で修飾されている、以後YO−WTと略する) 60ユニット リボヌクレエース インヒビター 3.9% DMSO 容量調製用蒸留水 (4)上記の反応液を、50℃で5分間保温後、以下の
組成の酵素液10.8μlを添加した。
【0061】酵素液の組成 83.3mM Tris−酢酸緩衝液(pH8.1) 18.5mM 酢酸マグネシウム 174.1mM 酢酸カリウム 22.2% ソルビトール 42ユニット AMV逆転写酵素 (宝酒造(株)製) 171ユニット SP6 RNAポリメレース (宝酒
造(株)製) 3μg 牛血清アルブミン 容量調製用蒸留水 (5)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機
能付蛍光分光光度計を用い、50℃に保温して、励起波
長490nm、蛍光波長510nmで、PCRチューブ
内の反応溶液の蛍光強度を5分間隔で測定した。
【0062】酵素液添加時の時刻を0分として、各サン
プルの蛍光強度比(所定時刻の蛍光強度値÷バックグラ
ンドの蛍光強度値)の経時変化を求めた結果を図5に、
増幅後のサンプルの4%アガロース電気泳動の結果を図
6に示した。図5より標的RNAと、その相補的な蛍光
色素で標識したオリゴヌクレオチド(HCVとYO−2
71、WQとYO−WT)を用いた時のみ、蛍光増加が
観測された。図6より、RNA試料が存在していたサン
プル(レーン1、2、4、5)は特異的なバンドが検出
された。以上のことより、ITP添加した際にも、得ら
れた蛍光強度は特異的産物の増幅のみを反映しているこ
とが示された。
【0063】実施例4 実施例2の反応条件を更に最適化した条件において、標
的核酸増幅における添加ITP濃度(終濃度2.8mM
〜4.4mM)の最適値を検討した。
【0064】(1)ヒトC型肝炎ウイルスRNAの塩基
番号1〜1487(加藤ら、Proc.Natl.Sc
i.、USA、1990年、87、9524〜952
8)を含む全長1549merのリコンビナントのRN
Aを標準RNA試料とし、260nmの紫外部吸収によ
り定量後、RNA希釈液(10mM Tris−HCl
(pH8.0)、0.1mM EDTA、0.5U/μ
l RNase Inhibitor、5.0mM D
TT)を用い105コピー/5μlとなるよう希釈し
た。コントロール試験区(Nega)には、前記RNA
希釈液のみを用いた。
【0065】(2)以下の組成の反応液20.8μlを
市販の0.5ml容PCR用チューブ(商品名;Gen
e Amp Thin−Walled Reactio
nTubes、パーキンエルマー社製)に分注し、これ
に上記RNA試料5μlを添加した。
【0066】反応液の組成(濃度は酵素溶液添加後の反
応系の最終濃度) 60.0mM Tris−塩酸緩衝液 (pH8.6) 13.0mM 塩化マグネシウム 90.0mM 塩化カリウム 1.0mM DTT 各0.25mM dATP、dCTP、dGTP、dT
TP 各3.0mM ATP、CTP、UTP、GTP 2.8、3.2、3.6、4.0、4.4mMのITP 1.0μM 第1のオリゴヌクレオチド(配列番号1) 1.0μM 第2のオリゴヌクレオチド(配列番号9;
該配列中の5’端1番目の「A」から28番目の「A」
までの部分はT7ポリメレースのプロモータ配列として
付加した配列である。) 0.16μMの切断用オリゴヌクレオチド(配列番号1
0;標的RNAを特定配列の5'末端で切断するための
オリゴヌクレオチド、特定配列の5'末端に重複して隣
接する領域に対して相補的な配列を有し、標的RNAと
RNA−DNA 2本鎖を形成した後、逆転写酵素のR
Nase H活性によりRNA−DNA 2本鎖のRN
Aを切断するためのオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレ
オチドプライマーとして機能しないように3'末端はア
ミノ化処理されている) 25.0nMのインターカレーター性蛍光色素(図1)
で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(YO−27
1)(配列番号3;3’末端はグリコール酸で修飾され
ている) 39ユニット リボヌクレエース インヒビター(宝酒
造(株)製) 15.0% DMSO 容量調製用蒸留水 (3)上記の反応液を、41℃で5分間保温後、以下の
組成で、かつ、予め41℃で2分間保温した酵素液4.
2μlを添加した。
【0067】酵素液の組成(反応時の最終濃度) 1.7% ソルビトール 8ユニット AMV逆転写酵素 (宝酒造(株)製) 142ユニット T7 RNAポリメレース (GIB
CO社製) 3μg 牛血清アルブミン 容量調製用蒸留水 (4)引き続きPCRチューブを直接測定可能な温調機
能付き蛍光分光光度計を用い、41℃に保温して、励起
波長470nm、蛍光波長510nmで、反応溶液の蛍
光強度を経時的に測定した。
【0068】酵素添加時の時刻を0分として、サンプル
の蛍光強度比(所定時刻の蛍光強度値÷バックグランド
の蛍光強度値)の経時変化を図7に示した。また、蛍光
強度比が1.2を超えた時間を立上り時間とし、立上り
時間とITP濃度との関係を図8に示した。
【0069】図7、図8より、立上り時間が最も早くな
るITPの最終濃度は3.2mMから4.4mMに最適
値があることが示された。このように、好適な条件で
は、ITPを添加することによって、105コピー/テ
ストのRNAが17分で検出され、高効率な増幅系の構
築ができたことが示された。陰性(Nega)のときに
は蛍光強度の増加が見られていないことから、特定塩基
配列のRNAを検出していることが示された。
【0070】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、試料中の特定塩基配列を含む1本鎖RNAに
ついて、反応液を急激に昇温・降温するという操作を繰
り返すことなく、概ね一定温度で、反応開始時に行う1
段階の手動操作のみで、かつ、迅速に試料中に元来存在
した特定RNA配列を増幅する方法において、ITPを添
加することによって増幅効率を飛躍的に向上させること
が可能となる。
【0071】また、本発明では、試料中の標的RNAを
もとにして、DNA依存性RNAポリメレースのプロモ
ーター領域を末端にもつ2本鎖DNAが合成され、これ
が多量の1本鎖RNAの合成源になり、さらに合成され
た1本鎖RNA量は飛躍的に増大し、インターカレータ
ー性蛍光色素で標識されたプローブが、生成した1本鎖
RNAと相補結合することによる蛍光増加を測定する工
程において、蛍光強度が増加する過程を解析することに
より、簡便かつ、迅速に初期RNA量を決定する方法を
提供することができる。
【0072】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Tosoh Corporation <120> 増強された核酸増幅法 <130> PA211-0195 <160> 10 <210> 1 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第1のオリゴヌクレオチド <400> 1 gcctttcgcg acccaaca 18 <210> 2 <211> 50 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第2のオリゴヌクレオチド <400> 2 atttaggtga cactatagaa tacaacctcc cgggagagcc atagtggtct 50 <210> 3 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第3のオリゴヌクレオチド <400> 3 ctcgcggggg ctg 13 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第1のオリゴヌクレオチド <400> 4 cctcccggga gagccatagt ggtc 24 <210> 5 <211> 48 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第2のオリゴヌクレオチド <400> 5 aattctaata cgactcacta tagggagagc ctttcgcgac ccaacact 48 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第3のオリゴヌクレオチド <400> 6 gtgcccccgc gagactgcta 20 <210> 7 <211> 102 <212> RNA <213> Artificial Sequence <220> <223> ヒトC型肝炎ウイルス合成RNA(WQ−RNA) <400> 7 gaauacaacc ucccgggaga gccauagugg ucugcgacug ucaucuaucu acacugucca 60 cuggaugcac ucuaucccau ucaguguugg gucgcgaaag gc 102 <210> 8 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第4のオリゴヌクレオチド <400> 8 gaatgggata gagtgcatcc agtg 24 <210> 9 <211> 53 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 第2のオリゴヌクレオチド <400> 9 aattctaata cgactcacta tagggagacc tcccgggaga gccatagtgg tct 53 <210> 10 <211> 50 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> 切断用オリゴヌクレオチド <400> 10 ccgggagggg gggtcctgga ggctgcacaa cactcatact aacgccatgg 50
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4で用いたインターカレーター性蛍
光色素で標識されたオリゴヌクレオチドのインターカレ
ーター性蛍光色素部分の化学構造である。B〜B3
核酸塩基を示す。
【図2】実施例1で行った初期RNA量106コピー/
30μlにおいて、ITPの終濃度を0.1mM〜1.
0mMとした際の反応時間と蛍光強度比のグラフであ
る。NegaとはRNA試料の代わりに希釈液のみを用
いたサンプルのことである。
【図3】実施例1で行った初期RNA量104コピー/
30μlにおいて、ITPの濃度を1.0〜2.0mM
とした際の反応時間と蛍光増加率のグラフである。Ne
gaはRNA試料の代わりに希釈液のみを用いた。
【図4】実施例2で行った初期RNA量106コピー/
30μlにおいて、ITPの濃度を0.5mM〜3.0
mMとした際の反応時間と蛍光増加率のグラフである。
NegaとはRNA試料の代わりに希釈液のみを用いた
サンプルのことである。
【図5】実施例3で行った、2種類のRNA試料(HC
VとWQ)のそれぞれに相補的な、蛍光性色素で標識し
たオリゴヌクレオチド(YO−271とYO−WT)に
よる特異産物の検出の反応時間と蛍光強度比のグラフで
ある。初期RNA量は105コピー/30μlで実施し
た。表中のNegaとはRNA試料の代わりに希釈液を
用いたサンプルのことを表している。特異的な組み合わ
せ(HCVとYO−271、WQとYO−WT)のみ蛍
光増加が見られた。
【図6】実施例3で反応させた後のサンプルの4%アガ
ロースゲル電気泳動の結果を示す、階調反転写真であ
る。RNA試料が存在していたサンプル(レーン1、
2、4、5)では特異的なバンドが検出された。レーン
7、8はHCV−RNA(155bp)とWQ−RNA
(102bp)の標品である。分子量マーカーにはφX
174/HaeIIIを使用した。
【図7】実施例4で行った初期RNA量105コピー/
30μlにおいて、ITPの終濃度を2.8mM〜4.
4mMとした際の反応時間と蛍光増加率のグラフであ
る。NegaとはRNA試料の代わりに希釈液のみを用
いたサンプルのことである。
【図8】実施例4で行った初期RNA量105コピー/
30μlにおいて、ITPの終濃度を2.8mM〜4.
4mMとした際の立上り時間(蛍光強度比:Negaと
はRNA試料の代わりに希釈液のみを用いたサンプルの
ことである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 C12N 15/00 ZNAA

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】特定塩基配列を含む試料中の標的RNAを
    鋳型として、プロモーター配列を有し前記特定塩基配列
    又は前記特定塩基配列と相補的な配列からなるRNAを
    転写可能な2本鎖DNAを生成し、RNAポリメレース
    によって前記特定塩基配列又は前記特定塩基配列に相補
    的な配列からなるRNA転写産物を生成し、更に、該R
    NA転写産物を鋳型として前記2本鎖DNAを生成する
    工程からなるRNA増幅工程において、RNAポリメレ
    ースの基質としてアデノシン三リン酸、ウリジン三リン
    酸、シチジン三リン酸、グアノシン三リン酸に加え、イ
    ノシン三リン酸を添加する、前記標的RNAの増幅方
    法。
  2. 【請求項2】前記増幅工程において、RNAポリメレー
    スとしてファージSP6のRNAポリメレースを用い、
    イノシン三リン酸を終濃度が0.5mM〜2mMの範囲
    となるように添加することを特徴とする、請求項1に記
    載の増幅方法。
  3. 【請求項3】添加するイノシン三リン酸の終濃度と、そ
    れ以外のリボヌクレオシド三リン酸(アデノシン三リン
    酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグアノシ
    ン三リン酸)の終濃度の比率が0.5対1.0〜1.5
    対1.0の範囲であることを特徴とする請求項2に記載
    の増幅方法。
  4. 【請求項4】前記増幅工程において、少なくとも、トリ
    ス塩酸緩衝液(pH8.5〜8.9)の終濃度が20m
    M〜50mM、塩化マグネシウムの終濃度が12mM〜
    20mM、リボヌクレオシド三リン酸(アデノシン三リ
    ン酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグアノ
    シン三リン酸)の終濃度が3.5mM〜5.0mM、R
    NAポリメレースとしてファージT7のRNAポリメレ
    ースを含み、イノシン三リン酸を終濃度が1.0mM〜
    2.7mMの範囲となるように添加することを特徴とす
    る、請求項1に記載の増幅方法。
  5. 【請求項5】添加するイノシン三リン酸の終濃度と、そ
    れ以外のリボヌクレオシド三リン酸(アデノシン三リン
    酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグアノシ
    ン三リン酸)の終濃度の比率が0.3対1.0〜0.7
    対1.0の範囲であることを特徴とする請求項4に記載
    の増幅方法。
  6. 【請求項6】前記増幅工程において、少なくとも、トリ
    ス塩酸緩衝液(pH8.5〜8.9)の終濃度が50m
    M〜80mM、塩化マグネシウムの終濃度が12mM〜
    20mM、リボヌクレオシド三リン酸(アデノシン三リ
    ン酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグアノ
    シン三リン酸)の終濃度が2mM〜3.5mM、RNA
    ポリメレースとしてファージT7のRNAポリメレース
    を含み、イノシン三リン酸を終濃度が3.2mM〜4.
    4mMの範囲となるように添加することを特徴とする、
    請求項1に記載の増幅方法。
  7. 【請求項7】添加するイノシン三リン酸の終濃度と、そ
    れ以外のリボヌクレオシド三リン酸(アデノシン三リン
    酸、ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸及びグアノシ
    ン三リン酸)の終濃度の比率が1.0対1.0〜1.0
    対1.5の範囲であることを特徴とする請求項6に記載
    の増幅方法。
  8. 【請求項8】前記RNA増幅工程は、特定塩基配列に相
    補的な配列を有するプライマー及び特定塩基配列に相同
    的な配列を有するプライマー(ここで一方のプライマー
    は、5’側にRNAポリメレースのプロモーター配列を
    有するプロモータープライマーである)を用い、標的R
    NAを鋳型としてRNA依存性DNAポリメレースによ
    り1本鎖DNAを生成し、該1本鎖DNAを鋳型として
    DNA依存性DNAポリメレースを用いることで、特定
    塩基配列又は特定塩基配列に相補的な配列からなるRN
    Aを転写可能なプロモーター配列を有する2本鎖DNA
    を生成すること、そして、該2本鎖DNAがRNAポリ
    メレース存在下でRNA転写産物を生成し、該RNA転
    写産物が引き続き前記RNA依存性DNAポリメレース
    による1本鎖DNA生成の鋳型となるものであることを
    特徴とする、請求項1に記載の増幅方法。
  9. 【請求項9】請求項1に記載の増幅工程をインターカレ
    ーター性蛍光色素で標識されたプローブの存在下で実施
    し、反応液の蛍光強度を経時的に測定することからな
    る、標的核酸の分析方法。
  10. 【請求項10】前記インターカレーター性蛍光色素で標
    識されたプローブが、RNA転写産物との相補結合によ
    って、複合体を形成していない場合と比較して蛍光特性
    が変化するものであることを特徴とする、請求項9に記
    載の分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006075046A (ja) * 2004-09-08 2006-03-23 Tosoh Corp 改良された核酸増幅方法

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