JPH11190395A - 免震構造体 - Google Patents

免震構造体

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JPH11190395A
JPH11190395A JP9361295A JP36129597A JPH11190395A JP H11190395 A JPH11190395 A JP H11190395A JP 9361295 A JP9361295 A JP 9361295A JP 36129597 A JP36129597 A JP 36129597A JP H11190395 A JPH11190395 A JP H11190395A
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JP
Japan
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seismic isolation
plate
isolation structure
damping
rubber
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Application number
JP9361295A
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English (en)
Inventor
Koji Kubo
孝治 久保
Hidetoshi Ogiwara
秀敏 荻原
Yoshihide Fukahori
美英 深堀
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で免震性能に優れ、しかも、製造
が簡単な免震構造体及びその簡易な製造方法を提供す
る。 【解決手段】 上下の面板の間に剛性を有した硬質板1
4と粘弾性的性質を有した軟質板16とを、複数個、交
互に積層した複合積層体12を設け、該複合積層体12
の内部に、該複合積層体を貫通する孔を設け、該孔の中
に摩擦板20を封入してなる免震構造体10であって、
軟質板16を構成する粘弾性的性質を有した材料の25
℃、100%引張り変形時のヒステリシス比をh100
とした時、0.3≦h100≦0.6であり、且つ、開
口部の直径をr、複合積層体12の直径をRとしたと
き、これらの比(r/R)が0.10≦r/R≦0.0
3の範囲にあることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は免震構造体に係わ
り、弾性体による減衰性と摩擦体による減衰性とのバラ
ンスが良好で、建物の固有振動数が長周期化され、且
つ、優れた減衰性能を有する免震構造体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、地震から建物を守るためは、複数
個の鋼板等の剛性を有した硬質板と、粘弾性的性質を有
したゴム等の軟質板とを交互に積層した複合積層体構造
を有する免震構造体で建物を支えることが行われてい
る。この免震構造体は、建物の固有振動数の長周期化を
図り、地震波との共振を防ぐことにより、振幅は大きい
がゆっくりした振動とし、一方、その揺れをダンパーを
併設することにより短時間で収束させる方法が一般的に
用いられている。また、ダンパーを併設することなく、
単純な構造で高い免震性能を有するものとして、粘弾性
材料自体に高い減衰性をもたせた高減震積層ゴムが知ら
れており、さらに、本願出願人は、積層構造体の中央部
に貫通孔を設けてその中に鉛等の塑性物封入するタイ
プ、或いは摩擦板を封入するタイプの免震構造体を先に
提案した。これらの免震構造体は従来品に比較して、単
純な構造で高い免震性能を示している。
【0003】従来は免震構造体の周期は、建造物等の躯
体を地震の卓越周期と共振させないためには2秒で十分
であると考えられていた。しかし最近は、特に阪神大震
災以後、免震構造体の周期を従来よりもっと長周期化
(例えば、3秒とか4秒とか)しようという動きがビル
建築分野で、活発化している。
【0004】この場合、周期を長周期化する程、免震構
造体の横ゆれの変位(変形量)は大きくなり、例えば隣
接物体との接触や配線、配置等の破損などを引起こす危
険性があるため、免震構造体の減震性能をより高くして
変位の大きさを小さくしようする考え方が一般化してい
る。
【0005】その場合、従来の高減衰積層ゴムの減衰量
だけでは減衰性が不足するので、先に述べたような複合
積層体の中心に開口部を設け、その中に減衰性の大きい
鉛等の塑性物や摩擦板を封入して十分高い減衰性能を得
る試みがなされており、特に、鉛入免震ゴムはすでに数
多く市販されている。
【0006】一方、摩擦板封入タイプでは、中空部を設
けた複合積層体(以後、積層ゴム本体と称する)に用い
る粘弾性材料(以下、適宜、ゴム材料と称する)の減衰
性が非常に小さいのが一般的であり、その場合、大きな
減衰を得るために封入する摩擦板の直径を大きくするこ
とが必要となる。
【0007】この免震構造体に用いられる積層ゴムと摩
擦板との減衰性をそれぞれについて評価すると、積層ゴ
ムの減衰性を剪断歪(γ)を横軸、応力を縦軸にとって
表す応力〜歪曲線は、図2(A)に示すように、ふくら
みのほとんどない(減衰がゼロである完全線形ゴムの場
合はふくらみがゼロ)のヒステリシスル−プとなる。ま
た、摩擦板による摩擦減衰特性は、図2(B)に示すよ
うに、箱形のヒステリシスル−プとなる。
【0008】これらを複合した免震構造体の減衰特性
は、両者をを加算したものとなり図2(C)に示すよう
なヒステリシスル−プを描く。この場合、片振幅だけを
考えると、免震構造体の減衰量(例えば、減衰量の指標
となる、等価減衰係数heq)は原理的には摩擦板によ
る減衰エネルギ−(図2(B)中の面積CDEF)と積
層ゴム(従来の摩擦減衰積層ゴムではその減衰量は一応
無視する)のバネ特性が産み出す弾性エネルギ−(図2
(A)中の面積△AOB)との比に比例する。
【0009】ところで図2(A)において歪が大きくな
ると、ヒステリシスル−プ(直線)の下の面積は歪の2
乗に比例して増加するが、図2(B)において歪が大き
くなった時の摩擦減衰エネルギーは、単に横方向に延び
る(高さCFは一定)だけなので箱型ヒステリシスル−
プの面積は歪の1乗に比例して増加する。
【0010】この結果、摩擦板を用いた免震構造体の剪
断歪みと減衰量との関係をプロットした場合、図3のグ
ラフに示すように、減衰量は歪が増加する時、大きく減
少する、即ち、(歪)-1に比例して増加することがわか
る。
【0011】つまり、摩擦板の摩擦力を利用して減衰性
能を得ようとする摩擦減衰積層ゴムは減衰量が大きな歪
依存性を持っていることがわかる。
【0012】即ち、摩擦板の摩擦減衰のみに頼る従来の
免震構造体は、変形の小さい時は必要以上の大きな減衰
量を得ることができるが、この結果初期剛性が大きくな
って中規模あるいは小規模の地震には免震効果が低下
し、一方、最も必要な大地震(大変形)時には減衰量が
激減することをさけられない。
【0013】更に、考慮しなければならないことは、地
震時には建物がロッキングする運動が発生する可能性が
あり、この場合躯体が持ち上がり、免震構造体に負圧が
かかることになる。当然のことながら、摩擦板で摩擦力
が発生する為には、摩擦板に垂直方向から正圧が加って
いることが必須条件であり、もし負圧がかかると摩擦板
は互いに離れてしまい摩擦力はゼロになる。つまり、摩
擦減衰のみに頼る従来の免震構造体では、負圧がかかる
と摩擦による減衰効果がゼロになってしまうという問題
が生じる。
【0014】さらに、積層ゴム本体の中心部に大きな穴
をあけた場合、例えば次のような数々のデメリットが発
生する。
【0015】a)積層ゴムを鉛直荷重を加えた状態で水
平方向にせん断大変形させると座屈が発生するが、中心
部の穴が大きくなればなる程、座屈する時のせん断歪
(座屈限界歪)が小さくなる。つまり座屈しやすくな
る。
【0016】b)当然中心部の穴が大きくなればなる
程、積層ゴムの破断特性、特に、破断強度が大幅に低下
する。
【0017】以上述べた点をまとめると、低減衰積層ゴ
ムの中心部に開口部を設けて、そこに摩擦板を封入した
従来の免震構造体は、積層ゴム本体の減衰性はほとんど
ゼロである為、減衰のほとんどすべてを摩擦板の摩擦減
衰に依存している。この場合、開口部の直径を大きく
し、それに見合う大きさの摩擦板を封入することによっ
て大きな減衰性能を得ることは可能であるが、前述の通
り数々のデメリットが発生し、未だ実用上、好適なもの
が得られていないのが現状である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、摩擦
板による摩擦減衰と積層ゴム自身による減衰性とのバラ
ンスが良好であり、且つ、優れた減衰性能、免震性能を
有する免震構造体を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の主眼点は、免震
用積層ゴムに必要な減衰量の大きな部分を積層ゴム本体
に発現させ、即ち積層ゴム本体を高減衰積層ゴムとし、
残りの必要減衰量を該積層ゴムの中心部に設けた開口部
(中空部)に封入された摩擦板によって発現させること
をめざしたものである。
【0020】こうすることによって、摩擦板によって発
現しなければならない減衰量はかなり小さいものでよい
ことになり、その結果、中空部の断面積は従来より、は
るかに小さいものとなり、従来の摩擦減衰積層ゴムのも
つ欠点が最小限におさえられたものとなることを解明
し、本発明に至った。
【0021】即ち、本発明の免震構造体は、上下の面板
の間に剛性を有した硬質板と粘弾性的性質を有した軟質
板とを、それぞれ複数個、交互に積層した複合積層体を
設け、該複合積層体の内部に、該複合積層体を貫通する
孔を設け、該孔の中に摩擦板を封入してなる免震構造体
であって、前記軟質板を構成する粘弾性的性質を有した
材料(以下、適宜、ゴム材料と称する)の25℃、10
0%引張り変形時のヒステリシス比をh100とした
時、下記式(1)を満たし、 0.3≦h100≦0.6 (1) 且つ、開口部の直径をr、複合積層体の直径をRとした
とき、これらの比r/Rが下記式(2)を満たすことを
特徴とする。
【0022】0.10≦r/R≦0.30 (2) 前記式(1)を満足するような高減衰積層ゴムに用いら
れる、高減衰のゴム材料は一般に減衰量の歪依存性が非
常に小さく、負圧になってもかなり高い減衰性を示す。
したがって、このような摩擦板を封入した積層ゴムから
なる免震構造体では、たとえ負圧がかかっても積層ゴム
に起因するかなりの減衰性を示すため、複雑な地震動に
対して減衰的に対応しうる複合的な機能を有するもので
ある。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の免震構造体につい
て詳細に説明する。
【0024】本発明の免震構造体は硬質板と軟質板とを
複数個、交互に積層した複合積層体の内部に貫通孔を設
け、該孔の中に摩擦板を封入した構造を有するが、ここ
で用いられる軟質板を構成するゴム材料は、25℃、1
00%引張り変形時のヒステリシス比をh100とした
時、0.3≦h100≦0.6の範囲にあり、且つ、貫
通孔の直径をr、複合積層体の直径をRとしたとき、こ
れらの比r/Rは0.10≦r/R≦0.30の範囲に
あることを特徴としている。
【0025】本発明の免震構造体の態様について図を示
して説明する。図1は後述する本発明の実施例2の免震
構造体10の態様を示す概略断面図である。免震構造体
10を構成する複合積層体12は硬質板14と軟質板1
6とが交互に積層されてなり、複合積層体12の中央部
には貫通孔(中空部)が設けられ、中空部に摩擦板20
が積層されて封入されている。摩擦板20と複合積層体
12との間には軟質板16保護のためのゴム層21が配
置され、複合積層体12は外皮ゴム18で被覆されてい
る。摩擦板20の積層体の上に圧力伝達板の機能を有す
る押さえ板24が配置され、フランジ22の中央部にM
68のメネジを切った鋼板23を接合し、オネジを切っ
た六角穴付き押さえボルトを上ブタ26として配置し、
上ブタ26を締め付けて摩擦板20積層体に封入力をか
けている。
【0026】本発明の複合積層体の軟質板材料として用
いられるゴム材料は、その減衰性能(ヒステリシス比)
について、25°C 、100%引張変形時のヒステリシ
ス比h100が下記式(1)を満たすことを要する。
【0027】0.3≦h100≦0.6 (1) なお、ヒステリシス比(h100)は、好ましくは、
0.30≦h100≦0.55の範囲であり、より好ま
しくは、0.30≦h100≦0.50の範囲であり、
最も好ましいのは、0.35≦h100≦0.50の範
囲である。
【0028】この場合、h100が0.60より大きい
時には、摩擦減衰を付加しなくても積層ゴム本体だけで
十分な減衰性能を持つことになるが、クリープが大きす
ぎる等の問題を生じる。他方、h100が0.3より小
さい場合、中空部の直径をかなり大きくする必要があ
り、摩擦板に起因する前述のデメリットが大きくなりす
ぎる。
【0029】ここで、25℃におけるヒステリシス比
(h100)の測定方法を説明する。この測定は、JI
S K 6301に準拠して行う。即ち、25℃の雰囲
気下において、試験片(幅25mm、厚さ2mm、長さ
150mm)をつかみ間100mmで引張試験機に固定
し、試験速度20mm/minで伸長100%に至るま
での伸長及び緩和を行い、図4に示すようなヒステリシ
ス曲線を得る。ここで、伸びはつかみ間の移動量から求
めた。図4における△OABCO(ヒステリシス曲線で
囲まれた部分の面積)と、△OABHO(曲線OAB、
直線BH、直線HOで囲まれた部分の面積)から、下記
式により(h100)を算出することができる。
【0030】 (h100)=(△OABCO/△OABHO) る。
【0031】この軟質板に用いうる材料としては、具体
的には、熱可塑ゴム、ウレタンゴム、各種の加硫ゴム、
未加硫ゴム、微架橋ゴム、プラスチックス等の有機材
料、これらの発泡体、アスファルト、粘土等の無機材
料、これらの混合材料など各種のものを用いて前記ヒス
テリシス比(h100)の範囲を達成するように調製す
ればよい。
【0032】これらの材料は、平板状に成形され、軟質
板として用いられる。軟質板の形状は特に制限はない
が、本発明の免震構造体においては複合積層体内に柱状
の中空部を有することから、軟質板形状は、中央に中空
部を有する形状であることが必要である。免震構造体が
円柱状で中空部も円柱状の場合、個々の軟質板はドーナ
ツ盤状の形状を有するが、外形や孔形状が角柱であれば
その形状に合わせた四角形のものであっても良い。軟質
板の厚みには特に制限はなく、使用される材料及び所望
の免震性能によって選択できる。
【0033】ここで、複合積層体に設けられた開口部の
直径(これは封入される摩擦板の直径に近似する)を
r、複合積層体の直径をRとしたとき、これらの比r/
Rが下記式(2)を満たすことが必要である。
【0034】0.10≦r/R≦0.30 (2) このr/Rの値は、好ましくは、0.10≦r/R≦
0.25の範囲であり、最も好ましいのは、0.10≦
r/R≦0.20の範囲である。
【0035】r/Rが0.3を超えると、摩擦板に起因
する前記のデメリットが大幅に増加する。0.10以下
では中空部全体が、断面積が小さく細長い形状になるた
め、中に封入される摩擦板のすべりが不規則となり、さ
らに、摩擦減衰量が非常に小さくなって実用に供しえな
い。
【0036】なお、本発明では複合積層体の形状は図1
の概略断面図に示すように円柱形を想定しているが、積
層ゴムの外形が例えば、図5に斜視図で示すような長方
形である場合、長方形の短辺の長さをRとすることで、
空孔の直径rと長方形の短辺の長さRの比は、前記した
r/Rの範囲をそのまま好ましい範囲として適用でき
る。
【0037】また、本発明の積層ゴムに用いる硬質板と
しては、金属、セラミックス、プラスチックス、FR
P、ポリウレタン、木材、紙板、スレート板、化粧板等
所要の剛性を有する各種の材料を使用することが出来
る。ここで所望の剛性とは設計条件により大きく変わる
が、せん断変形した時、座屈現象が生じにくい剛性を意
味する。
【0038】硬質板の厚み、形状には特に制限はなく、
使用される材料及び所望の免震性能によって選択できる
が、その厚みは、一般には0.5〜5mm程度の厚みの
ものが使用される。また形状は、積層される軟質板と同
様、中央に中空部を有することの他は任意であるが、通
常は、併用する軟質板と同じ形状のものを用いる。
【0039】前記軟質板と硬質板とを交互に複数段積層
して複合積層体を構成するものである。軟質板及び硬質
板、それぞれの形状、面積及び厚さは前記した如く要求
される免震性能によって適宜選択される。
【0040】次に、本発明の免震構造体に用いられる摩
擦板について説明する。本発明に係る摩擦板に用いる有
機高分子材料としては、具体的には、例えば、熱可塑性
樹脂として、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−P−キシレン、
ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタアクリレ
ート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系
プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエー
テル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネ
イト、熱可塑性ポリエステル、ジエン系プラスチック、
芳香族ポリアミド、ポリフェニレン、シリコーン等を、
熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、不飽和ポリエス
テル、ポリウレタン系プラスチック、エポシキ樹脂等を
用いることができる。また、これらの有機高分子材料に
対して、シリコーンポリマーを1重量%〜20重量%添
加したものが、摩擦係数の低減及び剪断応力が掛かった
場合の摩擦音発生防止の観点から好ましい。ベースとな
る高分子材料としては、前記シリコーンポリマーを混練
する際の材料特性及び入手の容易性の観点から、熱可塑
性樹脂であるナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ABS、ポリ
スチレン、塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等
から選択されるものが好ましい。これらの有機高分子材
料は、これをマトリックスとして、ガラス繊維、カーボ
ン繊維、金属繊維等の強化繊維により補強された繊維強
化樹脂(FRP)や無機質粒子を充填した材料としても
使用することができる。これらの樹脂は単独でも、複数
種を併用したものであってもよい。
【0041】複合積層体に形成された中空部に充填され
る摩擦板は封入力をかけて充填されることが好ましく、
摩擦板を封入するため応力として、面圧5〜150Kg
f/cm2 が用いられる、好ましくは、5〜50Kgf
/cm2 で好適に用いられる、更に好ましくは、5〜2
0Kgf/cm2 で好適に用いられる。
【0042】この摩擦板の封入方法は任意であるが、封
入力(押込み力)を容易に制御するために、摩擦板を封
入する際に、上部面板にボルト(ネジ山を有するフタ)
を設けることが好ましい。このネジの締めつけトルクを
調整することによって封入力(押込み力)を容易にコン
トロールすることができる。即ち、上面板にネジを切
り、そこに適合するボルトを設けて、そのネジの締め付
けトルクを一定にすることにより摩擦板に加わる封入力
を一定になるよう調整しうるものである。
【0043】本発明の免震構造体は単独で免震装置とし
て利用するのみならず、さまざまな免震装置に組み込ん
でその免震性能を生かして用いることができる。
【0044】
【実施例】以下に、実施例を示して本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。 (実施例1)軟質板16として、直径(R)800mm
φ、厚さ6.5mmであり、中心部に内径(r)115mm
φ(r/R=0.14)の中空部を設けた、高減衰ゴム
(樹脂及びカーボンの充填による補強ゴム、h100=
0.43)からなるゴム層を31層、硬質板14とし
て、軟質板と同じ直径を有し、厚さ2.2mmの鉄板層3
0層を用いて複合積層体(積層ゴム)12を製作した。
この中空部にほぼ等しい直径のナイロン板(2.0mm
厚)を摩擦板20として136層封入して、免震構造体
10を得た。 (比較例1)軟質板として、直径(R)800mmφ、厚
さ6.5mmであり、中心部に内径(r)270mmφ(r
/R=0.34)の中空部を設けた、低減衰ゴム(少量
のカーボンを充填したゴム、h100=0.07)から
なるゴム層を31層、硬質板として、軟質板と同じ直径
を有し、厚さ2.2mmの鉄板層30層を用いて複合積層
体(積層ゴム)を製作した。この中空部に開口部内径と
ほぼ等しい直径のナイロン板(2.0mm厚)を摩擦板と
して136層封入して、免震構造体を得た。 [評価試験]上記各免震構造体に面圧100kg/cm2を加
えた状態でせん断変形をさせた時のheq(等価減衰係
数)の値を、せん断歪に対してプロットしたグラフを図
6に示した。なお、図6中に、参考例として、実施例と
同一の高減免ゴムを用い、中空部を設けず、摩擦板を封
入していない免震構造体(いわゆる一般的な高減免震ゴ
ム)についての結果を点線で示している。
【0045】図6より明らかなように、高減衰ゴムを用
いた複合積層体のみからなる免震構造体(図6中に〇と
点線で示す)のheqは歪依存性が非常に小さいことが
わかる。ところが、低減衰ゴム(h100=0.07)
を用いた積層ゴムの中空部に摩擦板を封入した比較例
(図6中に△と破線で示す)の場合、heqの歪依存性
が非常に大きい。従って例えば100%歪でheq=
0.20の値を確保出来ても大地震の時最も重要な大変
形歪(例えば200%〜250%)では、heqが0.
10程度に低下してしまい減衰量が大幅に不足する。
【0046】このような中空部に封入した摩擦板による
摩擦減衰に依存しすぎた特性を持つ免震用積層ゴムは実
際上、大地震に対して効果を期待できないことがわか
る。
【0047】一方、積層ゴム本体に高減衰ゴム(h10
0=0.43)を用い、その減衰量によって免震用積層
ゴムとして必要な減衰量の大部分を充当し、不足分を中
空部の摩擦板による摩擦減衰に依存する実施例1(図6
中に□と実線で示す)の場合、heqの歪依存性も小さ
く、全歪域にわたって十分な減衰性能を有することがわ
かる。
【0048】(実施例2)図1は、実施例2の免震構造
体を示す概略断面図である。
【0049】軟質板16に高減衰ゴム材料(樹脂及びカ
ーボンの充填による補強ゴム、h100=0.35)を
用い、直径(R)250mmφ、開口部の内径(r)50
mmφ、厚さ2.5mmの軟質板16を25層、硬質板14
として軟質板と同じ形状で厚さが1.6mmの鉄板24層
を積層して高さ(H)100mmの複合積層体を作製した
(r/R=0.20)。その中空部に摩擦板20とし
て、直径が開口部の内径に略等しく厚さが2.0mmのナ
イロン板51枚を封入し、上部面板22にねじ込まれた
ネジを切ったフタ24を締めつけて、初期締めつけ力1
0kg/cm2で封入して免震構造体を得た。
【0050】この免震構造体に荷重53ton(面圧=
108kg/cm2)をかけてその座屈限界歪を測定したとこ
ろ、結果は17cmであり、座屈しにくいことがわかっ
た。 (比較例2)複合積層体に設けた開口部の内径を100
mmφとして、封入する摩擦板の直径をそれに適合させ、
r/R=0.40とした他は、実施例2と同様にして免
震構造体を得た。この免震構造体の座屈限界歪を実施例
2と同様に測定したところ、結果は、8.5cmであっ
た。
【0051】実施例2及び比較例2の評価結果より、同
じ材料を用いても、r/R比が本発明の範囲外である免
震構造体は座屈しやすく、実用に適さないことがわかっ
た。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、簡単な構造で、摩擦板
による摩擦減衰と積層ゴムによる減衰性とのバランスが
良好であり、建物の固有振動数が長周期化され、且つ、
優れた減衰性能、免震性能を有する免震構造体を提供す
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2の免震構造体を示す概略断面図であ
る。
【図2】 免震構造体の構成要素の剪断変形(γ)と応
力の関係を示すグラフであり、(A)は複合積層体、
(B)は摩擦板積層体、(C)は両者を複合した免震構
造体のヒステリシスル−プを示す。
【図3】 免震構造体の剪断歪(γ)と減衰量との関係
を示すグラフである。
【図4】 軟質板材料のヒステリシス比(h100)の
算出に用いられる軟質材料のヒステリシス曲線のモデル
を示すグラフである。
【図5】 外形(断面)が長方形の複合積層体を示す斜
視図である。
【図6】 免震構造体に面圧100kg/cm2を加えた状態
でせん断変形をさせた時のheq(等価減衰係数)の値
と、剪断歪との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 免震構造体 12 複合積層体 14 硬質板 16 軟質板 18 外皮ゴム 20 摩擦板 22 上フランジ 24 フタ(ネジを切ったフタ)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下の面板の間に剛性を有した硬質板と
    粘弾性的性質を有した軟質板とを、それぞれ複数個、交
    互に積層した複合積層体を設け、該複合積層体の内部
    に、該複合積層体を貫通する孔を設け、該孔の中に摩擦
    板を封入してなる免震構造体であって、 前記軟質板を構成する粘弾性的性質を有した材料の25
    ℃、100%引張り変形時のヒステリシス比をh100
    とした時、下記式(1)を満足し、 0.3≦h100≦0.6 (1) 且つ、開口部の直径をr、複合積層体の直径をRとした
    とき、これらの比(r/R)が下記式(2)を満足する
    ことを特徴とする免震構造体。 0.10≦r/R≦0.30 (2)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010091339A (ja) * 2008-10-06 2010-04-22 Takenaka Komuten Co Ltd 復元力特性同定方法
WO2016201890A1 (zh) * 2015-06-16 2016-12-22 广东工业大学 频率可调复合减振器

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