JPH11180731A - 紫外線伝送用光ファイバーとその製造方法 - Google Patents

紫外線伝送用光ファイバーとその製造方法

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JPH11180731A
JPH11180731A JP9351511A JP35151197A JPH11180731A JP H11180731 A JPH11180731 A JP H11180731A JP 9351511 A JP9351511 A JP 9351511A JP 35151197 A JP35151197 A JP 35151197A JP H11180731 A JPH11180731 A JP H11180731A
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optical fiber
quartz glass
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temperature
transmission
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JP9351511A
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Shinya Kikukawa
信也 菊川
Yorisuke Ikuta
順亮 生田
Akio Masui
暁夫 増井
Kensho Shimodaira
憲昭 下平
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】エキシマレーザー等の高エネルギーの紫外線を
伝送させる伝送損失増加の少ない光ファイバーを得る。 【解決手段】コア部として水素含有濃度が1×1017
/cm3 以下である石英ガラスを用いた光ファイバー母
材を線引してファイバー化し、次いで600℃以下の温
度で水素添加処理を施し、水素分子濃度が1×1017
/cm3 以上の光ファイバーを得る。これにより紫外線
伝送中に発生する純粋石英ガラス中の欠陥に起因する伝
送損失増加を抑止し、経時的に安定な紫外線伝送用光フ
ァイバーとして使用可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エキシマレーザー
等の高エネルギーの紫外線を伝送させる紫外線伝送用光
ファイバー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エキシマレーザー等の高エネルギーの紫
外線伝送用の光ファイバーとして、通常通信用に使用さ
れている屈折率を制御したGe等を添加した光ファイバ
ーは、損失が大きく使用できない。そこで、高エネルギ
ーの紫外線を照射しても損失増加の比較的少ない添加物
のない純粋石英ガラスをコア材とした光ファイバーが通
常使用される。そして、純粋石英ガラスコア材を用いて
作成した紫外線伝送用光ファイバーにおいても、耐放射
線ファイバーと同様に紫外線損失の増大を抑止するため
に、水素分子を石英ガラス中に添加することが特開平6
−56457号に開示されているが水素濃度の記載はな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが純粋石英ガラ
スをコア材とし、さらに水素分子を添加したとしても、
エキシマレーザー等の高エネルギーの紫外線を伝送させ
ると、214nm付近に吸収帯が形成されて伝送損失が
増大するので、例えばF2 レーザー、KrFレーザー、
ArFレーザー等のエキシマレーザーの伝送には、信頼
性や安定性を満足するものを得ることが困難であった。
【0004】一般に紫外線伝送用光ファイバーの紫外域
の損失は、素材のレーリー散乱損失成分、素材の本質的
な吸収損失成分、及びレーザー伝送に伴い石英ガラス体
中に生成する各種欠陥による吸収損失の3つに大別する
ことができる。前述の214nmの吸収帯は、石英ガラ
ス中に紫外線伝送によって生成する欠陥(E’センタ
ー)に起因するものであることが判明している。そし
て、このE’センターは、純粋石英ガラス中の酸素欠乏
型欠陥≡Si−Si≡や水素化物≡Si−Hが、伝送さ
れる高エネルギーの紫外線により、その結合が破壊され
形成されることが判明しており、エキシマレーザー等の
高エネルギー密度の紫外線を伝送すると、伝送中にE’
センターの濃度が上昇し、吸収損失が経時的に増大する
という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題に鑑
み、鋭意検討の結果なされたものである。まず、レーザ
ー照射により発生する214nmの吸収帯の生成は、純
粋石英コア中に存在する水素分子濃度に強く依存するこ
とを本発明者らは見いだし、本発明に至ったのである。
すなわち、水素分子の含有量の異なる純粋石英ガラスを
コア材にした光ファイバーに紫外線を伝送した際の損失
増加は、図1に示すように、石英ガラス中の水素分子濃
度に強く依存する。特に、水素分子含有量を1×1017
個/cm3 以上とした場合に、実質的に問題のない10
dB/m以下に抑えられることを見いだした。
【0006】なお、図1に示す結果は、水素分子を実質
的に含有していない純粋石英ガラスを光ファイバー母材
として溶融線引きした光ファイバーを、各種条件で水素
化処理後に、KrFレーザーをエネルギー密度400m
J/cm2 ×100Hzの条件で、1×106 ショット
伝送した際の伝送損失の増加を示したものである。以下
の記述において、伝送損失増加とはこのような方法で測
定したものを指す。横軸の水素濃度は、ラマン分光若し
くは赤外分光法によって容易に求めることが可能であ
る。
【0007】次に、本発明者らは、紫外線伝送用光ファ
イバーの純粋石英コア中に水素分子濃度が1×1017
/cm3 以上含有されていたとしても、光ファイバー母
材の純粋石英ガラスコア中に水素分子が1×1017個/
cm3 以上含有されていると、高エネルギーの紫外線を
伝送した際に損失増加を抑えることができないことを見
いだした。すなわち、光ファイバー母材中に水素分子が
含有されていると、線引きの段階で高温度にさらされる
ため、水素分子と純粋石英ガラスが反応し、酸素欠乏型
欠陥≡Si−Si≡、若しくは水素化物≡Si−Hが生
成されることを見いだしたのである。これらの欠陥は、
純粋石英ガラスを構成する結合≡Si−O−Si≡結合
に比較すると結合エネルギが小さいので、高エネルギの
紫外線が伝送される際に結合が破壊されE’センターと
なり、214nm吸収帯が生成する。
【0008】従って光ファイバーの伝送損失の増加を抑
えるためには、光ファイバー母材(プレフォーム)の段
階でコア部の純粋石英ガラス中に水素分子が1×1017
個/cm3 以下であることが好ましい。それより水素分
子濃度が多い場合には、光ファイバーとした後、紫外線
の伝送により伝送損失が増大する。水素分子濃度とし
て、より好ましくはラマン分光法で検出の下限である1
×1016個/cm3 以下であることが望ましい。
【0009】本発明において、コア材として使用される
純粋石英ガラスは、現在公知の方法であるプラズマ法、
ダイレクト法、VAD法等により製造された合成石英ガ
ラスであれば特に限定されるものではないが、より好ま
しくは他の方法に比較して低温度の火炎加水分解で合成
されるVAD法による合成石英ガラスが、水素含有量、
酸素欠乏型欠陥濃度がいずれも低いため、望ましい。ま
た、VAD法による純粋石英ガラスでも、塩素等で脱水
したものは、酸素欠乏欠陥が多いため伝送損失の増大が
極めて大きくなり、好ましくない。
【0010】さらに、本発明者らは、石英ガラスと石英
ガラス中の水素分子との反応を詳細に検討した結果、水
素化物≡Si−Hの生成、すなわち、コア材である純粋
石英ガラスの水素分子による還元反応は、水素添加処理
の温度に強く依存することを見いだした。すなわち、図
2に示すように、水素分子を実質的に含有しない光ファ
イバー母材を用いて得られた光ファイバー素線に温度を
変化させて水素添加処理を行ったときの光ファイバー中
の水素化物≡SiHの生成量は、水素添加処理温度に強
く依存する。特に、処理温度が約700℃以上になると
純粋石英ガラス中に多量の≡SiHが生成し、石英ガラ
スの添加した水素分子による還元反応が進行しているこ
とが明らかとなった。700℃で水素添加を行った光フ
ァイバーの紫外線の伝送による伝送損失の増加は約30
dB/mとなり、紫外線伝送用光ファイバーとしては実
質的に使用できない。従って、紫外線伝送用光ファイバ
ーの水素添加処理温度としては600℃以下であること
が好ましい。より好ましくは、500℃以下である。
【0011】水素添加法としては、種々の方法を採用す
ることができる。例えば、溶融線引き直後の光ファイバ
ー素線を600℃以下の所定の温度に保持された水素添
加炉を通過させる方法で水素添加できる。このときの炉
内の雰囲気及び圧力は有効量の水素添加ができるもので
あれば制限されない。例えば圧力が大気圧である場合に
は、水素濃度は100%であることが望ましい。また加
圧下であれば、光ファイバー中の水素濃度が1×1017
個/cm3 を添加するのに必要な分圧があればよい。
【0012】水素添加の別の方法としては、溶融線引き
後、光ファイバーの強度を保つために表面にプラスチッ
ク等を被覆してボビンに巻き取った状態のまま水素添加
処理を行うものがある。このときの処理温度としては、
被覆材料あるいはボビン材質等の耐熱性からみて、通常
200℃以下の温度から適宜選択される。その際の圧力
としては、温度が低いために常圧より高い方が好まし
い。より好ましくは、絶対圧力で3〜10atmの範囲
である。
【0013】
【作用】紫外線伝送用光ファイバー中に水素分子を添加
することによって、伝送損失が抑制される機構は必ずし
も明確ではないが、純粋石英ガラス中に水素分子を1×
1017個/cm3 以上含有させることは、純粋石英ガラ
ス中に紫外線伝送に伴って形成される欠陥が水素分子に
より修復されることにより、伝送損失成分のうち欠陥に
よる吸収損失成分の増大が抑止され紫外線伝送用光ファ
イバーに適した低伝送損失光ファイバーとする作用を有
する。
【0014】また、水素分子を含有しない光ファイバー
母材を使用することは、溶融線引き時に溶融温度以上に
さらされることによって生じる石英ガラスコア材中の水
素分子による還元反応を抑止し、光ファイバー形成後の
紫外線伝送損失の増大を抑止する作用を有する。
【0015】さらに、線引き後の光ファイバーに600
℃以下の温度で水素を添加させることは、光ファイバー
中に新たに欠陥を実質的に生成させないため、伝送損失
の増大を生じさせない作用を有する。また、加えて、溶
融線引き後に600℃以下の温度で水素添加を行うこと
は、溶融線引き時に生成する線引き誘起欠陥であるE’
センターを水素分子により修復し、紫外線伝送時の伝送
損失増加を抑止するという作用も有する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の詳細についてさらに実施例に
より説明するが、本発明は当然のことながらこれら実施
例により制限されるものではない。
【0017】(実施例1)公知の方法によりSiCl4
を酸水素火炎中で加熱加水分解させて基材に堆積・成長
させて得られた多孔質石英ガラス体をHe雰囲気中で透
明ガラス化し純粋石英ガラスコア材を得た。このコア材
に公知のプラズマCVD法によりクラッド材としてフッ
素添加石英ガラスを堆積させ光ファイバ母材とした。こ
のときの純粋石英ガラスコア材の水素分子濃度は、5×
1016個/cm3 以下であった。引き続き該母材を外径
125μmφ光ファイバー素線へと線引きしながら、水
素濃度が100%、圧力が1atmで炉内温度が570
℃の水素添加炉へ導入し、水素添加を行った後、その表
面を紫外線硬化樹脂で被覆し外径250μmの紫外線伝
送用光ファイバーを作成した。このときの線引き速度は
10m/分とした。得られた光ファイバー中の水素分子
濃度は、3×1017個/cm3 であった。KrFレーザ
ーの伝送による損失増加は、5dB/mであった。
【0018】(実施例2)水素添加処理を紫外線硬化樹
脂を被覆した後、水素100%、圧力10気圧の高圧容
器内において、温度130℃で実施した以外は、実施例
1と同様の方法で光ファイバーを作成し、KrFレーザ
ーを伝送評価した。
【0019】(実施例3)水素添加炉の炉内温度を45
0℃とした以外は実施例1と同様の方法で光ファイバー
を作成した。
【0020】(比較例1)水素添加炉の雰囲気組成をH
2 10%−He90%とし炉内温度を500℃とした以
外は、実施例1と同様の方法で光ファイバーを作成し
た。
【0021】(比較例2)水素添加炉の炉内温度を70
0℃とした以外は実施例1と同様の方法で光ファイバー
を作成した。
【0022】(比較例3)純粋石英ガラス中の水素分子
濃度を5×1018個・cm3 の光ファイバ母材を用いた
以外は実施例2と同様の方法で光ファイバーを作成し
た。実施例1から比較例3までの方法のファイバー母材
中の水素分子濃度、水素添加処理温度、作成した光ファ
イバー中の水素分子濃度、伝送損失増加を表1にまとめ
る。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明により、紫外線伝送用光ファイバ
ーの所定濃度以上の水素分子を含有させるようにしたの
で紫外線伝送中に発生する純粋石英ガラス中の欠陥に起
因する伝送損失増加を抑止し、経時的に安定な紫外線伝
送用光ファイバーとして使用可能となった。また、その
製造方法に鑑み、使用する純粋石英ガラス中の水素分子
含有量を1×1017以下としたので、製造過程において
E’センターの前駆体となるような欠陥が生成すること
を防止し、紫外線伝送中に伝送損失増加の少ない信頼性
のある紫外線伝送用光ファイバーを製造することが可能
となった。更に水素添加工程でをE’センターの前駆体
を実質的に生成しない600℃以下としたので、より信
頼性のある紫外線伝送用光ファイバーを製造することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】純粋石英ガラス中の水素分子濃度とKrFエキ
シマレーザーを伝送した際の伝送損失増加分の関係であ
る。
【図2】水素添加処理温度と純粋石英ガラス中に生成す
る水素化物≡SiHの関係である。
フロントページの続き (72)発明者 下平 憲昭 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コアとして石英ガラスを用いた光ファイバ
    母材を一端から溶融線引きし、ファイバー化して得られ
    る紫外線伝送用ファイバーであって、該コア部の石英ガ
    ラス中に含有される水素分子濃度が1×1017個/cm
    3 以上であることを特徴とする紫外線伝送用光ファイバ
    ー。
  2. 【請求項2】コア部として水素含有濃度が1×1017
    /cm3 以下である石英ガラスを用いた光ファイバー母
    材を、線引きしてファイバー化した後に、水素添加処理
    を行うことを特徴とする紫外線伝送用光ファイバーの製
    造方法。
  3. 【請求項3】水素添加処理は600℃以下の温度で行う
    ことを特徴とする請求項2記載の紫外線伝送用光ファイ
    バーの製造方法。
JP9351511A 1997-12-19 1997-12-19 紫外線伝送用光ファイバーとその製造方法 Withdrawn JPH11180731A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0999190A2 (de) * 1998-11-04 2000-05-10 Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG Kernglas für eine Vorform für eine optische Faser, unter Verwendung des Kernglases hergestellte Vorform, sowie Verfahren zur Herstellung des Kernglases und einer optischen Faser

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0999190A2 (de) * 1998-11-04 2000-05-10 Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG Kernglas für eine Vorform für eine optische Faser, unter Verwendung des Kernglases hergestellte Vorform, sowie Verfahren zur Herstellung des Kernglases und einer optischen Faser
EP0999190A3 (de) * 1998-11-04 2001-10-10 Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG Kernglas für eine Vorform für eine optische Faser, unter Verwendung des Kernglases hergestellte Vorform, sowie Verfahren zur Herstellung des Kernglases und einer optischen Faser
US6622527B2 (en) 1998-11-04 2003-09-23 Heraeus Quarzglas Gmbh Adjusting the hydrogen content of a preform for an UV-optical fiber

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