JP3525895B2 - 液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents

液晶表示装置の駆動方法

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JP3525895B2 JP2000402457A JP2000402457A JP3525895B2 JP 3525895 B2 JP3525895 B2 JP 3525895B2 JP 2000402457 A JP2000402457 A JP 2000402457A JP 2000402457 A JP2000402457 A JP 2000402457A JP 3525895 B2 JP3525895 B2 JP 3525895B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つの準安定状態
を持つカイラルネマチック液晶を用いた液晶表示装置の
駆動方法に関する。更に詳しくは、その書き込みスピー
ドを改善する駆動方法に関する。また、本発明は、液晶
パネル固有の液晶の閾値のばらつきに起因した駆動電圧
を補償し、あるいは駆動電圧を温度補償することができ
る駆動方法に関する。さらに本発明は、2種の駆動波形
間の電圧のアンバランスを改善して、駆動回路のIC化
が可能な駆動方法に関する。
【0002】
【背景技術および発明が解決しようとする課題】カイラ
ルネマチック液晶を用いた双安定性を有する液晶の駆動
が、特公平1−51818に既に開示されており、初期
配向条件、2つの準安定状態、また、その2つの準安定
状態間の切り換えの方法等が記述されている。
【0003】しかし、上記特公平1−51818に述べ
られている駆動方法は、実用的とは言えず問題が多い。
例えば、2つの準安定状態間の切り換えに関して、上記
公報には、下記の2通りの方法が開示されている。
【0004】その一つは、次の駆動方法により2つの準
安定状態を得るものである。すなわち、トグルスイッチ
を用いて60Hz、ピーク・ツウ・ピーク15Vの液晶
への印加電圧を急激にターンオフする事によって、36
0゜ツイスト配向状態を得ている。また、液晶に印加さ
れる電圧を、可変電圧器を用いて約1秒間にわたって緩
慢に電圧降下する事によって、0゜ユニフォーム配向状
態を得ている。
【0005】また、他の駆動方法は下記の通りである。
低周波電界がターンオフされた後に、1500KHzの
高周波が直ちに液晶に印加されると、360゜ツイスト
配向状態が実現される。同じ低周波電界のターンオフに
続いて約1/4秒遅延後に、1500KHzの高周波電
界を印加すれば、0゜のユニフォーム配向状態になると
している。
【0006】しかし、前者の方法は全く実用的ではな
く、単なる実験室での現象確認の方法に過ぎない。ま
た、後者の方法を我々が実験したところ、低周波電界の
ターンオフに続いて約1/4秒後に高周波電界を与えれ
ば、これも360゜ツイスト配向状態となり、2つの準
安定状態に切り換えるこができなかった。
【0007】更に云うならば、特公平1−51818に
は現在最も表示として実用性が高く、表示能力が高いマ
トリクス表示について何等記述が無く、その駆動方法に
ついても何等開示されていない。
【0008】そこで、我々は先に出願した特願平4−2
17932にて、液晶セル内で発生するバックフローを
コントロールし、上記欠点を改良する方法を提案した。
しかし、この提案は、マトリクス表示の1ライン当たり
の書込時間を短縮することはその目的でなかった。した
がって、上記提案の実施例では、マトリクス表示の1ラ
イン当たりの書き込み時間が400μsとされており、
400ライン以上の書き込みには計160ms(6.2
5Hz)以上の時間が必要となる。これは、表示のフリ
ッカーを伴うため実用的ではない。
【0009】また、一般的に液晶表示体の製造工程で発
生する駆動特性のばらつきには、1表示体内での場所に
よる駆動特性の違いと、製造ロットの違いによる各表示
体間での駆動特性の違いがある。従って、常に表示品質
が最高の状態で全液晶表示画面を使うためには、各パネ
ルの状況に合わせた微妙な駆動電圧コントロールが必要
である。また、何らかの手段によって最適調整がなされ
た後でも、駆動条件は周囲の温度変化にともなって新た
な変動を発生する為、温度変化に合わせた調整も更に必
須である。
【0010】図49は、ある1パネル内の駆動電圧の閾
値の違いを図示したものである。この様にわずかの配向
状態の違い、あるいは、セルギャップの変化に対して駆
動電圧が変化するので、各パネルでワースト箇所に合わ
せた駆動電圧の最適調整が必要である。また、図18は
マトリクス駆動を想定した際の温度変化に対する駆動電
圧の変化を表したものである。温度に対する勾配は0.
02v/℃で小さいが、25℃の駆動電圧を標準とした
時の電圧変動率は0.56%/℃で、実用温度範囲5〜
40℃では19.6%とかなり大きい変動幅となる。実
際の使用に際してはこれを補償し最適表示とする事が望
ましい。
【0011】また、メモリ性を有する液晶を駆動するに
当たり、その液晶分子にフレデリクス転移を起こすため
に、比較的絶対値の大きいリセットパルスを液晶に印加
する必要がある。この場合、マトリクス駆動時の走査信
号とデータ信号との間で、電圧の比が大きくアンバラン
スとなる。このため、具体的な駆動回路を構成する上
で、また、この回路をIC化する上で、このアンバラン
スは大きな障害となる可能性を持っている。
【0012】そこで、本発明の目的とするところは、メ
モリ性を有するカイラルネマチック液晶を駆動するに際
して、書込時間を短縮し、表示のフリッカを防止して実
用性の高い液晶駆動方法を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、1ライン当たりの書
込時間を短縮することで、大画面の液晶パネルに対応で
きるハイデューティの液晶駆動方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的達成のため本発
明方法は、基板間に封入された液晶分子が初期状態にて
所定のねじれ角を有し、初期状態にフレデリクス転移を
生じさせる電圧を印加した後の緩和状態として、初期状
態とは異なる2つの準安定状態をもつカイラルネマチッ
ク液晶を用いた液晶表示装置の駆動方法において、下記
の(a)〜(d)のステップを有するものに適用でき
る。図2(A)または図2(B)に基づき説明すると、
(a)リセット期間T1に前記フレデリクス転移を生じ
させるための閾値以上のリセット電圧30を前記液晶に
印加し、(b)前記リセット期間T1の後の選択期間T
3に、2つの前記準安定状態のいずれかを生ずる臨界値
を基準として選択される選択電圧32を前記液晶に印加
し、(c)前記選択期間T3に続く非選択期間T4に、
前記2つ準安定状態を維持する閾値以下の非選択電圧3
3を前記液晶に印加し、(d)前記リセット期間T1と
前記選択期間T3との間の遅延期間T2に、前記非選択
電圧33と同等以下の遅延電圧31を前記液晶に印加す
る。
【0015】この駆動法によれば、遅延期間T2の分だ
け選択期間T3の長さ、すなわち書込時間を短縮でき
る。特に、基板間のほぼ中央の液晶分子が、前記リセッ
ト電圧30の印加が終わった直後のホメオトロピックの
配向状態から、バックフローを起こして一方の前記準安
定状態に緩和しかけた後の、2つの前記準安定状態への
遷移点となる近辺の時間に、前記選択電圧32が前記液
晶に印加されるように、前記遅延期間の長さを設定する
と良い。液晶の配向状態が、2つの準安定状態のいずれ
になるかは、液晶のバックフロー後のトリガーの与え方
次第で決定されるからである。
【0016】本発明方法をマトリクス液晶駆動方法に適
用する場合、図8(A)〜図8(D)に示すように、差
信号Yn−Xmは、各行電極毎にずらして設定される選
択期間T3と、それに続く非選択期間T4と、前記選択
期間T3の前に設定されるリセット期間T1と、該リセ
ット期間T1と前記選択期間T3との間に設定される遅
延期間T2とを、1フレーム期間T内に含むことにな
る。この場合、行電極信号Ynは、前記リセット期間T
1ではリセット電位Vrとされ、前記選択期間T3では
選択電位(例えば±2Vb)とされ、前記遅延期間T2
及び前記非選択期間T4では非選択電位(例えば0V)
とされる。また、列電極信号Xmは、前記選択期間T3
に同期して、ON選択電位またはOFF選択電位のいず
れか一方のデータ電位(例えば±Vb)に設定される。
【0017】本発明では、前記遅延期間T2に続く前記
選択期間T3を第1選択期間とし、この第1選択期間T
3と前記非選択期間T4との間に、図9(A)または図
9(B)に示すように、前記液晶に非選択電圧34を印
加するインターバル期間T5と、前記選択電圧32を前
記液晶に印加する第2選択期間T6と、から成る一対の
期間を1回または複数回繰り返し設けることもできる。
【0018】本発明が対象とするメモリ性を有する液晶
では、リセット電圧off後の例えば1〜2ms内で
は、非常に短期間の累積パルス応答効果がある。したが
って、選択パルスを複数に分割しても、1パルスの場合
と同等の表示を行うことができる。なお、この選択パル
スの分割駆動は、図13に例示するように、1フレーム
期間T内に遅延期間T2を設定しない駆動法にも有効で
ある。
【0019】また、第1及び第2選択期間T3、T6に
それぞれ相当する単位時間をそれぞれ1Hとしたとき、
前記インターバル期間を、(1H)×m(mは整数)と
すれば、マトリクス駆動の場合も支障は生じない。
【0020】また、1パルス毎に液晶に印加される電圧
の極性を反転する交流駆動の場合、パルス幅は1H/2
となることがある事を考慮して、遅延期間を、(1H/
2)×n(nは整数)に設定すると良い。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。
【0022】〔液晶セルの構造〕後述する各実施例に用
いた液晶材料は、ネマチック液晶(例えば、E.Merck社
製ZLI−3329)に光学活性剤(例えば、E.Merck
社製S−811)を添加することにより、液晶のヘリカ
ルピッチを3〜4μmに調整したものである。図1に示
すように、上下のガラス基板5,5上にITOからなる
透明電極4のパターンを形成し、その上に各々ポリイミ
ド配向膜(例えば、東レ社製SP−740)2を塗布し
た。そして、各ポリイミド配向膜2対して、相互に所定
角度φ(実施例ではφ=180°)異なる方向にラビン
グ処理を施して、セルを構成した。上下のガラス基板
5,5の間にはスペーサを挿入して基板間隔を均一化
し、例えば基板間隔(セル間隔)を2μm以下とした。
したがって、液晶層厚/ねじれピッチの比は0.5±
0.2となる。
【0023】このセルに液晶を注入すると、液晶分子1
のプレチルト角θ1,θ2は数度となり、初期配向が1
80°のツイスト状態となる。この液晶セルを、図1に
示す偏光方向の異なる2枚の偏光板7,7で挟み込み、
表示体を形成した。なお、3は絶縁層、6は平坦化層、
8は画素間の遮光層、9は液晶分子1のダイレクターベ
クトルである。
【0024】(第1実施例)図2(A)および図2
(B)は、それぞれ図1に示す表示体を駆動するための
第1実施例に係る2種の駆動波形を示している。各図に
示す駆動波形には、1フレーム期間T内にリセット期間
T1,遅延期間T2,選択期間T3および非選択期間T
4が含まれている。図2(A)は、フレーム期間Tごと
に、液晶セルに充電される電圧の極性を反転させて交流
化する駆動波形を示している。図2(B)は、パルス幅
が(T3)/2の1パルスごとに、液晶に充電される電
圧の極性を反転させて交流化する駆動波形を示してい
る。各図において、リセット期間T1には、ネマチック
液晶にフレデリクス転移を生じさせるための閾値以上の
リセット電圧(リセットパルス)30が印加される。こ
のリセット電圧30は、本実施例ではそのピーク値が±
30Vに設定されている。リセット期間T2は、リセッ
ト電圧30を液晶セルに印加した後、選択期間T3にて
液晶セルに選択電圧(選択パルス)32が印加されるタ
イミングを遅延させるために設けられている。本実施例
では、この遅延期間T2にて液晶セルに、遅延電圧31
として例えば0Vの電圧が印加される。選択期間T3に
液晶セルに印加される選択電圧32は、ネマチック液晶
の2つの準安定状態、例えば360°ツイスト配向状態
と0°ユニフォーム配向状態のいずれかを生ずる臨界値
を基準として選択される電圧である。この選択電圧32
として、第1実施例に用いたカイラルネマチック液晶の
場合、選択電圧32のピーク値が0〜±1Vであると、
360°ツイスト配向状態が得られる。一方、選択電圧
32として2V以上の電圧を液晶セルに印加すると、0
°ユニフォーム配向状態が得られた。また、非選択期間
T4には、液晶セルに選択電圧32よりも絶対値の小さ
な非選択電圧33が印加され、選択期間T3にて選択さ
れた液晶の状態が維持されるようになっている。
【0025】図3は、比較例としての駆動波形を示して
いる。この図3に示す駆動波形は、本出願人の先の出願
(米国特許出願No.08−059226及びNo.08−
093290)に開示された駆動波形である。図3の駆
動方法では、1フレーム期間T内にリセット期間T1,
選択期間T3および非選択期間T4が設けられている点
で図2(A)および図2(B)と同様であるが、遅延期
間T2が設けられていない点が異なっている。換言すれ
ば、図2(A)および図2(B)に示す第1実施例の駆
動方法は、図3の駆動方法と比較して液晶セルにリセッ
ト電圧30を印加後、遅延期間T2経過後に選択電圧3
2を印加している点が、図3の駆動方法と大きく相違し
ている。
【0026】表2は、図2(A)または図2(B)の駆
動方法に基づく実験結果をまとめたものである。また、
表1は比較のための図3の駆動方法による結果である。
なお、表示はバックライト付きの透過型とし、on状態
は光の透過状態で0゜ユニフォーム配向状態に対応し、
off状態は光の遮断状態で360゜ツイスト配向状態
に対応している。
【0027】ここで、表1、表2において、デューティ
比は(選択期間T3)/(フレーム期間T)を示し、パ
ルス幅は選択パルスのパルス幅を示し、遅延時間は遅延
期間T2の長さをそれぞれ示している。なお、図2
(A)の駆動法の場合、パルス幅=T3であるのに対
し、図2(B)及び図3の駆動法の場合には、パルス幅
=(T3)/2となる。図2(A)、図2(B)及び図
3のいずれの場合も、1ライン当たりの書込時間は選択
期間T3に一致する。また、各表において、on電圧
は、液晶セルを0°ユニフォーム配向状態とするため
に、液晶セルに印加される選択電圧32の値を示してい
る。また、off電圧は、360°ツイスト配向状態を
得るために、液晶セルに印加される選択電圧32の値を
示している。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1、表2の比較から明らかなように、リ
セット電圧30の印加後にある遅延時間を挿入して選択
電圧32を液晶セルに印加すると、図3の駆動法では表
示の切り換えが不可能であったパルス幅の選択電圧32
を液晶に印加した場合でも、液晶のon/offの切り
換えが可能となる。例えば、表1のデューティ比=1/
240、パルス幅=50μs、on/off電圧=3V
/0V、遅延時間=0の条件では、表示のon/off
切り換えは不可能である。しかし、表2に示すように、
50μs以上の遅延時間を入れて同じ選択電圧32を液
晶セルに印加すると、on/off切り換えが可能とな
る。つまり、これはマトリクス型の表示で1ライン当た
りの書き込み時間を、従来法の200μsから半分の1
00μsに改良できたことになる。また、さらに遅延時
間50μs以上でon電圧を3Vから5Vに上げると、
パルス幅=25μsのパルスにも応答し、1ライン当た
りの書き込みを50μsに短縮出来ることも確認した。
【0031】図4は、本発明で用いる双安定液晶の挙動
を示した動的シミュレーションの結果と、遅延期間T2
および選択期間T3との関係を示している。横軸は時
間、縦軸は液晶セル中央の分子のティルトを表してお
り、スタート時点はリセットパルスの切れた時である。
この図に従えば、液晶分子は垂直に立った状態(ホメオ
ロトロピックの配向状態)の後、後ろ側に少し倒れ(バ
ックフロー)、再び戻って来てティルトが0゜に向かっ
て進むものと、更に180゜の方向に動くものに分かれ
る。前者は0゜ユニフォーム配向状態への遷移であり、
後者はこのティルトの変化の他にツイストも加わるので
360゜ツイスト配向状態への遷移に相当する。ところ
で、この図で明らかなように0゜ユニフォーム配向状態
への遷移にしても、360゜ツイスト配向状態への遷移
にしても、リセットパルス30の切れた直後は、液晶の
バックフローという同一の過程を経ている点では全く挙
動が同じである。すなわち、液晶の配向状態が0゜にな
るか360゜になるかは、このバックフロー後のトリガ
ー(図4中の矢印)の与え方次第で決まる。
【0032】前述した2つの先の米国特許出願に開示さ
れた図3に示す駆動波形では、図4に示すように、リセ
ット期間T1の経過直後に選択期間T3を設定した。そ
して、図3に示す駆動法の場合には、この選択期間T3
が液晶のバックフロー後のトリガーを付与すべきタイミ
ングまで延長される限り、液晶のon/offの切り換
えを行うことができた。事実、表1に従えば、選択期間
T3の長さを200μsまたは100μsと長くすれ
ば、液晶のon/offの切り換えが可能であるが、こ
の選択期間T3の長さを50μsと設定すると、液晶の
on/offの切り換えが不可能である。
【0033】これに対して、第1実施例の駆動方法に係
る図2(A)および図2(B)の駆動方法によれば、リ
セット期間T1と選択期間T3との間に遅延期間T2を
挿入し、この遅延期間T2の時間長さを調整すること
で、選択期間T3の長短にかかわらず、液晶がバックフ
ローを起こした後のトリガーを付与すべきタイミングに
て、この液晶に選択電圧32を印加することが可能とな
る。それゆえ、表2に示すように選択期間T3の時間長
さを25μsと大幅に短縮しても、液晶のon/off
の切り換えが可能である。
【0034】(第2実施例)図1に示す液晶セルを用い
て、図5に示す単純マトリクス型液晶表示体を構成し
た。この液晶表示体は、液晶セル11の背面にバックラ
イト12を配置した透過型である。液晶セル11の走査
電極(行電極)には走査駆動回路13が接続され、この
走査駆動回路13は走査制御回路15により制御され
る。一方、液晶セル11の信号電極(列電極)には信号
駆動回路14が接続され、この信号駆動回路14は信号
制御回路16により制御される。走査駆動回路13と信
号駆動回路14には、電位設定回路17から所定の印加
電圧が供給される。また、走査制御回路15と信号制御
回路16には、線順次走査回路18から基準クロック信
号と所定のタイミング信号が供給される。なお、図5中
の温度センサ21,温度補償回路22については後述す
る。
【0035】図6は、図5に示す単純マトリクス型液晶
表示体の駆動に用いられる駆動波形を示した図である。
図2(B)との違いは、リセット電圧30の後の遅延期
間T2中に、非選択電圧33と同じようなバイアス電圧
34がかかっていることで、これは他の行の画素選択の
際にどうしても入り込んでしまう電圧である。図6に示
す駆動波形において、選択期間T3の長さは一水平走査
期間(1H)と一致する。また、遅延期間T2長さは、
1H/2のパルス幅のパルス毎に交流駆動することを考
慮して、T2=(1H/2)×n(nは整数)に設定さ
れる。
【0036】図7は、図6の駆動波形を用いて0゜ユニ
フォーム配向状態と360゜ツイスト配向状態とを実現
できる選択電圧範囲を求めたグラフである。横軸は遅延
時間、縦軸は液晶への印加パルス電圧である。リセット
電圧は30Vで持続時間1ms、バイアス電圧は1.3
V、選択パルスのパルス幅=50μs、すなわち1ライ
ン当たりの書き込み時間は50×2=100μsであ
る。液晶セルは第1実施例と同様の構成で、セルギャッ
プd/ピッチp=0.6のものを用いた。この図より3
60゜ツイスト配向状態(表示のoff)は選択電圧の
ピーク電圧=1.8Vまで耐えられ、また、0゜ユニフ
ォーム配向状態(表示のon)は遅延時間200μsの
時を最小に3.6V以上で切り換えられることが得られ
た。この結果、リセット後の駆動波形を1/3バイアス
法にしたがって構成し、バイアス電圧および選択時のo
ff電圧をそれぞれVb=1.3Vとし、選択時のon
電圧を3Vb=3.9Vとすると、書き込みスピード1
00μs/lineで200〜240行の単純マトリクス駆
動表示が得られる。また、1/3バイアス法にしたがっ
て駆動波形を構成する場合には、図7中の実線で示すo
n電圧が、図7中の破線で示すon選択電圧3Vbを下
回る範囲(図7中の斜線の範囲)にて、遅延時間を選べ
ばよい。
【0037】図8(A)〜8(D)は、1/3バイアス
法に従ってマトリクスの各行、各列および各画素の駆動
波形を示したものである。同図において、Yn、Yn+
1はそれぞれ、n行目、n+1行目の各行電極を駆動す
るための走査信号(行電極信号)を示している。この走
査信号Yn、Yn+1は、リセット期間T1では波高値
±Vrのリセット電位に設定され、遅延期間T2では0
Vに設定され、選択期間T3では波高値±2Vbの選択
電位に設定され、非選択期間T4では0Vの非選択電位
にそれぞれ設定されている。Xmは、m列目の列電極に
供給されるデータ信号の波形を示している。このデータ
信号の波高値は±Vbであり、上述の走査信号の選択期
間T3の期間内の波形と逆相である場合には液晶セルを
on駆動し、同相である場合には液晶セルをoff駆動
する。差信号Yn−Xmは、n行目の行電極とm列目の
列電極との交点における画素の液晶に印加される駆動波
形を示している。この差信号Yn−Xmは、リセット期
間T1ではその最大波高値が±(Vr+Vb)のリセッ
ト電圧30とされ、遅延期間T2では波高値が±Vbの
バイアス電圧34とされる。また、図8に示す選択期間
T3ではその波高値が±3Vbのon駆動のための選択
電圧32とされ、非選択期間T4ではその波高値が±V
bの非選択電圧33に設定される。
【0038】この第2実施例の駆動波形に、分割マトリ
クス、または、多重マトリクス(液晶デバイスハンドブ
ック−日刊工業、p406)の手法を組み合わせること
で、640×480のVGA対応ディスプレイを実現で
きた。
【0039】以上述べたように、第1実施例及び第2実
施例では、リセットパルス後に遅延パルスを印加するこ
とによって、従来の数倍の50μs/lineもの高速書き
込みが可能になった。その結果、640×400、64
0×480などのニーズの高いマトリクス表示にも、能
動素子の助けを借りずに対応できる。また、本発明が対
象とする液晶表示装置は、基本特性として数秒のメモリ
性を有すること、コントラスト比が100を越えるこ
と、視角が上60゜、下80゜、左右各80゜の広視野
角であること、光学応答が8ms以下と高速であること
など、STNを上回る特性を有している。このため、先
の単純マトリクス駆動が可能であることと合わせ、低価
格・高品質の表示装置の実現に多大な貢献が出来る。ま
た、上述の説明では透過型として説明を一貫したが、コ
ントラスト比100以上の特性を活かせば反射型表示と
しても有望である。さらには、光学応答が1msを切れ
ば、フリッカーの問題が回避できるので、液晶のメモリ
性を活かして、1000ライン以上で、かつ、書き込み
時間0.1s以下の高精細表示も実現可能となる。
【0040】(第3実施例)図9(A)および図9
(B)は、図1に示す液晶表示体の駆動に用いられる第
3実施例に係る2種の駆動波形を示している。図9
(A)、図9(B)はそれぞれ、上述した図2(A)、
図2(B)と同様に、1フレームごとまたは1ラインご
とに液晶セルに充電される電圧の極性反転を行う交流化
駆動方法を示している。図9(A)または図9(B)に
示す駆動波形が、図2(A)または図2(B)の第1実
施例に係る駆動波形と相違する点は、遅延期間T2に続
く期間T3を第1選択期間としたとき、この第1選択期
間T3と非選択期間T4との間に、インターバル期間T
5と第2選択期間T6とを設けた点である。なお、この
インターバル期間T5と第2選択期間T6とを一対の期
間としたとき、図9(A)、図9(B)の駆動波形で
は、この一対の期間が1回設けられているが、これに限
らず一対の期間を複数回繰り返し設けることもできる。
【0041】図9(A)または図9(B)において、第
1,第2選択期間T3、T6はそれぞれ同一長さの期間
に設定され、いずれの期間T3およびT6においても液
晶セルに選択電圧32が印加される。また、インターバ
ル期間T5では、マトリックス駆動を考慮して、遅延期
間T2と同様のバイアス電圧34が液晶セルに印加され
ている。
【0042】さて、図9(A)または図9(B)の波形
を印加した結果は次の通りである。共通の条件として、
リセット電圧=±25V、リセット時間=1ms、遅延
時間=200μs、バイアス電圧=±1.2Vとした。
この時、on選択電圧=±2.4Vでは各パルス幅が1
50μsの2パルス、または各パルス幅が100μsの
3パルスを印加した場合に、0゜ユニフォーム配向状態
が得られた。これはon選択電圧=±2.4Vで、パル
ス幅=300μsの1パルス印加(図2(A)または図
2(B)の駆動方法)の結果と全く同じであった。ま
た、2つのパルス間の間隔(インターバル期間T5)は
最大450μsまで広げられた。次に、on選択電圧=
±3.6Vに変えた場合、各パルス幅が50μsの2パ
ルスで0゜ユニフォーム配向状態が得られた。これも、
on選択電圧=±3.6Vでパルス幅が100μsの1
パルス印加(図2(A)または図2(B)の駆動方法)
と同等の結果である。なお、この場合の2パルス間の間
隔は最大250μsまで広げられた。
【0043】以上から、本液晶表示には非常に短期間の
累積パルス応答効果があり、リセットパルスoff後の
1msないし2msの期間内に、短パルス幅の複数の選
択パルスに分割して液晶に印加すればよい。このことを
図4を用いて説明すれば、1フレーム期間T内の最後の
選択期間T5が、図4に示す液晶のバックフロー後のト
リガータイミングに設定されるように、第1,第2選択
期間T3、T6の長さ、遅延期間T2の長さおよびイン
ターバル期間T5の長さを調整すればよい。そして、こ
のリセットパルスoff後の1ms〜2msの期間内で
あれば、パルス幅の合計が変わらない限り何パルスにで
も分割できることが分かる。また、累積パルス応答効果
の生ずる期間内に液晶に印加される選択パルスのピーク
電圧を、2.4Vと3.6Vとに設定した各場合につい
て、リセットパルス以降の実効電圧を比較すると、前者
は1.67V、後者は1.88Vとなる。このため、選
択パルスのパルス数とそのパルス電圧の波高値とを変え
た場合には、実効電圧をほぼ一定にできることが分か
る。
【0044】このことを、図10(A)〜図10(E)
を参照して説明する。図10(A)〜図10(E)のい
ずれの場合も、選択パルスの(パルス幅×ピーク電圧)
により計算される面積(選択パルスが複数の場合はその
総和面積)が同一となっている。したがって、上述した
累積パルス応答効果が生ずる限り、図10(A)〜図1
0(E)のいずれの駆動の場合でも、液晶に印加される
実効電圧が一定になることが分かる。なお、図10
(A)〜図10(E)の各駆動波形を書き込みスピード
の点で比較すると、図10(A),図10(D)および
図10(E)の場合は同一速度となるが、図10(B)
および図10(C)はそれらよりも2倍の書き込みスピ
ードを達成でき、ハイデューティ化が可能となる。
【0045】(第4実施例)図11(A)〜図11
(E)は、第3実施例の駆動法を、図4に示すマトリク
ス表示のパルス反転型の交流駆動に適用した第4実施例
の駆動波形を示したものである。Yn,Yn+1、Yn
+2はそれぞれn番目、(n+1)番目、(n+2)番
目の行電極に供給される走査信号を示している。各走査
信号には、リセット期間T1、遅延期間T2、第1選択
期間T3,インターバル期間T5、第2選択期間T6お
よび非選択期間T4が1フレーム期間T内に設けられて
いる。第1,第2選択期間T3、T6の長さは同一であ
り、共に1水平走査期間(1H)となっている。また、
インターバル期間T5の長さは、1H×m(mは整数)
に設定され、図11の場合2Hに設定されている。
【0046】この場合の駆動を図12のマトリクスの表
示でみると、行C1、C2、C3、C1、C2、C3、
C4、C5、C6、C4、C5、C6のようなジグザグ
の順序で行の選択が進んで行く形になる。列側のデータ
信号(Xm)は1ライン当たり2回のタイミングでデー
タを転送し、行側、列側の各信号の差信号Yn−Xmの
電圧が液晶に加わる。
【0047】我々はこの方法を用いて、走査信号のリセ
ット電圧=±25V、リセット期間=1ms、遅延期間
=200±100μs、選択電圧=±2.4V、選択期
間=50μsの2回の条件とし、データ信号のデータ電
圧=±1.2Vの条件で、デューティ比1/240の単
純マトリクス駆動表示を実現した。この場合、フレーム
周波数は42Hzであり、フリッカーは生じなかった。
また、上記駆動法を、分割マトリクス、または、多重マ
トリクス駆動(液晶デバイスハンドブック−日刊工業、
p406)と組み合わせることによって、640×48
0のVGA対応ディスプレイとすることができる。
【0048】以上述べたように、第3,第4実施例によ
れば、リセットパルス後の選択パルスを2回以上液晶に
印加することによって、単純マトリクス駆動の書き込み
時間を短縮することが可能であることに加え、フリッカ
ーレスのハイデューティ単純マトリクス駆動が実現され
ている。また、同時に駆動電圧の低電圧化も図ったので
低消費電力化にもつながった。
【0049】なお、選択パルスを複数回液晶に印加した
場合の累積パルス応答効果は、必ずしも上述の第3,第
4実施例のようにリセット期間T1の後に遅延期間T2
を設定するものに限らない。図13に示すように、リセ
ット期間T1経過直後に第1選択期間T3を設定し、こ
の第1選択期間T3と非選択期間T4との間に、インタ
ーバル期間T5及び第2選択期間T6から成る一対の期
間を、1回または複数回繰り返しを設けることもでき
る。この場合、1フレーム期間T内の最後の選択期間T
5が、図4に示す液晶のバックフロー後のトリガータイ
ミングに設定されるように、第1,第2選択期間T3、
T6の長さおよびインターバル期間T5の長さを調整す
ればよい。
【0050】(第5実施例)図14(A)および図14
(B)は、図1に示す表示体を駆動するための第5実施
例にかかわる2種の駆動波形を示している。図14
(A)は液晶に印加される電圧を1フレームごとに極性
反転を行う駆動波形であり、図14(B)は液晶に印加
される電圧の極性を1パルスごとに反転させる駆動波形
を示している。各図の駆動波形はともに、1フレームT
内に、リセット期間T1、遅延期間T2、選択期間T3
および非選択期間T4を含んでいることで第1実施例と
同様であるが、選択期間T3に対するonの選択電圧ま
たはoff選択電圧の印加期間t(図14(B)の場合
はt=2×t/2)のデューティが100%未満に設定
されている点で異なっている。
【0051】さて、図14(A)または図14(B)の
波形を印加した結果を図15に示す。なお、駆動条件は
リセット電圧=20V、リセット時間=1ms、遅延時
間=150〜200μsとした。図において横軸は選択
期間T3に対する印加パルス幅tのデューティである。
その縦軸は、この印加パルスのon(0゜ユニフォーム
配向状態)またはoff(360゜ツイスト配向状態)
の時のピーク電圧である。印加電圧のパルスデューティ
を50%、33%、25%と減らして行くにつれ、その
ピーク電圧はルート2倍、ルート3倍、2倍と上昇して
いる。従って、選択期間T3内で計算される実効値は皆
等しくなっているのが特徴である。また、on電圧とo
ff電圧の比は、デューティを変えても変わらないのも
他の特徴の一つである。図15の測定に用いた液晶で
は、この比がおよそ5となっている。
【0052】以上から、本液晶表示装置の駆動において
は、選択期間T3に対する選択パルスの総パルス幅tの
デューティを変えても、選択期間T3内の実効電圧さえ
変わらなければ、同等の表示効果が得られることが分か
る。これより、デューティを減らすことによって選択パ
ルスのピーク電圧値を上げ、回路の駆動電圧精度を出し
易くする目的に使えることが分かる。また、駆動電圧を
一定としてパルスのデューティを変化させれば、実効値
が変わり得られる表示効果が変化することが分かる。即
ち、デューテイを変えることで、図49に示すように表
示パネル内の液晶の閾値のばらつきに起因した微妙な駆
動電圧の違いを補償できる。また、液晶の閾値は温度に
よっても変動するので、デューティを変更することで、
温度補償を行うことができる。
【0053】(第6実施例)図16(A)〜図16
(E)は、図14(B)に示す駆動波形を、マトリック
ス表示の交流駆動に適用した第6実施例に係る駆動波形
を示している。図16において、Yn、Yn+1、Yn
+2はそれぞれn番目、(n+1)番目、(n+2)番
目の行電極に供給される走査信号を示している。各走査
信号の選択期間T3に対する、on選択電圧またはof
f選択電圧の総印加期間t(=2×t/2)のデューテ
ィが100%未満に設定されている。Xmは、m番目の
列電極に供給されるデータ信号を示している。このデー
タ信号Xmの選択期間T3に対するデータ電位のトータ
ル期間tのデューティも、走査信号と同様に100%未
満に設定されている。これら走査信号およびデータ信号
の差信号Yn−Xmが液晶に印加されることになる。こ
の差信号Yn−Xmにおいても、選択期間T3に対する
on選択電圧またはoff選択電圧の印加期間tのデュ
ーティが、100%未満に設定されることになる。した
がって、液晶には選択電圧およびバイアス電圧ともに、
デューティ100%未満の間欠パルスとして電圧が印加
されることになる。
【0054】我々はこの方法を用いて、リセット電圧=
±25V、リセット期間=1ms、遅延期間=200μ
s、選択期間=100μs、パルス選択時間=25μs
×2(デューティ50%)、選択電圧=±4V、データ
電圧=±1Vの条件で、デューティ比1/240の1/
5バイアス法による単純マトリクス駆動表示を実現し
た。この場合、フレーム周波数は42Hzであり、フリ
ッカーは生じなかった。また、上記駆動法を、分割マト
リクス、または、多重マトリクス駆動(液晶デバイスハ
ンドブック−日刊工業、p406)と組み合わせること
によって、640×480のVGA対応ディスプレイと
することができる。
【0055】(第7実施例)図17(A)〜図17
(E)は、本発明のマトリクス表示への他の応用例であ
る。図17において、走査信号Yn、Yn+1、Yn+
2はそれぞれ図16の対応する波形と同一波形となって
いる。一方、図17に示すデータ信号Xmは図16の対
応する波形とは異なり、選択期間T3に対するデータ電
位のパルス幅のデューティが100%に設定されてい
る。液晶には、差信号Yn−Xmの電圧が印加されるこ
とになるが、この差信号Yn−Xmは選択期間T3に対
するon選択電圧またはoff選択電圧の印加期間tの
デューティが100%未満に設定されることになる。た
だし、この第7実施例の場合には、液晶にはバイアス電
圧が間断無く加わり、その中に選択電圧がパルスデュー
ティ100%未満で加わる形になる。
【0056】我々はこの方法を用い環境温度40℃にお
いて、リセット電圧=±25V、リセット期間=1m
s、遅延期間=200μs、選択期間=100μs、パ
ルス選択時間=50μs×2(デューティ100%)、
選択電圧=±4V、データ電圧=±1Vの条件で、デュ
ーティ比1/240の1/5バイアス法による単純マト
リクス駆動表示を実現した。この場合もフレーム周波数
は42Hzであり、フリッカーは生じなかった。次に、
選択期間T3に対する選択パルスのパルス幅のデューテ
ィを100%から約74%まで変化させると、実効電圧
は5Vから4.3Vまで変化し、図18の40〜5℃ま
での温度補償が可能となった。
【0057】(第8実施例)図19(A)〜図19
(E)は、本発明のマトリクス表示へのさらに他の応用
例である。図19に示す走査信号Yn、Yn+1、Yn
+2は、それぞれ選択期間T3に対するon選択電位ま
たはoff選択電位のパルス幅のデューティが100%
になっている。これに対し、データ信号Xmでは選択期
間T3に対するデータ電位のパルス幅tのデューティが
100%未満に設定されている。これらの差信号Yn−
Xmが液晶に印加されることになるが、この差信号Yn
−Xmにおいても、選択期間T3に対するon選択電圧
またはoff選択電圧の印加期間tのデューティが10
0%未満に設定される。本方式は液晶にかかるon/o
ff電圧比が小さいので効果が大きいとは云い難いが、
1/2バイアス法を使う場合にはon波形、off波形
が第3実施例と同じになり、かつ、バイアス電圧が間欠
にかかる形となるので有効である。
【0058】(第9実施例)図20〜図22を参照し
て、選択期間T3に対する選択パルスのパルス幅のデュ
ーティを可変する回路およびその動作について説明す
る。図20は、クロック信号CLK、リセット信号RE
及び選択信号Sに基づいて、図22に示す各種電位を持
つ走査信号Ynを出力する回路を示している。図22に
示すように、走査信号Ynは、リセット期間T1では±
V2の電位を有し、選択期間T3の選択パルスとして±
V1の電位を有し、その他の期間では電位0Vとなって
いる。このため、図20に示す走査信号の駆動回路は、
走査信号Ynとして、−V1の電位に切り換える第1の
アナログスイッチ70と、+V1の電位に切り換える第
2のアナログスイッチ71と、+V2の電位に切り換え
る第3のアナログスイッチ72と、−V2の電位に切り
換える第4のアナログスイッチ73と、0Vの電位に切
り換える第5のアナログスイッチ74とを有する。この
各アナログスイッチ70〜74を切り換え駆動するため
に、モノステーブル回路40、1/2デバイダ46およ
び各種論理ゲート50〜55、60〜64が設けられて
いる。
【0059】モノステーブル回路40は、基準クロック
CLKを入力し、その回路のもつ時定数CRに比例した
時間だけhighとなる信号bを生成するものである。この
モノステーブル回路40は、図21に示すように、第1
のノア回路41、コンデンサ42、可変抵抗器43、抵
抗器44および第2のノア回路45を有する。このモノ
ステーブル回路40の時定数は、コンデンサ42の容量
値Cと、可変抵抗器43の抵抗値Rとで定まり、可変抵
抗器43の抵抗値Rを可変することで、後述するように
走査信号Ynの選択期間T3に対する選択パルスのパル
ス幅のデューティが可変となっている。
【0060】1/2デバイダ46は、基準クロックCL
Kを入力し、この基準クロックCLKの1/2の周波数
をもつ信号a、換言すれば2倍の周期を有する信号aを
生成するものである。
【0061】第1のアンド回路52は、上記信号a,b
を第1,第2のインバータ50,51にて反転した信号
を入力し、図22に示す信号dを生成する。さらに、第
3のアンド回路54は、信号dと選択信号Sとを入力
し、第1のアナログスイッチ70を切り換えるための信
号eを生成する。この信号eは、図22に示す走査信号
Ynの選択期間T3内において、負極性の選択パルスの
パルス幅と対応する期間にわたってhighとなる。
【0062】第2のアンド回路53は、信号aと信号b
を第2のインバータ51にて反転した信号を入力し、図
22に示す信号cを生成する。さらに、第4のアンド回
路55は、信号cと選択信号Sとを入力し、第2のアナ
ログスイッチ71を切り換え駆動するための信号fを生
成する。この信号fは、図22に示す走査信号Ynの選
択期間T3内において、正極性の選択パルスのパルス幅
に対応する期間だけhighとなっている。
【0063】この第1,第2のアナログスイッチ70,
71を駆動するための信号e,fは、走査信号Ynの選
択期間T3に対する選択パルスのパルス幅のデューティ
を決定している。さらに、この各信号e,fは、モノス
テーブル回路40からの信号bに基づいてそのパルス幅
が決定されており、モノステーブル回路40の時定数C
Rを変化させることで、結果として走査信号Ynの選択
期間T3に対する選択パルスのパルス幅のデューティを
可変できることが分かる。
【0064】なお、走査信号Ynの選択パルス以外の電
位を切り換える第3〜第5のアナログスイッチ72〜7
4を駆動するための信号g〜iについて簡単に説明す
る。第3のアナログスイッチ72を切り換え駆動するた
めの信号gは、信号aとリセット信号REを入力する第
5のアンド回路60によって生成される。この信号g
は、図22に示す走査信号Ynのリセット期間T1にお
ける正極性のリセット電位=+V2の期間と対応する期
間にわたってhighとなっている。
【0065】第4のアナログスイッチ74を駆動するた
めの信号hは、信号aを第1のインバータ50にて反転
した信号とリセット信号REを入力する第6のアンド回
路61によって生成されている。この信号hは、図22
に示す走査信号Ynのリセット期間T1において、負極
性のリセット電位−V2と対応する期間にわたってhigh
となっている。第5のアナログスイッチ74を駆動する
ための信号iは、信号b、リセット信号REおよび選択
信号Sに基づいて、第6のアンド回路61、第7のアン
ド回路62、第3のノア回路63およびオア回路64に
て生成される。信号iは、図22に示す走査信号Ynの
遅延期間T2、非選択期間T4、および選択期間T3内
において選択パルスが出力されない期間にわたってhigh
となっている。
【0066】(第10実施例)この第10実施例は、デ
ューティの変更をデジタル的に行うもので、抵抗値Rを
変化させることでデューティを連続的に変更した第9実
施例と異なっている。図23は、走査信号Ynにおける
選択期間T3内の正負の選択パルスのパルス幅を決定す
るための信号t1,t2を出力するための回路図であ
る。図24はそのタイミングチャートである。
【0067】図23において、上記信号t1,t2を生
成する回路として、デップスイッチ80、第1,第2の
マグニチュード・コンパレータ81A,81Bおよび第
1,第2のカウンタ82A,82Bが設けられている。
信号t1,t2がhighとなるパルス幅は、例えば二進の
デップスイッチ80によって設定される。このデップス
イッチ80は、例えば4ビットの第1,第2のマグニチ
ュード・コンパレータ81A,81Bに接続されてい
る。この第1,第2のマグニチュード・コンパレータ8
1A,81Bは、デップスイッチ80にて設定された設
定値Aと、第1,第2のカウンタ82A,82Bでのカ
ウント数Bとが一致した場合に、A=B端子の状態がhi
ghに変わる。第1,第2のカウンタ82A,82Bは、
図24に示す基準クロックCLKをカウントするもので
ある。第1,第2ののカウンタ82A,82Bのクリア
端子CLには、図24に示す信号CL1、CL2が入力
される。信号CL1は、図24に示す選択信号Sと信号
aとを入力するアンド回路83の出力である。一方、信
号CVL2は、図24に示す選択信号Sと、信号aをイ
ンバータ83にて反転した信号とを入力するアンド回路
84の出力である。したがって、この第1,第2のカウ
ンタ82A,82Bは、信号CL1,CL2がhighとな
る立上りにてクリアされることになる。
【0068】コンパレータ81A,81BのA=B端子
より出力される信号t1,t2は、図24に示す走査信
号Ynの選択期間T3において、選択パルスのパルス幅
と対応する期間にわたってhighとなる。したがって、こ
の信号t1,t2がhighとなる期間をデップスイッチ8
0にて変更することで、走査信号Ynの選択期間T3に
対する選択パルスのパルス幅のデューティを、選択期間
T3内に入る基準クロックCLKにて、段階的に変更す
ることが可能である。なお、図24に示す実施例におい
ては、デップスイッチ80での設定値A=2であり、選
択期間の半分の期間(T3/2)は基準クロックCLK
の数で8となっている。したがって、図24に示す実施
例においては、選択期間T3に対する選択パルスのパル
ス幅のデューティは、100×(8−2)/8=75%
となっている。このように第10実施例では、デップス
イッチ80の設定値を大きくするほどデューティは小さ
くなり、逆に設定値を小さくするほどデューティは大き
くなる。
【0069】(第11実施例)この第11実施例は、デ
ータ信号Xmの選択期間T3に対するon電位またはo
ff電位の期間のデューティを変更するものである。図
25は、m列目の列電極に供給するデータ信号Xmを出
力するためのデータ信号駆動回路90を示しており、図
26はそのタイミングチャートを示している。このデー
タ信号駆動回路90は、データ信号Xmとして、電位−
V3を出力するための第6のアナログスイッチ94と、
電位V3を出力するための第7のアナログスイッチ95
と、電位0を出力するための第8のアナログスイッチ9
6とを有する。
【0070】さらに、この各アナログスイッチ94〜9
6を切り換え駆動するための論理ゲート91〜93が設
けられている。第7のアナログスイッチ95を切り換え
駆動するための第8のアンド回路91が設けられてい
る。この第8のアンド回路91は、m列目のデータDm
と、図20に示したモノステーブル回路40からの信号
bを第2のインバータ51にて反転した信号とを入力す
る。図26に示すように、第8のアンド回路91の出力
信号jは、データ信号Xmの一水平走査期間と対応する
選択期間T3において、電位+V3を有するパルス幅と
対応する期間にわたってhighとなっている。また、第1
のアナログスイッチ94を切り換え駆動するための第9
のアンド回路93が設けられている。この第9のアンド
回路93は、データDmを第3のインバータ92にて反
転した信号と、第2のインバータ51の出力である信号
bの反転信号とを入力し、信号kを生成する。この信号
kは、図26に示すデータ信号Xmの選択期間内におい
て、電位−V3を有するパルス幅と対応する期間にわた
ってhighとなっている。また、第8のアナログスイッチ
96は、図20に示したモノステーブル回路40からの
信号bによって切り換え駆動される。このように、デー
タ信号Xmの選択期間に対するデータ電位のデューティ
は、図20に示したモノステーブル回路40の時定数C
Rに基づいて変更することができる。なお、このデータ
信号Xmの選択期間に対するデータ電位の期間のデュー
ティを変更する手段としては、第10実施例と同様にデ
ジタル的に行うことも可能である。
【0071】(第12実施例)図27は選択期間T3に
対する選択パルス幅のデューティを変更できるマトリク
ス液晶表示装置のブロック図である。表示に必要な表示
データはいったんメモリ100に蓄積され、ディスプレ
イ・コントローラ101を介してXドライバ102およ
びYドライバ103に転送される。コントローラ101
の中には温度センサー104、または、マニュアルスイ
ッチ106からの信号に従って、Xドライバ102、ま
たは、Yドライバ103のパルス幅デューティを変化さ
せるデューティ・コントローラ107があり、ここから
の設定値に従ってXドライバまたはYドライバのパルス
のデューティが自動または手動で決定される。設定値は
第9,11実施例のように連続的な変化であっても、第
10実施例のようにステップ状の変化であってもよい。
この結果、液晶パネル108に印加されるパルス列は、
環境温度に対応し、かつ、見やすさが最適化された波形
となっている。
【0072】このように本実施例ではディスプレイ・コ
ントローラ101にデューティ・コントローラ107を
付加すれば、選択期間T3内で液晶に印加するパルスデ
ューティを連続、または、ステップ状に変えることがで
き、液晶に加わる実効パルス電圧を変化させることが可
能となる。その結果、個々の液晶パネルによる駆動電圧
のばらつきを吸収することはもちろん、環境温度変化に
よる駆動電圧の変動を電源電圧を変えずに調整すること
もできるようになった。また、液晶表示体の使用者が外
部操作スイッチによって直接調整も行えるようにすれ
ば、表示を自分にとって最適状態に調整することも可能
である。さらには、回路を具体化する上でリセット電圧
とデータ電圧の差が大きく、電源電圧精度が出しにくい
場合には、パルスデューティを下げて波高値を上げるこ
とで解決することもできる。また、さらにはカラー表示
の場合、RGBでフィルター厚の違いからセルギャップ
が異なり閾値の違いが出ても、RGB各々の駆動電圧に
合わせてパルスデューティを調整すればよい。
【0073】ここで、複数の行電極にそれぞれ供給され
る走査信号(行電極信号)の少なくとも1つを、選択期
間に対する選択電位の期間のデューティが他の行電極信
号と異なる値に設定することができる。例えば、液晶パ
ネルの上側の行電極と下側の行電極とで上記のデューテ
ィを変更することで、液晶パネルの上側および下側にて
異なる閾値のばらつきを補償することができる。また、
複数の列電極にそれぞれ供給されるデータ信号(列電極
信号)の少なくとも1つを、その選択期間に対するデー
タ電位の期間のデューティが、他の列電極信号と異なる
値に設定することもできる。例えば、液晶画面の左列と
右列とで上記のデューティを変更することで、液晶パネ
ルの左側および右側にて異なる閾値のばらつきを補償す
ることができる。あるいは、一列の列電極に供給される
列電極信号について着目した場合、その列電極信号が供
給される列電極上の1の画素に対応する選択期間と他の
画素に対応する選択期間とで、各選択期間に対するデー
タ電位の期間のデューティを異なる値に設定することも
できる。こうすると、液晶画面の一列上の画素ごとに、
その上側および下側にて異なる閾値のばらつきを補償す
ることが可能となる。
【0074】なお、上記のデューティを変更する駆動法
は、遅延期間を設けない図3または図13の駆動法にも
同様に適用可能である。
【0075】〔液晶の閾値の変化に対応して変更される
他のパラメータに関して〕第9〜12実施例は、液晶パ
ネルを構成する液晶自体の閾値のばらつき、あるいは環
境温度に起因した液晶の閾値のばらつきを、選択期間に
対する選択パルスの期間のデューティを変更することで
補償したが、液晶の閾値の変化に対しては下記のパラメ
ータの変更によっても対応することができる。まず、液
晶の閾値に応じて、選択パルスのパルス高を変更するこ
とができる。さらに、この液晶の閾値を変更するパラメ
ータとして、選択パルスのパルス幅、選択パルスを印加
するタイミングを設定するための遅延期間T2の時間長
さを挙げることができる。
【0076】例えば選択パルスのパルス幅、遅延時間及
び温度を一定にした場合、臨界値は選択パルスのパルス
高として図28に示すVth1,Vth2のようになる。図2
8に示すリセットパルスの電圧値Veの絶対値(縦軸)
と選択パルスの電圧値Vs(横軸)との直交平面におい
て、a1,a2は準安定状態の一方(例えばねじれ角0
度の状態)が出現する領域(|Ve|>V0 かつ |
Vth1|<|Vs|<|Vth2|)を示している。また、
b1,b2,b3は準安定状態の他方(例えばねじれ角
360度の状態)が出現する領域(|Ve|>V0 か
つ |Vs|<|Vth1| 又は、|Ve|>V0 か
つ |Vs|>|Vth2|)を示す。ここでVth1とVth
2は選択パルスの電圧値に対する閾値であり、この閾値
は実際には3つ以上存在する可能性がある。本実施例で
は上記Vth1を閾値として液晶駆動を行う。
【0077】臨界値が上記3つのパラメータの組により
与えられることは、図29に示す閾値Vth,Vsatと温
度Tとの負の相関、図30に示す閾値Vth,Vsatとパ
ルス幅Pwとの負の相関、及び、図31に示す閾値Vt
h,Vsatと遅延時間τとの相関により示されている。以
下の各実施例において目指す液晶のオン・オフ駆動の条
件は、Von=Vw+Vd≧Vsat、かつ、Voff=Vw−
Vd≦Vthである。 下記の第13〜15実施例は、上
記のいずれかのパラメータを変更して温度補償を行うも
のであり、図5中の温度センサ21、温度補償回路22
を用いて温度補償を行っている。
【0078】温度センサ21は液晶セル11の環境温度
を測定して、温度補償回路22に測定信号を送出する。
温度補償回路22は、後述する複数の温度補償方法に応
じて電位設定回路17又は線順次走査回路18に補償制
御信号x又はyを出力し、電位設定回路17の出力電位
を修正させ、又は線順次走査回路の制御周波数若しくは
制御パターンを変更させるようになっている。なお、常
用温度域を複数の温度範囲に分割し、各温度範囲毎に前
記パラメータの異なる設定値を予め定めておき、環境温
度が属する前記温度範囲について定められた前記パラメ
ータの設定値を選択して、温度補償を行うこともでき
る。
【0079】また、図5に示す単純マトリクス型液晶表
示体を駆動する駆動波形としては、図2(A)または図
2(B)のいずれかの波形を用いることができる。ま
た、パラメータとして遅延時間を変更しないものについ
ては、リセット期間T1経過後に直ちに選択パルスを印
加する図3に示す駆動波形を用いることもできる。
【0080】(第13実施例)この第13実施例は、選
択パルスのパルス高を変更することで、液晶の閾値に対
応して適正な液晶駆動を行うものである。この第13実
施例では、1フレーム期間Tに対する選択期間T3のデ
ューティー比を1/240とし、パルス幅(選択期間T
2の長さ)=40μs、遅延期間T2=200μs、信
号電位Vd=±1.2vに設定した。オン状態(ねじれ
角0度のユニフォーム配向状態に対応する。)とオフ状
態(ねじれ角360度ツイスト配向状態に対応する。)
とを得る場合の閾値Vth,Vsatの温度に対する変化
を、常温域の0℃から50℃の範囲内で調べると、閾値
の変化は表3および図29に示した通りになる。そし
て、上記の液晶のオン・オフ駆動の条件を満たすよう
に、選択期間における走査電位Vwの変調状態を表3お
よび図29に示すようにすると、上記常温域において安
定した駆動が可能となる。
【0081】
【表3】
【0082】ここで走査電位Vwの変調は、温度補償回
路22の出力信号により電位設定回路17の設定電位、
すなわち駆動電圧を変調した。表3及び図29から明ら
かなように、液晶の閾値が高い場合には、選択電圧の絶
対値を大きく設定し、液晶の閾値が低い場合には、選択
電圧の絶対値を小さく設定すれば良い。
【0083】(第14実施例)第14実施例では、温度
補償回路22の出力信号により線順次走査回路18の制
御周波数、即ち液晶表示体の駆動周波数を段階的に変調
させて温度補償を行った。ここで、1フレーム期間Tに
対する選択期間T3のデューティー比は1/240、信
号電位Vd=±1.2v、選択期間における走査信号の
電位Vw=±4.2vに設定している。変調方法は、図
30に示すパルス幅Pwと閾値Vth,Vsatとの負の相
関を考慮し、温度領域15〜35℃におけるパルス幅を
Pw=40μs、遅延時間をτ=200μsとした。こ
れに対して低温域0〜15℃では周波数を1/2として
パルス幅Pw=80μs、高温域35〜50℃では周波
数を2倍にしてパルス幅Pw=20μsとした。このと
き、閾値Vth,Vsatの温度に対する変化は表4のよう
になり、全温度領域において駆動条件を充足した。この
場合、周波数の変調により遅延時間も50〜400μs
の範囲で変化するが、パルス幅のみの変調によっても駆
動条件を充足させることは可能である。
【0084】
【表4】
【0085】この表4及び図30から明らかなように、
液晶の閾値が高い場合には、駆動周波数を低くして選択
期間T3を長くし、液晶の閾値が低い場合には、駆動周
波数を低くして選択期間T3を短く設定すれば良い。
【0086】(第15実施例)第15実施例では、温度
補償回路22の出力信号により線順次走査回路18の制
御パターンを段階的に変更し、遅延期間T2の長さを変
調させて温度補償を行った。ここで、1フレーム期間T
に対する選択期間T3のデューティー比は1/240、
信号電位Vd=±1.2v、選択期間T3における走査
信号の電位Vw=±4.2v、選択パルスのパルス幅P
w=40μsに設定している。変調方法は、図31に示
す遅延時間τと閾値Vth,Vsatとの相関において、遅
延時間τの短い負の相関部分を使用することとし、温度
領域15〜35℃における遅延時間をτ=40μs×5
=200μsとした。これに対して低温域0〜15℃で
は遅延周期を2倍にして遅延時間τ=40μs×10=
400μs、高温域35〜50℃では遅延周期を2/5
にして遅延時間τ=40μs×2=80μsとした。こ
のとき、閾値Vth,Vsatの温度に対する変化は表5の
ようになり、全温度領域において駆動条件を充足した。
【0087】
【表5】
【0088】表5及び図31から明らかなように、液晶
の閾値が高い場合には、遅延期間T2を長く設定し、液
晶の閾値が低い場合には、遅延期間T2を短く設定すれ
ば良い。
【0089】なお、上記実施例と同様の液晶表示体を用
いて、デューティー比、パルス幅及び遅延時間を変更し
て駆動した場合のオン・オフ駆動の可否について実験を
行った。その結果を以下の表6に示す。書き込み時間を
短縮するためにパルス幅を短くすると閾値が上昇してオ
ンオフ駆動が不可能になるが、遅延時間を導入すること
により短いパルス幅でもオンオフ駆動が可能になること
がわかる。
【0090】
【表6】
【0091】上記表6において、TPは駆動波形のタイプ
を示し、タイプ1は図3に示す駆動波形、タイプ2とタ
イプ4は図2(A)に示す駆動波形、タイプ3とタイプ
5は図2(B)に示す駆動波形によりそれぞれ駆動し
た。
【0092】遅延期間T2に対応する遅延時間τの変調
は、オン電圧の上昇を抑制しながらパルス幅Pwを短く
することを可能とし、書き込み時間を短縮できるので、
走査ラインの数を多くすることができる。このことは、
準安定状態のメモリ性(1秒前後)、高コントラスト比
(100以上)、広視野角(60〜80度)、高速応答
(8ms以下)という、STN液晶を上回る特性をもつ
カイラルネマティック液晶を、ニーズの高い画素数64
0×400、640×480等のマトリクス表示体にも
能動素子の助けを借りずに対応させることができるとい
う点で、きわめて有効である。
【0093】上記表6のデータは、オン・オフの2状態
の臨界値に関して、選択パルスのパルス幅と遅延時間と
が強い相関を有していることを直接示している。また、
選択パルスのパルス幅のみを変化させてもオン・オフの
閾値が変動することが理解される。
【0094】第13〜15実施例では、2つの準安定状
態の選択に際して基準となる臨界値を、選択パルスの付
与状態を示す電圧値、パルス幅及び遅延時間の3つのパ
ラメータにより把握し、これらを温度変化に伴う臨界値
の変動を補償するように変調させることにより安定した
液晶の表示を実現することができた。特に、上記3つの
パラメータのうち、任意の一つのみの制御により常用温
度域における温度補償ができることが明らかになったた
め、駆動条件の大幅な自由度が確保された点においての
意義は大きい。
【0095】実際の温度補償においては、駆動電圧又は
駆動周波数を変調することにより簡易な回路構成で安定
した表示体の駆動を行うことができる。特に、温度セン
サーを回路内に設けて自動的に温度補償する場合、温度
センサの検出信号に応じてアナログ的に電圧や周波数を
変調することも可能であるが、回路構成が複雑になる場
合がある。このため、選択回路により駆動電圧をディジ
タル的に選択して切り換え、又はスイッチング回路で駆
動クロックをディジタル的に切り換えるようにすること
により容易に温度補償を行うことができる。
【0096】なお、この種の温度補償は必ずしも温度セ
ンサの出力に基づき自動的に行うものに限らず、マニュ
アルスイッチによって手動で行ってもよい。また、上記
パラメータの変化により温度補償を行うものに限らず、
図49に示すような液晶パネル内の液晶の閾値のばらつ
きを補償してもよい。
【0097】〔走査信号およびデータ信号の電圧レベル
に関して〕図8には、走査信号およびデータ信号の電圧
レベルとして7レベルを用いる駆動波形を示した。すな
わち、データ信号Xmとしては、±Vbの2種の電圧レ
ベルであり、走査信号Ynとしては±Vr、±2Vbお
よび0レベルの計5レベルである。ここで、走査信号Y
nにおけるリセット期間T1の電圧レベルVrは20V
を超える電圧レベルが必要となる。一方、データ信号Y
nの電圧レベルVbとしては1V近辺で充分である。し
たがって、図8に示す駆動波形の場合には、走査信号Y
nとデータ信号Xmとの間に大きな電位差が生じてい
る。さらに、走査信号Ynの同一波形中でも、電圧Vr
と電圧2Vbとの間には20V近い電圧差が生じてい
る。
【0098】このように、2つの準安定状態をもつ液晶
を用いた表示駆動法ではマトリクス駆動時の走査信号の
電圧とデータ信号の電圧との比が大きくアンバランスと
なるため、具体的な駆動回路を構成する上で大きな障害
となる。特に、この駆動回路をIC化する上で、上記の
アンバランスが大きな問題となっている。
【0099】ところで、従来のマトリスク型液晶表示装
置の電圧平均化駆動法において、6レベル駆動法が提案
されている(液晶デバイスハンドブック/日刊工業社発
行・p401参照)。この6レベル駆動法は、走査信号
の波形とデータ信号の波形の駆動電圧をバンランスさ
せ、かつ、on電圧とバイアス電圧の比を大きくとるう
えでは有効である。しかしながら、本発明が対象とする
液晶を駆動するためには比較的大電圧であるリセット電
圧を必要とするため、この6レベル駆動法では上述の問
題を解決できなかった。ここで、以下の各種実施例にお
いては、少なくとも8レベル以上の駆動レベルにより液
晶を駆動する方法について説明する。なお、下記の実施
例では、いずれも走査信号のリセット期間T1と選択期
間T3との間に遅延期間T2を設けた例について説明し
ているが、この遅延期間T2を設けない駆動方法、すな
わち図3または図13に示す駆動方法にも8レベル駆動
法を適用できる。
【0100】(第16実施例)図32は、第16実施例
による駆動波形を示している。走査信号Yn、Yn+1
は、それぞれn行目、n+1行目の行電極に供給される
走査信号を示している。この走査信号およびデータ信号
に設定される8レベルの電位として低電圧側の第1群の
4レベル(V1,V2,V3,V4、ただしV1<V2
<V3<V4)と、高電圧側の第2群の4レベル(V
5,V6,V7,V8、ただしV4<V5<V6<V7
<V8)とが設けられる。図32においては、第kフレ
ーム(kは整数)のデータ信号Ynは、リセット期間T
1では電圧V1であり、遅延期間T2では電圧V6であ
り、選択期間T3では電圧V8であり、非選択期間T4
では電圧V6にそれぞれ設定されている。これに続く第
(k+1)フレームでは、V4,V5の中間電圧を境と
して第kフレームと対称となっている。すなわち、第
(k+1)フレームの走査信号Ynは、リセット期間T
1では電圧V8であり、遅延期間T2では電圧V3であ
り、選択期間T3では電圧V1であり、非選択期間T4
ではV3にそれぞれ設定されている。さらに、図示して
はいないが、これに続く第(k+2)フレームは第kフ
レームと同じ波形であり、以下この関係で波形が繰り返
される。
【0101】走査信号Yn+1は次の行の走査信号の波
形であり、走査信号Ynとの違いは、リセット期間T
1、遅延期間T2および選択期間T3のそれぞれが1ラ
イン分の時間(1H)だけずれている点である。また、
第1フレームの始まりと終わりは走査信号Ynと同じで
あり、以下、これと同様にして前後に対する走査信号の
波形は1Hずつずれている。
【0102】データ信号Xmにおいては、表示上のon
電圧はV4、またはV5に設定され、表示上のoff電
圧はV2、またはV7に設定される。第kフレームで
は、高電位側のV5でonとし、V7でoffとし、リ
セット電圧V1と最も電位差がつくようになっている。
すなわち、走査信号とデータ信号の波形は位相で180
°ずれた関係にある。第(k+1)フレームでは、液晶
に印加される電圧の極性を反転させるために、低電位側
のV4でonとし、V2でoffとし、このときのリセ
ット電圧V8と最大電位差が生ずるようにしている。
【0103】この走査信号YnとデータXmとの差信号
Yn−Xmにより駆動される画素PXL(m.n)に
は、大きなリセット電圧(V1−V7)あるいは(V8
−V2)が印加されるとともに、図8に示す電圧平均化
法と同じon電圧、off電圧、バイアス電圧が得られ
ている。すなわち、V4−V3=V3−V2=V7−V
6=V6−V5とすれば、非選択期間T4のバイアス電
圧が等しくかかるように設定できる。ここで、on電圧
を大きくしたいときには、V1,V2間とV7,V8間
の電圧差を大きくすればよい。
【0104】また、リセット電圧を大きくしたい時には
V4、V5間の電位差をさらに広げれば良い。さらに
は、これにリセット電圧印加後の遅延時間の長短をつけ
るには、選択期間のタイミングを1H単位でシフトさせ
ればよい。
【0105】ちなみに、第1例として、V1=0V、V
2=1V、V3=2V、V4=3Vの第1群と、V5=
23V、V6=24V、V7=25V、V8=26Vの
第2群に各々の電圧を設定した。第2例として、V1=
−13V、V2=−12V、V3=−11V、V4=−
10Vのマイナス電圧の第1群と、V5=10V、V6
=11V、V7=12V、V8=13Vのプラス電圧の
第2群に各々の電圧を設定した。第1,第2例共に、リ
セット電圧=±25V、on電圧=±3V、off電圧
=±1V、バイアス電圧=±1Vが得られる。特に、第
2例の電圧設定は、0電位を対称軸にして電圧値が接近
していながら、20Vを越える大電圧と1V近辺の小さ
なバイアス電圧を同時に実現できるので、駆動回路をI
C化する上で好適となる。即ち、電源を考える上では±
10、±11、±12、±13Vの対称性を考慮した回
路設計ができる。さらには、本実施例のリセット電圧を
さらに大きく取りたい場合には、第1群の電圧V4と第
2群の電圧V5間の電位差をさらに広げるように、プラ
ス・マイナス方向にそれぞれ大きく設定すれば、30
V、40Vのリセット電圧と1Vのバイアス電圧という
ことも実現できる。
【0106】(第17実施例)図33は、第16実施例
と同様に、画素に印加される電圧の極性をフレームごと
に反転する駆動波形を示している。図33に示す電圧V
1〜V8の関係は第16実施例と同一の関係となってい
る。図33において、走査信号Ynは、リセット期間T
1では電圧V1(フレームk)、または電圧V8(フレ
ームk+1)であり、遅延期間T2では電圧V7(フレ
ームk)、または電圧V2(フレームk+1)であり、
選択期間T3では電圧V5(フレームk)、または電圧
V4(フレームk+1)であり、非選択期間T4ではV
7(フレームk)、または電圧V2(フレームk+1)
となっている。この走査信号Ynは、電圧V4および電
圧V5の中間点を対称軸に、フレームごとに反転を繰り
返す。データ信号Xmは、フレームkではon電圧がV
8、off電圧がV6であり、フレームk+1ではon
電圧がV1であり、off電圧V3である。この各電圧
V1〜V8を、第16実施例の前述した第1例または第
2例と同じに設定した場合、リセット電圧が±26Vと
なり、第16実施例よりも電圧振幅を±1Vだけ広くで
きるという効果がある。なお、on電圧、off電圧お
よびバイアス電圧については第16実施例と同一であり
変動はない。また、図8に示す電圧平均化法と両立させ
るためには、V2−V1=V3−V2=V7−V6=V
8−V7に設定すればよい。
【0107】(第18実施例)図34は、液晶に印加さ
れる電圧の極性を1パルスごとに反転する駆動波形を示
している。図34において、走査信号Ynは、リセット
期間T1にて、電圧V1,V8の2種の電位を、1H/
2(1Hは選択期間T3の長さ)ごとに交互に繰り返し
設定される。また、この走査信号Ynは、遅延期間T2
においては、電圧V3,V6の2種の電位を、1H/2
ごとに交互に繰り返し設定される。ただし、遅延期間T
2以降は、パルスの位相をリセットパルスと比較して1
80°変化させている。走査信号Ynは、選択期間T3
では、V1,V8の2種の電位を、1H/2ごとに交互
に繰り返し設定される。また、非選択期間T4では、電
圧V3,V6の2種の電位を、1H/2ごとに交互に繰
り返し設定される。一方、データ信号Xmは、on電圧
としてV4,V5の2種の電位を1H/2ごとに交互に
繰り返し設定され、off電圧としてV2,V7の2種
の電位の1H/2ごとに交互に繰り返し設定される。
【0108】走査信号Ynとデータ信号Xmの差信号で
あるYn−Xmは、図34に示すように、そのリセット
電圧、選択電圧および非選択電圧の極性が、1H/2ご
とに反転していることになる。この結果、液晶に印加さ
れる電圧の極性を1ラインごとに反転させることができ
る。この第18実施例においても、図8に示す電圧平均
化法と同じon電圧、off電圧、バイアス電圧が得ら
れている。すなわち、V4−V3=V3−V2=V7−
V6=V6−V5とすれば、非選択期間T4のバイアス
電圧が等しくかかるように設定できる。
【0109】(第19実施例)図35に示す第19実施
例の駆動波形は第18実施例と同様に、液晶に印加され
る電圧の極性を1パルスごとに反転させるものである。
図35に示す走査信号Ynが、図34に示す走査信号Y
nと相違する点は、遅延期間T2、選択期間T3および
非選択期間T4の設定電位である。図35に示す走査信
号Ynでは、遅延期間T2および非選択期間T4におい
て、電圧V2,V7の2種の電位を、1H/2ごとに交
互に繰り返し設定されている。また、この走査信号Yn
は、選択期間T3において、電圧V4,V5の2種の電
位を1H/2ごとに交互に繰り返し設定している。
【0110】一方、データ信号Xmは第18実施例とは
全く異なり、そのon電圧としてV1,V8の2種の電
位をもち、off電圧としてV3,V6の2種の電位を
もっている。この走査信号Ynとデータ信号Xmとの差
信号Yn−Xmは、遅延期間T2、選択期間T3および
非選択期間T4では、第18実施例に示す差信号と同じ
絶対値の電圧が液晶に印加されることになる。一方、本
第19実施例の差信号Yn−Xmのリセット期間T1で
は、その最大振幅がV1−V8またはV8−V1とな
り、第17実施例と同様に、リセット電圧の振幅を第1
8実施例よりも大きくとることができ、この点で第18
実施例の駆動法よりも優れている。なお、図8に示す電
圧平均化法と両立させるためには、V2−V1=V3−
V2=V7−V6=V8−V7に設定すればよい。
【0111】(第20実施例)この第20実施例は、第
18実施例と比較して、1フレーム内の反転回数を約半
分に減らし、パルスの駆動周波数を抑える方法である。
図36に示すように、走査信号およびデータ信号のパル
ス反転のタイミングを決定する信号FRは、1Hごとに
on,offを繰り返す信号であり、このFR信号は、
選択期間T3の立ち上がりから1H/2だけ位相がずら
してある。このようにすると、走査信号Ynおよびデー
タ信号Xmの各波形は信号FRと同期してパルス反転が
繰り返されるため、1フレーム内のパルスの反転回数
が、図34の波形と比較して半減している。しかしなが
ら、これらの差信号Yn−Xmの波形は、1H/2ごと
にパルスが反転しており、第18実施例と同様に液晶の
寿命を長く確保することができる。この第20実施例に
よれば、走査信号およびデータ信号のための各ドライバ
の駆動周波数が半減するので、波形の成形が容易とな
り、消費電力が低減される。さらには、交流化のために
電源電圧そのものをプラス側、マイナス側にスイングさ
せる回路の場合に特に有利となる。なお、この第20実
施例においては、走査信号およびデータ信号の各期間T
1〜T4における電圧設定を第18実施例と同様にした
が、第19実施例と同様にしてもよい。
【0112】(第21実施例)図37は、1Hごとにパ
ルス反転を行う駆動方法を示している。同図に示すよう
に、信号FRは1Hごとにon,offを繰り返す点で
図36に示す第20実施例と同様であるが、この信号F
Rは選択期間T2と同期している点で第20実施例と異
なっている。図37に示す走査信号Ynは、選択期間T
3においては、フレームkでは電圧V1に設定され、フ
レーム(k+1)では電圧V8に設定され、フレームご
とにV1,V8と変化する。また、データ信号Xmの波
形は、走査信号Ynの選択期間T3の電圧がV1のとき
は、電圧V4がon電圧とされ、V2がoff電圧とさ
れる。また、データ信号Xmは、走査信号Ynの選択期
間T3の電圧がV8のときは、電圧V5がon電圧とさ
れ、電圧V7がoff電圧とされる。この走査信号およ
びデータ信号の差信号Yn−Xmは、フレームk内につ
いて着目すると、液晶に負極性の電圧が印加される回数
が多く、この1フレーム内では画素に印加される電圧の
極性のバランスがとれない。しかしながら、次の(k+
1)フレームでは、逆に液晶に正極性の電圧が印加され
る回数が増え、この連続する2フレームにて、液晶に印
加される電圧の極性のバランスをとることができる。こ
の意味で、この第21実施例は、第16,17実施例に
示すフレーム反転と、第18,19実施例に示すパルス
反転とを組み合わせたものといえる。
【0113】この第21実施例の利点としては、ハイデ
ューティー化の場合にも選択期間T3(1H)の期間を
長くとれることと、フレーム反転のみの場合と比較し
て、液晶への直流分の電圧の印加時間を短く設定できる
ことになる。なお、この第21実施例の走査信号および
データ信号の各期間T1〜T4の電圧を、第17実施例
の場合と同一に設定したが、これに代えて第18実施例
の場合と同一に設定することもできる。
【0114】(第22実施例)図38は、第16〜21
実施例の駆動方法を実施するための差信号電極(行電
極)の駆動回路を示すブロック図である。なお、以下の
説明では、第21実施例の駆動波形を生成する回路とし
て説明する。図38において、ロジック回路110は、
遅延期間T2の情報に基づき、リセット期間T1を指定
したリセット信号REと、このリセット期間T1よりも
遅延期間T2を経過した後の選択期間T3を指定する選
択信号Sとを生成する。信号REおよび信号Sは、それ
ぞれシフトレジスタ111,112に入力される。各レ
ジスタ111,112は、信号RE,Sをシフトクロッ
クSCKに従って送り、このときのレジスタ内の状態が
160チャンネル同時にパラレルアウトされる。2to
4デコーダ113は、信号RE,Sのレジスタ出力状態
によって、3つの状態(RE,S)=(1,0)または
(0,1)または(0,0)を区別し、レベルシフタ1
14を介してYドライバ115に出力する。Yドライバ
115には、電源回路116および位相反転回路117
から、3つの電圧が入力されている。なお、電源回路1
16の電源電圧自体は交流化信号FRによって、それぞ
れ±Va,±Vbにスイングされている。ここで、R
E,Sが(1,0)のときは電圧±Va、(0,1)の
ときは位相反転回路117を経由した±Vaの反転電
圧、,(0,0)のときは±Vbを選択するようになっ
ている。例えば、Va=V8,−Va=V1,Vb=V
6,−Vb=V3に設定しておけば、第21実施例の駆
動波形である図37の走査信号Ynの波形を得ることが
できる。
【0115】図39は、データ信号電極(列電極)の駆
動回路のブロック図である。図39において、8ビット
の画像データD0〜D7は、マルチプレクサ120を介
してデータラッチ回路121に入力され、このデータラ
ッチ回路121にて、160チャンネルのパラレルデー
タに変換される。データラッチ回路121のラッチタイ
ミングは、クロックSCKを入力するコントロール回路
122より出力されるラッチパルスによって決定され
る。160チャンネルの画像データは、データラッチ回
路121よりレベルシフタ123に送られ、このとき同
時に交流化信号FRに基づく論理回路125からの信号
により反転操作が加えられる。したがって、データ信号
はonまたはoffの2通りの状態に、交流化のための
プラスまたはマイナスの2通りの状態が重ねられるの
で、計4通りの状態として発生する。各チャンネルごと
にこの4通りの状態を入力するXドライバ124は、各
チャンネルの状態に従って電源電圧VL1〜VL4の中
の1つのレベルを、各チャンネルごとに選択して出力す
ることになる。ここで、VL1=V7,VL2=V2,
VL3=V5,LV4=V4に設定すれば、第21実施
例の駆動波形を示す図37のデータ信号Xmと同一の波
形を生成することが可能となる。
【0116】なお、図38および図39に示す各駆動回
路で生成される走査信号波形およびデータ信号波形とし
て、上記説明では第21実施例中に示す走査信号Yn、
データ信号Xmを生成することについて説明したが、F
R信号の周期および±Va,±Vb,VL1〜VL4に
対応する設定電圧を変更することで、第16〜20実施
例のいずれの駆動波形をも生成することが可能である。
【0117】(第23実施例)次に、図40〜図45を
参照して、走査信号の各期間T1〜T4内の電圧の切り
換えおよびデータ信号の選択期間ごとの電圧の切り換え
を、ロジック的に行う駆動回路について説明する。
【0118】図40は、液晶パネルおよびその駆動回路
を含む全体構成を示すブロック図である。液晶パネル1
30は、320×320画素を有し、この液晶パネル1
30を駆動するために、第1,第2のYドライバ回路1
31A,131Bおよび第1,第2のXドライバ132
A,132Bが設けられている。第1,第2のYドライ
バ回路131A,131Bはそれぞれ同一構成を有し、
その詳細が図41に示されている。また、Xドライバ回
路132A,132Bも同一構成を有し、その詳細が図
42に示されている。
【0119】まず、Yドライバ回路131Aについて、
図41を参照して説明する。このYドライバ回路131
Aは、セレクト用シフトレジスタ140Aおよびリセッ
ト用シフトレジスタ140Bからなるシフトレジスタ1
40を有する。セレクト用シフトレジスタ140Aは、
各レジスタSR1〜SR160を有し、リセット用シフ
トレジスタ140Bは、各レジスタRR1〜RR160
を有する。セレクト用シフトレジスタ140Aには、選
択期間T3を指定した選択信号Sが入力され、シフトク
ロックYSCLにより次段のレジスタに逐次シフトされ
る。なお、レジスタSR160の内容はセレクトアウト
端子を介し出力され、第2のYドライバ回路131Bと
のカスケード接続を可能としている。リセット用シフト
レジスタ140Bには、リセット期間T1を指定したリ
セット信号REが入力され、シフトクロックYSCLに
より次段のシフトレジスタに逐次シフトされる。なお、
レジスタRR160の内容はリセットアウト端子を介し
て出力され、第2のYドライバ回路131Bとのカスケ
ード接続を可能としている。
【0120】各シフトレジスタ140A,140Bの各
レジスト内の内容が160チャンネル全て出力コントロ
ール回路141に入力される。この出力コントロール回
路141は、リセット信号RE、セレクト信号Sおよび
交流化信号FRの入力状態によって6つの状態、すなわ
ちRE,S,FR=(0,0,0)または(0,0,
1)または(0,1,0)または(0,1,1)または
(1,0,0)または(1,0,1)を区別した信号を
出力し、この信号がレベルシフタ142を介してYドラ
イバ143に入力される。このYドライバ143には4
種類の駆動電圧V1Y,V2Y,V3Y,V4Yが入力
されており、出力コントロール回路141から区別して
出力された6つの状態に基づき、表7に示す真理値表に
従っていずれか1の駆動電圧を各チャンネルごとに出力
する。
【0121】
【表7】
【0122】上記の構成を有する第1,第2のYドライ
バ回路131A,131Bの各構成部への入力信号およ
び出力信号の状態が、図43のタイミングチャートに示
されている。図43に示すタイミングチャートの場合、
選択期間T3の長さを1Hとしたとき、信号YFRは1
Hごとにon/offを繰り返す信号となっており、液
晶に印加される電圧の極性反転を1Hごとに行ってい
る。また、1行に320画素を有するためデューティは
1/320であり、リセット期間T1を5Hとし、遅延
期間T2を2Hと設定している。この駆動回路の動作に
従って出力されるn行目の走査信号Ynの信号波形が、
図45に示されている。
【0123】次に、第1のXドライバ回路132Aの詳
細について、図42を参照して説明する。この第1のX
ドライバ回路132Aは、160個のレジスタを有する
シフトレジスタ150を有し、入力信号EIをシフトク
ロックXSCLに従って次段のレジスタに逐次シフトし
ていくものである。160番目のレジスタの内容は、E
O端子を介して外部に出力され,第2のXドライバ回路
132Bとのカスケード接続を可能としている。
【0124】シフトレジスタ150に入力される信号E
Iは、図44に示すように一水平走査期間(1H)に1
回論理の1となる信号である。したがって、シフトレジ
スタ150の各レジスタより論理の1が逐次出力される
ことで、第1のラッチ回路151は、その各レジスタと
対応するアドレスに画像データをラッチすることにな
る。この第1のラッチ回路151の160チャンネルの
データは、ラッチパルスLPが入力するタイミングにて
第2のラッチ回路152にラッチされる。交流化信号Y
FRおよび第2のラッチ回路152からのデータを入力
する出力コントロール回路153は、データDと交流化
信号YFRの入力状態によって4つの状態(D,YF
R)=(0,0)または(0,1)または(1,0)ま
たは(1,1)を区別した信号を、レベルシフタ154
を介して各チャンネルごとにXドライバ155に入力さ
せる。Xドライバ155は、4種類の駆動電圧V1X,
V2X,V3XおよびV4Xを入力し、出力コントロー
ル回路153からの情報に基づき、表8に示す真理値表
に従って、4種の駆動電圧のいずれか1を各チャンネル
ごとに出力する。
【0125】
【表8】
【0126】このXドライバ155より出力される各チ
ャンネルごとのデータ信号の内、m列目のデータ信号X
mを図45に示した。さらに、図45には、走査信号Y
nとデータ信号Xmとの差信号Yn−Xmが示されてい
る。この差信号は、第21実施例の駆動波形である図3
7の差信号と同様に、液晶に印加される電圧が1Hごと
に反転している。また、液晶にかかる電圧は1フレーム
内ではプラス、マイナスのバランスがとれていないの
で、連続する第kフレーム、第k+1フレームによっ
て、液晶にかかる電圧のプラス、マイナスのバランスを
とるようにしている。この意味で、図45に示す差信号
は、第21実施例と同様に1Hごとの極性反転と1フレ
ームごとの極性反転とを組み合わせたものといえる。
【0127】このように第23実施例によれば、走査信
号およびデータ信号の各電圧の切り換えをロジック的に
行うことが、回路を構成する上で第22実施例のものと
比較して有利となる。
【0128】(第24実施例)次に、第23実施例に示
す駆動回路を用いて、信号中の遅延期間T2を変更でき
る駆動方法について、図46および図47を参照して説
明する。この遅延期間T2を変更する手法として、1フ
レームT内の選択期間T3の指定位置は変更せず、遅延
期間T2を変更するとともに、この遅延期間T2の前の
リセット期間T1をも変更する必要がある。そこで、図
46に示すように、リセット期間T1が5H,遅延期間
T2が2Hとした場合、選択期間T3の前に、リセット
期間T1+遅延期間T2=7H分のパルス幅を有するリ
セット+遅延信号を生成するようにしている。Yドライ
バ回路131A,131Bのリセット用シフトレジスタ
140Bに入力されるリセット信号は、このリセット+
遅延信号と遅延期間T2を指定した遅延信号との排他的
論理和で生成することができる。
【0129】ここで、液晶パネルを構成する各画素の液
晶の閾値のばらつき、あるいは環境温度に起因した液晶
の閾値の変動を補償するために遅延期間T2を変更する
必要が生じた場合には、下記の手法により遅延期間T2
およびその前のリセット期間T1の指定の変更を行う。
すなわち、図46に示す遅延期間T2の長さである2H
を図47に示すように3Hに変更したい場合には、遅延
期間T2の変更と同時に、リセット+遅延信号のパルス
幅を、5H+3H=8Hに変更すればよい。変更された
遅延信号と、リセット+遅延信号の排他的論理和をとる
ことで、図46の場合と同じ5Hのリセット期間T1を
有するリセット信号を生成することができる。また、遅
延期間T2を3Hに、リセット期間T1を7Hにそれぞ
れ変更したい場合には、図48に示すように、リセット
+遅延信号を、7H+3H=10Hのパルス幅を有する
信号に変更すればよい。
【0130】
【発明の効果】本発明方法によれば、メモリ性を有する
カイラルネマチック液晶を駆動するに際して、リセット
期間と選択期間との間に遅延期間を設けることで、選択
期間、すなわち書き込み時間を短縮することができ、し
かも表示のフリッカを防止して実用性の高い液晶駆動を
行うことができる。
【0131】また、本発明方法によれば1ラインあたり
の書き込み時間を短縮することができるので、大画面の
液晶パネルに対応できるハイデューティーの液晶駆動を
行うことができる。
【0132】さらに加えて、本発明方法によれば、選択
パルスの付与状態に関するパラメータを変更すること
で、製造などに起因した液晶パネル内の液晶の閾値のば
らつき、あるいは温度に起因した駆動電圧の変動を補償
することができる。
【0133】さらに加えて、本発明方法によれば、フレ
デリクス転移を生じさせる比較的絶対値の大きいリセッ
ト電位を液晶に印加しながらも、7レベルあるいは8レ
ベル駆動法を採用することで、走査信号,データ信号間
の電圧のアンバランスを低減し、駆動回路の構成を容易
化して、IC化にも対応できる液晶駆動方法を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の実施例における液
晶セルの構造を示す概略断面図である。
【図2】(A)、(B)は、それぞれ本発明の実験に用
いた第1実施例の駆動波形図である。
【図3】遅延期間を有しない駆動波形図である。
【図4】本発明で用いる双安定液晶の液晶分子の挙動を
説明する説明図である。
【図5】液晶の駆動回路の全体構成を示す概略ブロック
図である。
【図6】本発明を適用した第2実施例に係るマトリクス
駆動波形図である。
【図7】図6に示すマトリクス駆動波形のパルス電圧特
性図である。
【図8】(A)〜(D)は、それぞれ本発明の第2実施
例に用いた駆動波形を示し、行、列電極信号及びその差
信号を示すマトリクス駆動波形図である。
【図9】(A),(B)は、それぞれ本発明の第3実施
例に用いた駆動波形図である。
【図10】(A)〜(E)は、それぞれリセットパルス
off後の実効値が同一となる駆動波形図である。。
【図11】(A)〜(E)は、それぞれ本発明を適用し
た第4実施例に係るマトリクス駆動波形図である。
【図12】図11の駆動波形を用いた場合の行電極の走
査順序を示す説明図である。
【図13】図3の駆動波形に第4実施例を適用した場合
のマトリクス駆動波形図である。
【図14】(A),(B)は、それぞれ本発明の第5実
施例に用いた駆動波形図である。
【図15】図14(A)または図14(B)の波形を液
晶に印加した場合の駆動電圧特性図である。
【図16】(A)〜(E)は、それぞれ本発明を適用し
た第6実施例に係るマトリクス駆動波形図である。
【図17】(A)〜(E)は、それぞれ本発明を適用し
た第7実施例に係るマトリクス駆動波形図である。
【図18】図17の駆動波形を用いた場合の駆動電圧の
温度変化特性図である。
【図19】(A)〜(E)は、それぞれ本発明を適用し
た第8実施例に係るマトリクス駆動波形図である。
【図20】選択期間に対する選択パルス幅のデューティ
を変更できる本発明の第9実施例に係る駆動回路のブロ
ック図である。
【図21】図20に示すモノステーブル回路の詳細図で
ある。
【図22】図20の駆動回路のタイミングチャートであ
る。
【図23】選択期間に対する選択パルス幅のデューティ
をディジタル的に変更する本発明の第10実施例に係る
駆動回路のブロック図である。
【図24】図23に示す駆動回路のタイミングチャート
である。
【図25】選択期間に対するデータ電位期間のデューテ
ィを変更する本発明の第11実施例に係る駆動回路のブ
ロック図である。
【図26】図25に示す駆動回路のタイミングチャート
である。
【図27】駆動電圧の温度補償を自動または手動にて行
う本発明の第12実施例に係るマトリクス駆動回路のブ
ロック図である。
【図28】2つの準安定状態をもつ液晶において、選択
パルスの電圧値に関する閾値を示す特性図である。
【図29】本発明の第13実施例の駆動原理を示し、選
択パルスの電圧値に関する閾値の温度変化との相関を示
す特性図ある。
【図30】本発明の第14実施例の駆動原理を示し、選
択パルスの電圧値に関する閾値と選択パルスのパルス幅
との相関を示す特性図である。
【図31】本発明の第15実施例の駆動原理を示し、選
択パルスの電圧値に関する閾値と選択パルスの遅延時間
との相関を示す特性図である。
【図32】(A)〜(D)は、本発明の第16実施例に
係る8レベル駆動法にしたがった駆動波形図である。
【図33】(A)〜(D)は、本発明の第17実施例に
係る8レベル駆動法にしたがった駆動波形図である。
【図34】(A)〜(D)は、本発明の第18実施例に
係る8レベル駆動法にしたがった駆動波形図である。
【図35】(A)〜(D)は、本発明の第19実施例に
係る8レベル駆動法にしたがった駆動波形図である。
【図36】(A)〜(D)は、本発明の第20実施例に
係る8レベル駆動法にしたがった駆動波形図である。
【図37】(A)〜(D)は、本発明の第21実施例に
係る8レベル駆動法にしたがった駆動波形図である。
【図38】第16〜21実施例に示す走査信号波形を生
成するための本発明の第22実施例に係るYドライバ回
路のブロック図である。
【図39】第16〜21実施例に示すデータ信号波形を
生成するための本発明の第22実施例に係るXドライバ
回路のブロック図である。
【図40】本発明の第23実施例に係るマトリクス液晶
駆動回路の全体構成を示すブロック図である。
【図41】図40に示すYドライバ回路のブロック図で
ある。
【図42】図40に示すXドライバ回路のブロック図で
ある。
【図43】図41に示すYドライバ回路各部の動作を説
明するためのタイミングチャートである。
【図44】図42に示すXドライバ回路でのデータラッ
チ動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図45】図40に示す駆動回路にて生ずる駆動波形図
である。
【図46】本発明の第24実施例を示し、遅延期間の長
さを変更するための各信号波形を示す波形図である。
【図47】図46の遅延期間を2Hから3Hに変更する
場合の各信号波形を示す波形図である。
【図48】図46の遅延期間を2Hから3Hに変更し、
かつ、リセット期間を5Hから7Hに変更する場合の各
信号波形を示す波形図である。
【図49】液晶パネル内の液晶の閾値分布図である。
【符号の説明】
T1 リセット期間 T2 遅延期間 T3 選択期間(第1の選択期間) T4 非選択期間 T5 インターバル期間 T6 第2の選択期間 1 液晶分子 2 ポリイミド配向膜 5 ガラス基板 7 偏光板 11 液晶セル 12 バックライト 13 走査駆動回路 14 信号駆動回路 15 走査制御回路 16 信号制御回路 17 電位設定回路 18 線順次走査回路 21 温度センサ 22 温度補償回路 30 リセット電圧(リセットパルス) 31 遅延電圧 32 選択電圧(選択パルス) 33 非選択電圧 40 モノステーブル回路 43 可変抵抗器 70〜74 アナログスイッチ 80 ディップスイッチ 81A,81B カウンタ 82A,82B マグニチュード・コンパレータ 90 データ信号駆動回路 94〜96 アナログスイッチ 100 メモリ 101 ディスプレイコントローラ 102,103 ドライバー 104 温度センサ 106 マニュアルスイッチ 108 液晶表示パネル 110 ロジック回路 111,112,140,150 シフトレジスタ 114,123,142,154 レベルシフタ 115 Yドライバー 116 電源回路 117 位相反転回路 120 マルチプレクサ 121 データラッチ回路 122 コントロール回路 124 エックスドライバ 141 出力コントロール回路 143 Yドライバ 151,152 ラッチ回路 153 出力コントロール回路 155 Xドライバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−263898 (32)優先日 平成5年10月21日(1993.10.21) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−275736 (32)優先日 平成5年11月4日(1993.11.4) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 田中 孝昭 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 百瀬 健一 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−95(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/133 560 G09G 3/20 611 G09G 3/20 621 G09G 3/36

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板間に封入された液晶分子が初期状態
    にて所定のねじれ角を有する液晶であって、初期状態に
    フレデリクス転移を生じさせる電圧を印加した後の緩和
    状態として、初期状態とは異なる2つの準安定状態をも
    つ前記液晶を用いた液晶表示装置の駆動方法において、
    (a)リセット期間に、前記フレデリクス転移を生じさ
    せるための閾値以上のリセット電圧を前記液晶に印加
    し、(b)前記リセット期間に続く第1選択期間に選択
    電圧を印加し、(c)前記第1選択期間の後の非選択期
    間に非選択電圧を前記液晶に印加し、(d)前記第1選
    択期間と前記非選択期間との間に、前記液晶に前記非選
    択電圧を印加するインターバル期間と、前記選択電圧を
    前記液晶に印加する第2選択期間と、から成る一対の期
    間を1回または複数回繰り返し設ける、ことを特徴とす
    る液晶表示装置の駆動方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記液晶表示装置は、一方の前記基板に形成され、それ
    ぞれ行電極信号が供給される複数の行電極と、他方の前
    記基板に形成され、それぞれ列電極信号が供給される複
    数の列電極と、を有し、 前記行電極と前記列電極の交点を画素とし、この画素に
    対向する前記液晶に、前記行電極信号、列電極信号間の
    差信号の電圧を印加し、 前記差信号は、各行電極毎にずらして設定される前記第
    1,第2選択期間と、前記第1及び第2選択期間の間に
    設定される前記インターバル期間と、前記第2選択期間
    それに続く前記非選択期間と、前記第1選択期間の前に
    設定されるリセット期間と、を1フレーム期間内に含
    み、 前記行電極信号は、前記リセット期間ではリセット電位
    とされ、前記第1,第2選択期間では選択電位とされ、
    前記インターバル期間及び前記非選択期間では非選択電
    位とされ、 前記列電極信号は、同一の列電極上の同一画素に対応す
    る前記第1及び第2選択期間では、いずれもON選択電
    位となり、またはいずれもOFF選択電位となる前記デ
    ータ電位に設定される、ことを特徴とする液晶表示装置
    の駆動方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記基板間のほぼ中央の前記液晶分子が、前記リセット
    電圧の印加が終わった直後のホメオトロピックの配向状
    態から、バックフローを起こして一方の前記準安定状態
    に緩和しかけた後の、2つの前記準安定状態への遷移点
    となる近辺の時間に、前記第2選択期間が設定されるよ
    うに、前記インターバル期間の長さを設定したことを特
    徴とする液晶表示装置の駆動方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、 前記第1,第2選択期間に相当する単位時間をそれぞれ
    1Hとしたとき、前記インターバル期間を、(1H)×
    m(mは整数)に設定したことを特徴とする液晶表示装
    置の駆動方法。
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