JPH11187842A - 酵母エキス及びその製造方法 - Google Patents

酵母エキス及びその製造方法

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JPH11187842A JP9366874A JP36687497A JPH11187842A JP H11187842 A JPH11187842 A JP H11187842A JP 9366874 A JP9366874 A JP 9366874A JP 36687497 A JP36687497 A JP 36687497A JP H11187842 A JPH11187842 A JP H11187842A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素添加法による酵母エキスの製造方法にお
いて、呈味性核酸(5’−ヌクレオチド類)を豊富に含
有し、コク味を充分に有し、かつ、清澄度の高い酵母エ
キスとその製造方法を提供すること。 【解決手段】 請求項1記載の本発明は、酵母菌体懸濁
液から酵素添加法により酵母エキスを製造するにあた
り、酵母菌体懸濁液に5’−ホスホジエステラーゼ、プ
ロテアーゼ及び5’−アデニル酸デアミナーゼを添加し
て酵母エキスの抽出処理を行い、得られた抽出物を、酵
母菌体を分離することなく、70〜95℃で加熱処理し
た後、pHを4.0〜6.0に調整して濁り成分を沈殿
させ、次いで該沈殿物を含む不溶物を除去することを特
徴とする酵母エキスの製造方法を提供するものであり、
請求項5記載の本発明は、そのような方法により得られ
た酵母エキスを提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、呈味性の改善され
た酵母エキス及びその製造方法に関し、詳しくは呈味性
を有する5’−ヌクレオチド類を豊富に含有し、複雑な
コク味を有し、しかも清澄な酵母エキス及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵母エキスは天然調味料として、肉エキ
ス、野菜エキス、魚介類エキス等とともに、化学調味料
にはない複雑な呈味性、すなわち、旨味、酸味、苦味、
コク味等を有しており、食品素材として近年広く利用さ
れるに至っている。酵母エキスの呈味成分としては、ア
ミノ酸、ペプチド、5’−ヌクレオチド類、糖質、有機
酸等が知られている。この中でも、5’−ヌクレオチド
類は、旨味をもたらす成分としてとりわけ重要である。
【0003】酵母エキスは、通常、自己消化法や酵素添
加法等により製造されている。特に、天然の5’−ヌク
レオチド類を含有する酵母エキスの製造方法としては、
主として酵素添加法が用いられている。この酵素添加法
としては、従来、次のようなものが知られている。
【0004】(1)まず、予め酵母菌体を加熱すること
により、酵母が持つ酵素を全て失活させた後、細胞壁溶
解酵素、5’−ホスホジエステラーゼ、5’−アデニル
酸デアミナーゼ及びプロテアーゼを添加することによ
り、5’−ヌクレオチド類含量の高い酵母エキスを製造
する方法(特公平5−34939号公報)が知られてい
る。 (2)次に、細胞壁溶解酵素を併用し、酵母に自己消化
をさせた後、加熱して菌体内酵素を全て失活させ、続い
て5’−ホスホジエステラーゼと5’−アデニル酸デア
ミナーゼとを作用させる方法(特許第2604301
号)が知られている。
【0005】しかしながら、これらの従来法は、酵母エ
キス中に濁り成分が含有されるため、他の調味料素材と
配合して調味料とした場合に、清澄度が低くなり、用途
や使用量が限定されるという欠点があった。
【0006】一方、酵母エキスの濁り成分を除去して清
澄度を高める方法としては、酵母エキス原液を、−18
〜5℃の凍らない条件下に7〜30日間保持した後、濾
過を行うことによるエキスの清澄化法(特開平7−51
024号公報)や、抽出後のエキスのpHを、一旦4.
0〜6.0に低下させ、その際に現れた沈殿物を除去す
る、いわゆる等電点沈殿の原理を応用した方法などが知
られている。
【0007】しかしながら、前者の場合には、冷蔵保存
設備が必要であり、また、製造期間が長期化する等の問
題がある。また、後者の場合には、等電点沈殿処理を行
うことにより清澄度は高まるものの、同時に酵母エキス
特有のコク味が低減されてしまい、酵母エキス組成物に
期待される呈味上の特徴を充分に引き出せない等の問題
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の酵
素添加法における酵母エキスの製造方法では、呈味性核
酸(5’−ヌクレオチド類)を豊富に含有し、コク味を
充分に有し、かつ、清澄度が高い酵母エキスを得ること
は、困難であった。
【0009】本発明の課題は、酵素添加法による酵母エ
キスの製造方法において、呈味性核酸(5’−ヌクレオ
チド類)を豊富に含有し、コク味を充分に有し、かつ、
清澄度の高い酵母エキスとその製造方法を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような背景の下、本
発明者らは、従来より試みられていた酵素添加法に改良
を加え、さらに複数の工程を組み合わせることによっ
て、呈味性核酸(5’−ヌクレオチド類)を豊富に含有
し、コク味を充分に有し、かつ、清澄度の高い酵母エキ
スの製造方法を見出した。
【0011】すなわち、本発明者らは、酵素添加法によ
り得られた抽出物について、酵母菌体込みのままで行う
加熱処理と等電点沈殿処理とを組み合わせることによ
り、従来の方法では困難とされていた、清澄度が高く、
かつコク味を有する呈味性核酸含有酵母エキスの製造が
可能であることを見出した。本発明は、かかる知見に基
づいて完成されたものである。
【0012】請求項1記載の本発明は、酵母菌体懸濁液
から酵素添加法により酵母エキスを製造するにあたり、
酵母菌体懸濁液に5’−ホスホジエステラーゼ、プロテ
アーゼ及び5’−アデニル酸デアミナーゼを添加して酵
母エキスの抽出処理を行い、得られた抽出物を、酵母菌
体を分離することなく、70〜95℃で加熱処理した
後、pHを4.0〜6.0に調整して濁り成分を沈殿さ
せ、次いで該沈殿物を含む不溶物を除去することを特徴
とする酵母エキスの製造方法を提供するものである。
【0013】請求項2記載の本発明は、酵母菌体懸濁液
から酵素添加法により酵母エキスを製造するにあたり、
酵母菌体懸濁液に5’−ホスホジエステラーゼ、プロテ
アーゼ及び5’−アデニル酸デアミナーゼを添加して酵
母エキスの抽出処理を行い、得られた抽出物を、酵母菌
体を分離することなく、pHを4.0〜6.0に調整し
て濁り成分を沈殿させ、次いで70〜95℃で加熱処理
した後、前記沈殿物を含む不溶物を除去することを特徴
とする酵母エキスの製造方法を提供するものである。
【0014】請求項3記載の本発明は、酵母菌体懸濁液
として、乾燥酵母の懸濁液を用いる請求項1又は2記載
の方法を提供するものである。
【0015】請求項4記載の本発明は、乾燥酵母が、酵
母菌体の懸濁液を70〜95℃で保持した後、乾燥させ
て得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載の
方法を提供するものである。
【0016】請求項5記載の本発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載の方法により得られた酵母エキスを提供
するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳細に説
明する。請求項1記載の本発明に使用される原料の酵母
としては、特に制限はなく、例えば、サッカロミセス・
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に代表される
醸造用酵母、パン酵母は勿論のこと、トルラ酵母など、
通常、酵母エキスの製造に用いられる酵母であれば、ど
のような酵母も利用することができる。また、酵母エキ
ス製造のために新たに培養された酵母ばかりでなく、ビ
ール、清酒などの醸造後の酵母であっても差し支えな
い。さらに、乾燥酵母を原料として、これを水に懸濁し
てから用いてもよい。
【0018】請求項1記載の本発明では、上記の如き酵
母を用い、その菌体懸濁液から酵素添加法により酵母エ
キスを製造する。具体的には、まず、原料酵母を水に適
当な濃度(例えば、5〜15%濃度程度)に懸濁し、酵
母菌体懸濁液とする。
【0019】なお、請求項3に記載したように、上述の
酵母菌体懸濁液を、一旦乾燥酵母の形態にしたものを原
料酵母として使用し、これを酵母菌体懸濁液としたもの
を以下の工程に用いることにより、得られる酵母エキス
の旨味をより一層高いものとすることも可能である。
【0020】すなわち、請求項1記載の本発明において
は、例えば、ビール醸造に使用した後の泥状のビール酵
母を用い、これを遠心分離し、ビール分を除去した後、
加水し、適当な酵母濃度としたもの(酵母菌体の懸濁
液)を加熱処理した後、スプレードライヤー等を用いて
乾燥して乾燥酵母の形態としたものを用い、これを水に
懸濁させて酵母菌体懸濁液としたものを用いることがで
きる。ここで乾燥酵母を得る際の加熱処理は、請求項4
に記載したように、70〜95℃、好ましくは85〜9
5℃の温度に保持することにより行えば良い。保持時間
(加熱時間)は、1〜数時間である。なお、乾燥酵母に
ついては、上記のスプレードライヤー等を用いる乾燥の
前に、加熱処理を行うことにより、細胞壁溶解酵素を使
用することなく、後の工程で添加される酵素により分解
されやすい状態とすることができる。
【0021】請求項1記載の本発明の方法においては、
上記の如き酵母菌体懸濁液について、酵素添加法に従っ
て酵母エキスの抽出処理を行う。すなわち、酵素を添加
して反応させ、酵母エキスの抽出処理を行う。
【0022】ここで添加する酵素は、5’−ホスホジエ
ステラーゼ、5’−アデニル酸デアミナーゼ及びプロテ
アーゼであり、旨味成分である5’−ヌクレオチド類の
生成を促進するものである。
【0023】請求項1記載の本発明においては、酵素反
応終了後、得られた抽出物を酵母菌体を分離することな
く、70〜95℃で加熱処理し、酵素の失活とコク味成
分の抽出を行う。具体的には、酵素反応処理後の酵母懸
濁液について、酵母菌体の分離処理を行わずに、そのま
ま70〜95℃、好ましくは85〜95℃にて加熱す
る。酵母菌体の分離処理を行わずに加熱するのは、次の
理由による。すなわち、菌体内、菌体表面に付着するコ
ク味成分を上記加熱によりエキス中に移行させて、コク
味を増強することにある。また、加熱温度範囲を70〜
95℃としたのは、95℃を超える温度で加熱するとエ
キスが着色してしまう危険性があり、また、70℃未満
とすると、上記菌体中のコク味成分の移行が充分に行わ
れなくなるからである。
【0024】請求項1記載の本発明においては、この
後、酵母エキスのpHを4.0〜6.0に調整して等電
点沈殿を行い、濁り成分(タンパク質)を沈殿させ、次
いで、この沈殿物(タンパク質)を含む不溶物(酵母菌
体も含む)を除去する。従来、問題とされていた不純物
であるタンパク質の等電点は、pHが4.0〜6.0の
範囲内に存在する。従って、pHを該範囲内に調節する
ことにより、タンパク質の溶解度が最小となる、すなわ
ち、等電点沈殿を生じる。このため、沈殿物として分離
することができる。該沈殿物(タンパク質)は、濾過等
により除去することができる。また、この濾過により、
不溶性成分も除去される。なお、等電点沈殿工程は、酵
母エキス抽出後であれば、前記加熱処理の前或いは後の
いずれで行っても良い。
【0025】このようにして、請求項1記載の本発明に
より、目的とする酵母エキスを製造することができる。
このような酵母エキスを提供するのが、請求項5記載の
本発明である。
【0026】なお、このようにして得られた酵母エキス
について、使用目的に応じて、最終製品におけるpH調
整を行い、液状、ペースト状、或いは粉末状などの形状
に加工すればよい。
【0027】このようにして得られる酵母エキスは、呈
味性を有する5’−ヌクレオチド類を豊富に含有してお
り、複雑なコク味と旨味を有する上に、清澄性が高いも
のである。
【0028】一方、このような酵母エキスは、請求項2
記載の本発明によっても製造することができる。請求項
2記載の本発明と、上記した請求項1記載の本発明と
は、工程の順序が若干異なるだけで、その他は共通して
いる。すなわち、請求項1記載の本発明では、70〜9
5℃での加熱処理を等電点沈殿処理前に行うのに対し
て、請求項2記載の本発明では、この加熱処理を等電点
沈殿処理後に行う点が異なる以外は、共通している。
【0029】請求項2記載の本発明では、酵母菌体懸濁
液から酵素添加法により酵母エキスを製造するにあた
り、まず上記した請求項1記載の本発明と同様にして、
酵母菌体懸濁液に5’−ホスホジエステラーゼ、プロテ
アーゼ及び5’−アデニル酸デアミナーゼを添加して酵
母エキスの抽出処理を行う。次に、請求項2記載の本発
明では、得られた抽出物について、直ぐに70〜95℃
での加熱処理を行わず、酵母菌体を分離することなく、
pHを4.0〜6.0に調整して濁り成分を沈殿させ、
次いで70〜95℃での加熱処理を行ない、その後、該
沈殿物を含む不溶物を除去する。
【0030】このようにして、請求項2記載の方法によ
り、目的とする酵母エキスを製造することができる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。
【0032】実施例1 ビール醸造に使用した後の泥状のビール酵母を遠心分離
し、ビール分を除去した後、加水し、酵母濃度を40%
としたものを原料とした。この原料150Lを90℃で
2時間加熱処理した後、スプレードライヤーにより乾燥
し、乾燥酵母の形態にした。得られた乾燥酵母1kg
を、水に懸濁して全量を10kgとし、60℃に昇温
し、塩酸を用いてpHを5.3に調整した。続いて、こ
れに5’−ホスホジエステラーゼ〔商品名:ヌクレアー
ゼアマノ、製造元:天野製薬(株)〕とプロテアーゼ
〔商品名:パパイン、製造元:天野製薬(株)〕を各々
4g加え、20時間反応させた。20時間経過後、放冷
し50℃とした後、5’−アデニル酸デアミナーゼ〔商
品名:デアミザイム、製造元:天野製薬(株)〕を0.
4g添加し、3時間反応させて、酵母エキスの抽出処理
を行った。
【0033】上記酵素反応後(酵母エキスの抽出処理
後)の懸濁液を酵母菌体込みで90℃にて1時間加熱
し、酵素失活と同時にコク味成分を抽出せしめた。続い
て、酵母エキスのpHを、塩酸を用いて4.3に調整
し、タンパク質等電点沈殿処理を行った。次に、生じた
沈殿物、酵母菌体等、酵母エキス中の不溶物を除いた
後、6N水酸化ナトリウムを用いて中和し、濃縮及び殺
菌工程を経て、ペースト状の酵母エキス製品520gを
得た。
【0034】得られたペースト状酵母エキスについて、
2%(固形分濃度)水溶液を作り、液温を45〜55℃
に調整したものを試料として、7名の評価者により、旨
味,コク味及び清澄性の3点について官能評価を行っ
た。結果を第1表に示す。なお、第1表の評価は、比較
例との相対評価を示したものである。評価項目のうち、
旨味とコク味については、7名全員が「良好」と評価し
たものを「++」で、4〜6名が「良好」と評価したも
のを「+」でそれぞれ表した。また、4〜6名が「不
良」と評価したものを「−」で、7名全員が「不良」と
評価したものを「−−」でそれぞれ表した。また、清澄
性については、濁りがあるかないかを、「濁り有り」、
「やや濁り有り」、「清澄」の3点で評価した。
【0035】実施例2 実施例1において、pHを4.3に調整する等電点沈殿
処理を、酵素反応終了後(酵母エキスの抽出処理後)、
加熱処理(90℃、1時間)の前に行うこと以外は、実
施例1と同様にして行い、酵母エキス製品を得た。得ら
れる製品について、実施例1と同様にして官能試験を行
った。その結果を第1表に示す。
【0036】比較例1 実施例1において、酵母エキスの抽出処理後の加熱処理
(90℃、1時間)を実施せず、pH調整(4.3)し
て等電点沈殿処理を行い、酵母エキスを得た。得られる
製品について、実施例1と同様にして官能試験を行っ
た。その結果を第1表に示す。
【0037】比較例2 実施例1において、pHを4.3に調整する等電点沈殿
処理は行わず、抽出工程後のpHで以降の工程を行った
こと以外は実施例1と同様にして行い、酵母エキス製品
を得た。得られる製品について、実施例1と同様にして
官能試験を行った。その結果を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】第1表に示した結果から、以下のことが明
らかである。まず、実施例1と実施例2の結果との対比
から、タンパク質の等電点沈殿反応を起こすためのpH
調整工程は、加熱処理の前又は後のいずれの時点で行っ
ても、所望の酵母エキスを得ることができることが分か
る。
【0040】次に、比較例1と、実施例1,2との対比
により、次のことが分かる。すなわち、比較例1では、
加熱処理を行わずに等電点沈殿処理を行ったため、清澄
性は高いが、旨味,コク味に乏しい酵母エキスとなった
のに対して、本発明の方法においては、等電点沈殿処理
を行うと共に、加熱処理を行っているため、実施例1,
2に示すように、清澄性が高く、しかも旨味,コク味の
豊富な酵母エキスを得ることができる。
【0041】また、比較例2と、実施例1,2との対比
により、次のことが分かる。すなわち、比較例2では、
加熱処理後の等電点沈殿処理が省略されているため、得
られる酵母エキスの清澄性が良くなかったのに対して、
本発明の方法においては、等電点沈殿処理を行うと共
に、加熱処理を行っているため、実施例1,2に示すよ
うに、清澄性が高く、しかも旨味,コク味の豊富な酵母
エキスを得ることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、呈味性核酸(5’−ヌ
クレオチド類)を豊富に含有する酵母エキスが得られ
る。また、本発明によれば、旨味とコク味を有すると共
に、濁りがなく、清澄な酵母エキスが得られる。従っ
て、本発明により得られる酵母エキスは、調味料等の食
品用素材として利用する場合、対象とする食品の種類や
使用量において制限を受けず、広範囲な応用が可能とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深田 哲司 静岡県袋井市国本2391 東海物産株式会社 食品研究所内 (72)発明者 森 克広 静岡県袋井市国本2391 東海物産株式会社 食品研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵母菌体懸濁液から酵素添加法により酵
    母エキスを製造するにあたり、酵母菌体懸濁液に5’−
    ホスホジエステラーゼ、プロテアーゼ及び5’−アデニ
    ル酸デアミナーゼを添加して酵母エキスの抽出処理を行
    い、得られた抽出物を、酵母菌体を分離することなく、
    70〜95℃で加熱処理した後、pHを4.0〜6.0
    に調整して濁り成分を沈殿させ、次いで該沈殿物を含む
    不溶物を除去することを特徴とする酵母エキスの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 酵母菌体懸濁液から酵素添加法により酵
    母エキスを製造するにあたり、酵母菌体懸濁液に5’−
    ホスホジエステラーゼ、プロテアーゼ及び5’−アデニ
    ル酸デアミナーゼを添加して酵母エキスの抽出処理を行
    い、得られた抽出物を、酵母菌体を分離することなく、
    pHを4.0〜6.0に調整して濁り成分を沈殿させ、
    次いで70〜95℃で加熱処理した後、前記沈殿物を含
    む不溶物を除去することを特徴とする酵母エキスの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 酵母菌体懸濁液として、乾燥酵母の懸濁
    液を用いる請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 乾燥酵母が、酵母菌体の懸濁液を70〜
    95℃で保持した後、乾燥させて得られたものである請
    求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に
    より得られた酵母エキス。
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