JPH11182196A - 寒冷地用トンネル壁面構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 壁面の耐衝撃性、耐久性、耐汚染性および洗
浄回復性が高く、しかも、トンネル内への漏水および路
面凍結を防止することが出来る寒冷地用トンネル壁面構
造を提供する。 【解決手段】 トンネル内のコンクリート壁面（１）に
防水シート（２）を介して張設された発泡架橋ポリエチ
レンから成る断熱板（３）と、断熱板（３）との間に断
熱層（４）を形成して張設された内装化粧板（５）とを
備える。内装化粧板（５）は合成樹脂シートにアルミニ
ウム板が積層された複合板から成る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、寒冷地用トンネル
壁面構造に関し、詳しくは、壁面の耐衝撃性、耐久性、
耐汚染性および洗浄回復性が高く、しかも、トンネル内
への漏水および路面凍結を防止することが出来る寒冷地
用トンネル壁面構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、コンクリートの壁面が露出して
いるトンネルは、漏水などにより壁面が汚れ易く、ま
た、壁面の汚れによってトンネル内が暗くなる。そし
て、寒冷地などにおいては、トンネル内の漏水により路
面が凍結してスリップ事故を誘発する虞もある。この様
な事情から、近年、トンネル内のコンクリート壁面を内
装化粧板で覆う施工が行われている。この種の内装化粧
板としては、ケイ酸カルシウム板、タイル、ホーロー鋼
板、ステンレススチール等が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ケイ酸カル
シウム板は、一旦汚れると、洗浄しても奇麗に回復しな
いという問題がある。また、ケイ酸カルシウム板やタイ
ルは、石跳ね等によって割れ易く、ホーロー鋼板も同様
に表面が割れ易いという問題がある。そして、表面が割
れたホーロー鋼板やステンレススチールは、赤錆が発生
して美観を損うという問題がある。

【０００４】何れにしても、単に内装化粧板でコンクリ
ート壁面を覆っただけでは、トンネル内への漏水を確実
に防止することが出来ず、寒冷地などにおける路面凍結
の問題を解消することが出来ない。

【０００５】本発明は、前記の実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、壁面の耐衝撃性、耐久性、耐汚
染性および洗浄回復性が高く、しかも、トンネル内への
漏水および路面凍結を防止することが出来る寒冷地用ト
ンネル壁面構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る寒冷地用トンネル壁面構造は、トンネ
ル内のコンクリート壁面に防水シートを介して張設され
た発泡樹脂製断熱板と、当該断熱板との間に断熱層を形
成して張設された内装化粧板とを備え、前記内装化粧板
は、合成樹脂シートにアルミニウム板を積層した複合板
から成ることを特徴とする。

【０００７】本発明において、断熱板は、耐水性および
弾性に優れ、しかも、長期間に亘って物性の変化しない
特性を有する発泡架橋ポリエチレンとするのが好まし
い。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る寒冷地用トンネル壁面構造を説明する。図１はトンネ
ル壁面の上下方向中間部の構造を示す部分縦断面図、図
２はトンネル壁面の下部の構造を示す部分縦断面図、図
３はトンネル壁面の下部の構造を示す部分横断面図であ
る。

【０００９】本発明に係る寒冷地用トンネル壁面構造
は、図１〜図３に示す様に、トンネル内のコンクリート
壁面（１）に防水シート（２）を介して張設された発泡
樹脂製の断熱板（３）と、断熱板（３）との間に断熱層
（４）を形成して張設された内装化粧板（５）とを備え
ている。

【００１０】コンクリート壁面（１）には、防水シート
（２）及び断熱板（３）を貫通する複数のアンカーボル
ト（６）が植設されている。各アンカーボルト（６）
は、コンクリート壁面（１）の周方向および長手方向に
沿ってそれぞれ所定ピッチで配列されている。そして、
各アンカーボルト（６）に装着された押え板（７）がナ
ットにより断熱板（３）側へ押圧されることにより、断
熱板（３）がコンクリート壁面（１）に防水シート
（２）を介して張設されている。

【００１１】防水シート（２）としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビ
ニル等の熱可塑性樹脂から成る厚さ１ｍｍ前後のシート
が使用される。この防水シート（２）は、トンネルの長
手方向の縁部が相互にオーバラップする様に張設され
る。

【００１２】断熱板（３）としては、発泡ポリスチレ
ン、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプ
ロピレン等の発泡樹脂から成る断熱板が使用可能であ
る。このうち、発泡架橋ポリエチレンから成る断熱板
は、難燃性であって耐水性および弾性に優れ、しかも、
長期間に亘って物性の変化しない特性を有するので好ま
しい。この断熱板（３）の厚さは、例えば、２０ｍｍ程
度に設定される。また、断熱層（４）の厚さは、例え
ば、５０ｍｍ程度に設定される。

【００１３】内装化粧板（５）は、合成樹脂シートの両
面にアルミニウム板を積層した複合板から成り、厚さは
４〜６ｍｍ程度に設定されている。合成樹脂シートとし
ては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカ
ーボネート、ポリスチレン、ポリヒドロキシルエーテ
ル、酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。勿論、
熱硬化性樹脂であってもよい。一方、アルミニウム板
は、強度、重量および加工性を勘案し、その厚みを約
０．１〜１．０ｍｍ、通常は約０．３〜０．５ｍｍとさ
れる。

【００１４】アルミニウム板は、接着剤などを使用し、
合成樹脂シートに十分に密着させた状態で接合される。
接着剤としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルアク
リレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合
体、ポリオレフイン（ポリエチレン等）の不飽和カルボ
ン酸またはその無水物のグラフト変性物などが挙げられ
る。斯かるグラフト変性物における不飽和カルボン酸ま
たはその無水物のグラフト率は、通常１０−４〜−３重
量％とされ、また、当該グラフト変性物は、１〜３０重
量％の炭化水素系エラストマー、例えば、エチレン−プ
ロピレンゴム、ポリイソブチレン等を配合した接着材組
成物として使用することも出来る。上記の様な複合板と
しては、例えば、三菱化学社製の商品「アルポリック」
を挙げることが出来る。

【００１５】内装化粧板（５）の表面を構成するアルミ
ニウム板には、熱硬化型ポリエステル系塗料による塗装
が施されており、ブラシ洗浄によっても傷が付かない程
度の表面硬度を有している。そして、内装化粧板（５）
の表面は、１０００時間のサンシャインウェザーメータ
ー試験において異常のない耐候性、１００°Ｃの純水に
よる４時間連続試験において異常のない耐沸騰水性、２
０°Ｃの５％Ｈ２ＳＯ４による２４時間連続試験におい
て異常のない耐酸性、２０°Ｃの１％ＮａＯＨによる２
４時間連続試験において異常のない耐アルカリ性、２０
°Ｃの１０％洗剤による２４時間連続試験において異常
のない耐洗剤性を有している。

【００１６】斯かる内装化粧板（５）をコンクリート壁
面（１）に止着するため、前記アンカーボルト（６）の
先端部には、Ｌ字断面のブラケット（８）がその一辺を
ダブルナットに挟持されて装着されている。また、ブラ
ケット（８）の他辺には、トンネルの長手方向に沿って
延びるＬ字断面のアングル材（９）の一辺がボルト・ナ
ットを介して接合されている。そして、トンネルの下部
においては、図２に示す様に、Ｌ字断面の受け枠部材
（１０）がボルト・ナットによりアングル材（９）の一
辺に接合して固定され、受け枠部材（１０）の起立辺と
アングル材（９）の他辺との間に内装化粧板（５）の下
端部が挟持されている。また、トンネルの下部を除く部
分においては、図１に示す様に、押え枠部材（１１）が
アングル材（９）の他辺にネジ止めされ、この押え枠部
材（１１）とアングル材（９）の他辺との間に内装化粧
板（５）の上端部およびその上方に連続する他の内装化
粧板（５）の下端部が挟持されている。なお、各内装化
粧板（５）の左右の側縁は、アングル材（９）に固定さ
れた縦枠部材（図示省略）とアングル材（９）の他辺と
の間に挟持されている。

【００１７】本発明に係る寒冷地用トンネル壁面構造に
おいては、トンネル内の内装化粧板（５）が合成樹脂シ
ートにアルミニウム板を積層した複合板から成るため、
石跳ね等によって割れることがなく、また、腐食によっ
て赤錆が発生したり、穴が開くこともない。従って、耐
衝撃性および耐久性の高いトンネルの壁面を構成するこ
とが出来る。特に、内装化粧板（５）の表面は、ブラシ
洗浄によっても傷が付かない程度の表面硬度を有してい
るため、耐汚染性および洗浄回復性の高いトンネルの壁
面を構成することが出来る。

【００１８】また、本発明に係る寒冷地用トンネル壁面
構造においては、コンクリート壁面（１）から断熱板
（３）側への漏水を防水シート（２）が遮断し、漏水に
よる断熱板（３）の劣化を確実に防止する。そして、断
熱板（３）および断熱層（４）が冷気を遮断するため、
コンクリート壁面（１）からの漏水を凍結させることな
く防水シート（２）の内面に沿って排水することが出来
る。特に、断熱板（３）は、耐水性に優れ、長期間に亘
って物性の変化しない特性の発泡架橋ポリエチレンから
成るため、トンネル内への漏水およびこれに伴う路面凍
結を長期間に亘って確実に防止することが出来る。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明の寒冷地用ト
ンネル壁面構造によれば、トンネル内の内装化粧板が合
成樹脂シートにアルミニウム板を積層した複合板から成
るため、耐衝撃性、耐久性、耐汚染性および洗浄回復性
の高いトンネルの壁面を構成することが出来る。また、
断熱板が防水シートを介してコンクリート壁面に張設さ
れ、しかも、断熱材と内装化粧板との間には断熱層が形
成されているため、コンクリート壁面からの漏水を凍結
させることなく防水シートの内面に沿って確実に排水す
ることが出来、トンネル内への漏水およびこれに伴う路
面凍結を防止することが出来る。

【００２０】断熱材として発泡架橋ポリエチレンを使用
した場合、耐水性に優れ、長期間に亘って物性が変化し
ないため、トンネル内への漏水およびこれに伴う路面凍
結を長期間に亘って確実に防止することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】トンネル壁面の上下方向中間部の構造を示す部
分縦断面図である。

【図２】トンネル壁面の下部の構造を示す部分縦断面図
である。

【図３】トンネル壁面の下部の構造を示す部分横断面図
である。

【符号の説明】

１：コンクリート壁面 ２：防水シート ３：断熱板 ４：断熱層 ５：内装化粧板 ６：アンカーボルト ７：押え板 ８：ブラケット ９：アングル材 １０：受け枠部材 １１：押え枠部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トンネル内のコンクリート壁面に防水シ
   ートを介して張設された発泡樹脂製断熱板と、当該断熱
   板との間に断熱層を形成して張設された内装化粧板とを
   備え、前記内装化粧板は、合成樹脂シートにアルミニウ
   ム板を積層した複合板から成ることを特徴とする寒冷地
   用トンネル壁面構造。
2. 【請求項２】 断熱板が発泡架橋ポリエチレンから成る
   請求項１に記載の寒冷地用トンネル壁面構造。