JPH11187867A - 融合細胞株とその取得方法 - Google Patents

融合細胞株とその取得方法

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JPH11187867A
JPH11187867A JP10061889A JP6188998A JPH11187867A JP H11187867 A JPH11187867 A JP H11187867A JP 10061889 A JP10061889 A JP 10061889A JP 6188998 A JP6188998 A JP 6188998A JP H11187867 A JPH11187867 A JP H11187867A
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cells
fusion
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顕光 辻
Mari Yamamoto
万里 山本
Kazuhiro Osada
和浩 長田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒト細胞株を用いた免疫系の諸現象、すなわ
ちアレルギー、ガンなどのメカニズム解明、それらの疾
病の予防、診断、治療等を目的とした食品機能の検索、
新規医薬品の探索、製造に使用するためのヒト免疫担当
細胞株を取得すること。 【解決手段】 ヒトバーキットリンパ腫由来細胞株Ra
ji、ヒトT細胞性白血病細胞株PEERおよびヒト好
酸球白血病細胞株EoLlのいずれかの細胞株から、8
−アザグアニンもしくは6−チオグアニン耐性クローン
を選択し、さらに無血清培養可能にした変異株であるI
CLU−B、ICLU−TおよびICLU−Eのいずれ
かを親細胞株とするヒト免疫担当融合細胞株並びにヒト
細胞融合用親細胞株ICLU−Tとヒト免疫担当細胞を
用いて融合細胞を作成する際に、ポリエチレングリコー
ルとレシチンの存在下に行うことを特徴とするヒト免疫
担当融合細胞株の取得方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、融合細胞株とその
取得方法に関する。詳しくは、ヒト細胞株を用いた免疫
系の諸現象、すなわちアレルギー、ガンなどのメカニズ
ム解明、それらの疾病の予防、診断、治療等を目的とし
た食品機能の検索、新規医薬品の探索、製造に使用する
ためのヒト免疫担当細胞株の取得に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ヒトの体内から分離した細胞を
体外で培養するには、困難を伴うことが多い。例えば、
ヒトの体内から分離したリンパ球などの細胞を体外で無
限増殖させることは困難である。通常、これら細胞を培
養液中で培養しても、2週間から数ヶ月程度で死滅して
しまう。ガン細胞や上皮細胞のある種のものは、培地組
成によっては体外での継代培養が可能であるが、研究等
に用いるために必要十分な量を確保することは難しい。
さらに、体内細胞を体外において増殖させるには、細胞
に何らかの刺激を与える必要がある。そのために、培養
液に種々の生理活性物質を添加しなければならないが、
その適切な物質の選択等に問題があり、かなりの労力を
要する。
【0003】近年では、このような問題点を解消する方
法として、目的とする細胞に発ガン物質等の薬剤を添加
したり、紫外線や放射線を照射する等の処理を行い、目
的の細胞に突然変異を生じさせる(トランスフォーム)
方法が提案されている。このような処理を行うことによ
り、無限増殖が可能な細胞株(変異株)を取得すること
ができる。また、遺伝子導入法(細胞に特定の遺伝子を
導入する方法)を用いて、株化したい細胞に、不死化遺
伝子を導入して形質転換を生じさせ、無限増殖する細胞
を取得する方法も報告されている。
【0004】さらに、このようにトランスフォームを利
用した方法のほかに、リンパ球などのように体内で抗体
や免疫調節因子(リンフォカイン)を産生する細胞を、
無限増殖する細胞と融合して、体外でもその抗体や免疫
調節因子を産生する融合細胞(ハイブリドーマ)として
樹立する方法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の方法では、次のような問題点があった。まず、
薬剤を添加する方法や紫外線等の照射を利用する方法に
おいては、獲得した変異形質およびその他の細胞機能が
安定した細胞株として樹立するために、数カ月から数年
もの長期間を要し、樹立した細胞株が利用できるように
なるまでにかなりの期間が必要であった。また、処理に
供した細胞数あたりの取得される変異株数(変異効率)
が低く、目的細胞を容易に株化することが困難であっ
た。
【0006】また、細胞融合によって株化する方法は、
モノクローナル抗体やリンフォカイン等の細胞由来物質
の安定生産系としては有用である。しかしながら、この
方法で得られる融合細胞株は、生体内で生じる種々の免
疫反応に対しては、その細胞応答が低下もしくは消失し
ていると言われている。したがって、これらの方法を用
いても、生体内での細胞の相互作用を生体外でも再現可
能な樹立細胞系として用いるためには多くの困難が伴っ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、株化細胞
の取得法について検討を重ね、細胞融合法による株化が
その他の方法に比較して、細胞をトランスフォームさせ
る効率が比較的高い点に着目した。ただし、細胞融合し
て得られる株細胞の性質は、融合に供した生体由来の免
疫担当細胞ばかりでなく、他方のパートナーであるヒト
親細胞株に大きく依存していることが知られている。
【0008】そこで、種々のヒト由来の免疫担当細胞を
細胞機能を保持したまま効率よく株化するために、本発
明者らは親細胞株について研究し、変異株であるヒトバ
ーキットリンパ腫由来細胞株ICLU−B、ヒトT細胞
性白血病細胞株ICLU−Tおよびヒト好酸球白血病細
胞株ICLU−Eの3種を樹立した。これらのヒト親細
胞株を用いて、生体内の各種ヒト免疫担当細胞と細胞融
合することにより得られる融合細胞は、それらの細胞が
生体内で有していたと考えられる細胞機能を保持する性
質を残していることが分かった。
【0009】また、これらの細胞融合用親細胞株のう
ち、ICLU−Tは、よく知られている細胞融合促進剤
(ポリエチレングリコール、以下PEGと記載する。)
および融合細胞のみを増殖させる融合細胞選択培地(H
AT培地)では、効率的な細胞融合を行うことは不可能
であることが判明した。そこで、本発明者らは、ICL
U−Tを親細胞株として利用し、融合細胞を得るための
手段について検討した結果、PEGとリン脂質であるレ
シチンを混合した融合促進剤を開発すると共に、ヒポキ
サンチンとアメソプテリンで構成される選択培地を開発
した。その結果、これらを用いることにより、効率よく
細胞融合を行うことができることを見出した。なお、本
発明で用いるヒト細胞融合用親細胞株ICLU−B、I
CLU−TおよびICLU−Eは、必ずしも免疫担当細
胞とのみ融合可能なわけではなく、その他の組織由来の
細胞とも融合可能である。
【0010】請求項1記載の本発明は、ヒトバーキット
リンパ腫由来細胞株Raji、ヒトT細胞性白血病細胞
株PEERおよびヒト好酸球白血病細胞株EoLlのい
ずれかの細胞株から、8−アザグアニンもしくは6−チ
オグアニン耐性クローンを選択し、さらに無血清培養可
能にした変異株であるICLU−B、ICLU−Tおよ
びICLU−Eのいずれかを親細胞株とするヒト免疫担
当融合細胞株である。
【0011】また、請求項2記載の本発明は、ヒト細胞
融合用親細胞株ICLU−Tとヒト免疫担当細胞を用い
て融合細胞を作成する際に、PEGとレシチンの存在下
に行うことを特徴とするヒト免疫担当融合細胞株の取得
方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
融合細胞の性質は、前記したように、融合に供した生体
由来の免疫細胞だけでなく、親細胞株にも大きく依存し
ている。そこで、本発明者らは、種々のヒト由来の免疫
担当細胞を細胞機能を保持したまま効率よく株化するた
めに用いることができるヒト細胞融合用親細胞株を樹立
した。すなわち、ヒト免疫細胞由来細胞から、次のよう
にして親細胞株を取得した。既に樹立されているヒト細
胞株であるヒトバーキットリンパ腫由来細胞株(Raj
i)およびヒト好酸球白血病細胞株(EoL−1)を、
6−チオグアニン(終濃度30μg/ml)と10%牛胎児
血清(以下、FBSと記載する。)を含むERDF培地
(極東製薬工業(株)製)で培養した。なお、10%の
濃度でFBSを添加したERDF培地を、以下10%F
BS−ERDF培地と記載する。ヒトT細胞性白血病細
胞株(PEER)は8−アザグアニン(終濃度20μg/
ml)を含む10%FBS−ERDF培地で培養した。
【0013】3週間程度培養した後、増殖してきたクロ
ーンを分取し、クローニングを行った。クローニング
は、96穴培養プレートの1穴につき1個の細胞が入る
ように、10%FBS−ERDF培地を用いて細胞懸濁
液を稀釈して巻き込む限界稀釈法に従った。96穴培養
プレートに細胞をまきこんで24〜30時間後に、プレ
ートの各穴を検鏡し、細胞が2個になっている穴に印を
いれた。さらに、24〜30時間後(すなわち、まきこ
んでから48〜60時間後)に、印がついている穴を検
鏡し、細胞が4個になっている穴に印をいれた。まきこ
んでから20日後に、2つの印がついている穴を検鏡
し、細胞が増殖していることを確認して細胞数を血球計
算板で計測した。最も細胞数が多かった穴の細胞を、さ
らに上記と同様の方法で再クローニングした。
【0014】親細胞株が樹立された後、細胞融合で得ら
れる融合細胞が無血清培養可能となるように、クローニ
ングで得られたクローンをインスリン(終濃度10μg/
ml)、トランスフェリン(終濃度20μg/ml)、エタノ
ールアミン(終濃度20μM)、亜セレン酸ナトリウム
(終濃度25nM)を含むERDF培地(極東製薬工業
(株)製)で、96穴培養プレートに、1穴につき1個
の細胞が入るように稀釈して2週間程度培養した。増殖
してきた各穴の細胞数を計測し、最も細胞数が多かった
順に各穴の細胞の一部をアミノプテリン(終濃度0.4
mM)を含む15%FBS−ERDF培地で培養した。
培養後3日目〜5日目に検鏡し、細胞が死滅したクロー
ンの3、4株を親細胞株の候補として樹立した。
【0015】得られた親細胞株の候補となるクローンを
用いて実際に細胞融合した。その結果、使用した各クロ
ーンの細胞数を105 細胞としたときの取得した融合細
胞数(融合効率)を指標として、この値が最も高いクロ
ーンを樹立親細胞株とした。このようにして樹立した3
種の親細胞株、すなわちRaji由来の親細胞株をヒト
バーキットリンパ腫由来細胞株(ICLU−B)、PE
ER由来の親細胞株をヒトT細胞性白血病細胞株(IC
LU−T)、EoL−1由来の親細胞株をヒト好酸球白
血病細胞株(ICLU−E)と命名した。このようにし
て樹立された親細胞株は、工業技術院生命工学工業技術
研究所に寄託されており、それらの受託番号は、ICL
U−BがFERM BP−6253、ICLU−TがF
ERM BP−6255、ICLU−EがFERM B
P−6254である。これらの親細胞株を、ヒト末梢血
リンパ球のようなヒト免疫担当細胞と融合操作を行うこ
とにより、請求項1記載の融合細胞株を得ることができ
る。
【0016】親細胞株とヒト免疫担当細胞との融合操作
は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、
上記の親細胞株のいずれかと、ヒト免疫担当細胞とを混
合する。ここで、親細胞株と融合させる他方のヒト免疫
担当細胞としては、ヒトリンパ球などのヒトの生体内で
免疫機能を有する細胞であればいずれも使用できる。親
細胞株に対するヒト免疫担当細胞の使用割合は、例えば
親細胞株としてICLU−Bを使用する場合は1.5〜
2倍程度、ICLU−Tを使用する場合は0.8〜1.
2倍、ICLU−Eを使用する場合は1〜1.5倍程度
とするのが好ましい。
【0017】また、ヒト免疫担当細胞の代わりに、その
他のヒト組織由来の細胞、例えばヒトガン細胞などを用
いて融合させることも可能である。ガン細胞を用いる場
合、該細胞の由来する組織の種類は特に限定されず、例
えば胃ガン細胞や乳ガン細胞など、いずれも同じように
使用することができる。この場合、親細胞株に対するこ
れら細胞の使用割合は、上記と同様でよい。
【0018】親細胞株とヒト免疫担当細胞等の混合物を
遠心分離することにより、培養上清と細胞ペレットとに
分離し、このうちの培養上清を除去する。残った細胞ペ
レットに、融合促進剤であるPEGを基本合成培地で希
釈したもの(通常は、40〜50%に希釈)を添加す
る。ここで用いる培地としては、例えば基本合成培地と
してERDF培地、RPM11640培地、ダルベッコ
変法イーグル培地(DMEM)などが使用可能である。
これらの培地と共に、成長因子として牛胎児血清(FB
S)を併用したり、インスリン、トランスフェリン、エ
タノールアミン、亜セレン酸ナトリウムなどの無血清培
養用成長因子を併用することもできる。また、融合促進
剤であるPEGとしては、平均分子量が4,000〜6,0
00程度のものを使用できるが、融合効率の点から平均
分子量4,000程度のものが好ましく、ICLU−Tの
場合は平均分子量4,000程度のものが特に好ましい。
【0019】ところで、親細胞株としてICLU−T細
胞を用いた場合は、融合促進剤としてPEGにレシチン
を混合したものを使用する必要がある。PEGにレシチ
ンを混合せずに、ICLU−T細胞の細胞融合操作を行
った場合、ICLU−Tの細胞膜破壊が顕著に生じ、残
存する生細胞数が減少する上に、目的とする融合細胞を
効率よく得ることができない。レシチンは、細胞膜の主
たる構成成分であるリン脂質の一種である。このレシチ
ンを混合すると、ICLU−T細胞を用いた融合操作を
行った場合に、細胞膜の主成分であるリン脂質を保護
し、PEGによる細胞膜破壊を極力抑えることができ
る。
【0020】培地で希釈された融合促進剤を添加した細
胞ペレットを遠心分離した後、該細胞ペレットの中から
融合細胞を選択する。ICLU−BまたはICLU−E
を親細胞株として用いた場合の融合細胞の選択は、一般
に良く知られているヒポキサンチン、アミノプテリン
(代わりにアメソプテリンでもよい。以下、同じ)、チ
ミジンを含む培地で構成された選択培地(例えば、15
%FBS−ERDF培地)で行うことができる。融合開
始から24〜30時間後に、ヒポキサンチン、アミノプ
テリン、チミジンを含む選択培地を添加する。この場合
に限り、選択培地中のこれら物質の濃度を2倍とする。
その後は、数日おきに、当初の選択培地と同濃度の培地
を半量ずつ交換する。このようにして2週間程度培養す
ることにより、融合細胞を取得することができる。
【0021】一方、ICLU−Tを親細胞株として用い
た場合の融合細胞の選択も、基本的には上記の手順と同
じである。しかし、この場合は、ヒポキサンチンおよび
アミノプテリンを含むが、チミジンを含まない培地で構
成された選択培地を使用する点で、ICLU−Bまたは
ICLU−Eの場合とは異なる。ICLU−T細胞を親
細胞とする場合、選択培地にチミジンが存在すると、増
殖阻害が生じるため、チミジンの添加を避けるべきであ
る。融合後24〜30時間経過した後、懸濁液にヒポキ
サンチンとアミノプテリンを含有した選択培地(例え
ば、15%FBS−ERDF培地)を添加する。この培
地は、上記と同様に、数日おきに半量ずつ交換する。こ
のようにして2週間程度培養することにより、融合細胞
を取得することができる。各親細胞から融合操作を経て
得られる融合細胞は、生体内において当該免疫担当細胞
が発現していた特定の免疫反応(細胞機能)を、生体外
でもそのまま保持することができる。
【0022】
【実施例】次に、本発明を詳細に説明するために代表的
な実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 実施例1〔ICLU−Bを用いたヒトリンパ球の株化〕 親細胞株ICLU−B(FERM BP−6253)
1×107個と、ヒト末梢血リンパ球2×107個とを混合
した。この混合物を遠心分離し、培養上清と細胞ペレッ
トとに分離した後、培養上清を除去した。残った細胞ペ
レットに、ERDF培地(極東製薬工業(株)製)で希
釈した50%PEG(平均分子量4,000)を1ml添
加した。さらに、ERDF培地9mlを添加して全量を
10mlとした。これを再び遠心分離し、得られた細胞
のペレットをERDF培地85%、牛胎児血清15%に
なるように調製された15%FBS−ERDF培地50
mlで懸濁した。懸濁液は、96穴培養プレートの各穴
に100μlずつ添加した。融合操作の翌日に、400
μMヒポキサンチン、0.8μMアメソプテリン、32μ
Mチミジン含有15%FBS−ERDF培地を、96穴
培養プレートの各穴に100μlずつ添加した。この
後、2、3日おきに、200μMヒポキサンチン、0.4
μMアメソプテリン、16μMチミジン含有15%FB
S−ERDF培地と半量ずつ培地交換した。培養を開始
してから2週間程度経過後に、形成されたICLU−B
とヒト末梢血リンパ球との融合細胞の出現ウェル数およ
び融合効率を測定した。結果を第1表に示す。また、I
CLU−B(FERM BP−6253) 3×106
と、ヒト末梢血リンパ球6×106個とを用いたこと以外
は、上記と同様にして細胞融合を行った。この結果も第
1表に示す。
【0023】次に、得られた融合細胞株の性質を、下記
のようにして検討した。まず、蛍光標識した抗B細胞抗
体、抗T細胞抗体および抗単球抗体を用いて、融合細胞
がいずれの抗体に反応するかを検討した。この判別結果
により、融合細胞が、B細胞性、T細胞性および単球性
のいずれであるかを知ることができる。この抗体による
検討の結果、融合細胞がB細胞性であった場合は、抗体
(Ig)産生能を有するか否かについてさらに検討し
た。また、融合細胞がT細胞性であった場合は、さらに
どのようなサブクラスに分類されるかについて検討し
た。融合細胞が単球性であった場合は、食細胞作用等を
有するかについても検討した。上記2回の融合操作によ
り得られた融合細胞の細胞種とその比率等の平均値を第
2表に示す
【0024】実施例2〔ICLU−Tを用いたヒトリン
パ球の株化〕 ICLU−T(FERM BP−6255)を4×106
個、ヒト末梢血リンパ球を4×106個で混合した。この
混合物を遠心分離し、培養上清と細胞ペレットとに分離
した後、培養上清を除去した。細胞ペレットに基本培地
であるERDF培地(極東製薬工業(株)製)と1%レ
シチンで調製した40%PEG(平均分子量:400
0)を1ml添加した。さらに、ERDF培地9mlを
添加して、全量を10mlとした。これを再び遠心分離
して得られた細胞のペレットを、ERDF培地85%、
FBS15%になるように調製された15%FBS−E
RDF培地25mlで懸濁した。懸濁液は、96穴培養
プレートの各穴に100μlずつ添加した。この融合操
作の4日後に、133μMヒポキサンチン、0.26μM
アメソプテリン含有15%FBS−ERDF培地を96
穴培養プレートの各穴に100μlずつ添加した。次い
で、4、5日おきに、67μMヒポキサンチン、0.13
μMアメソプテリン含有15%FBS−ERDF培地と
半量ずつ培地交換した。培養開始から2週間程度経過後
に、形成されたICLU−Tとヒト末梢血リンパ球との
融合細胞の出現ウェル数および融合効率を測定した。結
果を第1表に示す。また、ICLU−T(FERM B
P−6255) 5×106個とヒト末梢血リンパ球5×
106個とを用いたこと以外は、上記と同様の条件で細胞
融合を行った。その結果も第1表に示す。さらに、得ら
れた融合細胞株の性質について、実施例1と同様にして
検討した結果を第2表に示す。
【0025】実施例3〔ICLU−Eを用いたヒトリン
パ球の株化〕 ICLU−E(FERM BP−6254) 1×107
個とヒト末梢血リンパ球1×107個とを混合した。この
混合物を遠心分離し、培養上清と細胞ペレットとに分離
した後、培養上清を除去した。残った細胞ペレットに、
ERDF培地で希釈した40%PEG(平均分子量:4
000)を1ml添加した。さらに、ERDF培地(極
東製薬工業(株)製)9mlを添加して全量を10ml
とした。これを再び遠心分離し、得られた細胞のペレッ
トを、ERDF培地85%、FBS15%となるように
調製した15%FBS−ERDF培地50μlで懸濁し
た。懸濁液は、96穴培養プレートの各穴に100μl
ずつ添加した。融合操作の翌日に、400μMヒポキサ
ンチン、0.8μMアメソプテリン、32μMチミジン含
有15%FBS−ERDF培地を、96穴培養プレート
の各穴に100μlずつ添加した。2、3日おきに、2
00μMヒポキサンチン、0.4μMアメソプテリン、1
6μMチミジン含有15%FBS−ERDF培地と半量
ずつ培地交換した。培養開始から2週間程度経過後に、
形成されたICLU−Bとヒト末梢血リンパ球との融合
細胞の出現ウェル数および融合効率を測定し、その結果
を第1表に示した。また、ICLU−E(FERM B
P−6254)の数を7×106個、ヒト末梢血リンパ球
7×106個としたこと以外は同様に融合操作を行った。
結果を第1表に示す。さらに、得られた融合細胞株の性
質を、実施例1と同様にして検討した結果を第2表に示
す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】第1表より、いずれの親細胞株を用いた場
合も、2週間程度の培養で、高い効率のヒト末梢血リン
パ球との融合細胞を得ることができることがわかる。ま
た、第2表より、以下のことがわかる。まず、3種の親
細胞株がいずれも生体内の各種の免疫担当細胞を株化す
ることができることが明らかである。ICLU−Bを細
胞融合の親細胞株として使用した場合は、3種のいずれ
の免疫担当細胞をも得ることができるが、主として得ら
れるのはB細胞である。ICLU−Bから得たB細胞種
の融合細胞株は、Ig産生能を有することから、融合に
供した末梢血リンパ球のうち、抗体産生細胞であるBリ
ンパ球の性質をそのまま受け継いでいることが明らかで
ある。また、ICLU−Tを細胞融合の親細胞株として
使用した場合も、主としてT細胞系の融合細胞を得てお
り、これらのT細胞種の融合細胞は、ヘルパー型を示
す。したがって、細胞融合に供した末梢血リンパ球のう
ち、Tリンパ球の性質を受け継いでいることが明らかで
ある。
【0029】ただし、ICLU−Eを細胞融合の親細胞
株として使用した場合、得られる融合細胞は、主として
T細胞種の性質を示す。しかしながら、ICLU−Bや
ICLU−T細胞を親細胞株とした場合と比較して、多
くの単球系融合細胞が得られている。これらの単球系の
融合細胞株は、食細胞作用があることから、単球系の細
胞の特徴をそのまま有していることが確認された。
【0030】実施例4〔親細胞株ICLU−Tを用いて
細胞融合を行う場合の融合促進剤の検討〕ICLU−T
細胞(FERM BP−6255)とヒト末梢血リンパ
球とを、細胞数が約1:1(具体的な数値は第3表に示
した)となるように混合した。この混合物を遠心分離
し、培養上清と細胞ペレットとに分離し、培養上清を除
去した。次に、細胞ペレットに基本培地であるERDF
培地(極東製薬工業(株)製)と1%レシチンで調製し
た1%レシチン−40%PEG(平均分子量:400
0)を1ml添加した。さらに、ERDF培地9mlを
添加して全量を10mlとした。これを再び遠心分離し
て得られた細胞のペレットを、ERDF培地85%、F
BS15%になるように調製された15%FBS−ER
DF培地50mlで懸濁した。懸濁液は、96穴培養プ
レートの各穴に100μlずつ添加した。この融合操作
の4日後に、133μMヒポキサンチン、0.26μMア
メソプテリン含有15%FBS−ERDF培地を96穴
培養プレートの各穴に100μlずつ添加した。次い
で、4、5日おきに、67μMヒポキサンチン、0.13
μMアメソプテリン含有15%FBS−ERDF培地と
半量ずつ培地交換した。培養開始から2週間程度経過後
に、形成されたICLU−Tとヒト末梢血リンパ球との
融合細胞の出現ウェル数および融合効率を測定した。結
果を第3表に示す。一方、対照として、レシチンを添加
しないERDF培地で希釈して調製した40%PEG
(平均分子量:4000)を用いた他は上記と同様に細
胞融合を行った。その結果も第3表に併せて示す。
【0031】
【表3】 * 親細胞105個当たり
【0032】第3表より、融合促進剤としてPEGのみ
を用いても、融合細胞が全く得られないか、あるいは得
られる場合でもその効率は非常に低いことがわかる。一
方、レシチンとPEGの両方を用いた場合は、融合細胞
を効率よく得ることができることが明らかである。この
結果から、ICLU−Tを親細胞として細胞融合を行う
際は、融合促進剤としてPEGの他にレシチンも添加す
る必要があることがわかる。
【0033】
【発明の効果】ICLU−B、ICLU−T、ICLU
−Eのいずれかを親細胞株として用いて作成された本発
明のヒト免疫担当融合細胞株は、生体内において当該免
疫担当細胞が元来有していた免疫機能、その他の性質を
生体外においてそのまま発現するものである。また、請
求項2記載の本発明方法のように、ポリエチレングリコ
ールとレシチンの存在下において、ICLU−Tとヒト
免疫担当細胞から融合細胞を作成すると、生体内におけ
る免疫機能をそのまま保持した融合細胞を効率よく株化
することができる。本発明の融合細胞株は、生体内での
細胞間相互作用を、生体外で研究するために好適に利用
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川原 浩治 静岡県島田市横井2−12−61 サンライズ 横井301号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトバーキットリンパ腫由来細胞株Ra
    ji、ヒトT細胞性白血病細胞株PEERおよびヒト好
    酸球白血病細胞株EoLlのいずれかの細胞株から、8
    −アザグアニンもしくは6−チオグアニン耐性クローン
    を選択し、さらに無血清培養可能にした変異株であるI
    CLU−B、ICLU−TおよびICLU−Eのいずれ
    かを親細胞株とするヒト免疫担当融合細胞株。
  2. 【請求項2】 ヒト細胞融合用親細胞株ICLU−Tと
    ヒト免疫担当細胞を用いて融合細胞を作成する際に、ポ
    リエチレングリコールとレシチンの存在下に行うことを
    特徴とするヒト免疫担当融合細胞株の取得方法。
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