JPH11170508A - インクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェットプリンタ

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Publication number
JPH11170508A
JPH11170508A JP34819597A JP34819597A JPH11170508A JP H11170508 A JPH11170508 A JP H11170508A JP 34819597 A JP34819597 A JP 34819597A JP 34819597 A JP34819597 A JP 34819597A JP H11170508 A JPH11170508 A JP H11170508A
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JP
Japan
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ink
piezoelectric element
generating means
nozzle
pressure generating
Prior art date
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Pending
Application number
JP34819597A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuo Yukita
康夫 雪田
Toru Tanigawa
徹 谷川
Shota Nishi
正太 西
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP34819597A priority Critical patent/JPH11170508A/ja
Publication of JPH11170508A publication Critical patent/JPH11170508A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14338Multiple pressure elements per ink chamber

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動信号の数を増やすことなく、インク滴吐
出時におけるサテライト滴発生抑制等の補助動作を可能
とするインクジェットプリンタを提供する。 【解決手段】 互いに固有振動周期の異なる2つの圧電
素子116a,116bを各ノズル118ごとに設ける
と共に、これらの2つの圧電素子116a,116bに
対して同一の駆動信号21を印加し、固有振動周期の短
い方の圧電素子116aによってインク滴の吐出を行う
一方、固有振動周期の長い方の圧電素子116bによっ
てインク滴吐出時におけるサテライト滴の発生を抑制す
る動作を行う。これにより、インク滴の尾を早期に断ち
切ることができ、サテライト滴の発生を抑制することが
可能となる。2つの圧電素子116a,116bに対し
てそれ別個の駆動信号を印加するのではなく、単一の駆
動信号によって2つの圧電素子を駆動するようにしてい
るので、全体として必要な駆動信号の数を低減可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はノズル部からインク
滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェットプリ
ンタに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インク室に連通したノズル部から
インク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェッ
トプリンタが普及している。従来、この種のインクジェ
ットプリンタでは、1つのノズルに対応して1つの圧電
素子が設けられていた。この圧電素子は、例えば、イン
ク流路を介してインクが供給されるインク室の外壁をな
す振動板に固設されており、印加される駆動信号の電圧
波形に応じて撓むことでインク室の容積を変化させて吐
出圧力を生じさせ、この吐出圧力によってノズルからイ
ンク滴を吐出させることができるようになっていた。
【0003】この種のインクジェットプリンタにおいて
は、上記のようにインク室の容積を変化させて吐出圧力
を発生させるようになっているので、ノズルから吐出さ
れたインクが柱状になって(尾を引く形で)飛翔し、こ
の飛翔するインクの先頭部分と後尾部分との間に時間差
や速度差が生ずる。このため、先行する主たるインク滴
に付随して、微小な衛星状の不要なインク小滴(以下、
サテライト滴という。)が発生し、これが記録用紙上に
着弾することによって好ましくない印字結果が生ずる。
この場合、比較的大きなインク滴で記録を行う濃い画像
ではサテライト滴の発生は画品位にあまり大きな影響を
与えないが、濃度の淡い画像や中間階調画像を表現する
場合のように小さいインク滴で記録を行う場合には、サ
テライト滴の発生による画品位の低下が著しくなること
が予想される。したがって、特に、小さいサイズのイン
ク滴を吐出する場合におけるサテライト滴の発生が大き
な問題となる。
【0004】この問題に対処するため、従来よりいくつ
かの方策が提案されている。例えば、特開平7−760
87号公報には、1つのノズルについて1つの圧電素子
を設け、この圧電素子に印加する吐出用電圧の変化速度
を2段階に切り替えてインク滴吐出を行う方法が提案さ
れている。この方法は、図9に示したように、当初は第
1の電圧変化速度v1をもって吐出用電圧を増加させ、
途中からv1よりも大きい第2の電圧変化速度v2をも
って吐出用電圧を増加させるものである。なお、図9
で、縦軸は電圧、横軸は時間を表す。この方法によれ
ば、先に吐出されたインクの先頭部分を追いかける形で
引き続いてインクが噴射されるようになるので、インク
柱の先頭部分と後尾部分との間の速度差が小さくなり、
サテライト滴が生じにくくなる。
【0005】また、例えば、特開昭59−133067
号公報には、1つのノズルについて1つの圧電素子を設
け、この圧電素子に互いに独立した2つの電圧パルスを
印加してインク滴吐出を行う方法が提案されている。こ
の方法は、図10に示したように、まず、第1のパルス
P1を圧電素子に加えて第1の圧力変動を生じさせてノ
ズルからのインク滴の噴射を開始し、その後、第1のパ
ルスP1を終了させたのちノズルからインク滴が射出さ
れる前に第2のパルスP2を圧電素子に加えて第2の圧
力変動を生じさせるようにしたものである。なお、図1
0で、縦軸は電圧、横軸は時間を表す。この方法によれ
ば、ノズルから噴射されたインク柱が早期に破断され、
サテライト滴が生じにくくなる。
【0006】なお、例えば、特開昭51−45931号
公報には、1つのノズルに対して2つの圧力発生手段を
設け、これらの2つの圧力発生手段からの振動の重ね合
わせによってインクを振動させてインク滴を吐出させる
ようにしたインク滴吐出装置が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特開平7−76087号公報に記載された方法では、第
1の電圧変化速度v1を第2の電圧変化速度v2よりも
必ず小さくしなければならない。このため、全吐出行程
にわたって高速の電圧変化速度v2で電圧を変化させた
場合に比べると、吐出されるインク滴の飛翔速度が低下
せざるを得なくなる。インク滴の飛翔速度の低下は、そ
の飛翔ルートの直線性の悪化や飛翔速度のばらつき等、
吐出の不安定性を招くことから、記録ドットのずれが生
じて印字品質を低下させるおそれがある。
【0008】また、上記の特開昭59−133067号
公報に記載された方法では、第1のパルスP1を終了さ
せたのち、ある時間間隔Tiをおいて第2のパルスP2
を印加するようになっているので、この時間間隔Tiが
大きいと、インク柱の尾引きが長くなってサテライト滴
の発生を防止しにくくなる。一方、時間間隔Tiが小さ
いと、圧電素子が電圧変化に追随できず、所期の動作が
得られなくなる。一般に、圧電素子は固有の振動特性を
有し、その固有振動数以上の周波数では動作し得ないか
らである。この点は、高い固有振動数をもつ圧電素子を
製作することで解決できると考えられるが、圧電素子の
固有振動数を高めるにしてもそれには限度があり、しか
も製造技術上の困難性を伴ってコスト高にもつながるこ
とから、現実的ではない。また、上記公報の記載では、
第1のパルスP1の電圧値V1よりも第2のパルスP2
の電圧値V2の方が小さくなっているが、インク柱の先
頭部分に後尾部分を追い付かせて一体化させるために
は、第1のパルスP1の電圧値V1よりも第2のパルス
P2の電圧値V2の方を大きくする必要がある。ところ
が、圧電素子への印加電圧を大きくすることは、圧電素
子およびこの圧電素子によって励振される振動板の寿命
を縮める要因になると共に、残留振動が大きくなって周
波数特性が悪化することが予想される。
【0009】また、上記の特開昭51−45931号公
報に記載されたインク滴吐出装置は小さい電源入力で効
率よくインク滴を吐出させることを目的としたものであ
り、この目的を達成するために、2つの圧力発生手段に
高周波駆動信号をそれぞれ印加すると共に、これらの高
周波駆動信号の位相差や振幅を変化させることで2つの
圧力発生手段からの振動をうまく重ね合わせてインクを
振動させ、これによりインク滴を吐出させるようにして
いる。すなわち、このインク滴吐出装置は、サテライト
滴の発生を防止することを目的とはしておらず、また、
そのための構成を備えていない。また、そのような示唆
もない。
【0010】このように、従来は、吐出されるインク滴
の飛翔速度の低下や装置寿命の短縮、あるいは周波数特
性の悪化等を伴うことなく、また、圧電素子の固有振動
特性による制約を受けることなく、サテライト滴の発生
を十分に抑制することは困難であった。
【0011】これらの問題を解決するため、本出願人
は、各ノズルに対応したインク室ごとにインク滴吐出用
の圧電素子とは別個にサテライト滴の発生等を防止する
ための補助的な圧電素子を設け、これらの圧電素子の駆
動タイミングを適宜に制御するようにしたインクジェッ
トプリンタを提案している。このインクジェットプリン
タによれば、上記の諸問題を克服しつつインク滴吐出時
におけるサテライト滴の発生を抑制する等、印字品質を
向上させるための補助動作が可能となる。
【0012】ところが、このような構成のインクジェッ
トプリンタにおいては、吐出用と補助用の2つの圧電素
子を個別に駆動するようにしているため、1回のインク
滴吐出動作につき2種類の駆動信号波形が必要となる。
このため、インク滴のサイズを様々に変える必要がある
ことをも考慮すると、全体として多数の駆動信号波形が
必要となり、制御が複雑化するおそれがある。
【0013】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、上記のような諸問題を克服し、駆動
信号の数を増やすことなく、インク滴吐出時におけるサ
テライト滴発生抑制等の補助動作を可能とするインクジ
ェットプリンタを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係るインクジェ
ットプリンタは、インク滴を吐出するためのノズル部
と、ノズル部にインクを供給するインク室と、変位する
ことによりインク室の容積を変化させてノズル部からイ
ンク滴を吐出させるための圧力を発生する吐出圧力発生
手段と、変位することによりインク室の容積を変化させ
てノズル部からのインク滴吐出動作を補助するための圧
力を発生する補助圧力発生手段とを備え、吐出圧力発生
手段が補助圧力発生手段よりも短い固有振動周期を有す
るように構成したものである。吐出圧力発生手段の幅を
補助圧力発生手段の幅よりも小さく形成するか、あるい
は、吐出圧力発生手段の厚さを補助圧力発生手段の厚さ
よりも厚く形成することにより、吐出圧力発生手段の固
有振動周期を補助圧力発生手段の固有振動周期よりも短
くすることが可能である。ここで、「インク滴吐出動作
を補助する」とは、インク滴が予定通りの状態で吐出さ
れるように手を加えることをいい、具体的には、吐出さ
れるインク滴が予定通りのサイズや飛翔速度等をもつこ
とができるようにしたり、あるいは予定しない(不要
な)インク滴が吐出されないようにするために、吐出圧
力発生手段により発生する吐出圧力に対して所定の修正
を加えることをいう。以下の説明においても同義であ
る。例えば、補助圧力発生手段は、インク滴の吐出時に
おける付随的なインク小滴の発生を抑制するための圧力
を発生するためのものであるように構成することが可能
である。
【0015】本発明に係るインクジェットプリンタで
は、吐出圧力発生手段が補助圧力発生手段よりも短い固
有振動周期を有するように構成される。したがって、例
えば同一の駆動信号により、2つの圧力発生手段が異な
る動きをするように駆動が行われる。すなわち、短い固
有振動周期を有する吐出圧力発生手段によってインク滴
の吐出動作が行われると共に、長い固有振動周期を有す
る補助圧力発生手段によってインク滴吐出を補助するた
めの動作が行われる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の一実施の形態に係るインク
ジェットプリンタの要部の概略構成を表すものである。
本実施の形態では、複数のノズルを有するマルチノズル
ヘッドを備えたインクジェットプリンタについて説明す
るが、本発明は単一のノズルを有するシングルノズルヘ
ッドを備えたインクジェットプリンタについても適用可
能である。
【0018】このインクジェットプリンタ1は、記録用
紙2に対してインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド
11と、この記録ヘッド11にインクを供給するインク
カートリッジ12と、記録ヘッド11の位置と記録用紙
2の紙送りとを制御するヘッド位置・紙送りコントロー
ラ13と、駆動信号21により記録ヘッド11のインク
滴吐出動作を制御するヘッドコントローラ14と、入力
される画像データに所定の画像処理を行い、印画データ
22としてヘッドコントローラ14に供給する画像処理
部15と、制御信号23,24,25によってそれぞれ
ヘッド位置・紙送りコントローラ13、ヘッドコントロ
ーラ14および画像処理部15を制御するシステムコン
トローラ16とを備えている。
【0019】図2は図1における記録ヘッド11の斜視
断面構造を表し、図3は図2における記録ヘッド11を
矢印Zの方向から見た断面構造を表し、図4は図2にお
ける記録ヘッド11を矢印Wの方向から見た平面構造を
表すものである。但し、図4では、後述する振動プレー
ト113の図示を省略している。これらの図に示したよ
うに、記録ヘッド11は、薄いノズルプレート板111
と、ノズルプレート111上に積層された流路プレート
112と、流路プレート112上に積層された振動プレ
ート113とを備えて構成されている。これらの各プレ
ートは、例えば、図示しない接着剤により相互に貼り合
わされている。
【0020】流路プレート112の上面側には選択的に
凹部が形成されており、これらの凹部と振動プレート1
13とによって、幅方向に等間隔で配列された複数の細
長いインク室114とこれらのインク室に連通する共同
流路115とを構成している。各インク室114は、図
4に示したように、一定幅α1の部分と一定幅β1の部
分とを有する。本実施の形態においてはα1<β1とな
るように形成されている。ここで、インク室114が本
発明における「インク室」に対応する。
【0021】共同流路115と各インク室114との連
通部分は挟路となっており、ここから各インク室114
の一定幅α1の部分に向かって流路幅が拡がっている。
幅α1の部分と幅β1の部分との間の部分は、流路幅が
なだらかに移り行くように形成されている。各インク室
114における共同流路115に連通した側と反対側の
幅β1の部分は、流路幅が次第に狭まっていく構造にな
っており、その終端部の流路プレート112には、厚み
方向に穿たれた流路孔117が設けられている。そし
て、この流路孔117は、最下層のノズルプレート11
1に形成された微小なノズル118へと連通しており、
このノズル118からインク滴が吐出されるようになっ
ている。ここで、ノズル118が本発明における「ノズ
ル部」に対応する。
【0022】なお、本実施の形態では、図2に示したよ
うに、記録用紙2(図1)の紙送り方向(矢印X)に沿
って複数のノズル118を1列に等間隔で形成している
が、その他の配列としてもよい。例えば、ノズルを千鳥
状に2列に配列すると共に、両ノズル列の両側にインク
室114を振り分けて配置するようにすれば、ノズルの
配置間隔を縮小することが可能である。
【0023】各インク室114の真上部分の振動プレー
ト113上には、それぞれ、例えばピエゾ素子等からな
る一対の圧電素子116a,116bが互いに一定距離
を隔てて固着されている。圧電素子116aはインク室
114の幅α1の部分に対応して配置され、その幅はα
2である。圧電素子116bはインク室114の幅β1
の部分に対応して配置され、その幅はβ2である。ここ
で、α1>α2,β1>β2である。各圧電素子116
a,116bの上下面には、図示しない電極がそれぞれ
積層配置されており、これらの電極にヘッドコントロー
ラ14(図1)からの駆動信号21を印加して各圧電素
子116a,116b、ひいては振動プレート113を
たわませることで、インク室114の容積を増大(膨
張)させたり減少(収縮)させることができるようにな
っている。
【0024】ここで、圧電素子116aの幅α2は圧電
素子116bの幅β2よりも小さく構成され、一方、両
者の厚さおよび材質は同じく構成されている。このた
め、印加電圧の変化に対する応答速度は圧電素子116
bよりも圧電素子116aの方が速く、したがって、圧
電素子116bよりも圧電素子116aの方が固有振動
周期が短くなっている。この点が本発明の1つの特徴を
なしている。ここで、圧電素子116aが本発明におけ
る「吐出用圧力発生手段」に対応し、圧電素子116b
が本発明における「補助圧力発生手段」に対応する。
【0025】図5は圧電素子116a,116bの固有
振動特性を表すものである。この図の(a)は単一ステ
ップの駆動電圧波形を表し、同図(b),(c)は、同
図(a)に示した駆動電圧が印加されたときの圧電素子
116a,116bの変位を表すものである。なお、こ
の図の(b),(c)では、インク室114が収縮する
方向(以下、インク室収縮方向という。)の変位を下向
きに描いている。この例で用いる駆動電圧波形は、同図
(a)に示したように、時間tの間に電圧0Vから電圧
Vaへと立ち上がり、その後もこの電圧Vaを保持する
ものとする。なお、立ち上がり時間tは例えば2μse
c、電圧Vaは例えば20Vに設定する。
【0026】図5(b)に示したように、駆動電圧が0
VからVaへと立ち上がり始めると、圧電素子116a
は、インク室収縮方向に急激に変位し、駆動電圧がVa
に達した時点の直後に最大変位を示す。その後、圧電素
子116aは、ほぼ一定の短い周期Taで固有振動を繰
り返し、次第に減衰していく。一方、圧電素子116b
は、同図(c)に示したように、駆動電圧が0VからV
aへと立ち上がり始めると、インク室収縮方向にゆっく
りと変位し、駆動電圧がVaに達した時点から相当の時
間が経過した時点で最大変位を示す。その後、圧電素子
116bは、ほぼ一定の長い周期Tbで固有振動を繰り
返し、次第に減衰していく。このように、圧電素子11
6aは圧電素子116bよりも長い固有振動周期を持っ
ている。本実施の形態では、このような2つの圧電素子
の固有振動周期の違いを利用し、短周期の圧電素子11
6aによって吐出動作を行うと共に、長周期の圧電素子
116bによって補助的な動作(本実施の形態ではサテ
ライト滴の発生の抑制動作)を行うようにしている。こ
の点が本発明の1つの特徴をなしている。
【0027】再び図2〜図4に戻って説明する。共同流
路115は、図1に示したインクカートリッジ12(図
2〜図4では図示せず)に連通している。そして、この
インクカートリッジ12から共同流路115を経て各イ
ンク室114に常時一定速度でインクが供給されるよう
になっている。このインクの供給は、例えば毛細管現象
を利用して行うことができるが、そのほか、インクカー
トリッジ12に所定の加圧機構を設けて加圧することで
行うようにしてもよい。
【0028】このような構成の記録ヘッド11は、図示
しないキャリッジ駆動モータおよびこれに付随するキャ
リッジ機構によって記録用紙2の紙送り方向Xと直交す
る方向Y(図2)に往復移動しながらインク滴を吐出す
ることにより、記録用紙2(図1)に画像を記録するよ
うになっている。
【0029】図1に示したヘッドコントローラ14は、
例えば、いずれも図示しないが、マイクロプロセッサ
と、このマイクロプロセッサが実行するプログラムが格
納されたROM(Read Only Memory)と、マイクロプロ
セッサによる所定の演算や一時的なデータ記憶等に用い
られるワークメモリとしてのRAM(Random Access Me
mory)と、不揮発性メモリからなる駆動波形記憶部と、
駆動波形記憶部から読み出されたディジタルデータをア
ナログに変換するためのディジタルアナログ(D/A)
コンバータと、D/Aコンバータの出力を増幅するアン
プとを備えて構成される。ここで、駆動波形記憶部は、
記録ヘッド11の各ノズルの圧電素子116a,116
bを駆動するための駆動信号21の電圧波形を示す波形
データを複数記憶している。これらの波形データは、例
えば図6(a)に示した各種のパラメータ(時間パラメ
ータおよび電圧パラメータ)を様々な値に設定して作成
されたものである。これらの波形データはマイクロプロ
セッサによってそれぞれ読み出され、D/Aコンバータ
でアナログ信号に変換されたのちアンプで増幅され、ノ
ズル数nと同数の駆動信号21として出力される。な
お、ヘッドコントローラ14は、上記のような構成に限
られることはなく、これと異なる構成とすることも可能
である。
【0030】図6(a)は駆動信号21の一周期分
(T)の波形の一例を表すものである。この図で、縦軸
は電圧、横軸は時間を表し、時間は図の左から右方向へ
と進むものとする。この図に示したように、駆動信号2
1は基準電圧0Vのほかに引込電圧Vpおよび吐出電圧
Vaを取り得る。この駆動信号21は、圧電素子116
a,116bの両方に同時に印加されるようになってお
り、インク滴を吐出する圧力を発生させるための吐出用
駆動信号として働くと共に、インク滴吐出時のサテライ
ト滴の発生を抑制する圧力を発生させるための補助駆動
信号としても働く。より具体的には、吐出電圧Vaは、
圧電素子116aにとっては文字通りの吐出電圧として
作用する一方、圧電素子116bにとってはサテライト
滴発生抑制用の補助電圧として作用するようになってい
る。この点が本発明の1つの特徴をなす。これらのn個
の駆動信号21は、ヘッドコントローラ14によって各
吐出周期ごとに適宜切り替えられて、それぞれ対応する
ノズル118の圧電素子116a,116bに供給され
るようになっている。
【0031】ここで、図7を参照して、吐出用の圧電素
子116aにとっての駆動信号21の波形の意義につい
て説明する。この図7は、駆動信号21の波形と、この
駆動信号21が印加される圧電素子116aの挙動と、
ノズル118内におけるインクの先端部の位置(以下、
メニスカス位置という。)の変化との関係を表すもので
ある。この図の(a)は、駆動信号21のほぼ1周期分
の波形を表し、同図(b)は(a)のような波形の駆動
信号が圧電素子116aに印加されたときのインク室1
14の状態の変化を表し、同図(c)はそのときのノズ
ル118内におけるメニスカス位置の変化を表す。
【0032】図7(a)において、まず、駆動電圧を基
準電圧0Vから引込電圧Vpに変化させる行程(Aから
Bまで)を第1の前行程とし、引込電圧Vpを一定時間
保持する行程(BからCまで)を第2の前行程とする。
また、駆動電圧を引込電圧Vp1から基準電圧0Vに変
化させる行程(CからDまで)を第1行程とし、これに
要する時間をt1とする。また、基準電圧0Vを保持し
て待機する行程(DからEまで)を第2行程とし、これ
に要する時間をt2とする。さらに、基準電圧0Vから
吐出電圧Vaに変化させる行程(EからFまで)を第3
行程とし、これに要する時間をt3とする。
【0033】本実施の形態において、第3行程の開始時
点である時点Eは、吐出が開始されるタイミングであ
り、このタイミングに先立って第1の前行程、第2の前
行程、第1行程、および第2行程が行われるようになっ
ている。
【0034】まず、時点Aおよびそれ以前においては、
圧電素子116aへの印加電圧は0Vであるので、図7
(b)の状態PA のように、振動プレート113にたわ
みはなく、インク室114の容積は最大となっている。
時点Aにおいて、ノズル118内におけるメニスカス位
置は、図7(c)の状態MA に示したように、ノズル開
口端から所定距離だけ後退した所に位置しているものと
する。
【0035】次に、時点Aの電圧0Vから時点Bの引込
電圧Vpへと駆動電圧をゆっくりと増加させる第1の前
行程を行うと、振動プレート113が内側にたわみ、イ
ンク室114は収縮する(図7(b)の状態PB )。こ
のときのインク室114の収縮速度はゆっくりとしたも
のなので、インク室114の容積の減少分は、ノズル1
18内のメニスカス位置を前進させると同時に、図2に
示した共同流路115へのインクの逆流をも引き起こ
す。このときのインクの前進量と逆流量との比は、主と
して、ノズル118内の流路抵抗と、インク室114と
共同流路115とをつなぐ狭路における流路抵抗との比
によって決まるが、これを最適化することにより、図7
(c)の状態MB で示したように、時点Bでのメニスカ
ス位置がノズル開口端から突出することなく、ノズル開
口端とほぼ同じ位置にくるように設定することができ
る。
【0036】次に、時点Bから時点Cまでの間、駆動電
圧を引込電圧Vpに保持することでインク室114の容
積を一定に保つ第2の前行程を行う。ところが、この間
もインクカートリッジ12からのインク供給は連続的に
行われているので、ノズル118内におけるメニスカス
位置はノズル開口端に向かって変位し、時点Cでは、例
えば図7(c)の状態MC で示したように、ノズル開口
端よりもやや突出した位置まで前進する。
【0037】次に、時点Cの引込電圧Vpから時点Bの
基準電圧0Vへと駆動電圧を減少させる第1行程を行う
と、圧電素子116への印加電圧が0になるので振動プ
レート113のたわみがなくなり、インク室114は膨
張する(図7(b)の状態PD )。このため、ノズル1
18内のメニスカスはインク室114の方向に引き込ま
れ、時点Dでは、例えば図7(c)の状態MD に示した
ように後退する(すなわち、ノズル開口端から遠ざか
る)。なお、時点Cと時点Dとの電位差である引込電圧
Vpの大きさを変更することにより第1行程におけるメ
ニスカスの引き込み量が変化するので、これによりイン
ク滴のサイズを制御することが可能である。インク滴の
サイズは、吐出開始時点のメニスカス位置に依存し、こ
のメニスカス位置が深いほどインク滴サイズが小さくな
るからである。
【0038】次に、時点Dから時点Eまでの時間t2の
間、駆動電圧を基準電圧0Vに固定して振動プレート1
13cをたわみがない状態に維持することでインク室1
14の容積を一定に保つ第2行程を行う(図7(c)の
状態PD 〜PE )。ところが、この間もインクカートリ
ッジ12からのインク供給は連続的に行われているの
で、ノズル118内のメニスカス位置はノズル開口端に
向かって変位し、時点Eでは、例えば図7(c)の状態
E に示した位置まで前進する。なお、第2行程の所要
時間t2を変更することによりメニスカス位置の前進量
が変化し、第3行程の開始時点におけるメニスカス位置
を調整することができるので、これにより、吐出される
インク滴のサイズを制御することが可能である。
【0039】次に、時点Eの電圧0Vから時点Fの吐出
電圧Vaへと駆動電圧を急激に増大させる第3行程を行
う。ここで、時点Eは、上記したように、吐出開始タイ
ミングである。このとき、時点Fにおいて振動プレート
113は、図7(b)の状態PF に示したように内側に
大きくたわみ、インク室114は急激に収縮するので、
図7(c)の状態MF に示したように、ノズル118内
のメニスカスはノズル開口端に向かって一気に押され、
ここからインク滴として吐出される。吐出されたインク
滴は空気中を飛翔し、記録用紙2(図1)上に着弾す
る。
【0040】その後、駆動電圧を吐出電圧Vaに保った
まま所定時間経過した時点Gで、再び基準電圧0Vまで
減少させる。これにより時点Hでは、図7(b)の状態
Hに示したように、振動プレート113はたわみのな
い状態に戻る。この状態を次の吐出動作における第1前
行程の開始時点Iまで維持する。駆動電圧を再び0Vに
減少させた直後の時点Hにおいては、図7(c)の状態
H に示したように、吐出されたインク滴の体積とイン
ク室114の容積の増加分とを加えた体積に相当する分
だけメニスカス位置が後退した状態となるが、その後も
行われるインクの充填(リフィル)により、次回の吐出
動作における第1の前行程の開始時点Iにおけるメニス
カス位置は、図7(c)の状態MI に示したように、当
初の時点Aにおける状態MA と同じになる。
【0041】このようにして1回の吐出動作が終了す
る。以下、このようなサイクル動作を各ノズル118ご
とに並行してそれぞれ繰り返し行うことで、記録用紙2
への画像記録が連続的に行われる。
【0042】なお、本実施の形態において、第2行程の
所要時間t2は第1行程で引き込まれたメニスカスがノ
ズル開口端に到達するまでの所要時間以下であるとし、
第3行程の吐出電圧Vaはインク滴を吐出させるに足る
範囲に入っているものとしている。また、上記した図6
(a)において、上記の行程CD,DE,EF以外の行
程の所要時間については、それぞれ、AB=τ1,BC
=τ2,FG=t4,GH=t5と表記する。
【0043】次に、以上のような構成のインクジェット
プリンタ1の動作および作用を説明する。
【0044】まず、インクジェットプリンタ1の全体動
作を簡単に説明する。図1において、図示しないパーソ
ナルコンピュータ等の情報処理装置から印刷データがイ
ンクジェットプリンタ1に入力されると、画像処理部1
5は、この入力データに対して所定の画像処理(例えば
圧縮されたデータの伸長等)を行ったのち、これを印画
データ22としてヘッドコントローラ14に送出する。
【0045】ヘッドコントローラ14は、記録ヘッド1
1のノズル数に対応したnドット分の印画データ22を
取得すると、これらの印画データ22を基に、n個のノ
ズルのそれぞれについて、ドットを形成するためのイン
ク滴サイズを判定し、この判定結果から、各ノズルに供
給すべき駆動信号21を選択する。例えば、高濃度を表
現する場合にはインク滴サイズを大きくし得るような駆
動波形(t2,Vaが大きく、Vpが小さい波形)を選
択し、低濃度を表現する場合や高解像度表現を行う場合
にはインク滴サイズを小さくし得るような駆動波形(t
2,Vaが小さく、Vpが大きい波形)を選択する。ま
た、微妙な中間階調を表現する場合には、隣接するドッ
ト間でインク滴サイズを少しずつ異ならせるようにし、
また、例えば、各ノズル間でインク吐出特性がばらつい
ている場合には、これを補正し得るような駆動波形を選
択する。
【0046】さて、ヘッドコントローラ14は、nドッ
ト分の駆動信号(すなわち、n個のノズル118に供給
する駆動信号)を選択したのち、この選択した駆動信号
21を、吐出周期の切替タイミングにおいて、記録ヘッ
ド11の対応するノズル118の圧電素子116a,1
16bに同時に供給する。各ノズルの圧電素子116a
は、供給された駆動信号21の電圧波形に従って図7で
説明したような各行程をそれぞれ行い、インク滴を吐出
する。このとき、他方の圧電素子116bは、その固有
振動周期が圧電素子116aよりも長いことから、後述
するように圧電素子116aとは異なった動きを示し、
圧電素子116aによる吐出動作を補助する(本実施の
形態では、サテライト滴の発生を抑制する)ように作用
する。
【0047】次に、図6を参照して、本実施の形態に係
るインクジェットプリンタの特徴的な作用を説明する。
図6(a)は上記したように駆動信号21の波形を表
し、(b)は圧電素子116aの変位を表し、(c)は
圧電素子116bの変位を表す。これらの図で、横軸は
時間を示す。また、(b),(c)では、インク室収縮
方向への変位を下向きに描いている。
【0048】従来技術の項において述べたように、イン
ク滴の吐出の際に生ずる付随的なインク小滴であるサテ
ライト滴は、圧電素子により吐出圧力を発生させてイン
ク滴吐出を行う方式において多く発生するもので、柱状
になって飛翔するインクの先頭部分と後尾部分との間に
生ずる時間差や速度差に起因して先頭部分から後尾部分
が分離し、この後尾部分が微小なインク小滴となったも
のと考えられる。
【0049】本実施の形態では、このようなサテライト
滴の発生を防止するため、図2〜図4に示したように互
いに固有振動周期の異なる2つの圧電素子116a,1
16bを各ノズル118ごとに設けると共に、これらの
2つの圧電素子116a,116bに1つの駆動信号2
1を印加し、固有振動周期の短い方の圧電素子116a
によってインク滴の吐出を行う一方、固有振動周期の長
い方の圧電素子116bによってインク滴吐出時におけ
るサテライト滴の発生を抑制させるようにしている。こ
の点をさらに図6を参照して説明する。
【0050】図6(a)に示したように駆動信号21が
A〜Eと変化すると、圧電素子116aは同図(b)に
示したように駆動信号21の電圧変化にほぼ追随して変
位する。次に、駆動信号21が吐出開始タイミングte
(時点E)で立ち上がると、圧電素子116aはインク
室収縮方向に変位し、電圧が吐出電圧Vaに達した時点
Fをオーバーランした時点Pで最大変位状態となり、イ
ンク室114は最収縮状態となる。
【0051】一方、同図(c)に示したように、圧電素
子116bは、A〜Cにおいては駆動信号21の電圧変
化にほぼ追随して変位するが、CからDにかけての引込
行程区間における駆動信号21の急激な電圧変化には追
随できず、変位量が0に戻る前に時点Eで駆動信号21
が立ち上がり始める。圧電素子116bは、駆動信号2
1が時点Eで立ち上がり始めると、再びインク室収縮方
向にゆっくりと変位を開始し、圧電素子116aが最大
変位を示した時点Pから時間tdだけ遅れた時点P′で
最大変位を示す。すなわち、圧電素子116aによるイ
ンク滴吐出が開始された時点Eから起算するとt6とい
う長い時間が経過した時点で圧電素子116bの変位は
最大となる。
【0052】さて、圧電素子116aの変位によってイ
ンク室114内に吐出圧力が発生してノズル118から
インクが押し出された時点では、インクはまだ尾を引い
ており、インク柱の状態をなしている。一方、圧電素子
116aの最大変位時点Pから時間td遅れて最大変位
となる圧電素子116bはインク室114内に新たな補
助圧力を発生させ、この新たな圧力により、既にノズル
118から押し出されつつあるインク柱を後押しする。
このため、インクの流れに不連続性が発生し、インク柱
はその後尾部分の直後で断ち切られる。そして、インク
柱の後尾部分は先頭部分に追いつき、両者は一体化して
単一のインク滴になる。これにより、インク柱の尾が長
く伸びることが抑制されて、サテライト滴の発生が抑制
される。
【0053】なお、圧電素子116aは、駆動信号21
が吐出電圧Vaに保たれている間、周期Taの固有振動
をするが、駆動信号21が時点Gの吐出電圧Vaから時
点Hの基準電圧0Vへと変化すると、圧電素子116a
の変位は一旦0に戻ったのち、次第に減衰する周期Ta
の固有振動を行う。一方、圧電素子116bは、その変
位が最大となった直後の時点Gにおいて駆動信号21が
立ち下がり始めると、これに伴ってインク室膨張方向に
変位し、一旦変位に戻ったのち、次第に減衰する周期T
bの固有振動を行う。
【0054】ここで、一具体例を示す。本具体例では、
ノズル118の径を35μm、圧電素子116a,11
6bの厚さを共に20μm、振動プレート113の厚さ
を20μm、インク室114の幅α1,β1をそれぞれ
300μm,428μm、圧電素子116a,116b
の幅α2,β2をそれぞれ280μm,410μmとす
る。また、図6(a)に示した駆動信号21の各時間パ
ラメータおよび電圧パラメータを次のように設定する。
なお、時間パラメータの単位はいずれもμsecであ
り、電圧パラメータの単位はいずれもボルトである。
【0055】τ1=30,τ2=10,t1=9,t2
=2,t3=4,t4=20,t5=8,Vp=35,
Va=30
【0056】このような各パラメータの設定により、圧
電素子116a,116bの固有振動周期Ta,Tbと
してそれぞれ12μsec,20μsecという値が得
られている。
【0057】このように、本実施の形態によれば、互い
に固有振動周期の異なる2つの圧電素子116a,11
6bを各ノズル118ごとに設けると共に、これらの2
つの圧電素子116a,116bに対して同一の駆動信
号21を印加し、固有振動周期の短い方の圧電素子11
6aによってインク滴の吐出を行う一方、固有振動周期
の長い方の圧電素子116bによってインク滴吐出時に
おけるサテライト滴の発生を抑制する動作を行うように
したので、インク滴の尾を早期に断ち切ることができ、
この結果、サテライト滴の発生を抑制することが可能と
なる。しかも、2つの圧電素子116a,116bに対
してそれ別個の駆動信号を印加するのではなく、単一の
駆動信号によって2つの圧電素子を駆動するようにして
いるので、全体として必要となる駆動信号の数を低減す
ることができる。
【0058】以上、実施の形態を挙げて本発明を説明し
たが、本発明はこの実施の形態に限定されず、種々変更
可能である。
【0059】例えば、図6(a)における各時間パラメ
ータおよび電圧パラメータや、インク室114および圧
電素子116a,116bのサイズパラメータは、例示
した値に限定されるものではなく、適宜変更可能であ
る。
【0060】また、上記実施の形態では、圧電素子11
6aの固有振動周期を圧電素子116bの固有振動周期
よりも短くするために、前者の幅α2を後者の幅β2よ
りも小さくするという方法を採ったが、本発明はこれに
限定されるものではなく、例えば圧電素子の厚さを変え
ることによって固有振動周期を異ならせるようにしても
よい。具体的には、吐出用の圧電素子116aをサテラ
イト滴発生抑制用の圧電素子116bよりも厚く形成す
ることにより、圧電素子116aの固有振動周期を圧電
素子116bの固有振動周期よりも短くすることが可能
である。なお、この場合には、圧電素子116a,11
6bの幅を等しく形成し、また、インク室114の幅も
均一にすればよい。一具体例を上げると、例えば、振動
プレート113の厚さを25μm、インク室114の幅
α1(=β1)を428μm、圧電素子116a,11
6bの幅α2(=β2)を364μm、圧電素子116
a,116bの厚さをそれぞれ35μm,25μmとす
る。この場合には、圧電素子116a,116bの固有
振動周期Ta,Tbとしてそれぞれ10μsec,20
μsecという値が得られている。また、圧電素子の幅
と厚さとを変えて固有振動周期を異らせるようにしても
よい。
【0061】また、上記実施の形態では、インク供給側
に吐出圧力発生手段としての短周期振動特性をもつ圧電
素子116aを配置すると共に、ノズル側に補助圧力発
生手段としての長周期振動特性をもつ圧電素子116b
を配置することとしたが、これとは逆に、ノズル側に吐
出圧力発生手段としての短周期振動特性をもつ圧電素子
116aを配置すると共に、インク供給側に補助圧力発
生手段としての長周期振動特性をもつ圧電素子116b
を配置するようにしてもよい。但し、上記実施の形態の
ように配置した方が、インク滴のサイズをより小さくで
きると共にインク滴の飛翔速度をより高速化できるので
有利である。
【0062】また、上記実施の形態では、1つのノズル
について2つの圧電素子を設ける場合について説明した
が、1つのノズルについて固有振動周期が異なる3つ以
上の圧電素子を設け、これらの圧電素子に単一の駆動信
号を印加するようにしてもよい。こうすることにより、
よりきめ細かくサテライト滴の抑制制御を行うことも可
能である。
【0063】また、上記実施の形態では、1つのノズル
118に対して1つのインク室114を設けると共に、
この1つのインク室114に対応して2つの圧電素子1
16a,116bを設けるようにしたが、例えば、図8
に示したように、1つのノズル118に対して2つのイ
ンク室114a,114bを設けると共に、各インク室
114a,114bに対応させて短い固有振動周期の圧
電素子116aおよび長周期の固有振動周期の圧電素子
116bを設けるようにしてもよい。なお、図8は、記
録ヘッド11の一部を真上から見た状態を表すものであ
り、図4に示した要素と同一要素には同一の符号を付
し、また、振動プレート113の図示を省略している。
この図に示した構成によれば、一方のインク室114a
における圧電素子116aの挙動が他方のインク室11
4bの状態に与える影響が少ないので、圧電素子116
a,116bの相互間のクロストークを低減することも
可能となり、より高精度の印字品質を得ることができ
る。
【0064】また、本実施の形態では、補助圧力発生手
段としての圧電素子116bをサテライト滴の発生の抑
制という用途に用いるものとして説明したが、本発明は
これには限定されず、補助圧力発生手段を他の用途に用
いる場合にも適用可能である。
【0065】例えば、本出願人は、吐出用圧電素子で吐
出を行った後のインクのメニスカス位置の変化を観察し
た結果、この吐出用圧電素子の短周期振動がほぼ消滅し
た後においても、メニスカス位置は大きな変動(長周期
の残留振動)を示すことを確認しており、そのようなメ
ニスカスの残留振動を抑制するために補助用圧電素子を
適当なタイミングで駆動することを提案している。この
ような場合においても、吐出用の圧電素子の固有振動周
期を補助用の圧電素子の固有振動周期よりも短くしてお
き、これらの圧電素子に単一の駆動信号を印加するよう
にすれば、駆動信号の数を増加させることなく、メニス
カスの残留振動を抑制することが可能となる。
【0066】また、本出願人は、装置起動後に初めてイ
ンク滴を吐出する場合や、長期間吐出を行っていないノ
ズルからインク滴の吐出を行う場合に、吐出前に予め補
助用圧電素子によってメニスカスに予備的な小振動を与
えておくことによってノズルからの吐出を円滑に行うこ
とができるようにしたインクジェットプリンタを提案し
ている。このような場合においても本発明を適用するこ
とは可能であり、これにより、駆動信号の数を増加させ
ることなく、吐出の円滑化を図ることができる。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし請求
項4のいずれかに記載のインクジェットプリンタによれ
ば、吐出圧力発生手段が補助圧力発生手段よりも短い固
有振動周期を有するように構成し、この固有振動周期の
違いを積極的に利用して、短い固有振動周期を有する吐
出圧力発生手段によってインク滴の吐出動作を行うと共
に、長い固有振動周期を有する補助圧力発生手段によっ
てインク滴吐出を補助するための動作を行うようにした
ので、同一の駆動信号を用いて2つの圧力発生手段に異
なる動きをさせることができる。したがって、駆動信号
の数を増やすことなく、インク滴吐出時における補助動
作が可能になるという効果がある。
【0068】特に、請求項4記載のインクジェットプリ
ンタによれば、補助圧力発生手段がインク滴の吐出時に
おける付随的なインク小滴の発生を抑制するための圧力
を発生するためのものであるように構成したので、駆動
信号の数を増やすことなく、有害な付随的インク小滴の
発生を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るインクジェットプ
リンタの概略構成を表すブロック図である。
【図2】図1における記録ヘッドの一構造例を表す斜視
断面図である。
【図3】図1における記録ヘッドの一構造例を表す断面
図である。
【図4】図1における記録ヘッドの一構造例を表す平面
図である。
【図5】圧電素子の固有振動特性を表す特性図である。
【図6】図1におけるヘッドコントローラから出力され
る駆動信号の波形と圧電素子の変位との関係を表す説明
図である。
【図7】図6(a)に示した駆動信号波形と、インク室
の状態およびノズル内のメニスカス位置の変化との関係
を説明するための図である。
【図8】本実施の形態に係るインクジェットプリンタに
用いられる記録ヘッドの変形例を表す平面図である。
【図9】従来のインクジェットプリンタの駆動方法を説
明するための説明図である。
【図10】従来の他のインクジェットプリンタの駆動方
法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ、11…記録ヘッド、14
…ヘッドコントローラ、21…駆動信号、22…印画デ
ータ、113…振動プレート、114、114a,11
4b…インク室、115…共同流路、116a,116
b…圧電素子、118…ノズル、Vp…引込電圧、Va
…吐出電圧、te…吐出開始タイミング

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するためのノズル部と、 前記ノズル部にインクを供給するインク室と、 変位することにより前記インク室の容積を変化させて前
    記ノズル部からインク滴を吐出させるための圧力を発生
    する吐出圧力発生手段と、 変位することにより前記インク室の容積を変化させて前
    記ノズル部からのインク滴吐出動作を補助するための圧
    力を発生する補助圧力発生手段とを備え、 前記吐出圧力発生手段が前記補助圧力発生手段よりも短
    い固有振動周期を有することを特徴とするインクジェッ
    トプリンタ。
  2. 【請求項2】 前記吐出圧力発生手段の幅を前記補助圧
    力発生手段の幅よりも小さく形成することにより、前記
    吐出圧力発生手段の固有振動周期を前記補助圧力発生手
    段の固有振動周期よりも短くしたことを特徴とする請求
    項1記載のインクジェットプリンタ。
  3. 【請求項3】 前記吐出圧力発生手段の厚さを前記補助
    圧力発生手段の厚さよりも厚く形成することにより、前
    記吐出圧力発生手段の固有振動周期を前記補助圧力発生
    手段の固有振動周期よりも短くしたことを特徴とする請
    求項1記載のインクジェットプリンタ。
  4. 【請求項4】 前記補助圧力発生手段は、インク滴の吐
    出時における付随的なインク小滴の発生を抑制する圧力
    を発生するためのものであることを特徴とする請求項1
    記載のインクジェットプリンタ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018114675A (ja) * 2017-01-18 2018-07-26 富士ゼロックス株式会社 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置

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