JPH11176564A - 溶融金属用浸漬ヒーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】高温において溶融金属に良好に熱を伝達できる
一方、電熱線から溶融金属に通電するおそれのない溶融
金属用浸漬ヒーターを提供する。 【解決手段】電熱線を高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミ
ックスに埋設し、前記電熱線入りの絶縁セラミックスを
耐熱性セラミックス中へ埋設し、前記電熱線のリード線
に高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックスで被覆したこ
とを特徴とする溶融金属用浸漬ヒーター。高温で絶縁抵
抗の高い絶縁セラミックスで成型した管体内に高温で絶
縁抵抗の高い絶縁セラミックスの粉末を装入し、該粉末
の絶縁セラミックス内に電熱線を埋設して構成した発熱
体の１又は複数本を、高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミ
ックスで成型した中空の箱体内に装入して構成した溶融
金属用浸漬ヒーター。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム溶
湯などの金属溶湯中に投入し、加熱源とすることを目的
とした溶融金属用浸漬ヒーターに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来窒化珪素などの耐熱性絶縁材に電熱
線を埋設したアルミニウム溶融用浸漬ヒーターが知られ
ている。

【０００３】

【発明により解決しようとする課題】前記従来のアルミ
ニウム溶融用浸漬ヒーターは、窒化珪素などの耐熱性絶
縁材に電熱線を埋設してあるので、耐熱性絶縁材に亀裂
が入ると、アルミニウムが電熱線に接触し、使用不能に
なる問題点があったので、寿命が著しく短かくなるおそ
れがあると共に、危険を生じるおそれがあった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】然るにこの発明は、電熱
線を複数層の絶縁材で被覆することにより、前記従来の
問題点を解決したのである。

【０００５】即ちこの発明によれば、電熱線を高温で絶
縁抵抗の高い絶縁セラミックスに埋設し、前記電熱線入
りの絶縁セラミックスを耐熱性セラミックス中へ埋設
し、前記電熱線のリード線に高温で絶縁抵抗の高い絶縁
セラミックスで被覆したことを特徴とする溶融金属用浸
漬ヒーターである。また絶縁セラミックスは、単層又は
複層としたものであり、耐熱性セラミックスは、単層又
は複層としたものである。更に電熱線は、絶縁セラミッ
クスの外側に巻きつけ、又はコイル状に巻いた電熱線
を、絶縁セラミックス中に埋設固定して棒状に成形した
ものであり、高温で絶縁抵抗の高い材料よりなる発熱管
内に電熱線を埋設したものである。前記において、電熱
線は複数の異なる絶縁材層中に埋設される。また高温絶
縁抵抗の高い絶縁セラミックスを使用すれば、温度上昇
に伴って、当該絶縁セラミックスを介して通電するおそ
れが低下し、不慮の事故を生じるおそれはない。

【０００６】更にこの発明は、高温で絶縁抵抗の高い絶
縁セラミックスで成型した管体内に高温で絶縁抵抗の高
い絶縁セラミックスの粉末を装入し、該粉末の絶縁セラ
ミックス内に電熱線を埋設して構成した発熱体の１又は
複数本を、高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックスで成
型した中空の箱体内に装入して構成した溶融金属用浸漬
ヒーターであり、また、高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラ
ミックスで成型した中空の箱体内に高温で絶縁抵抗の高
い絶縁セラミックスの粉末を装入し、該粉末の絶縁セラ
ミックス内に電熱線を埋設して構成した溶融金属用浸漬
ヒーターである。

【０００７】この出願において、高温で絶縁抵抗の高い
絶縁セラミックスとしては、セラミックスであって、高
温で高強度、高硬度、高耐食性を有するのみならず、高
温で良好な熱伝導性を示し、更に、高温で良好な電気絶
縁性を示すものを採用することができる。例えば、Ｓｉ
3 Ｎ4 （四窒化三珪素）のような窒化珪素や窒化硼素、
ボロンニトライド（Ｂｏｒｏｎ Ｎｉｔｒｉｄｅ）（Ｂ
Ｎ）、気相成長法によって生成したボロンニトライドの
多結晶体、等、窒化物のセラミックスを用いることがで
きる。

【０００８】

【発明の実施の形態】この発明は、高温絶縁性を有する
セラミックス製管内に電熱線を挿入し、前記セラミック
ス製管をセラミックス材中に埋設した溶融金属用浸漬ヒ
ーターである。前記高温絶縁性を有するセラミックスと
しては、例えば窒化珪素でこの場合は８００℃以上の高
温になっても絶縁抵抗の低下が少なかった。

【０００９】また、この発明は、高温で絶縁抵抗の高い
絶縁セラミックスで成型した管体内に高温で絶縁抵抗の
高い絶縁セラミックスの粉末を装入し、該粉末の絶縁セ
ラミックス内に電熱線を埋設して構成した発熱体の１又
は複数本を、高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックスで
成型した中空の箱体内に装入して構成した溶融金属用浸
漬ヒーターであり、更に、高温で絶縁抵抗の高い絶縁セ
ラミックスで成型した中空の箱体内に高温で絶縁抵抗の
高い絶縁セラミックスの粉末を装入し、該粉末の絶縁セ
ラミックス内に電熱線を埋設して構成した溶融金属用浸
漬ヒーターである。

【００１０】

【実施例１】この発明の実施例を図１、２について説明
する。

【００１１】窒化珪素よりなる絶縁管１内に電熱線２を
挿入して、セラミックス３（例えば炭化珪素）で埋設
し、絶縁発熱管４を得た。前記絶縁発熱管４を、セラミ
ックス製耐熱材５中に埋設してこの発明の浸漬ヒーター
６ができる。図中８はリード線、９は絶縁セラミック
ス、１０は絶縁カバーである。

【００１２】前記実施例は、例示として２層を説明し
た。即ち絶縁管１内へセラミックスを入れるとここだけ
で３層になる。通常２層で十分目的を達成できる。前記
実施例において、セラミックス製耐熱材５に亀裂７が発
生した場合に、溶融アルミニウムが前記亀裂７に沿って
浸入しても、前記絶縁管に達するとその周囲で固化し、
絶縁管１を破壊し、電熱線に付着して絶縁破壊を生じる
おそれはない。

【００１３】

【実施例２】この発明の他の実施例を図３、図４を用い
て説明する。

【００１４】図３は、高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミ
ックスとしてＳｉ3 Ｎ4 を用い、これによって一体成型
した中空の箱体（セラミックス製耐熱材）５の上側開口
から、複数本の発熱体を挿入、懸架してこの発明の浸漬
ヒーター６としたものである。

【００１５】発熱体は、同じくＳｉ3 Ｎ4 で一体成型し
た有底の管１内に、電熱線２を配設し、更に、管１内
に、同じくＳｉ3 Ｎ4 の粉末１１を装入して前記配設さ
れている電熱線２を埋設して構成したものである。この
実施例では、電熱線２はコイル状に配設しているが、こ
れに限られず耐熱性の棒状体に巻き付けたりすることも
できる。

【００１６】他の構成は実施例１と同一であるので、実
施例１（図１、図２）と同一の部分には、同一の符号を
付けてある。

【００１７】この浸漬ヒーター６の複数枚をアルミニウ
ム溶湯などの金属溶湯中に挿入し、電熱線２に通電、発
熱させて、金属溶湯を保温、加熱するための熱源にす
る。

【００１８】電熱線２は、管１内に装入されているＳｉ
3 Ｎ4 の粉末１１に埋設されているので、あるいはＳｉ
3 Ｎ4 の粉末１１に覆われているので、温度上昇による
熱膨張等があっても、自由に動くことができる。一方、
Ｓｉ3 Ｎ4 は高温で良好な熱伝導性を示すので、電熱線
２から発生した熱は、Ｓｉ3 Ｎ4 の粉末１１、管１、箱
体（セラミックス製耐熱材）５を介して、効率よく金属
溶湯に伝えられる。

【００１９】前記の通り、外側の箱体（セラミックス製
耐熱材）５に亀裂が生じた場合であっても、箱体５の外
側から侵入してきた金属溶湯は、箱体５の内壁と管１外
壁との間の空隙にまで到達するだけであるので、侵入し
てきた金属溶湯が電熱線２に接触するおそれはない。

【００２０】この実施例では、箱体（セラミックス製耐
熱材）５の内壁と管１外壁との間は空間となっている
が、電熱線２からの熱伝導をよくするため、この空間に
も、高温で良好な熱伝導性を示すＳｉ3 Ｎ4 の粉末を装
入することができる。また、箱体（セラミックス製耐熱
材）５、管１、粉末１１がいずれも高温で良好な電気絶
縁性を示す物質であるので、箱体５の内壁と管１外壁と
の間の空間には、電気絶縁性を問題にせずに、熱伝導性
のよい耐熱性物質の粉末を装入しておくこともできる。

【００２１】一方、前記の通り、箱体（セラミックス製
耐熱材）５の外側から金属溶湯が侵入してきても、管１
外壁によって、電熱線２との接触は妨げられるので、管
１内にＳｉ3 Ｎ4 粉末を装入せず、管１の空間内に電熱
線２のみを配設する構成とすることもできる。金属溶湯
が侵入してきて管１外壁に接触した場合であって、その
一方、電熱線２が熱膨張等によって管１内壁に接触した
時でも、Ｓｉ3 Ｎ4 は高温で良好な電気絶縁性を示すの
で、電熱線２から管１外壁に接触している金属溶湯に通
電するおそれはない。

【００２２】また、Ｓｉ3 Ｎ4 の高温での良好な電気絶
縁性を考慮すれば、管１を、高温で高強度、高硬度、高
耐食性を有する従来公知の材質で成型しておいても、当
該管１にＳｉ3 Ｎ4 粉末を装入して、電熱線２を埋設す
る構成としておけば、同じく、電熱線２から管１外壁に
接触している金属溶湯に通電することを防止できる。

【００２３】更に、管１をＳｉ3 Ｎ4 で成型し、管１内
に装入する粉末は、良好な熱伝導性を有する従来公知の
耐熱性を有する物質で構成することもできる。これによ
ってもＳｉ3 Ｎ4 製の管１によって高温での良好な電気
絶縁性が発揮され、一方、電熱線２は、管１内に装入さ
れている耐熱性の粉末物質のに埋設されているので、あ
るいは覆われているので、温度上昇による熱膨張等があ
っても、自由に動くことができる。また、電熱線２から
の熱伝導も良好にできる。

【００２４】

【実施例３】この発明の他の実施例を図５、図６を用い
て説明する。

【００２５】図５、図６に示す実施例は、前記実施例２
における管１を省いて構成したものである。すなわち、
高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックスとしてＳｉ3 Ｎ
4 を用い、これによって一体成型した中空の箱体（セラ
ミックス製耐熱材）５の上側開口から、Ｓｉ3 Ｎ4 の粉
末１１を装入し、この粉末の中に、電熱線２を埋設して
この発明の浸漬ヒーター６としたものである。

【００２６】他の構成は実施例１と同一であるので、実
施例１（図１、図２）と同一の部分には、同一の符号を
付けてある。

【００２７】電熱線２は、箱体５（セラミックス製耐熱
材）内に装入されているＳｉ3 Ｎ4の粉末１１に埋設さ
れているので、温度上昇による熱膨張等があっても、自
由に動くことができる。一方、Ｓｉ3 Ｎ4 は高温で良好
な熱伝導性を示すので、電熱線２から発生した熱は、Ｓ
ｉ3 Ｎ4 の粉末１１、箱体（セラミックス製耐熱材）５
を介して、効率よく金属溶湯に伝えられる。

【００２８】箱体５に亀裂が生じた場合であっても、箱
体（セラミックス製耐熱材）５の外側から侵入してきた
金属溶湯は、電熱線２を取り巻いているＳｉ3 Ｎ4 の粉
末１１によって侵入が阻止されるので、電熱線２に接触
するおそれはない。

【００２９】また、Ｓｉ3 Ｎ4 のような、窒化珪素等、
窒化物のセラミックスは、高温で良好な電気絶縁性を示
すのみならず、高温で高強度、高硬度、高耐食性を有す
るので、箱体５（セラミックス製耐熱材）外壁に亀裂を
生じることは少なく、箱体５内にＳｉ3 Ｎ4 粉末を装入
せずに、箱体５の中空内に電熱線２を懸架しておくのみ
の構成とすることもできる。あるいは、Ｓｉ3 Ｎ4 粉末
に代えて、良好な熱伝導性を有する従来公知の耐熱性を
有する物質からなる粉状体を箱体５内に装入し、この耐
熱性を有する粉状体内に電熱線２を埋設する構成とする
こともできる。

【００３０】いずれにしても、Ｓｉ3 Ｎ4 の高温で良好
な電気絶縁性によって、電熱線２から金属溶湯に通電す
るおそれはない。

【００３１】この実施例では、電熱線２はコイル状に配
設しているが、これに限られず耐熱性の棒状体に巻き付
けたりすることもできる。

【００３２】

【発明の効果】この発明によれば、電熱線を複数層のセ
ラミックスで被覆したので、セラミックス層に亀裂が入
って、溶融アルミニウムが浸入しても、セラミックスと
速かに化合して固化し、電熱線にアルミニウムが付着す
るおそれがないなどの諸効果がある。

【００３３】また、Ｓｉ3 Ｎ4 （四窒化三珪素）のよう
な窒化珪素や窒化硼素、ボロンニトライド（Ｂｏｒｏｎ
Ｎｉｔｒｉｄｅ）（ＢＮ）、気相成長法によって生成
したボロンニトライドの多結晶体、等の窒化物のセラミ
ックスのように、高温で高強度、高硬度、高耐食性を有
するのみならず、高温で良好な熱伝導性を示し、更に、
高温で良好な電気絶縁性を示すものを高温で絶縁抵抗の
高い絶縁セラミックスとして採用し、この粉末で、電熱
線を埋め込む、あるいは覆い、さらにこれで成型した
管、箱体の中に、電熱線を配設したので、電熱線から発
生した熱を効率よく金属溶湯に伝えることができる一
方、電熱線から金属溶湯に通電するおそれはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例の一部を破切した正面図。

【図２】同じく一部を省略した側面図。

【図３】この発明の他の実施例の一部を破切した正面
図。

【図４】同じく一部を省略した側面図。

【図５】この発明の更に他の実施例の一部を破切した正
面図。

【図６】同じく一部を省略した側面図。

【符号の説明】

１ 絶縁管 ２ 電熱線 ３ セラミックス ４ 発熱管 ５ セラミックス製耐熱材 ６ 浸漬ヒーター ７ 亀裂 １１ 絶縁セラミックスの粉末

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電熱線を高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラ
   ミックスに埋設し、前記電熱線入りの絶縁セラミックス
   を耐熱性セラミックス中へ埋設し、前記電熱線のリード
   線を高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックスで被覆した
   ことを特徴とする溶融金属用浸漬ヒーター。
2. 【請求項２】 絶縁セラミックスは単層又は複層とした
   請求項１記載の溶融金属用浸漬ヒーター。
3. 【請求項３】 耐熱性セラミックスは単層又は複層とし
   た請求項１記載の溶融金属用浸漬ヒーター。
4. 【請求項４】 電熱線は、絶縁セラミックスの外側に巻
   きつけ、又はコイル状に巻いた電熱線を、絶縁セラミッ
   クス中に埋設固定して棒状に成形したことを特徴とする
   請求項１記載の溶融金属用浸漬ヒーター。
5. 【請求項５】 高温で絶縁抵抗の高い材料よりなる発熱
   管内に電熱線を埋設したことを特徴とする請求項１記載
   の溶融金属用浸漬ヒーター。
6. 【請求項６】 高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックス
   で成型した管体内に高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミッ
   クスの粉末を装入し、該粉末の絶縁セラミックス内に電
   熱線を埋設して構成した発熱体の１又は複数本を、高温
   で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックスで成型した中空の箱
   体内に装入して構成した溶融金属用浸漬ヒーター。
7. 【請求項７】 高温で絶縁抵抗の高い絶縁セラミックス
   で成型した中空の箱体内に高温で絶縁抵抗の高い絶縁セ
   ラミックスの粉末を装入し、該粉末の絶縁セラミックス
   内に電熱線を埋設して構成した溶融金属用浸漬ヒータ
   ー。