JPH11198836A - パワーステアリング負荷信号を流体温度及びモータ信号で補償する電動油圧式パワーステアリング制御装置 - Google Patents

パワーステアリング負荷信号を流体温度及びモータ信号で補償する電動油圧式パワーステアリング制御装置

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JPH11198836A
JPH11198836A JP10311800A JP31180098A JPH11198836A JP H11198836 A JPH11198836 A JP H11198836A JP 10311800 A JP10311800 A JP 10311800A JP 31180098 A JP31180098 A JP 31180098A JP H11198836 A JPH11198836 A JP H11198836A
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    • B62D5/065Power-assisted or power-driven steering fluid, i.e. using a pressurised fluid for most or all the force required for steering a vehicle characterised by specially adapted means for varying pressurised fluid supply based on need, e.g. on-demand, variable assist

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パワーステアリング負荷信号から演算された
パワーステアリング流体圧力の切り換え領域に正確性を
提供する。 【解決手段】 車輛用パワーステアリングシステム
(5)は、電動モータ用速度制御装置(24)を有す
る。該装置は、入力負荷信号から指令速度信号を演算
し、パワーステアリング流体圧力信号の切り換え領域で
待機動作用の低い速度とパワーステアリング作動の要求
を供給する高い速度との間で速度を切り換える(12
6)。このシステムは、パワーステアリング負荷信号を
提供するセンサ装置(44、47)及びパワーステアリ
ング流体温度センサ(48)を含む。速度制御は、パワ
ーステアリング流体温度信号及びモータ速度信号に応じ
てパワーステアリング負荷信号を修正することにより、
切り換え領域で入力負荷信号を演算し、温度及び速度に
応じた損失を補償する。速度制御装置は、好ましくは、
検出モータ速度又は指令速度信号のうちのいずれかをモ
ータ速度信号として提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の技術分野は、車輛用
パワーステアリングシステムに係り、更に詳細には、電
動モータによって駆動されるポンプにより流体出力が提
供されるシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】車輛用パワーステアリングシステムで
は、車輛の操舵を行うためにハンドルを廻す上で車輛の
オペレータをパワーアシストするための高圧のパワース
テアリング流体をポンプが提供する。このようなシステ
ムの多くは車輛用エンジンを使用し、プーリ−ベルト装
置を介してポンプを駆動する。しかしながら、車輛用エ
ンジンとは別個にポンプを駆動するため、電動油圧パワ
ーステアリングシステムで電動モータを使用することも
周知である。この方法によれば、車輛が直線的に進んで
いる場合や停止している場合等のパワーアシストが全く
必要とされない場合にエネルギーを大きく節約するた
め、ポンプを低い速度で駆動できる。
【0003】電動油圧式パワーステアリングシステムの
基本的構成は、1982年6月9日に公開された欧州特
許出願第0053297号に記載されている。これに
は、出力調整器12の制御下で作動電流がバッテリー1
1から供給される電動モータ6によって駆動されるポン
プ4が記載されている。パワーアシストに対する要求
は、パワーステアリング流体の逆圧力(counter-pressu
re)によって示される。これは、モータ負荷を増大し、
かくしてモータ電流を増大する。制御装置8は、モータ
電流センサ7に応じて、モータ6への電力を要求に合わ
せて変化させる。
【0004】しかしながら、パワーステアリング負荷
が、ポンプ駆動モータの電流又はポンプ出口での油圧に
よって表されるというこのシステムの基本的前提は、近
似的にしか成り立たない。モータの出力の一部は、パワ
ーステアリングシステムのポンプ/モータアッセンブリ
及び流体導管のエネルギー損失に打ち勝つために使用さ
れる。これらの損失には、モータの渦電流損失及びヒス
テリシス損失、モータ及びポンプの粘性−クーロン摩
擦、及びホース、制御弁及びギヤでの粘性損失が含ま
れ、これらは、パワーステアリング流体の温度及び好ま
しくはポンプとともにパワーステアリングリザーバ内に
浸漬されたモータの回転速度に従って有意に変化する。
特に制御装置がモータ速度の閉ループ制御を行う場合、
パワーステアリング負荷の大きな圧力範囲に亘って、こ
のような不正確さには問題がほとんどない。しかしなが
ら、パワーステアリングシステム負荷の全範囲のうち下
端の切り換え領域では、最少のパワーアシストが必要と
される場合にエネルギーを節約するための低速待機モー
ドと、高度のパワーアシストを行うためにかなり高いモ
ータ速度が必要とされるモードとの間でモータ及びポン
プの切り換えが行われ、これには大きな精度が必要とさ
れる。
【0005】切り換え領域では、このようなパワーステ
アリングシステムについての二つの必要条件が互いに競
合する。ポンプモータは、十分な量の流体をパワーステ
アリングシステムからの迅速に増大する要求を満たすの
に十分速く提供しない「ポンプのキャッチ(pump catc
h)」が起こらないように、好ましくは、低速待機状態
からパワーステアリング負荷の値が小さい高速状態に切
り換えられる。しかしながら、切り換え点が低ければ低
い程、待機状態の時間が短くなり、達成されるエネルギ
ー節約の程度が低くなる。従って、これらの二つの競合
する問題に鑑みて利点の最良の組み合わせを提供するよ
うに切り換え点を注意深く選択しなければならない。
【0006】切り換えでヒステリシスを使用することに
より不必要な周期をなくすが、切り換え点の選択におけ
る問題が更に悪化する。これは、このようなヒステリシ
スが、望ましくは低い上方への切り換え点が、望ましく
は高い下方への切り換え点よりも大きいことを必要とす
るためである。従って、パワーステアリングシステムの
設計は、注意深く選択された特定の切り換え点により特
定の車輛についての利点の最良の組み合わせを折衷的に
提供する。しかしながら、この利点の組み合わせは、シ
ステムをこれらの特定の切り換え点に対して非常に正確
に作動させなければ得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、パワーステ
アリング負荷信号から演算されるパワーステアリング流
体圧力の切り換え領域に正確性を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本明細書中に説明し、特
許請求した車輛用パワーステアリングシステムは、パワ
ーステアリング流体をパワーステアリングの作動上の要
求に合致する可変の流量で提供するため、ポンプ(1
4)を可変の速度で駆動する電動モータ(12)を使用
する。このシステムは、入力負荷信号から指令速度信号
を演算する、電動モータ用速度制御装置を有する。指令
速度信号は、入力負荷信号の切り換え領域で低い待機値
と高いノミナル値との間で切り換えられる。切り換え領
域は、必要なパワーアシストが最少であることを示す入
力負荷信号の低い値に応じて動力を節約するとともに低
いモータ速度待機値を提供し、必要なパワーアシストが
高いことを示す入力負荷信号の高い値に応じた高いモー
タ速度ノミナル値を提供するように較正される。
【0009】システムは、パワーステアリング負荷信号
を提供するためのセンサ装置及びパワーステアリング流
体温度センサを更に有する。速度制御装置は、パワース
テアリング流体温度センサ及びモータ速度信号に応じて
パワーステアリング負荷信号を修正し、温度及び速度に
応じて決まる損失を補償することによって、切り換え領
域で入力負荷信号を得る。
【0010】速度制御装置は、モータ速度を検出し、モ
ータに加えられる電力をモータ速度に応じて制御し、電
動モータの速度を指令速度信号の指令により変化させる
ための装置、及び検出されたモータ速度又は指令速度信
号のいずれかをモータ速度信号として提供するための装
置を更に有する。パワーステアリング負荷信号は、好ま
しくは、電動モータで検出された電流から得られるが、
別の態様では、パワーステアリング負荷を示す例えばポ
ンプ出口圧力等の任意の他の信号であってもよい。パワ
ーステアリング流体温度センサ及びモータ速度信号に応
じてパワーステアリング負荷信号を修正することによっ
て、温度及び速度に応じて決まる損失を補償し、これに
よって、待機状態からの切り換え又は待機状態への切り
換えを行う上での正確性を達成し、上文中に説明し利点
の所望の組み合わせを得る。
【0011】好ましい実施例では、モータ速度信号とし
て指令速度を使用する。これは、検出されたモータ速度
をモータ位置信号から演算するために低域フィルタに通
すことを必要とすることによる時間的遅延が指令速度に
はなく、そのため応答が迅速であるためである。好まし
くは、速度制御装置は、デジタルコンピューター等のデ
ジタル式制御装置を含み、パワーステアリング流体温度
センサからの出力信号から得られた温度係数を指令速度
信号に乗じ、この積をパワーステアリング負荷信号から
減じることによって補償が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、自動車用電動油圧式パワ
ーステアリング(EHPS)システム5のブロックダイ
ヤグラムである。ハウジング10は、パワーステアリン
グ流体用リザーバ並びにシステム構成要素用容器を含
む。ハウジング10内で電動モータ12がパワーステア
リング流体ポンプ14を駆動する。このポンプは、吸入
部16を有し、ポンプ出口導管18を通して加圧パワー
ステアリング流体をパワーステアリング装置20に提供
する上で効果的である。パワーステアリング装置は、例
えば1962年2月27日にジーグラーに賦与された米
国特許第3,022,772号又は1984年1月19
日にスパンに賦与された米国特許第4,454,801
号に示されているような、パワーステアリング流体の圧
力を使用してパワーステアリングアシストを提供する従
来の手段を有する。戻し導管22は、パワーステアリン
グ流体をステアリング装置20からハウジング10に戻
す。制御装置24がハウジング10内に配置されてい
る。この制御装置は、モータ12及びポンプ14ととも
に全体がハウジング内のパワーステアリング流体中に浸
漬してある。バッテリー26によって象徴的に示す従来
の車輛用直流電源が制御装置24に電力を提供し、モー
タ12用の作動電圧及び電流を発生する。
【0013】図2は、バッテリー26及びモータ12を
含む制御装置24のブロックダイヤグラムを示す。モー
タ電力回路30が直流電源26から電力を受け取り、好
ましくは三相ブラシレスモータであるモータ12に電流
を提供する。EHPS制御装置50が、モータ角度(位
置)センサ40からの入力信号(ΘM )、モータ電流セ
ンサ装置44からの入力信号(IM)、及びバッテリー
電流センサ46からの入力信号(IB)、並びに直流電
源26からの作動電圧に応じて、デューティー制御信号
を提供する。EHPS制御装置50は、更に、温度セン
サ48からのパワーステアリング流体の温度信号TF
受け取る。温度センサは、制御装置24の浸漬部分に配
置されているのがよい。
【0014】この装置の電動油圧式パワーステアリング
システムでは、ポンプ出口導管18でのパワーステアリ
ング流体圧力は、モータ電流と比例する電動モータのト
ルク出力と比例する。EHPS制御装置50に加えられ
るパワーステアリング負荷信号としてモータの検出を行
うのが便利であり、費用が安く済む。しかしながら、全
作動制御範囲をカバーするため、モータ電流を表示する
信号は、低い値から高い値までの範囲に亘っていなけれ
ばならないだけではなく、低い値のところで分解能が高
くなければならない。制御装置24には、デジタルコン
ピューター及びA/Dコンバータを含む信号入力装置が
設けられている。A/Dコンバータは、低い値での高い
分解能を取り扱うのに十分な分解能を持ち、低い値から
高い値までの全範囲をカバーする一方で、モータ電流信
号IM をコンバータ内で変換でき、単一の信号として使
用できる。しかしながら、分解能が低いA/Dコンバー
タを使用することによってかなりの費用を節約できる。
これは好ましい実施例であり、モータ電流信号IMは、
スケーラー47によって高ゲイン(IMH)信号及び低ゲ
イン(IML)信号の両方に換算され、高ゲイン信号IMH
は、低い値での高い分解能について使用され、低ゲイン
信号IMLは、値の全範囲が必要である場合に使用され
る。
【0015】図3は、EHPS制御装置50の機能ブロ
ックダイヤグラムである。このダイヤグラムは、速度コ
マンドブロック100、入力電流制限ブロック200、
及び速度制御ブロック300の3つの機能ブロックを、
それらの入出力接続、相互接続、及び各接続について表
示されたサンプル時間とともに示す。速度コマンドブロ
ック100は、8msの周期でサンプリングされた二つの
入力電流信号IMH及びIML、及び16ms乃至250msの
周期でサンプリングされた温度TF から所望のモータ速
度を決定する。この所望のモータ速度を速度コマンド信
号として出力する。
【0016】入力電流制限ブロック200は、最大入力
電流と対応する電圧信号を温度に基づいて決定し、供給
電力の電流ドレインを制限する。これには、サンプル期
間が2msのバッテリー電流IBの入力、サンプル期間が
16ms乃至250msの温度TF、及びサンプル期間が2m
sの制御装置のデューティー出力信号が提供される。そ
れ自体の最大デューティー出力信号は、許容可能な最大
入力電流を生成するデューティーサイクルを特定する。
【0017】速度制御ブロック300は、所望のモータ
速度及び最大入力電流から、指令モータデューティーサ
イクルを決定するため、比例制御及び積分制御を使用
し、反ワインドアップを含む。これは、速度コマンドブ
ロック100からサンプル期間が8msの速度コマンド出
力信号を受け取り、入力電流制限ブロック200から最
大デューティー出力信号を受け取り、更に入力モータ電
流信号IML及びモータ位置信号ΘMを受け取る。最後の
三つの信号のサンプリング周期は2msである。ブロック
のデューティー出力信号は、サンプリング周期が2msで
EHPS制御装置50の出力として提供されるととも
に、入力電流制限ブロック200にフィードバックされ
る。
【0018】図3の表示と同じものを図13及び図14
に好ましいデジタルコンピューター実施例で使用するた
めの標準的なコンピューターのフローチャートの形態で
示す。初期設定ルーチン(図13参照)を設定した後、
メインルーチン(図14参照)を2ms毎に繰り返し作動
する。初期設定ルーチンは、ステップ400で全てのカ
ウンタ等を初期化する。このルーチンは、ステップ40
2で全ての入力信号の値を読み込む。デューティーの初
期値を得るため、ルーチンは、ステップ404、40
6、及び408で速度コマンドサブルーチン、入力電流
制限サブルーチン、及び速度制御サブルーチンの夫々を
実施する。これらのサブルーチンは、同じ名称の図3の
機能ブロックと各々対応する。上掲のサブユニットの一
つである各機能ブロックは、本明細書中に説明するよう
に階層構造に組織化された別のサブルーチンを含む。
【0019】メインルーチンは、ステップ500で2ms
毎にサンプリングされた入力IML、IB、及びΘMを読み
込むことによって始まる。次に、ルーチンは、ステップ
502及び504で入力電流制限サブルーチン及び速度
制御サブルーチンの夫々を呼び出し、最大デューティー
出力及びデューティー出力の新たな値を2ms毎に提供す
る。最後に、ルーチンは、ステップ506、508、及
び510において、カウント1のカウンタを判定処理す
る。この判定処理によって、メインルーチンが4回実行
される度毎にステップ512で入力IMHが読み込まれ、
ステップ514で速度コマンドサブルーチンが実行され
る。好ましくは、16ms乃至250毎に入力TF を読み
込む割込みルーチンが設けられているのがよい。
【0020】速度コマンドブロック100を図4に更に
詳細に示す。この機能ブロックは、各々異なるアルゴリ
ズムに従って待機速度、ノミナル速度、及び制限速度を
演算し、三つのうちの最小の速度を速度コマンド出力信
号として選択する。かくして、入力された温度信号TF
及び電流信号IMHが待機速度コマンド120の機能ブロ
ックに提供される。このブロックでは、待機速度出力信
号が得られる。電流信号IMLがノミナル速度コマンド1
40の機能ブロックに提供され、このブロックでは、ノ
ミナル速度出力信号が得られ、温度信号TF及び電流信
号IMLが制限速度コマンド160の機能ブロックに提供
され、ここで制限速度出力信号が得られる。これらの出
力信号は、機能ブロックMIN(A、B、C)180に
入力A、B、及びCとして提供され、速度コマンド出力
信号を得る。機能ブロックMIN(A、B、C)180
は、待機速度信号、ノミナル速度信号、及び制限速度信
号のうちの最小値を選択し、かくして例えば図9に示す
ように全体として曲線に従った速度コマンド出力信号を
提供する。ここで、待機速度コマンド120は、パワー
ステアリング負荷の最小値を含む切り換え領域80で、
低い待機速度とこれよりも高いノミナル速度との間の切
り換えを制御し、ノミナル速度コマンド140は、パワ
ーステアリング負荷の広範なノミナル範囲85に亘って
制御を行い、制限速度コマンド160は制限領域90で
制御を行う。
【0021】図5を参照して待機速度コマンド120を
更に詳細に説明する。この機能ブロックは、パワーステ
アリング負荷目盛りの下端、即ち低いモータ電流値を取
り扱うため、モータ電流について高ゲイン信号IMHが使
用される。信号IMHを総和ブロック122に提供する。
このブロックでは、提供された補償済モータ電流信号が
以下に説明する補償値TVCOMPで減じられる。モー
タ電流から得られ、パワーステアリング流体温度及びモ
ータ速度について補償済のパワーステアリング負荷の概
算値である総和ブロック122の出力を非線型低域フィ
ルタ124に提供する。この低域フィルタの出力は、関
数発生器126への一つの入力として設けられている。
非線型低域フィルタ124は、パワーステアリング負荷
の増減する値に対して異なる時定数を提供する目的で設
けられている。速い時定数は、待機状態からの切り換え
が迅速に行われるようにモータ電流を増大するために提
供されるが、これは、このような切り換え時にノイズが
発生しないようにするため、制限される。ゆっくりとし
た時定数は、ハンドルの素早い動きの初期高デマンドス
パイクの後、待機状態に切り替わらないようにするため
にモータ電流を減少するために設けられているが、これ
は、移動の終了後に操舵感が軽くならないようにするの
に十分速い。フィルタ自体を以下に説明する。
【0022】関数発生器126は、入力Pの階段関数と
して出力Qを提供する。ヒステリシスは、入力Pの値を
減少するための閾値F及び入力Pの値を増大するための
閾値Rで決まる。関数発生器126は、待機作動と高速
作動との間での電動モータ12の切り換えを制御する。
閾値R及び閾値Fの値は、参照用テーブル128から、
このテーブルに入力として提供されたパワーステアリン
グ流体温度信号TF の関数として得られる。閾値F及び
閾値Rの特定の値を特定の車輛システムについて較正す
るが、一般的には、増大圧力についての切り換え点であ
る閾値Rの値は、減少圧力についての切り換え点である
閾値Fの値よりも大きく、両閾値は入力温度信号に従っ
て増大する。閾値R及び閾値Fの切り換え値を変化させ
ることによって、モータ電流信号IMHによる、又は別の
態様ではポンプ出口圧力によるパワーステアリング負荷
の表示に固有の流体温度の変化に伴う装置の損失につい
て、待機状態への及び待機状態からの切り換え点を補償
する。
【0023】関数発生器126の出力Qには、別の非線
型低域フィルタ130が設けられている。この低域フィ
ルタの出力が待機速度信号である。この非線型低域フィ
ルタ130は、指令されたモータ速度を加速及び減速し
て、モータの回転速度を制御し、待機状態からの及び待
機状態への切り換えと関連した所望の操舵感にシステム
を調整するのを助けるための異なる時定数を提供する。
【0024】温度入力を更に参照用テーブル132に提
供する。温度補償係数であるテーブルの出力CP を掛け
算器134で待機速度信号に乗じ、その積である補償値
TVCOMPを、ブロック122で上文中に説明したよ
うに、IMHから減じる。かくして、モータ電流IMHの入
力値に対してパワーステアリング流体温度及びモータ速
度を補償し、温度及びモータ速度に応じて決まる上文中
に説明した損失を補償する。待機状態からの切り換え及
び待機状態への切り換えは、最も精度を必要とする作業
であるため、切り換え点圧力値の補償又は入力電流の補
償のいずれかを使用するのがよく、本明細書中に説明し
たように両方を使用することにより制御の幅を拡げる。
別の態様は、この補償について得られた補償速度の値で
なく、実際に計測したモータ速度を使用するが、これも
また、モータの検出された回転位置から実際のモータ速
度信号を導出する上で使用された低域フィルタによる時
間的遅延を導入する。
【0025】非線型低域フィルタ124及び130の各
々を図6を参照して説明する。出力信号を遅延ブロック
135で1周期遅延させ、総和ブロック136で入力か
ら減じる。掛け算器137で総和ブロック136の出力
に選択可能な係数Aを乗じ、この積を総和ブロック13
8で遅延ブロック135の出力に加算し、フィルタ出力
を提供する。遅延ブロック135の出力を比較器139
においてこのフィルタへの入力値と比較する。Aの値
は、比較される値のいずれが大きいのかに応じて、即ち
フィルタへの入力が増大するのか減少するのかに応じ
て、較正可能な値a1又はa2のいずれかとして選択さ
れる。かくして、出力は、入力を増減するための異なる
時定数を持つ第1段低域フィルタを提供する。a1及び
a2の値は、特定の車両について及びフィルタ124及
び130の各々の性能基準について得られる。
【0026】図7を参照してノミナル速度コマンド14
0を説明する。これは、パワーステアリング負荷の中央
範囲により所望のモータ速度を決定する。入力IMLを関
数発生器142に提供し、入力Pに対し僅かに減少する
線型関数として出力Qを得る。出力Qは、ノミナル速度
出力信号を構成する。速度コマンドブロック100のこ
の部分は、パワーステアリング負荷(モータ電流又はパ
ワーステアリング流体圧力のいずれか)の、待機切り換
え点よりも僅かに大きい低い値と制限を開始する高い値
との間の大きな範囲に亘って、指令された速度を提供す
る。モータ速度に閉塞ループ制御が加えられるため、必
要とされる精度は、待機位置への及び待機位置からの切
り換えに必要な精度程高くなく、関連した大きな電流範
囲について、低ゲインモータ電流速度IMLが適当な入力
である。
【0027】圧力解放速度コマンド160を図8を参照
して説明する。これは、モータ電流がその可能な最大値
に到達したときにモータを「穏やかに停止」し、過熱に
よる電力半導体スイッチの破壊が起こらないようにす
る。入力信号IMLを総和ブロック162に提供し、その
出力を関数発生器164への入力として提供する。この
関数発生器では、出力Qは入力Pの減少線型関数であ
る。入力パワーステアリング温度信号TFを参照用テー
ブル166に提供する。この参照用テーブルは、出力値
L を総和ブロック162への他の入力として提供す
る。参照用テーブルの値は、一般的には、高温では高
く、そのため、温度が上昇すると、制限曲線を低圧方向
に効果的にシフトする。出力Qは、制限速度信号として
提供される。かくして、トランジスターを、それらの温
度が許容可能な最大値に到達することを見越して、増大
する負荷に従って徐々に停止する。パワーステアリング
流体温度信号を使用することは、便利であり且つ十分に
正確である。これは、トランジスターのヒートシンク
が、好ましくはパワーステアリング流体中に浸漬してあ
り、これによって冷却されるためである。しかしなが
ら、別の態様では、トランジスターのヒートシンクに又
はトランジスター自体に別の温度センサを設けることも
できる。更に、この機能をモータの電力回路で別の方法
で果たすことができる。
【0028】図10を参照して入力電流制限ブロック2
00を説明する。この機能は、パワーステアリングシス
テムが電力供給性能を使い過ぎないようにし、これによ
り、入力即ちバッテリー電流を温度TF の関数として制
限するために設けられている。この制限装置への入力
は、入力即ちバッテリー電流IBであって、モータ電流
ではないということに着目しなければならない。モータ
が切り換えモードで制御されるため、バッテリー電流と
モータ電流とは同じでない。入力された温度信号TF
参照用テーブル210に提供する。参照用テーブルは、
その減少関数として最大電流値IMAXを出力する。この
信号IMAX は、総和ブロック220に正の入力として提
供される。総和ブロックには、入力信号IB が負の入力
として提供される。総和ブロック220の出力を増幅器
230で係数Rによって換算し、換算した値を総和ブロ
ック240に提供する。遅延ブロック250を通してデ
ューティー入力信号を総和ブロック240の他方の入力
に提供する。総和ブロックの出力は、制限器260で0
%と100%との間で制限され、モータの最大許容電流
と対応する最大平均電圧を示す最大デューティー出力信
号として提供される。
【0029】図11を参照して速度制御ブロック300
を説明する。速度コマンドブロック100から速度コマ
ンド信号を総和ブロック310に正の入力として提供す
る。入力信号ΘMを大きな微分器及びフィルタ320ブ
ロックに提供する。その出力は、実際のモータ速度を表
すωMである。これは、総和ブロック310に負の入力
として提供される。このように信号を微分し低域フィル
タに通してその変化速度を得るための回路並びにコンピ
ューターアルゴリズムは周知である。従って、総和ブロ
ック310の出力は速度エラー信号であり、これはP+
I(比例積分)制御330機能ブロックに提供される。
P+I制御330は、入力電流制限ブロック200から
の最大デューティー信号及び入力電流信号IMLに応じて
反ワイドアップ制限(anti-windup limiting)を行う。
P+I制御330の出力は、最大デューティー信号とと
もに機能ブロックMIN(A、B)360に提供され
る。MIN(A、B)は、小さい方を選択し、デューテ
ィー信号としてこれを出力する。
【0030】P+I制御330を第12図に示す。図1
1の総和ブロック310からの速度エラー入力信号を比
例ブランチで換算増幅器332を通して総和ブロック3
34に加える。積分ブランチでは、速度エラー入力信号
は、先ず最初に換算増幅器336で掛け算される。次
に、モータ電流に基づいて反ワイドアップ制限を実施す
る。増幅器336の出力を選択スイッチ338の一方の
入力端子「a」に提供する。選択スイッチは、別の入力
端子「b」を更に有する。増幅器336の出力を関数発
生器340に提供し、その出力を増幅器338の入力端
子「b」に提供する。関数発生器340は、入力の負の
値を通すが、入力の正の値に対して以下に説明する方法
でゼロ入力を提供する。比較器342は、モータ電流I
MLを最大電流基準XCと比較し、この比較に基づいて制
御信号をスイッチ338に提供する。モータ電流IML
Cを越えない限り、増幅器336の出力はスイッチ3
38の入力端子「a」からその出力端子を通過する。し
かしながら、モータ電流IMLがXC を越えると、増幅器
336の出力は関数発生器340による変化を受けて入
力端子「b」に加えられる。そのため、増幅器336か
らの負の値だけがスイッチ338に通され、下方への積
分だけが行われる。
【0031】スイッチ338の出力は積分関数の総和ブ
ロック345に提供される。この総和ブロック345の
出力は、他の入力として総和ブロック334に加えら
れ、このブロックで比例ブランチの出力と加算される。
更に、総和ブロック345の出力は、関数発生器348
及び遅延ブロック350を通して正にフィードバックさ
れ、総和ブロック345に加えられる。関数ブロック3
48は、換算増幅器352を通して提供された最大デュ
ーティーの倍数である値に出力を制限することによっ
て、反ワイドアップ関数をデューティーサイクルに提供
する。これは、図11に参照されるように、出力信号デ
ューティーが最大デューティーに制限されるために行わ
れる。これは、制限が作用した状態で積分器をワインド
アップする。上文中に説明したように、比例ブランチ及
び積分ブランチからの信号を総和ブロック334に加
え、その出力を出力換算増幅器354で換算する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輛用電動油圧式パワーステアリ
ング(EHPS)システムの全ブロック図である。
【図2】図1のシステムのパワーステアリングポンプを
駆動するのに使用される電動モータ用の電力−制御シス
テムのブロック図である。
【図3】図2に示すEHPS制御装置の機能ブロック図
である。
【図4】図3のEHPS制御装置の速度コマンドブロッ
クの詳細図である。
【図5】図4のダイヤグラムの待機速度コマンドブロッ
クの詳細図である。
【図6】図5のダイヤグラムの非線型低域フィルタブロ
ックの詳細図である。
【図7】図4のダイヤグラムのノミナル速度コマンドブ
ロックの詳細図である。
【図8】図4のダイヤグラムの制限速度コマンドブロッ
クの詳細図である。
【図9】所望のモータ速度のプロットを図4乃至図8の
速度コマンドブロックについてのパワーステアリング負
荷の関数として示す図である。
【図10】図3のEHPS制御装置の入力電流制限ブロ
ックの詳細図である。
【図11】図3のEHPS制御装置の速度制御ブロック
の詳細図である。
【図12】図11のダイヤグラムのP+I制御ブロック
の詳細図である。
【図13】図3のEHPS制御から得られた等価のコン
ピューターフローチャートである。
【図14】図3のEHPS制御から得られた等価のコン
ピューターフローチャートである。
【符号の説明】
5 自動車用電動油圧式パワーステアリングシステム 10 ハウジング 12 電動モータ 14 パワーステアリング流体ポンプ 16 吸入部 18 ポンプ出口導管 20 パワーステアリング装置 22 戻し導管 24 制御装置 26 バッテリー

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パワーステアリング作動要求と合致する
    可変の流量でパワーステアリング流体を提供するため、
    ポンプ(14)を可変の速度で駆動する電動モータ(1
    2)と、指令速度信号に応答する電動モータ用速度制御
    装置(24)とを有する車輛用パワーステアリングシス
    テム(5)において、 指令速度信号を入力負荷信号から得るための手段であっ
    て、前記指令速度信号は、前記入力負荷信号の切り換え
    領域で低い待機値と高いノミナル値との間で切り換えら
    れ、前記切り換え領域は、必要とされるパワーアスシト
    が最少であることを示す低い入力負荷信号値に応じて出
    力を節約するため、低いモータ速度待機値を提供し、必
    要とされるパワーアスシトが高いことを示す高い値に応
    じて高いモータ速度ノミナル値を提供するように較正さ
    れている、手段(100)と、 パワーステアリング負荷信号を提供するためのセンサ手
    段(44、47)と、 パワーステアリング流体温度センサ(48)と、 前記パワーステアリング負荷信号を前記パワーステアリ
    ング流体温度信号及びモータ速度信号に応じて修正し、
    温度及び速度に応じて決まる損失を補償することによっ
    て、前記入力負荷信号を前記切り換え領域で演算するた
    めの手段(100)と、 モータ速度を検出し、前記モータへの電力を前記モータ
    速度に応じて制御し、前記指令速度信号の指令により前
    記電動モータの速度を変化させるための手段(40、3
    00、30)と、 検出された前記モータ速度信号及び前記指令速度信号の
    うちの一方をモータ速度信号として提供するための手段
    (134)とを有する、ことを特徴とする車輛用パワー
    ステアリングシステム。
  2. 【請求項2】 前記指令速度信号をモータ速度信号とし
    て提供(134)する、請求項1に記載の車輛用パワー
    ステアリングシステム。
  3. 【請求項3】 前記指令速度信号に、パワーステアリン
    グ流体温度信号センサからの出力信号から演算された温
    度補償係数CP を乗じ、その積をパワーステアリング負
    荷信号から減じる(122)、請求項1に記載の車輛用
    パワーステアリングシステム。
  4. 【請求項4】 前記温度補償係数は、パワーステアリン
    グ流体温度とは逆に変化する、請求項3に記載の車輛用
    パワーステアリングシステム。
  5. 【請求項5】 前記指令速度信号に、パワーステアリン
    グ流体温度信号センサからの出力信号から演算された温
    度補償係数CPを乗じ、その積をモータ電流センサの出
    力信号から減じる(122)、請求項2に記載の車輛用
    パワーステアリングシステム。
  6. 【請求項6】 前記温度補償係数は、パワーステアリン
    グ流体温度とは逆に変化する、請求項5に記載の車輛用
    パワーステアリングシステム。
  7. 【請求項7】 前記パワーステアリング負荷信号は、検
    出された電動モータの電流から演算(44)される、請
    求項1に記載の車輛用パワーステアリングシステム。
  8. 【請求項8】 前記指令速度信号はモータ速度信号とし
    て提供される、請求項7に記載の車輛用パワーステアリ
    ングシステム。
  9. 【請求項9】 前記指令速度信号に、パワーステアリン
    グ流体温度信号センサからの出力信号から演算された温
    度補償係数CP を乗じ、その積をパワーステアリング負
    荷信号から減じる(122)、請求項8に記載の車輛用
    パワーステアリングシステム。
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