JPH11178595A - 菌体からの色素の分離方法 - Google Patents

菌体からの色素の分離方法

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JPH11178595A
JPH11178595A JP35473697A JP35473697A JPH11178595A JP H11178595 A JPH11178595 A JP H11178595A JP 35473697 A JP35473697 A JP 35473697A JP 35473697 A JP35473697 A JP 35473697A JP H11178595 A JPH11178595 A JP H11178595A
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organic solvent
water
silica gel
soluble organic
solvent
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JP35473697A
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Inventor
Tadashi Shibuya
忠 渋谷
Seiji Nishikawa
誠司 西川
Yasushi Hotta
康司 堀田
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 光合成細菌の菌体に水溶性有機溶媒を加
えて得られた抽出液に水及び脂溶性有機溶媒を加え、得
られた脂溶性有機溶媒相をシリカゲルに接触させバクテ
リオクロロフィルを得、この後、該シリカゲルに塩素系
溶媒を接触させカロチノイドを溶出、分離し、水及び脂
溶性有機溶媒を加えて得られた水溶性有機溶媒相をシリ
カゲルに接触させ、アルコールでポルフィリンを溶出、
分離することを特徴とする光合成細菌の色素の分離法。 【効果】 光合成細菌から種々の色素を効率よく分離す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光合成細菌の菌体
から生理活性物質等として有用な天然物カロチノイド、
ポルフィリン、コエンザイム等の色素の分離精製方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】光合成細菌によって蓄積されるノイロス
ポレン、メチルクロロキサンチン、クロロキサンチン、
3,3′,4,4′,7′,8′−ヘキサヒドロスピリ
ロキサンチン、1′−ヒドロキシ−3,4,1′,2′
−テトラヒドロスファロイデン、ヒドロキシスファロイ
デンは、天然物カロチノイドとして光合成細菌にのみ蓄
積される希少なカロチノイドで、それらは、アポトーシ
ス誘導による癌抑制効果を有することが明らかにされて
いる。また、蓄積されるその他の色素であるポルフィリ
ンやコエンザイムQ10もPDT治療、強心剤としての
用途が知られており、これらは医薬品、食品、医薬部外
品、滋養物の業界で多目的に用いることができる。
【0003】光合成細菌の菌体からの色素の抽出方法と
しては、従来から有機溶媒等を用いて菌体から色素を転
溶させる方法があり、近年、培養物にメタノールを加え
超音波破砕処理し塩化メチレン−メタノール混合溶媒に
より抽出する方法(特開平6−22788号)、エタノ
ールを助溶媒とするアスタキサンチンの超臨界二酸化炭
素抽出(特開平8−140695号)、水溶性溶剤と脂
溶性溶剤を混合処理させることによる抽出方法(特開平
9−48927号)などが報告されている。
【0004】しかしながら上記のいずれの方法も、得ら
れた抽出物は、複数の色素の混合物であり、しかも他の
夾雑物を含むものであった。
【0005】一方、色素の一つであるクロロフィルの分
離に関しては、二酸化炭素を使用した超臨界流体抽出に
よる方法(特公平5−27619号)、藍藻からクロロ
フィルを沈殿により分離する方法(特開平6−2717
83号)などがあるが、光合成細菌由来の複数の色素を
同時に分離精製する場合、分離方法が複雑になり、沈殿
による分離方法ではクロロフィルの他にポルフィリンも
同時に沈殿するうえ、上清にも微量のクロロフィルやポ
ルフィリンが混入するという問題がある。
【0006】また、カロチノイド類は、それぞれの物理
的性質が互いに極めて類似しているため、これらの分離
精製は容易ではない。
【0007】脂肪酸などの生理活性物質の分離には従来
真空蒸留法(特開昭63−29555号)が用いられて
いるが、カロチノイドや高度不飽和脂肪酸などは、熱に
不安定であるためこの操作温度では使用が困難である。
また、上記色素のHPLCによる分取法も実験室規模で
検討されているが、溶離液からの溶質の回収や充填物の
交換等を要するため、必ずしも低濃度の原料からの分離
精製には経済的な方法とはいえない。一般的に分析用の
クロマトグラフィーでは、精製度、定量性を第一目的と
し、分離能を高めるために高価で粒度が細かい充填剤及
び複雑な混合溶媒を使用している。このような分析方法
を、工業的な精製方法としてスケールアップした場合に
は、充填剤の粒度の細かさによる非常な圧力損失、試料
の負荷量を大きくするためには大きな装置容量が必要で
ある。また、1バッチ当たりの所要時間が長いなどの問
題がある。それを解消すべくシリカゲル又は活性アルミ
ナを吸着剤とする開口クロマトグラフィー精製による方
法に関して、特公昭54−37965号、特開昭62−
241970号、特開昭63−91360号、特開平1
−160953号などの種々の方法が開示されている。
【0008】しかしながら、いずれの方法によっても、
前記した如く光合成細菌由来の色素は、同族体が多く、
物性が極めて似ているため、効率よく分離精製できなか
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、光合成細菌の菌体から、種々の色素を高純度かつ効
率よく分離精製し得る方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】斯かる実状に鑑み本発明
者らは鋭意研究を行ったところ、水溶性有機溶媒を用い
た溶媒抽出法、脂溶性有機溶媒を用いた溶媒抽出法、特
定の粒径のシリカゲルと含塩素系溶媒を用いたクロマト
グラフィーを組合わせることにより、光合成細菌の種々
の色素を効率よく分離精製することができることを見出
し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、光合成細菌の菌体か
ら水溶性有機溶媒で色素を抽出し、得られた抽出液に水
及び脂溶性有機溶媒を加え、生じた脂溶性有機溶媒相を
粒径50〜2500μmのシリカゲルに接触させた後、
該シリカゲルから塩素系溶剤で溶出させることを特徴と
するカロチノイド類の分離方法を提供するものである。
【0012】また、本発明は、光合成細菌の菌体から水
溶性有機溶媒で色素を抽出し、得られた抽出液に水及び
脂溶性有機溶媒を加え、得られた脂溶性有機溶媒相を粒
径50〜2500μmのシリカゲルに接触させ、シリカ
ゲルへの非吸着成分を採取することを特徴とするバクテ
リオクロロフィルの分離方法を提供するものである。
【0013】更に、本発明は、光合成細菌の菌体から水
溶性有機溶媒で色素を抽出し、得られた抽出液に水及び
脂溶性有機溶媒を加え、得られた水溶性有機溶媒相を粒
径50〜2500μmのシリカゲルに接触させた後、ア
ルコールで溶出することを特徴とするポルフィリンの分
離方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に用いる光合成細菌は、特
に限定されず、例えば、紅色非硫黄細菌(Rhodob
actor sphaeroidesRhodoba
ctor spirillum)、紅色硫黄細菌(Ch
romatium)や、これらの変異株を挙げることが
できる。
【0015】培養した菌体は、遠心分離法等により集菌
し、これに水溶性有機溶媒を加えて色素を抽出する。こ
こで用いる水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール
等の低級アルコールが挙げられ、これらは1種でも2種
以上混合して用いてもよい。ここでの色素の抽出は、集
菌した菌体に上記溶媒を加え懸濁し、この後、遠心分離
法により菌体を分離して行うことが好ましい。
【0016】次に得られた上清に、水及び脂溶性有機溶
媒を加えるが、この水の量は、上記水溶性有機溶媒に対
し0.01〜1容量倍とすることが好ましく、0.05
〜0.2容量倍とすることが特に好ましい。
【0017】脂溶性有機溶媒としては、鎖状又は環状の
飽和炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、例え
ばn−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シク
ロヘキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メ
チルエチルエーテル等を挙げることができ、これらは1
種でも2種以上を混合して用いてもよい。脂溶性有機溶
媒の使用量は、前記の水溶性溶媒量の1〜10容量倍と
することが好ましく、1〜2容量倍とすることが特に好
ましい。脂溶性有機溶媒を加えることにより、カロチノ
イド類の色素をこれに転溶させることができ、水溶性の
夾雑物やポルフィリンを水溶性溶媒中に残すことができ
る。
【0018】脂溶性溶媒相中の色素混合物は、真空蒸留
にて濃縮してもよい。その後、開口カラム等に充填した
シリカゲル吸着剤に色素混合物を通すと、バクテリオク
ロロフィルのみが吸着せずに通過し、これ以外の色素類
はシリカゲルに吸着するため、バクテリオクロロフィル
のみを分離することができる。ここで用いるシリカゲル
吸着剤の粒径は比較的大きい方が良いが、後のカロチノ
イドの分離は粒径が小さい程分離能が高まるため、これ
らを同一カラムで行う場合は、シリカゲル吸着剤の粒径
は50〜2500μmが好ましく、50〜1000μm
が特に好ましい。バクテリオクロロフィルは、具体的に
はシリカゲルカラムから前記脂溶性溶媒で溶出でき、得
られた溶液を室温で真空蒸留により溶媒を除去すること
により単離することができる。
【0019】次に、バクテリオクロロフィル以外の色素
が吸着したシリカゲルに塩素系溶剤を接触させ、カロチ
ノイド類等の色素を溶出させる。ここで用いる塩素系溶
媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭
素、ジクロロエタン及びトリクロロエタン等のクロロア
ルカンが挙げられ、これらは1種でも2種以上を混合し
て用いてもよい。シリカゲルからノイロスポレン、メチ
ルクロロキサンチン、コエンザイムQ10、クロロキサ
ンチン、3,3′,4,4′,7′,8′−ヘキサヒド
ロスピリロキサンチン、1′−ヒドロキシ−3,4,
1′,2′−テトラヒドロスファロイデン、ヒドロキシ
スファロイデンが溶出してくるが、溶出順序は使用する
溶媒により異なる。また、分画しても同一のフラクショ
ン内に複数のカロチノイドが混在してくる場合があり、
当然、各フラクションに混在するカロチノイドの組合わ
せは使用する溶媒によって変わってくる。従って、回収
したフラクションのうち、複数のカロチノイドを含むフ
ラクションは、溶媒を真空蒸留除去し、カロチノイドを
吸着させるのに適した溶媒(ヘキサン等)に溶解させ、
再びシリカゲル吸着剤を充填した開口カラムに吸着さ
せ、カラムクロマトグラフィーを行う。この時、溶出溶
媒は上記で使用した以外のもので、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン及びトリクロ
ロエタンからなる群から任意に選択された1種又は2種
以上の含塩素系溶媒を使用することにより、上記で単離
できなかったカロチノイド類を分離精製することができ
る。溶出によって回収されたフラクション中の溶媒は室
温で真空蒸留除去し、カロチノイドが単離できるまで上
記の操作を繰り返し行う。好ましくは、2〜3回繰り返
し行う。
【0020】上記シリカゲル吸着剤を用いた開口カラム
による分離精製において、カロチノイド類、特にメチル
クロロキサンチンとコエンザイムQ10に関しては溶出
速度は非常に接近しており、上記の溶媒での分離が困難
である。そこで、上記の如くして得られたカロチノイド
類を含む溶出液をシリカゲルに接触させた後、芳香族系
溶媒から選ばれる1種又は2種以上を含有する溶媒で溶
出してカロチノイド類とコエンザイムQ10とを分離す
る。芳香族系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、好ましくはベンゼンが挙げられ、必要に応じ塩素
系溶媒等他の溶媒を併用しても良い。ここで用いる塩素
系溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、四塩化
炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のクロロア
ルカンが挙げられる。これらの溶媒を使用することによ
って、カロチノイド類とコエンザイムQ10の溶出速度
の差が大きくなり、これを分離することができる。ここ
で用いる溶媒は1種より2種を混合したものが好まし
く、特にクロロホルムとベンゼンとの組合わせが好まし
い。なお、カロチノイド類とコエンザイムQ10とを分
離する際のシリカゲルの粒径は特に制限されない。
【0021】本発明方法において、ポルフィリンは、上
記方法で脂溶性有機溶媒を加え、二相分離した一方の水
溶性溶媒相を真空蒸留して冷蔵し、沈殿させることによ
って簡単に回収できる。また、ポルフィリンを純度よく
回収するには、上記水溶性溶媒相を真空蒸留にて溶媒を
除去し、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエー
テル及びメチルエチルエーテルの群から選ばれた1種又
は2種以上の溶媒に溶かす。この溶液を、開口カラムに
充填したシリカゲル吸着剤に接触させ、ポルフィリンを
吸着させる。シリカゲル吸着剤の粒径は大きいほど夾雑
物を除去し易い為、シリカゲル吸着剤の粒径は、50〜
2500μmが好ましく、特に50〜1000μmが好
ましい。次にジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭
素、ジクロロエタン及びトリクロロエタンからなる群か
ら任意に選択された1種又は2種以上の溶媒を開口カラ
ムの頂上から接触させ、夾雑物を除去する。ここで使用
する塩素系溶媒では、ポルフィリンは溶出されてこない
ため、夾雑物を完全に溶出させることができる。この後
アルコール、中でもメタノール、エタノール、プロパノ
ール、2−プロパノールの群から選ばれた1種に接触さ
せることによって、上記シリカゲル吸着剤からポルフィ
リンを溶出させ回収することができる。回収したポルフ
ィリンは真空蒸留によって濃縮し、冷蔵によって沈殿を
析出させて分離すると純度のよいものを得ることができ
る。
【0022】
【実施例】次に実施例により本発明を具体的に示すが、
これは一例であり、本発明はこれに限定されるものでは
ない。本実施例において試薬はすべて和光純薬社製の特
級を使用した。また、使用した有機溶媒はすべて真空蒸
留により回収した。実施例に用いた光合成細菌の菌体は
次の様にして得た。下記表1に示した組成の培地1、
1.8Lを、3Lの発酵槽に入れ、121℃で15分間
滅菌し、室温に冷却した。
【0023】
【表1】
【0024】あらかじめ、培地1を50ml調製した30
0ml容のバッフル付三角フラスコに光合成細菌変異株ロ
ドバクターセファロイデス(Rhodobactor
sphaeroides)CR−0072009(FE
RM P−16217)を植菌し、暗所、32℃で48
時間回転振とう培養した。これを上記発酵槽に、全量植
菌し、32℃、通気量0.36L/分、400rpm で攪
拌培養した。硫酸と水酸化ナトリウムを用いてpH6.4
〜6.5に制御しながら培養を続け、培養40時間後、
レブリン酸0.210g、グリシン8.1g、酵母エキ
ス18gを添加し、攪拌回転数を325rpm にして、硫
酸と水酸化ナトリウムを用いてpH6.3〜6.4に保ち
ながら培養を続けた。更に12時間、26時間、38時
間後にグリシンを8.1gづつ添加した。このときのレ
ブリン酸添加後の培養液内溶存酸素濃度の平均値は、
0.01ppm であった。また、レブリン酸添加後の培養
液内の酸化還元電位は、−180mV〜−50mVの範囲で
推移していた。この培養液1000mlを分取し、遠心分
離で分離後、培養菌体を集菌し、色素の抽出に用いた。
培養液1000ml中の乾燥菌体量は10gであった。
【0025】実施例において色素の分析は次の様に行っ
た。 <色素の分析>回収した色素は真空蒸留により溶媒をと
ばし、ヘキサンに溶解した後、島津社製HPLC LC
−10ADにてカロチノイド類の組成分析を行った。カ
ラムはメルク社製 Lichrosorb Si60
4×250mmを用い、展開溶媒(n−ヘキサン:イソプ
ロパノール=95:5)を室温で0.8ml/min の条件
で流した。検出器には、島津社製液体クロマトグラフ用
フォトダイオードアレー検出機SPD−M10Aを使用
した。単離した色素はFD−MSにて同定した。色素の
定量は固体で得た物以外は、吸光度を測定し、次式から
測定した。 色素量=As×V×1000/E×W As:色素ヘキサン溶液の吸光度 V:測定した試料の容量(ml) E:分子吸光係数 W:測定した試料量(g) (共役数9のカロチノイド:As=440nmのときのパ
ーセント吸光係数ε=3000) (共役数10のカロチノイド:As=453nmのときの
パーセント吸光係数ε=2500) (コエンザイムQ10:As=275nmのときのパーセ
ント吸光係数ε=180) (バクテリオクロロフィル:As=770nmのときのパ
ーセント吸光係数ε=400) (ポルフィリン:As=417nmのときの分子吸光係数
ε=53000) *分子吸光係数:分子1モル/Lの吸光度 *パーセント吸光係数:分子10g/Lの吸光度
【0026】<その他の実験操作の条件>カロチノイド
などの色素は、熱や光によって分解、異性化などが起こ
るため分離精製操作はすべて室温(30℃以下)で行っ
た。また、カラムクロマト等の操作も遮光条件にて行
い、保存に関しては褐色容器を使用した。
【0027】実施例1 集菌した湿菌体75gに色素抽出溶媒としてエタノール
500ml(水溶性溶媒)を加え、懸濁させ再び遠心分離
して上清である色素−エタノール溶液を回収した。次に
エタノール量の10%の水、及びエタノール量の2倍量
のn−ヘキサン(脂溶性溶媒)を加え、分液ロートにて
2相に分液させた。水−エタノール相よりポルフィリン
24.6mg、n−ヘキサン相よりカロチノイドを総量に
して2.55mg、バクテリオクロロフィルを0.95m
g、コエンザイムQ10を15.6mg抽出することがで
きた。
【0028】実施例2 上記n−ヘキサン相を室温で真空蒸留することによって
総カロチノイド量1mg/mlの濃度まで濃縮し、開口カラ
ムクロマトグラフィーによる単一色素の分離精製に用い
た。長さ45cm、内径3cmの開口カラムにn−ヘキサン
及び和光純薬社製シリカゲル、ワコーゲルC−100
(粒径が150〜425μm)100ccを充填し、上記
色素ヘキサン濃縮液をカラムの頂上から2.5ml供給
し、バクテリオクロロフィル以外の色素を吸着させた。
更に、カラム頂上よりn−ヘキサンを供給し、SV=
0.1min-1でバクテリオクロロフィルのみを溶出し
た。溶出した300mlのn−ヘキサンをカラムの底部か
ら回収して真空蒸留にて溶媒を除去し、バクテリオクロ
ロフィルを0.62mg回収した。
【0029】実施例3 次いで、クロロホルムを上記カラムの頂上から供給し、
カラムからカロチノイド類をSV=0.1min-1で溶出
させたところ、溶出時間の異なる3つの黄色のフラクシ
ョンが得られ、溶出されてきた順に第1フラクション、
第2フラクション、第3フラクションとした。溶出した
第1フラクション100ml、第2フラクション200m
l、及び第3フラクション200mlをカラムの底部から
回収して真空蒸留にて溶媒を除去した。その後、各フラ
クションをn−ヘキサン溶液とし、フォトダイオードア
レーを検出機とした液体クロマトグラフィーにて各フラ
クションの成分を分析した結果、第1フラクションには
ノイロスポレン、第2フラクションにはメチルクロロキ
サンチン及びコエンザイムQ10、第3フラクションに
はクロロキサンチン、3,3′,4,4′,7′,8′
−ヘキサヒドロスピリロキサンチン、1′−ヒドロキシ
−3,4,1′,2′−テトラヒドロスファロイデン及
びヒドロキシスファロイデンが含まれることを確認し
た。回収した各フラクションの総カロチノイド量はそれ
ぞれ第1フラクションが0.12mg、第2フラクション
が0.59mg、第3フラクションが0.86mgであっ
た。
【0030】実施例4 実施例1に示した水−エタノール相を真空蒸留にて溶媒
を除去し30mlのn−ヘキサンに溶かした。長さ45c
m、及び内径4cmの開口カラムにn−ヘキサン及び和光
純薬社製シリカゲル、ワコーゲルC−100(粒径が1
50〜425μm)50ccを充填し、上記n−ヘキサン
溶液をカラムの頂上から30ml供給し、ポルフィリンを
吸着させた。更に、カラム頂上よりクロロホルムを供給
し、SV=0.1min-1で夾雑物を溶出した。次いで、
エタノールをカラム頂上からSV=0.1min-1で供給
し、ポルフィリンを溶出した。回収したポルフィリン−
エタノール溶液は真空蒸留によってポルフィリン濃度が
1mg/mlになるまで濃縮し、冷蔵によって沈殿を析出さ
せ、ポルフィリン15.7mgを得た。
【0031】実施例5 長さ30cm、及び内径3cmの開口カラムにヘキサン及び
和光純薬社製シリカゲルC−300(粒径が45〜75
μm)70ccを充填し、先ほど実施例3で回収した第2
フラクションのメチルクロロキサンチン、コエンザイム
Q10を含む色素のヘキサン濃縮液をカラムの頂上から
1ml供給して吸着させた。次いで、クロロホルム:ベン
ゼンが3:1の混合溶媒をカラムの頂上から供給してカ
ラムからメチルクロロキサンチンを含むフラクション5
0ml、及びコエンザイムQ10を含むフラクション10
0mlをSV=0.1min-1で溶出し、真空蒸留にて溶媒
を除去した。回収したメチルクロロキサンチン量は0.
5mg、コエンザイムQ10量は5.4mgであった。
【0032】実施例6 長さ30cm、及び内径3cmの開口カラムにヘキサン及び
和光純薬社製シリカゲルC−300(粒径が45〜75
μm)70ccを充填し、先ほど実施例3で回収した第3
フラクションのクロロキサンチン、3,3′,4,
4′,7′,8′−ヘキサヒドロスピリロキサンチン、
1′−ヒドロキシ−3,4,1′,2′−テトラヒドロ
スファロイデン、ヒドロキシスファロイデンを含むカロ
チノイド色素のヘキサン濃縮液をカラムの頂上から1ml
供給して吸着させた。次いで、1′,2′−ジクロロエ
タンをカラムの頂上から供給してカラムからクロロキサ
ンチンを含むフラクション100ml、3,3′,4,
4′,7′,8′−ヘキサヒドロスピリロキサンチンを
含むフラクション50ml、1′−ヒドロキシ−3,4,
1′,2′−テトラヒドロスファロイデンを含むフラク
ション50ml、ヒドロキシスファロイデンを含むフラク
ション50mlをSV=0.1min-1で溶出し、真空蒸留
にて溶媒を除去した。回収したクロロキサンチン量は
0.58mg、3,3′,4,4′,7′,8′−ヘキサ
ヒドロスピリロキサンチン量は、0.14mg、1′−ヒ
ドロキシ−3,4,1′,2′−テトラヒドロスファロ
イデン量は0.05mg、ヒドロキシスファロイデン量は
0.05mgであった。
【0033】
【発明の効果】本発明方法によれば、光合成細菌から種
々の色素を効率よく分離精製することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀田 康司 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光合成細菌の菌体から水溶性有機溶媒で
    色素を抽出し、得られた抽出液に水及び脂溶性有機溶媒
    を加え、得られた脂溶性有機溶媒相を粒径50〜250
    0μmのシリカゲルに接触させた後、該シリカゲルから
    塩素系溶剤で溶出させることを特徴とするカロチノイド
    類の分離方法。
  2. 【請求項2】 光合成細菌の菌体から水溶性有機溶媒で
    色素を抽出し、得られた抽出液に水及び脂溶性有機溶媒
    を加え、得られた脂溶性有機溶媒相を粒径50〜250
    0μmのシリカゲルに接触させ、シリカゲルへの非吸着
    成分を採取することを特徴とするバクテリオクロロフィ
    ルの分離方法。
  3. 【請求項3】 光合成細菌の菌体から水溶性有機溶媒で
    色素を抽出し、得られた抽出液に水及び脂溶性有機溶媒
    を加え、得られた水溶性有機溶媒相を粒径50〜250
    0μmのシリカゲルに接触させた後、アルコールで溶出
    することを特徴とするポルフィリンの分離方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のカロチノイド類を含む溶
    出液をシリカゲルに接触させた後、芳香族系溶媒から選
    ばれる1種又は2種以上を含有する溶媒で溶出させるこ
    とを特徴とするカロチノイド類とコエンザイムQ10の
    分離方法。
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