JPH11189826A - 連続式加熱炉の燃焼制御方法及び装置 - Google Patents

連続式加熱炉の燃焼制御方法及び装置

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JPH11189826A
JPH11189826A JP6636898A JP6636898A JPH11189826A JP H11189826 A JPH11189826 A JP H11189826A JP 6636898 A JP6636898 A JP 6636898A JP 6636898 A JP6636898 A JP 6636898A JP H11189826 A JPH11189826 A JP H11189826A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱炉の煙道に最も近い加熱帯で、燃料ガス
流量に炉温が追従せず、多量の燃料ガスを消費するのを
防止する。 【解決手段】 少なくとも煙道20Cに最も近い加熱帯
24は、鋼片情報と炉温の両者に基づいて燃料ガス流量
を設定し制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続式加熱炉の燃
焼制御方法及び装置に係り、特に、計算機を用いた鋼片
加熱炉の燃焼制御に用いるのに好適な、必要最小限の熱
量で鋼片を加熱することが可能な、連続式加熱炉の燃焼
制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄所の熱間圧延工場では、前工程、例
えば連続鋳造工程で得た圧延素材としての鋳片を、熱間
圧延に適切な温度に再加熱することをいう。そして、今
日では、その加熱手段として、予熱帯、加熱帯及び均熱
帯と呼ばれる複数の炉帯を有する、いわゆる連続式加熱
炉が一般に用いられている。
【0003】この加熱炉20は、通常、図1に示す如
く、製造ラインに沿って直列に連結された各炉帯(スラ
ブ装入口20A側からスラブ抽出口20Bへ順に予熱帯
22、第1加熱帯24、第2加熱帯26及び均熱帯2
8)を備えており、各炉帯には燃料ガスバーナが備えら
れ、各炉帯の炉温に応じて、これを一定に保つように燃
料ガス供給量が制御されている。図1の加熱炉20で
は、第1加熱帯24が煙道20Cに最も近い位置に配置
されている。
【0004】一般に加熱炉では、装入される鋳片(スラ
ブ)10の鋼種、サイズあるいは装入温度が様々である
ばかりか、各炉帯での加熱目的も異なるので、管理すべ
き項目が多く、炉内の雰囲気温度(炉温)制御、引いて
は、燃料の燃焼制御が非常に難しい。そのため、従来よ
り、炉温制御方法が多々研究され、種々の実績値をベー
スにして、鋳片の加熱状況をシュミレートする数学モデ
ルを作成し、該モデルをオンラインの計算機で演算しつ
つ制御する方法が種々開発されている。
【0005】このような鋼片加熱炉の燃焼制御を行う場
合、基本的には、材料の現在温度を推定する部分、
加熱炉抽出までの加熱時間を求める部分、抽出目標温
度を達成するまでの理想的な目標昇温パターンを決定す
る部分、求めた目標昇温パターンに鋼材温度が近付く
よう、設定炉温を決定する部分があり、このうち、特に
との決定方法は、近年幾つか提案されている。
【0006】例えば、特開昭61−199016には、
材料の目標昇温パターンを数学モデルで決定する際に、
燃料流量を現状値からある一定値だけ変化させたときの
該材料の抽出時平均温度、均熱度(鋳片搬送用スキッド
の有無による鋳片の温度差)、及び該材料が通過する時
の各炉温を計算して、現燃料流量値近傍での線形係数を
求め、更に、該材料の抽出時平均温度、均熱度に関する
制約条件下で燃料流量が最小となる最適燃料流量を線形
計画法を用いて求め、この燃料流量から、各材料の設定
炉温を重み付け平均値として計算して、各帯設定炉温を
決定することが記載されている。
【0007】又、特開平3−140415では、オンラ
インでの計算機負荷低減を目的として、次式で示すよう
な集中定数系の温度モデルを用いて、抽出時の温度と均
熱度が目標値通りとなるような目標昇温パターンを決定
している。
【0008】 θo=θg−(θg−θi)・exp (−α・t/D) …(1) α=a・σ/(ρ・Cp)・(θg2 +θo2 )・(θg+θo) …(2) θo:t時間後の鋼材温度[K] θi:初期の鋼材温度[K] θg:炉温[k] t:加熱時間[hr] D:鋼片厚[m] a:修正定数[−] σ:ステファンボルツマン定数[kcal/m2 hrK
4 ] ρ:鋼材の比重[kg/m3 ] Cp:鋼材の比熱[kcal/kgK]
【0009】ここで、前記温度モデル中の修正係数a及
び鋼材の比熱Cpは未知定数であり、オフラインで操業
実績を元に、代表値を決めている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、直列に
複数個の加熱帯を持つ加熱炉で、各加熱帯の炉温によ
り、それぞれの加熱帯の燃料ガス流量を決定する燃焼制
御(炉温制御とも称する)では、特に、加熱炉の煙道2
0Cに最も近い加熱帯では、煙道へ燃焼空気が逃げてし
まうため、投入した燃料流量に対して十分に炉温が追従
しない場合が発生する。このような場合に、従来の炉温
制御を使用すると、設定した目標炉温に追従させるべく
燃料流量を増加させるが、その多くは煙道から排ガスと
なって炉外へ排出されるため、炉温が上がらず、いつま
でも無駄な燃料を投入し続けてしまい、燃料コストの悪
化を招いてしまうという問題点を有していた。
【0011】本発明は、前記従来の問題点を解消するべ
くなされたもので、煙道へ逃げる燃焼空気の存在に拘ら
ず、的確な燃焼制御を行うことを第1の課題とする。
【0012】本発明は、又、煙道に近い加熱帯の燃焼制
御に用いるのに好適な燃焼制御方法及び装置を提供する
ことを第2の課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の炉帯を
有する連続式加熱炉の燃焼制御方法において、少なくと
も煙道に最も近い加熱帯は、加熱炉入側温度、同出側目
標温度、鋼片の加熱帯滞留時間、同加熱帯鋼片充填率等
の鋼片情報に基づいて燃料ガス流量を設定し、それ以外
の加熱帯は、それぞれ炉温を一定値に保つように燃料ガ
ス流量を設定して制御するようにして、前記第1の課題
を解決したものである。
【0014】特に、少なくとも前記煙道に最も近い加熱
帯は、炉温によらず、鋼片情報のみに基づいて燃料ガス
流量を設定するようにしたものである。
【0015】又は、少なくとも前記煙道に最も近い加熱
帯は、炉温と鋼片情報の両者に基づいて燃料ガス流量を
設定するようにしたものである。
【0016】本発明は、又、複数の加熱帯を有する連続
式加熱炉の燃焼制御装置において、炉温に基づいて燃料
ガス流量を設定する手段と、鋼片情報に基づいて燃料ガ
ス流量を設定する手段と、両者を切替える手段とを備え
ることにより、前記課題を解決したものである。
【0017】本発明は、又、複数の炉帯を有する連続式
加熱炉の燃焼制御方法において、所定の周期で、プラン
ト実績及び炉内の各材料のデータから、分布定数系の温
度モデルを用いて、現在の材料温度を推定し、炉内の材
料の抽出順をもとに各帯の加熱時間を計算し、これに引
き続き材料温度推定と同様の温度モデルを用いて抽出ま
での材料温度を予測計算し、求められた現在及び抽出時
の材料温度、炉温及び加熱時間から、集中定数系の温度
モデルをオンラインで決定し、決定した集中定数系の温
度モデルを用いて、現在及び抽出時の材料温度、及び、
加熱時間から、燃料原単位が一番有利となる昇温パター
ンを作成し、作成した目標昇温パターンにより決定され
た各帯の入側温度、出側温度、及び各帯炉温実績に基づ
いて燃料ガス流量を決定するようにして、前記第2の課
題を解決したものである。
【0018】又、前記燃料ガス流量制御と、炉温のみに
基づく燃料ガス流量制御を併用して、同じく第2の課題
を解決したものである。
【0019】又、複数の炉帯を有する連続式加熱炉の燃
焼制御装置において、所定の周期で、プラント実績及び
炉内の各材料のデータから、分布定数系の温度モデルを
用いて、現在の材料温度を推定する材料温度推定部と、
炉内の材料の抽出順をもとに各帯の加熱時間を計算する
加熱時間予測部と、前記材料温度推定部と同様の温度モ
デルを用いて、抽出までの材料温度を予測計算する材料
温度予測計算部と、求められた現在及び抽出時の材料温
度、炉温及び加熱時間から、集中定数系の温度モデルを
オンラインで決定する温度モデル決定部と、決定した集
中定数系の温度モデルを用いて、現在及び抽出時の材料
温度、及び、加熱時間から、燃料原単位が一番有利とな
る昇温パターンを作成する目標昇温パターン決定部と、
作成した目標昇温パターンにより決定された各帯の入側
温度、出側温度、及び各帯炉温実績に基づき、ガス流量
設定用のテーブルを用いて燃料ガス流量を決定するガス
流量決定部とを備えることにより、同じく前記第2の課
題を解決したものである。
【0020】本発明者は、煙道に近い加熱帯では、燃料
ガス流量と炉温とは必ずしも相関性が高くないこと、従
って、煙道に近い加熱帯の炉温による流量制御は、必ず
しも有効でないことを突き止めた。これに対するため
に、煙道に近い加熱帯では、燃料ガス流量を鋼片情報に
より設定することが適切であり、このようにして、煙道
に最も近く炉効率の悪い加熱帯の燃料消費量を適正化
し、炉全体の燃焼効率を向上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0022】本発明の第1実施形態は、図1に示したよ
うな加熱炉において、煙道20Cに最も近い第1加熱帯
24は、炉温に拘らず鋼片情報のみに基づいて燃料ガス
流量を設定し、それ以外の加熱帯は、それぞれ炉温を一
定値に保つように燃料ガス流量を制御する。
【0023】図2に、本実施形態における加熱炉の燃焼
制御装置を示す。上位計算機40の中の煙道に最も近い
第1加熱帯24の燃焼制御部分に関して、炉温制御モー
ド42、即ち炉温によるMガス流量設定値41を採用す
る従来のプロセスの他に、流量制御モード44として、
鋼材情報によるMガス流量設定値43を用いるプロセス
を新設し、スイッチ45によって、上記2つのモード4
2、44を切り換えるようにしている。又、下位計算機
50に従来の流量自動モード51、即ちMガス任意流量
設定値52を与えて流量設定するプロセスに流量手動介
入(手介)モード53を設け、上位計算機40からの情
報によって流量設定するプロセスを加えている。
【0024】加熱帯の炉温が約800℃〜1200℃で
あれば燃料ガス点火温度と炉体保護温度の条件を満足し
ており、炉温はこの上下限内の範囲内にあれば良い。炉
温がこの範囲内であれば、煙道に最も近い第1加熱帯2
4の燃料ガス流量の設定は鋼片情報によるものとし、炉
温を上昇させるために燃料ガス流量を必要以上に流さな
いように抑制する。
【0025】図3及び図4は鋼材情報が同一の条件下で
試験操業を行った加熱炉の煙道に最も近い第1加熱帯2
4の状況を示したものである。従来の炉温制御モードに
よるガス流量制御では、図3の曲線A(縦軸は左側の目
盛)に示すガス流量となり、その時の加熱炉の排ガス温
度は曲線C(縦軸は右側の目盛)のように推移した。こ
の時の鋼材の装入温度は図4の曲線Eのとおりであっ
た。同一鋼材情報の下で本発明の鋼材情報による燃料ガ
ス流量設定を行った試験操業では、上記図3のガス流量
曲線Aに対応するガス流量は曲線Bのようになり、加熱
炉の排ガス温度推移は曲線Dとなった。このとき鋼材の
装入温度の推移は図5の曲線Fであった。
【0026】以上の試験操業の結果、加熱炉の最も煙道
に近い第1加熱帯24においては、従来の炉温制御モー
ドでは、鋼材装入温度が低下した時、本発明の鋼材情報
による流量設定に比べ、燃料ガス流量の増大変動が大き
く、加熱炉の排ガス温度が上昇している。このとき、加
熱される鋼材の加熱炉出口の状態は、その他の加熱帯の
燃料ガス制御によって所望の状態になっている。図3か
ら、従来の加熱炉制御に比べて、本発明による燃料ガス
制御では加熱炉全体の熱効率が改善されていることが明
白である。
【0027】図5に従来の燃料ガス燃焼制御方法による
煙道に最も近い第1加熱帯の炉温と燃料ガス流量との関
係を示した。この図5によれば、煙道に最も近い第1加
熱帯の炉温と、該第1加熱帯の燃料ガス流量とは相関性
が低く、燃料ガス流量の変動と炉温はほとんど無関係で
あることが分かる。
【0028】図6は、鋼片情報の一つとして鋼片装入温
度を挙げ、これとガス流量との関係を示したグラフであ
る。図中、○印、Δ印、×印は、それぞれ鋼片装入温度
が300℃〜600℃未満、600℃以上の場合の、本
発明実施前の比較例と本発明の実施例とを比較して示し
たものである。実施例では、それぞれ比較例に比べ燃料
ガス流量が少なくなっており、燃料ガス流量の消費が削
減されていることがわかる。
【0029】なお、前記第1実施形態においては、炉温
に基づく制御と鋼片情報に基づく制御のいずれか一方を
選択するようにされていたが、両者を併用することも可
能である。以下、両者の併用に適した本発明の第2実施
形態を詳細に説明する。
【0030】本実施形態は、特開平9−209044で
提案されたような従来の炉温制御に、各加熱帯で本発明
による流量制御を併用するようにしている。
【0031】具体的には、図7に示す如く、所定の周期
でプラント実績(各帯炉温)及び炉内の各材料のデータ
(材料の位置、厚み、幅、長さ、材質、装入温度実績)
から公知の差分モデルを用いて、現在の材料温度を推定
し(材料温度推定部100)、炉内の材料の抽出順を元
に公知の方法で加熱時間を計算する(加熱時間予測部1
10)。
【0032】次いで、これに引き続き、あるいは非同期
で、材料温度推定部100と同様の温度モデル(差分モ
デル)を用いて、現在の材料温度を初期値とし、ある炉
温で加熱した時の抽出までの材料温度を予測計算し、こ
れらの結果(材料の現在及び抽出時の平均温度、炉温、
加熱時間)から、集中定数系の温度モデルをオンライン
で決定する(温度モデル決定部120)。
【0033】又、集中定数系の温度モデルは、例えば次
式のような形とする。
【0034】 θo=θg−(θg−θi)・exp (−α・t/D) …(3) α=2・Φcg・{σ/(ρ・Cp)}・(θg2 +θm2 ) ・(θg+θm) …(4) θo:t時間後の鋼材温度[K] θi:初期の鋼材温度[K] θg:炉温[K] t:加熱時間[hr] D:鋼片厚[m] Φcg:総括熱吸収率[−] σ:ステファンボルツマン定数[kcal/m2 hrK
4 ] ρ:鋼材の比重[kg/m3 ] Cp:鋼材の比熱[kcal/kgK] θm:初期温度θiからt時間後の温度θoまでの鋼材
平均温度[K]
【0035】実際には、温度モデル決定は、モデルのパ
ラメータを決定することになるが、このパラメータは、
加熱炉の加熱特性を考慮して、均熱帯、加熱帯というよ
うに、帯毎に決定する。又、これらのパラメータを、材
料の加熱が進行するに連れて、例えば材料帯入時に見直
すことにより、精度を上げることができる。
【0036】次いで、これに引き続き、あるいは非同期
で、上記温度モデル決定部120で決定した集中定数系
温度モデルを用いて、材料の現在及び抽出時の温度、加
熱時間から、燃料コストが一番有利な昇温パターンを作
成する(目標昇温パターン決定部130)。この目標昇
温パターンは、帯出時目標温度という形で、計算機に記
憶しておく。
【0037】最後に、これに引き続き、あるいは非同期
で、図8に示す如く、対象の加熱帯の各材料について、
各加熱帯での昇温量(帯出側目標温度−帯入側温度)、
炉温実績値、帯入側温度(計算値もしくは実績値)に基
づいて、各材料が、その加熱帯で必要とする燃料流量
を、図9に例示するような、予め作成しておいた設定テ
ーブルから検索し、この検索値を前記加熱時間予測部1
10で求められた対象加熱帯の加熱時間で除すことによ
って、単位時間当りに必要な燃料流量を求める。このよ
うにして求められた各材料の燃料流量を、次式に示すよ
うに、各材料が対象加熱帯を出るまでの残り加熱時間で
加重平均を行い、対象加熱帯の燃料流量設定値を求める
(燃料ガス流量決定部140)。
【0038】 Qs=Σ(Qi・ti)/Σti …(5) Qi=qi/Ti …(6) i=1〜n;対象材料数 Qs:対象加熱帯での燃料流量設定値[Nm3 /Hr] Qi:各材料の対象加熱帯で必要な単位時間あたりの燃
料流量[Nm3 /Hr] ti:各材料の対象加熱帯出側までの残り加熱時間[H
r] qi:各材料の対象加熱帯で必要な燃料流量[Nm3
(テーブル値) Ti:各材料の対象加熱帯での予測加熱時間[Hr]
【0039】本実施形態では、このようにして、集中定
数系温度モデルにより決定した目標昇温パターンを元
に、対象加熱帯での昇温量(帯出側目標温度−帯入側温
度)、炉温実績値、炉入側温度(計算値若しくは実績
値)に基づいて、設定テーブルから各材料の必要燃料流
量を求め、それを各材料について対象加熱帯出口までの
残り加熱時間で加重平均を行うようにしたので、加熱炉
の装入側(第1)加熱帯のように、炉温制御では投入燃
料流量に対して炉温実績が目標炉温に追従しないような
場合に、燃料流量にリミットがかかって無駄な燃料の消
費を抑制することができ、燃料コストの削減が可能とな
る。
【0040】又、目標昇温パターンについては、集中定
数系の温度モデルを分布定数系(差分モデル)の温度計
算結果に基づいてオンラインで決定したものを使用し、
且つ、本発明の流量制御中も材料温度推定部100で差
分モデルにより材料温度を逐次計算しているため、特開
平9−209044で提案した従来法と同等の加熱精度
を維持したまま燃料を削減することができる。
【0041】加熱炉の装入側に最も近い燃焼帯である第
1加熱帯を対象にして、従来制御と本制御を適用した時
のシミュレーション結果を図10に示す。図から、特に
鋼材の装入温度が低い場合には、従来制御では炉温が十
分に追従しないため、燃料の設定流量が非常に多くなっ
ているが、本制御では約1/2〜2/3の設定流量とな
っている。しかしながら、炉温では従来制御と本制御で
はほとんど差はなく、これにより燃料のムダ焼きを防止
していることがわかる。
【0042】本実施形態においては、各加熱帯の必要燃
料流量を、対象加熱帯での昇温量(帯出側目標温度−帯
入側温度)、炉温実績値、帯入側温度をキーとした流量
設定テーブルを用いて簡便に決定することができる。な
お、必ずしも流量設定テーブルを用いる必要はない。
【0043】前記実施形態においては、いずれも、煙道
に最も近い第1加熱帯に、本発明による鋼片情報のみに
基づく制御(第1実施形態)、又は、鋼片情報と炉温の
両者に基づく制御(第2実施形態)が行われていたが、
本発明の適用対象は、これに限定されず、例えば第2加
熱帯や全ての炉帯で本発明による制御を行うこともでき
る。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、煙道に近い加熱帯では
鋼片情報に基づいて燃料ガス流量を調整するようにした
ので、全体として燃料コストを削減することが可能とな
る。
【0045】特に、鋼片情報と炉温の両者に基づく制御
を行った場合には、従来の炉温制御での欠点をカバー
し、燃料コスト削減が可能となるだけでなく、従来の温
度モデルを併用しているため、従来の同等の加熱精度を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱炉の模式的縦断面図
【図2】本発明の第1実施形態の要旨構成を示すブロッ
ク線図
【図3】試験操業における燃料ガス流量と排ガス温度の
推移を示すグラフ
【図4】試験操業における装入温度の推移を示すグラフ
【図5】燃料ガス流量と炉温との関係を示すグラフ
【図6】第1実施形態による燃料ガス流量削減効果を示
すグラフ
【図7】本発明の第2実施形態の全体構成を示すブロッ
ク線図
【図8】同じく要部を示す説明図
【図9】第2実施形態で用いられているスラブ必要ガス
流量設定テーブルの例を示す線図
【図10】第2実施形態の効果を示すグラフ
【符号の説明】
10…鋼片(スラブ) 20…加熱炉 20A…スラブ装入口 20B…スラブ抽出口 20C…煙道 22…予熱帯 24…第1加熱帯(煙道に最も近い加熱帯) 26…第2加熱帯 28…均熱帯 40…上位計算機 42…炉温制御モード 44…流量制御モード 45、54…切替スイッチ 50…下位計算機 51…流量自動モード 53…流量手動介入(手介)モード 100…材料温度推定部 110…加熱時間予測部 120…温度モデル決定部 130…目標昇温パターン決定部 140…燃料ガス流量決定部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の炉帯を有する連続式加熱炉の燃焼制
    御方法において、 少なくとも煙道に最も近い加熱帯は、鋼片情報に基づい
    て燃料ガス流量を設定し、 それ以外の加熱帯は、それぞれ炉温を一定値に保つよう
    に燃料ガス流量を設定して制御することを特徴とする連
    続式加熱炉の燃焼制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の連続式加熱炉の燃焼制御
    方法において、少なくとも前記煙道に最も近い加熱帯
    は、炉温によらず、鋼片情報のみに基づいて燃料ガス流
    量を設定することを特徴とする連続式加熱炉の燃焼制御
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の連続式加熱炉の燃焼制御
    方法において、少なくとも前記煙道に最も近い加熱帯
    は、炉温と鋼片情報の両者に基づいて燃料ガス流量を設
    定することを特徴とする連続式加熱炉の燃焼制御方法。
  4. 【請求項4】複数の炉帯を有する連続式加熱炉の燃焼制
    御装置において、 炉温に基づいて燃料ガス流量を設定する手段と、 鋼片情報に基づいて燃料ガス流量を設定する手段と、 両者を切替える手段と、を備えたことを特徴とする連続
    式加熱炉の燃焼制御装置
  5. 【請求項5】複数の炉帯を有する連続式加熱炉の燃焼制
    御方法において、 所定の周期で、プラント実績及び炉内の各材料のデータ
    から、分布定数系の温度モデルを用いて、現在の材料温
    度を推定し、 炉内の材料の抽出順をもとに各帯の加熱時間を計算し、 これに引き続き材料温度推定と同様の温度モデルを用い
    て抽出までの材料温度を予測計算し、 求められた現在及び抽出時の材料温度、炉温及び加熱時
    間から、集中定数系の温度モデルをオンラインで決定
    し、 決定した集中定数系の温度モデルを用いて、現在及び抽
    出時の材料温度、及び、加熱時間から、燃料原単位が一
    番有利となる昇温パターンを作成し、 作成した目標昇温パターンにより決定された各帯の入側
    温度、出側温度、及び各帯炉温実績に基づいて燃料ガス
    流量を決定することを特徴とする連続式加熱炉の燃焼制
    御方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の燃料ガス流量制御と、炉
    温のみに基づく燃料ガス流量制御を併用することを特徴
    とする連続式加熱炉の燃焼制御方法。
  7. 【請求項7】複数の炉帯を有する連続式加熱炉の燃焼制
    御装置において、 所定の周期で、プラント実績及び炉内の各材料のデータ
    から、分布定数系の温度モデルを用いて、現在の材料温
    度を推定する材料温度推定部と、 炉内の材料の抽出順をもとに各帯の加熱時間を計算する
    加熱時間予測部と、 前記材料温度推定部と同様の温度モデルを用いて、抽出
    までの材料温度を予測計算する材料温度予測計算部と、 求められた現在及び抽出時の材料温度、炉温及び加熱時
    間から、集中定数系の温度モデルをオンラインで決定す
    る温度モデル決定部と、 決定した集中定数系の温度モデルを用いて、現在及び抽
    出時の材料温度、及び、加熱時間から、燃料原単位が一
    番有利となる昇温パターンを作成する目標昇温パターン
    決定部と、 作成した目標昇温パターンにより決定された各帯の入側
    温度、出側温度、及び各帯炉温実績に基づき、ガス流量
    設定用のテーブルを用いて燃料ガス流量を決定するガス
    流量決定部と、を備えたことを特徴とする連続式鋼片加
    熱炉の燃焼制御装置。
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JP2007308777A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続式加熱炉を用いた鋼材の製造方法
CN103309314A (zh) * 2013-05-23 2013-09-18 国家电网公司 超临界燃煤机组高温过热器金属壁温预警优化控制方法

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