JPH11171839A - 1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸アリールエステル類の製造方法 - Google Patents

1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸アリールエステル類の製造方法

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JPH11171839A
JPH11171839A JP9352313A JP35231397A JPH11171839A JP H11171839 A JPH11171839 A JP H11171839A JP 9352313 A JP9352313 A JP 9352313A JP 35231397 A JP35231397 A JP 35231397A JP H11171839 A JPH11171839 A JP H11171839A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別な精製操作を必要とせず、1,4−ジヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸アリールエステル類を高純度
・高収率で簡便かつ工業的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸
類とトリアリール亜リン酸エステル類とを、トリフルオ
ロメタンスルホン酸存在下、25〜35℃で反応させ
て、式(3)の1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸
アリールエステル類を得る。ダイマー副生物の生成が抑
制され、簡便な単離操作で、高純度の目的物が得られ
る。(R1 :水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原
子、R2 :水素原子、アルキル基又はハロゲン原子) 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,4−ジヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸アリールエステル類の製造方法に
関し、さらに詳しくは、1,4−ジヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸類とトリアリール亜リン酸エステル類とから、
1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸アリールエステ
ル類を簡便かつ工業的に製造する方法に関する。1,4
−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸アリールエステル類
は、写真薬、染料、顔料の製造中間体として有用なもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸アリールエステルのような多環式オキシカルボン
酸アリールエステルの製造法としては、多環式オキシカ
ルボン酸とフェノール類とを脱水反応させてエステル化
する方法が知られている。この反応においては、通常の
エステル化反応で用いられる強酸触媒は、カルボン酸の
分解を伴うため使用できず、脱水剤として、三塩化リ
ン、オキシ塩化リン、五塩化リンなどが使用されてき
た。しかしながら、これらの方法では、製品に着色が見
られ、製造工程に手間を要し、またフェノール類の除去
など反応後の処理がきわめて煩雑であり、工業的に有利
な製造方法ではなかった。
【0003】この問題を解決する方法として、例えば、
特公平5−55494号公報によれば、反応剤としてト
リアリール亜リン酸エステルを用いる方法が記載されて
いる。しかしながら、同号公報に記載の方法では、90
〜150℃という高温での反応が必要であり、また、相
当量の副生物(主として下記化学式で表されるダイマー
成分)が生成するために、目的物を高純度で得るには、
一旦得られた粗製生成物を精製する必要があった。
【0004】
【化4】
【0005】また、例えば、特開平3−52848号公
報、特開平3−204839号公報によれば、反応剤と
してトリアリール亜リン酸エステルを用い、触媒として
p−トルエンスルホン酸やメタンスルホン酸を用い、4
0〜85℃で反応を行う方法が記載されている。しかし
ながら、同号公報に記載の方法でもやはり、上記のダイ
マー副生物を7.5〜10%程度含む粗製生成物しか得
られていない。
【0006】このように、従来の方法によれば、エステ
ル化反応の選択性が悪いために、粗製生成物の精製操作
が必要であり、工業的に適する製造方法ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記従来技術の問題点を解決し、特別な精製操作を
必要とせず、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸ア
リールエステル類を高純度・高収率で簡便かつ工業的に
製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】反応剤としてトリアリー
ル亜リン酸エステル類を用いた場合の反応選択性を向上
させるためには、反応を低温で行うことが好ましいと考
えられる。本発明者らは鋭意検討した結果、触媒として
トリフルオロメタンスルホン酸を用いることにより、反
応速度が飛躍的に増大し、低温条件でエステル化反応が
可能となることを見出した。そして、その結果、エステ
ル化反応の選択性を向上させてダイマー副生物の生成を
抑制することができ、特別な精製操作を要することな
く、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸アリールエ
ステル類が高純度・高収率で得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の1,4−ジヒドロキシ
−2−ナフトエ酸アリールエステル類の製造方法は、下
記一般式(1):
【0010】
【化5】
【0011】(一般式(1)において、R1 は、水素原
子、低級アルキル基又はハロゲン原子を表す。)で示さ
れる1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸類と、下記
一般式(2):
【0012】
【化6】
【0013】(一般式(2)において、R2 は、水素原
子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。)で示される
トリアリール亜リン酸エステル類とを、トリフルオロメ
タンスルホン酸存在下反応させて、下記一般式(3):
【0014】
【化7】
【0015】(一般式(3)において、R1 及びR
2 は、それぞれ前記と同義である。)で示される1,4
−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸アリールエステル類を
得ることを特徴とする。
【0016】本発明において、前記1,4−ジヒドロキ
シ−2−ナフトエ酸類1モルに対して、トリフルオロメ
タンスルホン酸を0.01〜0.10モル用いることが
好ましい。また、前記1,4−ジヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸類1モルに対して、前記トリアリール亜リン酸エ
ステル類を2〜3.5モル用いることが好ましい。ま
た、25〜35℃で反応させることが好ましい。以下、
本発明について詳しく説明する。
【0017】本発明の方法においては、原料化合物とし
て前記一般式(1)で示される1,4−ジヒドロキシ−
2−ナフトエ酸類を用いる。一般式(1)において、R
1 は、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子を表
す。このような低級アルキル基としては、例えば、メチ
ル基、エチル基、プルピル基、イソプルピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基等が
挙げられる。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素が挙げられる。好ましいR1 は水素原子であ
る。R1 の位置は任意である。
【0018】また、本発明の方法においては、原料化合
物として前記一般式(2)で示されるトリアリール亜リ
ン酸エステル類を用いる。一般式(2)で示されるトリ
アリール亜リン酸エステル類は、例えば、特公昭58−
22021号公報、特開昭64−45341号公報に記
載の方法によって製造することができる化合物であり、
すなわち、三塩化リン1モルに対し少なくとも3モルの
フェノール類を反応させて得られる化合物である。
【0019】一般式(2)において、R2 は、水素原
子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。このようなア
ルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、好ま
しくは炭素数1〜10程度の低級アルキル基が挙げら
れ、例えば、メチル基、エチル基、プルピル基、イソプ
ルピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、te
rt−ブチル基等が挙げられる。また、ハロゲン原子とし
ては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。好ま
しいR2 は水素原子である。R2 の位置は任意である。
【0020】トリアリール亜リン酸エステル類の具体例
としては、トリフェニルホスファイト、トリ(クロロフ
ェニル)ホスファイト、トリ(ブロモフェニル)ホスフ
ァイト、トリ(ヨードフェニル)ホスファイト、トリ
(メチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
【0021】一般式(3)におけるR1 及びR2 は、そ
れぞれ前記と同義であり、用いた原料化合物に応じたも
のである。
【0022】本発明の特徴は、1,4−ジヒドロキシ−
2−ナフトエ酸類とトリアリール亜リン酸エステル類と
を反応させるに当たり、触媒としてトリフルオロメタン
スルホン酸を用いることにある。
【0023】触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸
を用いることにより、25〜35℃という低温条件でエ
ステル化反応を行わせることが可能となり、反応選択性
が向上し、ダイマー副生物の生成を抑制することができ
る。本方法によれば、反応におけるダイマー副生物の生
成量は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸類に対
して、多くとも3〜5%程度である。
【0024】本発明において、トリフルオロメタンスル
ホン酸は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸類1
モルに対して、0.01〜0.10モル用いることが好
ましい。この量が0.01モル未満であると、添加の効
果が少なく反応に時間がかかる。一方、0.10モルま
での量で、十分な触媒効果が得られるので、これより多
い量を用いる必要はない。
【0025】また、トリアリール亜リン酸エステル類
は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸類1モルに
対して、好ましくは0.9〜3.5モル、より好ましく
は2.0〜3.5モルの範囲で用いる。この量が0.9
モル未満であると、収率が低下し、一方、3.5モルを
超えると、反応後のアリール亜リン酸エステルの処理が
問題となりやすい。
【0026】本発明において、トリフルオロメタンスル
ホン酸触媒の添加効果によって、反応温度は25〜35
℃で実施することができる。また、反応時間に特に制限
はなく、原料の1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸
類が残存しなくなるまで、反応を行えば良い。
【0027】本発明の方法は、反応溶媒を用いて実施す
ることもできる。反応溶媒としては、例えば、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、モ
ノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられ
る。
【0028】本方法においては、反応選択性の向上によ
り、反応生成物の単離は非常に簡便である。すなわち、
例えば、反応マス(反応混合液)を水中に排出し、加温
攪拌して亜リン酸触媒を加水分解処理した後、トルエン
等の有機溶媒を加え分液、洗浄により、亜リン酸を除去
する。分取した有機層から触媒由来のフェノール類を減
圧留去し、これにトルエン等を加え冷却することによ
り、析出した結晶を濾取する。このような簡便な操作に
よって、目的とする1,4−ジヒドロキシ−2−ナフト
エ酸アリールエステル類を99%以上の高純度で得るこ
とができる。
【0029】本発明の製造方法によれば、1,4−ジヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸類とトリアリール亜リン酸エ
ステル類とを反応させてエステル化するに当たり、トリ
フルオロメタンスルホン酸を触媒として用いるので、低
温での反応が可能となり、反応選択性が向上し、副生成
物の生成が非常に少ない。そのため、高純度の反応生成
物の単離を、従来法のような特別な精製操作を必要とせ
ず、非常に簡便に短時間で行うことができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定され
るものではない。 [実施例1]攪拌機、温度計を取り付けた500mLの
反応器に、トリフェニルホスファイト287g(0.9
3mmol)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸
61g(0.30mmol)及びトリフルオロメタンス
ルホン酸1.5g(0.01mmol)を仕込み、23
〜28℃で20時間反応を行った。内容物は褐色透明の
液状となり、反応は完結した。反応終点の判定は、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)により、1,4−
ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸が残存していないことを
確認して行った。
【0031】次いで、内容物を60℃、45gの温水に
滴下し、70℃で2.5時間攪拌した。亜リン酸触媒の
加水分解の終了をHPLCにより確認した後、トルエン
60mlを加え、反応混合物を70℃で静置し、分液し
た。水層を除去し、有機層を12.5%食塩水80gで
洗浄した。
【0032】有機層に含まれる低沸点物(トルエン、水
など)を減圧留去した後、フェノール126gを減圧留
去(80〜85℃/13〜15mmHg)。フェノール
留去後、トルエンを125.6g加えて、約2時間で3
0℃にまで冷却し、結晶を析出させた。結晶を濾過によ
り分離した後、トルエン50mlで洗浄した。さらに、
10%メタノール水100g、水100gで洗浄した
後、乾燥し、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フ
ェニル75.4gを得た。収率は1,4−ジヒドロキシ
−2−ナフトエ酸に対して90.0%であった。
【0033】HPLC分析の結果、得られた1,4−ジ
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルの純度は、99.
6%であった。このように、簡便な操作で、高収率かつ
高純度の1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニ
ルを製造することができた。
【0034】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、上述のよう
に、目的とする1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸
アリールエステル類を、従来法に比べて副反応を抑制し
て、高収率、高純度で得ることができる。従って、本発
明の方法は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸ア
リールエステル類の簡便かつ工業的に優れた製造方法で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (一般式(1)において、R1 は、水素原子、低級アル
    キル基又はハロゲン原子を表す。)で示される1,4−
    ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸類と、下記一般式
    (2): 【化2】 (一般式(2)において、R2 は、水素原子、アルキル
    基又はハロゲン原子を表す。)で示されるトリアリール
    亜リン酸エステル類とを、トリフルオロメタンスルホン
    酸存在下反応させて、下記一般式(3): 【化3】 (一般式(3)において、R1 及びR2 は、それぞれ前
    記と同義である。)で示される1,4−ジヒドロキシ−
    2−ナフトエ酸アリールエステル類を得ることを特徴と
    する、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸アリール
    エステル類の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記1,4−ジヒドロキシ−2−ナフト
    エ酸類1モルに対して、トリフルオロメタンスルホン酸
    を0.01〜0.10モル用いる、請求項1に記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記1,4−ジヒドロキシ−2−ナフト
    エ酸類1モルに対して、前記トリアリール亜リン酸エス
    テル類を2〜3.5モル用いる、請求項1又は2項に記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】 25〜35℃で反応させる、請求項1〜
    3項のうちのいずれか1項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002030005A (ja) * 2000-07-19 2002-01-29 Johoku Kagaku Kogyo Kk カルボン酸アリールエステルの製造方法
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