JPH11172349A - 耐熱性合金及びそれを用いたガラス繊維紡糸用ブッシング - Google Patents

耐熱性合金及びそれを用いたガラス繊維紡糸用ブッシング

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JPH11172349A
JPH11172349A JP33703297A JP33703297A JPH11172349A JP H11172349 A JPH11172349 A JP H11172349A JP 33703297 A JP33703297 A JP 33703297A JP 33703297 A JP33703297 A JP 33703297A JP H11172349 A JPH11172349 A JP H11172349A
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ruthenium
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JP33703297A
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Satoshi Nishikawa
智 西川
Keiichiro Matsushita
桂一郎 松下
Hidetoshi Fukuchi
英俊 福地
Koji Maeda
浩司 前田
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Furuya Metal Co Ltd
Nippon Glass Fiber Co Ltd
Original Assignee
Furuya Metal Co Ltd
Nippon Glass Fiber Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
    • C03B37/08Bushings, e.g. construction, bushing reinforcement means; Spinnerettes; Nozzles; Nozzle plates
    • C03B37/095Use of materials therefor

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリープ強度が高く、耐久性に優れ、しかも
成形のしやすい硬度を有し、1000℃以上という高温
で長期にわたって使用できる耐熱性合金及びそれを用い
たガラス繊維紡糸用ブッシングを提供する。 【解決手段】 耐熱性合金は、白金(Pt)及びロジウ
ム(Rh)に、さらにルテニウム(Ru)を含有するも
のである。これに、さらにイリジウム(Ir)を含有す
ることができる。また、ルテニウムに代えてイリジウム
を用いることができる。耐熱性合金の組成は、白金の含
有量が75〜96重量%、ロジウムの含有量が1〜20
重量%及びルテニウムの含有量が3〜5重量%である。
耐熱性合金の表面硬度は、ビッカース硬さで180Hv
以下である。この耐熱性合金は、加熱溶融したガラスを
収容し、吐出用のノズル13を備えたガラス繊維紡糸用
ブッシング15として好適に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガラス繊維を製
造するためのガラス繊維紡糸用ブッシング等として好適
に利用される耐熱性合金及びそれを用いたガラス繊維紡
糸用ブッシングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ガラス繊維は次のようにして製
造される。すなわち、所定の組成を有するガラス原料が
加熱により溶融され、溶融されたガラスはガラス繊維紡
糸用のブッシングに導かれる。そして、溶融ガラスはブ
ッシングに設けられたノズルから吐出されて紡糸され
る。さらに、紡糸されたガラス繊維は集束剤を用いて集
束機で束ねられ、巻き取られる。
【0003】この種のブッシングは、1000℃以上と
いう高温において変形がなく、寸法精度が良いことが要
求されることから、白金−ロジウム合金、強化白金等に
より形成されている。白金−ロジウム合金としては、白
金にロジウムが1〜30重量%含有されたものが使用さ
れている(例えば、特開平5−279072号公報)。
また、強化白金としては、白金にロジウムが1〜30重
量%、酸化ジルコニウム(ZrO2 )又は酸化イットリ
ウム(Y2 3 )が500〜5000ppm含有された
ものが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のブッ
シングの材質である白金−ロジウム合金は、1000℃
以上という高温で使用できるものの、クリープ強度が低
く、耐久性が悪いことから、長期間の使用に耐えること
ができないという問題があった。一方、強化白金は、ク
リープ強度が高く、耐久性が良いが、ビッカース硬さが
180Hvと高過ぎるため、強化白金を用いてブッシン
グを成形するのが非常に困難であるという問題があっ
た。
【0005】この発明は、以上のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、クリープ強度が高く、耐久性に優れ、し
かも成形のしやすい硬度を有し、1000℃以上という
高温で長期にわたって使用できる耐熱性合金及びそれを
用いたガラス繊維紡糸用ブッシングを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明の耐熱性合金は、白金(Pt)、ロジ
ウム(Rh)及びルテニウム(Ru)よりなるものであ
る。
【0007】第2の発明の耐熱性合金は、第1の発明に
おいて、さらに、イリジウム(Ir)を含有するもので
ある。第3の発明の耐熱性合金は、第1の発明におい
て、前記白金の含有量が75〜96重量%、ロジウムの
含有量が1〜20重量%及びルテニウムの含有量が3〜
5重量%である。
【0008】第4の発明の耐熱性合金は、白金(P
t)、ロジウム(Rh)及びイリジウム(Ir)よりな
るものである。第5の発明のガラス繊維紡糸用ブッシン
グは、加熱溶融したガラスを収容し、吐出用のノズルを
備えたガラス繊維紡糸用ブッシングであって、第1〜第
4のいずれかの発明の耐熱性合金より形成したものであ
る。
【0009】第6の発明のガラス繊維紡糸用ブッシング
は、第5の発明において、前記耐熱性合金の表面硬度
が、ビッカース硬さで180Hv以下である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。耐熱性合金は、白金(Pt)、ロジ
ウム(Rh)及びルテニウム(Ru)よりなる。白金及
びロジウムに、さらにルテニウムを配合することによ
り、クリープ強度が高く、耐久性に優れ、しかも成形の
しやすい硬度を得ることができる。さらに、ルテニウム
を配合した耐熱性合金は、白金−ロジウム合金に比べ、
溶融したガラスの濡れ性が低い。このことは、その耐熱
性合金をガラス繊維製造用のブッシングに形成した場
合、フラッディングが起こりにくいということを示して
いる。
【0011】ここで、フラッディングとは、ガラスの溶
融釜の底面に設けられたブッシングのノズルの周囲に溶
融したガラスが回り込んで付着することをいう。このフ
ラッディングが起こると、ガラス繊維の紡糸の際に糸切
れが起こりやすくなって好ましくない。
【0012】耐熱性合金の組成は、白金75〜96重量
%、ロジウム1〜20重量%及びルテニウム3〜5重量
%の範囲であることが、各元素の機能をバランス良く発
揮させるために望ましい。
【0013】さらに、耐熱性合金は、白金、ロジウム、
ルテニウムの他に、イリジウム(Ir)を含有し、白金
−ロジウム−ルテニウム−イリジウムの四元合金とする
のが好ましい。このイリジウムはルテニウムと同様に、
クリープ強度を高め、耐久性を向上させることができる
とともに、成形のしやすい硬度を発現でき、かつガラス
の濡れ性を低くできる。イリジウムの含有量は、ルテニ
ウムとの合計で3〜5重量%の範囲が好ましい。この場
合、イリジウムとルテニウムの比率は特に制限されず、
いずれの比率も採用される。
【0014】なお、イリジウムはルテニウムと併用する
ことなく、白金−ロジウム−イリジウムの三元合金とし
て使用することができる。その場合、イリジウムの含有
量は、ルテニウムの場合と同様に3〜5重量%の範囲が
好ましい。
【0015】このように、イリジウムはルテニウムと同
様の機能を発揮することから、ルテニウムに代えてイリ
ジウムを用いて耐熱性合金とすることもできる。すなわ
ち、白金−ロジウム−イリジウムの三元合金とすること
もできる。ちなみに、白金、ロジウム、ルテニウム及び
イリジウムはいずれも白金族の元素であり、融点が高
く、比重が大きく、腐食しにくい貴金属である。
【0016】次に、この耐熱性合金の性質について、具
体的に説明する。 (1) 硬さについて 白金、ロジウム及びルテニウムの所定組成物をアーク溶
解することにより、所定の各合金のインゴットを得た。
それらインゴットについて、ビッカース硬さ(Hv)を
測定した。その結果を表1に示した。また、熱処理を施
した合金の室温時における表面硬度(ビッカース硬さ、
Hv)とその熱処理温度(℃)との関係を測定し、図4
に示した。なお、図4において、△はロジウム20重量
%及びルテニウム5重量%を含有する白金−ロジウム−
ルテニウム合金、□はロジウム20重量%及びルテニウ
ム3重量%を含有する白金−ロジウム−ルテニウム合
金、◇はロジウム20重量%を含有する白金−ロジウム
合金を表わす。
【0017】
【表1】 表1に示したように、ビッカース硬さはルテニウムの含
有量が増加するにつれて大きくなり、ルテニウムの含有
量が7重量%でビッカース硬さが155Hv以上となっ
た。
【0018】図4に示したように、ロジウム20重量%
及びルテニウム5重量%を含有する白金−ロジウム−ル
テニウム合金は、約1120℃で熱処理された場合、そ
のビッカース硬さは約140Hvであった。ロジウム2
0重量%及びルテニウム3重量%を含有する白金−ロジ
ウム−ルテニウム合金は、約1020℃で熱処理された
場合、そのビッカース硬さは約120Hvであった。ロ
ジウム20重量%を含有する白金−ロジウム合金は、約
850℃で熱処理された場合、そのビッカース硬さは約
100Hvであった。
【0019】また、熱処理における再結晶温度について
は、ロジウム20重量%及びルテニウム5重量%を含有
する白金−ロジウム−ルテニウム合金で約1040℃、
ロジウム20重量%及びルテニウム3重量%を含有する
白金−ロジウム−ルテニウム合金で約950℃及びロジ
ウム20重量%を含有する白金−ロジウム合金で約72
0℃であった。
【0020】(2) クリープ強度について 前記インゴットより直径10mmの丸棒を製作した後、切
削加工によってクリープ試験片を製作した。クリープ試
験は、クリープ試験機を用いて、950℃の温度で大気
中にて行った。このクリープ試験において、応力(荷
重)をそれぞれ3段階に分けて試験片が破断するまで行
った。そして、応力(kg/mm2 )とクリープ破断時間
(hr)との関係を求め、その結果を図5に示した。
【0021】なお、図5において、Aはロジウム20重
量%を含有する白金−ロジウム合金、Bはロジウム20
重量%及びルテニウム3重量%を含有する白金−ロジウ
ム−ルテニウム合金、Cはロジウム20重量%及びルテ
ニウム5重量%を含有する白金−ロジウム−ルテニウム
合金を表わす。
【0022】図5に示したように、クリープ破断強さ
は、ロジウム20重量%及びルテニウム5重量%を含有
する白金−ロジウム−ルテニウム合金が最も大きく、次
いでロジウム20重量%及びルテニウム3重量%を含有
する白金−ロジウム−ルテニウム合金、ロジウム20重
量%を含有する白金−ロジウム合金が最も小さかった。
その強度比は、1.5:1.25:1であった。
【0023】さらに、1100℃の温度において、各試
験片への応力が3.5kg/mm2 という同じ状態でのクリ
ープ試験を行い、ひずみと時間との関係を高温クリープ
曲線として図6に示した。なお、図6中の記号は、図4
中の記号と同じ意味を表わす。
【0024】図6に示したように、ロジウム20重量%
を含有する白金−ロジウム合金は、23.47Hrで破
断、ロジウム20重量%及びルテニウム3重量%を含有
する白金−ロジウム−ルテニウム合金は60.32Hr
で破断、ロジウム20重量%及びルテニウム5重量%を
含有する白金−ロジウム−ルテニウム合金は104.2
5Hrで破断した。破断時におけるひずみ量は、ロジウ
ム20重量%及びルテニウム3重量%を含有する白金−
ロジウム−ルテニウム合金が最も大きく、次いでロジウ
ム20重量%及びルテニウム5重量%を含有する白金−
ロジウム−ルテニウム合金、ロジウム20重量%を含有
する白金−ロジウム合金が最も小さかった。
【0025】(3) 曲げ加工性について 試験片の形状を、長さ50mm、幅3mm、厚さ0.7mmと
し、曲げ試験用の治具を用い、試験片が破断するまで、
曲げ角度180度の繰り返し曲げ加工を行った。試験片
は、熱処理したものと、熱処理しないもの(加工度50
%)とに分けた。また、熱処理温度は、それぞれ再結晶
終了温度とした(白金に20重量%のロジウムを含有す
る場合950℃、白金に20重量%のロジウムと3重量
%のルテニウムを含有する場合1050℃、白金に20
重量%のロジウムと5重量%のルテニウムを含有する場
合1050℃)。なお、測定回数については、180度
曲げのスタート地点に戻った時点で1回とした。
【0026】その結果を、表2に示した。なお、表2の
A、B及びCは、図5のA、B及びCと同じ意味を表わ
す。
【0027】
【表2】 表2に示したように、曲げ加工性は、ロジウム20重量
%を含有する白金−ロジウム合金が最も良く、次にロジ
ウム20重量%及びルテニウム3重量%を含有する白金
−ロジウム−ルテニウム合金、ロジウム20重量%及び
ルテニウム5重量%を含有する白金−ロジウム−ルテニ
ウム合金が最も悪かった。
【0028】また、溶接材の曲げ試験も行った。すなわ
ち、試験片の形状を、長さ13mm、幅38mm、厚さ1mm
の板状とし、幅の部分で接合してL字型とした。溶接
は、大気中でのTIG溶接(溶かし込み)と、アルゴン
(Ar)雰囲気中でのTIG溶接を行った。曲げ試験
は、溶接材専用の曲げ試験治具を用い、試験片が破断す
るまで、曲げ角度90度の繰り返し曲げ加工を行った。
なお、測定回数については、90度曲げのスタート地点
に戻った時点で1回とした。
【0029】その結果を、表3に示した。なお、表3の
A、B及びCは、図5のA、B及びCと同じ意味を表わ
す。
【0030】
【表3】 表3に示したように、溶接材の曲げ加工性は、表2の曲
げ加工性と傾向は同じであった。また、曲げ加工性は、
大気中でもアルゴン雰囲気中でもほとんど変わらなかっ
た。さらに、ルテニウムを添加した場合、酸素の影響は
非常に小さかった。
【0031】(4) 濡れ性について 試験片の形状を、長さ50mm、幅50mm、厚さ1mmの板
状とし、その上に長さ5mm、幅5mm、厚さ5mmのガラス
を置き、電気炉内にセットした。このとき、各試験片が
水平になっているかどうかを確認した。測定温度は、1
000〜1300℃の50℃毎とし、それぞれ1分間保
持した後、試験片を写真撮影した。その写真より、各試
験片と溶融ガラスの濡れ角を分度器を用いて測定し、温
度と濡れ角との関係を求めた。なお、濡れ試験終了後、
フッ酸によりガラスを除去して、各試験片の表面状態を
確認したところ、試験片とガラスが反応している形跡は
なかった。
【0032】その結果を、図7に示した。なお、図7中
の記号は、図4中の記号と同じ意味を表わす。図7に示
したように、濡れ難さはロジウム20重量%及びルテニ
ウム5重量%を含有する白金−ロジウム−ルテニウム合
金が最も良く、次いでロジウム20重量%及びルテニウ
ム3重量%を含有する白金−ロジウム−ルテニウム合
金、ロジウム20重量%を含有する白金−ロジウム合金
が最も悪かった。また、1200℃以上になると、濡れ
角はほぼ一定となり、ロジウム20重量%及びルテニウ
ム5重量%を含有する白金−ロジウム−ルテニウム合金
で約135°、ロジウム20重量%及びルテニウム3重
量%を含有する白金−ロジウム−ルテニウム合金で約1
40°、ロジウム20重量%を含有する白金−ロジウム
合金で約150°であった。
【0033】以上の耐熱性合金の性質に関する結果か
ら、白金−ロジウム−ルテニウムの三元合金におけるル
テニウムの含有量は、3〜5重量%の範囲が適切である
ことがわかった。但し、硬さ、クリープ特性及び濡れ性
の観点からは、ルテニウムの含有量は、5重量%が好ま
しい。また、曲げ加工性等の観点からは、ルテニウムの
含有量は、3重量%が好ましい。
【0034】前記耐熱性合金は、上記のような性質に加
え、電気抵抗、揮発損失量等の性質についても良好な性
能を示す。耐熱性合金は以上のような性質を備えている
ことから、ガラス繊維製造用のブッシングとして好適に
使用することができる。
【0035】そこで、このガラス繊維製造用のブッシン
グについて説明する。図1及び図2に示すように、ブッ
シング用ベースプレート11は、前述した耐熱性合金に
より上方が開口された四角箱状に形成され、溶融したガ
ラスが収容されるようになっている。ベースプレート1
1の底板12は、一定厚さの平板状に形成されている。
この底板12は、その周縁部が90度上方へ折曲げられ
た折曲げ部12aとなり、その折曲げ部12aの上縁に
四角筒体11aの下縁が溶接接合されている。そして、
四角箱状のベースプレート11が、溶融したガラスの重
量を支えることができるようになっている。底板12を
含むベースプレート11を形成する耐熱性合金の表面硬
度は、ビッカース硬さで180Hv以下であることが望
ましい。表面硬度が180Hvを越えると、上記折曲げ
部12aを形成するような成形加工が困難となるからで
ある。
【0036】溶融したガラスを吐出するためのノズル1
3は円筒状に形成され、底板12の嵌合孔14に嵌合さ
れた状態で、底板12に溶接接合されている。図3に示
すように、ノズル13は、平面千鳥状をなすように2列
に配列されている。このノズル13は、生産性を高める
ために、短い間隔をおいて多数配列されている。円筒状
のノズル13は、所定の外径、内径及び長さを有するよ
うに押出成形又は旋盤穴開け加工されている。
【0037】このノズル13を形成する耐熱性合金は底
板12と同じものであることが好ましく、その表面硬度
は、ビッカース硬さで180Hv以下であることが望ま
しく、150〜160Hvであることがさらに望まし
い。この表面硬度がビッカース硬さで180Hvを超え
ると、硬くなり過ぎてブッシングの成形が非常に困難に
なる。なお、ビッカース硬さは、試験荷重(kgf )を正
四角錘ダイヤモンド圧子によるくぼみの表面積(mm2
で除した値で定義される材料の硬さである。
【0038】さらに、ベースプレート11に図示しない
フランジや電極端子を接合するとともに、底板12の下
面にセラミック焼結体を装着し、その下方に冷却管を配
置することにより、ガラス繊維紡糸用のブッシング15
が得られる。
【0039】そして、溶融したガラスがベースプレート
11の底板12のノズル13から吐出されることによ
り、ガラス繊維の紡糸が行われるようになっている。実
施形態の耐熱性合金及びガラス繊維紡糸用ブッシングに
よれば、次のような効果が発揮される。 ・ 実施形態の耐熱性合金によれば、白金とロジウム
に、さらにルテニウム又はイリジウムを加えたことか
ら、クリープ強度を高めることができる。 ・ 実施形態の耐熱性合金によれば、クリープ強度が高
いため、長時間強度を維持でき、耐久性に優れている。 ・ 実施形態の耐熱性合金によれば、その表面硬度を、
ビッカース硬さで180Hv以下に設定したことから、
硬さが適切なものとなり、成形性を向上させることがで
きる。 ・ 実施形態の耐熱性合金によれば、白金とロジウム
に、さらにルテニウム又はイリジウムを加えたことか
ら、1000℃以上という高温において変形がなく、寸
法精度を維持することができ、長期にわたって使用する
ことができる。 ・ 実施形態のガラス繊維紡糸用ブッシングによれば、
耐熱性合金の効果に基づき、変形を起こすことなく、長
期にわたって安定した状態でガラス繊維を紡糸すること
ができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、前記実施形
態をさらに具体的に説明する。 (実施例1)前記実施形態に示したガラス繊維紡糸用ブ
ッシングを用いて、ガラス繊維の紡糸を行った。
【0041】まず、白金75重量%、ロジウム20重量
%及びルテニウム5重量%の耐熱性合金を圧延加工し、
仕上がり板厚1.5mmの板材とした。この板材を縦10
0mm、横500mmの大きさに切断した。そして、ブッシ
ングの下面になる板材に、溶融ガラス吐出用ノズルを2
列の千鳥状に形成した。すなわち、そのノズルの長手方
向のピッチを4.0mm、2列の列間ピッチを3.5mmと
して、ノズルの全体数を800個とした。
【0042】各ノズルは、突起の高さ5.0mm、内径
1.6mm及び外径2.0mmであって、押出成形法により
成形した。そして、上記ノズルを有する板材の周縁に前
記板材をアーク溶接により接合し、箱状のブッシングを
製造した。
【0043】このブッシングを用いて、ガラス繊維を紡
糸したところ、数ヶ月間使用しても、ブッシングに変形
は生じなかった。 (比較例1)白金80重量%及びロジウム20重量%の
合金を用い、実施例1と同様にして箱状のブッシングを
製造した。そして、実施例1と同じ条件でガラス繊維を
紡糸したところ、数週間〜数ヶ月でブッシングは変形を
起こし、使用できなくなった。
【0044】なお、前記実施形態を次のように変更して
具体化することも可能である。 ・ 前記耐熱性合金に、白金族のオスミウム(Os )や
パラジウム(Pd )を含有させること。 ・ 前記ガラス繊維紡糸用ブッシングのベースプレート
11の底板12の断面形状を、目的に応じて波形形状、
半円形状、山型形状、円弧形状等に形成すること。 ・ 前記ベースプレート11のノズル13の平面形状
を、千鳥状に代えて、生産量等に応じて格子状、波型状
等に変更すること。 ・ 前記耐熱性合金を、ガラス繊維紡糸用のブッシング
15以外に、1000℃以上の高温で使用する焼結用の
容器等に用いること。
【0045】さらに、前記実施形態より把握される技術
的思想について以下に記載する。 ・ 前記白金の含有量が75〜96重量%、ロジウムの
含有量が1〜20重量%及びルテニウムとイリジウムの
合計の含有量が3〜5重量%である請求項2に記載の耐
熱性合金。
【0046】このように構成した場合、請求項1に記載
の発明の効果をより向上させることができる。 ・ 前記白金の含有量が75〜96重量%、ロジウムの
含有量が1〜20重量%及びイリジウムの含有量が3〜
5重量%である請求項4に記載の耐熱性合金。
【0047】このように構成した場合、請求項4に記載
の発明の効果をバランス良く、しかも確実に発揮するこ
とができる。 ・ 前記耐熱性合金の表面硬度が、ビッカース硬さで1
50〜160Hvである請求項6に記載のガラス繊維紡
糸用ブッシング。
【0048】このように構成した場合、硬くなり過ぎて
ブッシングの成形が困難になることを防止することがで
きる。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、次のような効果を奏する。第1の発明の耐熱性合金
によれば、白金とロジウムに、さらにルテニウムを加え
たことから、クリープ強度が高く、耐久性に優れ、しか
も成形のしやすい硬度を有し、1000℃以上という高
温で長期にわたって安定した状態で使用することができ
る。
【0050】第2の発明の耐熱性合金によれば、第1の
発明の効果をより向上させることができる。第3の発明
の耐熱性合金によれば、第1の発明の効果をバランス良
く、しかも確実に発揮することができる。
【0051】第4の発明の耐熱性合金によれば、白金と
ロジウムに、さらにイリジウムを加えたことから、クリ
ープ強度が高く、耐久性に優れ、しかも成形のしやすい
硬度を有し、高温で使用することができる。
【0052】第5の発明のガラス繊維紡糸用ブッシング
によれば、第1〜第4のいずれかの発明の耐熱性合金の
効果に基づき、長期にわたって安定した状態でガラス繊
維を紡糸することができる。
【0053】第6の発明のガラス繊維紡糸用ブッシング
によれば、第5の発明の効果に加え、ブッシングの成形
性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ブッシング用ベースプレートの底板を示す一
部破断斜視図。
【図2】 ブッシング用ベースプレートを示す部分断面
図。
【図3】 ブッシング用ベースプレートの底板を示す部
分平面図。
【図4】 熱処理温度とビッカース硬さとの関係を示す
グラフ。
【図5】 クリープ破断時間と応力との関係を示すグラ
フ。
【図6】 時間とひずみとの関係を示すグラフ。
【図7】 温度と濡れ角度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
13…ノズル、15…ガラス繊維紡糸用のブッシング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福地 英俊 三重県津市高茶屋小森町4902番地 日本硝 子繊維 株式会社内 (72)発明者 前田 浩司 三重県津市高茶屋小森町4902番地 日本硝 子繊維 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びル
    テニウム(Ru)よりなる耐熱性合金。
  2. 【請求項2】 さらに、イリジウム(Ir)を含有する
    請求項1に記載の耐熱性合金。
  3. 【請求項3】 前記白金の含有量が75〜96重量%、
    ロジウムの含有量が1〜20重量%及びルテニウムの含
    有量が3〜5重量%である請求項1に記載の耐熱性合
    金。
  4. 【請求項4】 白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びイ
    リジウム(Ir)よりなる耐熱性合金。
  5. 【請求項5】 加熱溶融したガラスを収容し、吐出用の
    ノズルを備えたガラス繊維紡糸用ブッシングであって、
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の耐熱性合金より
    形成したガラス繊維紡糸用ブッシング。
  6. 【請求項6】 前記耐熱性合金の表面硬度が、ビッカー
    ス硬さで180Hv以下である請求項5に記載のガラス
    繊維紡糸用ブッシング。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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