JPH11183878A - 反強誘電性液晶表示装置およびその駆動方法 - Google Patents

反強誘電性液晶表示装置およびその駆動方法

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JPH11183878A
JPH11183878A JP35052697A JP35052697A JPH11183878A JP H11183878 A JPH11183878 A JP H11183878A JP 35052697 A JP35052697 A JP 35052697A JP 35052697 A JP35052697 A JP 35052697A JP H11183878 A JPH11183878 A JP H11183878A
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liquid crystal
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crystal display
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JP35052697A
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Tomomitsu Takano
朝光 高野
Akira Sugimoto
晃 杉本
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Pioneer Electronic Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反強誘電性液晶表示装置およびその駆動方法
における、その強誘電状態から反強誘電状態へのリセッ
トの際の立ち下がりの遅さに起因した残像やフリッカ等
の問題を解決して、構造が簡便でありながらも残像やフ
リッカ等の無い高品位な画像表示を実現できる反強誘電
性液晶表示装置およびその駆動方法を提供する。 【解決手段】 走査駆動回路9が、中心電圧V0を基準
として複数のパルスの極性を交互に反転しかつその複数
のパルスの電圧の絶対値が漸次減少するように、その複
数のパルスを間断なく連続に配列された、図3のタイミ
ングチャートに示すような波形のリセット電圧Vr1,
Vr2,Vr3…を、前記の状態保持電圧Vhの印加後
(つまり状態保持期間Thの後)に走査電極1に対して
印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反強誘電性液晶表示
装置およびその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】反強誘電性液晶は、対向配置された2枚
の基板それぞれに形成された画素電極の間に配置され、
前記基板の周囲を封止されて、いわゆる液晶表示パネル
の液晶層として用いられる場合、電圧を印加されたとき
の立ち上がり応答が極めて速く、また印加電圧の極性に
対して対称的な(つまり印加電圧0Vを対称軸として線
対称な)2重履歴特性を備えている。
【0003】そしてそのときの印加電圧の極性に対応し
て液晶分子のドメイン変化の向きも対称的に変化すると
いう特性もあり、しかも一旦書き込んだ電圧を保持する
いわゆるメモリ特性が良好であるといった特長を備えて
いる。このため、視野角が広く、かつ応答特性が良好で
鮮鋭な動画表示に十分に対応でき、しかも液晶パネルと
しての構造の点でも、従来のネマティック液晶を用いた
TFT方式の液晶表示装置のような繁雑なものではな
く、極めて簡易な単純マトリックス方式を採用すること
が可能であり、従来のTFT方式の液晶表示パネルに不
可欠だったTFTや補助容量のような画素電極部分は不
要となるので、画素1個あたりの表示に対して有効であ
る面積を大きく取ることができ、明るい表示画面および
高コントラスト比を実現することができる。
【0004】即ち、図7に模式的に示すように、電圧無
印加時(図7(b))には液晶セル内の(図中縦方向
に)積み重なるように隣り合うスメクティック層ごとの
液晶分子1と液晶分子2とが、その永久双極子モーメン
トどうしを互いに打ち消し合うような方向に配列してい
る状態となっている。このため、電圧無印加時には液晶
層全体としてはいわゆる反強誘電状態となっている。
【0005】そして正電圧(ここでは+12V)を印加
すると、図7(a)に示すように、各スメクティック層
ごとの液晶分子1,2のドメインは共にその印加電圧に
よって生じる電界に従って同一方向に制御される。図7
中では左下〜右上方向(つまり右上がりの方向)に全て
の液晶分子1,2の向きが揃っている場合を示してい
る。
【0006】また、負電圧(ここでは−12V)を印加
すると、図7(c)に示すように、各スメクティック層
ごとの液晶分子1,2のドメインは共にその印加電圧に
よって生じる電界に従って同一方向に制御される。図7
(c)中では右下〜左上方向(つまり右下がりの方向)
に全ての液晶分子1,2の向きが揃っている場合を示し
ている。即ち1個の液晶分子3に着目して、その印加電
圧の極性ごとの液晶分子3についての動きを模式的に示
すと、図7(d)に示すように、液晶分子3は印加電圧
の極性に対応して極めて良好な対称性を持ったドメイン
変化を実現するものであることが知られている。
【0007】そしてまた、反強誘電性液晶は、前記のよ
うな印加電圧に対するドメイン変化の対称性の良好さに
加えて、図8に示すような印加電圧の極性に対して対称
的な(つまり印加電圧0Vを対称軸として線対称な)2
重履歴特性を備えている。なお図8においては、横軸に
は液晶印加電圧[V]を取る一方、縦軸にはそのときの
画素の液晶表示セルとしての光透過率を明るさの%表示
として取っている。
【0008】このように、反強誘電性液晶は多くの特長
を備えていることから、この反強誘電性液晶を用いた反
強誘電性液晶表示装置は、単純マトリックス型の電極配
置等を用いて構造が簡易でありながらも極めて高品位な
表示が可能であるディスプレイデバイスとして有望視さ
れており、またその実用化を目的として種々の研究・開
発が盛んに進められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような種々の長
所を備えた反強誘電性液晶ではあるが、上記のように立
ち上がり応答特性が極めて良好であり、またメモリ特性
が単純マトリックス方式に最適である反面、その印加電
圧を0Vに戻された後にそれに追随して変化する液晶分
子のドメイン変化の応答、いわゆる立ち下がり応答が、
極めて遅いという欠点を有している。
【0010】即ち、電圧印加時の立ち上がりの場合に
は、上記の図7および説明で示したように、液晶分子
1,2…の永久双極子モーメントに印加電圧による電界
が作用することで、それまで反強誘電状態であった液晶
分子1,2は極めて急峻に応答し強誘電状態へと急速に
相転移する。また電圧を反転させた場合も同様である。
【0011】しかしながら、逆に立ち下がりの場合に
は、強誘電状態から元の反強誘電状態への相転移は自然
緩和によって行なわれるものであるため、良好な画像表
示を行なうための応答特性としては極めて遅い。つま
り、反強誘電性液晶は一般にメモリ特性が極めて良好で
あることから、単純マトリックス方式の液晶表示装置に
好適なものであることは上述した通りであるが、これは
別の観点からすれば、反強誘電性液晶においては一般に
強誘電状態が容易には自然緩和しない傾向があるという
ことでもある。
【0012】そして、そのように反強誘電性液晶の立ち
下がり応答が遅いことに起因して、表示画像に顕著に目
立つ残像が残ってしまい、表示品位が著しく低下し、甚
だしくは実用に供することが不可能となる場合さえあり
得るという問題がある。そこで、このような反強誘電性
液晶の立ち下がりの遅さに起因した残像等の表示不良の
発生の問題を解決するために、図10(a)〜(c)に
示すように、1フレーム期間中における走査選択期間
(つまり信号電圧と走査選択電圧とを重畳させて液晶印
加電圧を書き込む期間)およびホールド期間(つまり液
晶印加電圧のうち漸次低減して行く分を状態保持電圧の
印加によって補充することで液晶印加電圧を一旦書き込
んだ後にもその画素の表示状態を保持する期間)を過ぎ
た後の残り少ない期間をリセット期間として用いて、こ
のリセット期間中に強誘電状態から元の反強誘電状態へ
と自然に相転移させることなどが提案されている。この
ようなリセットによる表示状態の変化を模式的に図9
(b)に示す。なお図9(a)は比較のために理想的な
リセット状態を示した模式図である。
【0013】しかしながら、実際には、上記のようなリ
セット期間内に自然緩和によって十分な相転移を実現す
ることは極めて困難である。何故なら、緩やかな自然緩
和によって十分な相転移を実現するためには、それに見
合った十分なリセット期間が1フレーム中に必要となる
が、1フレーム期間とは本来画像表示を行なうために設
けられるものであるから、前記のリセット期間はその画
像表示に関与する走査選択(書込)期間およびホールド
期間の残りの時間帯しか得られない。そして結果的には
画像表示に関与する時間を十分に取ると、その残りの時
間はリセット期間としては十分とは言えない長さでしか
取れないことになるからである。そして逆に、リセット
期間を十分な効果を得るために十分長く取った場合に
は、1フレームあたりの画像表示に実質的に関与してい
る時間が短くなって、その表示画像が暗くなるという問
題やその表示画像のコントラスト比が低下するという問
題が生じる。
【0014】そこで、上記のような自然緩和に依存して
強誘電状態から元の反強誘電状態へと自然に相転移させ
るのではなく、走査選択電圧(図中ではセットパルスと
呼称)Vsの逆極性のパルスを単発でリセットパルスと
して印加することで、液晶分子に対してさらに短時間で
効果的なリセット作用を与えようとする技術も案出され
た。これを図10(d),(e)に示す。
【0015】確かに、このような比較的大きな電圧の単
発パルスをリセットパルスとして印加すれば、短時間で
それ以前までの強誘電状態をリセットすることが可能と
考えられる。しかしながら、実際には、液晶層に印加さ
れる電圧(つまり液晶印加電圧)としてはセットパルス
Vsと重畳される信号電圧波形(図示省略)があり、こ
の信号電圧波形は一般に、表示する画像に対応した無数
のパターンが存在する。しかも、特に液晶印加電圧の電
圧値(パルス振幅)を制御することで、その電圧値に対
応した階調を表現するいわゆる電圧駆動方式(あるいは
パルス振幅変調方式)の液晶表示装置の場合などには、
その信号電圧波形におけるON電圧の電圧値として表現
すべき階調に対応した複数種類の電圧値が存在している
のであるから、1フレーム中でも各画素ごとでその液晶
セルに保持されていた電気容量つまり強誘電状態は、そ
れぞれかなり異なった状態となっている。
【0016】このため、同じ1フレーム中でも、各画素
ごとでそれぞれ最適なリセット電圧が大きく異なること
になり、それらの全てに対応してリセットを行なうこと
は実質的に不可能である。従って、図9(c)および
(d)に示すように、それまで表示状態に保持されてい
た電圧に対応してその画素ごとに残像の残り具合が異な
ったものとなり、リセット後の各画素ごとの明るさがば
らついたものとなり、それが残像やフリッカとしてやは
り顕著に視認されるという問題がある。
【0017】このように、従来の反強誘電性液晶表示装
置およびその駆動方法においては、構造が簡易であるこ
とや広視野角特性を有すること、また高輝度・高コント
ラストな画像表示が可能であることなど、数々の利点を
備えているにもかかわらず、反強誘電性液晶の強誘電状
態から反強誘電状態へのリセットの際の立ち下がりが遅
いという欠点に起因して残像やフリッカ等の表示不良が
発生し、上記のように本来は良好であるはずの表示特性
が大きく損なわれるという問題があった。
【0018】本発明は、このような問題を解決するため
に成されたものである。本発明は、反強誘電性液晶表示
装置およびその駆動方法における、その強誘電状態から
反強誘電状態へのリセットの際の立ち下がりの遅さに起
因した残像やフリッカ等の問題を解決して、構造が簡便
でありながらも残像やフリッカ等の無い高品位な画像表
示を実現できる反強誘電性液晶表示装置およびその駆動
方法を提供することを課題としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る反強誘電性
液晶表示装置は、第1に、複数の走査電極が列設された
走査電極基板と、前記走査電極基板に対向配置されて前
記走査電極と間隙を隔てて交差する複数の信号電極が列
設された信号電極基板と、前記走査電極基板と前記信号
電極基板との間に周囲を封止されて配置され前記走査電
極と前記信号電極との交差部分ごとに画素を形成する反
強誘電性液晶層とを有する液晶表示素子と、1フレーム
期間を分割してなる走査選択期間ごとに前記走査電極の
うちから特定の本数の走査電極を選択し該走査電極に対
して走査選択電圧および状態保持電圧をこの順で印加す
る走査駆動回路と、前記信号電極に対して表示画像に対
応した波形の信号電圧を印加する信号駆動回路とを備え
た反強誘電性液晶表示装置において、前記走査駆動回路
は、中心電圧を基準として複数のパルスの極性が交互に
反転しかつ前記複数のパルスの電圧の絶対値が漸次減少
するように、前記複数のパルスを配列してなる波形のリ
セット電圧を、前記状態保持電圧の印加後に前記走査電
極に対して印加する走査駆動回路であることを特徴とす
る反強誘電性液晶表示装置である。
【0020】また第2に、上記第1記載の反強誘電性液
晶表示装置において、前記走査駆動回路は、前記中心電
圧を基準として複数のパルスの極性が交互に反転しかつ
前記複数のパルスの電圧の絶対値が漸次減少するよう
に、前記複数のパルスを間断なく連続に配列してなる波
形のリセット電圧を、前記状態保持電圧の印加後に前記
走査電極に対して印加する走査駆動回路であることを特
徴とする反強誘電性液晶表示装置である。
【0021】また第3に、上記第1又は第2記載の反強
誘電性液晶表示装置において、前記走査選択電圧の極性
および前記状態保持電圧の極性は、前記中心電圧を基準
として互いに同極性であり、前記リセット電圧の最初の
パルスの極性は、前記中心電圧を基準として前記走査選
択電圧の極性および前記状態保持電圧の極性とは反対の
極性であることを特徴とする反強誘電性液晶表示装置で
ある。
【0022】また第4に、上記第1乃至第3いずれかに
記載の反強誘電性液晶表示装置において、前記リセット
電圧の前記複数のパルスのうち少なくとも最初のパルス
の電圧の絶対値が、前記状態保持電圧の絶対値よりも大
きいことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置である。
【0023】また第5に、上記第1乃至第4いずれかに
記載の反強誘電性液晶表示装置において、前記リセット
電圧は、前記複数のパルスの電圧の絶対値が一定値ずつ
リニアに減少するように前記複数のパルスを配列してな
る波形のリセット電圧であることを特徴とする反強誘電
性液晶表示装置である。
【0024】また第6に、上記第1乃至第5いずれかに
記載の反強誘電性液晶表示装置において、前記走査駆動
回路および前記信号駆動回路は、前記1フレームごとに
前記中心電圧を基準として出力の極性を反転させるフレ
ーム反転方式の走査駆動回路および信号駆動回路である
ことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置である。
【0025】また第7に、上記第1乃至第6いずれかに
記載の反強誘電性液晶表示装置において、前記信号駆動
回路は、表示すべき画像の輝度階調に対応した絶対値の
信号電圧を前記画素に印加する電圧駆動方式の信号駆動
回路であることを特徴とする反強誘電性液晶表示装置で
ある。
【0026】また第8に、複数の第1の電極が列設され
た第1の電極基板と、前記第1の電極基板に対向配置さ
れて前記第1の電極と間隙を隔てて交差する複数の第2
の電極が列設された第2の電極基板と、前記第1の電極
基板と前記第2の電極基板との間に周囲を封止されて配
置され前記第1の電極と前記第2の電極との交差部分ご
とに画素を形成する反強誘電性液晶層とを有する液晶表
示素子と、1フレーム期間ごとに前記画素に対して表示
画像に対応した波形の電圧を印加するために前記第1の
電極に電圧を印加する第1の駆動回路および前記第2の
電極に電圧を印加する第2の駆動回路とを備えた反強誘
電性液晶表示装置における、前記画素に前記電圧を重畳
して印加して液晶印加電圧として書き込み、該液晶印加
電圧に対応した状態に前記反強誘電性液晶層を保持する
ことにより、前記表示画像を表示する反強誘電性液晶表
示装置の駆動方法において、前記1フレーム期間中にお
ける、前記反強誘電性液晶層の状態を前記液晶印加電圧
に対応した状態に保持していた期間が経過した後の残り
の時間内に、中心電圧を基準としてパルスの極性が交互
に反転しかつ前記パルスの電圧の絶対値が漸次減少する
ように複数のパルスを配列してなる波形のリセット電圧
を、前記画素の前記反強誘電性液晶層に印加することを
特徴とする反強誘電性液晶表示装置の駆動方法である。
【0027】また第9に、上記第8記載の反強誘電性液
晶表示装置の駆動方法において、前記リセット電圧は、
前記パルスの電圧の絶対値が漸次減少するように複数の
パルスを間断なく連続に配列してなる波形のリセット電
圧であることを特徴とする反強誘電性液晶表示装置の駆
動方法である。
【0028】また第10に、上記第8又は第9記載の反
強誘電性液晶表示装置の駆動方法において、前記1フレ
ーム期間中におけるリセット電圧の最初のパルスの極性
が前記画素に印加された前記液晶印加電圧の極性とは反
対の極性であることを特徴とする反強誘電性液晶表示装
置の駆動方法である。
【0029】また第11に、上記第8乃至第10いずれ
かに記載の反強誘電性液晶表示装置の駆動方法におい
て、前記リセット電圧は、前記複数のパルスの電圧の絶
対値が一定値ずつリニアに減少するように該複数のパル
スを配列してなる波形のリセット電圧であることを特徴
とする反強誘電性液晶表示装置の駆動方法である。
【0030】また第12に、上記第8乃至第11いずれ
かに記載の反強誘電性液晶表示装置の駆動方法におい
て、表示すべき画像の輝度階調に対応した絶対値の電圧
を前記液晶印加電圧として前記反強誘電性液晶層の画素
に印加することで輝度階調表現を備えた画像を表示する
ことを特徴とする電圧駆動方式の反強誘電性液晶表示装
置の駆動方法である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る反強誘電性液
晶表示装置およびその駆動方法の実施形態を、図面に基
づいて詳細に説明する。(実施形態1)本発明に係る反
強誘電性液晶表示装置は、図1にその主要部の概要構成
を示すように、複数の走査電極1が列設された走査電極
基板2と、この走査電極基板2に対向配置されて走査電
極1と間隙(いわゆるセルギャップ)を隔てて交差する
複数の信号電極3が列設された信号電極基板4と、前記
の走査電極基板2と前記の信号電極基板4との間に周囲
を封止材5で封止されて配置され、走査電極1と信号電
極3との交差部分ごとに画素6を形成する反強誘電性液
晶層7とを有する液晶表示素子8(これを図2に示す)
と、1フレーム期間ごとに走査電極1のうちから1本を
選択しその走査電極1に対して走査選択電圧Vsおよび
状態保持電圧Vhをこの順で印加する走査駆動回路9
と、前記の信号電極3に対して表示画像に対応した波形
の信号電圧Vdを印加する信号駆動回路10とを備えた
反強誘電性液晶表示装置である。そして詳細な実体図的
な図示は省略するが、走査駆動回路9および信号駆動回
路10は、本実施形態においては実際上の回路素子の構
造および実装形状としては、いわゆるLCDドライバL
SIの形態を採用しており、前記の走査駆動回路9は走
査電極基板2上に、また信号駆動回路10は信号電極基
板4上に、それぞれQFP(Quad Flat Pa
ckage)実装方式のような表面実装方式で実装され
る集積回路の形態を採用した。ただしこのような形態の
みには限定されないことは言うまでもなく、この他にも
例えばCOG(Chip On Glass;チップオ
ングラス)方式のような実装形態を採用可能である。あ
るいは集積回路として構築する以外にも、ディスクリー
トな素子を組み合わせて本発明に係る走査駆動回路9や
信号駆動回路10を構築しても良いことは言うまでもな
い。そのような実体図的な回路構造については無数のバ
リエーションが存在するのでその詳述はここでは説明の
簡潔化のために省略する。また図1においては図示は省
略したが、液晶表示素子8の構成要素としては上記の他
にも、液晶層7が強誘電状態のときにはそれを通過する
光を表示面側に100%透過させ、反強誘電状態のとき
にはそれを0%透過させるように、偏光板11aおよび
偏光板11bを配設することは言うまでもない。また、
図示は省略したが画像表示を行なうための光を供給する
光源系(いわゆるバックライト)を用いても良いことは
言うまでもない。
【0032】そして、この第1の実施形態の反強誘電性
液晶表示装置においては特に、前記の走査駆動回路9
が、中心電圧V0を基準として複数のパルスの極性を交
互に反転しかつその複数のパルスの電圧の絶対値が漸次
減少するように、その複数のパルスを間断なく連続に配
列された、図3のタイミングチャートに示すような波形
のリセット電圧Vr1,Vr2,Vr3…を、前記の状
態保持電圧Vhの印加後(つまり状態保持期間Thの
後)に走査電極1に対して印加する走査駆動回路9であ
ることを特徴としている。
【0033】即ち、走査駆動回路9は、図5のタイミン
グチャートに示すようなリセット電圧Vr1,Vr2,
Vr3…を、走査電極1を介してリセット期間Tr中に
液晶層7に印加する。するとこのとき、液晶層7の状態
は、図4に模式的に示すように、それまでの状態保持期
間Th中には100%の明るさの表示状態であったもの
が、リセット期間Tr中には鋸形波状に増減を繰り返し
ながらリセット状態へと収束されて行く。
【0034】しかもこのとき、リセット電圧Vr1,V
r2,Vr3…の全体的な波形の構成としては、それら
の振幅つまり電圧値の絶対値がVr1>Vr2>Vr3
>…となるような順に配列されており、そしてリセット
期間Trが終了する際にはその最終値が中心電圧V0
(つまり相対的な電圧が0)に収束させているので、液
晶層7の反強誘電性液晶分子をそれらのリセット電圧の
うち特に前記のVhおよびVsとは極性が反対の複数の
パルスVr1,Vr3,Vr5…によって反強誘電状態
へと効果的に収束させてリセットを実現することができ
る。
【0035】さらには、前記の状態保持期間Th中に1
00%の明るさの表示状態である画素の他に、その画素
と同一の走査電極1に関わる画素(つまり画面のマトリ
ックス配置された画素のうち前記の画素と同じ行中の画
素)のなかには、前記とは異なり0%の明るさの表示状
態である画素(つまり反強誘電状態)や中間階調の例え
ば50%の明るさの表示状態である画素なども存在して
いるが、特に状態保持期間Th中に0%の明るさの表示
状態(反強誘電状態)に保持されていた画素について
は、前記の一方向だけのリセットパルスVr1,Vr
3,Vr5…を印加すると、このリセットパルスによっ
て蓄積される電気容量に対応して、強誘電状態へと液晶
層7内の液晶分子のドメインが動かされてしまい、この
リセットパルスの印加に起因して、折角それまで反強誘
電状態であった画素が本来の画像表示とは無関係なむし
ろ表示不良の原因となるような強誘電状態(輝度状態)
へと変化してしまうこともあり得る。また、よく知られ
ているように、液晶は一般に直流電圧成分の継続的な印
加に対して変質や分解等のダメージを受けやすい傾向に
あるので、一方向のみの極性の電圧を所定時間に亙って
印加することは避けることが望ましい。
【0036】そこで、本発明の技術においては、リセッ
ト電圧として前記のリセットパルスVr1,Vr3,V
r5…の他にも、それとは逆極性のリセットパルスVr
2,Vr4,Vr6…を印加することにより、リセット
期間Tr全体に亙ってのリセット電圧について着目する
と、中心電圧V0を中心としてその正・負両側でVr
1,Vr3,Vr5…とVr2,Vr4,Vr6…との
両電圧どうしが互いに、前記の既に反強誘電状態にある
液晶分子に与える影響を、実効的に打ち消し合うことが
できる。これにより、前記の表示不良の原因となるよう
な強誘電状態(輝度状態)の発生を防ぐことができる。
【0037】即ち、既述の図8で示した反強誘電性液晶
のヒステリシス特性曲線のうち特に立ち上がり部分での
しきい値が高く(図8の一例では±9V程度)、その範
囲内(つまり0〜±9V内)では応答性が特に鈍い(安
定状態にある)。一方、立ち下がり部分のしきい値は前
記の立ち上がりの場合と比べてかなり低く(図8の一例
では±4V程度)、その程度以下の印加電圧状態になれ
ば、ドメイン変化が開始する。従って、その範囲内の電
圧値をリセットパルスVr1,Vr2,Vr3…として
用いることにより、液晶分子が状態保持期間Thで既に
反強誘電状態(つまり明るさ0%の状態)となっていた
場合には、そのような反強誘電状態にある液晶分子に対
しては前記のような範囲内での振幅(電圧値)のリセッ
トパルスVr1,Vr2,Vr3…を印加しても、それ
に対する急激なむしろ表示不良として視認されるような
ドメイン変化を引き起こすことが無く、しかもその電圧
印加によって液晶層7に蓄積されて行く電気容量につい
ても前記のようなリセットパルスVr1,Vr2,Vr
3…の極性および電圧値によって実効的にはほとんど正
・負で中和して行くので、画像表示に実質的に悪影響を
及ぼすようなドメイン変化を引き起こすような電気容量
が蓄積されることは無い。
【0038】しかもその一方で、状態保持期間Th中に
100%の明るさの表示状態(つまり強誘電状態)であ
った画素における液晶層7の液晶分子については、リセ
ット電圧Vrとしてまず最初に、電圧の絶対値が最大で
ありかつVhやVsとは逆極性のリセットパルスVr1
が印加され、さらにこれに続いて電圧の絶対値がVr1
よりも漸次低減する、VhやVsとは逆極性のリセット
パルスVr3,Vr5…が、次々に間断なく連続的に印
加されて行くので、このリセットパルスVr1,Vr
3,Vr5…によって、それ以前の態保持期間Thまで
画素の液晶層7に蓄積されていた電気容量が効果的に打
ち消されて行き、かつこの逆極性の電圧印加に起因して
次々に生じる電界の、液晶分子に対してそのドメインを
リセット方向へと変化させる作用とあいまって、図4に
示すように液晶層7の液晶分子は反強誘電状態へと効果
的に変えられて行く。そして最終的には、その画素の液
晶分子の状態は、リセット期間Tr内にリセット状態つ
まり反強誘電状態に至る。
【0039】このとき、VhやVsとは同極性の(つま
り前記のリセットパルスVr1,Vr3,Vr5…とは
逆極性の)リセットパルスVr2,Vr4,Vr6…
も、そのTr期間内に画素の液晶層7に印加されるが、
これらはいずれも前記の如く液晶層のしきい値電圧以下
であるため、そのようなリセット方向とは反対方向への
ドメイン変化を引き起こすことは実質的には無い。しか
もリセットパルスVr2,Vr4,Vr6…は全てそれ
ぞれ前記のリセットパルスVr1,Vr3,Vr5の後
に印加される電圧であって、その電圧の絶対値は、Vr
1>Vr2,Vr3>Vr4,Vr5>Vr6…と、常
に小さな値に設定されていることと相まって、リセット
パルスVr2,Vr4,Vr6…の印加に起因して液晶
分子のドメインを強誘電状態に向かって変化させるよう
な逆効果を生じることは殆ど無い。
【0040】このようにして、本発明の技術によれば、
液晶層7における強誘電状態から反強誘電状態へのリセ
ットの際の、反強誘電性液晶分子の立ち下がりの遅さに
起因した残像やフリッカ等の問題を解決することがで
き、その結果、単純マトリックス型の液晶表示素子構造
を採用してその構造が簡便でありながらも残像やフリッ
カ等の無い高品位な画像表示を実現することができる。
【0041】このような本発明に係る第1の実施形態の
反強誘電性液晶表示装置を実際に駆動して、静止画像お
よび動画それぞれのテストパターンを表示させ、その表
示品質を熟練した品質管理者の観察によって評価したと
ころ、表示画像に残像やフリッカ等の表示不良は全く見
受けられること無く、反強誘電性液晶本来の特長が生か
された高品位な画像表示を実現されていることが確認で
きた。
【0042】なお、リセット電圧の波形としては、上記
のVr1,Vr2,Vr3…ような間断なく連続したパ
ルス波形のみには限定されないことは言うまでもない。
この他にも、例えば図5(a)に示すように、Vr1,
Vr2,Vr3…それぞれの隣り合うパルスどうしの間
に、電圧が0(中心電圧V0)である区間0を設けても
良い。そしてこの場合にはさらに、各パルスで適宜にそ
のパルスデューティを他とは異なるように変えても良
い。例えばVr1,Vr2,Vr3…と電圧の絶対値が
小さくなるにつれてそのパルスデューティを逆に大きく
して行き、1つのリセット期間内での実効値の点では均
一化するようにしても良い。あるいはその逆に実効値の
変化を大きくしても良い。
【0043】また、リセット電圧の波形としては、上記
第1の実施形態においては図3に示すようにリセットパ
ルスVr1,Vr2,Vr3…の電圧の絶対値がリニア
(直線的)に漸次減少して行くような配列の波形とした
が、この他にも、例えば図5(b),(c)に示すよう
に非線形に減少して行くような配列の波形としても良
い。そしてこのようなリセットパルスVr1,Vr2,
Vr3…の電圧の絶対値の変化曲線の使い分けについて
は、その反強誘電性液晶表示装置みとに個性的に異なる
特性に対して最も適するものを適宜に選択して用いれば
良い。
【0044】また、本実施形態においては、走査駆動回
路9が走査電極1を1フレームごとに線順次に選択し、
かつその1フレームごとでVsやVhの極性を反転させ
る、いわゆるフレーム反転・線順次走査方式の場合につ
いての一例を示したが、この他にも、例えば、1つのフ
レームで複数本の走査電極を選択する場合、あるいは1
フィールド期間中に選択される回数についてはどの走査
電極1も一度ずつだがその選択の順序を走査電極1の配
列順序に対してランダムに選択する場合などにも、本発
明に係る上述のようなリセット電圧の技術を好適に用い
ることができることは言うまでもない。
【0045】また、実際の走査ドライバLSIのような
液晶駆動回路系の内部で不可避的に存在しているインピ
ーダンス等に起因して、各パルスには波形の鈍りや歪み
等が発生する場合もあることは言うまでもないが、その
ような場合でも本質的に上記のようなパルス波形の特質
を備えたリセット電圧を用いることで、上述したような
効果的なリセット作用を得ることができる。
【0046】また、上記第1の実施形態においては、信
号駆動回路10として、信号電圧Vdの電圧の絶対値の
大小を制御することによってその信号電圧Vdが印加さ
れた画素の液晶層7の液晶分子のドメインを制御し、そ
れにより液晶層7の光学的状態を変化させて表示画像の
輝度階調を表現する、いわゆる電圧駆動制御方式(輝度
階調電圧制御方式)を用いた場合について述べたが、こ
の他にも、例えばフレーム間引き方式で表示画像の輝度
階調を表現する信号駆動回路および走査駆動回路を用い
る場合についても、本発明の技術を好適に利用可能であ
ることは言うまでもない。
【0047】(実施形態2)上記第1の実施形態におい
ては、フレーム反転・線順次走査方式の反強誘電性液晶
表示装置の特に走査駆動回路9に本発明の技術を適用し
た場合について述べたが、この他にも、正規直交行列を
用いたウォルシュ関数等に基づいて第1の電極への印加
電圧値と第2の電極への印加電圧値との組み合わせを決
定し、それらを各画素の液晶層7に重畳させて印加する
ことにより、1選択期間ごとに1画面内の複数個の画素
を一度に選択してそれに液晶印加電圧を書き込み〜保持
する、いわゆるランダム選択駆動方式を採用した場合の
反強誘電性液晶表示装置およびその駆動方法について
も、本発明に係るリセット電圧の技術を好適に用いるこ
とが可能である。
【0048】ただしこの場合には、上記第1の実施形態
の場合のような走査電極1に印加される電圧のみに着目
してこの走査電極1に対してのみリセット電圧を印加す
れば良いものとは異なり、走査電極1に印加される電圧
も信号電極3に印加される電圧も両方ともが上記第1の
実施形態で示した信号電圧Vdのような多様な振幅を有
する複雑な波形となる。つまりこの意味では、走査電極
1および信号電極3は、その言葉上の意味をより正確に
表現に反映するならば、第1の電極および第2の電極、
あるいは行電極および列電極、のように表現することが
より妥当でありまた、走査駆動回路9は行駆動回路、信
号駆動回路10は列駆動回路、のように呼称することが
より妥当とも考えられる。しかしそのような第1の電極
および第2の電極等の実質的な形状や材質や構造は、走
査電極1および信号電極3と同一のもので構わない。そ
こで、以下の本実施形態の説明では、上記第1の実施形
態と実質的に同様の部位であって、それが出力する波形
やそれが印加される電圧だけが異なるものについては、
説明の簡潔化および理解の容易化を図るために、第1の
実施形態と同じ呼称および符号を用いて述べることとす
る。
【0049】本実施形態の反強誘電性液晶表示装置に用
いられる駆動方法においては、最終的に液晶層7に印加
された電圧つまり液晶印加電圧の値に注目して、この液
晶印加電圧についてリセット電圧を印加する制御を行な
わなければならないという点で、上記第1の実施形態と
は特徴的に異なっている。つまり本実施形態の駆動方法
は、第1の実施形態で示した図1や図2等に示すような
反強誘電性の液晶表示素子8と同様の構造の液晶表示素
子を用いて、これをランダム選択駆動方式の駆動方法で
表示画像を表示する際に、本発明に係るリセット電圧の
技術を好適に用いるという点で特徴的な駆動方法であ
る。
【0050】即ち、本発明に係る第2の実施形態の駆動
方法は、反強誘電性液晶表示装置の駆動方法において、
1フレーム期間中で液晶層7の状態を液晶印加電圧に対
応した状態に保持する期間が経過した後の残りの時間内
に、中心電圧V0を基準としてパルスの極性が交互に反
転しかつ前記パルスの電圧の絶対値が漸次減少するよう
に複数のパルスを配列してなる波形のリセット電圧を、
前記画素の前記反強誘電性液晶層に印加することを特徴
とする駆動方法である。
【0051】そして、前記のリセット電圧Vrの波形
は、複数のパルスVr1,Vr2,Vr3…を間断なく
連続に配列してなる波形とした。また、前記のリセット
電圧Vrのうち最初のパルスVr1の極性を画素に印加
され保持されている前記液晶印加電圧の極性とは反対の
極性となるようにした。また、前記のリセット電圧は前
記複数のパルスVr1,Vr2,Vr3…の電圧の絶対
値が一定値ずつリニアに減少するようにその複数のパル
スVr1,Vr2,Vr3…を配列してなる波形とし
た。さらにまた、本実施形態の駆動方法においては、表
示すべき画像の輝度階調に対応した絶対値の電圧を前記
液晶印加電圧として液晶層7の画素に印加することで、
輝度階調表現を備えた画像を表示可能なものとした。た
だしここで、ある1フレーム期間内で、その最初の時点
から選択されて液晶印加電圧を書き込まれその状態を保
持していた画素は、いずれもそのフレーム期間が終了す
る所定時間前からその終了までの間は一斉にリセット期
間Trに入り、このリセット期間Trの間に本発明に係
る駆動方法に基づいて前記のようにリセット電圧が印加
され、第1の実施形態で説明した作用とほぼ同様の作用
によって効果的にリセットされる。つまりその画素にお
ける液晶層7の液晶分子は効果的に反強誘電状態へと一
旦戻される。こうして残像の無い状態で、次なるフレー
ムの新たな別の液晶印加電圧が印加されてそれに対応し
た画像を表示するタイミングを待つ。
【0052】このような第2の実施形態の駆動方法に用
いられる、リセット電圧Vr1,2…、走査電極1(第
1の電極あるいは行電極)に印加される第1の電圧V
s、信号電極3(第2の電極あるいは列電極)に印加さ
れる第2の電圧Vdの、それぞれの波形を、模式的に図
6に示す。この図6において(a)は第1の電圧Vs、
(b)は第2の電圧Vdの波形をそれぞれ示している。
この図6に示した波形は1本の走査電極1と1本の信号
電極3とにそれぞれ印加される電圧に注目してその波形
を示したものである。
【0053】なお、本実施形態においては、液晶印加電
圧としてのリセット電圧の波形を実質的に形成している
のは、図6(a)に示すように走査電極1(第1の電
極)側に印加される電圧Vsの波形であるが、この他に
も、図示は省略したが、信号電極3(第2の電極)側に
印加される電圧Vdの波形内にリセット電圧Vrの波形
を付加しても良く、あるいは、図示は省略したが、電圧
Vsと電圧Vdとが1つの画素の液晶層7に重畳して印
加された結果に形成される液晶印加電圧の波形が本発明
に係るリセット電圧Vrの波形となるようにしても良
い。
【0054】上記のような本発明に係る第2の実施形態
の駆動方法を用いることにより、いわゆるランダム選択
駆動の駆動方法を採用した場合の反強誘電性液晶表示装
置についても、第1の実施形態で示したような線順次走
査選択駆動方式の場合と同様に、液晶層7を強誘電状態
から反強誘電状態へとリセットする際の反強誘電性液晶
分子の立ち下がりの遅さに起因した残像やフリッカ等の
問題を解決することができ、単純マトリックス型の液晶
表示素子構造を採用してその構造が簡便でありながらも
残像やフリッカ等の無い高品位な画像表示を実現するこ
とができる。
【0055】ところで、上記第1の実施形態および第2
の実施形態のいずれの場合においても、リセットパルス
の電圧の絶対値としての好適な範囲としては、液晶層7
のしきい値電圧以下にすることが望ましい。例えば図8
に示した一例に則して述べると、このリセットパルスの
電圧値を例えば±11Vのように余りにも高く取ると、
この電圧に対応して液晶層7の電気光学特性が50%以
上もの明るさに変化してしまい、リセット期間には本来
は明るさ0%であるべきところが表示不良として視認さ
れてしまう可能性も高くなる。
【0056】そこで、実質的にそのような明るさを変化
させない範囲内の電圧としては、この図8の静特性の例
に則して言えば、しきい値電圧以下の領域である0〜±
9Vの範囲が好適であるということになる。このよう
に、リセットパルスの電圧値は、液晶層のしきい値電圧
以下の範囲に設定すれば良い。そしてさらには、より短
時間のリセット期間内で出来るだけ効率の良いリセット
を行なうためには、第1のリセットパルスVr1は可能
な限り高い電圧値(絶対値)にすることが望ましいので
あるから、その意味でVr1の電圧の絶対値を前記の範
囲の値のうちの最大値に設定することが望ましい。つま
り前記の例で言えばVr1=±9Vにすれば良い。また
逆に、リセットパルスVr1,Vr2…は本質的に状態
保持電圧Vhが印加されて保持状態にある液晶分子をリ
セットするものであるから、少なくとも状態保持電圧V
h以上でなければ短時間のリセット期間内で効果を得る
ことができないものであることは言うまでもない。つま
り、リセットパルスVr1の電圧の絶対値として効果が
期待できる範囲内での最小値としては、少なくとも状態
保持電圧Vh以上でなければならないということであ
る。あるいは第2の実施形態のランダム選択駆動方式の
ような場合には、1フレーム期間内における液晶印加電
圧の1画面内での平均値(あるいは液晶印加電圧の絶対
値の最大値と最小値との平均値)などを前記の状態保持
電圧Vhの代りとして考えて、その平均値以上にリセッ
トパルスVr1を設定すれば良い。
【0057】なお、上記説明においては、本発明の反強
誘電性液晶表示装置の特徴的部分についてを中心として
述べたので、例えば画素のON/OFFが信号電極3側
に印加される信号電圧の極性に依存して決定されること
や、交流駆動方式で駆動されるので画素のON/OFF
と信号電極の極性とがリンクして1フレーム毎に逆転す
ることなど、上記の本発明に係る反強誘電性液晶表示装
置の従来と同様の構造や動作についてはその詳述を省略
したが、そのような動作やそれを実現する構造を本発明
に係る上記の実施形態の反強誘電性液晶表示装置も備え
ているものであることは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】以上、詳細な説明で明示したように、本
発明によれば、反強誘電性液晶表示装置およびその駆動
方法における強誘電状態から反強誘電状態へのリセット
の際の立ち下がりの遅さに起因して表示画像に発生して
いた残像やフリッカ等の問題を解決して、構造およびそ
の駆動方式が簡便でありながらも残像やフリッカ等の無
い高品位な画像表示を実現できる反強誘電性液晶表示装
置およびその駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反強誘電性液晶表示装置の主要部
の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る反強誘電性液晶表示装置に用いら
れる液晶表示素子8の構造の概要を示す断面図である。
【図3】本発明に係る反強誘電性液晶表示装置に用いら
れるVsおよびVhおよびVr1,Vr2…等の波形の
概要を示すタイミングチャートである。
【図4】液晶層7のリセットされて行く状態をその電気
光学特性のグラフを用いて模式的に示す図である。
【図5】リセット電圧として好適な波形の各種バリエー
ションを示すタイミングチャートである。
【図6】第2の実施形態の駆動方法に用いられるリセッ
ト電圧Vr1,2…、Vs、Vd等の波形の概要を示す
タイミングチャートである。
【図7】反強誘電性液晶の相転移作用の理論的な概要を
示す図である。
【図8】反強誘電性液晶の電気光学的静特性をV−Tグ
ラフを用いて示す図である。
【図9】従来の反強誘電性液晶表示装置における残像等
の表示不良発生の作用を模式的に示す図である。
【図10】従来の反強誘電性液晶表示装置に用いられる
信号電圧Vdおよび走査電圧Vsの波形の概要を示すタ
イミングチャートである。
【符号の説明】
1…走査電極 2…走査電極基板 3…信号電極 4…信号電極基板 7…反強誘電性液晶層 8…液晶表示素子 9…走査駆動回路 10…信号駆動回路

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の走査電極が列設された走査電極基
    板と、前記走査電極基板に対向配置されて前記走査電極
    と間隙を隔てて交差する複数の信号電極が列設された信
    号電極基板と、前記走査電極基板と前記信号電極基板と
    の間に周囲を封止されて配置され前記走査電極と前記信
    号電極との交差部分ごとに画素を形成する反強誘電性液
    晶層とを有する液晶表示素子と、1フレーム期間を時分
    割してなる走査選択期間中に前記走査電極のうちから特
    定の本数の走査電極を選択し該走査電極に対して走査選
    択電圧および状態保持電圧をこの順で印加する走査駆動
    回路と、前記信号電極に対して表示画像に対応した波形
    の信号電圧を印加する信号駆動回路とを備えた反強誘電
    性液晶表示装置において、 前記走査駆動回路は、中心電圧を基準として複数のパル
    スの極性が交互に反転しかつ前記複数のパルスの電圧の
    絶対値が漸次減少するように、前記複数のパルスを配列
    してなる波形のリセット電圧を、前記状態保持電圧の印
    加後に前記走査電極に対して印加する走査駆動回路であ
    ることを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の反強誘電性液晶表示装置
    において、 前記走査駆動回路は、前記中心電圧を基準として複数の
    パルスの極性が交互に反転しかつ前記複数のパルスの電
    圧の絶対値が漸次減少するように、前記複数のパルスを
    間断なく連続に配列してなる波形のリセット電圧を、前
    記状態保持電圧の印加後に前記走査電極に対して印加す
    る走査駆動回路であることを特徴とする反強誘電性液晶
    表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の反強誘電性液晶表
    示装置において、 前記走査選択電圧の極性および前記状態保持電圧の極性
    は、前記中心電圧を基準として互いに同極性であり、 前記リセット電圧の最初のパルスの極性は、前記中心電
    圧を基準として前記走査選択電圧の極性および前記状態
    保持電圧の極性とは反対の極性であることを特徴とする
    反強誘電性液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3いずれかに記載の反強誘
    電性液晶表示装置において、 前記リセット電圧の前記複数のパルスのうち少なくとも
    最初のパルスの電圧の絶対値が、前記状態保持電圧の絶
    対値よりも大きいことを特徴とする反強誘電性液晶表示
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4いずれかに記載の反強誘
    電性液晶表示装置において、 前記リセット電圧は、前記複数のパルスの電圧の絶対値
    が一定値ずつリニアに漸次減少するように前記複数のパ
    ルスを配列してなる波形のリセット電圧であることを特
    徴とする反強誘電性液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5いずれかに記載の反強誘
    電性液晶表示装置において、 前記走査駆動回路および前記信号駆動回路は、前記1フ
    レームごとに前記中心電圧を基準として出力の極性を反
    転させるフレーム反転方式の走査駆動回路および信号駆
    動回路であることを特徴とする反強誘電性液晶表示装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6いずれかに記載の反強誘
    電性液晶表示装置において、 前記信号駆動回路は、表示すべき画像の輝度階調に対応
    した絶対値の信号電圧を前記画素に印加する電圧駆動方
    式の信号駆動回路であることを特徴とする反強誘電性液
    晶表示装置。
  8. 【請求項8】 複数の第1の電極が列設された第1の電
    極基板と、前記第1の電極基板に対向配置されて前記第
    1の電極と間隙を隔てて交差する複数の第2の電極が列
    設された第2の電極基板と、前記第1の電極基板と前記
    第2の電極基板との間に周囲を封止されて配置され前記
    第1の電極と前記第2の電極との交差部分ごとに画素を
    形成する反強誘電性液晶層とを有する液晶表示素子と、
    1フレーム期間ごとに前記画素に対して表示画像に対応
    した波形の電圧を印加するために前記第1の電極に電圧
    を印加する第1の駆動回路および前記第2の電極に電圧
    を印加する第2の駆動回路とを備えた反強誘電性液晶表
    示装置における、前記画素に前記電圧を重畳して印加し
    て液晶印加電圧として書き込み、該液晶印加電圧に対応
    した状態に前記反強誘電性液晶層を保持することによ
    り、前記表示画像を表示する反強誘電性液晶表示装置の
    駆動方法において、 前記1フレーム期間中における、前記反強誘電性液晶層
    の状態を前記液晶印加電圧に対応した状態に保持してい
    た期間が経過した後の残りの時間内に、中心電圧を基準
    としてパルスの極性が交互に反転しかつ前記パルスの電
    圧の絶対値が漸次減少するように複数のパルスを配列し
    てなる波形のリセット電圧を、前記画素の前記反強誘電
    性液晶層に印加することを特徴とする反強誘電性液晶表
    示装置の駆動方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の反強誘電性液晶表示装置
    の駆動方法において、 前記リセット電圧は、前記パルスの電圧の絶対値が漸次
    減少するように複数のパルスを間断なく連続に配列して
    なる波形のリセット電圧であることを特徴とする反強誘
    電性液晶表示装置の駆動方法。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の反強誘電性液晶
    表示装置の駆動方法において、 前記1フレーム期間中におけるリセット電圧の最初のパ
    ルスの極性が、前記画素に印加された前記液晶印加電圧
    の極性とは反対の極性であることを特徴とする反強誘電
    性液晶表示装置の駆動方法。
  11. 【請求項11】 請求項8乃至10いずれかに記載の反
    強誘電性液晶表示装置の駆動方法において、 前記リセット電圧は、前記複数のパルスの電圧の絶対値
    が一定値ずつリニアに減少するように該複数のパルスを
    配列してなる波形のリセット電圧であることを特徴とす
    る反強誘電性液晶表示装置の駆動方法。
  12. 【請求項12】 請求項8乃至11いずれかに記載の反
    強誘電性液晶表示装置の駆動方法において、表示すべき
    画像の輝度階調に対応した絶対値の電圧を前記液晶印加
    電圧として前記反強誘電性液晶層の画素に印加すること
    で輝度階調表現を備えた画像を表示することを特徴とす
    る電圧駆動方式の反強誘電性液晶表示装置の駆動方法。
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