JPH11181453A - 燃料油組成物 - Google Patents
燃料油組成物Info
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- JPH11181453A JPH11181453A JP34836997A JP34836997A JPH11181453A JP H11181453 A JPH11181453 A JP H11181453A JP 34836997 A JP34836997 A JP 34836997A JP 34836997 A JP34836997 A JP 34836997A JP H11181453 A JPH11181453 A JP H11181453A
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Abstract
流動性を改善して、冬期や寒冷地においても高い流動性
を維持する燃料油組成物を提供する。 【解決手段】 石油中間留出油に対し、下記の諸成分を
配合する:(A)常圧残油、減圧残油、脱硫残油、スラ
リー油およびエキストラクト油から選んだ1種または2
種以上の残留炭素付与材を0.1〜5質量%、ならび
に、(B)エチレン−カルボン酸ビニルエステル共重合
体である第一の流動性向上剤、および(C)エチレン−
酢酸ビニル共重合体への不飽和ジカルボン酸エステルの
グラフト付加物である第二の流動性向上剤を、成分Bお
よびCの合計量で0.005〜0.5質量%、好ましく
は0.005〜0.1質量%。成分B:成分Cは、質量
%で、50〜70:30〜50の割合が好ましい。
Description
した燃料油組成物に関する。 本発明の燃料油組成物
は、冬期や寒冷地においても高い流動性能を維持する。
留分の中で、石油中間留出油と呼ばれる、沸点が150
〜500℃の範囲の留分は、灯油、軽油、A重油などの
各種燃料源として大量に消費されている。 これらのう
ちで、軽油およびA重油は、冬季、または寒冷地におい
て低温にさらされると、その中に含まれるパラフィンワ
ックス、ワックス状物質、あるいは残留炭素付与材とし
て少量添加されている残油や潤滑油精製工程で得られる
エキストラクト油などに含まれる成分が析出し、燃料の
配管系に設けたフィルターの目詰まりを引き起こすこと
がある。
性を保つ目的で、従来種々の対策がとられている。 設
備面での対策としては、気温の低下が直接に燃料油の温
度低下につながらないように、温水や電気ヒーターで加
熱したり、保温したりする方法がとられているが、設備
の改善や新たなエネルギーコストの負担が必要となるか
ら、現実的には有利な方法とは言い難い。 燃料油その
ものの性状を改善する方法として、比較的低温において
も流動性のある灯油留分によって希釈し、ワックスの析
出量を低下させるという方法もある。 しかし、灯油留
分のような比較的軽質な燃料はそれ自体で需要量が多
く、希釈に用いるのは好ましくない。
向上させる別の方法として、いわゆる低温流動性向上剤
を添加することが試みられ、実施されている。 低温流
動性向上剤としては、種々のエチレン−飽和カルボン酸
ビニルエステル共重合体が提案されている(たとえば、
特公昭39−20069号、特公昭48−23165
号、特開昭59−136391号公報など)。 そのほ
か、エチレン−飽和カルボン酸ビニル共重合体への不飽
和ジカルボン酸エステルのグラフト付加物と、エチレン
−酢酸ビニル共重合体およびエチレン−アクリル酸エス
テル共重合体の1種または2種を添加すること(特公昭
58−39472号公報)、エチレン−酢酸ビニル共重
合体と、側鎖炭素数が4〜16のアルキルメタクリレー
トを主成分とする油溶性ポリエステルとを併用すること
(特公昭60−2354号公報)、エチレン−イソブチ
ルアクリレート共重合体と、側鎖炭素数が4〜16のア
ルキルメタクリレートを主成分とする油溶性ポリエステ
ルとを併用すること(特公昭60−2353号公報)が
開示されている。
手段として、燃料油中のワックス含有量、10%残留炭
素分およびアスファルテン分を特定の範囲に規制した燃
料油組成物とすることが提案されている(特許番号第2
640311号)。
ても、実用上十分満足できる低温流動性を確保できると
は限らない。 たとえば、石油中間留出燃料油に、残留
炭素付与材として残油を配合して調製したA重油や、エ
キストラクト油などを配合して調製した淡色A重油に上
記の低温流動性向上剤を添加しても、どちらも十分な低
温流動性能を示すには至らない場合がある。
素付与材を配合した中間留出燃料油に、低温流動性向上
剤として、特定のエチレン−カルボン酸ビニルエステル
共重合体と、エチレン−酢酸ビニル共重合体への不飽和
カルボン酸エステルグラフト付加物とを添加することに
より、中間留出燃料油の低温流動性が向上することを見
出した。
した発明者らの新しい知見を活用し、低温流動性が改善
された燃料油組成物を提供することにある。
は、石油中間留出油に対し、下記の諸成分を配合してな
る燃料油組成物である: (A)常圧残油、減圧残油、脱硫残油、スラリー油およ
びエキストラクト油から選んだ1種または2種以上の残
留炭素付与材を0.1〜5質量%、ならびに、(B)エ
チレン−カルボン酸ビニルエステル共重合体であって、
55〜80質量%のエチレン成分と20〜45質量%の
カルボン酸ビニルエステル成分とからなり、数平均分子
量が500〜5,000、分子量分布4.0以下、エス
テル基のメチル基以外にもエチレン鎖のメチレン基10
0個当たり7個までのメチル側鎖分岐を有する共重合体
である第一の流動性向上剤、および(C)エチレン−酢
酸ビニル共重合体への不飽和ジカルボン酸エステルのグ
ラフト付加物であって、(c1)70〜95質量%のエチレ
ンと5〜30質量%の酢酸ビニルとの共重合体であっ
て、数平均分子量2,000〜20,000、分子量分
布が4.0以下のものに、(c2)平均炭素数4〜30の直
鎖または分岐鎖のアルキル基をもつ不飽和ジカルボン酸
エステルをグラフト付加させて得た付加物である第二の
流動性向上剤を、成分BおよびCの合計量で0.005
〜0.5質量%。
成分Dの割合は、両者の合計量に対し、成分Cが50〜
70質量%、成分Dが30〜50質量%を占めることが
好ましい。
を損なわないためには、燃料油組成物中のアスファルテ
ン分と、成分Cおよび成分Dを合計したものとの質量比
を、0.8以下に抑えた組成とすることが好ましい。
この条件を満たすことによって、ワックスの結晶性が低
く抑えられ、低温流動性が良好に保たれる。
素付与材中に含まれる高分子成分であって、ノルマルヘ
プタン不溶分とトルエン不溶分の差として表されるもの
である。 本発明の中間留出燃料油中のアスファルテン
分の値は、残留炭素付与材に含まれるアスファルテン分
と、残留炭素付与材の配合量とから計算で求めたもので
ある。
料油」とは、沸点範囲が150〜500℃の中間留出油
のことであり、軽油留分はその代表である。
炭素付与材」は、上記のように、常圧残油、減圧残油、
脱硫残油、スラリー油およびエキストラクト油から選ん
だ成分である。 いうまでもなく、常圧残油とは、原油
を常圧蒸留装置で蒸留したときに得られる残油であり、
減圧残油とは、常圧残油などを減圧蒸留装置で蒸留した
ときに得られる残油である。 脱硫残油とは、常圧残油
または減圧残油を、直接脱硫装置や間接脱硫装置で処理
したときに得られる残油である。 スラリー油とは、流
動接触分解装置から得られる残油であり、沸点範囲が1
50〜600℃のものである。 エキストラクト油と
は、潤滑油原料製造用の減圧蒸留装置からの留分を溶剤
抽出法により抽出分離したもののうち、潤滑油に適しな
い芳香族成分のことである。
油に対し、1種単独で配合してもよいし、2種以上を組
み合わせて配合してもよい。 残留炭素付与材は、燃料
油組成物中、通常0.1〜5質量%を占めるように配合
する。 好ましい配合量は、0.2〜3.5質量%であ
る。
B)として添加するエチレン−飽和カルボン酸ビニルエ
ステル共重合体は、前記のように、55〜80質量%の
エチレン成分と20〜45質量%のカルボン酸ビニルエ
ステル成分とからなり、数平均分子量が500〜5,0
00、分子量分布4.0以下、エステル基のメチル基以
外にもエチレン鎖のメチレン基100個当たり7個まで
のメチル側鎖分岐を有する物質である。
子量、分子量分布およびメチル側鎖分岐の数に関する限
定は、いずれも高い流動性向上効果を確保する上で必要
な限定である。 この観点からみて好ましい共重合体
は、その中のエチレン成分とカルボン酸ビニルエステル
成分との割合が60〜75質量%対25〜40質量%で
あり、数平均分子量が1,000〜4,000であっ
て、分子量分布が3.0以下であり、かつ、主鎖メチレ
ン基100個当たり4〜6個のメチル側鎖を有するもの
である。
り、分子量分布はゲルパーミネーションクロマトグラフ
ィー(GPC)法により、またメチル側鎖分岐は「日本
化学学会誌」1980年、第1号、第74〜78頁に記載された
核磁気共鳴法により、それぞれ測定した値をいう。
して添加するエチレン−酢酸ビニル共重合体への不飽和
ジカルボン酸エステルのグラフト付加物は、(c1)70〜
95質量%のエチレンと5〜30質量%の酢酸ビニルと
の共重合体であって、数平均分子量500〜20,00
0、分子量分布が4.0以下のものに、(c2)平均炭素数
4〜30の直鎖または分岐鎖のアルキル基をもつ不飽和
ジカルボン酸エステルをグラフト付加させて得た付加物
である。
成分比、数平均分子量および分子量分布、ならびに(c2)
における上記のアルキル基の平均炭素数に関する限定
は、ここでも、やはり高い流動性向上効果を確保する上
で必要な限定である。 この観点から好ましいグラフト
付加物を与える原料は、エチレン−酢酸ビニル共重合体
に関していえば、酢酸ビニルが10〜25質量%であ
り、数平均分子量が2,000〜10,000の範囲で
あり、分子量分布が3.0以下のものである。
する、炭素数4〜30の不飽和ジカルボン酸の代表例と
しては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコ
ン酸等が挙げられる。 不飽和ジカルボン酸エステル
は、このような不飽和ジカルボン酸と、炭素数が4〜2
2のアルコールとのモノエステルまたはジエステルであ
る。 具体例としては、マレイン酸ジブチル、マレイン
酸ジイソブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジ
−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジオクタデシル、マ
レイン酸ジエイコシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジ
イソブチル、フマル酸ジオクチル、フマル酸−2−エチ
ルヘキシル、フマル酸ジオクタデシル、フマル酸ジエイ
コシル等である。 好ましくは、マレイン酸ジ−2−エ
チルヘキシル、フマル酸−2−エチルヘキシルを使用す
る。
ジカルボン酸エステルのグラフト付加物すなわち成分C
は、エチレン−酢酸ビニルエステル共重合体(c1)と不飽
和ジカルボン酸エステル(c2)とに、少量のラジカル発生
触媒(有機または無機の過酸化物、アゾ系化合物)を均
一に混合し、通常100℃以上に加熱することにより製
造することができる。 反応させる成分c1と成分c2と
の割合は、生成するグラフト付加物の溶解性および流動
性向上効果の観点から、通常、2:1〜1:10(質量
比)の範囲からえらぶ。 好ましい範囲は、1:1〜
1:3(質量比)である。
る成分Bすなわちエチレン−飽和カルボン酸ビニルエス
テル共重合体と、第二の流動性向上剤である成分Cすな
わちエチレン−酢酸ビニル共重合体への不飽和ジカルボ
ン酸エステルのグラフト付加物との併用の割合は、比較
的広い範囲にえらぶことができるが、両者の合計量に対
し、成分Bが50〜70質量%、成分Cが30〜50質
量%をそれぞれ占めるように混合することが好ましく、
この範囲で併用すれば、とくに高い低温流動性向上効果
が得られる。
料油組成物中で、通常、成分Bと成分Cの合計量が0.
005〜0.5質量%、好ましくは0.005〜0.1
質量%を占めるように添加する。 添加量が0.005
質量%より少なくては低温流動性向上効果が低い。 一
方、0.1質量%を超えて添加しても、効果が飽和して
くる。 従って、コストと効果のバランスを考えて、適
切な添加量を決定すべきである。
物を得る方法には、とくに制限はない。 まず残留炭素
付与材を留出燃料油に添加した後、低温流動性向上剤を
添加してもよく、これと逆に、低温流動性向上剤を先に
留出燃料油に添加したものに残留炭素付与材を添加して
もよく、さらには、残留炭素付与材と流動性向上剤とを
あらかじめ混合しておいて、混合物を留出燃料油に添加
してもよい。 添加剤成分を、適当な溶剤に溶解した溶
液の形で添加することもできる。
より、下記の群から選ばれる化合物1種以上を併用する
ことができる: α−オレフィン含有量が20〜80
モル%のエチレン−α-オレフィン共重合体、グリセ
リンのアルキレンオキサイド付加物と炭素数10〜22
の脂肪酸との部分エステルまたは完全エステル、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビト
ール、ソルビタンなどの多価アルコールと脂肪酸の部分
エステルまたは完全エステル、塩素化パラフィン/ナ
フタリン縮合物、および水酸基含有の含窒素化合物と
脂肪酸とのエステル。
発明の燃料油組成物は、そのほかの既知の添加剤を含有
してもよい。 既知の添加剤の例としては、清浄剤(ブ
チルアミン、エチレンオキサイド付加物、ブタノールの
エチレンオキサイド付加物など)、潤滑性向上剤(グリ
セリンモノリノレート、ダイマー酸など)、酸化防止剤
などが挙げられる。
するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
規格の「A重油の低温流動性試験法基準(JPI−5S
−47−96)」に準拠した方法によって評価した。
この方法により求められた作動限界温度は、値が低いほ
ど、低温での流動性が優れていることを示す。
合体(成分B)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(c1)
の数平均分子量は、蒸気圧浸透法により、分子量分布は
ポリスチレンを標準試料とするゲルパーミネーションク
ロマトグラフィーにより、また、メチル側鎖分岐は核磁
気共鳴法により、それぞれ測定した。 アスファルテン
分は、IP−143−79(Asphaltens Precipitation
with Normal Heptan)により定義される値であって、
ノルマルヘプタン不溶分とトルエン不溶分との差により
表されるものである。
製造例1〜2]表1に示すように、エチレン−カルボン
酸ビニルエステル共重合体(EVA)とエチレン−酢酸
ビニル共重合体への不飽和ジカルボン酸エステルのグラ
フト付加物(G−EVA)とを組み合わせたもの(製造
例)、または前者単独(比較製造例)を、石油系芳香族
溶剤の溶液の形にした低温流動性向上剤を製造した。
低温流動性向上剤、残留炭素付与材、中間留出燃料油
を、表2Aおよび表2Bに示す割合で配合して燃料油組
成物を調製し、前述した試験法により低温流動性を評価
した。 その結果を、各表の下段に示した。
性向上剤、残留炭素付与材、中間留出燃料油を、表3に
示す割合で配合して燃料油組成物を調製し、低温流動性
を評価した。 その結果を、表の下段に示した。
なとおり、本発明に従った燃料油組成物は従来のものよ
り低温での流動性が向上しており、冬期や寒冷地におい
ても、暖房設備や動力機器におけるフィルター目詰まり
などのトラブルを生じることなく使用可能である。
Claims (3)
- 【請求項1】 石油中間留出油に対し、下記の諸成分を
配合してなる燃料油組成物: (A)常圧残油、減圧残油、脱硫残油、スラリー油およ
びエキストラクト油から選んだ1種または2種以上の残
留炭素付与材を0.1〜5質量%、ならびに、 (B)エチレン−カルボン酸ビニルエステル共重合体で
あって、55〜80質量%のエチレン成分と20〜45
質量%のカルボン酸ビニルエステル成分とからなり、数
平均分子量が500〜5,000、分子量分布4.0以
下、エステル基のメチル基以外にもエチレン鎖のメチレ
ン基100個当たり7個までのメチル側鎖分岐を有する
共重合体である第一の流動性向上剤、および (C)エチレン−酢酸ビニル共重合体への不飽和ジカル
ボン酸エステルのグラフト付加物であって、(c1)70〜
95質量%のエチレンと5〜30質量%の酢酸ビニルと
の共重合体であって、数平均分子量2,000〜20,
000、分子量分布が4.0以下のものに、(c2)平均炭
素数4〜30の直鎖または分岐鎖のアルキル基をもつ不
飽和ジカルボン酸エステルをグラフト付加させて得た付
加物である第二の流動性向上剤を、成分BおよびCの合
計量で0.005〜0.5質量%。 - 【請求項2】 成分Bおよび成分Cの合計量に対し、成
分Bが50〜70質量%、成分Cが30〜50質量%を
占める請求項1の燃料油組成物。 - 【請求項3】 燃料油組成物中のアスファルテン分と、
成分Bおよび成分Cの合計量との質量比を、0.8以下
とした請求項1または2の燃料油組成物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP34836997A JP3903559B2 (ja) | 1997-12-17 | 1997-12-17 | 燃料油組成物 |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3903559B2 (ja) |
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-
1997
- 1997-12-17 JP JP34836997A patent/JP3903559B2/ja not_active Expired - Lifetime
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