JPH1119066A - 医用画像処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像領域とマスク領域との境界での大きな画
素値ギャップの影響を受けずに適切な画像処理を行な
う。 【解決手段】 マスク領域抽出部２２でマスク値をとる
画素を抽出し、その空間座標情報をマスク情報メモリ２
８に格納するとともに、マスク値をとる画素の部分をマ
スク領域除去部２４によって除去し、さらにマスク領域
補間部２５でその除去した部分について補間した後、画
像処理部２６で画像処理を行ない、マスク領域再生部２
７により、その処理後の画像データについて、マスク情
報メモリ２８からの情報に基づいて元のマスク領域を再
生する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、Ｘ線像や、Ｘ線
ＣＴ像あるいはＭＲ像などの医用画像を処理する装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】Ｘ線像や、Ｘ線ＣＴ像あるいはＭＲ像な
どの医用画像は、マスク処理の施された画像データとし
て得られていることが多い。すなわち、医用画像では、
画像マトリクスの全画素に元々データがない場合などが
あり、このデータのない画素では一定のマスク値が代入
されている。また、ノイズに埋もれていると判断される
画素にマスク値を代入したり、特定の領域を際立たせる
ために他の領域を無視するようその領域にマスク値を入
れたりすることもある。従来では、このようなマスク処
理画像についても、通常の画像と同様に、空間フィルタ
処理や、倍マトリクス再構成補間などの各種の画像処理
が施されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ようにマスク処理画像についても、通常の画像と同様に
画像処理を行なうと、種々の不都合が生じる。すなわ
ち、従来では、マスク領域のマスク値も画像領域のデー
タと同様に扱うため、マスク領域と画像領域との間の画
素値の大きな段差のために、たとえば倍マトリクス再構
成補間処理ではトランケーションアーティファクトが発
生するし、空間フィルタ（たとえば平滑化フィルタ）処
理を施す場合にはマスク領域に隣接する画像領域の画素
値の処理のためにマスク領域の値（マスク値）が参照さ
れることから画像領域の画素値が予想外に変化してしま
うとともにマスク領域も画像領域の影響を受けて一定で
なければならないマスク値が変化してしまう。

【０００４】この発明は、上記に鑑み、マスク処理され
た医用画像について不都合が生じないようにして画像処
理を行なうことができるように改善した、医用画像処理
装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明による医用画像処理装置においては、画像
データの中からマスク値をとる画素を求めてマスク領域
を抽出する手段と、そのマスク値をとる画素についての
情報を記憶する手段と、上記画素の部分をマスク領域と
して除去する手段と、除去された部分の画素を補間する
手段と、補間後の画像データに対して所定の画像処理を
施す手段と、画像処理後の画像データに対して、上記記
憶手段に記憶されていた情報に基づいて元のマスク領域
を再生させる手段とが備えられることが特徴となってい
る。

【０００６】元の画像データに含まれていたマスク領域
が除去され、代わりにその部分の画素値が補間される。
そのため、この補間後の画像データでは、元のマスク領
域は画像部分と連続的な値を持ったものとなる。そこ
で、この不連続な画素値ギャップのない画像データに対
して画像処理を施すため、所望の適切な画像処理を行な
うことができる。抽出されたマスク領域についての情報
は別途記憶されており、この情報に基づき、この画像処
理後の画像データに対して、元のマスク領域を再生させ
る。そのため、マスク領域と画像領域との境界での画素
値ギャップに影響されずに適切に画像処理された画像デ
ータを得ることが可能となる。

【０００７】

【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態に
ついて図面を参照しながら詳細に説明する。図１はこの
発明をＭＲイメージング装置に適用した実施形態を示す
ものである。ＭＲイメージング装置では、ＲＦパルス照
射装置、マグネット装置、ＲＦ受信装置およびそれらの
シーケンスを制御する制御装置などからなるＭＲデータ
収集装置１１が備えられており、これにより収集された
データが画像再構成装置１２に送られて各スライス面の
断層像が再構成される。このＭＲ像の画像データはいっ
たん画像メモリ１３に格納された後、読み出されて画像
処理装置１４で処理を受けた上で画像表示装置１５に送
られて表示される。

【０００８】画像メモリ１３に格納される画像データは
たとえば図２に示すようなもので、被写体ＭＲ断層像３
１が表われている画像領域の他にマスク領域３２が含ま
れている。ここでは、ＭＲ画像が正方形マトリクス画像
として得られているにもかかわらず、画像マトリクスが
長方形であるため、左右にマスク領域３２が設けられて
いる。画像処理装置１４には、マスク値決定部２１が備
えられており、入力された画像データの各画素値のどれ
がマスク値であるかを、画像データの解析によって自動
的に求め決定する。あるいは画像メモリ１３から送られ
る画像データのヘッダ部にマスク情報が含まれている場
合にはこれを参照して決めてもよい。さらに、あらかじ
めオペレータが指示器２３によってマスク値として入力
しておいた値を用いることもできる。

【０００９】つぎに、マスク領域抽出部２２において、
上記のマスク値を用いてマスク領域３２を抽出する。す
なわち、マスク値を持つ画素を抽出し、その各々の画素
について空間座標情報（横方向・縦方向の座標）をマス
ク情報メモリ２８に格納する。たとえば図２のＡ−Ａ線
における画像プロフィールが図３のようであるとする
と、そのマスク値となっているｐ、ｑ部を抽出し、その
ｐ、ｑ部に属する各画素の座標情報をマスク情報メモリ
２８に格納するのである。なお、この図２において背景
値は被写体ＭＲ断層像３１外の部分、つまり空気の部分
の画素値である。

【００１０】すべての画素についてマスク値かどうかの
判断を行なう上記のマスク領域３２の抽出処理が終了し
たら、マスク領域除去部２４でマスク領域３２と判断さ
れた部分を除去する。これにより、図４の実線で示すよ
うなプロフィールが得られる。つぎにマスク領域補間部
２５によって、このマスク領域３２の除去された画像デ
ータを用い、マスク領域３２となっていた部分の画素値
を、この領域３２の近傍の画素値（背景値）から補間す
る。補間方法としては、線形補間やスプライン補間など
の方法を用いることができ、また、近傍の画素値（背景
値）をそのまま充当して補間することもできる。図４の
プロフィールで言えば、ｐ、ｑ部について点線のように
して補間することになる。

【００１１】つぎに、補間された全体の画像データにつ
いて画像処理部２６において所定の画像処理を施す。こ
こで施す画像処理の例としては、輪郭強調処理、平滑化
フィルタ処理、メディアンフィルタ処理、倍マトリクス
再構成補間処理などを挙げることができる。たとえば、
図４の点線をも含むプロフィールにハイパスフィルタを
用いた輪郭強調処理を行なうものとすると、図５のよう
なプロフィールが得られる。

【００１２】このような画像処理の済んだ画像データが
マスク領域再生部２７に送られる。ここでは、マスク情
報メモリ２８から送られる情報に基づき、マスク領域３
２が再生される。すなわち、図６のプロフィールに示す
ように、マスク部とされたｐ、ｑ部についてマスク値が
復活させられる。この図６のプロフィールからも分かる
ように、マスク値をとる部分ｐ、ｑとそれに隣接した部
分（背景値をとる部分）との間で段差があることにより
影響されて不要な成分が付加されることなく、画像部分
（マスク部ｐ、ｑを除いた部分）のみ所望の画像処理の
施された画像データを得ることができる。

【００１３】ちなみに、このようにマスク領域抽出・除
去した後画像処理してその後マスク領域を再生させると
いうことなく、従来のように単にマスク領域をも含む画
像データに同様のハイパスフィルタを用いた輪郭強調処
理を行なうと、図７のようなプロフィールが得られるこ
とになる。画像部分では所望の輪郭強調が行われるもの
の、マスク値をとる部分ｐ、ｑとそれに隣接した部分
（背景値をとる部分）との間で大きなギャップがあるこ
とから、その境界が過度に強調され、付近にいわゆるア
ンダーシュート、オーバーシュートやリンギングなどが
発生してしまう。

【００１４】上記のマスク領域抽出・除去した後画像処
理してその後マスク領域を再生させるという構成によれ
ば、このようなマスク領域３２との境界での不要な成分
の付加がなく、最適な画像処理を行なうことができるの
である。

【００１５】なお、この発明は上の記述に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変
更できることはもちろんである。マスク領域３２は画像
領域の外側にあるものとして説明したが、マスクのタイ
プがこのようなアウタータイプだけでなく、内側にある
インナータイプであっても適用可能であるし、マスク領
域はどこにあってもよい。また、マスク値は１つの値だ
けに限らず、複数の値を用いた画像データに対しても適
用できる。図１の構成は一例であり、具体的な構成とし
ては種々のものを採用できるとともに、ハードウェアの
構成だけでなく、ソフトウェア的構成でも可能である。
さらに、上記ではＭＲイメージング装置に適用した例に
ついて説明したが、Ｘ線ＣＴ装置やＸ線テレビジョン映
像装置などにも適用でき、また、画像処理装置はこれら
画像撮影装置に組み込まれるものだけでなく、これら画
像撮影装置とは独立して構成することもできる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の医用画
像処理装置によれば、画像領域とマスク領域との境界で
の大きな画素値ギャップにもかかわらず、その画素値ギ
ャップの影響を受けない適切な画像処理を施すことがで
き、信頼性の高い画像が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を示すブロック図。

【図２】画像データの例を示す図。

【図３】画像データの１直線上のプロフィールを示す
図。

【図４】マスク領域を除去し、代わりにその部分を補間
したプロフィールを示す図。

【図５】補間したプロフィールに対して画像処理して得
たプロフィールを示す図。

【図６】画像処理後のプロフィールにマスク領域を復活
させたプロフィールを示す図。

【図７】従来例での画像処理後のプロフィールを示す
図。

【符号の説明】

１１ ＭＲデータ収集装置 １２ 画像再構成装置 １３ 画像メモリ １４ 画像処理装置 １５ 画像表示装置 ２１ マスク値決定部 ２２ マスク領域抽出部 ２３ 指示器 ２４ マスク領域除去部 ２５ マスク領域補間部 ２６ 画像処理部 ２７ マスク領域再生部 ２８ マスク情報メモリ ３１ 被写体ＭＲ断層像 ３２ マスク領域

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像データの中からマスク値をとる画素
   を求めてマスク領域を抽出する手段と、そのマスク値を
   とる画素についての情報を記憶する手段と、上記画素の
   部分をマスク領域として除去する手段と、除去された部
   分の画素を補間する手段と、補間後の画像データに対し
   て所定の画像処理を施す手段と、画像処理後の画像デー
   タに対して、上記記憶手段に記憶されていた情報に基づ
   いて元のマスク領域を再生させる手段とを備えることを
   特徴とする医用画像処理装置。