JPH11190351A - シール摺動部材ならびに転がり軸受 - Google Patents

シール摺動部材ならびに転がり軸受

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JPH11190351A
JPH11190351A JP36883197A JP36883197A JPH11190351A JP H11190351 A JPH11190351 A JP H11190351A JP 36883197 A JP36883197 A JP 36883197A JP 36883197 A JP36883197 A JP 36883197A JP H11190351 A JPH11190351 A JP H11190351A
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layer
rolling bearing
lip
bearing
nitrided
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Kazuhisa Kajiwara
一寿 梶原
Ikuo Ito
育夫 伊藤
Hideki Fujiwara
英樹 藤原
Haruo Kimura
治生 木村
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/58Raceways; Race rings
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シール摺動部材において、寸法変化を抑制しな
がら、摩擦係数を低減できるように改質し、発熱や摩耗
を抑制できるようにすること。 【解決手段】シール摺動部材あるいは転がり軸受の軌道
輪(2)の表面にその表面酸化物が除去された状態で窒
化層あるいは浸硫窒化層8を形成することで、その形成
過程における母材の熱歪みを抑えつつ、緻密かつ平滑で
硬質な表面性状に改質できるようにしている。これによ
り、シール摺動部分の摩擦係数が低くなり、油膜切れが
発生するような状況でも発熱を抑制できるようになる。
しかも、窒化層あるいは浸硫窒化層8の形成処理が従来
の熱硬化処理に比べて低温、短時間で済むようになり、
従来のような後処理を省略できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シール摺動部材な
らびに転がり軸受に関する。例えば転がり軸受として
は、例えばエンジンのベルト系に使用されるアイドラ軸
受などの用途に用いられるものが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】例えば、転がり軸受では、その内・外輪
間の軸方向一端側にシール部材が装着されたものがある
が、特に高い密封性を得る必要があるような場合には、
シール部材のリップを内・外輪のいずれか一方の肩部周
面に対して摺動接触させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、シー
ル部材のリップを軸受軌道輪に対して摺動接触する形態
にしていると、摺動に伴い油膜切れを起こしやすくなっ
て発熱しやすくなるため、リップが熱劣化して変形する
おそれがあるなど、密封性能の低下を余儀なくされる。
また、摺動発熱によって、軸受そのものの温度上昇が促
進されることにもなり、ひいては軸受内部のグリースな
どの潤滑剤が比較的早期段階で熱劣化しやすくなるな
ど、軸受寿命の低下を招来するおそれがある。
【0004】これに対して、軌道輪のリップ摺動面に対
して熱硬化処理を施すことが考えられるが、その場合、
リップ摺動面における硬度が高くなるので、リップ摺動
面の摩擦係数を低くできて発熱抑制に貢献できるように
なるけれども、下記のように製造面での不具合が発生す
る。
【0005】すなわち、上記熱硬化処理では、金属組織
をマルテンサイトからオーステナイトへ変態させるこ
と、および処理時の温度変化が大きいことにより、母材
の歪みが大きくなって寸法変化が大きくなりやすいた
め、熱処理後に研磨処理と超仕上げ処理とを施さなけれ
ばならなくなるなど、製造コスト増につながることが指
摘される。
【0006】したがって、本発明は、シール摺動部材に
おいて、寸法変化を抑制しながら、摩擦係数を低減でき
るように改質し、発熱や摩耗を抑制できるようにするこ
とを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1のシー
ル摺動部材は、シール部材のリップが摺動接触させられ
るもので、リップ摺動面に、その表面酸化物が除去され
た状態で窒化層または浸硫窒化層が形成されている。
【0008】本発明の請求項2の転がり軸受は、シール
部材のリップが摺動接触させられる軌道輪を有するもの
で、前記軌道輪の少なくとも前記リップ摺動面に、その
表面酸化物が除去された状態で窒化層または浸硫窒化層
が形成されている。
【0009】本発明の請求項3の転がり軸受は、シール
部材のリップが摺動接触させられる軌道輪を有するもの
で、前記軌道輪の外表面全体に、その表面酸化物が除去
された状態で窒化層または浸硫窒化層が形成されてい
る。
【0010】本発明の請求項4の転がり軸受は、上記請
求項2または3の窒化層を、その軌道輪の表面側に形成
される窒化物を含有する硬質な窒化化合物層と、さらに
それよりも下方に窒素が拡散されてなる拡散層とを含む
構成としている。
【0011】本発明の請求項5の転がり軸受は、上記請
求項2または3の浸硫窒化層を、その軌道輪の表面側に
形成される硫黄を含む浸硫層と、その下方に形成される
窒化化合物層と、さらにそれよりも下方に窒素が拡散さ
れてなる拡散層とを含む構成としている。
【0012】以上、本発明においてシール摺動部材ある
いは軸受軌道輪の表面に形成される窒化層は、母材表面
に不可避的に存在する酸化物が除去された状態で形成さ
れたものであるから、その形成処理が上記従来の熱硬化
処理に比べて低温、短時間で済むうえ、緻密かつ平滑で
硬質になっている。つまり、窒化層の形成処理が上記従
来の熱硬化処理に比べて低温、短時間で済むから、処理
過程において母材の熱歪みがほとんど発生せずに済み、
従来の熱硬化処理において必要であった研磨などの後処
理が不要になる。また、窒化層が緻密かつ平滑で硬質に
形成されているから、上記従来の熱硬化処理以上に、リ
ップ摺動面の摩擦係数を低くできるようになる。
【0013】また、本発明においてシール摺動部材ある
いは軸受軌道輪の表面に形成される浸硫窒化層は、ガス
浸硫窒化処理により得られるものであって、その処理ガ
スが金属母材の表面に不可避的に存在する酸化物を除去
する機能を有しているので、その形成処理が上記従来の
熱硬化処理に比べて低温、短時間で済むうえ、緻密かつ
平滑で硬質になっているとともに潤滑性に優れた硫黄成
分を含有するものになっている。つまり、上記窒化層の
場合と同様、処理過程において母材の熱歪みがほとんど
発生せずに済み、従来の熱硬化処理において必要であっ
た研磨などの後処理が不要になる。しかも、浸硫窒化層
を形成している場合、リップ摺動面の摩擦係数が上記窒
化層を形成している場合よりもさらに低くなる。
【0014】このような窒化層あるいは浸硫窒化層を形
成していれば、シール部材のリップならびにシール摺動
部分の発熱を抑制できるようになる。また、軸受軌道輪
の場合にあっては、軸受そのものの昇温を抑制できるよ
うになる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の詳細を図1ないし図4に
示す各実施形態に基づいて説明する。
【0016】図1および図2は本発明の一実施形態にか
かり、図1は、転がり軸受の上半分の縦断面図、図2
は、浸硫窒化層の断面写真およびその断面模式図であ
る。
【0017】図例の転がり軸受1は、いわゆる深溝型玉
軸受であり、内輪2、外輪3、複数の球状の転動体4
と、保持器5とを備えている。この転がり軸受1は、そ
の軸方向両端部にシール部材6,7が装着されることに
より軸受内部にグリースなどの潤滑剤を封入した密封タ
イプとなっている。
【0018】シール部材6,7は、環状芯金61,71
の外周から外側面を経て内周にまたがって弾性体62,
72を被着した構成であり、環状芯金61,71の内周
部分の弾性体62,72には、二股のリップ63,6
4,73,74が設けられている。なお、前述の弾性体
62,72は、アクリルゴムやニトリルゴムなどの合成
ゴムとされる。
【0019】そして、シール部材6,7は、その外周部
が外輪3の軸方向両端肩部の内周面に設けられている周
段部31,32に嵌着されており、そのリップ63,6
4,73,74が、内輪2の軸方向両端肩部の外周面に
設けられている周段部21,22に嵌入されている。な
お、一方のリップ63,73は、内輪2の周段部21,
22の外側傾斜面に対して接触させられており、他方の
リップ64,74は、内輪2の周段部21,22の内側
垂直面に対して微小隙間を介して対向させられている。
【0020】この実施形態では、内輪2の周段部21,
22の内面に浸硫窒化層8が形成されているものとす
る。但し、図3に示すように、内輪2の外表面全体に浸
硫窒化層8を形成したものとすることができる。
【0021】なお、内・外輪2,3および転動体4は、
JIS規格SUS440Cなどのステンレス鋼、窒素と
の親和力が強い合金元素を含む金属材(例えばJIS規
格SCM415などの浸炭鋼やJIS規格SACM系の
窒化鋼)で形成される。この他、外輪3、転動体4は、
窒化けい素(Si34)を主体とし、焼結助剤として、
イットリア(Y23)およびアルミナ(Al23)、そ
の他、適宜、窒化アルミ(AlN)、酸化チタン(Ti
2)、スピネル(MgAl24)を用いたセラミック
スの他、アルミナ(Al23)や炭化けい素(Si
C)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミ(AlN)
などを用いたセラミックスとすることができる。
【0022】保持器5は、この実施形態では合成樹脂製
の冠形保持器とされているが、その種類については特に
限定されない。
【0023】この実施形態での浸硫窒化層8は、図2に
示すように、金属母材80(2)の表面側から内部へ向
かう順に、FeSを主成分とする比較的軟質な浸硫層8
1、Fe2-3Nを主成分とする比較的硬質で緻密な窒化
化合物層82、金属母材80(2)にN原子が拡散され
てなる超硬質な窒化拡散層83を含む階層構造になって
いる。なお、図2に示す浸硫窒化層8の断面写真は、電
子顕微鏡で倍率400倍で撮影したものである。
【0024】次に、上記浸硫窒化層8の形成方法を説明
する。ここでは、対象品として内輪2とする。
【0025】まず、JIS規格SUS440Cを素材と
して鍛造、旋削、生研、ロール成形などを経て外形が整
えられた内輪2の単体を用意する。なお、図1に示すよ
うに、浸硫窒化層8を内輪2の局部に形成する場合に
は、形成領域以外の領域にマスクとなる保護膜を付着す
る前工程が必要となるが、図3に示すように、内輪2の
全体に形成する場合には、前述した前工程は不要であ
る。
【0026】この内輪2を気密構造のチャンバ内にセッ
トし、真空状態として、所要の反応ガスを供給する。こ
の反応ガスとしては、浸炭性ガスと、窒化性ガスと、浸
硫性ガスとを混合したもの、つまりCO2+(NH3+N
2)+H2Sを用いる。
【0027】ここで、チャンバ内を480℃〜700℃
例えば550℃とし、30分〜300分例えば120分
保持する。この後、所要時間をかけて油冷または空冷に
より冷却する。
【0028】これにより、まず、反応ガスの特にH2
が対象品である内輪2の表面に不可避的に存在している
酸化物などの不純物因子を除去して、金属母材の純粋な
表面を露出する。引き続き、Nが金属母材内部に速やか
に深く浸透、拡散して、上述した浸硫窒化層8が形成さ
れることになる。
【0029】なお、浸硫窒化層8の深さは、処理温度及
び保持時間を適宜設定することにより制御できるが、軸
受の場合、軌道輪の軌道面にかかるせん断応力が表面か
ら0.1〜0.4mmの範囲に作用するので、浸硫窒化
層8の深さとしては少なくとも前述の範囲とすればよ
い。
【0030】以上のようにして浸硫窒化層8が形成され
るが、表面酸化物の除去作用によって処理温度が従来の
熱硬化処理に比べて低くかつ処理時間が従来の熱硬化処
理に比べて短くなるので、金属母材の熱歪みの発生が抑
制されることになる。ちなみに、上記浸硫窒化層8の表
面粗さは、それを形成する前の対象品の表面粗さ(中心
線平均粗さRa=0.7μm〜1.0μm、十点平均粗
さRz=4.0μm〜7.0μm、最大高さRmax=
4.5μm〜7.5μm)とほとんど同じに維持され
る。このように、浸硫窒化層8を形成する過程で熱歪み
による寸法変化の発生を抑制できるので、この処理の後
で表面に対して研磨を施す必要がなくなる。
【0031】以上、本実施形態で得られる浸硫窒化層8
は、緻密かつ平滑に形成されているとともに従来の熱硬
化処理による場合と遜色ない程度の硬質な窒化化合物層
82の上に硫黄成分を含む潤滑性に優れた浸硫層81を
有するものであるから、シール摺動面での摩擦係数を低
くすることができ、シール部材6,7のリップ63,7
3の摺動によって内輪2の周段部21,22で油膜切れ
が発生しても、発熱を抑制できるようになる。この結
果、シール部材6,7のリップ63,73の熱劣化を抑
制できるようになるので、密封性能を長期にわたって安
定に保つことができるようになる。また、軸受そのもの
の昇温も抑制できるから、軸受内部のグリースなどの潤
滑剤の劣化を長期にわたって防止できるようになり、軸
受寿命の向上に貢献できるようになる。ちなみに、本実
施形態の浸硫窒化層8と、従来の熱硬化処理により得ら
れる硬化層とについての摩擦係数は、無潤滑状態で、そ
れぞれ0.24、0.54となり、本実施形態のほうが
2分の1以下と優れたものになる。この摩擦係数を調べ
る実験は、HRIDON式摩耗試験機にて、試験片(表
面に浸硫窒化層8を形成したSPCC材)にボール(S
UJ2材)を荷重200gf,速度100mm/秒、距
離20mmで10往復させ、その際の動摩擦係数を測定
し、各測定値の最大値より求めた。
【0032】なお、本発明は上記実施形態のみに限定さ
れるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0033】(1) 上記実施形態では、転がり軸受1
の内輪2に対してシール部材6,7を摺動接触させるよ
うにしているから、内輪2に対して浸硫窒化層8を形成
する例を挙げているが、外輪3に対してシール部材6,
7を摺動接触させる形態の場合には、外輪3に対して浸
硫窒化層8を形成すればよい。
【0034】(2) 上記実施形態では、深溝型玉軸受
を例に挙げているが、例えば円筒ころ軸受、円すいころ
軸受、球面ころ軸受、針状ころ軸受など種々な軸受形式
のものに本発明を適用することができる。同様に、軌道
輪を回転軸やハウジングなどの外側環体と一体に形成し
た形式のものにも本発明を適用することができる。その
場合、回転軸や外側環体などのシール摺動部材に対し
て、浸硫窒化層8を形成すればよい。
【0035】(3) 上記実施形態や上記(1)、
(2)で説明している浸硫窒化層8の代わりに、図4に
示すような窒化層10とすることができる。ここでの窒
化層10は、金属母材100(2)の表面から内側に向
かってCrN、Fe2 N、Fe3 N、Fe4 N等の窒化
物を含有する超硬質な化合物層101と、それに続く内
部にN原子の拡散層102とから構成されている。この
窒化層10の形成方法を説明する。
【0036】すなわち、窒化層10を形成すべき対象品
として、JIS規格SCM415を素材として鍛造、旋
削、生研、ロール成形などを経て外形が整えられた内輪
2を用意する。この内輪2を気密構造のチャンバ内にセ
ットし、真空状態として、ふっ化ガスと、窒化ガスとの
2種を時間的にずらして個別に供給する。ふっ化ガスと
しては、NF3 、BF3 、CF4 、HF、SF6 、F2
の単独もしくは混合物からなる弗素源成分をN2 等の不
活性ガス中に合有させたガスが挙げられるが、例えば3
ふっ化窒素(NF3 ),窒素等の混合気が好適に用いら
れる。なお、効果の点から、NF3 等のふっ素源成分が
0.05%〜20%(重量基準、以下同じ)、好ましく
は3%〜5%の範囲内の濃度に設定される。また、窒化
ガスとしては、例えばNH3 単体からなるガスまたはN
3 と炭素源とからなる混合ガス(例えばRXガス)が
挙げられる。
【0037】ここで、まずチャンバ内にふっ化ガスを供
給し、300℃〜400℃とし、10分〜120分保持
する。これにより、対象品の表面の酸化物等は、除去さ
れて浄化されると同時に、金属ふっ化膜に置き換えられ
る。この際に、表面に形成される金属ふっ化膜は、不働
態膜であるので、表面への酸素の吸着や酸化作用を防止
し、次の窒化処理まで酸化物の生成を阻止する。
【0038】次いで、チャンバ内に窒化ガスを供給し、
480℃〜700℃の範囲とし、0.5時間〜5時間の
範囲で保持する。これにより、窒化層10が形成され
る。このとき、対象品の表面の金属ふっ化膜が活性化膜
となるとともに、窒化処理において窒素が金属内部に速
やかに深く浸透、拡散しやすくなる。
【0039】この後、所要時間をかけて油冷または空冷
により冷却する。対象品は、冷却終了まで、窒素ガス中
に保持されているから、表面に酸化物が生成されない。
【0040】このようにして形成した窒化層10の表面
粗さは、それを形成する前の対象品の表面粗さ(中心線
平均粗さRa=0.7μm〜1.0μm、十点平均粗さ
Rz=4.0μm〜7.0μm、最大高さRmax=
4.5μm〜7.5μm)とほとんど同じに維持され
る。ちなみに、上記窒化層10の断面を電子顕微鏡(機
種:オリンパスPMG3、倍率400倍)で観察する
と、平均粒子径が1μm以下で、緻密にかつ平滑に形成
されていた。また、窒化層10の表面側の硬さは、ビッ
カース硬さ〔Hv〕で800〜1000(試験荷重50
gf)と、従来の熱硬化処理品と同等あるいはそれ以上
になる。そして、前述の窒化層10と、従来の熱硬化処
理により得られる硬化層とについての摩擦係数は、無潤
滑状態で、それぞれ0.24、0.54となり、本実施
形態のほうが2分の1以下と優れたものになる。この摩
擦係数を調べる実験は、上記実施形態の場合と同様であ
る。
【0041】上述したように、窒化層10を形成する過
程で熱歪みによる寸法変化の発生を抑制できるので、こ
の処理の後で表面に対して超仕上げ処理を施せばよく、
従来必要であった研磨処理を省略できるようになる。
【0042】
【発明の効果】請求項1ないし5の発明では、シール摺
動部材あるいは転がり軸受の軌道輪の表面に表面酸化物
を除去した状態で窒化層あるいは浸硫窒化層を形成する
ことで、その形成過程における母材の熱歪みを抑えつ
つ、緻密かつ平滑で硬質な表面性状に改質できるように
している。
【0043】したがって、シール摺動面の摩擦係数が従
来の熱硬化処理と同様あるいはそれ以上に低くなるの
で、シール部材のリップの摺動接触に伴い油膜切れが発
生する状況でもリップならびにシール摺動部分の発熱を
抑制できるようになり、シール部材の密封性能を長期に
わたって十分なものにできるようになる。そして、転が
り軸受の軌道輪に窒化層あるいは浸硫窒化層を形成する
場合にあっては、シール摺動部での発熱を抑制できるこ
とに伴い、軸受内部での昇温を抑制できるようになるか
ら、軸受内部のグリースなどの潤滑剤の熱劣化を長期に
わたって抑制できるようになるなど、軸受寿命の向上に
貢献できるようになる。
【0044】この他、窒化層および浸硫窒化層を形成後
には従来必要であった研磨などの後処理を省略できるの
で、製造コストを低減できるようになる。
【0045】このように、本発明では、製造コストを安
価に抑制できて、摩耗や発熱を抑制できる優れたシール
摺動部材ならびに転がり軸受を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の転がり軸受の上半分の縦
断面図
【図2】浸硫窒化層の断面写真およびその断面模式図
【図3】本発明の他の実施形態の転がり軸受の上半分の
縦断面図
【図4】窒化層の断面模式図
【符号の説明】
1 転がり軸受 2 内輪 21,22 内輪の周段部 3 外輪 6,7 シール部材 63,73 シール部材のリップ 8 浸硫窒化層 81 浸硫窒化層の浸硫層 82 浸硫窒化層の窒化化合物層 83 浸硫窒化層の窒化拡散層
フロントページの続き (72)発明者 木村 治生 大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋 精工株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シール部材のリップが摺動接触させられ
    るシール摺動部材であって、リップ摺動面に、その表面
    酸化物が除去された状態で窒化層または浸硫窒化層が形
    成されている、ことを特徴とするシール摺動部材。
  2. 【請求項2】 シール部材のリップが摺動接触させられ
    る軌道輪を有する転がり軸受であって、前記軌道輪の少
    なくとも前記リップ摺動面に、その表面酸化物が除去さ
    れた状態で窒化層または浸硫窒化層が形成されている、
    ことを特徴とする転がり軸受。
  3. 【請求項3】 シール部材のリップが摺動接触させられ
    る軌道輪を有する転がり軸受であって、前記軌道輪の外
    表面全体に、その表面酸化物が除去された状態で窒化層
    または浸硫窒化層が形成されている、ことを特徴とする
    転がり軸受。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の転がり軸受に
    おいて、前記窒化層は、その軌道輪の表面側に形成され
    る窒化物を含有する硬質な窒化化合物層と、さらにそれ
    よりも下方に窒素が拡散されてなる拡散層とを含む、こ
    とを特徴とする転がり軸受。
  5. 【請求項5】 請求項2または3に記載の転がり軸受に
    おいて、前記浸硫窒化層は、その軌道輪の表面側に形成
    される硫黄を含む浸硫層と、その下方に形成される窒化
    化合物層と、さらにそれよりも下方に窒素が拡散されて
    なる拡散層とを含む、ことを特徴とする転がり軸受。
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