JPH11190146A - 立体自動倉庫の制震構造 - Google Patents
立体自動倉庫の制震構造Info
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- JPH11190146A JPH11190146A JP35881597A JP35881597A JPH11190146A JP H11190146 A JPH11190146 A JP H11190146A JP 35881597 A JP35881597 A JP 35881597A JP 35881597 A JP35881597 A JP 35881597A JP H11190146 A JPH11190146 A JP H11190146A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 地震時においてラックに格納されている品物
の転倒・落下を防止でき、大地震による損傷後の建物安
定性を確保しつつ、罹災後、容易に補修が可能な立体自
動倉庫の制震構造を得る。 【解決手段】 立体自動倉庫用骨組の最下層部1を、柱
5と梁3とを剛接合したラーメン骨組から構成すると共
に、最下層部1に水平耐力を負担する極低降伏点鋼から
なる制震ダンパー7を設ける。
の転倒・落下を防止でき、大地震による損傷後の建物安
定性を確保しつつ、罹災後、容易に補修が可能な立体自
動倉庫の制震構造を得る。 【解決手段】 立体自動倉庫用骨組の最下層部1を、柱
5と梁3とを剛接合したラーメン骨組から構成すると共
に、最下層部1に水平耐力を負担する極低降伏点鋼から
なる制震ダンパー7を設ける。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、立体自動倉庫の
制震構造に関する。
制震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図10はスタッカークレーンによる格納
搬出機能を持つ立体自動倉庫の一般的な骨組構造の説明
図である。図10に示すように、立体自動倉庫の骨組
は、通常、軟鋼(SSC400)の軽量角型鋼管の弦材
(柱)50、横材52及び斜材53のピン接合骨組(ト
ラス骨組)より構成される。そして、骨組構造の内部に
スタッカークレーン55の走行スペースを設ける必要が
あるため、張間方向(スタッカークレーン走行方向と直
角方向)の骨組は、各スパンごとに高さ方向に細長いト
ラス骨組となり、最上層部分57以外は各スパンのトラ
ス骨組相互を連結することができない構造となってい
る。また、トラス骨組には荷格納用のラックが取り付け
られており、このラックに品物が格納される。
搬出機能を持つ立体自動倉庫の一般的な骨組構造の説明
図である。図10に示すように、立体自動倉庫の骨組
は、通常、軟鋼(SSC400)の軽量角型鋼管の弦材
(柱)50、横材52及び斜材53のピン接合骨組(ト
ラス骨組)より構成される。そして、骨組構造の内部に
スタッカークレーン55の走行スペースを設ける必要が
あるため、張間方向(スタッカークレーン走行方向と直
角方向)の骨組は、各スパンごとに高さ方向に細長いト
ラス骨組となり、最上層部分57以外は各スパンのトラ
ス骨組相互を連結することができない構造となってい
る。また、トラス骨組には荷格納用のラックが取り付け
られており、このラックに品物が格納される。
【0003】立体自動倉庫には重量物が格納される場合
もあり、地震時においては、地震慣性力が格納されてい
る品物及びラックを通じてトラス骨組に作用するため、
格納されている品物が重量物の場合には慣性力も大きく
なるので、この慣性力によって倉庫が倒壊しないように
することが必要であることに加え、格納されている品物
が転倒・落下しないようにすることも要請される。ま
た、罹災後の迅速な復旧のために、補修が容易であるこ
とも必要である。
もあり、地震時においては、地震慣性力が格納されてい
る品物及びラックを通じてトラス骨組に作用するため、
格納されている品物が重量物の場合には慣性力も大きく
なるので、この慣性力によって倉庫が倒壊しないように
することが必要であることに加え、格納されている品物
が転倒・落下しないようにすることも要請される。ま
た、罹災後の迅速な復旧のために、補修が容易であるこ
とも必要である。
【0004】そこで、立体自動倉庫の骨組は、耐震性の
観点から、地震に対しては法令で想定される慣性水平力
による部材応力、変形および保有水平耐力を構造計算に
より算定して、計算上必要な断面性能をもつ断面を選定
することにより設計される(以下、「耐震設計」とい
う)。しかしながら、「耐震設計」による場合、最大速
度50kine(=cm/ 秒)を超える大地震時には、建物の
到壊は免がれたとしても、骨組に塑性変形(永久変形)
を生ずることは避けられず、しかも一般に損傷の部位を
特定することは困難であるため、罹災後の骨組の損傷に
対する補修は容易ではない。また、「耐震設計」では地
震時応答を制御するわけではないので、ラックに格納さ
れた品物の転倒・落下の可能性が高いという問題もあ
る。
観点から、地震に対しては法令で想定される慣性水平力
による部材応力、変形および保有水平耐力を構造計算に
より算定して、計算上必要な断面性能をもつ断面を選定
することにより設計される(以下、「耐震設計」とい
う)。しかしながら、「耐震設計」による場合、最大速
度50kine(=cm/ 秒)を超える大地震時には、建物の
到壊は免がれたとしても、骨組に塑性変形(永久変形)
を生ずることは避けられず、しかも一般に損傷の部位を
特定することは困難であるため、罹災後の骨組の損傷に
対する補修は容易ではない。また、「耐震設計」では地
震時応答を制御するわけではないので、ラックに格納さ
れた品物の転倒・落下の可能性が高いという問題もあ
る。
【0005】そこで、「耐震設計」に加えて、骨組に作
用する地震力を制御する方法が例えば特開昭62−25
679号公報に提案されている。図11は同公報に示さ
れた耐震建築構造の説明図であり、同公報の方法は図1
1に示すように、外側トラス骨組(柔骨組)61と内側
トラス骨組(剛骨組)63の連結部に粘性ダンパー65
を設置し、外側トラス骨組61と内側トラス骨組63と
の剛柔差を利用して粘性ダンパー65に地震エネルギー
を吸収させるというものである。
用する地震力を制御する方法が例えば特開昭62−25
679号公報に提案されている。図11は同公報に示さ
れた耐震建築構造の説明図であり、同公報の方法は図1
1に示すように、外側トラス骨組(柔骨組)61と内側
トラス骨組(剛骨組)63の連結部に粘性ダンパー65
を設置し、外側トラス骨組61と内側トラス骨組63と
の剛柔差を利用して粘性ダンパー65に地震エネルギー
を吸収させるというものである。
【0006】また、地震力を制御する他の方法が、日本
建築学会大会学術講演梗槻集(北陸)21636、19
92年8月)に開示されている。図12はこの他の方法
の説明図であり、この方法は図12に示すように、トラ
ス骨組の一部である最上層連結部材67及び柱脚部材6
9を低降伏点鋼に置換して、その早期降伏によるエネル
ギー吸収により、地震力を制御するというものである。
建築学会大会学術講演梗槻集(北陸)21636、19
92年8月)に開示されている。図12はこの他の方法
の説明図であり、この方法は図12に示すように、トラ
ス骨組の一部である最上層連結部材67及び柱脚部材6
9を低降伏点鋼に置換して、その早期降伏によるエネル
ギー吸収により、地震力を制御するというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
の粘性ダンパー65による方法は、鋼材の他に粘性ダン
パーを必要とし、コストが高くなるという問題がある。
また、粘性ダンパー65による場合には、粘性ダンパー
65で吸収できなかったエネルギーはトラス骨組のどこ
かの部位に作用し、その部位に塑性変形をもたらすと考
えられるが、その部位を特定することが難しく、補修が
困難であるという問題もある。
の粘性ダンパー65による方法は、鋼材の他に粘性ダン
パーを必要とし、コストが高くなるという問題がある。
また、粘性ダンパー65による場合には、粘性ダンパー
65で吸収できなかったエネルギーはトラス骨組のどこ
かの部位に作用し、その部位に塑性変形をもたらすと考
えられるが、その部位を特定することが難しく、補修が
困難であるという問題もある。
【0008】また、図12に示したトラス骨組の一部を
低降伏点鋼に置換するという方法では、地震により低降
伏点鋼が降伏した瞬間、理論上骨組全体が不安定になっ
て骨組全体の安全性を確保できないという問題がある。
低降伏点鋼に置換するという方法では、地震により低降
伏点鋼が降伏した瞬間、理論上骨組全体が不安定になっ
て骨組全体の安全性を確保できないという問題がある。
【0009】この発明はかかる問題点を解決するために
なされたものであり、地震時においてラックに格納され
ている品物の転倒・落下を防止できると共に、大地震に
よる損傷後の建物安定性を確保しつつ、罹災後、容易に
補修が可能な自動倉庫の制震構造を提案するものであ
る。
なされたものであり、地震時においてラックに格納され
ている品物の転倒・落下を防止できると共に、大地震に
よる損傷後の建物安定性を確保しつつ、罹災後、容易に
補修が可能な自動倉庫の制震構造を提案するものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る立体自動倉
庫の制震構造は、立体自動倉庫の骨組の最下層部を、柱
と梁とを剛接合したラーメン骨組から構成すると共に、
該最下層部に水平耐力の一部を負担する全部又は一部が
極低降伏点鋼からなる制震ダンパーを設けたものであ
る。
庫の制震構造は、立体自動倉庫の骨組の最下層部を、柱
と梁とを剛接合したラーメン骨組から構成すると共に、
該最下層部に水平耐力の一部を負担する全部又は一部が
極低降伏点鋼からなる制震ダンパーを設けたものであ
る。
【0011】また、制震ダンパーは、柱と梁とで囲まれ
た開口部に設置された斜材であることを特徴とするもの
である。
た開口部に設置された斜材であることを特徴とするもの
である。
【0012】さらに、制震ダンパーは、柱と梁とで囲ま
れた開口部に設置された斜材と、該斜材の接合部に設置
された極低降伏点鋼からなる制震デバイスとからなるこ
とを特徴とするものである。
れた開口部に設置された斜材と、該斜材の接合部に設置
された極低降伏点鋼からなる制震デバイスとからなるこ
とを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の一
実施の形態の説明図であり、図において従来例を示した
図10と同一部分には同一符号が付してある。本実施の
形態においては、張間方向トラス骨組の最下層1を制震
層として、以下のような構造にするものである。すなわ
ち、最下層1を、柱5と梁3とを剛接合としたラーメ
ン骨組から構成すると共に、最下層1の斜材7に極低
降伏点鋼を使用し、該斜材7を制震ダンパーとして構成
したものである。
実施の形態の説明図であり、図において従来例を示した
図10と同一部分には同一符号が付してある。本実施の
形態においては、張間方向トラス骨組の最下層1を制震
層として、以下のような構造にするものである。すなわ
ち、最下層1を、柱5と梁3とを剛接合としたラーメ
ン骨組から構成すると共に、最下層1の斜材7に極低
降伏点鋼を使用し、該斜材7を制震ダンパーとして構成
したものである。
【0014】なお、斜材7を制震ダンパーとして機能さ
せるためには、地震時において斜材7がラーメン骨組を
構成する部材よりも早期に降伏してエネルギー吸収する
必要がある。したがって、斜材7を構成する極低降伏点
鋼は、降伏耐力がラーメン骨組を構成する部材の降伏耐
力よりも低く、かつエネルギー吸収のために伸び能力が
約50%以上有する鋼材である必要があり、本願におい
てはこのような鋼材を極低降伏点鋼というものとする。
例えば、ラーメン骨組が軟鋼(降伏耐力σY =2.4(t
onf/cm2 )で構成されている場合に、降伏耐力がσP =
1.2 (tonf/cm2)で伸び能力が約50%以上有する鋼材
を斜材7に用いれば、該斜材7を形成する鋼材は極低降
伏点鋼と言うことができる。
せるためには、地震時において斜材7がラーメン骨組を
構成する部材よりも早期に降伏してエネルギー吸収する
必要がある。したがって、斜材7を構成する極低降伏点
鋼は、降伏耐力がラーメン骨組を構成する部材の降伏耐
力よりも低く、かつエネルギー吸収のために伸び能力が
約50%以上有する鋼材である必要があり、本願におい
てはこのような鋼材を極低降伏点鋼というものとする。
例えば、ラーメン骨組が軟鋼(降伏耐力σY =2.4(t
onf/cm2 )で構成されている場合に、降伏耐力がσP =
1.2 (tonf/cm2)で伸び能力が約50%以上有する鋼材
を斜材7に用いれば、該斜材7を形成する鋼材は極低降
伏点鋼と言うことができる。
【0015】上記のような構造により、大地震時におい
て、斜材7を早期に軸降伏させることによって該斜材7
に地震エネルギーを吸収させ、大地震時の損傷をすべて
この斜材7に集中させて、他の部分は損傷させないよう
にする。そして、罹災後の鉛直荷重や中規模余震に対し
ては柱5と梁3からなるラーメン骨組により支持するよ
うにする。
て、斜材7を早期に軸降伏させることによって該斜材7
に地震エネルギーを吸収させ、大地震時の損傷をすべて
この斜材7に集中させて、他の部分は損傷させないよう
にする。そして、罹災後の鉛直荷重や中規模余震に対し
ては柱5と梁3からなるラーメン骨組により支持するよ
うにする。
【0016】また、罹災後の補修は最下層1の斜材7を
点検して損傷したものを取り替えるようにする。このと
き、点検・取り替え対象が最下部にあるため補修作業が
容易である。また、建物自体は最下層1を構成する柱5
と梁3からなるラーメン骨組により支持されているの
で、補修作業も安全である。また、大地震時の斜材7の
降伏により最下層1が剛性低下し、その結果、免震構造
と類似の作用により、最下層1よりも上層に振動が伝達
しにくくなり、格納されている品物が転倒・落下する可
能性を低減できるという効果もある。
点検して損傷したものを取り替えるようにする。このと
き、点検・取り替え対象が最下部にあるため補修作業が
容易である。また、建物自体は最下層1を構成する柱5
と梁3からなるラーメン骨組により支持されているの
で、補修作業も安全である。また、大地震時の斜材7の
降伏により最下層1が剛性低下し、その結果、免震構造
と類似の作用により、最下層1よりも上層に振動が伝達
しにくくなり、格納されている品物が転倒・落下する可
能性を低減できるという効果もある。
【0017】図2は上記の実施の形態1に対応する具体
的な実施例の説明図、図3は図2における矢視A−A断
面図であり、図2、図3において図1に示した部分に対
応する部分には同一符号を付してある。以下、図2、図
3に基づいて実施例について説明する。図において、1
5は斜材7が挿入された矩形鋼管であり、斜材7の座屈
を防止するための補剛材となるものである。
的な実施例の説明図、図3は図2における矢視A−A断
面図であり、図2、図3において図1に示した部分に対
応する部分には同一符号を付してある。以下、図2、図
3に基づいて実施例について説明する。図において、1
5は斜材7が挿入された矩形鋼管であり、斜材7の座屈
を防止するための補剛材となるものである。
【0018】次に、各部材の寸法について説明する。図
2に示す実施例における最下層1よりも上方にある上層
部を構成するトラス骨組は、柱50が角形鋼管からな
り、その寸法は□−100×100×3.2であり、ま
た斜材53と横架材52も角形鋼管からなり、その寸法
は□−50×50×3.2である。
2に示す実施例における最下層1よりも上方にある上層
部を構成するトラス骨組は、柱50が角形鋼管からな
り、その寸法は□−100×100×3.2であり、ま
た斜材53と横架材52も角形鋼管からなり、その寸法
は□−50×50×3.2である。
【0019】次に、最下層1を構成する各部材の具体的
な寸法について説明する。最下層1を構成する各部材の
寸法を決定するに際しては、地震による水平力を梁3と
斜材7に如何なる割合で負担させるのが、最も制震構造
として優れているいるかに基づく必要がある。そこで、
斜材7の水平耐力の負担比率をβとして、βの最適値を
求めることにする。
な寸法について説明する。最下層1を構成する各部材の
寸法を決定するに際しては、地震による水平力を梁3と
斜材7に如何なる割合で負担させるのが、最も制震構造
として優れているいるかに基づく必要がある。そこで、
斜材7の水平耐力の負担比率をβとして、βの最適値を
求めることにする。
【0020】まず、柱5をH形鋼から構成しその寸法を
H−125×125×6.5×9とし、梁3を同じくH
形鋼から構成してその寸法をH−150×75×5×7
とし、これら2つ部材からなるラーメン骨組(この場合
斜材7が設置されていない状態でありβ=0の場合に相
当するが、以下これを「基本骨組」という。)を出発点
として、以後梁3及び斜材7の断面積を変化させること
によってβ値を変化させる。なお、この基本骨組の水平
耐力の値は、Q=19.82tonfであり、以下これを基
本耐力値という。なお、実際に上記寸法形状の梁3が基
本耐力値を有していることは下式によって検証できる。 Q=2 ×6 σY ×ZP /h=12×2.4 ×102/148.25=19.82tonf 但し、σY は梁3の降伏耐力であり、σY =2.4(ton
f/cm2 ) ZP は梁3の全塑性係数であり、ZP =102(cm3 ) hはモーメントの軸の長さであり、h=148.25
(cm)
H−125×125×6.5×9とし、梁3を同じくH
形鋼から構成してその寸法をH−150×75×5×7
とし、これら2つ部材からなるラーメン骨組(この場合
斜材7が設置されていない状態でありβ=0の場合に相
当するが、以下これを「基本骨組」という。)を出発点
として、以後梁3及び斜材7の断面積を変化させること
によってβ値を変化させる。なお、この基本骨組の水平
耐力の値は、Q=19.82tonfであり、以下これを基
本耐力値という。なお、実際に上記寸法形状の梁3が基
本耐力値を有していることは下式によって検証できる。 Q=2 ×6 σY ×ZP /h=12×2.4 ×102/148.25=19.82tonf 但し、σY は梁3の降伏耐力であり、σY =2.4(ton
f/cm2 ) ZP は梁3の全塑性係数であり、ZP =102(cm3 ) hはモーメントの軸の長さであり、h=148.25
(cm)
【0021】なお、β=1の時、すなわち基本耐力値を
全て斜材7だけで負担させた場合の斜材7の断面積Aは
A=4.13cm2 となる。これを下式によって検証する
と、 Q=6 σP Acos θ=6 ×1.2 ×4.13×0.6664=19.82tonf 但し、σP は斜材7の降伏耐力であり、σP =1.2 (ton
f/cm2 ) Aは斜材7の断面積であり、 A=4.13(cm2 ) θは斜材7の傾斜角度であり、θ=48.21(°)
全て斜材7だけで負担させた場合の斜材7の断面積Aは
A=4.13cm2 となる。これを下式によって検証する
と、 Q=6 σP Acos θ=6 ×1.2 ×4.13×0.6664=19.82tonf 但し、σP は斜材7の降伏耐力であり、σP =1.2 (ton
f/cm2 ) Aは斜材7の断面積であり、 A=4.13(cm2 ) θは斜材7の傾斜角度であり、θ=48.21(°)
【0022】βの最適値を求めるには、水平耐力は基本
耐力値Qを保持しつつ、梁3の断面積を小さくすると共
に斜材7の断面積を大きくして行くことによって、β値
を徐々に大きくしてして行き、各β値における制震性能
を振動解析により求めることによって行う。制震性能と
しては、最大応答加速度と塑性エネルギー吸収比率を測
定することとし、β値を変化させたときの各種地震波形
に対する最大応答加速度及び塑性エネルギー吸収比率を
図4及び図5に示す。
耐力値Qを保持しつつ、梁3の断面積を小さくすると共
に斜材7の断面積を大きくして行くことによって、β値
を徐々に大きくしてして行き、各β値における制震性能
を振動解析により求めることによって行う。制震性能と
しては、最大応答加速度と塑性エネルギー吸収比率を測
定することとし、β値を変化させたときの各種地震波形
に対する最大応答加速度及び塑性エネルギー吸収比率を
図4及び図5に示す。
【0023】これら図4、図5から分かるように、β=
0.4で地震時応答が3割程度低減され、塑性エネルギ
ー吸収比率が100%近くになり損傷を制震ダンパーに
集中させ得ることが分かる。すなわち、β=0.4の時
に最も優れた制震性能を発揮することが分かる。そこ
で、β=0.4となったときの、梁材3及び斜材7のそ
れぞれの断面積を最適断面として決定する。この実施例
では、斜材7の最適断面積は、基本耐力値を全て斜材7
だけで負担させた場合の斜材7の断面積A=4.13cm
2 にβの最適値であるβ=0.4を乗ずることにより
(4.13×0.4=)1.65cm2 となる。
0.4で地震時応答が3割程度低減され、塑性エネルギ
ー吸収比率が100%近くになり損傷を制震ダンパーに
集中させ得ることが分かる。すなわち、β=0.4の時
に最も優れた制震性能を発揮することが分かる。そこ
で、β=0.4となったときの、梁材3及び斜材7のそ
れぞれの断面積を最適断面として決定する。この実施例
では、斜材7の最適断面積は、基本耐力値を全て斜材7
だけで負担させた場合の斜材7の断面積A=4.13cm
2 にβの最適値であるβ=0.4を乗ずることにより
(4.13×0.4=)1.65cm2 となる。
【0024】実施の形態2.図6は本発明の実施の形態
2の要部の説明図であり、立体自動倉庫の最下層1の骨
組構造を示している。また、図7は図6における円で囲
んだB部の拡大図である。この実施の形態2において
は、最下層の柱5と梁3との接合部を剛接合としたラ
ーメン骨組により構成すると共に、梁3に極低降伏点
鋼の面材からなる制震デバイス9を設置し、該制震デバ
イス9と柱5の基端部との間に通常の鋼材からなる斜材
11を設置したものである。
2の要部の説明図であり、立体自動倉庫の最下層1の骨
組構造を示している。また、図7は図6における円で囲
んだB部の拡大図である。この実施の形態2において
は、最下層の柱5と梁3との接合部を剛接合としたラ
ーメン骨組により構成すると共に、梁3に極低降伏点
鋼の面材からなる制震デバイス9を設置し、該制震デバ
イス9と柱5の基端部との間に通常の鋼材からなる斜材
11を設置したものである。
【0025】本実施の形態2における制震デバイス9と
斜材11が実施の形態1における斜材7に相当し、これ
ら制震デバイス9と斜材11とが制震ダンパーの機能の
機能を発揮する。すなわち、大地震時において制震デバ
イス9を構成する面材がせん断降伏することによって地
震エネルギーを吸収するのである。
斜材11が実施の形態1における斜材7に相当し、これ
ら制震デバイス9と斜材11とが制震ダンパーの機能の
機能を発揮する。すなわち、大地震時において制震デバ
イス9を構成する面材がせん断降伏することによって地
震エネルギーを吸収するのである。
【0026】この実施の形態2によれば、実施の形態1
における斜材7の場合にはその断面積が過小になり過ぎ
て実際に施工できないような場合にも対応可能である。
における斜材7の場合にはその断面積が過小になり過ぎ
て実際に施工できないような場合にも対応可能である。
【0027】実施の形態3.図8は本発明の実施の形態
3の要部の説明図であり、立体自動倉庫の最下層部の骨
組構造を示している。また、図9は図8における円で囲
んだC部の拡大図である。本実施の形態3は実施の形態
2の変形型であり、制震デバイス9を基盤(基礎)側に
設置し、該制震デバイス9と柱5の先端部との間に通常
の鋼材からなる斜材11を設置したものである。作用そ
の他については、実施の形態2と同様である。
3の要部の説明図であり、立体自動倉庫の最下層部の骨
組構造を示している。また、図9は図8における円で囲
んだC部の拡大図である。本実施の形態3は実施の形態
2の変形型であり、制震デバイス9を基盤(基礎)側に
設置し、該制震デバイス9と柱5の先端部との間に通常
の鋼材からなる斜材11を設置したものである。作用そ
の他については、実施の形態2と同様である。
【0028】なお、実施の形態2及び3においては制震
デバイス9を極低降伏点鋼からなる面材で構成し、該面
材のせん断降伏による降伏エネルギーを利用した場合を
示したが、本発明はこれに限られるものではなく、制震
デバイスを工夫することによって曲げ降伏による降伏エ
ネルギーを利用することもできる。
デバイス9を極低降伏点鋼からなる面材で構成し、該面
材のせん断降伏による降伏エネルギーを利用した場合を
示したが、本発明はこれに限られるものではなく、制震
デバイスを工夫することによって曲げ降伏による降伏エ
ネルギーを利用することもできる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、大地震時において、制震ダンパーを早期に降伏させ
ることによって該制震ダンパーに地震エネルギーを吸収
させ、大地震時の損傷をすべてこの制震ダンパーに集中
させて、他の部分は損傷させないようにすることができ
る。したがって、罹災後においては最下層に設置された
制震ダンパーのみを取り替えればよく、補修箇所が特定
されていると共に補修箇所が最下部であるので補修作業
が容易である。しかも、罹災後の補修時においても最下
層部はラーメン骨組で支持されており、立体自動倉庫が
倒壊することはない。また、大地震時の制震ダンパーの
降伏により最下層が層として軟化し、その結果、免震構
造と類似の作用により、最下層よりも上層部に振動が伝
達しにくくなり、格納されている品物が転倒・落下する
可能性を低減できるという効果もある。
は、大地震時において、制震ダンパーを早期に降伏させ
ることによって該制震ダンパーに地震エネルギーを吸収
させ、大地震時の損傷をすべてこの制震ダンパーに集中
させて、他の部分は損傷させないようにすることができ
る。したがって、罹災後においては最下層に設置された
制震ダンパーのみを取り替えればよく、補修箇所が特定
されていると共に補修箇所が最下部であるので補修作業
が容易である。しかも、罹災後の補修時においても最下
層部はラーメン骨組で支持されており、立体自動倉庫が
倒壊することはない。また、大地震時の制震ダンパーの
降伏により最下層が層として軟化し、その結果、免震構
造と類似の作用により、最下層よりも上層部に振動が伝
達しにくくなり、格納されている品物が転倒・落下する
可能性を低減できるという効果もある。
【図1】 本発明の実施の形態1の説明図である。
【図2】 図1の一部を拡大して示す拡大図である。
【図3】 図2における矢視A−A断面図である。
【図4】 実施の形態1におけるβ値を変化させたとき
の各種地震波形に対する最大応答加速度を示すグラフで
ある。
の各種地震波形に対する最大応答加速度を示すグラフで
ある。
【図5】 実施の形態1におけるβ値を変化させたとき
の各種地震波形に対する塑性エネルギー吸収比率を示す
グラフである。
の各種地震波形に対する塑性エネルギー吸収比率を示す
グラフである。
【図6】 本発明の実施の形態2の要部の説明図であ
る。
る。
【図7】 図6の一部を拡大して示す拡大図である。
【図8】 本発明の実施の形態3の要部の説明図であ
る。
る。
【図9】 図8の一部を拡大して示す拡大図である。
【図10】 従来の立体自動倉庫の骨組構造の説明図で
ある。
ある。
【図11】 従来の立体自動倉庫の制震構造の一例の説
明図である。
明図である。
【図12】 従来の立体自動倉庫の制震構造の他の例の
説明図である。
説明図である。
1 ラーメン骨組からなる最下層部 3 梁 5 柱 7 極低降伏点鋼からなる斜材 9 制震デバイス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高梨 俊明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷹尾 豊 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 星加 聡 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 立体自動倉庫の骨組の最下層部を、柱と
梁とを剛接合したラーメン骨組から構成すると共に、該
最下層部に水平耐力の一部を負担する全部又は一部が極
低降伏点鋼からなる制震ダンパーを設けたことを特徴と
する立体自動倉庫の制震構造。 - 【請求項2】 前記制震ダンパーは、前記柱と前記梁と
で囲まれた開口部に設置された斜材であることを特徴と
する請求項1記載の立体自動倉庫の制震構造。 - 【請求項3】 前記制震ダンパーは、前記柱と前記梁と
で囲まれた開口部に設置された斜材と、該斜材の接合部
に設置された極低降伏点鋼からなる制震デバイスとから
なることを特徴とする請求項1記載の立体自動倉庫の制
震構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35881597A JPH11190146A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 立体自動倉庫の制震構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35881597A JPH11190146A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 立体自動倉庫の制震構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11190146A true JPH11190146A (ja) | 1999-07-13 |
Family
ID=18461254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35881597A Pending JPH11190146A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 立体自動倉庫の制震構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11190146A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9409709B2 (en) | 2013-03-13 | 2016-08-09 | Symbotic, LLC | Automated storage and retrieval system structure |
-
1997
- 1997-12-26 JP JP35881597A patent/JPH11190146A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9409709B2 (en) | 2013-03-13 | 2016-08-09 | Symbotic, LLC | Automated storage and retrieval system structure |
US10196207B2 (en) | 2013-03-13 | 2019-02-05 | Symbotic, LLC | Automated storage and retrieval system structure |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20031211 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050916 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20051018 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20060307 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |