JPH11172525A - ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる繊維 - Google Patents
ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる繊維Info
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- JPH11172525A JPH11172525A JP9345766A JP34576697A JPH11172525A JP H11172525 A JPH11172525 A JP H11172525A JP 9345766 A JP9345766 A JP 9345766A JP 34576697 A JP34576697 A JP 34576697A JP H11172525 A JPH11172525 A JP H11172525A
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Abstract
メチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリ
エステル樹脂組成物であって、トリメチレンテレフタレ
ート環状ダイマーを1〜5wt%含有するポリエステル
樹脂組成物、及び該ポリエステルで構成された、ポリエ
ステル繊維。 【効果】 本発明のポリエステル繊維は、発色性に優れ
ると同時にポリトリメチレンテレフタレート繊維が本来
持っている、ソフトな風合い、優れた弾性回復性、易染
性、耐光性、熱セット性、寸法安定性、低吸水率といっ
た特性を持つ画期的な繊維である。従って、特にインナ
ー、アウター、裏地、スポーツ、レッグ向け用途に有用
である。
Description
合物を特定量含有せしめた、発色性に優れたポリトリメ
チレンテレフタレート樹脂組成物、それからなる繊維、
及びその織編物に関する。
ルに代表されるテレフタル酸の低級アルコールエステル
と、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオー
ル)を重縮合させて得られるポリトリメチレンテレフタ
レートは、低弾性率(ソフトな風合い)、優れた弾性回
復性、易染性といったポリアミドに類似した性質と、耐
光性、熱セット性、寸法安定性、低吸水率といったポリ
エチレンテレフタレートに類似した性能を併せ持つ画期
的なポリマーであり、その特徴を生かしてBCFカーペ
ット、ブラシ、テニスガット等に応用されている(特開
平9−3724号公報、特開平8−173244号公
報、特開平5−262862号公報)。
ト繊維を用いると、耐光性、熱セット性等の性能が低い
というポリアミド繊維の性質が改良されると同時に、低
弾性率(ソフトな風合い)、優れた弾性回復性、易染性
といったポリアミド類似の繊維を提供することが可能と
なるために、既存のポリアミド繊維を凌駕できる可能性
が高い。
チレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートと
同様の方法で重合することができる。すなわち、ポリト
リメチレンテレフタレートの重合は、まず、下記式
(2)で示されるエステル交換反応を常圧あるいは加圧
下で加熱しながら行い、その後、下記式(3)で示され
る重縮合反応を減圧下で行うことにより達成ができる。
これらの2種の反応には、チタンのアルコキサイド等の
何らかの触媒を添加することが知られている。
ンゼン環) ポリトリメチレンテレフタレートの重合段階で種々の不
純物が生成することはすでに知られている。
エステル交換反応触媒としてチタン触媒、重縮合触媒と
してアンチモン触媒を用いることが提案されている(ケ
ミカル ファイバー インターナショナル 第45巻
263〜264ページ 1996年)。この文献では副
生成物の発生についても触れられており、ポリトリメチ
レンテレフタレートにはオリゴマーが1.6〜3.2%
含有され、これらの不純物が紡糸工程や染色工程で問題
になることが示されている。また、重合過程での廃ガス
として生成する揮発成分(ポリマーに含まれるものでは
ない)については共に0.2〜0.3%のアリルアルコ
ール、アクロレインの生成が報告されている。しかしな
がら、これらの不純物が製品に与える影響については全
く問題認識されていない。
生成する白粉を少なくし、糸切れを抑制するために、常
法で得たポリトリメチレンテレフタレートを減圧下、1
90〜200℃程度で固相重合を行い、極限粘度が0.
9以上、b値(チップの黄色みの判断指標)が10以
下、オリゴマー含有率が1重量%以下のポリトリメチレ
ンテレフタレート樹脂を提案している(特開平8−31
1177号公報)。
リトリメチレンテレフタレートに含まれるオリゴマーは
紡糸工程、後加工工程で糸切れ要因となるために、低減
させたい対象物質として考えられてきた。しかしなが
ら、本発明者らはこれらの不純物の紡糸、繊維物性に与
える影響を詳細に検討した結果、驚くべきことに不純物
であるオリゴマーの中に含まれるトリメチレンテレフタ
レート環状ダイマーをその特定量を積極的に繊維中に含
有させると、紡糸性、加工性を実質的に低下させること
なく、発色性を大幅に向上できることを見いだした。
性を向上させたポリトリメチレンテレフタレート樹脂組
成物、及びそれからなる繊維を提供することである。
チレンテレフタレートの重合、チップ化、乾燥、紡糸、
後加工条件を詳細に検討した結果、特にポリマーの重合
工程、乾燥工程を制御することで、紡糸性、後加工性を
悪くすることなく、ポリトリメチレンテレフタレート繊
維の染色性を向上できる可能性を見いだし、更に詳細に
検討した結果、本発明に到達した。
る酸成分とし、トリメチレングリコールを主たるグリコ
ール成分とするポリエステル樹脂組成物であって、水分
率が10〜100ppmであり、トリメチレンテレフタ
レート環状ダイマーを1〜5wt%含有するポリエステ
ル樹脂組成物を提供するものであり、また、テレフタル
酸を主たる酸成分とし、トリメチレングリコールを主た
るグリコール成分とするポリエステルから構成された繊
維であって、トリメチレンテレフタレート環状ダイマー
を1〜5wt%含有するポリエステル繊維を提供するも
のである。
組成物は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、トリメチ
レングリコールを主たるグリコール成分とするポリエス
テル樹脂組成物である。そして該ポリエステルには、カ
チオン染料に対する染色性を付与させるために、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸や5−スルホイソフタル酸
テトラブチルホスホニウム塩を、より低温での染色性を
付与するために平均分子量400〜20000のポリア
ルキレングリコール、イソフタル酸、ブタンジオール、
エチレングリコールを2〜10wt%共重合してもよ
い。
ば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍
光増白剤などを共重合、または混合してもよい。本発明
のポリエステル繊維は、トリメチレンテレフタレート環
状ダイマー(以下、CDと略記する)を1〜5wt%含
有することが必要である。尚、CDとは、下記構造式
(1)で示されるものである。
含有されていることで優れた発色性を発現することであ
る。この理由については明らかではないが、繊維の非晶
部分に拡散したCDが非晶部をルーズにする結果、染料
が入りやすい構造になることと、繊維の屈折率が低下す
るために同じ染料吸尽率でも発色性が向上しやすくなっ
ていることがその原因であると推定される。CDの含有
量が1wt%未満では発色性の向上効果が小さく、また
5wt%を越えると製織、製編時に加工機に大量のCD
が析出して製織性、製編性が悪くなる。発色性と製織
性、製編性を満足する観点から好ましいCDの含有量は
2〜4wt%、更に好ましくは2.5〜3.5wt%の
範囲である。
重縮合すると、CD以外に、線状ダイマー、環状、線状
のトリマー、テトラマー等のオリゴマーも生成する場合
があるが、もちろんこれらが本発明のポリエステル繊維
に含まれていてもよい。これらの総量としては、0.0
01〜3wt%程度であるが、紡糸性の向上の観点から
はできるだけ少ない方がよい。
[η]は0.4〜2.0、好ましくは0.5〜1.5、
更に好ましくは0.6〜1.2の範囲である。この範囲
で、強度、紡糸性に優れた繊維を得ることができる。極
限粘度が0.4未満の場合は、ポリマーの溶融粘度が低
すぎるため紡糸が不安定となり、得られる繊維の強度も
低く満足できるものではない。逆に極限粘度が2.0を
越える場合は、溶融粘度が高すぎるために紡糸時にメル
トフラクチャーや紡糸不良が生じる。
チレンテレフタレートを製造する方法としては、チップ
にCDをまぶす方法、粉状にしたポリマーにCDをまぶ
す方法、一度ポリマーをo−クロロフェノール、ヘキサ
フルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸等の溶剤
に溶かしてからCDを加え溶剤を留去する方法等、特に
制限はないが、より簡便に低コストで行うことができ
る、もっとも好ましい方法を以下に述べる。
重合する段階で自然に生成し得られたポリマー内に2〜
4wt%程度含まれるのでそのまま使用すればよいので
あるが、重合、紡糸、後加工を極めて限られた特定の条
件で行わないと本発明で規定する含有量を規制できない
ことが本発明者らの検討で判明した。なぜならば、CD
は極めて昇華性、溶解性が高く、熱を付与する、低圧に
さらす、溶剤にさらすといった操作で容易に繊維から抜
け出すといった問題があるからである。従って、本発明
の繊維の製造においては、湿式紡糸、乾式紡糸といった
溶剤を使用する方法は溶剤を用いるために使用できず、
溶融紡糸を適用する必要がある。
/又は低圧(真空)下で行う乾燥工程を経るために、こ
の段階でCDが昇華して大きく減少してしまい、CDを
本発明で規定した含有量を下回る場合がある。ところ
が、詳細な検討の結果、特に、ポリマーの重合工程、そ
の後の乾燥工程を特定の条件で行うことでポリトリメチ
レンテレフタレート中のCDの含有量を本発明で規定し
た範囲に納めることに成功した。
て述べる。
ルとトリメチレングリコールを原料とし、チタンテトラ
ブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、酢酸カル
シウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、
酢酸マンガンといった金属塩の1種あるいは2種以上を
0.03〜0.3wt%加え、常圧下あるいは加圧下で
200〜240℃の条件下、エステル交換率90〜98
%でビスヒドロキシプロピルテレフタレートを得、次
に、チタンテトライソプロピキシド、チタンテトラブト
キシド、三酸化アンチモンといった触媒の1種あるいは
2種以上を0.03〜0.15wt%、好ましくは0.
03〜0.1wt%添加し、250〜290℃、減圧下
で重縮合反応させる。
リマーへの含有量を高められる点で好ましいが、250
℃未満では重合速度が遅すぎて繊維に必要な重合度にな
る前にポリマーが熱劣化するので適用できない。また、
290℃を越える温度では分解のための黄変が生じる。
好ましくは250〜270℃の範囲である。重合の任意
の段階で、好ましくは重縮合反応の前に安定剤を添加す
ることが白度の向上、ポリトリメチレンテレフタレート
オリゴマーやアクロレイン、アリルアルコールといった
分子量が300以下の有機物の生成を制御できる観点で
好ましい。
または3価のリン化合物やヒンダードフェノール系化合
物が好ましい。5価または/および3価のリン化合物と
しては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェ
ート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェ
ート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイ
ト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイ
ト、リン酸、亜リン酸等が挙げられ、特に、トリメチル
ホスファイトが好ましい。
ノール系水酸基の隣接位置に立体障害を有する置換基を
持つフェノール系誘導体であり、分子内に1個以上のエ
ステル結合を有する化合物である。具体的には、ペンタ
エリスリトール−テトラキス[3(3,5−ジ−tertブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメ
チル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス
{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジ
メチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−te
rt−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼ
ン)イソフタル酸、トリエチルグリコール−ビス[3
(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−
ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチ
レン−ビス[3(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]を例示しうる。中でもペンタエリ
スリトール−テトラキス[3(3,5−ジ−tertブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好まし
い。
ましい乾燥条件について述べる。溶融紡糸を行う前には
ポリマーの乾燥が必要である。ポリマーに含まれる水分
量が100ppmを越えるとポリマーが紡糸段階で加水
分解を受け重合度が低下し、強度の大幅な低下が起こ
る。そこで、重合で得られたポリマーを加熱して水分を
10〜100ppm、好ましくは10〜50ppmの範
囲になるように加熱乾燥する。加熱方法としては、空気
中で乾燥する場合は140〜170℃、窒素中で乾燥す
る場合は140〜220℃で行う。CDは極めて昇華し
やすいために、100℃以上の雰囲気でポリマー表面か
ら容易に昇華するが、密閉に近い状態で乾燥すると実質
問題になる程度のCDは失われない。
なく、できる限り密閉系で乾燥することが好ましい。こ
の場合、雰囲気ガスに取り込まれた水分は、モレキュラ
ーシーブス等の乾燥剤を通して取り除き、該雰囲気ガス
を再循環させることが好ましい。また、必要に応じて乾
燥されるポリマーは撹拌羽根等を用いて撹拌することが
好ましい。尚、ここで大切なことは乾燥を真空下で行な
わないことである。真空下で乾燥するとCDの昇華が促
進されポリマー中のCD量が減少する他、大量に昇華し
たCDが乾燥機内壁で再結晶化(結晶形態は針状で、長
軸の大きさは2〜3mmから、長い物は10mmを越え
る)し、装置の振動でポリマー中に落下し混ざって紡糸
安定性、CD混入率のむらを生じることになる。
くなるため、長時間乾燥する必要があり、CDが昇華す
る量が多くなる。また、空気中で170℃以上で乾燥す
ると着色が起こる。窒素中では220℃を越えるとチッ
プが接着し、団子状になる。好ましい温度は空気中では
140〜160℃、窒素中では140〜170℃であ
る。乾燥時間は温度、乾燥機によって変わるが、通常1
〜24時間であり特に制限はない。尚、乾燥時間はどの
チップについても±30分の範囲で同じ時間乾燥させる
必要がある。紡糸は通常連続的に何日も行われるが、乾
燥時間がチップによってばらつくと、CDの含有量にば
らつきが生じ、紡糸した日によって糸の発色性が異なる
ことになる。尚、CDの含有量は乾燥時間、温度を変化
させると、所望する含有量に設定することが可能とな
る。
ことによって、CDを特定量に規定した本発明のポリエ
ステル繊維の原料となるポリトリメチレンテレフタレー
ト樹脂組成物を得ることができる。本発明のポリエステ
ル繊維はマルチフィラメント、モノフィラメント等の長
繊維または短繊維のいずれであってよい。本発明のポリ
エステル繊維の繊度としては特に制限はないが、0.0
1〜3000dの範囲である。また、断面形状は丸型、
三角型、扁平、星形等制限はなく、中実繊維であって
も、中空繊維であってもよい。また、スパンボンド不織
布、メルトブロー不織布などの不織布であってもよい。
繊維の製法を説明する。本発明のポリエステル繊維がフ
ィラメントである場合は、紡口より押出した溶融マルチ
フィラメントを保温領域を通過させた後、冷却して固体
マルチフィラメントとした後に巻き取り、次いで延伸を
行うことにより得ることができる。ここで巻き取った後
に延伸を行うとは、紡糸を行った後にボビン等に巻き取
り、この糸を別の装置を用いて延伸する、いわゆる通常
法や、紡口より押し出されたポリマーが完全に冷却固化
した後、一定の速度で回転している第一ロールに数回以
上巻き付けられることにより、ロール前後での張力が全
く伝わらないようにし、第一ロールと第一ロールの次に
設置してある第二ロールとの間で延伸を行うような、紡
糸−延撚工程を直結したいわゆる直延法をいう。
溶融紡糸する際の紡糸温度は230〜320℃、好まし
くは235〜300℃、更に好ましくは240〜280
℃の範囲が適当である。紡糸温度が230℃未満では、
温度が低過ぎて安定した溶融状態になり難く、得られた
繊維の斑が大きくなり、また、満足し得る強度、伸度を
示さなくなる。また、紡糸温度が320℃を越えると熱
分解が激しくなり、得られた糸は着色し、また満足し得
る強度、伸度を示さなくなる。
雰囲気温度に保持した長さ2〜80cmの保温領域であ
ることが好ましい。保温領域を用いることで昇華したC
Dが紡口周りで析出することが阻止でき、紡糸性を向上
させることが可能となる。好ましい温度は50〜150
℃、好ましい長さは5〜30cmである。糸の巻き取り
速度については、特に制限はないが、通常3500m/
min以下、好ましくは1000〜3000m/min
で巻き取る。巻取速度が3500m/minを越える
と、巻き取る前に結晶化が進み過ぎ、延伸行程で延伸倍
率を上げることができないために分子を配向させること
ができず、十分な糸強度や弾性回復率を得ることができ
なかったり、捲き締まりが起こり、ボビン等が巻取機よ
り抜けなくなってしまったりする。
2.2〜3.7倍、更に好ましくは、2.5〜3.5倍
がよい。延伸倍率が2倍以下では、延伸により十分にポ
リマーを配向させることができず、得られた糸の強度が
低いものとなってしまう。また4倍以上では糸切れが激
しく、安定して延伸を行うことができない。延伸の際の
温度は延伸ゾーンでは30〜80℃、好ましくは35〜
70℃、更に好ましくは40℃〜65℃の範囲である。
延伸ゾーンの温度が30℃未満では延伸の際に糸切れが
多発し、連続して繊維を得ることができない。また80
℃を越えると延伸ロールなどの加熱ゾーン対する繊維の
滑り性が悪化するため単糸切れが多発し、毛羽だらけの
糸になってしまう。
る。この熱処理は90〜200℃であり、好ましくは1
00〜190℃、更に好ましくは110〜190℃の範
囲で行う。熱処理温度が90℃未満では繊維の結晶化が
十分に起こらず、耐久性が悪化する。また、200℃よ
り高い温度では繊維が熱処理ゾーンで切れてしまい延伸
することができない。また、熱処理温度が160〜20
0℃であっても弛緩状態では毛羽や糸切れが生じる。
としては特に制限されないが、例示するならば、強度
3.5g/d以上、伸度20〜50%、弾性率Q(g/
d)と20%伸長時の弾性回復率R(%)の関係が下記
式(1)を満足する。 0.20≦Q/R≦0.45 ・・・式(1) Q/R>0.45では弾性率が高すぎるために、ソフト
な風合いが得られないか、あるいは弾性回復性が不足
し、一度応力が加わって変形した繊維は元に戻らなくな
ってしまい、形態安定性の悪い布帛しか得ることができ
なかったりする。逆に、Q/R<0.20となる領域は
実質存在しないため、本発明においては、0.20をQ
/Rの下限界としている。式(1)の範囲となり得る具
体的な弾性率は通常25〜40g/d、弾性回復率は8
0〜99%である。
来公知の方法を用いて、単独あるいは、再生セルロース
繊維、ウール、絹、ポリウレタン繊維等の弾性繊維、ア
セテート繊維と混用されて製編織され、その後、精練、
プレセット、染色、ファイナルセットを施し、樹脂加工
等の後加工を施してもよい。他の繊維との混用方法とし
ては、糸の段階で交撚、合糸。交絡したり、それぞれの
繊維の交編織が挙げられる。得られる布帛の形態、混用
方法については、特に制限はなく、従来公知の方法を用
いることができる。例えば、交織織物、リバーシブル織
物等の織物、トリコット、ラッセル等の編物などが挙げ
られる。
り詳細に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例な
どにより何ら限定されるものでない。尚、実施例中の主
な測定値は以下の方法で測定した。 (1)樹脂組成物の水分率 チップ1gを使用し、カールフィッシャー水分計(京都
電子(株)製 MKC−210)を用いて公知の方法に
て測定した。
値である。
ルで溶解したポリエステルポリマーの希釈溶液の35℃
での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で
割った値であり、相対粘度と定義されているものであ
る。また、Cは上記溶液100ml中のグラム単位によ
る溶質重量値である。
ロロホルムで50時間抽出し、得られた残査からCDを
高速液体クロマトグラフィーを用い定量した。CDの含
有量は用いた繊維試料に対するCDの重量%で示した。 (4)弾性回復率 弾性回復性は、下記の方法で得られる弾性回復率として
求めた。繊維をチャック間距離20cmで引っ張り試験
機に取り付け、伸長率20%まで引っ張り速度20cm
/minで伸長し1分間放置する。この後、再び同じ速
度で元の長さまでもどし(L)、この時応力がかかって
いる状態でのチャックの移動距離(残留伸び:L’)を
読みとり、以下の式に従って求めた。 弾性回復率=(L−L’)/L×100
3−プロパンジオール1:2のモル比で仕込み、理論ポ
リマー量の0.1wt%に相当するチタンテトラブトキ
シドを加え、徐々に昇温し240℃でエステル交換反応
を完結させた。得られたエステル交換反応物に、更にチ
タンテトラブトキシドを理論ポリマー量の0.1wt%
添加し、250℃で3時間重縮合反応させた。得られた
ポリマーの極限粘度は0.8であった。
ロイソプロパノール5mlに溶解させた後、クロロホル
ム10mlとアクリロニトリル100mlの混合溶剤に
投入し、析出したポリマーを濾別した後、母液を高速液
体クロマトグラフィーで分析しCDの含有量を求めたと
ころ、2.6wt%であった。CDを得るために、下記
実施例1のポリマーをオートクレーブに仕込み、260
℃の溶融状態で0.1torrの減圧下、10時間処理
した。オートクレーブの蓋の内側に析出した針状結晶を
集め、キシレンを用いて繰り返し再結晶した。こうして
得られたCDは純度99%以上であった。
素雰囲気下、160℃で3時間、循環式乾燥機を用い
て、水分率50ppmまで乾燥を行った。得られた乾燥
ポリマーに細かく砕いたCDを2wt%相当量をまぶ
し、押出機に投入し270℃で押し出し、100℃、5
cmの保温領域を通過後、1600m/minで巻き取
った。得られた未延伸糸をホットプレート55℃、ホッ
トプレート140℃を通しながら、2.7倍延伸した。
得られた繊維はCDを4.2wt%含有しており、物性
は、強度4.0g/d、伸度27%、弾性率21%、弾
性回復率88%、Q/Rが0.24であった。得られた
繊維の一口編地をスミカロンブルーR−3RF(分散染
料、住友化学製:商品名)を5.8%owf用いて、分
散剤としてニッカサンソルト7000(日華化学製:商
品名)存在下、pH5.6で110℃、60分染色を行
った。染料の吸尽率は92%と良好であり、得られた編
地は濃色に染まっていた。
ロホルムを用いて、CD含有率が0.2wt%になるま
でCDを抽出した。実施例1と同様に染色を行ったとこ
ろ、吸尽率は45%であり、淡色にしか染まっていなか
った。
素雰囲気下、160℃で3時間、循環式乾燥機を用い
て、水分率50ppmまで乾燥を行った。押出機に投入
し270℃で押し出し、100℃、5cmの保温領域を
通過後、1600m/minで巻き取った。得られた未
延伸糸をホットプレート55℃、ホットプレート140
℃を通しながら、2.7倍延伸した。得られた繊維はC
Dを2.0wt%含有しており、物性は、強度4.0g
/d、伸度25%、弾性率23%、弾性回復率87%、
Q/Rが0.26であった。実施例1と同様の染色を行
ったところ、吸尽率は85%であった。
下、160℃で8時間乾燥させた。実施例1と同様に紡
糸し、染色を行ったところ、CDの含有率は0.4wt
%であり、吸尽率は57%と低いものであった。
気雰囲気下、160℃で8時間、循環式乾燥機を用い
て、水分率40ppmまで乾燥を行った。押出機に投入
し270℃で押し出し、100℃、5cmの保温領域を
通過後、1600m/minで巻き取った。得られた未
延伸糸をホットプレート55℃、ホットプレート140
℃を通しながら、2.7倍延伸した。得られた繊維はC
Dを1.3wt%含有しており、物性は、強度4.0g
/d、伸度25%、弾性率23%、弾性回復率87%、
Q/Rが0.26であった。実施例1と同様の染色を行
ったところ、吸尽率は75%であり、十分に濃色であっ
た。
の初期に表1のコモノマーを共重合し、実施例2に準じ
て紡糸、染色を行った。これらのポリエステル繊維はい
ずれも良好な染色性を示した。
下、160℃で8時間乾燥させた。実施例1と同様に紡
糸し、染色を行ったところ、CDの含有率は0.3wt
%であり、吸尽率は48%と低いものであった。
6fのポリエステル繊維を経糸に用い、緯糸に75d/
44fの銅アンモニアレーヨンを用いて、平織物を作成
した。この平織物を常法により精錬、マーセル化した。
マーセル化加工は常温下、75%の水酸化ナトリウム水
溶液に浸して行った。中和、水洗、180℃、30秒の
プレセット後、キャリヤーを用いずに、分散染料と、反
応染料による一段一浴染色を行った。分散染料として
は、カヤロンポリエステルブルーBRSF(日本化薬社
製:商品名)、反応染料としては、ドリマレンブルーX
−SGN(サンド社製:商品名)を用いた。分散剤はデ
ィスパーTL(明成化学社製:商品名)を1g/l使用
し、硫酸ナトリウム50g/lと炭酸ナトリウム15g
/lを加え、pHを11に調整した水溶液に染料を加え
て染液とした。濃度2%owf、浴比1:50で100
℃、1時間染色を行った。染色後、グランアップP(三
洋化成社製:商品名)1g/l、浴比1:50で80
℃、10分間ソーピングした。染色後、常法により仕上
げを行った。得られた染色物は均一かつ濃色に染色され
ており、風合いもソフトで良好であった。比較のため
に、比較例1で得た繊維を用いて同様の検討を行ったと
ころ、得られた布帛は淡色にしか染まっていないもので
あった。
維と210デニールのポリウレタン系ストレッチ繊維ロ
イカ(旭化成工業製:商品名)を用いて経編地を作成し
た。この場合、ゲージは28G、ループ長は、ポリエス
テル繊維が1080mm/480コース、ストレッチ繊
維が、112mm/480コースとし、打ち込み密度を
90コース/インチとした。また、ポリエステル繊維の
混率は75.5%に設定した。
精錬し、160℃、1分間乾熱セットした。カヤクリル
ブラックBSED(カチオン染料、日本化薬製:商品
名)を8%owf、硫酸ナトリウム3g/リットル存在
下、酢酸でpHを4に調整して、浴比1:30で100
℃、60分間染色を行った。得られた布帛の黒色明度L
値は10.9であり、濃色に染まっていた。比較のため
に、比較例3の得た繊維を用いて同様の検討を行ったと
ころ、得られた布帛の黒色明度L値は14.1と悪く、
高級感に欠けるものであった。
優れると同時にポリトリメチレンテレフタレート繊維が
本来持っている、ソフトな風合い、優れた弾性回復性、
易染性、耐光性、熱セット性、寸法安定性、低吸水率と
いった特性を持つ画期的な繊維である。従って、特にイ
ンナー、アウター、裏地、スポーツ、レッグ向け用途に
有用である。
Claims (6)
- 【請求項1】 テレフタル酸を主たる酸成分とし、トリ
メチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリ
エステル樹脂組成物であって、水分率が10〜100p
pmであり、トリメチレンテレフタレート環状ダイマー
を1〜5wt%含有するポリエステル樹脂組成物。 - 【請求項2】 テレフタル酸を主たる酸成分とし、トリ
メチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリ
エステルから構成された繊維であって、トリメチレンテ
レフタレート環状ダイマーを1〜5wt%含有するポリ
エステル繊維。 - 【請求項3】 強度3.5g/d以上、伸度20〜50
%、弾性率Q(g/d)と20%伸長時の弾性回復率R
(%)の関係が下記式(1)を満足する請求項2記載の
ポリエステル繊維。 0.20≦Q/R≦0.45 ・・・式(1) - 【請求項4】 5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5
−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、平
均分子量400〜20000のポリアルキレングリコー
ル、イソフタル酸、ブタンジオール、エチレングリコー
ルから選ばれた少なくとも1種を2〜10wt%共重合
したことを特徴とする請求項2記載のポリエステル繊
維。 - 【請求項5】 請求項1記載の繊維を一部或いは全部に
使用した織編物。 - 【請求項6】 分散染料或いはカチオン染料で染色され
た請求項4記載の織編物の染色物。
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JP34576697A JP3836234B2 (ja) | 1997-12-02 | 1997-12-02 | ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる繊維 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001081447A3 (en) * | 2000-04-21 | 2002-02-07 | Shell Int Research | Optimum dipropylene glycol content polytrimethylene terephthalate compositions |
US6576340B1 (en) | 1999-11-12 | 2003-06-10 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Acid dyeable polyester compositions |
CN100396830C (zh) * | 2001-04-17 | 2008-06-25 | 旭化成株式会社 | 聚酯系复合纤维的假捻加工丝及其制造方法 |
-
1997
- 1997-12-02 JP JP34576697A patent/JP3836234B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2001081447A3 (en) * | 2000-04-21 | 2002-02-07 | Shell Int Research | Optimum dipropylene glycol content polytrimethylene terephthalate compositions |
CN100396830C (zh) * | 2001-04-17 | 2008-06-25 | 旭化成株式会社 | 聚酯系复合纤维的假捻加工丝及其制造方法 |
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